20030204quarkをindesignに変換する際の問題点と対策

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001 ��Q u a r k X p r e s s I n D e s i g n QuarkXpressデータをInDesignに変換する際の 問題点とその現実的対策について MacOS X+InDesignへ/移行のポイント MacOS X+InDesignによるDTP システム構成 従来環境に対する改善点 QuarkXpressデータの再利用 Quark/InDesign出力の比較 現在までに発見されている問題点 推測される原因と対策 1.トップ扉 本日は「QuarkXpress データを InDesign に変換する際の問題点とその現実 的対策について」というテーマで 弊社における OSX 上で InDesign を利用した事例を紹介します。

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Page 1: 20030204QuarkをInDesignに変換する際の問題点と対策

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Q u a r k X p r e s s デ ー タ を I n D e s i g n に 変 換 す る 際 の問 題 点 と そ の 現 実 的 対 策 に つ い て

QuarkXpressデータをInDesignに変換する際の問 題 点 と そ の 現 実 的 対 策 に つ い て

MacOS X+InDesignへ/移行のポイントMacOS X+InDesignによるDTP システム構成

従来環境に対する改善点

QuarkXpressデータの再利用 Quark/InDesign出力の比較

現在までに発見されている問題点

推測される原因と対策

1.トップ扉

本日は「QuarkXpress データを InDesign に変換する際の問題点とその現実

的対策について」というテーマで

弊社におけるOSX上で InDesign を利用した事例を紹介します。

Page 2: 20030204QuarkをInDesignに変換する際の問題点と対策

4つめは積極的要因として。InDesign が実現した XML対応機能。

これは、あとで余裕があれば、詳細に述べますが、正確には「構造」と「タグ」

付けの機能です。

目に見えない、つまり印刷されない部分でアイテムや文章それぞれに意味と

構造を与える事ができ、データベースと双方向に情報のやりとりを可能にした

という点で非常に画期的なツールと言えるでしょう。

最後は、デザインワークの効率化。デザインツールとしての InDesign が提

供するメリット。

いろいろなところで語られていることですが、やはり、縦組みに代表される

高度な日本語組版機能と、アドビ製品との連携が優れていること等、があげら

れるでしょう。イラストレータやフォトショップのネイティブファイルがその

まま利用できるのは、想像以上に高い生産性をもたらすであろうと思います。

では、本日は、主に1つめと2つめのポイントについてお話していこうと思

います。

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Q u a r k X p r e s s デ ー タ を I n D e s i g n に 変 換 す る 際 の問 題 点 と そ の 現 実 的 対 策 に つ い て

 

-1)ハードウェア、ソフトウェアの対応 出力はできるのか?

-2)QuarkXpressデータの再利用 データのコンバートはどのレベルまで可能か?

-3)QuarkのExtensionへの依存度 Extension(プラグイン)の再開発の必要

+4)InDesignのXML対応 InDesignのシステムプラットフォームとしての価値

+5)デザインワークの効率化 高度な日本語組版機能、Adobe製品との連携

MacOS X+InDesignへ/移行のポイント

2.MacOS X+InDesign へ/移行のポイント

以下の5つのポイントがあると考えました。

番号の前にプラスとマイナスがありますが、マイナスは「移行しても問題が

ないから移行する」といった消極的要因、プラスは「移行すると様々なメリッ

トがあるから移行する」という積極的要因を表しています。

では、まず、1つ目、単純にハードやソフトが対応しており、出力が問題な

く可能かどうかということが議論されるべきでしょう。

ご存知のとおり、この問題はすでに多くの事例で語れているように、解決済

みといっていいでしょう。

今日も少し触れますが、新しい環境で新規の仕事をする上では全く問題はあ

りませんでした。

次に、現在日本の印刷業界で大多数のシェアを占めるQuark、そのデータを

InDesign で再利用することは可能か?または、コンバートは使用に耐えるか?

