注意 この日本語版文書は参考資料としてご利用くだ...

24
2013 Microchip Technology Inc. DS01299A_JP - p. 1 AN1299 はじめに 多くのモータ制御アプリケーションは、システムコス トを削減しながら効率を改善する方法を常に模索して います。コストと効率は、既存のモータ制御技術 ( 形制御、スカラ制御、磁界方向制御 (FOC) ) の改良 を促す 2 大要因です。 近年、FOC が広く用いられるようになりましたが、 これは実装コストがもはや制約とはならなくなった ためです。技術と製造プロセスの進歩により、現在で dsPIC ® デジタルシグナル コントローラ (DSC) 16 ビット固定小数点デバイスに FOC を実装する 事が可能です。 低~中コスト アプリケーションで FOC がスカラおよ び台形制御方式よりも普及したもう 1 つの理由は、効 率です。 FOC は非常に広い速度レンジで低騒音、低ト ルクリップル、良好なトルク制御が強く求められるア プリケーションにも適しています。 FOC はエンコーダ、リゾルバ、ホールセンサ等の角度 センサを使って実装できます。しかし、全てのアプリ ケーションでリゾルバやエンコーダのような高分解能 が要求されるわけではありません。また、多くのアプ リケーションではゼロ速度における制御は不要です。 そのようなアプリケーションにはセンサレス方式が最 適です。センサレス方式では、モータのコイルに流れ る電流に基づいてモータの角度を推定します。電流の 計測には、一般的にデュアルシャント抵抗またはシン グルシャント抵抗方式が使われます。 デュアルシャント抵抗方式は、2 つのモータコイルに 流れる電流を計測し、その情報に基づいてモータの角 度を推定します。シングルシャント抵抗方式は、DC バスに流れる電流だけを計測し、その情報に基づいて 三相電流を再構成する事でモータの角度を推定しま す。 本書ではシングルシャント方式について説明します。 デュアルシャント抵抗アプローチの詳細については、 アプリケーション ノート『AN1078 - PMSM モーター のセンサレス FOC 制御』を参照してください。 電流計測 モータ制御アルゴリズムは、モータコイルに流れる電 流から得られる情報に基づいて、モータを最大トルク 領域または特定性能で運転し、さらに内部モータ変数 ( 角度等 ) を近似または推定する事ができます。 特に三相 AC 誘導モータ (ACIM)、永久磁石同期モータ (PMSM)、ブラシレス直流 (BLDC) モータでは、回路構 成として三相インバータがよく使われます。この回路 構成 ( 1 参照 ) を使うと、各コイルに印加するエネ ルギを別々に制御する事で、モータを効率良く運転で きます。 1: 三相インバータ回路 Author: Daniel Torres and Jorge Zambada Microchip Technology Inc. 3-Phase Inverter Rectifier DC Bus Three-Phase AC Motor PMSM のセンサレス FOC 向けシングルシャント三相電流 再構成アルゴリズム 注意 : この日本語版文書は参考資料としてご利用ください。最新情報は必ずオリジ ナルの英語版をご参照願います。

Upload: others

Post on 09-Apr-2020

1 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

AN1299PMSM のセンサレス FOC 向けシングルシャント三相電流

再構成アルゴリズム

注意 : この日本語版文書は参考資料としてご利用ください。最新情報は必ずオリジナルの英語版をご参照願います。

はじめに多くのモータ制御アプリケーションは、システムコストを削減しながら効率を改善する方法を常に模索しています。コストと効率は、既存のモータ制御技術 ( 台形制御、スカラ制御、磁界方向制御 (FOC) 等 ) の改良を促す 2 大要因です。

近年、FOC が広く用いられるようになりましたが、これは実装コストがもはや制約とはならなくなったためです。技術と製造プロセスの進歩により、現在では dsPIC® デジタルシグナル コントローラ (DSC) 等の 16 ビット固定小数点デバイスに FOC を実装する事が可能です。

低~中コスト アプリケーションで FOC がスカラおよび台形制御方式よりも普及したもう 1 つの理由は、効率です。FOC は非常に広い速度レンジで低騒音、低トルクリップル、良好なトルク制御が強く求められるアプリケーションにも適しています。

FOC はエンコーダ、リゾルバ、ホールセンサ等の角度センサを使って実装できます。しかし、全てのアプリケーションでリゾルバやエンコーダのような高分解能が要求されるわけではありません。また、多くのアプリケーションではゼロ速度における制御は不要です。

そのようなアプリケーションにはセンサレス方式が最適です。センサレス方式では、モータのコイルに流れる電流に基づいてモータの角度を推定します。電流の計測には、一般的にデュアルシャント抵抗またはシングルシャント抵抗方式が使われます。

デュアルシャント抵抗方式は、2 つのモータコイルに流れる電流を計測し、その情報に基づいてモータの角度を推定します。シングルシャント抵抗方式は、DCバスに流れる電流だけを計測し、その情報に基づいて三相電流を再構成する事でモータの角度を推定します。

本書ではシングルシャント方式について説明します。デュアルシャント抵抗アプローチの詳細については、アプリケーション ノート『AN1078 - PMSM モーターのセンサレス FOC 制御』を参照してください。

電流計測モータ制御アルゴリズムは、モータコイルに流れる電流から得られる情報に基づいて、モータを最大トルク領域または特定性能で運転し、さらに内部モータ変数( 角度等 ) を近似または推定する事ができます。

特に三相 AC 誘導モータ (ACIM)、永久磁石同期モータ(PMSM)、ブラシレス直流 (BLDC) モータでは、回路構成として三相インバータがよく使われます。この回路構成 ( 図 1 参照 ) を使うと、各コイルに印加するエネルギを別々に制御する事で、モータを効率良く運転できます。

図 1: 三相インバータ回路

Author: Daniel Torres and Jorge ZambadaMicrochip Technology Inc.

