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調査事業報告 「タイ国におけるスマートコミュニティ関連技術(熱 電併給を含めたマイクログリッド等)に関する調査」 事業期間:平成27年度 平成28年11月15日 スマートコミュニティ部成果報告会 会社名:株式会社建設技術研究所 部署名:国際部 役職・発表者名:副参事 山本大樹 1/25

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調査事業報告

「タイ国におけるスマートコミュニティ関連技術(熱

電併給を含めたマイクログリッド等)に関する調査」

事業期間:平成27年度

平成28年11月15日

スマートコミュニティ部成果報告会

会社名:株式会社建設技術研究所部署名:国際部役職・発表者名:副参事 山本大樹

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目次

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1-1. 調査の背景1-2. 調査の目的1-3. 調査の実施内容2. 調査結果の概要3-1.スマートコミュニティ関連技術移転に向けた政策・制度

上の課題の整理3-2.既存プロジェクトによるケーススタディを実施するため

の現況整理3-3.調査結果のまとめ4. フィードバックした結果

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1-1.調査の背景

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タイ国内のエネルギー需給は、2011年の大洪水時を除くと増加する傾向。エネルギー効率の改善を図ることが懸案事項となっている。

タイ国では、2036年の目標設定として電力需要予測を9,645(MW)減ずる計画としている。

● 目標を達成するためには全ての電力消費者がエネルギーの効率化を図る必要がある。● 将来発電のかなりの部分を再生可能エネルギーで賄う計画を立てている。● 1990年代から民間企業により、工業団地において、熱電併給による分散型のエネルギー

供給を行うシステムの整備が進んでいる。● 今後は、分散型のエネルギーシステムにおいてマイクログリッドへの進展が必要であり

関連技術・サービスの展開に資する行動計画の提案を検討する。

図-1 タイ国の発電電力量と消費電力量の経年変化出典:国際エネルギー機関(IEA):Statistics for Thailand

図-2 PDP(電源開発計画)2015 Power Demand Forecast

出典:代替エネルギー開発・効率化局(DEDE)作成資料

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1-2.調査の目的

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工業団地における電力の利用状況を調査するともに省エネルギーに関する行動計画作成を検討する。

⇒複数個所の工業団地への調査と最新のタイ国内におけるエネルギー政策の状況を整理する。

行動計画には環境先進国である日本のエネルギーマネジメント技術を用いた提案を実施する。⇒国内における先端技術を参考に概略のケーススタディを実施する。

熱電併給利用におけるエネルギー利用の効率を高め、電力の託送による工業団地の経営向上について提案を行う。

⇒エネルギー有効利用概略計画の提案を行う。

本調査では、以下に記載のとおり、タイ国におけるSPP事業(Small Power Producers:小規模発電事業者)を参考に熱電併給事業の実態について調査を行い、本フィールドにおいてもこれまでのNEDOの海外実証事業の成功要因が成り立つか否かについて検証を行うものとする。

図-3 本調査研究の成果範囲

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1-3.調査の実施内容

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1)スマートコミュニティ関連技術移転に向けた政策・制度上の課題の整理①エネルギー関連ビジネスに係る基本情報の整理②省エネルギーに関する政策や取組みが産業全体の電力利用に与えている効果③エネルギー政策における省エネルギーと代替エネルギー政策の推進状況④マイクログリッドを推進する上での課題⑤地域配電エリアに代替エネルギーを取り入れるための課題⑥情報通信・制御技術の導入について

2)既存プロジェクトによるケーススタディを実施するための現況整理①産業全体を対象としたエネルギー関連部門の環境改善策の取組み状況の基礎調査②事業用地周辺のステークホルダーへの聞き取り調査③現地調査の課題整理及び現地ニーズの整理

3)調査結果のまとめ①上記の項目について取りまとめ②上記調査項目を反映させた省エネルギーや熱利用、熱電併給を考慮したマイクログリッドによる事業用地へのスマートコミュニティの取組み方針の検討