という問題点があります。

もちろん、データだけではなく、オペレータの再教育の問題も現実的にはあ

るのですが、情報を流用する事も多いこの業界に関して言えば、データの再利

用という課題はやはり避けては通れません。

3つめに、Quark のエクステンションへの依存度。エクステンションという

形で独自のカスタムシステムを開発して利用している場合、

現実問題、システムの再開発しか選択肢はありえず、これは膨大なコストと

労力を要することになります。

幸い、弊社の場合、必要に応じて AppleScript による自動化を行っている程

度なので、InDesign のスクリプトに書き換えるといったこともさほど困難では

ありませんでした。

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Q u a r k X p r e s s デ ー タ を I n D e s i g n に 変 換 す る 際 の問 題 点 と そ の 現 実 的 対 策 に つ い て

MacOS 9 � MacOS X

1. MacOS X+InDesignによるDTP

+

3.扉(MacOSX+InDesign による DTP)

まずは1つめのポイントより「MacOSX と InDesign による DTP」について。

4.MacOSX+InDesign による DTP

光学機器メーカーの製品カタログを例にご紹介いたします。

制作環境はごらんとおりです。

OSXのバージョンは当時 10.2.1、InDesign は 2.0.1 となっています。

もともと InDesign は OS9 のときから利用してきましたが、これがOSXに変

わることでどうなるのか?実際、恐れていたようなトラブルはありませんでし

た。

従来の周辺機器、特にプリンタやイメージセッタがちゃんと対応してくれる

かどうか、ここが一番気になるところですが、すでに多くのベンダーから正式

なドライバーが出そろっており、これらを完全にコントロールすることが可能

になっています。

詳しくは次の画面を見ながら

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Q u a r k X p r e s s デ ー タ を I n D e s i g n に 変 換 す る 際 の問 題 点 と そ の 現 実 的 対 策 に つ い て

MacOS 9 � MacOS X

光学機器メーカー・製品カタログ 4C×20ページ

MacOS X+InDesignによるDTP

OS: MacOSX 10.2.1 アプリケーション: InDesign 2.0.1 面付けソフト: Facilis 3.6 プリンタ: Xerox DC1255CP(カンプ) EPSON PX9000(色校正) SCREEN AD-810(RIP)

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Q u a r k X p r e s s デ ー タ を I n D e s i g n に 変 換 す る 際 の問 題 点 と そ の 現 実 的 対 策 に つ い て

MacOS 9 � MacOS X

X

WindowsNT

XX

XGenascan5000 ColorGeniusEX

DC1255CP FX_Server

SCANNER

XAD-810RIPFile Server 9

Facilis 3.6

面付け

Work Station

Color Laser Printer BlackMagicCMS

EPSON PX-9000LargeSize Printer

DT-R5120

Image Setter

PS

(PDF)

PDF

PS

1Bit Tiff

Windows2000Server

or

システム構成行程のほとんどの部分をOSX上で運用。

従来機材も生かせています。

OS9、Windowsとの混在環境にも柔軟に

対応。

5.システム構成

この事例におけるシステム構成はごらんの通りです。RIP をはじめほとんど

の工程をOSX上で行えています。

先ほどもうしたとおり、従来機器もすでにOSX用のドライバーが開発され

ており、従来環境とのギャップはあまり感じられません。

現状の、製版の流れを説明しますと、

InDesign から書き出した PS を Facilis で面付けし、面付けされた PS を

AD-810でRIPping。そして、イメージセッターでフィルム出力をおこないます。

今のところ Facilis が PDF にネイティブで対応していなかったため PS で処理

を行っていますが、今後はPDF主体のワークフローへの移行を検討しています。

実はこれには裏話がありまして、自分が別の仕事で少し担当を離れている間

に、この制作物は最終的に、フィルム出力はされなかったんです。面付け前の

InDesign データを印刷会社(大日本)へ入稿、CTP で製版されちゃったんです。

今回の事例としては台無しなのですが、

逆にいえば、InDesign に対応できている印刷会社または製版環境なら、制作

側はOS9、OSX にはあまりこだわらなくともよいということですね。

いずれにせよ、環境をOSXにしても問題は無く、従来機材がそのまま生か

せるということが分かりました。

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Q u a r k X p r e s s デ ー タ を I n D e s i g n に 変 換 す る 際 の問 題 点 と そ の 現 実 的 対 策 に つ い て

MacOS 9 � MacOS X

従来環境に対する改善点

システム管理が比較的容易(アクセス権の制限、マルチユーザー)処理の高速化・待ち時間の減少ネットワークの高速化(ネットワークプロトコルの変更による)Windowsプラットフォームとの連携強化(双方向ファイル共有)

