1級建築 施工管理技士 - sat-co.info · 3. 15換気 ・熱 4. 音 235. ... 建築学等...

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81 1級 建築 施工管理技士 テキスト 改訂

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第8章 法規

1

1級建築施工管理技士テキスト

改訂

    はじめに

第1章 建築学

 1. 日照・日射

 2. 採光・照明

 3. 換気・熱

 4. 音

 5. 色彩

      

第2章 一般構造

 1. 地盤・基礎構造

 2. 建築構造の種類

 3. 免震構造

 4. 荷重と外力

 

第3章 建築材料

 1. セメント

 2. 骨材

 3. コンクリート

 4. 混和材

 5. 鋼材

 6. アルミニウム

 7. ステンレス

6

9

10

12

15

20

23

27

28

31

37

39

41

42

44

45

47

48

51

51

目 次

 8. その他

 9. アスファルト

10. シーリング材

11. 石材

12. タイル

13. ガラス

14. 左官

15. 内装材料

第4章 躯体工事

 1. 地盤調査

 2. 仮設工事

 3. 地業工事

 4. 地下水処理工事

 5. 山留工事

 6. 土工事

 7. 鉄筋工事

 8. コンクリート工事

 9. 型枠工事

10. 鉄骨工事

11. ALC工事

12. 補強コンクリートブロック工事

13. 建設機械

14. 耐震改修工事

15. 木工事

51

52

53

55

55

56

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61

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71

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81

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91

94

96

97

101

103

第5章 共通工事

 1. 外構工事

 2. 設備工事

 3. 測量・積算

第6章 仕上げ工事

 1. 防水工事

 2. シーリング工事

 3. 石工事

 4. タイル工事

 5. 左官工事

 6. ガラス工事

 7. 建具工事

 8. 金属工事

 9. 屋根工事

10. 内装工事

11. 塗装工事

 

第7章 施工管理法

 1. 施工計画

 2. 工程管理

 3. 品質管理

 4. 安全管理

111

112

116

128

131

132

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139

141

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149

152

156

159

163

169

170

180

188

197

第8章 法 規

 1. 建設業法

 2. 労働基準法

 3. 労働安全衛生法

 4. その他法規

 5. 建築基準法

建築施工用語集

205

206

219

228

236

245

263

6

 1級建築施工管理技士検定試験に合格すると、監理技術者として、施工管理の技術上の指導・監督を行うことができます。また、公共工事・民間工事を問わず、請負金額及び下請負金額の制限なく現場管理ができます。最近の試験は難易度が高く、高度な知識と現場経験が要求されます。 このテキストは、確実に合格点が取れるよう短い文章でまとめています。各章ごとに過去問題と解答解説も掲載しています。

 勉強のポイントは、まず各章の内容を一読し、過去問題にチャレンジしてみること。問題を読んでわからない文章や語句は必ずメモを取り調べてみることです。よく受講者からの質問で、問題の意味が分からない。という質問が多く寄せられます。問題の意味が分かればほぼ解答できます。もう一つのポイントは問題が4者択一です。4つ覚えるより間違っている内容1つを理解する方が勉強の量を減らすことができます。 過去問題も昔のものはせずに、過去3年から5年分に絞ってチャレンジしてみてください。最低3回は繰り返し行ってください。そうすることで、問題の意図がわかっきます。必ず、努力した人には合格が待っています。頑張ってください。

はじめに

7

1級建築施工管理技士学科試験の出題及び解答数

分野別平成30年 平成29年 平成28年

出題数 解答数 出題数 解答数 出題数 解答数

建築学等

建築学・共通

環境工学 3

12

3

12

3

12力学・一般構造 7 7 7

建築材料 5 5 5

設備その他 4 4 4 4 4 4

契約関係 1 1 1 1 1 1

施工

躯体 13 5 13 5 13 5

仕上 12 5 12 5 12 5

施工管理法

施工計画 7 7 7 7 7 7

工程管理 4 4 4 4 4 4

品質管理 7 7 7 7 7 7

安全管理 7 7 7 7 7 7

法 規

建築基準法 3

8

3

8

3

8

建設業法 3 3 3

労働基準法 1 1 1

労働安全衛生法 2 2 2

廃棄物処理法 1

振動・騒音規制法 1 1 1

消防法 1

資材の再資源化 1 1

道路法 1

宅地造成等規制法 1

合 計 82 60 82 60 82 60

第1章建築学

日照・日射

採光・照明

換気・熱

色 彩

1

2

3

4

5

10

1 日照        日照とは日当たりのことをいう。日照時間とは実際に日が照った時間をいい、可照時間とは日の出から日没までの時間をいう。

2 壁面の方位と可照時間 下記の表から、南面の夏至の可照時間は最大ではないことが分かる。

南面の可照時間に注目春・秋分>冬至>夏至

北面の可照時間に注目冬至、春・秋分がなく、夏至に最大となる。

3 日照の効果 太陽の光線は、その波長によって紫外線・可視光線、赤外線に分けられる。紫外線……………光電作用、蛍光作用、消毒や日焼け等の化学作用がある。可視光線…………網膜を刺激し、光として明るさを与える。赤外線……………熱作用がある。太陽熱エネルギーの約1/2を占める。                  

