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第 1 回京都府臨床検査技師会医学検査学会 「はじめの一歩~The beginning of a new period~」 京都府立医科大学附属図書館 2 階図書ホール 一般演題 12:40~14:00 【12:40~13:10】座⾧:横山 健輔(京都桂病院) 三宅 穂岳(京都民医連中央病院) 1. 塩酸ピルジカイニド(サンリズム)の副作用を心電図で確認できた1例 諒磨(京都民医連中央病院) 2. 2:1 房室ブロックで Ventriculophasic sinus arrhythmia を示した 1 例 明星 塁(京都工場保健会) 3. 当院における肛門内圧検査の現状と今後の展望 小野山 卓志(宇治徳洲会病院) 4. 異形成像が鑑別に有用であった悪性リンパ腫の治療後に発症した t-MN の一症例 若原 幸菜(京都第二赤十字病院) 【13:10~14:00】座⾧:藤原 麻有(京都橘大学) 望月 小百合(京都第一赤十字病院) 5. 細菌検査の院内化での課題 大口 操(三菱京都病院) 6. 妊娠健診を契機に抗Kを検出した1例 村上 育子(舞鶴共済病院) 7. 病理検査におけるホルマリン管理について 田中 志穂(京都市立病院) 8. オンコマイン TM Dx Target Test マルチ CDx システムにて解析不能となった 症例分析 白波瀬 浩幸(京都大学医学部附属病院)

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第 1 回京都府臨床検査技師会医学検査学会 「はじめの一歩~The beginning of a new period~」 京都府立医科大学附属図書館 2 階図書ホール

一般演題 12:40~14:00 【12:40~13:10】座⾧:横山 健輔(京都桂病院) 三宅 穂岳(京都民医連中央病院) 1. 塩酸ピルジカイニド(サンリズム)の副作用を心電図で確認できた1例 幸 諒磨(京都民医連中央病院) 2. 2:1 房室ブロックで Ventriculophasic sinus arrhythmia を示した 1 例 明星 塁(京都工場保健会) 3. 当院における肛門内圧検査の現状と今後の展望 小野山 卓志(宇治徳洲会病院) 4. 異形成像が鑑別に有用であった悪性リンパ腫の治療後に発症した t-MN の一症例 若原 幸菜(京都第二赤十字病院) 【13:10~14:00】座⾧:藤原 麻有(京都橘大学) 望月 小百合(京都第一赤十字病院) 5. 細菌検査の院内化での課題 大口 操(三菱京都病院) 6. 妊娠健診を契機に抗Kを検出した1例 村上 育子(舞鶴共済病院) 7. 病理検査におけるホルマリン管理について 田中 志穂(京都市立病院) 8. オンコマイン TM Dx Target Test マルチ CDx システムにて解析不能となった 症例分析 白波瀬 浩幸(京都大学医学部附属病院)

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【はじめに】

塩酸ピルシカイニド(以下、サンリズム)は、刺激伝導

系の異常を抑制し、頻脈性不整脈治療薬として用いられ

る。排泄経路は主に腎であり、その 80%が未変化体として尿中に排泄される 。そのため腎機能低下患者では慎重な投与が必要となる。今回、腎不全患者のサンリズム代

謝異常による伝導障害を呈した 1例を経験したので報告する

【症例】 93歳 女性【主訴】 呼吸苦 右半身の脱力 

【現病歴】 2日前から食事摂取低下 脱力にて受診【生化学】 BNP:765.5pe/dl トロポニン I:196.7pe/ml Cr:1.41mg/dl BUN:37.2mg/dl K:5.0mEq【来院時心電図】 心室内伝導障害 心房細動様律動

