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生物機能開発研究所 2009 年度研究業績-93

愛知真木子・市橋泰範・南基泰.2009 年 12 月.食虫植物トウカイコモウセンゴケとその両

親の話.中部大学「アリーナ」.第 7 号 389-396.トウカイコモウセンゴケとその両親種と

の遺伝的関係について,ゲノム,形態,生育環境の 3項目の視点から解説した.

豊田歩・市橋泰範・近藤香苗・中辰元・吉村久・上野薫・南基泰・小俣達男・小田原卓郎・

那須守・米村惣太郎・横田樹広・愛知真木子.2010 年 3 月.東海丘陵要素植物トウカイコ

モウセンゴケとその両親種における窒素感受性の違いについて.植物生理学会年会要旨集

pp213 4pH09(熊本).トウカイコモウセンゴケ(Dt)とその両親種であるモウセンゴケ(Dr),

コモウセンゴケ(Ds)自生地の硝酸イオン濃度の違いに基づいて,窒素濃度を変えて 3 種を

培養したところ,モウセンゴケ属植物は NO3-N より NH4-N をやや好み,富栄養下では生育が

阻害されるが,3 種の中では Dt,Ds が富栄養耐性,Dr が富栄養感受性であることが明らか

となった.このことは,Dt が Ds の形質を受け継いだものであることを示唆した.

大橋慶丈・高谷信之・愛知真木子・前田真一・小俣達男. 2010 年 3 月. ラン藻 Synechococcus

elongatus の硝酸還元酵素の制御機構の解析.植物生理学会年会要旨集 pp228 P1A047(熊

本).ラン藻 S. elongatus 7942 の NR はアンモニアの添加によって活性が阻害されるが,

Synechocystis 6803 では,阻害されない.この制御機構について,2 つのラン藻のキメラ

NR を作製し,NR を欠く S. elongatus 7942 において発現させたところ,S. elongatus 7942NR

の N 末端領域にある残基が重要であることを見出した.

味岡ゆい・愛知真木子・上野薫・寺井久慈・南基泰・小田原卓郎・横田樹広・那須守・米

村惣太郎. 2010 年 3 月. 土岐川・庄内川流域圏における里地里山指標種ハルリンドウの

ハビタット広域評価.日本生態学会講演要旨集(東京).周伊勢湾地域におけるハルリンド

ウの分布は地史的要因に規定され,その後の移入,定着には,生育地の環境に規定される

ことを明らかにした.

加藤聡美・鈴木悠介・愛知真木子・南基泰・上野薫・那須守・小田原卓郎・米村惣太郎・

横田樹広・鈴木金幸・田中綾子. 2010 年 3 月. 中部大学「あいち森と緑づくりモデル事

業」の概要と活用法.日本生態学会(東京)平成 20 年度に「あいち森と緑づくりモデル事

業」が尾張東部丘陵地に位置する中部大学キャンパス(愛知県春日井市)で実施された.

そのモデル事業地について概説した.

加藤聡美・鈴木悠介・愛知真木子・南基泰・上野薫・那須守・小田原卓郎・米村惣太郎・

横田樹広. 2009 年 12 月. 中部大学「あいち森と緑づくりモデル事業」の概要と活用法.

日本生態学会中部支部大会(静岡)

豊田歩・松井結希・都築穂高・味岡ゆい・中村早耶香・愛知真木子・上野薫・ 寺井久慈・

南基泰・小田原卓郎・那須守・米村惣太郎・横田樹広. 2009 年 9 月. 岐阜県東濃地方の

土岐砂礫層湿地におけるモウセンゴケ(Drosera rotundifolia)の HSI モデル構築 ―土岐

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94-生物機能開発研究所 2009 年度研究業績

川・庄内川流域圏の持続的管理・保全のための生物多様性ポテンシャ ル評価に向けて(4)

―環境アセスメント学会年会(東京).モウセンゴケの生育に寄与する環境要因およびその

許容範囲を定量的に判断するため,HSI モデルを作成した.また,同所的に生息しているヒ

メタイコウチの HIS モデルとハビタット変数を比較することによって,両種のハビタット

環境要因の共通性と特異性を比較した.

味岡ゆい・愛知真木子・上野薫・寺井久慈・南基泰・米村惣太郎・那須守・横田樹広・小

田原卓郎. 2009 年 9 月. 2007-2009 年に構築したハルリンドウ HSI モデルの年間比較―

土岐川・庄内川流域圏の持続的管理・保全のための生物多様性ポテンシャル評価に向けて

(5)―環境アセスメント学会年会(東京).2007-2009 年の三年分の調査データをもとに,

各年度の HSI モデルを作製した.

中野孝輝・上野 薫・愛知真木子・南基泰・寺井久慈. 2009 年 8 月. 東海丘陵地域にお

けるトウカイコモウセンゴケの生育土壌水分環境.農業農村工学会(筑波).トウカイコモ

ウセンゴケの生育に適する pF は 2.0~3.3,生育可能な土壌水分状態は湛水状態~pF4.2 程

度までであった.

愛知真木子・西松憲謙・松井祐介・禹済泰・車炳允・照屋俊明・長谷川森一・山川博・永

井和夫. 2009 年 4 月. 硝酸・亜硝酸イオン低減化に関わる食品成分探索法の開発.生物

機能開発研究所研究発表会.(春日井).亜硝酸イオンは変異原性物質である.亜硝酸イオ

ンを低減する活性のあるサンプルを探索する方法を確立し,天然あるいは合成産物の中か

ら亜硝酸イオンを低減する物質を 3種見出した.

石田康行. 2009 年 3 月. ミジンコ 1匹中に含まれる脂質成分の高感度精密分析法の開発,

生物機能開発研究所紀要, Vol. 9: 1-6 .1) 反応熱分解ガスクロマトグラフィーによるミ

ジンコ個体中の脂肪酸成分の高感度検出,2) ミジンコ中の多価不飽和脂肪酸を含む全脂肪

酸成分の迅速定量,3) ミジンコの脂質代謝の個体レベルでの解析,および 4) ソフトレー

ザーイオン化質量分析法によるミジンコ1個体中の脂質分析を行った内容について概説し

た.

Kim JK, Nagaoka T, Ishida Y, Hasegawa T, Kitagawa K, Lee SC. 2009. Subcritical Water

Extraction of Nutraceutical Compounds from Citrus Pomaces, Separation Science and

Technology, Vol. 44: 2598-2608.

牧瑛・荻本健一郎・石田康行・大谷肇・長谷川達也・北川邦行・本馬洋子・稲井淳文. 2009

年 8 月. 廃棄樹皮から水熱抽出して得られた縮合型タンニンのマトリックス支援レーザー

脱離イオン化質量分析法による構造解析. 分析化学, Vol. 58 (8): 731-736. 温度を変

えて得られた抽出物の MALDI-MS 測定を通じて,100°C 及び 150°C といった比較的温和な条

件下での水熱抽出では,高分子量のタンニン成分(Mn ≈ 1400)を,その分解や重合反応を

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生物機能開発研究所 2009 年度研究業績-95

ほぼ回避して迅速にクリーン回収できることが分かった.

角出泰造・豊原恵・野町美弥・角田真英・中田和彦・石田康行. 2009 年 8 月. マトリッ

クス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計(MALDI-TOF-MS)による使用済みコ

ンタクトレンズケースから回収された微生物の迅速分類, 質量分析. Vol. 57 (4): 241-248.

コンタクトレンズケアに使用したレンズケースから回収した微生物の同定に,“Biotyper”

を備えた MALDI-TOF-MS を応用した.この方法により,それらの微生物の種類の決定を,コ

ストと解析時間を削減しつつ,より迅速かつ簡便に実施する事ができた.また,得られた

同定結果を,当該細菌の病原性の観点から考察し,感染症のリスク分析も行った.

Mizumoto M, Shimokita E, Ona T, Seino T, Ishida Y, Ohtani H. 2010. Rapid and direct

characterization of total fatty acids in wood by thermochemolysis–gas chromatography–flame ionization detector/mass spectrometry with tetrabutylammonium hydroxide. J. Anal. Appl. Pyrolysis, Vol. 87: 163-167. ブチル化試薬共存下での反応

熱分解ガスクロマトグラフィーにより,木材中に含まれる脂肪酸成分を,固体状態の木材

試料をそのまま用いて,迅速かつ簡便に高感度解析することができた.