4 日射  日射とは、太陽から地上に到達する熱量のことで、大気圏を通って直接地上に到達する直達日射と大気中の微粒子により散乱、反射して地上に到達する天空放射とに分けられる。 直達日射と天空放射の合計を全天日射量という。

壁面の方位 夏至 春・秋分 冬至

南 面 7時間0分 12時間0分 9時間32分

東西面 7時間14分 6時間0分 4時間46分

北 面 3時間44分 0分 0分

南東・南西面 8時間4分 8時間0分 8時間0分

北東・北西面 6時間24分 4時間0分 1時間26分

日照・日射1

日照率 =      ×100(%) 日照時間可照時間

11

第1章 建築学

過去問題

解答と解説

日照、日射及び日影に関する記述として、最も不適当なものはどれか。(1)北緯35度における南面の垂直壁面の可照時間は、春分より夏至の方が長い。(2)建物により影になる時間が等しい点を結んだ線を、等時間日影線という。(3)日射は、一般的に直達日射と天空日射の2つに大別される。(4)同じ日照時間を確保するためには、緯度が高くなるほど南北の隣棟間隔を大

きくとる必要がある。

正解(1)南面の垂直壁面の可照時間は、春秋分>冬至>夏至の順で、春分の方が夏至より長くなる。

12

1 光束・照度・輝度・光度 人の目に入る光の量を光束量(単位:ルーメン)といい、1m2の面に入る光束量を照度(単位:ルクス)という。※照度は、光源からの距離の2乗に反比例する。 光源の光の強さを光度(単位:カンデラ)といい、光源などからの人の目に入る光の強さを輝度(cd/m2)という。 昼光による照度分布の最低照度と最高照度との比を均斉度という。※部屋の奥行きが深くなるほど均斉度は悪くなる。   

2 昼光 太陽の光を昼光という。昼光は、直射光と天空光に分けられ、直射光は直射日光であり、天空光は太陽の光が空中に拡散したもので、空の明るさがこれにあたる。 昼光率とは、採光による室内の明るさを表すもので、屋外の明るさに対して室内のある面の明るさの比で下記の式で表される。

 全天空照度とは、室外の障害物のない場所、すなわち全天空を望むことのできる場所における直射日光を含まない水平面照度をいう。

建物の用途 場所 照度基準(ルクス)

住宅居間(団らん・娯楽) 150~300

食堂・台所 200~500

事務所

設計室・製図室 750~1,500

事務室・会議室 300~750

廊下・階段・便所 100~200

屋内非常階段 30~75

学校普通教室 200~750

廊下・階段 75~300

劇場・映画館 ロビー 150~300

病院 手術室 750~1,500

主な照度基準

採光・照明2

昼光率 =               ×100(%) 室内のある点の水平面照度その時の全天空水平面照度

13

第1章 建築学

3 採光 採光は、側窓、天窓、高側窓などによって得られる。 側窓は、面積当たりの昼光率は小さく、均斉度もよくないため、数、大きさが必要になる。 天窓は、同じ面積の側窓の3倍の採光が得られ、均斉度も得られるが、雨仕舞が難しく、コスト面でも難がある。(美術館・博物館に適する。) 高側窓は、工場等の奥行きがある建物に有効である。(美術館・博物館に適する。)※採光計画………採光の光源は太陽である。しかし、太陽からの直射日光は、変動が激

しく光源として直接に利用できないし、有害にもなるため、採光計画では、天空光を光源としている。 

4 照明 照明器具(人工光源)によって、太陽による採光照度不足を補うことを照明という。 照明光源は一般的に白熱灯と蛍光灯が多く用いられている。

          