0 1分 2分

OS9→OS9(AppleTalk)

OSX→OSX(TCP/IP)

■100MBのファイルコピーにかかった時間(秒) 100Base-TX

16"1'56"

導入コストの軽減デザインワークの効率化( PS、AIのネイティブファイルへの対応他)高度な編集文字組機能、より精密なレイアウトが可能スクリプティングへの対応マルチプラットフォーム(OpenType使用)

次に、アプリケーションとしての InDesign としてのメリットです。

第一に、Quark に比べてライセンスフィーが安いという点、シンプルな理由

ですが、将来的に見てもやすいに超した事はありません。

次に、最初にも申し上げたデザインワークの効率化「イラストレータやフォ

トショップのネイティブファイルがそのまま利用できる」という点と、「日本

語組版の機能が優れている」ということ。また、インチとミリの単位の変換誤

差によるずれがないということも発見しました。より緻密なレイアウトが可能

になったわけです。

そして、スクリプティング対応が充実している点

さらに、Windows プラットホームとの互換性が非常に高いということも、

安心して選択できる理由ではないでしょうか。

6.従来環境に対する改善点

この事例で分かった従来環境に対する改善点ですが

まずはOSXのメリットからお話します。

システム管理者の観点から見た場合、環境を自由にいじらせないようにでき

るということもあり、メンテナンスの手間がOS9 の時よりかからないのは助

かります。また複数のユーザが1台のマシンを共有する際に、きめ細かな管理

ができることも気に入っています。

次に、処理が高速化し、待ち時間が減少しました。単純に処理速度が向上し

ただけではなく、同時に複数の作業を行えること、たとえば、アプリケーショ

ンの立ち上がるのを待たずにすんだり ...、これが実際以上に体感速度の向上に

つながっています。

続いて、ネットワークの高速化。100MBのファイルコピーにかかった時

間を実際に計ってみました。結果はごらんの通りです。同じ 100Base のネッ

トワークで、OS9 同士では2分弱かかっていた作業、がOSX同士では約 1/8

の 16 秒で済んでしまいます。数百MBにもなるのデータを日常的にファイル

サーバやプリンターとやりとりすることが多いDTP 環境ではとても大きなメ

リットといえます。

最後に、特殊なアプリケーションを使わなくても、Windows プラットフォー

ムとのファイル共有が行えるというメリットがあります。

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QuarkXpress� InDesgin

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Q u a r k X p r e s s デ ー タ を I n D e s i g n に 変 換 す る 際 の問 題 点 と そ の 現 実 的 対 策 に つ い て

2. QuarkXpressデータの再利用

7.扉(QuarkXpressData の再利用)

次に二番目のテーマ、QuarkXpressData の再利用についてです。

8.QuarkXpressData の再利用

弊社にとって最大の懸案事項である、Quark データの再利用に関する事例で

す。弊社では毎年一冊 300 頁~ 1000 頁に及ぶカタログをいくつか制作して

います。

毎回、前年のQuark データに情報の追加、削除、訂正などを盛り込み組み直

していく作業がメインになります。近年ますます短納期・低コスト化が要求さ

れて行く中、自動化による作業の軽減という意味でスクリプティングに幅広く

対応した InDesign は大変魅力的です。

しかし、InDesign に移行するためには、まずQuark の過去データをコンバー

トするということが必要です。

まずは InDesign のコンバート機能を使ってファイルを開くことから始まり

ます。

ごらんの通り、若干の難はあるものの

ただ開くだけでもそれなりの精度でコンバートされますので、あまり複雑な

レイアウトでなければこのままでも利用できると言っていいレベルでしょう。

実際、弊社ではテキスト系の仕事ではQuark、PMを問わずコンバート後、

特に処理を必要とせず、InDesign に移行しています。

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QuarkXpress� InDesgin

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Q u a r k X p r e s s デ ー タ を I n D e s i g n に 変 換 す る 際 の問 題 点 と そ の 現 実 的 対 策 に つ い て