石田康行.2010 年 2 月.反応熱分解ガスクロマトグラフィーによる腐植物質のキャラクタ

リゼーション.日本土壌肥料学, Vol. 81(1): 67-73.まず反応熱分解 GC の装置構成や反応

機構を簡単に説明し,次に腐植物質のキャラクタリゼーション例をいくつか示しながら,

本法による腐植物質分析の現状について概説した.

角出泰造・豊原恵・野町美弥・角田真英・中田和彦・石田康行. 2009 年 5 月 13-15 日.

MALDI-TOF-MS による使用済みコンタクトレンズケースから回収された微生物の迅速同定.

第 57 回質量分析総合討論会(大阪国際交流センター).コンタクトレンズケースから回収

した微生物の同定に,Biotyper を備えたマトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析

法を応用した結果,総サンプルのうち 97.7%の微生物の菌種を決定することができた.

牧瑛・大留達也・荻本健一郎・石田康行・大谷肇. 2009 年 5 月 16-17 日.廃木材から水熱

抽出して得られた縮合型タンニンの精密キャラクタリゼーション.第 70 回分析化学討論会

(和歌山大学).廃木材から水熱抽出して得られた縮合型タンニンの詳細なキャラクタリゼ

ーションを行った.まず,得られたタンニン分子の一次構造を,マトリックス支援レーザ

ー脱離イオン化質量分析法,及び反応熱分解 GC により精密に分析した.さらに,それらの

情報を抗酸化性試験の結果と総合して,当該物質の構造活性相関も解析した.

石田康行・井戸絵理・大見恵理・古田昭男・大谷肇. 2009 年 5 月 16-17 日.反応熱分解

GC による天然油中の脂肪酸成分のワンステップ精密組成解析. 第 70 回分析化学討論会(和

歌山大学).有機アルカリ共存下での反応熱分解を利用して,えごま油やいわし油などの天

然油中に含まれる脂肪酸成分を,精密かつ高感度にワンステップ分析する方法を開発した.

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96-生物機能開発研究所 2009 年度研究業績

本法の開発により,熱的安定性の低い多価不飽和脂肪酸成分についても,分解などの副反

応を誘起することなく,精密定量することを可能にした.

荻本健一郎・石田康行. 2009 年 8 月 18-19 日. 廃木材から水熱抽出して得られたタンニ

ン成分の MALDI-MS による分子構造解析.第 28 回分析化学中部夏期セミナー(浜松).マト

リックス支援レーザー脱離イオン化質量分析法(MALDI-MS)の解析結果から,水熱抽出に

際して,タンニン成分の変性はほとんど進行しないことが明らかになった.さらに,抽出

したタンニン成分の抗酸化性試験を実施し,MALDI-MS により得られた分子情報と抗酸化性

能間の相関も解析することができた.

尾川貴子・石田康行. 2009 年 8 月 18-19 日.反応熱分解 GC による伝統材料「油団」中の

油脂成分のキャラクタリゼーション. 第 28 回分析化学中部夏期セミナー(浜松).伝統材

料「油団」の分子構造解析を行った結果,古い油団試料では,表面に塗布されたえごま油

の酸化および硬化反応がかなりの程度進行しており,これらの諸反応の進行が,油団の強

度や防水性などの諸特性の向上と密接に関係していることを明らかにした.

石田康行. ガスクロマトグラフィーおよび質量分析法による高分子分析. 2009 年 9 月 2

日. 第 39 回高分子分析技術講習会(東京).熱分解ガスクロマトグラフィー(GC)や化学

分解 GC などの諸 GC 技術,及びマトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析法

(MALDI-MS)などの MS 手法について,それらの測定原理や装置構成を詳細に解説し,さら

に高分子分析への実際の応用例やその際のノウハウ等を紹介した.

石田康行・尾川貴子・加藤隆明・武田邦彦・大谷肇. 2009 年 9 月 2-4 日. 反応熱分解 GC

による固体試料中の油脂の直接高感度計測法の開発-伝統材料「油団」の物性発現メカニ

ズムの解明への応用-. 東京コンファレンス 2009(幕張メッセ).各種の生体試料や天然

有機物材料中に含まれる脂質を構成する脂肪酸成分の化学組成を,試料前処理操作を一切

行わずに迅速かつ高感度に精密分析する計測法を開発した.この方法を,日本の伝統材料

である「油団」中の油脂成分の直接分析に応用し,その解析結果を手掛かりに油団の物性発

現メカニズムを解明できた.

石田康行・井戸絵理・大見恵理・大谷肇. 2009 年 9 月 10-12 日. 天然油脂中の脂肪酸成

分の反応熱分解ガスクロマトグラフィーによる精密組成分析.第 48回日本油化学会年会(名

古屋工業大学). 有機アルカリ共存下での反応熱分解ガスクロマトグラフィーにより,天

然油脂中に含有される脂肪酸成分をそれらのメチルエステルとして迅速かつ簡便に検出す

ることを可能にした.さらに,得られたクロマトグラムから,多価不飽和脂肪酸を含む,

一連の脂肪酸成分の化学組成を精密に解析することもできた.

山橋友紀・大谷肇・石田康行. 2009 年 9 月 10-12 日. マトリックス支援レーザー脱離イ

オン化質量分析法による乾性油の酸化変性挙動解析.第 48 回日本油化学会年会(名古屋工

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生物機能開発研究所 2009 年度研究業績-97

業大学). えごま油を加熱して硬化の前段階に相当するモデル試料を作成し,これをマト

リックス支援レーザー脱離イオン化質量分析法(MALDI-MS)で分析することにより,乾性油

の主成分である多価不飽和脂肪酸で構成されるトリアシルグリセロール(TAG)の酸化・硬化

挙動を解明することができた.

Ishida Y, Ohtome T, Ogimoto K, Maki A, Ohtani H, Hasegawa T, Kitagawa K. 2009. 9.

14-16. Study on green extraction of condensed tannins from wasted wood by hydrothermal

process. R'09 Twin World Congress. Nagoya Univ. 廃木材から水熱抽出して得られたポ

リフェノール「縮合型タンニン」を試料に用いて,その分子構造や構造活性相関を,最新

鋭の分析機器を駆使して詳細に解明することができた.

石田康行・谷口康平・大杉圭・大谷肇. 2009 年 9 月 24-26 日. ポリエチレンテレフタレ

ートの水熱リサイクル処理物中に含まれるモノマー成分の反応熱分解ガスクロマトグラフ

ィーによる直接定量.日本分析化学会第 58 年会(北海道大学).酢酸テトラメチルアンモ

ニウム共存下での反応熱分解ガスクロマトグラフィーにより,ポリエチレンテレフタレー

トのケミカルリサイクルによって生じたテレフタル酸を迅速かつ簡便に定量する方法を新

たに開発した.

石田康行・谷口康平・大谷肇.2009 年 11 月 4-5 日. 水熱プロセスを利用した架橋高分子

材料のネットワーク構造解析.第 14 回高分子分析討論会(工学院大学).高温高圧水を媒

体に用いた水熱プロセスを利用して,難分解性の高分子材料の試料前処理における新規分

解法を開発した.さらに,この方法を利用して,架橋ポリマーの 3 次元ネットワーク構造

を詳細に解析した.

清水一輝・石田康行・安江康佑・有元誠次朗・山根恒夫.2009 年 11 月 7-8 日. 反応熱分

解ガスクロマトグラフィーによる生分解性コポリエステルの精密組成分析. 第 40 回中化連

秋季大会(岐阜大学).水酸化テトラメチルアンモニウム共存下での反応熱分解ガスクロマ

トグラフィーにより,生分解性ポリマーであるポリブチレンサクシネート/ブチレンアジペ

ートの共重合組成を精密に高感度解析する方法論を構築することができた.

荻本健一郎・大留達也・牧瑛・石田康行・大谷肇. 2009 年 11 月 7-8 日. 廃棄木材中のタ

ンニン成分の水熱プロセスによる迅速抽出とそのキャラクタリゼーション. 第 40 回中化

連秋季大会(岐阜大学).高温高圧水を媒体に用いた水熱プロセスを利用して,廃棄木材中

に含まれる有用成分「縮合型タンニン」を,わずか 10 分という短時間で高効率に回収する

技術開発に成功した.

清水一輝・安江康佑・石田康行・山根恒夫. 2009 年 11 月 13-14 日. 反応熱分解 GC によ

る生分解性コポリエステルの分解メカニズムの解明.「分析中部・ゆめ 21」若手交流会 第

9 回高山フォーラム(高山).反応熱分解ガスクロマトグラフィーにより,生分解性コポリ

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98-生物機能開発研究所 2009 年度研究業績

マーの精密な共重合組成の解析法を開発した.さらに,得られた共重合組成のデータに注

目して,当該ポリマーの生分解機構を解明することもできた.