 その他ハロゲンランプ…高輝度・昼光色で劇場、スポットライトに使用される。水銀ランプ………始動時間が長く、演出性が悪いため、一般の照明には適さない。体育

館や野球場などに使用される。ナトリウム灯……オレンジ色をしていて、トンネルや道路照明に使用される。

比較項目 白熱灯 蛍光灯

陰 影 はっきりとしている やわらかい

輝 度 高い 低い

光 束 少ない 多い

光源温度 高く発熱量が多い 低く発熱量が少ない

光 色 暖かみがあるが赤味が多い 昼光に近いが演色性がよくない

光束当たりの発熱量 多い 少ない

寿 命 1000~1500時間 2000~3000時間

工事費 安い 高い

14

過去問題

解答と解説

採光及び照明に関する記述として、最も不適当なものはどれか。(1)光束とは、単位時間当たり、発散、透過又は入射する光のエネルギー量をいう。(2)演色性とは、照明光による物体色の見え方についての光源の性質をいう。(3)光度とは、反射面を有する受照面の光の面積密度をいう。(4)昼光率とは、全天空照度に対する室内のある点の天空光による照度の比をい

う。

正解(3)光度とは、ある方向への光源の光の強さを表し、点光源からある方向へ発する単位立体角当たりの光束の量をいう。反射面を有する受照面の光の面積密度とは、照度である。

15

第1章 建築学

1 換気 室内で発生する水分・熱・粉じん・排気ガス・有害ガス等を排出して、新鮮な空気を入れ替えることをいう。 換気の方法には機械(ファン)を使用しない自然換気と機械(ファン)を使用する機械換気がある。 自然換気には、室内外の温度差を利用する換気(重力換気)と風力による換気がある。 重力換気の特徴は、室内外の温度差が大きいほど、上下の開口部の垂直距離が大きいほど、換気量が多くなる点である。 風力換気の特徴は、換気量は、風速と開口部の面積にほぼ比例する点である。

 機械換気※一般的に空気は正圧から負圧に流れる。

機械換気方式の種類 方 式 適用など

第一種換気方式室内の圧力制御も容易にできる。一般の室の他、調理室、機械室などの換気に適用される。

第二種換気方式

室内が正圧となるので、ボイラ室、発電機室、手術室、クリーンルームなどの換気に適用される。

第三種換気方式

室内が負圧になるので、室内の煙、臭気などの汚染物質が生じる厨房、湯沸室、便所、浴室などの換気に適用される。

換気・熱3

16

換気回数…………ある部屋の空気が1時間当たり何回入れ替わるかを示す値を言う。

※換気量が一定の場合、室容積が大きいほど換気回数が少なくなる。 

建築物環境衛生管理基準…一般的に空気中の酸素濃度は約21%、二酸化炭素の濃度は約0.03%

2 熱熱伝導……………壁体の内部に温度差が生じると、熱はその温度勾配にしたがって流

れる。これを熱伝導という。熱伝導率…………温度差により熱の伝わりやすさをいう。大きい数値ほど熱が伝わりや

すい。

 温度勾配が急なほど断熱効果がある。 =熱伝導率が小さい

室 名 換気回数 室 名 換気回数

劇 場 9~11 病 室 5

レストランの厨房 30~60 住宅(窓のない浴室) 5

事務室 3~6 教 室 6

室 名 必要換気量 室 名 必要換気量

住宅の居室 8 事務室 17~30

小会議室 15

必要換気回数〔回/h〕

必要換気量〔m3/h〕

※レストランの厨房は住宅(窓のない浴室)よりも換気回数が多い。

基準項目 管理基準

浮遊粉じんの量 0.15mg/空気1m3以下

一酸化炭素の含有量 10ppm(0.001%)以下

二酸化炭素の含有量 1,000ppm(0.1%)以下

※一酸化炭素の含有量は二酸化炭素の含有量に比べて少ない。

N〔換気回数(回/h)〕 = Q〔必要換気量(m3/h)〕 V〔室容積(m3)〕

17

第1章 建築学

 熱伝導率の特徴① 熱伝導率が小さいほど、熱が伝わりにくい。② 空げきをもつ材料(密度が小さくなる)ほど熱伝導率は小さくなる。③ 多孔質材料は、含湿率(水分の含む率)が増すと断熱性能が低下し、熱伝導率が大き くなる。④ 壁などの空気層が20mm程度までは断熱効果が上がり、それ以上になると断熱効  果は一定になる。

結露………………室内の空気が窓ガラスや壁面に触れて冷やされると、空気中の水蒸気が凝縮して露となって現れる現象をいう。

内部結露…………壁体内部の水蒸気圧が飽和水蒸気圧より高いと発生する。露点温度…………湿った空気が冷やされて空気中に存在する一部の水蒸気が凝縮し

水滴となり始める温度をいう。

 結露の防止対策① 内断熱の場合は、断熱層を低温側に、防湿層を高温側に設ける。② 複層ガラスを用いる。③ 室内の湿度を抑える。④ 室内の換気を行い、内壁の表面温度を上げる。⑤ 冷橋・熱橋(ヒートブリッジ)を作らない。  注)熱橋………壁に埋め込まれた貫通材の周辺の室内側表面温度が外気温に近づ

