細胞生物学Ⅱ
第10回運動に関わる細胞骨格
http://www.microscopyu.com/
前回のまとめ
nインスリンによる血糖値調節のしくみnリン酸化/GTPとの結合による細胞内シグナルタンパク質のOn/Off
n多段階のシグナル伝達
今日の講義の内容
n 細胞骨格とモータータンパク質による運動�微小管•ダイニン、キネシン
�アクチン•ミオシン
(ECB DVD:16-8)
動物細胞の動き(微分干渉顕微鏡による観察)マウス胚線維芽細胞
(http://www.microscopyu.com/より)
動物細胞の動き(微分干渉顕微鏡による観察)肺がん上皮細胞
(http://www.microscopyu.com/より)
動物細胞の動き(微分干渉顕微鏡による観察)アカゲザル腎臓上皮細胞
(http://www.microscopyu.com/より)
ゼニゴケ精子の鞭毛運動
Drs. Kogiku SHIBA & Kazuo INABAShimoda Marine Research Center,
University of Tsukuba
細胞骨格は細胞質に広がるタンパク質線維網
(ECB:17-1, p.566)
緑:微小管赤:アクチンフィラメント青:DNA
細胞骨格を構成する3種のタンパク質線維
(ECB:17-2改, p.566)
中間径フィラメント 微小管 アクチンフィラメント
(植物細胞にはない)
中間径フィラメントは網目状に広がる
(ECB:17-3改, p.567)
培養上皮細胞中間径ケラチンフィラメント(緑)細胞の境界(青)
中間径フィラメント
2つの細胞をつなぐデスモソーム
中間径フィラメントの構造
(ECB:17-4ABC改, p.568)
αヘリックス領域
単量体
より合わせコイル状の二量体
二量体2個が逆向きにずれて重なりあった四量体
中間径フィラメントの構造
(ECB:17-4DE改, p.568)
8個の四量体が並列して結合
8個の四量体が加わってフィラメントが伸長
ウサギ腎臓上皮細胞のケラチン
(http://olympusmicro.com/より)
蛍光タンパク質でタンパク質の居場所を可視化
http://www.amedeo-amedeo.com/2012/03/fluorescent-proteins.html
蛍光 fluorescence
http://www.msl.titech.ac.jp/~hosono/facilities/PL.html
熱エネルギーの「目減り」
オワンクラゲでの発光
(http://www.photobiology.info/Zimmer.html)
蛍光波長の異なる蛍光タンパク質
(http://www.photobiology.info/Zimmer.html)
蛍光タンパク質でタンパク質の居場所を可視化
http://www.amedeo-amedeo.com/2012/03/fluorescent-proteins.html
ウサギ腎臓上皮細胞のケラチン
(http://olympusmicro.com/より)
細胞骨格を構成する3種のタンパク質線維
(ECB:17-2改, p.566)
中間径フィラメント 微小管 アクチンフィラメント
(植物細胞にはない)
微小管は形成中心となる構造から伸長する
(ECB:17-10改, p.572)
輸送網
染色体分離
運動
中心体
基底小体
紡錘体極 紡錘体
微小管はチューブリンからなり、極性をもつ
プラス端(β側)
マイナス端(α側)
13
微小管
原線維
(ECB:17-11改,p.572)
中空部分
チューブリン二量体(微小管の構成単位)
チューブリンは中心体を起点に重合する
(ECB:17-12, p.573)
中心体核形成部位
(γ-チューブリン環)
中心小体対
中心体マトリックス
微小管は中心体のγ-チューブリン環複合体から伸長してくる
http://learn.hamamatsu.com/galleries/digitalvideo/spinningdisk/ccl2473laser/videos/CCL2_EGFP_EB3_100x_Run_43.m1v
HeLa
微小管はそれぞれ独立に伸縮する
(ECB:17-13, p.574
動的不安定
http://learn.hamamatsu.com/galleries/digitalvideo/spinningdisk/folu473laser/videos/FoLu_EGFP_Tubulin_100x_Run_25.m1v
Gray fox lung fibroblast
GTPが微小管の伸縮を調節する
(ECB:17-15改, p.575)
重合
脱重合
GTPキャップ
微小管を選択的に安定化すると極性が生じる
(ECB:17-14改, p.574)
極性(方向性)
神経細胞の微小管は同じ向きに配置されている
(ECB:17-16改, p.576)
モータータンパク質による輸送
プラス端マイナス端
微小管
微小管上を動く2つのモータータンパク質
(ECB:17-18改, p.578)
キネシンダイニン
微小管
マイナス端 プラス端
ATP結合部位
尾部
球状頭部
モータータンパク質が輸送するものは多様
(ECB:17-19改, p.578)
積み荷尾部
モーター分子の頭部
積み荷尾部
モーター分子の頭部微小管
