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36 ARM PARTNERS SUCCESS ARM PARTNERS SUCCESS 37 Success STORIES ヌヴォトンテクノロジー IC 産業において 唐代の繁栄を再現する ヌヴォトンテクノロジーは、台湾に本社があ る半導体ベンダーのウィンボンド・エレクトロ ニクスから2008年7月に分割された(日本で は分社していない)。その分割に際し、ウィン ボンド・エレクトロニクスのロジック IC 事業の 製品ライン、コア技術、提携パートナー、クラ イアントを引き継いでいる。 ヌヴォトンテクノロジー(Nuvoton Technology Corporation)の英文名Nuvotonは「Nuvo」と 「Ton」の2文字からできている。「Nuvo」は「新 しい」(Nouveau)というフランス語の発音に近 く、また「Ton」は唐朝の唐(Tang)という英 語の発音と似ている。唐朝は中国の歴史上最 も栄えた時代のひとつで、国際文化交流、経 済貿易、科学技術の刷新において目ざましい 成果をあげて、世界の中心となっていた時代 である。 ヌヴォトンテクノロジーは、卓越したイノ ベーション精神とユーザーとの緊密な関係、そ して世界から集まった人材によって、「業界リー ダにとって不可欠なパートナーになる(Be an indispensable partner to industry leaders)」と いうビジョンの実現を目指している。それと同 時に、IC産業において唐代の繁栄を再現しよう とする精神を象徴している。これが漢字表記の 社名 " 新唐科技 " のゆえんであるという。 さらに同社は厳しい生産工程コントロールと 品質管理体制を構築することで歩留まりを上げ、 日本の顧客を満足させる品質管理にも注力して いる。 独自の CPU アーキテクチャに 依存することはリスクにつながる 拠点は、台湾、アメリカ、中国、イスラエル、 日本にあり、全世界で約1,500名の従業員がい る。事業グループとして、マイクロコントロー ラ・アプリケーション・グループ、オーディ オ・アプリケーション・グループ、クラウド& Success STORIES ヌヴォトンテクノロジー コンピューティング・グループ、ファウンドリ・ サービス・グループがある。 それぞれのグループは、ファウンドリ・サー ビスを除き、①マイクロコントローラ・アプリ ケーション IC、②オーディオアプリケーション IC、 ③クラウド&コンピューティングIC に大別される。 ①のマイクロコントローラ・アプリケーション IC に は、ARM マ イ コ ン、8051 互 換 の 8051 マ イ コン、ARM SoC、Toy / ELA、スモール・ホーム・ エレクトロニクスがある。 ②のオーディオアプリケーションICは、ISD 音 声 録 再 IC、Audio CODEC、ADC、DAC、 ア ン プを含むemPowerAudio、ARMオーディオSoC、 電 話 用 IC(Voice CODEC)、 オ ー デ ィ オ・ エ ン ハンスメント(MaxxAudio)などがある。 ③のクラウド&コンピューティングICは、 Super I/O、GPIO、ハードウェアモニターIC、レ ベルシフト IC、電源管理 IC、バスインタフェー スブリッジ IC、組込みコントローラおよびノー ト パ ソ コ ン 用 キ ー ボ ー ド コ ン ト ロ ー ラ、TPM (Trusted Platform Module)対応のセキュリティ IC などがある。 開発拠点の中心は台湾にあり、ARMマイコン を中心に開発を行っている。セキュリティIC や PC 用組込みコントローラなどはイスラエル、 ISD 製品などはアメリカで開発している。 