く状況

相対湿度…………空気中に含まれる水分の割合(%)をいう。絶対湿度…………空気中に含まれる水分の量(g)をいう。※温度が上がると、相対湿度が下がる。

材料名 熱伝導率 材料名 熱伝導率

銅板 372 合板 0.16

アルミニウム板 209 木毛セメント 0.15

亜鉛鉄板 44 木材(杉) 0.13

大理石 2.8 木材(ひのき) 0.10

コンクリート 1.6 畳 0.12

モルタル 1.4 グラスウール 0.05

板ガラス 0.79 スチレンフォーム 0.03

軽量ブロック 0.51 羊毛 0.03

砂 0.49 空気(20℃) 0.025

各種材料の熱伝導率(単位:W/(m・K))

(注)表中の熱伝導率は気乾状態における値である。

18

過去問題

解答と解説

換気に関する記述として、最も不適当なものはどれか。(1)静穏時の呼気による成人1人当たりの必要換気量は、二酸化炭素濃度を基にし

て定めた場合、30m3/h程度である。(2)換気量が一定の場合、室容積が大きいほど換気回数は少なくなる。(3)温度差による自然換気の場合、室内外の圧力差が0となる垂直方向の位置を中

性帯といい、この部分に開口部を設けても換気はほとんど起こらない。(4)室内空気の一酸化炭素の濃度は、100ppm以下となるようにする。

正解(4)室内空気の一酸化炭素の濃度は10ppm、二酸化炭素の濃度は1,000ppm以下である。

19

第1章 建築学

過去問題

解答と解説

伝熱に関する記述として、最も不適当なものはどれか。(1)複数の材料で構成された多層壁の熱伝導抵抗は、材料ごとの熱伝導抵抗の合

計値で表される。(2)壁の内部に中空層を設け2重壁とする場合、中空層が厚くなればなるほど断熱

効果が高くなる。(3)熱放射は、電磁波による熱移動現象であり、真空中であっても放射による熱移

動は生じる。(4)熱損失係数は、建物の断熱性能評価の指標であり、この値が小さいほど断熱性

能が高い。

正解(2)壁の内部に中空層を設け2重壁とする場合、中空層の厚さが3cm程度までは厚さに応じて断熱効果が高くなるが、それ以上の厚さになると中空層内で対流が生じ、断熱効果はほぼ一定になる。

20

1 三要素① 音の高さ………振動数・周波数によって決まる。② 音の強さ………音のエネルギーの大小によって決まる。③ 音色……………音波の波形によって決まる。※マスキング効果……小さな音が、別の大きな音によって聞こえなくなる現象をいう。※回折 …………… 波動としての性質から障害物の端を通過して音が背後に回りこむ

現象をいう。※音の強さは距離の二乗に反比例する。※音の強さが2倍になると、音圧レベルは+3dB大きくなる。

2 吸音 音を反射させないようにすること。※材料の吸音率は一般に、低音より高音に対する方が大きい。

 吸音材料① 多孔質吸音材料……高音の吸収に適する。岩綿・石綿・グラスウール等。② 板振動型吸音材料…低音の吸収に適する。合板・石こうボード等。③ 共鳴型吸音材料……特定周波数での吸音に適する。    透過損失……透過した音が、入射音よりどれだけ弱くなったかをデシベルで

    表したものをいう。※コンクリート間仕切壁の音の透過損失は、一般に低周波数より高周波数の方が大きい。 

3 遮音 音を透過させないようにすること。※遮音は、単位面積当たりの質量の大きい壁ほどその効果が大きい。(RC壁)

4 室内音響反響(エコー)……直接音に対して1/20秒(行程差17m)以上ずれて強い反射音がある

と、音が2つに分かれて聞こえる。残響………………音が鳴り止んでからも室内にわずかながら音が残る。この現象をい

う。残響時間…………室内の音源が停止してから60dB減少するのに要する時間をいう。

音4

21

第1章 建築学

カクテルパーティー効果……2つ以上の音を同時に聞いているとき、その中の1つの音     を選択して、聴取できることをいう。

 残響時間=0.161×V〔室容積(m3)〕/A(吸音力)