③将来の実証及び事業化を想定し実施体制の検討④我が国技術の適合性について評価

タイ国内の民間企業が事業運営を行っている工業団地において、現状の課題を把握するための調査を行い、スマートコミュニティ関連技術・サービスの展開に資する行動計画の提案の検討に役立てることを目的とした調査を行った。

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2.調査結果の概要

調査項目 結果

スマートコミュニティ関連技術移転に向けた政策・制度上の課題の整理

タイ国内におけるエネルギー関連の公表資料をもとに「エネルギー政策体制」「電力事業者の整理」「契約電力量」などの情報を整理し、現状の分析を行った。熱電併給による発電事業であるSPP事業者においてはエネルギー需給の効率化の事例と現状の課題について整理を行った。代替エネルギー開発・効率化局が推奨しているマイクログリッド技術の検討のうちSPP事業に展開可能な内容について整理を行った。

既存プロジェクトによるケーススタディを実施するための現況整理

産業全体のエネルギーマネジメントについては、個々の機器販売ではなく、生産工程全体を包含して、全体最適なエネルギー管理が行える運用方法や、排熱・排蒸気の再利用や融通を行う提案が必要。聞き取り調査の対象事業は、タイ国内において熱電併給事業として法制度が整理されているSPP事業とした。事業可能性調査の実施に向けた検討に必要な事項について整理を行った。

3調査結果のまとめ

ハイブリッドSPP事業の提案マイクログリッドシステムの定義出力変動補償と発電機強調運転再生可能エネルギーの導入量再生可能エネルギー導入によるSPP事業の収益ハイブリッドSPP事業による工業団地の包括的なエネルギー管理我が国技術の適合性について調査後の実施体制の検討

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3-1.スマートコミュニティ関連技術移転に向けた政策・制度上の課題の整理

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タイ国の電力事業体制• 発電量の総量は、37,612MWのうち約41.2%をEGAT(タイ発

電公社)が担っている。• EGATの送電を経由して配電される電力は発電全体の約86

%であり、このうち98%がPEA(地方配電公社)とMEA(首都圏配電公社)が配電を行っている。

SPP事業者の大半は天然ガスを用いたコージェネ。電力料金は裁量に任されているがカスタマーが配電公社とSPP事業者の2社から購入を選択できるため、政府が定めた販売価格に準拠している。タリフは上昇傾向にある。要因は一次エネルギーの調達費にある。

図-4 タイ国の電力事業体制図出典:EGAT, Thailand Power Development Plan(PDP2015)

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3-1.スマートコミュニティ関連技術移転に向けた政策・制度上の課題の整理

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セクター別エネルギー削減可能量(2030 年時点)

• 2030 年時点での削減目標を部門別に振り分けると工業部門の電力量は、33,500GWhの削減余地があると見込まれている。

• 民間の工業団地では、独自に消費量の削減に取り組んでおりERC(エネルギー規制委員会)が実態の把握に努めているが政策としての整合性は十分ではない。

表-1 セクター別エネルギー削減可能量(2030 年時点)

出典:Ministry of Energy, Thailand 20-Year Energy Efficiency Development Plan (2011-2030)

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3-1.スマートコミュニティ関連技術移転に向けた政策・制度上の課題の整理

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タイ国の2014年における契約電力量(SPP事業のノンファームに着目)

SPP事業におけるノンファーム(EGATの送配電とは別系統で配電)は、コージェネによる発電が多いが、代替エネルギーとしてバイオマス、太陽光、風力などの割合も増加している。

図-5 タイ国の2014年における契約電力量出典:EGAT, Thailand Power Development Plan(PDP2015)

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3-1.スマートコミュニティ関連技術移転に向けた政策・制度上の課題の整理

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SPP事業の現状の課題

• タイのSPP事業には日系企業によるEPC(ガスタービンによるコージェネを用いたエネルギーマネジメントシステムに関する設計、調達、建設)の取り組みが進行しており、SPP事業者より高い評価を得ている。

• 主要な機器であるガスタービンのコストを優先して設備の仕様が決定される状況下にあって、EPCのプロフィットを充分に確保するためリスクの顕現化を防ぎながら、設計コストやその他の機器の調達コストを抑えることに努めている。