3-Phase

InverterRectifierDC Bus

Three-Phase ACMotor

2013 Microchip Technology Inc. DS01299A_JP - p. 1

AN1299

三相インバータは 3 つの相で構成されます。各相では、2 つのスイッチング素子を使ってハーフブリッジ回路を構成します。従って、各相には両方向の電流が流れます。スイッチング素子にはパワー MOSFET またはIGBT を使います。

MOSFET および IGBT の製造技術の進歩により、現在ではデジタル コントローラでパルス幅変調 (PWM) 方式を使って各コイルに印加するエネルギ量を制御できます。

正弦波変調、3 次調波重畳制御、空間ベクトル変調(SVM)方式が最も一般的に使われます。これらのPWM方式は、システム効率の面で有利な正弦波モードでスイッチング素子を動作させる場合に適しています。

コイルに流れる電流量を特定するには、各コイルに 1 つのシャント抵抗が必要です。三つの相に電流計測回路を備えた三相インバータの標準的な回路を図 2 に示します。

図 2: 三相で電流を計測する回路

平衡負荷の場合、キルヒホッフの電流則に従い、三相の電流の合計はゼロであると見なせます。この法則を式 1 に示します。

式 1: キルヒホッフの電流則

従って 2 つの電流を計測すれば、3 つめの電流は式 1から計算できます。図 3 に、シャント抵抗を 2 個に簡略化した回路例を示します。

図 3: 二相で電流を計測する回路

本書で説明するアルゴリズムは、1 個のシャント抵抗と 1 個の差動アンプを使って三相の全てを計測します。シングルシャント抵抗方式の回路を図 4 に示します。

図 4: DC バス電流を計測する回路

VBUS3 ~

IC

IB

IA

IA + IB + IC = 0

VBUS3 ~

IB

IA

IC = -IB -IA

VBUS3 ~

IBUS

DS01299A_JP - p. 2 2013 Microchip Technology Inc.

AN1299

シングルシャント抵抗方式の長所と短所

長所既に述べたように、シングルシャント三相再構成方式を採用する最大の目的はコストの削減です。すなわち、サンプリング回路を 1 個のシャント抵抗と 1 個の差動アンプに簡略化できるという事です。

コストの削減に加えて、電源モジュールに相ごとのグランド接続を備える必要がないという利点も得られます。

さらに、三相全ての計測に同一回路を使うという点も、シングルシャント方式の長所として挙げられます。つまり、全ての相で計測のゲインとオフセットが同じであるため、相ごとに増幅回路を校正したりソフトウェアで補償したりする必要がないという事です。

短所シングルシャント計測では、電流計測を可能にするために、正弦波変調パターンを変更する必要があります。このパターン変更によって電流リップルが生じる可能性があります。パターンの変更と、その変更に対する補償のために、このアルゴリズムの実装にはより多くの CPU リソースが必要です。

実装の詳細AC 信号でモータを駆動するため、PWM 方式を使って三相インバータ内のスイッチング素子を駆動します。この変調と、変調によって生成された波形を図 5 に示します。

この図のように、PWM ジェネレータ モジュールに一連のデューティサイクル値を入力する事で、正弦波を生成できます。それらの値を収めたルックアップ テーブルを使って一連のデューティサイクル信号をインバータからモータ巻き線に印加すると、モータ巻き線はスイッチング パターンに対してフィルタとして作用し、その結果として図 5 に示す正弦波が得られます。

ルックアップ テーブル方式の欠点は、達成可能な最大電圧が入力電圧の 86% 以下に制限される事です。正弦波変調に空間ベクトル変調 (SVM) を使うと、このような制限を受けず、入力電圧の 100% を利用できます。SVM は『AN908 - Using the dsPIC30F for VectorControl of an ACIM』および『AN1017 - dsPIC30F DSCを使用した PMSM モーターの正弦波制御』等のアプリケーション ノートで使われています。SVM 方式で生成した電圧波形の例を図 6 に示します。

図 5: 正弦波変調

2013 Microchip Technology Inc. DS01299A_JP - p. 3

AN1299

図 6: 空間ベクトル変調 (SVM)

ライン間電圧を計算すると、図 7 に示すように、位相が 120° シフトした 3 つの正弦波が得られます。

図 7: 計算で求めたライン間電圧

PWM1PWM2PWM3

100%

50%

0%

I II III IV V VISVMSector

VA - VB

VB - VC

VC - VA

+VBUS

0V

-VBUS

I II III IV V VISVMSector

DS01299A_JP - p. 4 2013 Microchip Technology Inc.

AN1299

SVM と電流計測の関係シングルシャント抵抗を流れる電流の計測では、ローサイド スイッチの状態が重要です。これを説明するために、図 6 の SVM のセクター「I」を拡大して図 8 に示します。この図には各スイッチング素子の PWM 波形も示しています。

PWM 変調とシングルシャント抵抗による電流計測の関係を明らかにするために、ここでは PWM サイクル

「2」に着目します。ローサイド スイッチ PWM だけに注目するため、PWM の PWMxL 成分だけを図 9 に示します。

図 8: セクター「I」におけるスイッチング素子の PWM 信号

図 9: 電流計測のサンプリング時間ウィンドウ

100%

50%

0%

PWM1PWM2PWM3

PWM1H

PWM1L

PWM2H

PWM2L

PWM3H

PWM3L

PWMCYCLE 1 2 5 63 4 7 8

PWM1L

PWM2L

PWM3L

T0 T1 T2 T3 T2 T1 T0

2013 Microchip Technology Inc. DS01299A_JP - p. 5

AN1299

三相インバータに注目し、PWM サイクル「2」中にPWMxL の各 ON/OFF 組み合わせ (T0、T1、T2、T3 )で計測される電流がどの相の電流を表すのかを明らかにします。最初の T0 では、インバータ内の各スイッチング素子 (MOSFET または IGBT) は図 10 の状態であり、シングルシャント抵抗に電流は流れません。