【心エコー所見】左室形態:concentric remodeling左室壁運動:dyssynchrony motionを認めた。【経過】

検査結果から、うっ血性心不全として緊急入院となる。

既往歴から心房細動治療のため サンリズム内服中であ

ることが判明した。受診時の心電図上では心室内伝導障

害が出現し、腎不全によるサンリズム代謝異常が疑われ

た。

サンリズム中止後、1日目で 1度房室ブロック、中止4日目で心房細動を呈し、徐々に改善した。【考察】

サンリズムは承認までの臨床試験で房室ブロックや

wideQRS波、QT延長などの副作用が報告されている。今回の症例では高齢患者で腎不全であるためサンリズム

を代謝できず血中濃度が上がり、伝導障害を呈したと考

えられる。

また、排泄に時間がかかり数日間副作用の伝導障害を呈

していたと考えられ、血中濃度で心電図波形にも変化が

あると考えられる。

連絡先

京都民医連中央病院 生理検査 TEL:075-822-277

塩酸ピルシカイニド(サンリズム)の副作用を心電図で確認できた 1例

◎幸 諒磨 1)、三宅 穂岳 1)、山本 民 1)、南部 和美 1)、長谷川 香里 1)、澤井 真美 1)、田澤 知沙 1)、増田 信弥 1)

公益社団法人 京都保健会 京都民医連中央病院 1)

1一般演題 生理

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【はじめに】心室時相性洞不整脈(Ventriculophasic sinus arrhythmia)は、完全房室ブロック時に見られる現象の一つとされている。PP間隔の間に QRS波を挟むと PP間隔は短く、挟まないと長くなる現象のことを指す。この現象は、完全房室ブロックの約 40%以上に認められ、2度房室ブロックでは一般的ではないとされている。今回、健診時心電図検査にて心室時相性

洞不整脈を示した 1例を経験したので報告する。【症例】43歳男性。20××年 9月健康診断を受診。既往歴、自覚症状なし。血圧、血液検査も特に異常は認

めなかった。心電図検査では、HR:37bpm、PQ時間:560ms、QRS幅:130ms、QT時間:412ms、Axis:-4°心電計の自動解析上心房細動・高度徐脈と判定。T波の頂点付近に一定間隔で P波を疑うnotchを認め PQ時間が延長を認めることから、2:1房室ブロック若しくは Blocked PACを疑う心電図所見であった。

【考察】Wenckeback周期を伴っていることから

Blocked PACによる二段脈ではなく、2:1房室ブロックであると判断した。P-QRS波を含む PP間隔は760ms、QRS波を含まない(P波の後の QRS波が脱落)PP間隔は 880msであり、これを交互に繰り返していた。この特徴を有する心電図所見として心室時相性洞

不整脈が挙げられる。機序は PP間隔に影響を及ぼす二相性経時変化で説明される。二相性経時変化とは、

正の経時変化(QRS波に続く P波の早期出現)と負の経時変化(QRS波に続く P波の遅延)に分けられ、これらが拮抗することにより、PP間隔が決定される。一般的には、完全房室ブロック時に出現すると言われ

ているが、本症例では 2:1房室ブロックであった。【結語】2:1房室ブロックで心室時相性洞不整脈を示した報告例は少ない為、貴重な経験をした。固定概念

に囚われることなく、心電図検査を実施することで何

気ない不整脈でも新しい知見を発見出来る可能性があ

る。今後、真摯に心電図波形と向き合って必要がある

と感じた。        連絡先)075-823-0524

2:1房室ブロックで Ventriculophasic sinus arrhythmiaを示した 1例

◎明星 塁 1)、多田 淳史 1)、今川 昇 1)

一般財団法人 京都工場保健会 1)

2一般演題 生理

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【背景と目的】肛門内圧検査はセンサーが付いたカテー

テルを患者の肛門に挿入し、肛門内の圧力を測定する検

査である。対象患者は主に便失禁、慢性便秘症の患者で

あるが PPH(Procedure for Prolapse and Hemorrhoids)の術後評価や小児のヒルシュスプルング病の診断にも用いられ

る。当院では 2019年 6月から肛門内圧検査を新たに導入し、約半年が経過した。本発表ではその集計データの

報告と当院における今後の肛門内圧検査の展望について

述べる。

【方法】測定には、UNISENSOR(スターメディカル社)を使用し、機能的肛門管長、最大静止圧、随意収縮圧の

3項目を測定した。対象は当院肛門外科の患者で、2019年 6月から 12月の 6ヵ月間に測定した男性 50例、女性 34例の合計 84例である。①男女別、②年代別、③PPH術前・術後(9例)に分類して分析した。【結果】詳細なデータは当日示すが、男女別では最大静