• 徹底した現地化でコストを抑え、競合国のエンジニアリング企業に対しても競争力を維持している。

① SPP事業は1992年から開始。契約期間25年のため初期に契約したSPP事業は契約満期を迎えており対応策が急務。(ERCは現行方針としている=契約継続無)

② 発電方式は一つのSPP事業に関してコージェネレーション、バイオなどから一つの方式を採用

する形でありエネルギーミックスが進んでいない。

③ 化石燃料価格の上昇や近隣国からのエネルギー調達において不安材料があるためマイクログリッドの取り組みが進行中だがSPP事業への進展は進んでいない。

発電効率の向上には努めているが工業団地内の入居企業による省エネルギーに関する意識が全体的に底上げされていないため省エネルギーに関する政策が産業全体の電力利用に与えている効果が発現されていない状況にある。

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3-1.スマートコミュニティ関連技術移転に向けた政策・制度上の課題の整理

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エネルギー政策における省エネルギーと代替エネルギーの推進状況

DEDEが推奨しているマイクログリッド技術の検討のうちSPP事業に展開可能な内容を以下に整理する。

①スマート発電:

水力、風力エネルギー、バイオマス、地熱エネルギーなどの再生可能エネルギー源から発電された電力。電気/バッテリ技術は、鉛蓄電池、リチウムイオン電池、ナトリウム系電池、液体金属電池などであるが、グリッドエネルギー貯蔵技術は、ポンピング水力ストレージ、圧縮空気エネルギー貯蔵フライホイールストレージのような機械的技術の導入を検討中である。

②スマート送電グリッドアプリケーション:

ワイドエリアを対象に周波数・地域の電圧・小信号の安定性・電圧安定化・過渡安定などの制御を目指している。特に、ソフト・ワイヤードの特別な保護スキームについてはオンライン設定を図り過渡安定度のリアルタイムモデリングによる制御を目指している。

③配電自動化:

アプリケーションは、変電所オートメーション及び配布フィーダーオートメーション(フィーダリモート端末装置)で、IEC61850を採用。

④顧客のホームオートメーションと需要反応:

先進的検針インフラ(スマートメーター)や、電気自動車とそのサポートインフラにより顧客の電力管理を目指している。

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3-1.スマートコミュニティ関連技術移転に向けた政策・制度上の課題の整理

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SPP事業者の共通意見として代替エネルギーに関する電力タリフや基準が確定するのは国内のナショナルプロジェクト(下記の3大実証)の結果次第ととらえている。

図-6 タイ国におけるマイクログリッド事業への取組みの電気事業体制図出典:PEA資料

Total1,781M.Baht(55.65M.USD)

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3-1.スマートコミュニティ関連技術移転に向けた政策・制度上の課題の整理

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• タイ国のマイクログリッドの基本理念は、代替エネルギー(ソーラーポリシー)が主体となっている。• SPP事業への展開も視野に入れている。

図-7 タイ国におけるマイクログリッド事業のイメージの電気事業体制図出典:PEA資料

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3-2.既存プロジェクトによるケーススタディを実施するための現況整理