本田貴之・石田康行. 2009 年 11 月 13-14 日. 微生物中の脂質の直接計測を可能にする新

規リピドーム解析法の開発.「分析中部・ゆめ 21」若手交流会 第 8 回高山フォーラム(高

山).微細藻類やバクテリアなどの微生物試料に含まれる脂質関連物質の新規計測法を開発

した.この方法では,それらに含まれる脂質類の精密解析を,数十μgのごく微量の固体状

試料をそのまま用いて,試料前処理操作を一切行わずに実施することが可能である.

本目拓未・石田康行. 2009 年 11 月 13-14 日. カイガラムシが産生する天然樹脂の MALDI-MS

による構造解析.「分析中部・ゆめ 21」若手交流会 第 8回高山フォーラム(高山).カイガ

ラムシが産生する天然樹脂の構造キャラクタリゼーションを行った.特に,ここでは加熱

処理を施し一部を硬化させたシェラック試料を用いて解析を進めた結果,その硬化部分の

分子構造や硬化メカニズムなどを明らかにすることができた.

石田康行. 2010 年 1 月 26 日. バイオマス中の油脂成分の水熱抽出とその構造キャラクタ

リゼーション. 第 2 回グリーン燃料シンポジウム−代替航空燃料の動向−(名古屋大学).

微生物や魚類などの様々な固体マトリックス中に含まれる,多可不飽和脂肪酸成分を始め

とする有用脂質成分の高効率回収と,その脂肪酸組成や分子構造を詳細に解析した研究成

果について講演を行った.

Ishida Y, Taniguchi K, Ohtani H. 2010.3. Analysis of cross-linking structures in

UV-cured resin by means of sub-critical water hydrolysis. The 5th International

Symposium on Material Cycling Engineering, Osaka. 亜臨界水分解法とマトリックス支

援レーザー脱離イオン化質量分析法を組み合わせた新規計測法を開発した.さらに,この

方法を応用して,紫外線硬化樹脂のネットワーク構造を詳細に解析することに成功した.

Lee JW, Kobayashi Y, Nakamichi Y, Udagawa N, Takahashi N, Im NK, Seo HJ, Jeon

WB, Yonezawa T, Cha BY, Woo JT. 2010.03. Alisol-B, a novel phyto-steroid, suppresses

the RANKL-induced osteoclast formation and prevents bone loss in mice. Biochem

Pharmacol. 印刷中.

Woo JT, Yonezawa T, Nagai K. 2010.2. Phytochemicals that stimulate osteoblastic

differentiation and bone formation. J Oral Biosci. 52,15-21.

Lee JW, Ahn JY, Hasegawa S, Cha BY, Yonezawa T, Nagai K, Seo HJ, Jeon WB, Woo

JT. 2010.2. Inhibitory effect of luteolin on osteoclast differentiation and function.

Cytotechnology. 61,125-34

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生物機能開発研究所 2009 年度研究業績-99

Hasegawa S, Yonezawa T, Ahn JY, Cha BY, Teruya T, Takami M, Yagasaki K, Nagai

K, Woo JT. 2009.12. Honokiol Inhibits Osteoclast Differentiation and Function In Vitro.

Biol Pharm Bull. 33,487-92

山下良子・車炳允・米澤貴之・照屋俊明・永井和夫・禹済泰.2009 年 11 月.体脂肪と BMI

に対する食事代替型ダイエット食品の効果.機能性食品と薬理栄養 5, 433-441.

Tanabe R, Cha BY, Yonezawa T, Woo JT, Nagai K. 2009.7. Highly sensitive detection

method of verotoxins produced by enterohaemorrhagic Escherichia coli O-157:H7 using

a protein chip.Shokuhin Eiseigaku Zasshi 2010;51(1):28-31.

Lee YS, Cha BY, Saito K, Yamakawa H, Choi SS, Yamaguchi K, Yonezawa T, Teruya

T, Nagai K, Woo JT. 2009.6. Nobiletin improves hyperglycemia and insulin resistance

in obese diabetic ob/ob mice.Biochem Pharmacol. 79,1674-83.

Cha BY, Shi WL, Yonezawa T, Teruya T, Nagai K, Woo JT. 2009.5. An inhibitory effect

of chrysoeriol on platelet-derived growth factor (PDGF)-induced proliferation and

PDGF receptor signaling in human aortic smooth muscle cells. J Pharmacol Sci. 110,

105-110.

Choi SS, Cha BY, Lee YS, Yonezawa T, Teruya T, Nagai K, Woo JT. 2009.4. Magnolol

enhances adipocyte differentiation and glucose uptake in 3T3-L1 cells. Life Sci.

84, 908-914.

Kim SY, Choi BK, Yokosuka A, Cha BY, Yonezawa T, Teruya T, Nagai K, Mimaki Y, Woo

JT. 2010.3. New diarylheptanoids from rhizomes of Tacca chantrieri attenuate

platelet-derived growth factor-induced signal transduction and involve cell cycle

arrest in human aortic smooth muscle cells.日本農芸化学会 2010 年年度大会(東京).

日比野文香・米澤貴之・長谷川森一・車炳允・永井和夫・禹済泰.2010 年 3 月.骨芽細胞

分化に対する auraptene の作用.日本農芸化学会 2010 年年度大会(東京).

禹済泰・米澤貴之・太田正人・赤澤寛行・車炳允・照屋俊明・稲垣雅彦・加藤且也・秋久

俊博・永井和夫.2010 年 3 月.目薬の木由来アセロゲニン類の骨芽細胞分化及び骨形成促

進活性.日本農芸化学会 2010 年年度大会(東京).

浅井みどり・李順燕・佐藤征子・二宮禎・小澤英浩・山口宏二・米澤貴之・車炳允・照屋

俊明・大西素子・永井和夫・禹済泰.2010 年 3 月.卵巣摘出マウスの骨密度低下に対する

ホノキオールの抑制効果.日本農芸化学会 2010 年年度大会(東京).

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100-生物機能開発研究所 2009 年度研究業績

李順燕・浅井みどり・二宮禎・小澤英浩・山口宏二・米澤貴之・車炳允・照屋俊明・永井

和夫・禹済泰.2010 年 3 月.卵巣摘出マウスの骨密度低下に対するエピガロカテキンガレ

ートの抑制効果.日本農芸化学会 2010 年年度大会(東京).

長谷川森一・照屋俊明・佐藤征子・米澤貴之・車炳允・永井和夫・禹済泰.2010 年 3 月.

桂皮酸誘導体の破骨細胞分化阻害作用における構造活性相関.日本農芸化学会 2010 年年度

大会(東京).

米澤貴之・車炳允・照屋俊明・矢ヶ崎一三・永井和夫・禹済泰.2010 年 3 月.破骨細胞分

化に対するナイスタチンの作用解析.日本農芸化学会 2010 年年度大会(東京).

崔宣實・飯田加賀美・車炳允・李永實・米澤貴之・照屋俊明・永井和夫・禹済泰.2010 年

3 月.アルテピリンCの脂肪細胞分化とインスリン感受性に対する効果.日本農芸化学会

2010 年年度大会(東京).

李永實・王暁星・崔鳳根・崔宣實・車炳允・米澤貴之・照屋俊明・山口宏二・永井和夫・

禹済泰.2010 年 3 月.高脂肪食肥満マウスにおけるノビレチンの糖尿に対する効果.日本

農芸化学会 2010 年年度大会(東京).

佐藤征子・長谷川森一・日比野文香・崔宣實・史文磊・照屋俊明・車炳允・米澤貴之・永

井和夫・禹済泰.2010 年 3 月.チコリ酒粕およびチコリ芋由来の生理活性成分の探索.日

本農芸化学会 2010 年年度大会(東京).

倉知建始・田村眞理・小林孝安・禹済泰・永井和夫・大西素子.2010 年 3 月.破骨細胞分

化におけるプロテインホスファターゼ2Cεの機能.日本農芸化学会2010年年度大会(東京).

李永實・車炳允・王暁星・崔宣實・崔鳳根・米澤貴之・照屋俊明・永井和夫・禹済泰.2009

年 12 月.高脂肪食肥満マウスにおける fargesin の肥満と糖尿に対する効果.第 7 回日本

機能性食品医用学会(広島).

崔鳳根・史文磊・長谷川森一・車炳允・米澤貴之・照屋俊明・永井和夫・禹済泰.2009 年

12 月.平滑筋細胞におけるセサミンとファルゲシンの抗増殖効果比較.第 7 回日本機能性

食品医用学会(広島).

