02 01 20150503 10 · 2015. 5. 18. · 私の母校 か ら 認 め ら れ 、 山 下 さ ん の...

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母校 59 74 50 60 73 麻布高校① (東京都港区) 好きなことやっていいんだ 山下洋輔さん 母校 59 74 50 60 73 麻布高校① (東京都港区) 好きなことやっていいんだ 山下洋輔さん

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  • 私の母校

    から認められ、山下さん

    のジャズは、仲間からも

    一目おかれた。

    中2のとき公立中から

    麻布に編入した。周りは

    秀才ぞろい。それでも授ひ

    業は面白かった。歌を披

    う露する先生も。先生の方

    が授業を楽しんでいた。

    生徒を一人前の大人とし

    て対等に扱ってくれた。

    好きなことをやってい

    い。麻布の生活から学ん

    だことだ。高3でプロの

    ステージに立った。

    学校にも近い六本木で

    「昭和歌謡」というスナ

    ックを経営する関野博和

    さん(59、74年卒)も「好

    きなこと」に動かされた

    人だ。芸能界に憧れ、慶

    応大を卒業してから芸能

    事務所に入った。

    当時、沢田研二らスタ

    ーを多く抱える渡辺プロ

    ダクション(ナベプロ)。

    マネジャーとして走り回

    ったが、挫折して7年で

    辞めた。

    学生運動の名残もあ

    り、学校内に反骨の雰囲

    気があった。先生も生徒

    を同じ物差しではかろう

    としない。生徒も仲間の

    物差しを無条件に尊重

    し、尊敬する。2009

    年、夢が再び頭をもたげ、

    昭和時代の歌を聴いたり

    歌ったりできる店を開い

    た。50歳をすぎた挑戦に

    麻布時代の仲間も応援し

    てくれた。麻布OBのた

    まり場にもなった。

    (佐藤善一)

    な拍手を受けた。

    4歳からピアノに触れ

    て育った山下さんは中3

    のとき、大学生の兄が組

    んだジャズバンドに加わ

    り、ジャズにはまった。

    教室の机を鍵盤に見立

    てて指を動かしていたと

    き、担任だった数学担当

    の北原知彦先生から声を

    かけられた。音楽にも精

    通する先生で、お前の好

    きな音楽を聴きたいとい

    われて、ジャズ喫茶まで

    案内させられた。

    当時、先生とジャズ喫

    茶なんて考えられないこ

    とだった。アレンジした

    楽譜も見てくれた。先生

    「スクロール」とはパ

    ソコン画面を上下左右に

    動かしたりすること。ア

    ルバムをめくっていくと

    懐かしいシーンがよみが

    える。各界で活躍するO

    Bたちの思い出を通し

    て、高校時代の忘れられ

    ない一コマを紹介する。

    創立120周年の麻布

    学園は1895年に開校

    した中高一貫の私立の男

    子校。戦後、東大合格者

    数で上位十傑からもれた

    ことがないといわれる進

    学校だ。

    4月下旬の東京・渋谷

    のライブハウス。約60人

    の老若男女のジャズファ

    ンが会場を埋めた。テン

    ポのよい明るいピアノの

    音色。聴衆の視線は鍵盤

    の上を自在にうごく指先

    に集まった。

    日本を代表するジャズ

    ピアニスト山下洋輔さん

    (73、1960年卒)。若

    手の演奏家にまじり、会

    場からは、ひときわ大き

    麻布高校①(東京都港区)