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CASE1 CASE2 CASE3

• タイ国内において比較的大きな発電量を有する工業団地。

• 2011年の洪水時の影響を受けて施設の更新を行っている。

• EGATへの売電対工業団地内の需要家への売電=約1対5

• 天然ガスを原料とするコージェネレーション手法による発電設備

• 熱利用は、7社の入居企業が蒸気を購入している。

• 原則として工業団地内の発電施設により入居企業へ電力を供給。

• SPP事業としては事業経過年数が長く、発電施設が老朽化している。

• EGATへの売電対工業団地内の需要家への売電=約1対1

• 天然ガスを原料とするコージェネレーション手法による発電設備

• 熱利用は、1社の入居企業が蒸気を購入している。

• コンパクトな発電施設とPEAから電力の供給を受ける工業団地。

• SPP事業としては比較的新規な事業で発電施設は新しい。

• EGATへの売電対工業団地内の需要家への売電=約4対1

• 天然ガスを原料とするコージェネレーション手法による発電設備

• 熱利用は、1社の入居企業が蒸気を購入している。

調査にあたっては、以下の内容が確認できるSPP事業者に聞き取り調査を実施した。

視点① 系統電源の不安定による影響が少ない配電エリアの閉じられた場所とする。

視点② 発電事業について施設の更新を検討。

視点③ 熱供給(蒸気)を実施している。

視点④ 90MW以上の発電能力を所有している。

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3-2.既存プロジェクトによるケーススタディを実施するための現況整理

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CASE2の工業団地における電力需給及び熱利用に関する課題の整理

項 目 現 状 の 課 題省エネルギーについて

入居企業の業種によって省エネの関心度は異なる。日系企業による自動車関連機器の製造などは関心が高いが工業団地全体では省エネの機運は高まっていない。対策は、工業団地事業主に相談改善を求める場合もあるが多くはテナント企業単位で取り組んでいる。

蓄エネルギーについて

発電リスク対策として非常電源をテナントごとに設置するケースもあるが蓄電施設を設けるような取り組みは無い。蓄電施設についてはコストがネックとなっている。

【現状の整理】• 工業団地内における送配電の損失は、軽微。• また、蒸気圧については発電施設からは2(Pa)で圧送しているが圧送距離は約90mであり、管

内降圧などについてもロスは軽微。

特に重要な要素として考えられている構成要素は、①分散型電源②需給調整機器③監視・制御④情報通信

【選定理由】施設の更新を検討しており、工業団地内での利用と売電の割合が均等であることなどからタイ国内のSPP事業者が共通な課題を潜在的に抱えているため

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3-2.既存プロジェクトによるケーススタディを実施するための現況整理

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タイ国内における再生可能エネルギーの開発方針では、事業者に対してFIT(固定価格買取制度)やAdder(電気料金の自動調整事項の参入項目の一つであり、需要家の電気料金に転嫁される)についてインセンティブを与えている。

図-8 タイ国内における再生可能エネルギーの開発方針出典:DEDE資料より

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3-2.既存プロジェクトによるケーススタディを実施するための現況整理

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検討事項1:発電施設(コージェネ)等の効率化促進及び老朽化に伴う施設更新検討事項2:ITCを活用した電力需給の自動化検討事項3:代替エネルギーの導入を前提とした電力の安定化に向けた制御施設(大規模蓄電池含む)

の増築(PV等の設置費も含む)

図-9 SPP事業の改善策として提案するシステム構成

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3-2.既存プロジェクトによるケーススタディを実施するための現況整理

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改善に関する事業規模は3段階に区分して整理を行った。第一区分は、発電施設の更新を提案している。高額であることと供用中に変更することが困難であることから長期的に検討する項目として位置付けている。第二区分は、ITCを活用した配電自動化である。これについては省エネルギー及び節電に関する行動計画を促すために早期に取り組むことを推奨する。第三区分は、代替エネルギーの利用とこれに伴うピークシフトである。蓄電池の導入も提案している。

施設改修概略計画(事業費)の整理

表-2 CASE2の施設改修概略計画(事業費)の整理

大 工 種 内 容 概 算 費 用① 発 電 施 設 の 更 新

(第一区分)

規模:174MW(熱供給80ton)規格:ガスタービン

新設の場合 : 約30,000(百万円)

② 工業団地内供給分のみ太陽光発電(第三区分)

規模:84MW(熱併給含まず)※.EGATへの供給分は従来通り

ガスタービンで発電

新設 : 約25,000(百万円)

③ ICT(第二区分)

対象:70の入居企業 EMS : 約100(百万円)計測機器 : 約 35(百万円)通信環境整備: 約60(百万円)

④ 電力安定化(第三区分)

規模:84MWの15%分 蓄電池 : 約10,000(百万円)

合計 約65,195(百万円)

対象事業費 約35,195(百万円)

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3-2.既存プロジェクトによるケーススタディを実施するための現況整理

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(円)