※残響時間は室容積に比例し、吸音力に反比例する。

騒音……………騒音の評価でNC曲線が用いられ、その値としてNC値が使用される。※NC値が大きいほどうるさく感じる。

NC値 騒音の状態

20~30 非常に静か。

30~35 静か。会話距離10mまで。

35~40 電話支障なし。会話距離4m。

40~50 電話が少し困難。会話距離普通で2m、やや大声で4m。

50~55 電話少し困難。会話距離やや大声で2m。

55以上 非常にやかましい。電話困難。

NC値の範囲と騒音の状態

22

過去問題

解答と解説

音に関する記述として、最も不適当なものはどれか。(1)単層壁の透過損失は、一般に壁の面密度が大きいほど大きくなる。(2)グラスウールなど多孔質の吸音材は、一般に高音域に比べて低音域の吸音率

が大きい。(3)残響時間は、室の容積が大きいほど長くなり、室内の平均吸音率が大きいほど

短くなる。(4)コインシデンス効果とは、入射音波と板材の共振により、遮音性能が低下する

現象をいう。

正解(2)グラスウールなど多孔質の吸音材は、音のエネルギーが繊維との摩擦などで熱エネルギーとして消費されることを利用しているが、一般に低音域に比べて高音域の吸音率が大きい。

23

第1章 建築学

1 性質色相………………色あいをいい、無彩色と有彩色に分けられる。    無彩色………白・灰色・黒のように色どりを持たない。N0=黒、N10=白。    有彩色………青み・赤みなどの色あいを持つ。彩度………………鮮やかさの度合いをいう。明度………………色の明るさの度合いをいう。11段階に分かれている。純黒を0、純白

を10としている。マンセル色立体…色の3要素を分かりやすくした色立体をいう。

 表示方法………色相・明度/彩度

2 心理効果 同じ色でも暗い所で見ると青色は卓越する。赤い色が暗くなるように見える。演色………………光源の色及び照明方法の相違による色の見え方をいう。寒暖………………明度が高いと寒色に、明度が低いと暖色に、彩度が高いと暖色の傾

向が強くなる。進退………………明度が高いと進出的になり、明度が低いと後退的になる。彩度が高

いと進出的になる。混色………………互いに異なる色彩を混ぜ合わせると、新しい色彩を作る。    加法混色……色を混ぜ合わせると白色に近くなる現象。    減法混色……色を混ぜ合わせると明度が減り暗くなる現象。

3 対比効果面積効果…………同じ色のものでも面積の大きいものは小さいものより彩度が強く

感じる。補色残像…………ある色を見つめてから白色を見つめると、初めの色の補色を感じ

る。照度効果…………照度の高い所では明度が高く、彩度が高く感じる。拡大収縮…………明るい色は一般に拡大して見える。暗い色は収縮して見える。

色彩5

24

マンセル色相環

25

第1章 建築学

過去問題

解答と解説

マンセル表色系に関する記述として、最も不適当なものはどれか。(1)マンセル記号で表示された「5RP3/8」のうち、数値「3」は彩度を表す。(2)マンセル色相環の相対する位置にある色相は、互いに補色の関係にある。(3)明度は、理想的な白を10、理想的な黒を0として、11段階に分割している。(4)彩度は、色の鮮やかさの程度を表し、マンセル色立体では、無彩色軸からの距