図 10: シャント抵抗に電流が流れない状態

T1 に移行すると PWM2L、PWM1H、PWM3H がアクティブになります ( 明記していませんが、PWM 出力は相補的であると仮定します )。図 11 に示すように、電流は A 相と C 相からモータを経て B 相に流れるため、この時に計測した電流は –IB を表すと見なせます。

図 11: シャント抵抗に電流 IB が流れる状態

T2 では PWM2L、PWM3L、PWM1H がアクティブになります。この組み合わせでは、図 12 に示すように、電流 IA がシングルシャント抵抗に流れます。

図 12: シャント抵抗に電流 IA が流れる状態

図 13 示すように、T3 では T0 と同じくシャント抵抗に電流は流れず、IBUS = 0 です。

図 13: シャント抵抗に電流が流れない状態

PWM 周期の後半は、前半と逆のパターンを辿ります。完全な 1 PWM サイクルを見ると、シャント電流が実際の相電流を表す時間ウィンドウが 2 つあります。この例の場合、1 PWM サイクル中に –IB と IA を計測できます。これは平衡系であるため、IC は式 2 を使って計算できます。このように、1 個のシャント抵抗を使って 1 PWM サイクル中に 3 つの電流を計測できます。

式 2: IC の計算

表 1 の真理値表に、スイッチング素子の各 ON/OFF 組み合わせで計測される電流がどの相の電流を表すのかを示します。表内のスイッチング素子の名称は図 14に従います。

VBUS 3 ~

IBUS = 0

VBUS3 ~

IBUS = -IB

VBUS 3 ~

IBUS = IA

VBUS3 ~

IBUS = 0

IC = -IB - IA

DS01299A_JP - p. 6 2013 Microchip Technology Inc.

AN1299

図 14: シャント抵抗真理値表に対応するスイッチング素子の命名

表 1 は、スイッチング素子の 8 通りの ON/OFF 組み合わせで IBUS がどの相の電流を表すのかを示しています。貫通を防ぐため、同じ相の H および L スイッチは同時に ON になりません。従って、そのような組み合わせは表に示していません。また、シャント抵抗に電流が流れない組み合わせも表 1 に記載していません。

表 1: シャント抵抗の真理値表

特殊なケースシングルシャント方式では、三相再構成が不可能な特殊な状況が存在します。

高変調度で 2 つのデューティサイクルが一致または近似している場合

SVM 方式で正弦波を生成する場合、一部の PWM 周期において、電流サンプリングに十分な長さの時間ウィンドウが得られないといった状況が発生します。図 8の PWM サイクル「1」は、そのような状況の一例です。これを図15に拡大して見ると、PWM1LとMWM3Lが同時に遷移するため、T2 の時間が 0 である事がわかります。

この状況では、コントローラは 2 つめの電流を計測できません。従って、このような状況が発生する特定のサイクルでは、三相電流情報を再構成できません。

図 15: デューティサイクルが近似している場合のサンプリング時間ウィンドウ

IH 2H 3H 1L 2L 3L IBUS

ON OFF OFF OFF ON ON +IA

OFF ON OFF ON OFF ON +IB

OFF OFF ON ON ON OFF +IC

OFF ON ON ON OFF OFF –IA

ON OFF ON OFF ON OFF –IB

ON ON OFF OFF OFF ON –IC

VBUS3 ~

IBUS = 0

IL

IH

2L

2H

3L

3H

a b c

T0 T1 T3 T1 T0

T2 = 0

PWM1L

PWM2L

PWM3L

2013 Microchip Technology Inc. DS01299A_JP - p. 7

AN1299

低変調度で 2 つのデューティサイクルが近似している場合

低変調度とは、変調信号の振幅が小さい事を意味します。これに対し、高変調度とは変調信号の振幅が大きい事を意味します ( デューティサイクルは 100% に達する事が可能 )。通常、モータシャフトに負荷がかかっていない状態では低変調度です。従って、変調信号は小振幅です。正弦波電圧の変調には相補モードを使うため、デューティサイクルは 50% を中心とします。図8 と同じセクター「1」で低変調度の状態を表すと図16 のようになります。

この状態ではデューティ比が50%に近い事がわかります。実際、変調度が「0」であれば、全ての PWM 出力で 50% デューティサイクルが生成されます。

シングルシャント抵抗を使って三相電流を再構成する場合の制限事項を明らかにするため、PWM サイクル

「4」に注目します ( 図 17 参照 )。

この状態では、シングルシャント抵抗の電流計測に使う 2 つの時間ウィンドウ T1 と T2 は短すぎるため、差動アンプの出力が定常値に安定するまでの時間を確保できません。

図 16: 低変調度でデューティサイクルが近似している場合

図 17: 低変調度でデューティサイクルが近似している場合のサンプリング時間ウィンドウ

100%

50%

0%

PWM1PWM2PWM3

PWM1H

PWM1L

PWM2H

PWM2L

PWM3H

PWM3L

PWMCYCLE 1 2 5 63 4 7 8

T0 T1 T2 T3 T2 T1 T0

PWM1L

PWM2L

PWM3L

DS01299A_JP - p. 8 2013 Microchip Technology Inc.

AN1299

デッドタイム

加えて、相補モードではデッドタイムが生じるため、これらの時間ウィンドウはさらに短くなります。図 17と同じ PWM サイクル「4」でハイサイド出力とデッドタイムを含めた図を図 18 に示します。

図 18: デッドタイムによるサンプリング時間ウィンドウへの影響

デッドタイムも、シングルシャント電流の計測時間ウィンドウに影響します。シングルシャント抵抗の電流計測に必要な最小時間ウィンドウは、下記のパラメータによって決まります。

• PWM 周波数

PWM周波数が高いほど、これらの全ての時間ウィンドウ値は小さくなります。

• システムが要求するデッドタイム

図 18 に示したように、デッドタイムは計測ウィンドウに直接影響します。

• ハードウェア

差動アンプのスルーレート、出力フィルタの遅延、MOSFET のスイッチング ノイズも計測ウィンドウに影響します。

ハードウェア

ハードウェアがシングルシャント計測におよぼす影響を明らかにするため、図 18 の PWM サイクル前半部におけるシングルシャント コンディショニング回路 ( 図 19) の出力に注目します。