禹済泰・米澤貴之・永井和夫.2009 年 10 月.破骨・骨芽細胞培養系を用いた骨代謝を調節

する食品素材の探索とその作用機構.第 22 回動物細胞工学シンポジウム(東京).

史文磊・車炳允・照屋俊明・米澤貴之・渡辺浩太郎・石川祐一・西山繁・永井和夫・禹済

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生物機能開発研究所 2009 年度研究業績-101

泰.2009 年 7 月.Acerogenin C の血管平滑筋細胞・細胞周期に対する作用.日本動物細胞

工学会 2009 年度大会(茨城).

米澤貴之・太田正人・藤原尚樹・車炳允・照屋俊明・鍵谷忠慶・原田英光・矢ヶ崎一三・

永井和夫・禹済泰.2009 年 7 月.天然低分子化合物を用いた歯根・歯周組織再生.日本動

物細胞工学会 2009 年度大会(茨城).

Nakagawa A, Takahashi H, Sato N, Kojima S, Cha BY, Woo JT, Machida Y, Machida C.

2009.6-7.Arabidopsis DNA contains very few putative G-quadruplex sequence motifs.

20th International Conference on Arabidopsis Research, at Edinburgh, the United

Kingdom.

河秉瑾・長岡真聡・米澤貴之・禹済泰・矢ヶ崎一三.2009 年 5 月. Insulin-independent

glucose uptake by genistein, a soybean isoflavone.第 63 回日本栄養・食糧学会大会

(長崎).

Kawashima D, Asai M, Katagiri K, Takeuchi R, Ohtsuka K. :Reinvestigation of the effect

of carbenoxolone on the induction of heat shock proteins. Cell Stress & Chaperones

14: 535-543. 2009.

カルベノキソロンはこれまで Hsp70 のみを誘導し,他の HSPs は誘導しないと報告されてい

たが,われわれが再検討したところ,Hsp70 のみでなく,Hsp90,Hsp40,Hsp27 も誘導する

ことが判明した.

Furusawa Y, Tabuchi Y, Takasaki I, Wada S, Ohtsuka K, Kondo T. :Gene networks involved

in apoptosis induced by hyperthermia in human lymphoma U937 cells. Cell Biol. Int.

33: 1253-1262. 2009.

ヒトリンフォーマ細胞 U937 細胞において,熱ショックによって引き起こされるアポトーシ

スに際して発現が増加または低下する遺伝子群を DNA マイクロアレイによって網羅的に解

析した.

Kawashima D, Soga M, Takeuchi R, Matsumoto H, Ohtsuka K.: Molecular chaperone inducers

facilitate the functional restoration of temperature-sensitive mutant p53 protein.

Thermal Medicine, 26: 1-17. 2010.

カルベノキソロン,ペオニフロリン,サリチル酸ナトリウムなどの分子シャペロン誘導剤

が温度感受性変異 p53 タンパク質(V143A)の機能を回復させることができるかどうかを検

討したところ,適度に高発現された分子シャペロンは変異 p53 タンパク質の正しい折りた

たみと機能回復を促進することを示唆する結果を得た.

川島大介・曽我実・竹内理香・大塚健三.2009 年 7 月.HSP 誘導剤を利用した温度感受性

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102-生物機能開発研究所 2009 年度研究業績

p53 の機能回復の検討.第 24 回東海ハイパーサーミア研究会第 9 回北陸高温度療法研究会

合同研究会(富山).カルベノキソロンによって誘導された HSPs が温度感受性変異 p53 の

機能回復を促進することを報告した.

川島大介・曽我実・竹内理香・松本英樹・大塚健三. 2009 年 9 月.HSP 誘導剤による温度

感受性 p53 機能回復.日本ハイパーサーミア学会第 26 回大会(千葉大学). いくつかの HSP

誘導剤(カルベノキソロン,ペオニフロリン,サリチル酸ナトリウム)によって誘導され

た HSPs が温度感受性変異 p53 の正常型への変換を促進することを報告した.

Kawashima D, Soga M, Takeuchi R, Matsumoto H, Ohtsuka K. :Facilitation of functional

restoration of temperature sensitive mutant p53 by molecular chaperone inducers. The

4th International Congress on Stress Responses in Biology and Medicine, October 6-9,

2009, Sapporo.温度感受性変異 p53 の機能回復を,その下流遺伝子産物の発現によって検

出する実験系を用いた.カルベノキソロンなどの分子シャペロン誘導剤の処理により,変

異 p53 の機能回復が促進された.

Ohtsuka K. Medical applications of molecular chaperone inducers. : The 4th

International Congress on Stress Responses in Biology and Medicine, October 6-9, 2009,

Sapporo.われわれが見いだした分子シャペロン誘導剤であるペオニフロリンは毒性がほと

んどなく,マウスに腹腔投与すると胃などに Hsp70 が発現する.マウス胃は塩酸投与で胃

粘膜傷害が引き起こされるが,ペオニフロリン前投与によりその傷害が軽減される.また

神経変性疾患の一つである球脊髄性筋萎縮症(トリプレットリピート病の一つ)のモデル

マウスにおいて,ペオニフロリンの継続投与によって,脊髄や筋肉組織では HSPs が誘導さ

れ,病状進行の顕著な抑制がみられた.

Tabuchi Y, Furusawa Y, Takasaki I, Wada S, Ohtsuka K, Kondo T. Gene networks involved

in apoptosis induced by heat stress. The 4th International Congress on Stress

Responses in Biology and Medicine, October 6-9, 2009,Sapporo. ヒトリンフォーマ細

胞 U937 細胞において,熱ショックによって引き起こされるアポトーシスに際して発現が増

加または低下する遺伝子群を DNA マイクロアレイによって網羅的に解析した.

Tohnai G, Adachi H, Katsuno M, Minamiyama M, Doi H, Tanaka F, Ohtsuka K, Sobue G.

Medical induction of stress response alleviates polyglutamine-mediated motor neuron

disease. The 4th International Congress on Stress Responses in Biology and Medicine,

October 6-9, 2009,Sapporo.シャクヤク抽出物を神経変性疾患の一つである球脊髄性筋萎

縮症(原因遺伝子はアンドロゲン受容体であり,トリプレットリピート病の一つ)のモデ

ルマウスに投与すると,脊髄や筋肉組織では HSPs が誘導され、病状進行の顕著な抑制がみ

られた.

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生物機能開発研究所 2009 年度研究業績-103

Aburai N, Yoshida M, Ohnishi M, Kimura K. Feb 11, 2010. Pisiferdiol and pisiferic

acid isolated from Chamaecyparispisifera activate protein phosphatase2C in vitro

and induce caspase-3/7-dependentapoptosis via dephosphorylation of Bad in HL60

cells. Phytomedicine. Epug ahead of print. プロテインホスファターゼ 2C(PP2C)

の特異的活性化化合物として,サワラからピシフェルジオールおよびピシフェリン酸を

単離し,これらの化合物によって誘導される HL60 細胞における細胞死が,PP2Cαによ

る Bad の脱リン酸化を介することを示した.

Aburai N, Yoshida M, Ohnishi M, Kimura K. 2010. Sanguinarine as a Potent and

Specific Inhibitor of Protein Phosphatase 2C in Vitro and Induces Apoptosis via

Phosphorylation of p38 in HL60 Cells. Biosci Biotechnol Biochem. 74(3):548-52.

PP2C の特異的阻害剤としてサンギナリンを見出し,サンギナリンによる HL60 細胞への

細胞死誘導作用が,p38 のリン酸化の亢進によることを示した.

倉知建始・吉田真実・油井信弘・木村賢一・長谷川森一・禹済泰・永井和夫・大西素子.

2009 年 7 月. 破骨細胞分化に対する Pisiferdiol の作用.日本骨代謝学会 2007 年度大

会(大阪)PP2Cβの特異的活性化化合物であるピシフェルジオールが,破骨細胞分化を

低濃度で阻害することを見出した.またその際,RANKL/RANK シグナル伝達経路の構成

因子である p38,JNK および NFATc1 の活性化が抑制されることを報告した.

倉地建始・田村眞理・小林孝安・禹済泰・永井和夫・大西素子.2010 年 3 月.破骨細胞

分化におけるプロテインホスファターゼ 2Cεの機能.日本農芸化学会 2010 年度大会(東

京)

PP2Cεの破骨細胞分化における機能を,PP2Cε遺伝子欠損マウスおよび RAW264 細胞を

用いて解析した.RAW264 細胞で PP2Cεは,破骨細胞分化に対し抑制的に働くが,その

作用点は RANKL/RANK シグナル伝達経路以外の可能性が高いことを明らかにした.

