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Page 1: 1.「要件事実マトリクス」の読み方 A,B¦件... · 2017-12-27 · 1.「要件事実マトリクス」の読み方 <略語など> 略語 意味 X 原告 Y 被告
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1.「要件事実マトリクス」の読み方

<略語など>

略語 意味

X 原告

Y 被告

A,B 第三者

㋣ 登記

㊂ 第三者

た、し、 確かに、しかし、

∴ よって

∵ なぜなら

<見出しの左の「A」「B」について> ex.「A 通謀虚偽表示(94)」

・「A」…「新問題研究 要件事実」「紛争類型別の要件事実」(いずれも司法研修所編)に記載のあるもの

・「B」…上記「A」の書籍に記載のないもの

2.「要件事実マトリクス」の使い方

要件事実マトリクスは、一度民法の基礎知識のインプットを終え、要件事実の学習も一通りは終了して

いる方向けのまとめ表です。「新問題研究 要件事実」、「紛争類型別の要件事実」などを一通り読み、「請

求原因」「抗弁」「再抗弁」などの基本概念を学んだあと、見ていただけると良いかと思います。

一度要件事実の学習が終わった後にレジュメを読んでいただければ、その後はこのレジュメを見るだけ

で要件事実の総復習が短時間でできるようになります。

3.要件事実の勉強のコツ

要件事実は、どのような請求原因に対し、どのような抗弁が考えられ、どのような再抗弁が考えられる

か、という攻撃防御方法の位置づけを意識して勉強すると理解が深まります。要件事実マトリクスはビジ

ュアル的に要件事実を理解できるようになります。

なお、要件事実マトリクスは「新問題研究 要件事実」、「紛争類型別の要件事実」を主にまとめたレジ

ュメになります。司法試験や予備試験ではこれらに記載されているもの以外の要件事実が出題されること

もありますが、このレジュメに記載されている要件事実さえ押さえれば、あとは条文をしっかり読んで応

用するのみです。手を広げすぎず、基本を徹底的に押さえるような勉強を心掛けましょう。

「要件事実マトリクス」がみなさまの要件事実学習の支えとなることを願っております。

jiji

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■要件事実マトリクス

訴訟物 請求原因事実(Kg) 抗弁(E) 再抗弁(R) 再々抗弁(D)

-弁済期の定めがある場合-① XがYとの間で貸金返還の合意をしたこと② XがYに対し金銭の交付をしたこと③ XがYとの間で弁済期の合意をしたこと※①~③は消費貸借契約の成立要件として必要なものである。消費貸借契約契約は、一定の価値をある期間借主に利用させることに特色があるから、弁済期の合意は契約に不可欠の要素であり、③も必要。(=貸借型理論)④ 弁済期が到来したこと

-弁済期の定めがない場合(591)-① XがYとの間で貸金返還の合意をしたこと② XがYに対し金銭の交付をしたこと③ XがYとの間で弁済期を催告の時とする合意をしたこと(弁済期の定めがないこと)※通説は、弁済期の定めがない場合は、弁済期を催告のときとする合意がある場合であるとするのが当事者の合理的意思解釈であるとする→∴原告の主張と異なる弁済期の合意を主張するのは、積極否認となる④ XがYに対し催告をしたこと⑤ ④の後、相当期間の末日が経過したこと

【承諾の抗弁】ⓐ Xが⑤に先立って、Y又はAに対し、③についての承諾の意思表示をしたこと

【非背信性の抗弁】(判)ⓑ YがAに使用収益させたことについて、Xに対する背信行為と認めるに足りない特段の事情があることを基礎付ける事実(非背信性の評価根拠事実)

【再抗弁】㋐ ③の転貸について、Xに対する背信行為と認めるに足りない特段の事情があるとの評価を妨げる事実(非背信性の評価障害事実)

【建物所有目的の抗弁】(借3)ⓐ XがYとの間で、賃貸借契約に基づき、建物の所有を目的とする合意をしたこと

※借地借家法適用により、約定による存続期間の最短期間及び法定の存続期間が30年となるため

【一時使用の再抗弁】(借25)㋐ XがYとの間で、賃貸借契約を短期間に限って存続させるとの合意をしたこと㋑ 賃貸借契約が、借地借家法にいう一時使用のためのものであるとの評価を根拠付ける事実