ただ開くだけでもそれなりの精度でコンバートされます。

あまり複雑なレイアウトでなければこのままでも十分利用できるレベルと思えます。

QuarkXpressデータの再利用

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QuarkXpress� InDesgin

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Q u a r k X p r e s s デ ー タ を I n D e s i g n に 変 換 す る 際 の問 題 点 と そ の 現 実 的 対 策 に つ い て

Quark/InDesign出力の比較青:InDesign

赤:QuarkXpress

9.Quark/InDesign 出力の比較

どのような変化が生じるか、についてより詳しく見るために、もとはフルカ

ラーの制作物ですが、RIPPing された 8ビットの TIFF データを、グレースケー

ルの状態にして、それぞれ、InDesign を青、QuarkExpress を赤で表現して重

ねてみました。ちょうど補色の関係になりますので、ピッタリ重なっている箇

所はグレーになっています。

ここですぐお気づきになられるでしょうが、白抜き文字が青くなってます。

インデザインでは黒く塗りつぶされている事を示します。

あと、グラデーションもなくなっているようです。

しかしながらそれ以外の部分を見ると、それなりに満足できる精度で変換さ

れていると言ったら言い過ぎでしょうか?

話が戻りますが、精密なレイアウトが可能と先ほど申しました。

罫線やオブジェクトの位置などに若干ズレがあります。これは、実をいうと

InDesign の方が正確な位置に来ているんです。いままで 0.5mmまでのズレは

仕方ないものと思っていましたが、これで解決です。

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QuarkXpress� InDesgin

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Q u a r k X p r e s s デ ー タ を I n D e s i g n に 変 換 す る 際 の問 題 点 と そ の 現 実 的 対 策 に つ い て

ドキュメントサイズ

文字組・詰め

「白」

不要なクリッピングパス

グラデーション

リンク画像の偏倍

現在までに発見されている問題点10.現在までに発見されている問題点

ではつづきまして、先ほど言及したような一見すぐにわかる問題点も含めて、

現在把握しているコンバート時の問題点は以下のようなものがあります。

それぞれ細かく見ていきましょう。

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QuarkXpress� InDesgin

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Q u a r k X p r e s s デ ー タ を I n D e s i g n に 変 換 す る 際 の問 題 点 と そ の 現 実 的 対 策 に つ い て

Quark上の色の割り当て方法によりグラデーションが壊れる場合があります。

�グラデーション

オリジナル コンバート

11.グラデーション

まず最初の問題点です。一目瞭然ですが、コンバート時にグラデーションが

なくなってしまうという現象です。これは常に発生するというわけでもないの

ですが、自分が体験した限り相当の頻度で発生しているようです。

この原因は、グラデーションを指定する基本的な方法がQuark の場合と

IndDesign の場合で異なっているからだろうと考えます。Quark の場合、オブ

ジェクトごとに A色から B色と言った具合にグラデーション属性を与えていま

した。InDesign では、色のスタイルとでもいうべきグラデーションスォッチを

作成してそれをオブジェクトに与えるという間接的な方法が使われているから

ではないでしょうか。Quark 上での A色、B色の割当て方にもよるかもしれま

せんが、

いずれにせよ、見た目ですぐ問題点はわかるので、それほどシリアスな問題

ではないと捉えています。

また、大量のページを処理しなければならない場合でも、元のファイルのグ

ラデーションの有無をリストとして取り出すスクリプトなどを利用してページ

毎のグラデーションの適用数だけでも分かれば、修正の取りこぼしを減らすこ

とができます。

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QuarkXpress� InDesgin

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Q u a r k X p r e s s デ ー タ を I n D e s i g n に 変 換 す る 際 の問 題 点 と そ の 現 実 的 対 策 に つ い て