離で示す。

正解(1)マンセル表色系の表色は、色相、明度、彩度の順に並べて表示する。設問の「5RP3/8」の「5RP」は色相、「3」は明度、「8」は彩度を表す。

第2章一般構造

地盤・基礎構造

建築構造の種類

免震構造

荷重と外力

1

2

3

4

28

1 地盤 土の種類は粒子の大きいものから並べると● 礫(れき)………粒径2mm以上● 砂………………粒径2~0.074mm

● シルト…………0.074~0.005mm

● 粘土……………0.005mm以下

※圧密沈下………粘土は透水性が悪く、年月とともに沈下を起こす現象をいう。※液状化…………砂地盤で表層近くの地下水が地震時に揺らされ、水分が上昇し地盤

が液状になる現象。

 液状化が発生しやすい地盤● 地下水位面が高い。● N値が小さいゆるい地盤。● 細粒土の含有率が低い。

2 基礎種類 基礎には、直接基礎(深さが浅い基礎)と杭基礎(深さが深い基礎)がある。

地盤・基礎構造1

29

第2章 一般構造許容沈下量………べた基礎の方が独立基礎より大きい。

杭基礎の許容支持力……杭の支持力のみによるものとし、基礎スラブ底面の地盤の支持力は加算しない。

異種杭の混用回避……杭基礎の場合、同じ建物で異種の杭を併用すると、有害な不同沈下が発生するので避けたい。

※打込み杭の方が埋込み杭より間隔は広い。

打込み杭…………杭の中心間隔は、杭の直径の2.5倍以上、かつ750mm以上必要。埋込み杭…………杭の直径の2.0倍以上必要。

地盤変動に対する配慮……地盤沈下によって、杭には「負の摩擦力」(ネガティブフリクション)が作用する。

30

過去問題

解答と解説

杭基礎に関する記述として、最も不適当なものはどれか。(1)鋼杭は、曲げや引張り力に対する強度と変形性能に優れており、既製コンク

リート杭のようにひび割れによる曲げ剛性の低下がない。(2)杭の周辺地盤に沈下が生じたときに、杭に作用する負の摩擦力は、一般に支持

杭の方が摩擦杭より大きい。(3)基礎杭の先端の地盤の許容応力度は、セメントミルク工法による埋込み杭の

方がアースドリル工法による場所打ちコンクリート杭より大きい。(4)埋込み杭の場合、杭と杭との中心間隔の最小値は、杭径の1.5倍とする。

正解(4)杭の中心間隔は、打込み杭の場合、杭の直径の2.5倍以上、かつ750mm以上必要。埋込み杭の場合、杭の直径の2.0倍以上必要になる。

31

第2章 一般構造

 材料による分類1. 木造2. 鉄筋コンクリート造3. 鉄骨造4. 鉄骨鉄筋コンクリート造5. 補強コンクリートブロック造6. レンガ造・石造    

鉄筋コンクリート造(RC造)1 構造計画

① 建物の形はできるだけ正方形や長方形が望ましいが、細長い建物や、L形の建物は エキスパンションジョイントを設けて構造的に分離する方がよい。エキスパンションジョイント……建物が温度変化や地震時の揺れにより変形するた

め、建物を緊結せずに接合し、変形に対応できるようにしたもの。② 建物の重心と剛心の距離はできるだけ近づけるようにする。

2 柱 大きさは、普通コンクリートでその主要支点間距離(スパン)の1/15以上、軽量コンクリートで1/10以上。 柱が短柱(柱せいに対して長さの短い柱)になると、水平力が集中するので、せん断破壊を起こしやすくなるため、避けたい。 柱の主筋の断面積の和は、コンクリートの断面積の和の0.8%以上とする。 帯筋比は0.2%以上とする。(帯筋比が大きいほどせん断力は大きくなる。) 柱の靭(じん)性〔ねばりけ〕を確保するためには、帯筋の間隔を密にすることが有効である。 主筋は、原則4本以上とし、帯筋と緊結すること。 帯筋は、直径6mm以上とし、その間隔は、150mm以下で、かつ、もっとも細い主筋の径の15倍以下とする。 スパイラル筋を用いる場合は、その重ね継手の長さは、50d以上、かつ300mm以上とする。

3 梁 構造耐力上主要な梁は、上筋と下筋に配置する複筋梁とする。

建築構造の種類2

32

 あばら筋はD10以上の異形鉄筋を使用する。 あばら筋の間隔は、D10を用いる場合は、梁せいの1/2以下、かつ、250mm以下とする。 あばら筋比は0.2%以上とする。 梁に貫通孔を設ける場合、直径を梁せいの1/3以下、中心間隔は孔の直径の3倍以上とする。 鉄筋の定着長さは、フック付きの場合は、鉄筋末端のフックの長さは含まない。

4 床スラブ 厚さは、短辺方向の長さの1/30~1/35で、かつ80mm以上とする。120mm~150mm

が多い。 短辺方向の応力が大きく、短辺方向の配筋を主筋とし、長辺方向の配筋を配力筋という。

5 耐震壁 水平力を負担させる壁をいう。 上下階同一にするか、バランス(市松模様)よく配置すること。 厚さは120mm以上とし、かつ、耐震壁の内のり高さの1/30以上とする。通常は150mm~200mm程度 開口部周囲にはD13mm以上の補強筋を配置すること。

6 ひび割れ 構造上、ひび割れは曲げひび割れとせん断ひび割れとがある。 曲げひび割れは、曲げモーメントが発生する位置に材軸と直角に発生する。【対策】 引張り側の主筋を増やす。 せん断ひび割れは、45°方向に引張り応力が働くために発生する。【対策】 あばら筋や帯筋を増やす。            

鉄骨造(S造)1 鋼材の性質

 鋼材は、炭素の量が多くなると、引張り強さが強くなるが、伸びは減る。 粘り強く、コンクリートより軽量。 加工性がよく、補強も容易にできる。 酸に弱く、腐食しやすい。座屈も起こりやすい。