マイナス端 プラス端
キネシン類
ダイニン類
微小管と小胞の可視化
TubulinRab5
(http://olympusmicro.com/より)
http://www.biol.s.u-tokyo.ac.jp/users/seiri/movies/swim.mpg
クラミドモナスは平泳ぎ(鞭毛)
ホヤの精子の鞭毛は波状運動する
(ECB:17-25 5, p.583)
繊毛・鞭毛の微小管をふくむ構造
(ECB:17-26改, p.583)
“9+2” 配列ダイニン外腕
ネキシン
ダイニン内腕
放射状のスポーク中心鞘
中心の単微小管(シングレット)
細胞膜
A微小管 B微小管周辺二連微小管(ダブレット)(緑藻クラミドモナスの鞭毛)
ダイニンの運動により鞭毛が曲がるしくみ
(ECB:17-27,p.584)
細胞骨格を構成する3種のタンパク質線維
(ECB:17-2改, p.566)
中間径フィラメント 微小管 アクチンフィラメント
(植物細胞にはない)
アクチンフィラメントが細胞の構造をつくる
(ECB:17-28, p.584)
微繊毛 仮足収縮束 収縮環
キツネ肺がん線維芽細胞のアクチン
(http://olympusmicro.com/より)
オポッサム腎臓線維芽細胞のアクチン
(http://olympusmicro.com/より)
アクチンフィラメントはアクチン分子の重合体アクチン分子
プラス端
マイナス端
プラス端
マイナス端
(ECB:17-29, p.585)
アクチンフィラメント
ATP/ADPによるアクチン重合の調節
(ECB:17-30改, p.586)
アクチン単量体
結合力低下
重合
脱重合
サイトカラシンファロイジン
アクチン結合タンパク質による調節
細胞中のアクチン単量体の濃度は自発的に重合できるほど高い
チモシンやプロフィリンなどがアクチン単量体に結合して重合を阻害
アクチン単量体プール量の調整
他のアクチン結合タンパク質による調節
(ECB:17-32改, p.587)
モータータンパク質
束形成タンパク質(糸状仮足に見られる)
側面結合タンパク質
キャップタンパク質(末端を保護)
架橋タンパク質(細胞皮層に見られる)
切断タンパク質
重合核形成タンパク質
単量体隔離タンパク質
アクチンフィラメント
アクチン単量体
アクチン皮層による仮足の動き
(ECB:17-33改, p.589)
アクチン皮層 葉状仮足 基質
張力のかかった皮層
重合していないアクチンの動きⅡ型ミオシン
接着点(インテグリンを含む)
突出
収縮 接着と牽引
突出
プラス端にアクチンが重合して葉状仮足を押し出す
仮足でのアクチンフィラメントの分布
(ECB:17-34改, p.589)
(線維芽細胞)
収縮束 葉状仮足(枝分かれ) 糸状仮足(束)
葉状仮足でのアクチンフィラメントの配置
(ECB:17-35, p.590)
(カエル角質形成細胞)ARP複合体 アクチン
単量体キャップタンパク質
細胞の先導端新生アクチンフィラメント
アクチンとともに働くモータータンパク質
(ECB:17-36A, p.591;38A, p.593)
ATPと結合し、その加水分解エネルギーでアクチンフィラメントをプラス端側に動く
Ⅰ型ミオシン Ⅱ型ミオシン
Ⅰ型ミオシンによる動き
(ECB:17-36B, p.591)
Ⅱ型ミオシンの構造
(ECB:17-38改, p.593)
裸の領域 ミオシン頭部Ⅱ型ミオシンフィラメント
Ⅱ型ミオシン分子
頭部 尾部
反対向きに並んだミオシンによる「収縮」
(ECB:17-39改, p.593)
アクチンフィラメント
Ⅱ型ミオシン
Ⅱ型ミオシンによる収縮
(ECB:17-28改, p.584)
微繊毛 仮足収縮束 収縮環
骨格筋細胞には筋原線維がつまっている
(ECB:17-40改, p.594)
核 筋原線維
サルコメア サルコメア
ヒト成人直径約50 μm長さ数cm
(ウサギ骨格筋細胞由来 筋原線維)
サルコメアは筋肉の収縮単位
(ECB:17-41改, p.594)
筋原線維
Z盤
サルコメア
Z盤 Z盤太いフィラメント(ミオシン)細いフィラメント(アクチン)
+ +--
筋収縮の滑り機構
(ECB:17-42改, p.595)
弛緩 収縮
ミオシン分子が動くしくみ
(ECB:17-43改, p.596)
ミオシン分子の動き
(Garland Science HP)
シグナルを伝えるための構造
(ECB:17-44改, p.597)
細胞膜
筋原線維
細胞膜が陥入してできた横行(T)管
筋小胞体(高濃度のCa2+を含む)
筋小胞体Ca2+チャネルが開くしくみ
(ECB:17-45, p.597)
不活性なT管膜
活動電位
活性なT管膜
T管内腔(細胞外空間)
電位依存Ca2+
チャネル
Ca2+放出チャネル
筋小胞体膜
細胞質
筋小胞体の内腔
筋原繊維の収縮
Ca2+が筋収縮開始のシグナルとなるしくみ
(ECB:17-46, p.598)
筋肉が収縮するしくみ
(Garland Science HP)
今日のまとめ
n 細胞骨格を構成する3種の線維タンパク質�中間径フィラメント�微小管�アクチンフィラメント
n 微小管とアクチンフィラメントは重合と脱重合により機能し、制御される
n 微小管とアクチンフィラメント上を能動的に動くモータータンパク質がある