鈴木茂.2009. 化学物質環境汚染の歴史と環境化学物質の調査研究,アリーナ,7, 302-313.

渡良瀬川鉱毒事件,水俣病について,当時の研究者,行政,原因者および社会状況を分析

し,化学物質汚染を引き起こす社会的背景を考察するとともに,現代の化学物質問題と行

政等の対策について評価した.

鈴木茂.Apr. 21,2009. LC/MS による環境微量分析, 水分析(環境水,上水)における

LC/MS/MS の上手な使い方と問題点の解決,名古屋国際会議場.ジーエルサイエンス水質分

析セミナー,環境水,上水中化学物質の LC/MS 分析の理論と実際について講演した.

鈴木茂.Apr. 23,2009.LC/MS による環境微量分析,水分析(環境水,上水)における LC/MS/MS

の上手な使い方と問題点の解決,ジーエルサイエンス大阪支店,ジーエルサイエンス水質

分析セミナー,環境水,上水中化学物質の LC/MS 分析の理論と実際について講演した.

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104-生物機能開発研究所 2009 年度研究業績

鈴木茂.May. 11,2009.LC/MS による環境微量分析,特定機器分析研修Ⅱ(LC/MS),環境省環

境調査研修所,埼玉県.LC/MS 技術の習得を希望する地方公共団体,国などの技術者を対象

とする研修の基調講演として LC/MS 環境分析の理論と実際について講演した.

原田祥行・鈴木茂.June 11,2009.LC/MS による環境水中のパラベン類の動態に関する基礎

研究.第 18回環境化学討論会講演要旨集,352-353.茨城県.環境水中のパラベン類の動

態研究の成果を発表した.

武田年喜・鈴木茂.June 11,2009.LC/MS によるヒトのパラベン類の摂取と排泄に関する研

究.第 18回環境化学討論会講演要旨集,356-357.茨城県.日用品などからのヒトのパラ

ベン類の摂取と排泄研究の成果を発表した.

林義貴・樋口梨南・渡辺大登・鈴木茂.June 11,2009.水処理施設から放出される PFOS,

PFOA について.第 18回環境化学討論会講演要旨集,552-553.茨城県.名古屋市,春日井

市の都市下水処理施設,および純家庭排水処理施設からの PFOS,PFOA と河川水の動態につ

いて研究の成果を発表した.

滝埜昌彦・鈴木愛実・鈴木茂.June 10,2009.LC/TOF-MS を用いた河川中有機物のキャラク

タリゼーション.第 18回環境化学討論会講演要旨集,242-243.茨城県.廃棄物処分場お

よびその下流域の河川水中の化学物質を LC/TOF-MS によりキャラクタライズした研究の成

果を発表した.

赤谷健次・高柳学・西村泰樹・井口えい子・今中努志・小川茂・鈴木茂. June 11,2009.

ポリマー固相を用いた LC/MS による水中農薬一斉分析の検討.第 18回環境化学討論会講演

要旨集,690-691.茨城県.固相抽出 LC/MS による農薬一斉分析の研究の成果を発表した.

鈴木茂 他 19 名.June 11,2009.LC/MS による化学物質分析法の基礎的研究(39).第 18

回環境化学討論会講演要旨集, 820-821.茨城県.環境省の LC/MS 検討調査のなかで進めて

いる環境化学物質の LC/MS 分析法について発表した.

鈴木茂 他 19 名.June 11,2009.LC/MS による化学物質分析法の基礎的研究(40).第 18

回環境化学討論会講演要旨集, 822-823.茨城県.環境省の LC/MS 検討調査のなかで進めて

いる環境化学物質の LC/MS 分析法について発表した.

鈴木茂 他 19 名.June 11,2009.LC/MS による化学物質分析法の基礎的研究(41).第 18

回環境化学討論会講演要旨集, 824-825.茨城県.環境省の LC/MS 検討調査のなかで進めて

いる環境化学物質の LC/MS 分析法について発表した.

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生物機能開発研究所 2009 年度研究業績-105

鈴木茂 他 19 名.June 11,2009.LC/MS による化学物質分析法の基礎的研究(42).第 18

環境化学討論会講演要旨集, 826-827.茨城県.環境省の LC/MS 検討調査のなかで進めてい

る環境化学物質の LC/MS 分析法について発表した.

鈴木茂 他 19 名.June 11,2009.LC/MS による化学物質分析法の基礎的研究(43).第 18

回環境化学討論会講演要旨集, 828-829.茨城県.環境省の LC/MS 検討調査のなかで進めて

いる環境化学物質の LC/MS 分析法について発表した.

原田祥行・鈴木茂・斎藤寛子・長谷川高明.Sep 14,2009.高リスク医薬品の人体暴露に関

する研究.第 12 回日本水環境学会シンポジウム講演集,119.東京都.抗ガン剤など高リ

スク医薬品の医療施設内汚染に関する分析法研究の成果を発表した.

武田年喜・鈴木茂. Sep 14,2009.生活用品から摂取されるパラベン類の蓄積と排泄に関

する研究.第 12 回日本水環境学会シンポジウム講演集,119.東京都.生活用品使用に由

来するパラベン類の摂取と排泄研究の成果を発表した.

林義貴・辻真奈美・鈴木茂.Sep 14,2009.LC/MS による野菜の残留農薬分析およびバイオ

アクセシビリティ分析.第 12 回日本水環境学会シンポジウム講演集,119.東京都.消化

過程で溶出する野菜中の農薬の研究について成果を発表した.

鈴木茂.Oct 19,2009.LC/MS による環境微量分析,特定機器分析研修Ⅱ(LC/MS),環境省環

境調査研修所.埼玉県.LC/MS 技術の習得を希望する地方公共団体,国などの技術者を対象

とする研修の基調講演として LC/MS 環境分析の理論と実際について講演した.

鈴木茂.Oct 17,2009.「最新分析機器」,人材養成講座(美濃加茂市商工会議所).中部大

学.標記のセミナーにおいて,質量分析を中心に食品分析関する分析技術と装置について

講演した.

鈴木茂.Oct 31,2009.「最近の食品分析手法」,食品安全管理エキスパート養成塾(大垣市

商工会議所).中部大学.標記のセミナーにおいて,質量分析を中心に食の安全に関する分

析技術と装置について講演した.

大島千明・鈴木茂.Mar 16-18,2009.LC/MS による環境水中のスクラロースの分析法の研究.

第44回水環境学会年会講演集,666.福岡県.環境水中のスクラロースの分析法を開発し,

伊勢湾に注ぐ主要河川の調査を行い伊勢湾へのスクラロースの負荷量等について講演した.

飯田茜・鈴木茂・長谷川高明・斉藤寛子.Mar 16-18,2009.LC/MS による血液中における抗

がん剤(カルボプラチン)の分析方法に関する研究.第44回水環境学会年会講演集,667.

福岡県.抗ガン剤の摂取量と血中濃度の関係を明らかにする基礎検討として,血液中にお

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106-生物機能開発研究所 2009 年度研究業績

けるカルボプラチンの分析方法について講演した.

遠藤慧悟・林義貴・辻真奈美・鈴木茂.Mar 16-18,2009.LC-MS/MS による野菜中農薬のバ

イオアクセシビリティ評価.第44回水環境学会年会講演集,668.福岡県.野菜中の農薬

が消化過程で溶出,分解する可能性についての LC/MS による評価について講演した.

大坪良輔・鈴木茂.Mar 16-18,2009.LC/MS による諏訪湖表層水のスクラロース調査,第4

4回水環境学会年会講演集,669.福岡県.諏訪湖は閉鎖系水域であることから,難分解性

スクラロースの環境残留性を LC/MS による調査結果について講演した.

原田祥行・鈴木茂・長谷川高明・斎藤寛子.Mar 16-18,2009.高リスク医薬品の人体暴露

に関する研究.第44回水環境学会年会講演集,670.福岡県.医療従事者が抗ガン剤など

の高リスク医薬品に暴露される場合があることから,医療現場におけるこれら医薬品の分

析法を開発しその結果を講演した.

林義貴・遠藤慧悟・辻真奈美・鈴木茂.Mar 16-18,2009.LC-MS/MS による野菜中の農薬の

バイオアクセシビリティ分析法の検討.第44回水環境学会年会講演集,671.福岡県.野

菜中の農薬が消化過程で溶出する可能性を評価するため,人工消化液で処理した試料中の

農薬の分析方法の開発について講演した.