事業期間(年)

配当 12%電気料金上昇分 1%支出 35,195,000,000円金利 10%ローン 15年

設備投資額と電力販売額の一部から捻出する損益が単年度で収益に転じるのは事業開始10年後である

図-10 CASE2の改修に伴う概算事業収支シュミーレーション

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3-3.調査結果のまとめ

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ハイブリッドSPP事業の提案新たなSPP事業スキームとして従来の熱の有効利用を目的にしたコージェネによる発電プラントに加え、太陽光発電を含む再生可能エネルギーの一部導入を義務化する「SPP事業のハイブリッド化」を提案する。代表的なSPPの発電は、120MWのキャパシティに対して90MWをEGATに売電、工業団地内に30MWを売電、合わせて40トン/時相当の蒸気を供給するモデルが一般的である。SPP事業のハイブリット化では、工業団地への売電電力に対して5~10%の再生可能エネルギーの導入を目標又は義務化するものである。具体的には、工業団地への売電を30MWとすれば1.5MW(5%)から3MW(10%)の太陽光発電を導入することになる。

表-3 再生可能エネルギーの課題と解決方法

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3-3.調査結果のまとめ

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ハイブリッドSPPが供給する電力系統に対してグリッド制御を行うシステムは、電力の安定供給を確保するために、再生可能エネルギーの出力変動に対して出力変動補償制御機能が必要となる。出力変動補償制御機能とは、再生可能エネルギー発電設備の出力変動を可変時定数フィルタにより検知し、蓄電池用PCSに出力指令値として与えることで、再生可能エネルギー発電と蓄電池の合成出力を既定の変化以内に収まるように調整することが可能な機能である。

図-11 再生可能エネルギーの最適導入出典:「富士電機離島マイクログリッド技術資料2015年10月」より

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3-3.調査結果のまとめ

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ハイブリッドSPP事業が下記6点を実施することで工業団地の包括的なエネルギー管理を行う。従来型コージェネレーション発電、熱供給新たに導入される再生可能エネルギー発電蓄電池の充放電ハイブリッドSPPが熱電併給している工場の電力、熱エネルギー消費の実績管理ハイブリッドSPPが熱電併給している工場への省エネ提案再生可能エネルギー利用率の向上、エネルギー効率向上

図-12 1MW太陽光発電設備の外観イメージ出典:「富士電機離島マイクログリッド技術資料2015年10月」

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3-3.調査結果のまとめ

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PDP2015公表により燃料の多様化(ガス依存度の低下・LNG受入強化、高効率石炭火力・再エネ(バイオマス含む)・輸入電力の増加、原子力の計画維持)の検討が進展

図-13 電力料金体系出典:PDP2015

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3-3.調査結果のまとめ

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事業の中心はSPP事業者であるが、再生エネルギーを導入するために新たなサプライの提供とオペレーションやマネジメントとしてサービスを提供する事業者が参加する方式を提案する。

図-14 新たな電力供給サービス提供に関する事業スキーム(案)

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4.フィードバックした結果

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■SPP事業は民間企業による取り組みであることから、事業に関連するステークホルダーである現地デベロッパー及びEGATと本研究実施段階における協議を踏まえた結果を取りまとめた。

⇒現在、EGATの電気料金水準は我が国の水準と比較すると低いため事業採算性の確保を検討する際に注視する必要がある。

⇒また、配電事業が電力事業コストを十分に回収できていないことにも留意して事業参画を検討する必要がある。

■近年、電力料金に対するコストは上昇する傾向が示されており配電事業における赤字の解消に向けた対策について情報を収集した。

⇒料金未払い徴収の解消と需要家へのきめ細かいサービス提供の実現を可能にする配電・小売事業への民間事業者の参画は、SPP事業者にとって課題解消の方策になることが明らかになった。

■本調査を通じてEGAT及びPEAや、民間事業者などに調査結果の概要に基づき意見交換を行った。

⇒SPP事業をケーススタディとして熱利用、熱電併給を含めたスマートコミュニティの展開について提案を示せたことは成果である。