▼インストール時初期設定のままコンバート

▼文字組設定変更後コンバート

日本語の文字組みに対する考え方がQuarkとは根本的に異なるための差のようです。

予め文字組みのデフォルト設定を変更しておくことである程度オリジナルに近い状態でコンバートする事が可能です。

�ツメ、文字組みアキ量設定の違い12.ツメ、文字組みアキ量設定の違い

InDesign と Quark で、日本語の文字組みに対する考え方が根本的に異なり

ます。ごらんのように、アルファベットと日本語全角文字との詰めが異なって

いたり、ヤクモノの前後の詰めに対する処置が違っていたりします。

この問題点は、予め文字組みのデフォルト設定を変更しておくことである程

度オリジナルに近い状態でコンバートする事が可能です。

ただし、「こうすれば大丈夫」な設定は1つではありません。制作物毎に調

整は必要です。

ここでご注意いただきたいことがあります。

このスライドを見ると、インストール時初期設定のままコンバートを行うと

全く組がおかしくなって使えないように感じられますが、これはもとのQuark

のデータに、トラッキングを使って文字詰を調整するエクステンションを使っ

ていたからです。そのトラッキング情報が残っていたために妙な具合になって

いるだけで、元のデフォルト設定がおかしいというわけではありません。

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QuarkXpress� InDesgin

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Q u a r k X p r e s s デ ー タ を I n D e s i g n に 変 換 す る 際 の問 題 点 と そ の 現 実 的 対 策 に つ い て

カスタムサイズのドキュメントをコンバートした際サイズが変わってしまう場合があります。

A4、B5等の定形サイズでは発生しません。

�ドキュメントサイズが変わる(カスタムサイズの場合)

さらに、サイズを訂正した際、スプレッドのセンターを起点にに変更がかかってしまうため、

左上を起点にしたレイアウトは全体にずれてしまいます。ズレ

13.ドキュメントサイズが変わる(カスタムサイズの場合)

A4やB 4などの定形サイズでは発生しないのですが、カスタムサイズのド

キュメントをコンバートした際サイズが変わってしまう場合があります。

また、さらに、サイズを訂正する際、スプレッドのセンターを起点にに変更

がかかってしまうため、単純にサイズを戻すだけではダメで。左上を起点にし

ているレイアウトは全体にずれてしまうという問題になります。

この原因はこれまたポイント・ミリの単位系換算の際の誤差と推測されます。

この問題点は、ドキュメントサイズを修正後、誤差の半分だけスプレッド上

の全オブジェクトを移動するというスクリプトで対応しています。

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QuarkXpress� InDesgin

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Q u a r k X p r e s s デ ー タ を I n D e s i g n に 変 換 す る 際 の問 題 点 と そ の 現 実 的 対 策 に つ い て

Quarkドキュメントのカラー「白」がRGBカラーのスウォッチとして残ってしまいます。

見た目には問題ないようですが、放置しておくと出力のトラブルの原因になるでしょう。

�スウォッチに「白」が残る

また、まれにその「白」が化けてヌキ文字等の色

が置き換わってしまうことがあります。

14.スウォッチに「白」が残る

Quark ドキュメントのカラー「白」が RGB カラーのスウォッチとして残っ

てしまいます。見た目には問題ないようですが、放置しておくと出力のトラブ

ルの原因になるでしょう。

また、まれにその「白」が化けてヌキ文字等の色が置き換わってしまうこと

があります。先ほどお見せした様な塗りつぶされた状態になります。

この問題点を解決するためには、「白」を削除して「紙色」に置き換えれば

大丈夫です。現在、この作業を行うためのスクリプトを作って対応しています。

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QuarkXpress� InDesgin

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Q u a r k X p r e s s デ ー タ を I n D e s i g n に 変 換 す る 際 の問 題 点 と そ の 現 実 的 対 策 に つ い て

リンクされた切り抜き画像に不要なクリッピングパスが作られることが比較的多く発生します。

しかもズレがあるので確実に削除する必要があります。

�不要なクリッピングパス

オリジナル コンバート

15.不要なクリッピングパス

リンクされた切り抜き画像に不要なクリッピングパスが切られることが比較

的多く発生します。それだけなら良いのですが、微妙にズレがあり、画像がか

けてしまう現象が発生します。

ですから、この不要なクリッピングパスは確実に削除する必要があるわけで

す。しかし、なかなか、ぱっと見で発見することは困難でしょう。かといって

全ての画像リンクを触ってチェックするのも、数によります。

これも InDesign 上で、クリッピングパスを検索し、それを取り除いていく

スクリプトで対応しています。

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QuarkXpress� InDesgin

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Q u a r k X p r e s s デ ー タ を I n D e s i g n に 変 換 す る 際 の問 題 点 と そ の 現 実 的 対 策 に つ い て