止圧に大きな差はみられなかったが随意収縮圧では男性

で強い傾向がみられた。年代別の分析では 50代から加

齢に伴い最大静止圧・随意収縮圧ともに低下するという

結果が得られた。PPH前後を比較した結果、やや術後低下しているものの大きな差異は認められなかった。

【考察とまとめ】今後さらにデータを集積し、解析する

ことで特定の疾患と各検査データの関係等あらたな知見

が得られるだろう。便失禁患者に対して肛門括約筋を鍛

えるリハビリが有効であると言われているが、当院では

まだ症例が少ないため、これからは理学療法士とも連携

をとり、リハビリの進捗と検査データの推移なども見て

いきたい。また、近年、医師の働き方改革に向けて医師

の業務の一部をコメディカルが担う、タスクシフティン

グが推進されはじめている。当院では圧カテーテルの挿

入・保持・抜去は医師が行っており、他患者の診察中に

上記処置を依頼することもしばしばである。医師の統括

のもとで臨床検査技師が代わりにカテーテルの挿入等を

行えるようになれば医師は診察や処置に専念でき、その

結果患者に質の高い医療を提供できると考える。

宇治徳洲会病院 (代表) 0774-20-111

当院における肛門内圧検査の現状と今後の展望

◎小野山 卓志 1)、遠山 卓 1)、尾上 郁美 1)、江口 光徳 1)

医療法人徳洲会 宇治徳洲会病院 1)

3一般演題 生理

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【はじめに】治療関連骨髄性腫瘍(t-MN)はアルキル化剤や放射線治療、トポイソメラーゼⅡ阻害薬などの治療に

より遺伝子変異が生じて発症する腫瘍であり、その多く

は多血球系に異形成像を示す。今回、我々は骨髄像の形

態所見(異形成像)から、悪性リンパ腫(B-NHL)の再発と t-MNを鑑別できた症例を経験したので報告する。【症例】50歳代男性。20XX年 6月に悪性リンパ種(B-NHL)と診断され R-CHOP療法を実施。6コース終了後、腫瘍の残存を理由に R-ACES 2コースおよび放射線治療が追加実施された。以後は寛解を維持していたが、

20XX+10年 12月に他院にて汎血球減少を指摘され、当院紹介受診となった。

【検査所見】末梢血所見:WBC 2,400/μL、RBC 156万/μL、Hb 5.6g/dL、Hct 16.1%、MCV 103.0fL、PLT 2.5万/μL、末梢血液像:My-blast 5%、Stab 8%、Seg 28%、Lympho 59%、Mono 0%、Eosino 0%、Baso 0% EBL 1/100WBC。骨髄所見:過形成骨髄、My-Blast 27.4%、顆粒球系に偽ペルゲル核異常、脱顆粒・顆粒減少好中球、

赤芽球系に巨赤芽球様変化、核融解像、巨核球系に微小

巨核球、小型、分離核などの異形成像をそれぞれ 10%以上認めた。細胞表面マーカー検査:CD13+、CD33+、CD34+、HLA-DR+、CD117+、TdT-、MPOは陽性率が6.1%であった。細胞遺伝学的検査:染色体(G-band法)は複雑核型であった。

【経過】t-MNとして治療中。【考察・まとめ】本例は過去に B-NHLの既往があり、末梢血液像および骨髄像で認めた blastのMPO染色陽性率が低かったため、B-NHLの再発と t-MNの鑑別が困難な症例であったが、骨髄中の異形成をしっかりと観察す

ることで t-MNの可能性を臨床にコンサルテーションすることができた。異形成像の観察の重要性を再認識する

症例であった。

連絡先:075-231-5171

異形成像が鑑別に有用であった悪性リンパ腫の治療後に発症した t-MNの一症例

◎若原 幸菜 1)、南 熊野 1)、高村 昂良 1)、橋本 有子 1)、田辺 祐也 1)

京都第二赤十字病院 1)