図 19: シングルシャント抵抗の電流計測用ハードウェア

計測ウィンドウの実効長は、常に安定したアンプ出力を計測できるよう短縮されます。これは、MOSFET スイッチング ノイズ、デッドタイム、オペアンプのスルーレート、出力 RC フィルタのセトリングタイムの影響を受ける事を意味します。これらの影響を図 20に示します。

PWM1H

PWM1L

PWM2H

PWM2L

PWM3H

PWM3L

T0 T1 T2 T3 T2 T1 T0

+

-

AVDD

AVDD/2

IBU

S

IBUS

Sense

2013 Microchip Technology Inc. DS01299A_JP - p. 9

AN1299

図 20: ハードウェアがサンプリング時間ウィンドウにおよぼす影響

アンプの過渡応答を拡大して図 21 に示します。緑の四角は T1 でのサンプリング可能タイミングです。しかし、T2 は短すぎるため、T2 中に電流をサンプリングできません。T2 が十分に長かった場合の過渡応答波形を灰色で示しています。その場合、紫の四角のタイミングで電流をサンプリングできます。

図 21: ハードウェアがサンプリング時間ウィンドウにおよぼす影響 ( 拡大図 )

一般的に、図 22 に示す六角形内の灰色領域の変調では、三相電流のシングルシャント再構成は不可能です。

図 22: シングルシャント抵抗を使って三相電流を再構成する場合に問題となる SVM ベクトル領域

灰色領域は、低変調度領域と、中~高変調度のセクター境界領域に対応します。

SVM の詳細については、下のアプリケーション ノートを参照してください。

• AN908 - Using the dsPIC30F for Vector Control ofan ACIM

• AN955 - VF Control of 3-Phase Induction MotorUsing Space Vector Modulation

• AN1017 - dsPIC30F DSC を使用した PMSM モータの正弦波制御

• AN1078 - PMSM モーターのセンサレス FOC 制御

一部の周期で電流の再構成が不可能であるにも関わらずSVMパターンを一切変更しなかった場合の三相電流波形を図 23 に示します。その場合の SVM 電圧を図 24に示します。

AVDD

AVDD/2

AVSS

T0

T1

T2

T3

T2

T1

V6

V5

V4

V3

V2

V1

VI

V

IVIII

II

I

DS01299A_JP - p. 10 2013 Microchip Technology Inc.

AN1299

図 23: 三相電流計測の結果

図 24: 空間ベクトル変調 (SVM) 電圧

問題のある周期では、計測電流に大きなノイズが発生しています。

X Axis6 12 18 24 30 36 42 48 54 60 66 72 78 84 90 96

Y A

xis

0.3

0.2

0.1

0.0

-0.1

-0.2

-0.3

-0.4

Phase Currents

IaIbIc

凡例 :

X Axis

6 12 18 24 30 36 42 48 54 60 66 72 78 84 90 96

Y A

xis

1400

1300

1200

1100

1000

900

800

700

600

VaVbVc

凡例 :

Phase Voltages

1800

1700

1600

1500

1900

2013 Microchip Technology Inc. DS01299A_JP - p. 11

AN1299

問題への対処方法• この問題への 1 つの対処法は、問題のある周期での

電流計測値を無視する事です。しかしこの方法は、ロータ位置を推定するために三相全ての電流情報を必要とするアルゴリズム ( 本書のアルゴリズムを含む ) には適しません。

• 別の対処法として、電流計測値を推定する方法があります。これは良い方法ですが、電流の増加はシャント電流計測やモータ パラメータ等の影響を受けるため、精密な調整が必要です。

• 3 つめの対処法として、計測の時間ウィンドウを伸長する方法があります。この方法では、アナログ / デジタル コンバータ (ADC) で安定化後の電流値をサンプリングできるよう、最小時間 ( 臨界計測時間 ) を強制的に確保します。

本書では、スイッチング パターンを変更する事で常に最小計測時間ウィンドウ (TCRIT) を確保する方法について説明します。

電流再構成を可能にするための SVM パターンの変更

本書で紹介するシンプルな方法は、dsPIC DSC に容易に実装できます。図 25 の状態では、T2 が短すぎるためシングルシャント電流を計測できません。

電流計測が可能な最小時間ウィンドウを確保するため、PWM タイミングを図 26 のように変更します。

シングルシャント電流のサンプリングに最小時間を確保できるよう SVM パターンを変更する事で、シングルシャント方式による三相電流の再構成が可能になります。

これを行うと、タイミングが変化し、1 PWM 周期中の実効デューティサイクルも変化します。これによって変調に偏差が追加されるため、電圧生成に誤差が生じます。dsPIC DSC 内で動作するソフトウェアと制御ループは、コントローラの出力がそのままデューティサイクルに設定されたかのように動作しますが、実際にはこれらの変更によって異なる値が PWM に適用されます。

図 25: サンプリング時間ウィンドウが短すぎる場合

図 26: サンプリング時間ウィンドウを伸長するために調整された PWM

PWM1L

PWM2L

PWM3L

T0 T1 T2 T3 T2 T1 T0

PWM1L

PWM2L

PWM3L

T0 T1 T2 T3 T2 T1 T0

Delta Duty Cycle

DS01299A_JP - p. 12 2013 Microchip Technology Inc.