※一時使用目的の場合、借地借家法の借地権の存続期間に関する定めは適用されないため

【再々抗弁】Ⓐ ①の賃貸借契約が、一時使用目的のものであることの評価障害事実

【黙示の更新の抗弁】(619Ⅰ)ⓑ Yが期間満了以後、本件土地の使用を継続したことⓒ Xがⓑの事実を知ったことⓓ ⓒから起算して、相当期間が経過したことⓔ Xがⓓの期間内に異議を述べなかったこと

【再抗弁】㋒ 更新の合意が成立しなかったこと

※619Ⅰにより、ⓑ~ⓔの事実が立証されれば賃貸借契約の更新の合意が推定さるため

-借地借家法の適用を受ける場合-① XがYとの間で、本件土地について賃貸借契約を締結したこと② XがYに対し、①の契約に基づいて本件土地を引き渡したこと③ XがYとの間で、①の賃貸借契約につき、建物の所有を目的とする合意をしたこと④ 借地借家法による存続期間が経過したこと

【法定更新の抗弁】(借5Ⅱ)ⓐ Yが期間経過後、本件土地の使用を継続したことⓑ ⓐの使用継続中、本件土地上に建物が存在したこと

【遅滞なき異議の再抗弁】㋐ XがYの土地使用の継続に対し、遅滞なく異議を述べたこと㋑ 更新を拒絶するにつき、正当の事由があることの評価根拠事実

【再々抗弁】㋐ 更新を拒絶するにつき、正当の事由があることの評価障害事実※使用を必要とする事情、財産上の給付をする申出などが考慮要素

・賃貸借契約の終了に基づく目的物返還SQ権としての土地明渡SQ権

① XがYとの間で、本件土地について賃貸借契約を締結したこと② XがYに対し、①の契約に基づいて本件土地を引き渡したこと③ 賃料発生に必要な一定期間が経過したこと④ 614所定の賃料支払期限が経過したこと⑤ XがYに対し、その一定期間分の賃料の支払を催告したこと⑥ ⑤の催告後相当期間が経過したこと⑦ XがYに対し、⑥の相当期間経過後、①の賃貸借契約を解除するとの意思表示をしたこと

※特約により賃料前払いとされている場合→③に代えて賃料前払特約の締結→④に代えて支払期限の経過

※無催告解除特約がある場合→⑤⑥に代えて、ⅰ無催告解除特約の締結ⅱ賃借人の背信性の評価根拠事実

・賃貸借契約の終了に基づく目的物返還SQ権としての土地明渡SQ権

-民法上の期間満了の場合-① XがYとの間で、本件土地について賃貸借契約を締結したこと② XがYに対し、①の契約に基づいて本件土地を引き渡したこと③ ①で定められた存続期間又は20年が経過したこと※契約で定められていた存続期間が20年を超えない場合には契約で定められた期間、超える場合には20年(604Ⅰ後)

※土地明渡に加え、土地上の建物の収去を求める場合→「(明渡しを求める)本件建物が、②の土地引渡し後本件土地上に建築され、③の時点に本件土地上に存在したこと」の主張立証が必要

・消費貸借契約に基づく貸金返還SQ権

・賃貸借契約の終了に基づく目的物返還SQ権としての土地明渡SQ権

① XがYとの間で、本件土地について賃貸借契約を締結したこと② XがYに対し、①の契約に基づいて本件土地を引き渡したこと③ YとAとが本件土地について賃貸借契約を締結したこと④ Aが③の契約に基づいて本件土地の引渡しを受け、これを使用収益したこと※解除権の発生という重大な効果を生ずることに鑑み④が必要。ただし、解除権行使の時点において転借人が使用収益していたことまでは不要。⑤ XがYに対し、①の賃貸借契約を解除する旨の意思表示をしたこと

A 消費貸借(587)

A 賃貸借契約の終了に基づく明渡SQ権(1)-終了原因が無断転貸による解除である場合

A 賃貸借契約の終了に基づく明渡SQ権(2)-終了原因が賃貸借契約の期間満了である場合

A 賃貸借契約の終了に基づく明渡SQ権(3)-終了原因が賃料不払いによる解除(541)である場合

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