ARMアーキテクチャの採用理由として小野 氏は「ユーザー側も、開発・製造を担う半導体 メーカー側も、よほどの理由がない限り、これ からは、インテル以外の独自アーキテクチャに 依存する価値は相対的に減少傾向をたどり、供 給リスク回避のためにも、選択肢の多いARM のようなデファクトスタンダード化されたアー キテクチャがユーザーに多く採用される時代に なります。日本のお客様の多くは慎重にマイ コンを選ぶ傾向が強いのですが、コスト意識が 高いのも事実です。そのようなニーズが高まる 中、低コストでも高性能なARMマイコンが当 たり前に使われる現場が増えていくのは明らか です」と語る。 さらに、「ARMのメリットと強みは、すでに デファクトスタンダード化したARMのアーキ テクチャが、多くのアプリケーションで採用さ れていることにあります。数多くの企業が、こ こにビジネスチャンスを見出して、新規に参入 したり、活発に活動することにより競合関係 を生みながらも、次々とパートナーを増やして います。この状況は、ユーザー側から見てもメ リットがあるため、その市場は成長を続けてい るのではないでしょうか」(小野氏)という。 NuMicro Family として 123 品種をラインアップ ヌヴォトンテクノロジーのマイコンは、1993 年に 8 ビットの 8051 からスタートした。 「ARMマイコンは、2000年に最初のARM7TDMI コアを使った製品の開発からスタートし、2002 年にはARM926EJ-Sコアを使った製品の開発 を実施しました。現在も両方のARMコア製 品の開発と生産は継続しています。さらに 2009年 に は、ARM Cortex-M0 の ラ イ センスを受け、製 品リリースを開始 しました」(小野氏)。 現在のマイコン 構成を図1に示す。 8 ビ ットの 8 0 5 1 、 32ビットのNuMicro Family、NUC500 お よ びNUC700、 さらにNUC900が ある。 8051はインテルの8051互換マイコン、 NuMicro Family はCortex-M0 を搭載したマ イ コ ン、NUC500お よ びNUC700はARM7 (ARM7TDMI)を搭載したマイコン、そして NUC900 は ARM9(ARM926EJ-S)を搭載したマ イコンである。 ヌヴォトンテクノロジーでは、Cortex-M0を搭 載したNuMicro Familyとしてすでに123品種を ラインアップしている。これだけのCortex-M0 マイコンをラインアップしているのは、Cortex ウィンボンド・エレクトロニクス株式会社 営業第 2 統括部 部長 小野 昭裕 32-bit SoC 32-bit NuMicro 8-bit MCU 2007 ARM926EJ-S/200MHz Features Rich ARM946/144MHz Multimedia SoC ARM7TDMI/80MHz Ultra low cost Features Rich Applications ARM ® Cortex-M0/50MHz Connectivity and Features Rich Microcontrollers 8051/24MHz Features Rich Microcontrollers 2009 2010 NUC900 8051 NUC500 NUC700 NUC100/120 NUC130/140 図1:ヌヴォトンテクノロジーのマイコン構成 Cortex-M0 なら ヌヴォトン 話題の 電子書籍リーダー にも 「NuMicro™ Family」 が採用。 ヌヴォトンテクノロジー(Nuvoton Technology Corporation)は、2000年からARMパートナーとなり、ARMコアを搭載したマイコン を開発・提供してきた。その最新ARMマイコンとして注目を集めているのが、Cortex-M0を搭載した「NuMicro Family」である。こ こでは、ヌヴォトンテクノロジーの概要、同社の製品の概要を紹介する。