4一般演題 血液

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2018年3月より2年間の外注委託検査を経て、院内

での細菌検査再稼動を開始した。

再稼動の経過と今後の課題について報告する。

再稼動を行うにあたって、測定機器の点検・動作確認を

行い細菌検査が問題なく行えることを確認した後

使用培地や使用試薬の選定をした。

ワーキンググループを立ち上げ運用やマニュアルの作成

をした。当院では専任の細菌検査担当者がいない為、全

ての培養依頼を院内で行うのではなく外部委託に出すな

どの業務工夫をすることとした。

稼働開始からわずかな期間で、院内発生の CPEが発生し、菌の取り扱いや環境検査などの未経験の事が多々あり

マニュアルや環境整備・知識の補填が不十分であること

を痛感した。

今後は、報告対象菌の取り扱いや検査方法のマニュアル

などを整備し知識を深め ICDや ICNの助けになるような検査報告を迅速に報告していきたいと考える。

細菌検査の院内化での課題

◎大口 操 1)、桐山 靖之 1)

三菱京都病院 1)

5一般演題 微生物

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【はじめに】抗Kは白人において新生児溶血性疾患や

溶血性副作用を起こす抗体として重要視されている.しかし,本邦では日本人の大多数はK抗原陰性のため輸血や妊娠時の血球抗原刺激で抗Kが産生される機会

は少ない.今回,妊娠を契機に抗Kを検出した1症例を経験したので報告する.【症例】患者は30代女性.里帰り出産のために当院を受診.妊娠は今回が初回で輸血歴はなし.前医からの診療情報提供書には不規則抗体の検査は行っていたが

結果は別紙報告と記載のみであった.【結果】患者血液型はA型陽性.不規則抗体スクリーニングでLISS-IAT法陽性,Ficn2段法陽性となり同定検査をおこなったところ抗Kが検出された.カラム凝集法でK抗原をもつ血球はLISS-IAT

法で+/-~1+,Ficn2段法で2+,直接クームス試験は陰性であった.また,試験管法で実施したところK抗原をもつ血球は生理食塩水法1+,PEG-IAT法w+であった.当院ではDTT処理試薬や抗血清,IgGサブク

ラスの試薬がないため日本赤十字社に精査依頼を行った.その結果,患者のK血液型はkk,IgGサブクラスは  IgMで胎児への影響はないと考えられるとの報告を受

けた.更に分娩時に臍帯血を採取し,院内では新生児の血液型はA型陽性,直接間接クームス試験は陰性.日本赤十字社に精査依頼を行ったが抗Kは検出されなかった.母子ともに全身状態良好で産褥6日目に退院となった.【結語】今回,妊娠を契機に抗Kを検出した1症例を経験した.同種抗体を疑い,家系調査を行ったが家族は全て日本人であった.また,自然抗体の中でも抗Kは細菌感染症 (Escherichia coli、Enterococcus faecalis、Morganella morganii)によって一過性に認められることがあるが感染症歴はなかった.以上より血液検査と患者背景より抗体獲得の機序は不明

であるが自然抗体による抗Kと考えた.         連絡先 0773-62-2510(内線 150)

妊婦健診を契機に抗Kを検出した 1例

◎村上 育子 1)、藤田 翔一 1)、内藤 里佳 1)、小西 由久 1)、嶋本 知子 1)、大槻 剛史 1)

国家公務員共済組合連合会 舞鶴共済病院 1)