AN1299

次に、最小時間ウィンドウを確保するために適用したデューティサイクルの変更を補償する必要があります。本書のソリューションでは、同じ PWM サイクルの後半でデューティサイクルを補償します。図 26 に対して周期の後半で補償を適用した最終的なデューティサイクルを図 27 に示します。

この図では、PWM2L の元の PWM 信号を灰色で示し、変更と補償を適用したPWM信号を黒で示しています。このアルゴリズムでは、図 27 で示したように、PWMサイクルの前半で追加した変更は後半で差し引くという単純なルールを適用します。

電流計測は PWM 周期の前半部で実行するため、後半部で電流計測用に十分な時間ウィンドウを確保できなくても問題はありません。

図 27 に対して電流サンプリングのタイミングを記入した図を図 28 に示します。

シングルシャント再構成アルゴリズムは、現在の SVMステートに基づいて適用すべき変更を計算する部分と、これらの演算の全てを実行するステートマシンで構成されます。

図 27: PWM サイクルの後半部の補償

図 28: デューティサイクル補償を行った場合のサンプリング タイミング

PWM1L

PWM2L

PWM3L

T0 T1 T2 T3

T2

T1 T0

Modify to allowminimum window (TCRIT)

Compensate to avoidaverage duty cycle change

PWM1L

PWM2L

PWM3L

T0 T1 T2 T3

T2

T1 T0

Start first sample Start second sample

2013 Microchip Technology Inc. DS01299A_JP - p. 13

AN1299

比較のために、SVM パターンを変更する必要がないデュアルシャント計測におけるイベントのタイミングを図 29 に示します。

イベント「A」中に全ての制御ループを実行します。再構成の必要がないため、ADC トリガ タイミングを変更する必要はありません。この方式を実装できるという事は、複数のサンプル / ホールド回路を内蔵し、最大で 4 つの信号を同時にサンプリング可能な dsPICDSC の長所でもあります。

イベント「B」中に、3 つのローサイド スイッチが全て導通し、デュアルシャント アルゴリズムは 2 つの電流を計測します。この回路構成を採用したデュアルシャント計測法の唯一の制限事項は、ローサイド スイッチが導通する時の最小デューティサイクルです。

次に、シングルシャント再構成アルゴリズムを実装した場合の一連のイベントのタイミングを図 30 に示します。

図 29: デュアルシャント アルゴリズムにおけるイベントのタイミング

図 30: シングルシャント アルゴリズムにおけるイベントのタイミング

n n+1 n+2 n+3

A

B

PWM1L

PWM2L

PWM3L

PWM Period

Counter

Number

PWM Up/Down

PWM1L

PWM2L

PWM3L

PWM Period

Numbern n+1 n+2 n+3

A B

C D

PWM Up/DownCounter

DS01299A_JP - p. 14 2013 Microchip Technology Inc.

AN1299

以下では図 30に示した連続する 4 PWMサイクルについて考えます。各サイクルで一連の動作とイベントが発生します。これらのイベントを 4 つに分割し、図 30に「A」~「D」として示しています。

イベント「C」から説明を始めます。このイベントは、2 回めの ADC 実行後に発生します。ADC 割り込みがトリガされ、割り込みサービスルーチン(ISR)がフェッチされます。シングルシャント ステートマシンがこのステートに移行した時点で、両方の電流計測値は既にバッファに保存されており、処理可能です。この割り込みから復帰する前に、デューティサイクル レジスタ内の値 ( 電流計測のために伸長したデューティサイクル値 ) を補償します。PWM モジュールは、ここで補償したデューティサイクルを周期の後半に適用します。従って PWM は 2 回更新モードに設定されます。

イベント「D」は PWM 割り込みよってトリガされます。この割り込みがフェッチされるまでに、PWM モジュールはデューティサイクル補償に基づく値をデューティサイクル レジスタに書き込み済みです。2 つの電流計測値は保存済みであるため、このイベントで 3 つめの電流を計算します。その他の全てのタスク (FOC、角度推定、速度制御等 ) もこのイベント中に実行します。本書のアプリケーションでは、PMSM 向けセンサレスFOC アルゴリズムとシングルシャント再構成アルゴリズムを実行します。センサレス アルゴリズムは全てイベント「D」中に実行します。

時間的制約として、全てのアルゴリズムまたは演算をイベント「D」中に実行する必要があります。従って許容される最大実行時間は PWM 周期の 1/2 です。これは、次の PWM 周期の開始時に PWM モジュールがデューティサイクル値をリロードできるよう、今周期で実行した全ての制御ループと演算の結果を今周期中に PWM モジュールに書き戻す必要がるためです。

イベント「D」では、制御ループと演算の実行後に SVM出力の更新値を計算します。次に、シングルシャントアルゴリズムがこれらの更新値を解析し、次の PWMサイクルで SVM パターンの変更が必要かどうかを判断します。変更が必要な場合、SVM の更新値にデューティサイクル値を追加します。この値は、次のサイクルの開始時に適用されます。イベント「D」の最後に、次のPWMサイクルの最初の電流計測に向けてADCの特殊イベントトリガ レジスタを設定します。これにより、次の PWM サイクルの電流計測に適正な長さの計測ウィンドウが適用されます。

イベント「A」は、PWM サイクルの開始時に PWM 割り込みによってトリガされます。前の PWM サイクルで実行した全てのデューティサイクル調整は、このイベントに反映されます。また、最初の ADC トリガポイントも、イベント「A」中に特殊イベント トリガモード レジスタ (SEVTCMP) に設定されます。

イベント「B」は、最初の A/D 変換によってトリガされます。変換結果が保存され、2 回めの ADC トリガポイントが SEVTCMP レジスタに設定されます。

SEVTCMP の設定値は、最小時間ウィンドウとデッドタイムの影響を受けます。イベント「A」では、PWMカウンタのカウントダウン時に SEVTCMP レジスタ値が計算されます。SEVTCMP 値は SVM セクターごとに計算されます。次の ADC トリガポイントの計算には

PDC1、PDC2、PDC3 の平均値を使います。SEVTCMPレジスタ (15 ビット ) と PDCx レジスタ (16 ビット ) のサイズを合わせるため、この平均値は 1 ビット右へシフトされます。従って次の SEVTCMP 値は [PDCx レジスタの合計値 /4 + デッドタイム値 ] です。これを式 3~ 8 に示します。