武田年喜・鈴木茂.Mar 16-18,2009.摂取したパラベン類の蓄積と排泄に関する研究.第

44回水環境学会年会講演集,672.福岡県.生活用品としてパラベンを含む石けん,歯磨

き,ドリンク剤などを使用し,それらの摂取量,尿中への排出量について,LC/MS により分

析し評価した結果について講演した.

有賀大地・鈴木茂.Mar 16-18,2009.LC/MS によるプラスチック中の臭素系難燃剤の溶出に

関する研究.第44回水環境学会年会講演集,673.福岡県.食器などのプラスチックから

食品等に溶出する臭素系難燃剤について LC/MS により調査し,その結果について講演した.

木曽翔太・鈴木茂.Mar 16-18,2009.LC/MS による有農薬、無農薬栽培野菜中の農薬に関す

る研究.第44回水環境学会年会講演集,674.福岡県.無農薬栽培の野菜,市販の野菜に

ついて残留する農薬の定量分析法の開発とそれを用いた調査結果について講演した.

高士昇吾・鈴木茂・大場和生.Mar 16-18,2009.GC/MS による降下煤塵中の PDBE に関する

研究.第44回水環境学会年会講演集,675.福岡県.プラスチック整形工場周辺の降下煤

塵中に含まれるポリブロモジフェニルエーテルについての調査結果について講演した.

関村利朗.2009 年 5 月 17 日.「チョウの羽のカラーパターン形成 ―実験と数理モデル―」

昆虫DNA研究会第6回研究集会.大阪府立大学. 最新の実験結果を踏まえたチョウの羽

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生物機能開発研究所 2009 年度研究業績-107

のカラーパターン形成に関する数理モデルとその解析結果について講演を行った.

Sekimura T. 2009.9.28-29. 1) An integrative approach to pattern formation in

butterfly wings. 2) Parr mark formation in the early development of Amago trout in

Seminar at Department of Mathematics, University of Sussex, Brighton,UK,

2 ヶ月間のイギリス海外出張(平成 21 年 8 月 18 日~10 月 17 日,中部大学第一回特別研究

期間サバティカル制度による)中に,受け入れ研究機関の一つであるサセックス大学数学

教室(Dr,A.Madzvamuse)での学科セミナーにおいて,実験と数理モデルの両面から蝶の羽の

カラーパターン形成とアマゴの表皮のカラーパターン形成について講演を行った.

Sekimura T. 2009.10.2.An integrative approach to pattern formation in butterfly

wings,in Seminar at Centre for Mathematical Biology, Mathematical Institute,

University of Oxford, Oxford, UK,

同上のイギリス海外出張中に、受け入れ研究機関の一つであるオックスフォード大学

数学研究所数理生物学センター(Prof.Philip K. Maini)セミナーにおいて、実験と数理モ

デルの両面から蝶の羽のカラーパターン形成について講演を行った.

Sekimura,T. 2009.10.5-6.1) An integrative approach to pattern formation in butterfly

wings, 2) Parr mark formation in the early development of Amago trout in aLecture

of Department of Mathematics, University of Strathcryde, Glasgow, UK.

同上のイギリス海外出張中に,ストラスクライド大学(スコットランド、グラスゴー)数

学教室主催,大学院レクチャーコースの第1回目として蝶の羽のカラーパターン形成とア

マゴの表皮のカラーパターン形成についての講義を行った.

Sekimura T. Jan.11-14,2010. An Integrative Approach to the Analysis of Pattern

Formation in Butterfly Wings - Experiments and Models -Interdisciplinary Workshop:

Pattern Formation in Morphogenesis, IHES(Institute des Hautes Etudes Scientifiques),

Bures-Sur-Ybette, France.

フランス高等科学研究所(IHES)で開催された研究集会 Pattern Formation in Morphogenesis

に discussant として招待され,討議に加わると同時に,「蝶の羽のパターン形成解析への

統合的アプローチ」と題して講演を行った.その講演内容は「Pattern Formation in

Morphogenesis-problems and MathematicalFormulation 」 (V.Cappaso, et al. eds.),

Springer, 2010 において論文出版される.

高村基治.2009 年 3 月.「食品製造品質管理」.大垣市商工会議所(食品安全管理エキスパ

ート養成セミナー).食品(製造・加工)産業における安全管理の新しい取り組みとしての

ISO22000(国際規格)について、その背景から管理要素,アプローチ法などについて説明

した.

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108-生物機能開発研究所 2009 年度研究業績

高村基治.2009 年 10 月.「食品の衛生管理の考え方」.美濃加茂市商工会議所(食品衛生ス

ペッシャリスト人材養成講座).昨今の食を脅かす多くの事件によって,食の安全への意識

が高まっている中で如何に食の安全を確保すべきかについて新手法 ISO22000(国際規格)

を中心に解説した.

高村基治.2009 年 11 月.「未利用資源“おから”の日常食品への再生」.商品開発管理学会,

第 13 回全国大会.年間産出量 100 万tにもなる“おから”を日常に摂取する策として日常

によく食されているベーカリーや麺類への添加効果について,その添加検討結果を報告し

た.

高村基治.2009 年 11 月.「食品衛生管理手法について」.大垣市商工会議所(食品安全管理

エキスパート養成塾).食品の加工製造から流通においての品質の変化を概説し,その過程

での品質劣化防止,品質維持法を解説.さらに品質賞味期限の設定法についても紹介した.

Takikawa M, Inoue S, Horio F, Tsuda T. 2010. 2. Dietary anthocyanin-rich bilberry

extract ameliorates hyperglycemia and insulin sensitivity via activation of

AMP-activated protein kinase in diabetic mice. J. Nutr. 140: 527-533. ビルベリー

果実抽出物の高血糖抑制,インスリン感受性上昇作用が AMP キナーゼを介することをはじ

めて明らかにした.

T. Tsuda. 2009.10 . Prevention of obesity and type2 diabetes associated with metabolic

syndrome using some plant-based food factors. Proceedings of the tropical fruits

in human nutrition and Health conference2008. p.77-87. アントシアニンやショウガ

成分の健康機能について概説.

津田孝範. 2009 年 5 月.アントシアニンの抗酸化効果と目の健康 Functional Food 3(1):

32-37. アントシアニン成分と視覚機能、抗酸化作用との関連を概説.

津田孝範・須田郁夫・津志田藤二郎編著. 2009 年 4 月. アントシアニンの科学-生理機

能・製品開発への新展開-建帛社 p.1-6, p.132-152.アントシアニンに関するあらゆる

最新研究をまとめたものである.

津田孝範. 2010 年 1 月. 食品機能研究と産学官連携・実用化を巡って-暗中模索する大

学教員の事例- 建帛社だより「土筆」91 号 (4) .産学連携に関する大学のあり方をまと

めた.

Tsuda T, Matsumoto H. 2009.4. Nutrigenomics and Proteomics in Health and Disease.

Wiley-Blackwell chapter18 p.273-290. ニュートリゲノミクス,プロテオミクスの観

点から食品機能を概説したものである.

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生物機能開発研究所 2009 年度研究業績-109

滝川雅仁・井上聖哉・中山義隆・堀尾文彦・津田孝範. 2009 年 5 月. ビルベリー抽出物

の 2型糖尿病抑制作用とそのメカニズムの解析.第 63 回日本栄養・食糧学会大会(長崎).

ビルベリーの機能とその作用機序を発表.

柳沢政由・杉谷昌祐・津田孝範. 2009 年 5 月. 大豆イソフラボンの脂肪細胞に対する作

用とそのメカニズム 第 63 回日本栄養・食糧学会大会(長崎).イソフラボンの機能とそ

の作用機序を発表.

津田孝範. 2009 年 5 月. おいしくてカラダによいカシスの魅力 1.アントシアニンの

可能性 第 63 回日本栄養・食糧学会大会(長崎)ランチョンセミナー.依頼講演として,

カシスの生理機能研究動向を概説.

津田孝範. 2009 年 8 月. 食品因子の機能研究、価値創造から食品開発へ 第 6 回サプリ

メント研究会 (岐阜).依頼講演として,研究室の食品機能研究の事例を概説.

津田孝範. 2009 年 9 月. 食品機能研究の出口を考える-基礎研究,産学官連携と実用化-

日本食品科学工学会第 56 回大会シンポジウム B1 日本食品科学工学会第 56 回大会 (名古

屋).大会シンポジウムとして産学官連携と食品機能研究の動向をオーガナイズした.