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36 ARM PARTNERS SUCCESS ARM PARTNERS SUCCESS 37

Success STORIESヌヴォトンテクノロジー

IC産業において唐代の繁栄を再現する

ヌヴォトンテクノロジーは、台湾に本社があ

る半導体ベンダーのウィンボンド・エレクトロ

ニクスから 2008 年 7 月に分割された(日本で

は分社していない)。その分割に際し、ウィン

ボンド・エレクトロニクスのロジック IC 事業の

製品ライン、コア技術、提携パートナー、クラ

イアントを引き継いでいる。

ヌヴォトンテクノロジー(Nuvoton Technology

Corporation)の英文名Nuvoton は「Nuvo」と

「Ton」の2文字からできている。「Nuvo」は「新

しい」(Nouveau)というフランス語の発音に近

く、また「Ton」は唐朝の唐(Tang)という英

語の発音と似ている。唐朝は中国の歴史上最

も栄えた時代のひとつで、国際文化交流、経

済貿易、科学技術の刷新において目ざましい

成果をあげて、世界の中心となっていた時代

である。

ヌヴォトンテクノロジーは、卓越したイノ

ベーション精神とユーザーとの緊密な関係、そ

して世界から集まった人材によって、「業界リー

ダにとって不可欠なパートナーになる(Be an

indispensable partner to industry leaders)」と

いうビジョンの実現を目指している。それと同

時に、IC 産業において唐代の繁栄を再現しよう

とする精神を象徴している。これが漢字表記の

社名 " 新唐科技 " のゆえんであるという。

さらに同社は厳しい生産工程コントロールと

品質管理体制を構築することで歩留まりを上げ、

日本の顧客を満足させる品質管理にも注力して

いる。

独自のCPUアーキテクチャに依存することはリスクにつながる

拠点は、台湾、アメリカ、中国、イスラエル、

日本にあり、全世界で約1,500名の従業員がい

る。事業グループとして、マイクロコントロー

ラ・アプリケーション・グループ、オーディ

オ・アプリケーション・グループ、クラウド&

Success STORIESヌヴォトンテクノロジー

コンピューティング・グループ、ファウンドリ・

サービス・グループがある。

それぞれのグループは、ファウンドリ・サー

ビスを除き、①マイクロコントローラ・アプリ

ケーションIC、②オーディオアプリケーションIC、

③クラウド&コンピューティングICに大別される。

①のマイクロコントローラ・アプリケーション

IC に は、ARM マ イ コ ン、8051 互 換 の 8051 マ イ

コン、ARM SoC、Toy / ELA、スモール・ホーム・

エレクトロニクスがある。

②のオーディオアプリケーション IC は、ISD

音 声 録 再 IC、Audio CODEC、ADC、DAC、 ア ン

プを含む emPowerAudio、ARM オーディオ SoC、

電話用 IC(Voice CODEC)、オーディオ・エン

ハンスメント(MaxxAudio)などがある。

③ の ク ラ ウ ド & コ ン ピ ュ ー テ ィ ン グ IC は、

Super I/O、GPIO、ハードウェアモニター IC、レ

ベルシフト IC、電源管理 IC、バスインタフェー

スブリッジ IC、組込みコントローラおよびノー

トパソコン用キーボードコントローラ、TPM

(Trusted Platform Module)対応のセキュリティ

IC などがある。

開発拠点の中心は台湾にあり、ARM マイコン

を中心に開発を行っている。セキュリティ IC

や PC 用組込みコントローラなどはイスラエル、

ISD 製品などはアメリカで開発している。

ARM アーキテクチャの採用理由として小野