式 3: セクター 1

式 4: セクター 2

式 5: セクター 3

式 6: セクター 4

式 7: セクター 5

式 8: セクター 6

SEVTCMP A PDC1 PDC3+ 4

------------------------------------------- Dead Time+=

SEVTCMP B PDC1 PDC2+ 4

------------------------------------------- Dead Time+=

SEVTCMP A PDC2 PDC3+ 4

------------------------------------------- Dead Time+=

SEVTCMP B PDC1 PDC3+ 4

------------------------------------------- Dead Time+=

SEVTCMP A PDC2 PDC3+ 4

------------------------------------------- Dead Time+=

SEVTCMP B PDC1 PDC2+ 4

------------------------------------------- Dead Time+=

SEVTCMP A PDC1 PDC2+ 4

------------------------------------------- Dead Time+=

SEVTCMP B PDC2 PDC3+ 4

------------------------------------------- Dead Time+=

SEVTCMP A PDC1 PDC3+ 4

------------------------------------------- Dead Time+=

SEVTCMP B PDC2 PDC3+ 4

------------------------------------------- Dead Time+=

SEVTCMP A PDC1 PDC2+ 4

------------------------------------------- Dead Time+=

SEVTCMP B PDC1 PDC3+ 4

------------------------------------------- Dead Time+=

2013 Microchip Technology Inc. DS01299A_JP - p. 15

AN1299

レジスタ PDC1、PDC2、PDC3 は SVM パターン変更後に計算された現在の PWM デューティサイクルを格納します。補償は 1 PWM サイクル中に 2 回計算されます。PWM カウンタのカウントアップ時に、SVM パターンから TCRIT 値が減算されます。これにより、PWM サイクルの後半で発生する補償に対して適正なPWM デューティサイクルが適用されます。

PWM カウンタのカウントダウン時に、SVM パターンに TCRIT が加算されます。これにより、次のサンプリング イベント「A」および「B」で十分な長さの時間ウィンドウが確保されます。式 9 ~ 17 に、SVM パターン変更と TCRIT の関係を示します。以下の式は、PWMサイクルの後半で発生する補償に適用されます。

式 9: T1 で SVM パターン補償が必要な場合

式 10: T1 で SVM パターン補償が不要な場合

式 11: T2 で SVM パターン補償が必要な場合

式 12: T2 で SVM パターン補償が不要な場合

以下の式は、PWM サイクルの前半で発生する SVM パターン変更に適用されます。

式 13: T1 TCRIT の場合

式 14: T1 TCRIT の場合

式 15: T1 < TCRIT の場合

式 16: T2 TCRIT の場合

式 17: T2 < TCRIT の場合

図 31 に TCRIT、デッドタイム、T1、T2 と、これらの補償結果を示します。

SVM Pattern B SVM Pattern C T1 T1 TCRIT– –+=

SVM Pattern B SVM Pattern C T1+=

SVM Pattern A SVM Pattern B T2 T2 TCRIT– + +=

SVM Pattern A SVM Pattern B T2+=

SVM Pattern B SVM Pattern C T1+=

SVM Pattern B SVM Pattern C T1+=

SVM Pattern B SVM Pattern C TCRIT+=

SVM Pattern A SVM Pattern B T2+=

SVM Pattern A SVM Pattern B TCRIT+=

DS01299A_JP - p. 16 2013 Microchip Technology Inc.

AN1299

図 31: TCRIT、デッドタイム、T1、T2 の関係

実装結果シングルシャント抵抗を使った三相再構成アルゴリズムの実装後に得られた電流値を図 32 に示します。

これを拡大して IBUS 信号を橙色でプロットした図を図 33 に示します。

図 32: シングルシャント抵抗に基づく再構成電流

IBUS

PWM3HPWM3LPWM2HPWM2L

PWM1HPWM1L

T1 Dead Time T2 = TCRIT Dead Time

TCRIT

X Axis6 12 18 24 30 36 42 48 54 60 66 72 78 84 90 96

Y A

xis

0.4

0.3

0.2

0.1

0.0

-0.1

-0.2

-0.3

-0.4

Phase Current

IaIbIc

凡例 :

2013 Microchip Technology Inc. DS01299A_JP - p. 17

AN1299

図 33: 再構成電流と DC バス電流の関係Y

Axi

s

X Axis

6 12 18 24 30 36 42 48 54 60 66 72 78 84 90 96

10000

5000

0

-5000

-10000

IaIbIcIbus

Phase Currents

凡例 :

DS01299A_JP - p. 18 2013 Microchip Technology Inc.

AN1299

高変調度における SVM 電圧を図 34 に示します。この図からは、最小計測ウィンドウを確保するために SVMが調整されている様子がわかります。

図 34: 高変調度における SVM 電圧

図 35 に、全ての PWM 信号と IBUS 信号の実測波形を示します。

図 35: PWM および IBUS 信号の実測波形

X Axis

6 12 18 24 30 36 42 48 54 60 66 72 78 84 90 96

Y A

xis

2200

2000

1800

1000

1400

1200

1000

800

600

VaVbVc

凡例 :

Phase Voltages

IBUS Sense

PWM3HPWM3LPWM2HPWM2LPWM1HPWM1L

2013 Microchip Technology Inc. DS01299A_JP - p. 19

AN1299

図 36 を拡大して図 35 に示します。この図には、いくつかの重要タイミングを記入しています。電流計測のために、有効なサンプリング時間ウィンドウ内で ADC

がサンプリングを開始している事に注目してください。図には、ADC ISR 実行時のピンのトグルも示しています。

図 36: PWM と IBUS の実測波形に見るサンプリング ポイント

IBUS Sense

PWM3HPWM3LPWM2HPWM2LPWM1HPWM1L

First conversionstarts

ADC ISR istriggered

Second conversionstarts

ADC ISR is triggered

ADC ISRpin toggleADC ISR

pin toggle

DS01299A_JP - p. 20 2013 Microchip Technology Inc.