滝川雅仁・井上聖哉・中山義隆・堀尾文彦・津田孝範. 2009 年 9 月. ビルベリー果実抽

出物の 2型糖尿病抑制作用と機構解明 日本食品科学工学会第 56 回大会 (名古屋).

Tsutsui M, Fukuda I, Yoshida T, Toda T, Tsuda T, Ashida H. 2009.9. Safety Assessment

of Extract of Black Soybean Seed Coat: Acute and Chronic Toxicity Studies.

International Workshop on Anthocyanins2009 (Nagoya).

黒豆サプリメントの安全性に関する検討結果を発表.

Kanamoto Y, Nanba F, Yoshida T, Toda T, Tsuda T, Fukuda I, Ashida H. 2009.9. Black

Soybean Seed Coat Prevents Obesity in High-fat Diet-fed Mice. International Workshop

on Anthocyanins2009 (Nagoya). 黒豆の肥満抑制作用に関する成果を発表.

Tsuda T. 2009.9. Anthocyanin as a Functional Food Factor - Prevention of Type2

Diabetes and Its Mechanism - International Workshop on Anthocyanins2009 (Nagoya).

Invited speaker としてアントシアニンの 2型糖尿病予防作用機構に関する最新成果をレク

チャーした.

Tsuda T., Sasaki R., Isa Y. 2009.10. Prevention of type2 diabetes associated with

metabolic syndrome using some plant-based food factors. 19th International Congress

Page 18: 生物機能開発研究所2009年度研究業績- 愛知真木子 …stu.isc.chubu.ac.jp/bio/public/ann_rep_res_inst_biol...阻害されるが,3種の中ではDt,Dsが富栄養耐性,Drが富栄養感受性であることが明らか

110-生物機能開発研究所 2009 年度研究業績

of Nutrition (Bangkok, Thailand). アントシアニン、ショウガ成分の脂肪細胞機能の制

御とその機序を発表.

津田孝範. 2009 年 11 月.アントシアニンの化学と機能―サプリメントとしての可能性―

第 3 回眼抗加齢医学研究会講習会 ランチョンセミナー(東京).依頼講演として眼抗加齢

の立場からアントシアニンの機能研究と臨床応用の可能性を概説.

津田孝範. 2010 年 3 月. 新品種産業化研究会 第 2回「すいおう」シンポジウム(東京).

依頼講演として「すいおう」の食品機能,特に糖尿病に対する作用と作用機序についての

研究成果を講演.

平田晴実・土田綾乃・小池麻友美・上田学・芦田均・津田孝範. 2010 年 3 月. AMP キナ

ーゼの活性化に関わる食品因子の検討とその作用メカニズムの解析.日本農芸化学会 2010

年度大会(東京).AMP キナーゼ活性化に関与する食品因子の検討結果を発表.

堤内要. 2009. アクリルアミド. 食品安全の事典: 229-231.アクリルアミドは加熱加工

に伴い食品中に生成する有害化学物質である.本書の II-2 有害物質分野における II-2-2

化学物質の 1 項目として,アクリルアミドの性質,発見の経緯,生成機構,分析法,毒性

研究の進展状況を簡潔にまとめた.

Hasegawa K, Miwa S, Tsutsumiuchi K, Miwa J. 2010. Allyl isothiocyanate that induces

GST and UGT expression confers oxidative stress resistance on C. elegans, as

demonstrated by nematode biosensor. PLoS One 5 (2): e9267. gst::gfp 融合遺伝子を

導入した線虫バイオセンサーを用いて,わさびの辛味成分アリルイソチオシアネートによ

る GST 発現誘導と,農薬などの酸化ストレスに対する耐性付与を見出した.さらにこの耐

性付与が,転写因子 SKN-1 を介した GST の発現誘導によることもわかった.

堤内要・大野友晃・石原嘉博・岡田鉦彦. 2009 年 8 月. 二級アルコール開始剤を用いた

1,3-アンヒドログルコース誘導体の開環重合による生体機能材料の分子設計.FCCA グライ

コサイエンス若手フォーラム 2009(愛知県勤労会館,名古屋市).1,3-アンヒドロ糖誘導体

の開環重合における開始剤として,分子量制御に比較的有効なベンズヒドロール類を検討

し,多糖の構造制御合成に最も適した開始剤を調べた.また,重合度の異なる(1→3)-β-D-

グルコピラナンを化学合成し,鎖長と免疫活性との相関を調べた.さらに,開環重合法で

得られる(1→3)-β-D-グルコピラナンの機能化として新たに 2-ヘキサデカノールを開始剤

に用いた重合を検討し,還元末端に長鎖アルキル基を有する両親媒性の(1→3)-β-D-グル

コピラナンを合成した.

木邑和広・石井美穂・福西昭子・堤内要・三輪錠司. 2009 年 9 月. 線虫バイオセンサー

を用いたアクリルアミド毒性緩和物質の探索.第 17 回日本線虫学会大会(崇城大学市民ホ

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生物機能開発研究所 2009 年度研究業績-111

ール,熊本県).我々は,gst と gfp の融合遺伝子を線虫 Caenorhabditis elegans に組み込

んだバイオセンサーを用いて,近年食品危害物質として注目されているアクリルアミドと

ともに様々な食品を混合し,毒物応答が抑えられるものを探索した.その結果,ある粉緑

茶が候補として見つかったが,その粉緑茶はアクリルアミド処理による産卵数減少を抑制

できないだけでなく,粉緑茶単独でも産卵数を減少させることがわかった.このことから

粉緑茶はアクリルアミドの毒性を緩和しているのではなく,GST 発現そのものを抑える働き

があるのではないかと考えられた.

大野友晃・石原嘉博・堤内要・岡田鉦彦. 2009 年 9 月. 2-ヘキサデカノールを開始剤に

用いた 1,3-アンヒドロ糖誘導体の開環重合.第 129 回東海高分子研究会講演会(夏期合宿)

(長良川観光ホテル石金,岐阜県).二級アルコール開始剤として 2-ヘキサデカノールを用

いた 1,3-アンヒドロ-2,4,6-トリ-O-ベンジル-β-D-グルコピラノースの開環重合を検討し

た.重合反応は順調に進行し,定量的にポリマーを得ることができた.また,脱ベンジル

化を行うことで両親媒性の合成多糖を得ることができた.

大野友晃・石原嘉博・堤内要・岡田鉦彦. 2009 年 9 月. 2-ヘキサデカノールを開始剤に

用いた 1,3-アンヒドログルコース誘導体の開環重合.第 29 回日本糖質学会年会(飛騨・世

界生活文化センター,岐阜県). 2-ヘキサデカノールを開始剤に用いた 1,3-アンヒドロ

-2,4,6-トリ-O-ベンジル-β-D-グルコピラノースの開環重合により,両親媒性の合成多糖

を得ることができた.蛍光物質を用いた蛍光スペクトル解析により疎水場の形成を確認す

ることができた.

杉浦信夫・塩入達政・佐藤千怜・下方郷嗣・千葉美恵・堤内要・木全弘治・渡辺秀人.2009

年 9 月. 組換え糖転移・硫酸転移酵素を用いた人工コンドロイチン硫酸ライブラリーの構

築.第 29 回日本糖質学会年会(飛騨・世界生活文化センター,岐阜県).コンドロイチン

オリゴ糖を出発基質とし,大腸菌 K4 株由来コンドロイチンポリメラーゼを用いて糖鎖長を

揃えたコンドロイチンポリマーを調製した.ついで,各種組換えコンドロイチン硫酸転移

酵素(C4ST-1, C6ST-1, GalNAc4S6ST, U2ST)を用いて硫酸基修飾を行い,二糖組成がほぼ

100% A 構造や C 構造,または最高 70%を超える E 構造,あるいは 30%程度 D 構造を有する

コンドロイチン硫酸を合成した.

伊東真弓・亀田めぐみ・井村美香・鈴木伸和・椎木峰行・堤内要・小林猛.2009 年 9 月. 高

温熱分解法などを利用した温熱治療のための磁性ナノ粒子の調製.日本ハイパーサーミア

学会第 29 回大会(千葉大学けやき会館,千葉市).我々はマグネタイト微粒子をリポソー

ムで包み,この脂質に抗体を修飾させた抗体結合マグネタイト(antibody- conjugated

magnetoliposomes; AML) の調製を行ってきた.抗体としては,ハーセプチンなどを使用し

た.しかし,平均粒子径が 120nm と大きく,また粒子径分布が広いため,実験動物へ投与

すると毛細血管が閉塞してしまう可能性がある.そこで本研究では高温熱分解法などによ

り,平均粒子径の小さなマグネタイト微粒子の調製法を検討した.