2 座屈 圧力が加えられると急激に変形を起こす現象をいう。 座屈には、圧縮座屈、局部座屈、横座屈等がある。 細長比が大きいものほど座屈は起こりやすい。

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第2章 一般構造

    

 座屈防止策 H形鋼の座屈防止に用いる材がスチフナという。 材軸に平行に設けるのが、水平スチフナという。 材軸に直角に設けるのが、中間スチフナという。

3 高力ボルト接合① 摩擦接合 高力ボルトの応力伝達は、重ね合わせた部材を高力ボルトで締め付け、部材間の摩擦力により応力を伝える方式で、摩擦面は赤錆状態を標準とし、すべり係数(摩擦係数)は0.45以上を確保する。 高力ボルト相互間の中心距離はその直径の2.5倍以上とする。 摩擦面の数により、一面摩擦と二面摩擦がある。二面摩擦は一面摩擦の2倍の許容せん断力がある。

② 接合 普通ボルト又は高力ボルト。 普通ボルトの孔の直径は、普通ボルトの直径+1mm以内、ただし、普通ボルトの直径が20mm以上の場合は、構造上支障がなければ+1.5mm以内とすることができる。 高力ボルトの孔の直径は、高力ボルトの直径+2mm以内、ただし、高力ボルトの直径が27mm以上の場合は、構造上支障がなければ+3mm以内とすることができる。 普通ボルトと高力ボルトの孔の中心間距離は、直径の2.5倍以上とする。 普通ボルトと高力ボルトと溶接を併用した場合、すべての力を溶接で負担しなけ

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ればならない。 高力ボルトと普通ボルトを併用した場合、すべての力を高力ボルトで負担しなければならない。

③ 溶接 溶接する箇所を溶接継目といい、溶接継目には突合せ溶接(完全溶込み溶接)と隅肉溶接と部分溶込み溶接がある。  突合せ溶接………突合せ溶接の許容応力は、接合される母材の許容応力度とする

ことができる。  部分溶込み溶接…せん断力のみを受ける場合に使用でき、引張り力や曲げ応力を

受ける場所には使用できない。

鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) 鉄骨と鉄筋とのあき 主筋と主筋…………鉄筋径の1.5倍以上かつ25mm以上、粗骨材の1.25倍以上必要。 主筋と軸方向鉄骨…粗骨材の1.25倍以上かつ25mm以上必要。

 コンクリートのかぶり厚さ 鉄骨に対して50mm以上必要。 鉄筋に対して30mm以上必要。

 曲げ耐力は、鉄骨部分と鉄筋コンクリート部分の耐力の和としてよい。 許容せん断力は、鉄骨部分と鉄筋コンクリートがそれぞれ設計用せん断力を下回らないようにする。 すなわち、せん断力の和としては考えない。 帯筋比は0.2%以上。

補強コンクリートブロック造耐力壁 厚さは15cm以上で、かつ構造耐力上主要な支点間距離の1/50以上必要。 縦筋の末端はかぎ状に折り曲げ、縦筋の直径の40倍以上基礎又は基礎梁及びがりょう又は屋根版に定着させる。 縦筋の継手は、コンクリートブロックの空洞内で継いではならない。

がりょう 有効幅は、20cm以上とし、かつ、耐力壁の水平力に対する支点間距離の1/20以上必要。

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第2章 一般構造

過去問題

解答と解説

鉄筋コンクリート構造に関する記述として、最も不適当なものはどれか。(1)柱の主筋の断面積の和は、コンクリートの断面積の0.8%以上とする。(2)床スラブは、地震力に対し同一階の水平変位を等しく保つ役割をし、面内剛性

が高いほどよい。(3)梁貫通孔は、梁端部への配置を避け、孔径を梁せいの1/2以下とする。(4)柱のじん性を確保するため、短期軸方向力を柱のコンクリート全断面積で除

した値は、コンクリートの設計基準強度の1/3以下とする。

正解(3)梁貫通孔は孔径を梁せいの1/3以下とする。

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過去問題

解答と解説

鉄骨構造に関する記述として、最も不適当なものはどれか。(1)溶接と高力ボルトを併用する継手で、溶接を先に行う場合は両方の許容耐力

を加算してよい。(2)応力を伝達させる主な溶接継目の形式は、完全溶込み溶接、部分溶込み溶接、

隅肉溶接とする。(3)引張り材の接合を高力ボルト摩擦接合とする場合は、母材のボルト孔による

欠損を考慮して、引張り応力度を計算する。(4)根巻き柱脚は、露出柱脚よりも高い回転拘束をもつ柱脚が構成できる。

正解(1)溶接と高力ボルトを併用する継手では、溶接を先に行う場合は全応力を溶接で負担しなければならない。ただし、高力ボルト接合を溶接より先に施工した場合に限って、両方の許容耐力を加算することができる。