AN1299

まとめ本書では、シングルシャント アルゴリズムの長所と制限 / 制約事項について説明しました。

シングルシャント アルゴリズム法は、1 個のシャント抵抗を使って DC バス電流を検出し、空間ベクトル変調 (SVM)を使ってDCバス電流から必要な情報を得る事で、モータの各相に流れる電流を再構成します。

SVM は、モータの各相に流れる電流の観測を可能にするために、一連のサンプリング時間ウィンドウを生成します。これらの時間ウィンドウは、シャント抵抗真理値表 ( 表 1) に従って分類されます。この真理値表は、スイッチング素子のON/OFFの組み合わせとシャント抵抗から得られる情報の関係を表します。

しかし、特定の SVM 領域では、DC バス電流から必要な情報を得る事ができません。この問題は、SVM スイッチング パターンを変更する事で克服できます。これらのパターンを変更する事で、全ての SVM 動作ステートでシングルシャント抵抗から必要な情報を抽出できます。

これらを実装した結果は、シングルシャント抵抗法によって磁界方向制御の要件を満たす十分に正確な情報が得られる事を示しています。すなわち DC バス電流から抽出した再構成情報に基づいてモータ情報(角度、トルク等 ) を求める事が可能です。

参考資料本書で参照した下記のアプリケーション ノートは、Microchip 社のウェブサイト (www.microchip.com) からダウンロードできます。

• AN908 - Using the dsPIC30F for Vector Control ofan ACIM (DS00908)

• AN955 - VF Control of 3-Phase Induction MotorUsing Space Vector Modulation (DS00955)

• AN1017 - dsPIC30F DSC を使用した PMSM モータの正弦波制御 (DS01017)

• AN1078 - PMSM モーターのセンサレス FOC 制御(DS01078)

2013 Microchip Technology Inc. DS01299A_JP - p. 21

AN1299

NOTE:

DS01299A_JP - p. 22 2013 Microchip Technology Inc.

2014 Microchip Technology Inc. DS01299A_JP - p. 23

本書に記載されているデバイス アプリケーション等に関する

情報は、ユーザの便宜のためにのみ提供されているものであ

り、更新によって無効とされる事があります。お客様のアプ

リケーションが仕様を満たす事を保証する責任は、お客様に

あります。Microchip 社は、明示的、暗黙的、書面、口頭、法

定のいずれであるかを問わず、本書に記載されている情報に

関して、状態、品質、性能、商品性、特定目的への適合性を

はじめとする、いかなる類の表明も保証も行いません。

Microchip 社は、本書の情報およびその使用に起因する一切の

責任を否認します。Microchip 社の明示的な書面による承認な

しに、生命維持装置あるいは生命安全用途に Microchip 社の製

品を使用する事は全て購入者のリスクとし、また購入者はこ

れによって発生したあらゆる損害、クレーム、訴訟、費用に

関して、Microchip 社は擁護され、免責され、損害をうけない

事に同意するものとします。暗黙的あるいは明示的を問わず、

Microchip社が知的財産権を保有しているライセンスは一切譲

渡されません。

商標

Microchip 社の名称と Microchip ロゴ、dsPIC、FlashFlex、KEELOQ、KEELOQ ロゴ、MPLAB、PIC、PICmicro、PICSTART、PIC32 ロゴ、rfPIC、SST、SST ロゴ、SuperFlash、UNI/O は、

米国およびその他の国における Microchip TechnologyIncorporated の登録商標です。

FilterLab、Hampshire、HI-TECH C、Linear Active Thermistor、MTP、SEEVAL、Embedded Control Solutions Company は、

米国における Microchip Technology Incorporated の登録商標

です。

Silicon Storage Technologyは、その他の国におけるMicrochipTechnology Incorporated の登録商標です。

Analog-for-the-Digital Age、Application Maestro、BodyCom、

chipKIT、chipKIT ロゴ、CodeGuard、dsPICDEM、dsPICDEM.net、dsPICworks、dsSPEAK、ECAN、ECONOMONITOR、FanSense、HI-TIDE、In-Circuit Serial Programming、ICSP、Mindi、MiWi、MPASM、MPF、MPLAB 認証ロゴ、MPLIB、MPLINK、mTouch、Omniscient Code Generation、PICC、PICC-18、PICDEM、

PICDEM.net、PICkit、PICtail、REAL ICE、rfLAB、Select Mode、SQI、Serial Quad I/O、Total Endurance、TSHARC、UniWinDriver、WiperLock、ZENA、Z-Scale は、米国およびその他の国におけ

る Microchip Technology Incorporatedの登録商標です。

SQTP は、米国における Microchip Technology Incorporatedのサービスマークです。

GestICとULPPは、その他の国におけるMicrochip TechnologyGermany II GmbH & Co. & KG (Microchip TechnologyIncorporated の子会社 ) の登録商標です。

その他、本書に記載されている商標は各社に帰属します。

©2013, Microchip Technology Incorporated, Printed in theU.S.A., All Rights Reserved.

ISBN: 978-1-62077-739-8

Microchip 社製デバイスのコード保護機能に関して次の点にご注意ください。

• Microchip 社製品は、該当する Microchip 社データシートに記載の仕様を満たしています。

• Microchip 社では、通常の条件ならびに仕様に従って使用した場合、Microchip 社製品のセキュリティ レベルは、現在市場に流

通している同種製品の中でも最も高度であると考えています。

• しかし、コード保護機能を解除するための不正かつ違法な方法が存在する事もまた事実です。弊社の理解ではこうした手法は、

Microchip 社データシートにある動作仕様書以外の方法で Microchip 社製品を使用する事になります。このような行為は知的所

有権の侵害に該当する可能性が非常に高いと言えます。

• Microchip 社は、コードの保全性に懸念を抱くお客様と連携し、対応策に取り組んでいきます。

• Microchip 社を含む全ての半導体メーカーで、自社のコードのセキュリティを完全に保証できる企業はありません。コード保護

機能とは、Microchip 社が製品を「解読不能」として保証するものではありません。

コード保護機能は常に進歩しています。Microchip 社では、常に製品のコード保護機能の改善に取り組んでいます。Microchip 社

のコード保護機能の侵害は、デジタル ミレニアム著作権法に違反します。そのような行為によってソフトウェアまたはその他の著

Microchip 社では、Chandler および Tempe ( アリゾナ州 )、Gresham( オレゴン州 ) の本部、設計部およびウェハー製造工場そしてカリフォルニア州とインドのデザインセンターが ISO/TS-16949:2009 認証を取得しています。Microchip 社の品質システム プロセスおよび手順は、PIC® MCU および dsPIC® DSC、KEELOQ® コード ホッピング デバイス、シリアル EEPROM、マイクロペリフェラル、不揮発性メモリ、アナログ製品に採用されています。さらに、開発システムの設計と製造に関する Microchip 社の品質システムは ISO 9001:2000 認証を取得しています。