リンクされた画像すべてに不可解な偏倍がかかってしまいます。

本来の偏倍率の推測すらできません。

�画像に偏倍がかかる16.画像に偏倍がかかる

リンクされた画像すべてに不可解な偏倍がかかってしまいます。

InDesign のファイルを調べただけでは、本来の偏倍率は推測不可能です。そ

のくらい伸びたり、縮んだり、不規則なのです。

この問題の原因も、またまた単位系変換の誤差だと考えられます。

対処方法は、Quark で使われた画像一覧とその偏倍率をスクリプトで取り出

して、InDesign で使われた画像に対して、これまたスクリプトで元の偏倍率を

再適用していくという方法をとっています。

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QuarkXpress� InDesgin

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Q u a r k X p r e s s デ ー タ を I n D e s i g n に 変 換 す る 際 の問 題 点 と そ の 現 実 的 対 策 に つ い て

推測される原因と対策

問題点 原因(推測) 対策

グラデーション グラデーションスウォッチ?視覚的に分かりやすい問題点のためオペレーション時に対応。

(元のQuarkのグラデーション適用箇所をスクリプトでリストアップ可能)

文字組・詰め 日本語組版への対応の差元の制作物に合った文字組み設定を作りコンバート時のデフォルトに設定し

ておく。設定方法は多様。

ドキュメントサイズ mm/pt 単位の誤差?ドキュメントサイズを修正後、誤差の半分だけスプレッド上の全オブジェクト

を移動。(スクリプト対応)

「白」 「白」と「紙色」の概念の違い「白」と名前の付いたスウォッチを削除、「紙色」に置き換え。(スクリプト対応)

「バケ」に関しては発現率も低いためオペレーション時に対応。

不要なクリッピングパス ? クリッピングパスの適用箇所を発見して削除。(スクリプト対応)

リンク画像の偏倍修正 mm/pt 単位の誤差?元のQuarkファイルから画像の変倍率を抽出、各画像リンクに適用。(スクリプ

ト対応)

17.推測される原因と対策

今日あげた問題点と、その推測される原因、それから対策をまとめたもので

す。

現実問題として、各々の問題点が把握できたとしても、大量にあるであろう

変換対象のファイルを手作業で直していくことは現実的ではありません。幸い、

InDesign ではスクリプトが使える環境なので、これを利用しない手はないと思

います。

だからといって、すべてスクリプトで対処しようとするのもやはり無理があ

る場合もあります。このような場合、チェックポイントのリストをスクリプト

で作るまでにとどめ、修正作業は手で行うというのも現実的な選択肢でありま

しょう。Quark のスクリプトと組み合わせることでこのチェックリストの作成

は比較的簡単に行えます。

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Q u a r k X p r e s s デ ー タ を I n D e s i g n に 変 換 す る 際 の問 題 点 と そ の 現 実 的 対 策 に つ い て

 

XML対応の可能性について革新的なDBパブリッシングへの可能性

18.XML 対応の可能性について(時間があれば)

では最後に InDesign の非常に先進的な機能であるXML対応について簡単に

お話します。

ご存知のとおり、InDesign では文書に構造を与えて、その構造に即した

XMLデータを外部とやりとりできるようになっています。

今までデータベースからDTP へという一方向的な流れ、いわゆるデータベー

スパブリッシングは、スクリプトを使ったり、市販ソフトを使って可能ではあ

りましたが、DTP ソフト上で修正した内容やを元のデータベースに反映したり、

デザイン修正を行った後に、元データが修正されたような場合、そのデザイン

作業が無駄になるという致命的な問題がありました。

InDesign の XML機能は、これらの問題を解決しており、データベースから

DTP、DTP からデータベースの双方向のやり取りを実現した、本当の意味での

「データベースパブリッシング」を可能にしているツールであると思います。

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Q u a r k X p r e s s デ ー タ を I n D e s i g n に 変 換 す る 際 の問 題 点 と そ の 現 実 的 対 策 に つ い て

 

www.dascorp.co.jp

19.www.dascorp.co.jp

以上になります。今回のプレゼンテーションファイルを弊社のホームページ

よりダウンロードできるようにご用意しました。ご興味のある方はこちらのア

ドレスにアクセスしてください。

以上、ご清聴ありがとうございました。