氏は「ユーザー側も、開発・製造を担う半導体

メーカー側も、よほどの理由がない限り、これ

からは、インテル以外の独自アーキテクチャに

依存する価値は相対的に減少傾向をたどり、供

給リスク回避のためにも、選択肢の多い ARM

のようなデファクトスタンダード化されたアー

キテクチャがユーザーに多く採用される時代に

なります。日本のお客様の多くは慎重にマイ

コンを選ぶ傾向が強いのですが、コスト意識が

高いのも事実です。そのようなニーズが高まる

中、低コストでも高性能な ARM マイコンが当

たり前に使われる現場が増えていくのは明らか

です」と語る。

さらに、「ARM のメリットと強みは、すでに

デファクトスタンダード化した ARM のアーキ

テクチャが、多くのアプリケーションで採用さ

れていることにあります。数多くの企業が、こ

こにビジネスチャンスを見出して、新規に参入

したり、活発に活動することにより競合関係

を生みながらも、次々とパートナーを増やして

います。この状況は、ユーザー側から見てもメ

リットがあるため、その市場は成長を続けてい

るのではないでしょうか」(小野氏)という。

NuMicro Familyとして123品種をラインアップ

ヌヴォトンテクノロジーのマイコンは、1993

年に 8 ビットの 8051 からスタートした。

「ARMマイコンは、2000年に最初のARM7TDMI

コアを使った製品の開発からスタートし、2002

年には ARM926EJ-S コアを使った製品の開発

を 実 施 し ま し た。 現 在 も 両 方 の ARM コ ア 製

品 の 開 発 と 生 産 は 継 続 し て い ま す。 さ ら に

2009 年 に は、ARM

Cortex-M0 の ラ イ

センスを受け、製

品リリースを開始

しました」(小野氏)。

現在のマイコン

構成を図1に示す。

8 ビ ットの 8 0 5 1 、

32ビットのNuMicro

Fami ly、NUC500

お よ び N U C 7 0 0 、

さ ら に NUC900 が

ある。

8051 は イ ン テ ル の 8051 互 換 マ イ コ ン、

NuMicro Family は Cortex-M0 を搭載したマ

イ コ ン、NUC500 お よ び NUC700 は ARM7

(ARM7TDMI)を搭載したマイコン、そして

NUC900 は ARM9(ARM926EJ-S)を搭載したマ

イコンである。

ヌヴォトンテクノロジーでは 、Cortex-M0を搭

載したNuMicro Familyとしてすでに123品種を

ラインアップしている。これだけのCortex-M0

マイコンをラインアップしているのは、Cortex

ウィンボンド・エレクトロニクス株式会社営業第2統括部

部長

小野 昭裕 氏

32-bitSoC

32-bitNuMicro

8-bitMCU

2007

ARM926EJ-S/200MHzFeatures RichARM946/144MHzMultimedia SoC

ARM7TDMI/80MHzUltra low costFeatures RichApplications

ARM® Cortex™-M0/50MHzConnectivity andFeatures RichMicrocontrollers

8051/24MHzFeatures RichMicrocontrollers

2009 2010

NUC900

8051

NUC500NUC700

NUC100/120NUC130/140

図1:ヌヴォトンテクノロジーのマイコン構成

Cortex-M0ならヌヴォトン。話題の電子書籍リーダーにも

「NuMicro™ Family」が採用。ヌヴォトンテクノロジー(Nuvoton Technology Corporation)は、2000 年から ARM パートナーとなり、ARM コアを搭載したマイコン