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第2章 一般構造

 免震構造は、鉛直荷重を支え、かつ水平方向の動きを絶縁する機能と地震入力エネルギーを吸収する機能を持つ構造である。

アイソレーター…絶縁機能を持つ。ダンパー…………吸収する機能を持つ。

免震構造3

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過去問題

解答と解説

免震構造に関する記述として、最も不適当なものはどれか。(1)免震構造とした建物は、免震構造としない場合に比べて、固有周期が長くな

る。(2)アイソレーターは、上部構造の重量を支持しつつ水平変形に追従し、適切な復

元力を持つ。(3)ダンパーは、上部構造の垂直方向の変位を抑制する役割を持つ。(4)地下部分に免震層を設ける場合は、上部構造と周囲の地盤との間にクリアラ

ンスが必要である。

正解(3)免震構造には、鉛直荷重を支え、水平方向の動きを絶縁する「アイソレーター」と地震入力エネルギーを吸収する「ダンパー」とがある。よって「ダンパー」は垂直方向の変位を抑制する役割は持たない。

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第2章 一般構造

1 荷重の種類● 固定荷重………建物自体の質量(重さ)をいい、内部の仕上げ材の質量を含む。● 積載荷重………人間・家具・物品等をいい、実況に応じて算出することが原則。構

造計算をする対象(床、大梁柱、地震力)の大小は床>大梁柱>地震力である。

● 積雪荷重………積雪の単位荷重×屋根の水平投影面積×地方の垂直積雪量で求められる。但し、屋根の勾配が60度を超える場合は零(0)とする。

2 外力の種類● 風圧力…………速度圧×風力係数で求められる。

風力係数は、建物の形状や風向きによる係数で、外圧係数と内圧係数との差から算出される。

● 地震力…………地震時に建物の地上部分の水平力で算出される。

荷重・外力4

構造計算の対象室の種類

(い) (ろ) (は)

床の構造計算をする場合

(単位N/m2)

大ばり、柱又は基礎の構造計算をする場合(単位N/m2)

地震力を計算をする場合

(単位N/m2)

(1) 住宅の居室、住宅以外の建築物における寝室又は病室 1,800 1,300 600

(2) 事務室 2,900 1,800 800

(3) 教室 2,300 2,100 1,100

(4) 百貨店又は店舗の売り場 2,900 2,400 1,300

(5)

劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場その他これらに類する用途に供する建築物の客席又は集会室

固定席の場合 2,900 2,600 1,600

その他の場合 3,500 3,200 2,100

(6) 自動車車庫及び自動車通路 5,400 3,900 2,000

(7) 廊下、玄関又は階段 (3)から(5)までの室に連絡するものであれば、(5)のその他の場合の値をとる。

(8) 屋上広場又はバルコニー (1)の数値による。ただし、学校又は百貨店の用途に供する建物にあっては、(4)の数値による。

建築物の各部積載荷重(建基令第85条第1項)

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過去問題

解答と解説

荷重及び外力に関する記述として、最も不適当なものはどれか。(1)教室に連絡する廊下と階段の床の構造計算用の積載荷重は、実況に応じて計

算しない場合、教室と同じ積載荷重の2,300N/m2とすることができる。(2)多雪区域に指定されていない地域において、積雪荷重の計算に用いる積雪の

単位荷重は、積雪量1cmごとに20N/m2以上としなければならない。(3)屋根茸き材に作用する風圧力は、平均速度圧にピーク風力係数を乗じて求め

る。(4)地震力の計算に用いる振動特性係数は、建築物の弾性域における固有周期と

地盤種別に影響される。

正解(1)(1)教室に連絡する廊下や階段の床の積載荷重は、実況に応じて計算しない場合、下表より劇場、集会場などの積載荷重の「その他」の数値による。したがって、教室の床の積載荷重を2,300N/m2とすることはできない。3,500N/m2としなければならない。廊下や階段は、避難時に人が集中するため、一般に、積載荷重は大きくなる。

構造計算の対象室の種類

Ⅰ Ⅱ Ⅲ

床 大ばり・柱・基礎 地震力

③ 教室 2,300 2,100 1,100

⑤劇場・映画館・演芸場・観覧場・公会堂・集会場、その他これらに類する用途に供する建築物の客席または集会室

固定席 2,900 2,600 1,600

その他 3,500 3,200 2,100

⑦ 廊下・玄関または階段③から⑤まで掲げる室に連絡するものにあっては、⑤の「その他」の場合の数値による。