    (第三種郵便物認可) 102015年(平成27年)5月3日

    体の大きなラグビー部

    員たちが汗を流しなが

    ら、人形の胸を何度も押

    きょうこ

    し続け、胸骨圧迫(心臓

    マッサージ)の練習をし

    ています。横に立つのは、

    ライフセービングクラブ

    のメンバー。「もっと深

    くまで」「とぎれないよう

    に」と声をかけます。

    昼休みを利用した、ラ

    グビー部への一次救命処

    置(BLS)講習会。ラ

    イフセービングクラブの

    顧問で、BLSインスト

    ラクターの資格を持つ島

    田貴史先生が講師を務

    め、クラブのメンバーが

    胸骨圧迫やAEDの使い

    方を実演し、ラグビー部

    員にアドバイスしまし

    た。B

    LS講習会は、成城

    学園が創立100周年

    (2017年)の記念事業

    として、14年4月から学

    校内外で開いています。

    もともと、中学の遠泳行

    事などで水辺の安全を学

    ぶ伝統があり、BLSイ

    ンストラクターの資格を

    持つ先生が3人いること

    から、社会に役立つ取り

    組みとして始めました。

    サポート役はライフセ

    ービングクラブの高校生

    や大学生。学外では都内

    の中学校や地域のスポー

    ツクラブなどで講習会を

    開き、これまでに約50回、

    受講者数は約3千人に上

    ったといいます。

    人の役に立ちたくてク

    ラブに入ったという気賀

    沢哲志さん(2年)は「B

    LSは助けたいという気

    持ちがあれば誰でもでき

    ます。講習ではみんな真

    剣に取り組み、最後には

    『自分はやるぞ』という

    顔になっているのがうれ

    しい」。

    クラブの活動は、平日

    の放課後はライフセービ

    ング競技の練習が中心で

    す。「坂道をダッシュで

    かけ上った後に胸骨圧迫

    する練習や、プールでの

    1日3、4の泳ぎこみ

    はキツい。でもみんなで

    声を掛け合うのでつらく

    はないです」と、副部長

    の齋藤陸さん(3年)。5

    月から週末は神奈川県の

    海での練習がスタート。

    部長の齋藤圭佑さん

    (3年)は「人の役に立

    てると思うと、みんなや

    る気が出る。倒れている

    人や困っている人がいた

    ら、自分の大切な人だと

    思って行動する人が増え

    てほしい」と話します。

    水辺の事故を防ぎ、命を助けるライフセービング

    活動。成城学園には、小学校から大学までライフセ

    ービングのクラブがあります。高校生のメンバーは、

    学内外でAED(自動体外式除細動器)の使い方な

    どを広める活動もしています。

    (吉田由紀)

    せ い じょう

    成城学園高校ライフセービングクラブ(東京都世田谷区)

    「助けたい!」強い思い広げたい【一次救命処置(BL

    S)】誰かが突然倒れた

    時、救急車が来るまでに

    一般市民ができる処置。

    心臓が止まった患者の胸

    を強く押し込む胸骨圧迫

    を続け、AEDで心臓に

    電気ショックを与えて正

    常に動くようにします。

    去年9月、千葉県で開かれた全日本ライフ

    セービング選手権大会地区予選に参加した

    クラブのメンバー=成城学園提供

    人形を使った胸骨圧迫(心臓マッサージ)の練習につきそい、アドバイスするライフセービングクラブのメンバー(中央)

    �東京都世田谷区の成城学園高校

    好きなことやっていいんだ

    山下洋輔さん

    関野博和さん

    私の母校

    から認められ、山下さん

    のジャズは、仲間からも

    一目おかれた。

    中2のとき公立中から

    麻布に編入した。周りは

    秀才ぞろい。それでも授

    業は面白かった。歌を披

    露する先生も。先生の方

    が授業を楽しんでいた。

    生徒を一人前の大人とし

    て対等に扱ってくれた。

    好きなことをやってい

    い。麻布の生活から学ん

    だことだ。高3でプロの

    ステージに立った。

    学校にも近い六本木で

    「昭和歌謡」というスナ

    ックを経営する関野博和

    さん(59、74年卒)も「好

    きなこと」に動かされた

    人だ。芸能界に憧れ、慶

    応大を卒業してから芸能

    事務所に入った。

    当時、沢田研二らスタ

    ーを多く抱える渡辺プロ

    ダクション(ナベプロ)。

    マネジャーとして走り回

    ったが、挫折して7年で

    辞めた。

    学生運動の名残もあ

    り、学校内に反骨の雰囲

    気があった。先生も生徒

    を同じ物差しではかろう

    としない。生徒も仲間の

    物差しを無条件に尊重

    し、尊敬する。2009

    年、夢が再び頭をもたげ、

    昭和時代の歌を聴いたり

    歌ったりできる店を開い

    た。50歳をすぎた挑戦に

    麻布時代の仲間も応援し

    てくれた。麻布OBのた

    まり場にもなった。

    (佐藤善一)