を開発・提供してきた。その最新 ARM マイコンとして注目を集めているのが、Cortex-M0 を搭載した「NuMicro Family」である。こ

こでは、ヌヴォトンテクノロジーの概要、同社の製品の概要を紹介する。

38 ARM PARTNERS SUCCESS ARM PARTNERS SUCCESS 39

シリーズの中でも初めからCortex-M0にフォー

カスしてきたからで、今年もさらにラインアッ

プを強化していく予定である。

これまで同社全体の NuMicro Family の出荷

実績は、2010 年に 50 万個、2011 年には 1,500 万

個、2012 年には 2,300 万個を達成、そして 2013

年には 3,000 万個を目標にしている。この実績

の数字は全世界でトップクラスの数字であり、

特に中国への出荷数が多い。

「ヌヴォトンテクノロジーが中国市場に強い

大きな理由として、台湾に本社があり中国に対

して言葉の壁も低く、サポートが円滑に行える

ことが採用理由のひとつです。また、1993 年か

ら 8051 マイコンを手がけてきており、組込み

システムのマイコンやソフトウェアを熟知して

いる点も大きいですね」(小野氏)という。

その実績をベースに ARM7 や ARM9 を手がけ、

さ ら に Cortex-M0 へ 進 み、M051 Series を 筆 頭

に NUC100 Series(NUC100、NUC120、NUC122、

NUC123、NUC130、NUC140)、NUC200 Series

(NUC200、NUC220)を次々とリリースしてき

た。中でも最もコストを抑えた製品が Mini51

Series である。Mini51ZBN で、20,000 個 / ロッ

トの注文で $0.43 を実現した。最新製品として

Nano100 Ultra Low Power Series をラインアッ

プした。

米国大手の電子書籍リーダーや国内メーカーのタブレットにも採用

最も出荷数量が多いアプリケーションとして、

タッチパネルやタブレット PC のタッチ部分の

コントローラがあげられる。Cortex-M0 を搭載

した NuMicro Family は、電源管理やスイッチ

パネルの制御といったサブマイコンとしての採

用例も多くみられ、電子書籍リーダーをはじ

め、国内メーカーのタブレット PC にも採用さ

れているという(図 2)。採用された理由とし

ては、コストパフォーマンスは当然だが、顧

客のニーズに合った仕様を早期に取り込んだ

ことも大きな理由である。

低消費電力化を図ったNano100 Ultra Low Power Series

NuMicro Family の中で特に低消費電力化を

図ったシリーズが「Nano100 Ultra Low Power

Series」だ(図 3)。

Nano100 Base Line、Nano110 LCD Line、

Nano120 USB Line、Nano130 Advanced Line が

ラインアップされている。品種によってチャ

ネル数は異なるが、図 3 右側のペリフェラルは、

すべての品種に搭載されている。

最も基本となるのが Nano100 Base Line であ

る。最大 128K バイトのフラッシュメモリ、最

大 16K バイトの SRAM を搭載し、16 チャネルの

タッチパネル対応などを基本機能とし、各種ペ

リフェラルが搭載されている。

Nano110 LCD Line は Nano100 Base Line の基

本機能に加え、LCD ドライバを内蔵。

Nano120 USB LineはUSB2.0フルスピードを特

徴とし、Nano130 Advanced Lineは、USB2.0フル

スピード+ LCDドライバが追加されているものだ。

「いずれも1.8V~3.6Vの単一電源で動作するこ

とから、使い勝手は抜群です。しかも、超低消費

電力のため、多くのバッテリ駆動システムに向

いています。ペリフェラルとして12ビットのAD

コンバータに加え、同じく12ビットのDAコン

バータを内蔵しています。さらに、ISO7816-3の

スマートカードインタフェースを3チャネル搭載

Success STORIESヌヴォトンテクノロジー

していることも特長でしょう」(ワギー氏)。

ヌヴォトンテクノロジーのホームページから

カタログをダウンロードできるので、数多くの

品種について細かな違いを確認しやすい。

独自の評価ボードと開発ボードを提供

ヌヴォトンテクノロジーが提供する開発環境

は、多くの ARM マイコンと同じく MDK-ARM や

IAR社のツールを活用できる。さらにヌヴォトン

テ ク ノ ロ ジ ー か ら は、 評 価 ボ ー ド(SDK)の

「Nu-Tiny(ニュータイニー)」が提供されている

(図4)。

「Nu-Tiny にはボードに加え、評価版の MDK-

ARM や IAR 社のコンパイラが内蔵された CD-

ROM が付属しています。Nu-Tiny はミシン目が

入っていて、そこでホスト PC とのインタフェー

スとなる部分とターゲット部分に分割できます。

ターゲット部分をブレットボードやプロトタイ

プに搭載したり、接続することで評価環境を構

築できます。ボード間はシリアルで接続し電源

さえつなげば直ぐにでもデバッグできますし、

1 枚千数百円から購入できるので手軽です」(ワ

ギー氏)。

「ARM 社 の ビ ジ ネ ス モ デ ル は、ARM コ ア の

アーキテクチャを中心に、開発環境、ソフト開

発、ハード開発、半導体など水平分業的なス

キームが整っていますので、それぞれの得意分

野を持つパートナー企業の力を発揮できます。

弊社のパートナーは、実績のある企業ばかりで

すので、安心してお客様へご紹介できます。す

でに協業体制ができていますので、急な連携が

必要な場合でも対応可能です。もちろん今後も

信頼できるパートナーを増やして、お客様の多

様なニーズにお応えしていきたい」と小野氏は、

エコシステムの充実を語った。

代理店との連携を強化し、きめ細かなサポートを提供

マイコンを選定する際にポイントとなるのが

サポート体制の充実である。