QUALITY MANAGEMENT SYSTEM CERTIFIED BY DNV

== ISO/TS 16949 ==

DS01299A_JP - p. 24 2014 Microchip Technology Inc.

北米本社2355 West Chandler Blvd.Chandler, AZ 85224-6199Tel:480-792-7200 Fax:480-792-7277技術サポート : http://www.microchip.com/supportURL: www.microchip.com

アトランタDuluth, GA Tel:678-957-9614 Fax:678-957-1455

オースティン (TX)Tel:512-257-3370

ボストンWestborough, MA Tel:774-760-0087 Fax:774-760-0088

シカゴItasca, IL Tel:630-285-0071 Fax:630-285-0075

クリーブランドIndependence, OH Tel:216-447-0464

Fax:216-447-0643

ダラスAddison, TX Tel:972-818-7423 Fax:972-818-2924

デトロイトNovi, MI Tel:248-848-4000

ヒューストン (TX) Tel:281-894-5983

インディアナポリスNoblesville, IN Tel:317-773-8323Fax:317-773-5453

ロサンゼルスMission Viejo, CA Tel:949-462-9523 Fax:949-462-9608

ニューヨーク (NY) Tel:631-435-6000

サンノゼ (CA) Tel:408-735-9110

カナダ - トロントTel:905-673-0699 Fax:905-673-6509

アジア / 太平洋

アジア太平洋支社Suites 3707-14, 37th FloorTower 6, The GatewayHarbour City, KowloonHong KongTel:852-2401-1200Fax:852-2401-3431

オーストラリア - シドニーTel:61-2-9868-6733Fax:61-2-9868-6755

中国 - 北京Tel:86-10-8569-7000 Fax:86-10-8528-2104

中国 - 成都Tel:86-28-8665-5511Fax:86-28-8665-7889

中国 - 重慶Tel:86-23-8980-9588Fax:86-23-8980-9500

中国 - 杭州Tel:86-571-2819-3187 Fax:86-571-2819-3189

中国 - 香港 SARTel:852-2943-5100 Fax:852-2401-3431

中国 - 南京Tel:86-25-8473-2460Fax:86-25-8473-2470

中国 - 青島Tel:86-532-8502-7355Fax:86-532-8502-7205

中国 - 上海Tel:86-21-5407-5533 Fax:86-21-5407-5066

中国 - 瀋陽Tel:86-24-2334-2829Fax:86-24-2334-2393

中国 - 深圳Tel:86-755-8864-2200 Fax:86-755-8203-1760

中国 - 武漢Tel:86-27-5980-5300Fax:86-27-5980-5118

中国 - 西安Tel:86-29-8833-7252Fax:86-29-8833-7256

中国 - 厦門Tel:86-592-2388138 Fax:86-592-2388130

中国 - 珠海Tel:86-756-3210040 Fax:86-756-3210049

アジア / 太平洋

インド - バンガロールTel:91-80-3090-4444 Fax:91-80-3090-4123

インド - ニューデリーTel:91-11-4160-8631Fax:91-11-4160-8632

インド - プネTel:91-20-3019-1500

日本 - 大阪Tel:81-6-6152-7160 Fax:81-6-6152-9310

日本 - 東京Tel:81-3-6880- 3770 Fax:81-3-6880-3771

韓国 - 大邱Tel:82-53-744-4301Fax:82-53-744-4302

韓国 - ソウルTel:82-2-554-7200Fax:82-2-558-5932 または 82-2-558-5934

マレーシア - クアラルンプールTel:60-3-6201-9857Fax:60-3-6201-9859

マレーシア - ペナンTel:60-4-227-8870Fax:60-4-227-4068

フィリピン - マニラTel:63-2-634-9065Fax:63-2-634-9069

シンガポールTel:65-6334-8870Fax:65-6334-8850

台湾 - 新竹Tel:886-3-5778-366Fax:886-3-5770-955

台湾 - 高雄Tel:886-7-213-7830

台湾 - 台北Tel:886-2-2508-8600 Fax:886-2-2508-0102

タイ - バンコクTel:66-2-694-1351Fax:66-2-694-1350

ヨーロッパ

オーストリア - ヴェルスTel:43-7242-2244-39

Fax:43-7242-2244-393

デンマーク - コペンハーゲンTel:45-4450-2828 Fax:45-4485-2829

フランス - パリTel:33-1-69-53-63-20 Fax:33-1-69-30-90-79

ドイツ - デュッセルドルフTel:49-2129-3766400

ドイツ - ミュンヘンTel:49-89-627-144-0 Fax:49-89-627-144-44

ドイツ - プフォルツハイムTel:49-7231-424750

イタリア - ミラノ Tel:39-0331-742611 Fax:39-0331-466781

イタリア - ベニスTel:39-049-7625286

オランダ - ドリューネンTel:31-416-690399 Fax:31-416-690340

ポーランド - ワルシャワTel:48-22-3325737

スペイン - マドリッドTel:34-91-708-08-90Fax:34-91-708-08-91

スウェーデン - ストックホルムTel:46-8-5090-4654

イギリス - ウォーキンガムTel:44-118-921-5800Fax:44-118-921-5820

各国の営業所とサービス

10/28/13