6一般演題 輸血

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【はじめに】病理検査で使用するホルマリンは、毒物及

び劇物取締法により『医薬用外劇物』に指定されており、

紛失・盗難の防止策を講じることが義務づけられている。

当院では、ホルマリンを鍵付き保管庫に保管し、出庫の

際は出庫数と在庫数を管理簿に記入して在庫管理を行っ

てきた。しかし、1日の中でホルマリン出庫数と、検体

として提出されたホルマリンの数を完全に一致させるこ

とは困難なことがあった。今回、我々は独自のホルマリ

ンチェック表を用いて出庫数と提出数の記録をつけるこ

とにより、ホルマリン管理を強化することができたので

報告する。

【方法】外来と病棟には、始業時に病理検査室よりホル

マリンを出庫し、未使用のホルマリンは終業時に病理検

査室へ返却する運用としている。始業時に各外来や病棟

に出庫したホルマリン出庫数をホルマリンチェック表に

記入し、1日に検体として提出されたホルマリンの数をカウントして記入する。終業時に、未使用ホルマリン返

却数も記入した上で、紛失等がないかを確認する。

また当院では、手術室と標本説明室にもホルマリン保管

庫を設置しており、これらの在庫数も始業時にチェック

している。出庫時には、検体の提出元がわかるように、

手術室へ出庫するホルマリン容器には赤印を、標本説明

室に出庫するホルマリン容器には黒印をつけて出庫する。

検体としての提出数は、出庫時にホルマリン容器に付け

た印を頼りにカウントし、1日の出庫数と提出数に相違がないかを確認する。それぞれにおいて、もしも相違が

生じた場合には、その部署に問合せし、追跡調査を行う。

【結果】このホルマリンチェック表を用いることにより、

ホルマリンの紛失防止を強化することができた。また、

このホルマリンチェック表の使用により、未オーダーの

未提出検体の把握まで可能となり、検体提出忘れの防止

の効果も得られた。

【結語】ホルマリンチェック表の運用は、ホルマリン管

理の強化に有用であると考える。

京都市立病院臨床検査技術科 075-311-5311

病理検査におけるホルマリン管理について

◎田中 志穂 1)、野田 みゆき 1)、川邉 民昭 1)、古市 佳也 1)、竹腰 友博 1)、溝口 優太 1)、村上 典子 1)

京都市立病院臨床検査技術科 1)

7一般演題 病理

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【初めに】オンコマイン TM Dx Target Test マルチ CDxシステム(以下、オンコマイン DxTTと略)は、次世代シークエンサーを用いた遺伝子検査で、肺癌の分子

標的薬の適応判定補助として 4つのドライバー遺伝子等の変異を同時測定する検査法であるが、解析成功率が低

いことが問題となっている。今回、当院における解析不

能の症例分析を行ったので報告する。

【対象と方法】2019年 8月から 12月までに、オンコマイン DxTTを実施し、結果報告済みの 101例を対象とした。なお、当院では FFPE切片の作製までを行い、遺伝子検査は LSIメディエンス社への外部委託検査として実施した。

【結果】解析成功例は 101例中 90例で、解析成功率は90%であった。検体種別は、外科的肺切除、経皮的肺生検、経気管支的生検、転移巣生検、縦隔リンパ節穿刺、

胸水セルブロックで、それぞれの解析成功数/検査実施数(解析成功率)は、79例/84例(94%)、3例/3例(100%)、1例/1例(100%)、4例/4例(100%)、4例

/8例(50%)、0例/1例(0%)であった。【考察】外科的切除例で解析できなかった 5例のうち、2症例は切除後 3年以上経過したパラフィンブロックで、1症例は永久標本の腫瘍量が少ないため術中迅速の戻し検体を用いたもの、2例は RNAの解析不良であったことから固定不良の可能性が考えられた。腫瘍量が少ないた

め病理判断でオンコマイン DxTTに提出せずに、単一的遺伝子検査法等に変更した症例が 7例あり、内訳は経気管支的生検 5例、縦隔リンパ節穿刺 2例であった。【結語】オンコマイン DxTTでの解析結果が得られなかった場合には、再検査ができない保険診療制度となって

いるため、病院の経費負担で単一的遺伝子検査法等によ

る再検査実施、あるいは患者さんが分子標的治療薬によ

る治療機会を逸する可能性もある。次世代シークエンサ

ーを用いた固形腫瘍の遺伝子検査では、検体採取、検体

作製、検体選別のすべてを適切に行う必要があり、今ま

で以上に臨床医と病理の緊密な連携が求められる。

連絡先 075-751-3491 (dial in)

オンコマイン TM Dx Target Test マルチ CDxシステムにて解析不能となった症例分析

◎白波瀬 浩幸 1)

京都大学医学部附属病院 1)

8一般演題 病理