ヌヴォトンテクノロジーは、① Q&A サポート、

②フィールドエンジニアによるサポート、③マ

イコンの技術的なサポートという三段階で、き

め細かな対応をしている。

①の Q&A サポートは、主に販売代理店が窓

口となり、ユーザーとの質疑応答で製品を知っ

てもらうためのものだ。ちなみに国内の販売代

理店は、エー・ディ・エム株式会社、OS エレク

トロニクス株式会社、高千穂交易株式会社、佐

鳥電機株式会社、マイクロサミット株式会社

( 順不同 ) の 5 社である。

②のフィールドエンジニアによるサポートは、

①の段階から一歩進んで評価ボードやサンプル

チップで評価したいというレベルでのサポート

になる。ここでは、ヌヴォトンテクノロジーの

フィールドエンジニアが代理店のフィールド

エンジニアと連携してサポートを行う。具体的

には、ユーザー先に出向いたり、電話や電子メー

ルでの対応となる。

③のマイコンの技術的なサポートは、主にマ

イコンの使い方に関するものとなる。マイコン

はアプリケーションによって使い方がまちまち

なので、データシートだけでは分からないこと

も多い。

小野氏は、「本社技術サポートへの問い合わ

せ窓口は、われわれがしっかり行っていきます。

返答時間は質問内容にもよりますが、一般的な

内容であれば24時間以内に回答するようにして

います。また、時間を必要とする質問であれば、

まずは中間報告をしっかりやり、最終回答時期

を明確にしています」とのことだ。

欧米メーカーと比べ物理的・心理的距離感が近い

「日本と台湾では時差が 1 時間しかなく、担

当者が電話でつかまりやすいことや、行き来も

手軽です。また、非常に親日家が多く、欧米

メーカーと比べ物理的な距離や親近感も大きな

メリットでしょう」(小野氏)。

さらに製造についてのサポートもポイントに

なる。最近は中国で生産するメーカーが多い中、

中国の製造拠点へのサポートを台湾から受けら

れるというのは、言語的にもメリットが大きい。

日本からのサポートと台湾からのサポート、ど

ちらかを選べるのも利点である。

NuMicro Family は、コンシューマ、スマート

TV のリモコン、産業用、モバイル、セキュリ

ティ、ZigBee 搭載システム、自動車の ETC など

多くの採用事例がある。

今後は、①モータ制御に特化したマイクロ

コントローラ(MT510、MT520、MT530、MT550)、

②内蔵フラッシュメモリの高容量化と機能強化

(NUC150、NUC170)、③自動車関連への対応強

化をすることで、ラインアップを充実していく。

①のモータ制御は、家電や電動工具などが主

なアプリケーションと考えている。②の内蔵フ

ラッシュメモリの高容量化として 2013 年後半

には 512K バイトの製品のリリースを計画して

いる。さらに機能強化の一例として、Ethernet

の機能の取り込みも考えている。③の自動車関

連は、情報系を狙っていく。すでに ETC やレー

ダーディテクタなどへの採用実績も積んできた。

最後に小野氏は、「ヌヴォトンテクノロジー

に興味を持たれた方は、ぜひ弊社のホームペー

ジへアクセスしてみてください。2013 年の計画

として、まずは 6 月に『ET West 2013』へ出展

します。APS でも定期的に情報を発信していき

ますので楽しみにしてください」とまとめた。

ヌヴォトンテクノロジーは、前述のように世

界トップクラスの出荷数を持つなど、今後の活

躍が期待される半導体メーカーである。

Success STORIESヌヴォトンテクノロジー

ウィンボンド・エレクトロニクス株式会社営業第2統括部ロジックFAEグループ主幹技師

ダグラス ワギー 氏

Future products with higher density and more functionalities

Up to 256KBFlash ROM

Up to 32KBSRAM

16/24-bitADC OPAMP

Nano130 Advanced LineUp to 128KBFlash ROM

Up to 16KBSRAM

TouchKey x16 USB LCD

4x40, 6x38

Cortex-M042MHz

SPI (x3)

UART (x5)

I2C (x2)

I2S

PWM (x8)

Smart Card (x3) (ISO7816-3)

12-bit ADC (x12)

12-bit DAC (x2)

32-bit Timers

Watchdog

Real Time Clock

PDMA

GPIO

Nano120 USB LineUp to 128KBFlash ROM

Up to 16KBSRAM

TouchKey x16 USB

Nano110 LCD LineUp to 128KBFlash ROM

Up to 16KBSRAM

TouchKey x16

LCD4x40, 6x38

Nano100 Base LineUp to 128KBFlash ROM

Up to 16KBSRAM

TouchKey x16

Ultra Low Power Consumption• Single Power Supply : Operating Voltage @ 1.8V ~ 3.6V• Normal mode : 200uA / MHz @ CPU runs 12MHz, 3.3V• Idle mode : 75uA / MHz @ 12MHz, CPU stop, 3.3V• Power down mode : CPU and all clocks stop, RAM retention. - 2.5uA @ 32.768KHz RTC turn on - 1uA @ 32.768KHz RTC turn off• Wake up time from power down mode : only 7us

12MHz +/-0.25% RC OSC10KHz RC OSC

図3:Nano100 Ultra Low Power Seriesの一覧。搭載するペリフェラルによって複数の製品がラインアップされている。

図4:ヌヴォトンテクノロジーから独自に提供されている評価ボード「NuTiny-SDK-Nano130」。

図2:電子書籍リーダー