    な拍手を受けた。

    4歳からピアノに触れ

    て育った山下さんは中3

    のとき、大学生の兄が組

    んだジャズバンドに加わ

    り、ジャズにはまった。

    教室の机を鍵盤に見立

    てて指を動かしていたと

    き、担任だった数学担当

    の北原知彦先生から声を

    かけられた。音楽にも精

    通する先生で、お前の好

    きな音楽を聴きたいとい

    われて、ジャズ喫茶まで

    案内させられた。

    当時、先生とジャズ喫

    茶なんて考えられないこ

    とだった。アレンジした

    楽譜も見てくれた。先生

    「スクロール」とはパ

    ソコン画面を上下左右に

    動かしたりすること。ア

    ルバムをめくっていくと

    懐かしいシーンがよみが

    える。各界で活躍するO

    Bたちの思い出を通し

    て、高校時代の忘れられ

    ない一コマを紹介する。

    創立120周年の麻布

    学園は1895年に開校

    した中高一貫の私立の男

    子校。戦後、東大合格者

    数で上位十傑からもれた

    ことがないといわれる進

    学校だ。

    4月下旬の東京・渋谷

    のライブハウス。約60人

    の老若男女のジャズファ

    ンが会場を埋めた。テン

    ポのよい明るいピアノの

    音色。聴衆の視線は鍵盤

    の上を自在にうごく指先

    に集まった。

    日本を代表するジャズ

    ピアニスト山下洋輔さん

    (73、1960年卒)。若

    手の演奏家にまじり、会

    場からは、ひときわ大き

    麻布高校①(東京都港区)

    (第三種郵便物認可) 102015年(平成27年)5月3日

    体の大きなラグビー部

    員たちが汗を流しなが

    ら、人形の胸を何度も押

    し続け、胸骨圧迫(心臓

    マッサージ)の練習をし

    ています。横に立つのは、

    ライフセービングクラブ

    のメンバー。「もっと深

    くまで」「とぎれないよう

    に」と声をかけます。

    昼休みを利用した、ラ

    グビー部への一次救命処

    置(BLS)講習会。ラ

    イフセービングクラブの

    顧問で、BLSインスト

    ラクターの資格を持つ島

    田貴史先生が講師を務

    め、クラブのメンバーが

    胸骨圧迫やAEDの使い

    方を実演し、ラグビー部

    員にアドバイスしまし

    た。B

    LS講習会は、成城

    学園が創立100周年

    (2017年)の記念事業

    として、14年4月から学

    校内外で開いています。

    もともと、中学の遠泳行

    事などで水辺の安全を学

    ぶ伝統があり、BLSイ

    ンストラクターの資格を

    持つ先生が3人いること

    から、社会に役立つ取り

    組みとして始めました。

    サポート役はライフセ

    ービングクラブの高校生

    や大学生。学外では都内

    の中学校や地域のスポー

    ツクラブなどで講習会を

    開き、これまでに約50回、

    受講者数は約3千人に上

    ったといいます。

    人の役に立ちたくてク

    ラブに入ったという気賀

    沢哲志さん(2年)は「B

    LSは助けたいという気

    持ちがあれば誰でもでき

    ます。講習ではみんな真

    剣に取り組み、最後には

    『自分はやるぞ』という

    顔になっているのがうれ

    しい」。

    クラブの活動は、平日

    の放課後はライフセービ

    ング競技の練習が中心で

    す。「坂道をダッシュで

    かけ上った後に胸骨圧迫

    する練習や、プールでの

    1日3、4の泳ぎこみ

    はキツい。でもみんなで

    声を掛け合うのでつらく

    はないです」と、副部長

    の齋藤陸さん(3年)。5

    月から週末は神奈川県の

    海での練習がスタート。

    部長の齋藤圭佑さん

    (3年)は「人の役に立

    てると思うと、みんなや

    る気が出る。倒れている

    人や困っている人がいた

    ら、自分の大切な人だと

    思って行動する人が増え

    てほしい」と話します。

    水辺の事故を防ぎ、命を助けるライフセービング

    活動。成城学園には、小学校から大学までライフセ

    ービングのクラブがあります。高校生のメンバーは、

    学内外でAED(自動体外式除細動器)の使い方な

    どを広める活動もしています。

    (吉田由紀)

    せ い じょう

    成城学園高校ライフセービングクラブ(東京都世田谷区)

    「助けたい!」強い思い広げたい【一次救命処置(BL

    S)】誰かが突然倒れた

    時、救急車が来るまでに

    一般市民ができる処置。

    心臓が止まった患者の胸

    を強く押し込む胸骨圧迫

    を続け、AEDで心臓に

    電気ショックを与えて正

    常に動くようにします。

    去年9月、千葉県で開かれた全日本ライフ

    セービング選手権大会地区予選に参加した

    クラブのメンバー=成城学園提供

    人形を使った胸骨圧迫(心臓マッサージ)の練習につきそい、アドバイスするライフセービングクラブのメンバー(中央)

    �東京都世田谷区の成城学園高校

    好きなことやっていいんだ

    山下洋輔さん

    関野博和さん