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112-生物機能開発研究所 2009 年度研究業績

池村彩香・井之上浩一・堤内要・鶴田良成・日野知証・岡尚男. 2009 年 9 月. 安定同位

体希釈 LC-MS/MS による N-末端チモシン β4 テトラペプチド(Ac-ADKP および Ac-SDKP)の測

定法開発.第 34 回日本医用マススペクトル学会年会(近畿大学本部キャンパス,大阪府).

近年,透析患者の血圧コントロールによる副作用に悪性貧血が問題となっており,その原

因として造血幹細胞の抑制作用と因果関係が疑われている.そこで,我々は造血幹細胞抑

制ペプチドである N-末端チモシン β4 テトラペプチド(Ac-ADKP および Ac-SDKP)に注目し

た.Ac-ADKP および Ac-SDKP の安定同位体を化学合成し,内部標準とすることで,ヒト血清

中の Ac-ADKP や Ac-SDKP を LC-MS/MS で精度良く分析できる測定法を開発した.

大野友晃・石原嘉博・堤内要・岡田鉦彦. 2009 年 9 月. ベンズヒドロール類を開始剤に

用いた 1,3-アンヒドログルコース誘導体の開環重合による(1→3)-β-D-グルコピラナンの

合成と免疫活性.第 58 回高分子討論会(熊本大学黒髪キャンパス,熊本県).本研究では

ベンズヒドロール類として新たに 4,4’-ジメトキシベンズヒドロールと 4,4’-ジメチルベン

ズヒドロールを用いた 1,3-アンヒドロ-2,4,6-トリ-O-ベンジル-β-D-グルコピラノースの

重合を行い,多糖の構造制御合成に最も適した開始剤を調べるとともに,重合度の異なる

(1→3) –β-D-グルコピラナンを化学合成し,鎖長と免疫活性との相関を調べた.

伊東真弓・井村美香・鈴木伸和・椎木峰行・堤内要・小林猛. 2009 年 9 月. 磁性ナノ粒

子の調製と抗体結合.第 61回日本生物工学会大会(名古屋大学東山キャンパス,名古屋市).

Jin Xie らの方法に沿って 20nm 程度のマグネタイトナノ粒子を調製した.FT-IR 測定から,

マグネタイト表面への 4-メチルカテコールの結合を確認することができた.しかし,この

ままでは水溶性を示さないため,種々の修飾反応を検討した.その結果,水分散性の高い

微粒子が得られたため,抗体の結合を行った.

大野友晃・石原嘉博・堤内要・岡田鉦彦. 2009 年 9 月. アルコールを開始剤に用いた 1,3-

アンヒドロ-2,4,6-トリ-O-ベンジル-β-D-グルコピラノース誘導体の開環重合.糖鎖科学

名古屋拠点第 6回「若手の力」フォーラム(名古屋大学ベンチャービジネスラボラトリー,

名古屋市).本研究では 1,2,3 級アルコールであるベンジルアルコール,ジフェニルメタノ

ール,トリフェニルメタノールを開始剤に用いて,それぞれの重合挙動や生成ポリマーの

末端構造を解析した.その結果,ジフェニルメタノールが他の 2つに比べ開始反応が速く,

精密に末端構造を制御できることが判明した.

堤内要・服部雄哉・古賀秀徳・石原克之・本庄勉・加藤正俊・漆山哲生・大島潔・三輪錠司・

谷口肇. 2009 年 10 月. メルカプト安息香酸を用いたアクリルアミド誘導体の合成と食品

分析への応用.日本食品衛生学会第 98 回学術講演会(函館国際ホテル,北海道).HPLC を

用いたアクリルアミド分析法の開発を目標としてメルカプト安息香酸を用いたアクリルア

ミド誘導体の合成とそれを用いた食品分析への応用を検討した.

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生物機能開発研究所 2009 年度研究業績-113

Taniguchi H, Tsutsumiuchi K. 2009.11. Effect of carbohydrates on formation of

acrylamide in a cooked model food containing aspargine. 5th International Symposium

of Biocatalysis and Biotechnology (National Chung-Hsing University, Taiwan). 加

熱加工食品におけるアクリルアミドの生成挙動に及ぼす糖質の影響について概説した.加

工食品モデルを用いて種々の糖質を用いた実験を行ったところ,フルクトースやスクロー

スが存在するとアクリルアミド生成が活発となり,糖アルコールからはあまり生成しなか

った.また,糖質として多糖を用いた場合は,還元糖単糖や二糖などとは生成挙動が大き

く異なった.原因を調べた結果,糖質がアスパラギンとメイラード反応するのではなく,

加熱により多糖から生成するアセトアルデヒドなどとアスパラギンが反応してアクリルア

ミドを生成しているものと結論された.

矢倉浩志・今枝健一・堤内要・糸見義雄. 2009 年 11 月. デオキシベンゾイン不斉還元反

応への円偏波マイクロ波照射効果.第 3回日本電磁波エネルギー応用学会シンポジウム(東

京理科大学森戸記念館,東京都).不斉合成には不斉触媒の利用が最も有効とされているが,

我々は新たなプロセスとしてマイクロ波に注目し,これまでに,アセトナフトンの不斉還

元反応における円偏波マイクロ波照射効果について報告してきた.本研究では,基質とし

てデオキシベンゾインを用い,(S)-DPMPMP を不斉触媒とした不斉還元反応における円偏波

マイクロ波照射効果の実験を行い,アセトナフトンにおける ee 値の違いを,分子構造,回

転定数から比較検討を行った.

小島千佳・井之上浩一・岡尚男・堤内要. 2010 年 3 月. 銅イオン由来酸化ストレス反応

による N-末端アミロイドβペプチドの構造変化.日本化学会第 90 春季年会(近畿大学本部

キャンパス,大阪府).我々はこれまでに LC/MS を用いて,銅イオンに由来する酸化ストレ

ス反応による N-末端アミロイドβペプチド(Aβ)の特異な分解挙動を調べ,分子量 773 の

Aβ1-6が m/z 729 や 685 を示す化合物へ変化することを見出してきた.しかし,これらの変

性ペプチドにおける構造情報は質量数とクロマトグラムの保持時間のみであり構造変化の

詳細については明らかになっていない.そこで本研究では MSn,NMR,IR 測定などを行い,

これらの構造変化について解析した.

長谷川浩一・三輪さつき・堤内要・三輪錠司. 2010 年 3 月. 線虫バイオセンサーを用い

た機能性食品成分のスクリーニング.第 54 回日本応用動物昆虫学会大会(千葉大学西千葉

キャンパス,千葉市).第Ⅱ相酵素と蛍光タンパク質の融合遺伝子を組み込んだ「線虫バイ

オセンサー」は,(1)様々な毒物の検出と評価,および(2)解毒物質のスクリーニング

に応用することが可能である.本研究では,このバイオセンサーを用いてスクリーニング

を行い,ローズマリーの成分であるカルノシン酸,わさびやアブラナ科植物の成分である

イソチオシアネート類が生物に対して長寿・健康増進効果をもつ成分であることを見出し

た.

池村彩香・井之上浩一・堤内要・鶴田良成・日野知証・岡尚男. 2010 年 3 月. LC-MS/MS

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114-生物機能開発研究所 2009 年度研究業績

による造血幹細胞抑制ペプチドの高感度測定法の開発および腎臓透析患者の悪性貧血に対

する新たなバイオマーカーの提唱.日本薬学会第 130 年会(岡山コンベンションセンター

ほか,岡山県).造血幹細胞抑制ペプチドである Ac-SDKP はアンギオテンシン変換酵素によ

る代謝および腎臓から排泄されるため,腎臓疾患の悪性貧血に対するバイオマーカーとし

ての有用と考えられる.このことから,ヒト血清中の Ac-SDKP の高精度かつ高感度測定法

の開発が望まれており,臨床診断への応用が期待されている.そこで本研究では,安定同

位体希釈 LC-MS/MS による Ac-SDKP の分析法を開発し,腎臓透析患者の悪性貧血に対する

新しいバイオマーカーとしての可能性を評価した.

高橋美津子・岡田展広・山本貴之・本庄勉・加藤正俊・堤内要・古賀秀徳・漆山哲生・浮

穴学宗. 2010 年 3 月. 食品中アクリルアミドの免疫測定系の開発.日本農芸化学会 2010

年度大会(東京大学安田講堂ほか,東京都).食品中アクリルアミド(AA)の低減の取組を

さらに促進するためには安価で迅速簡便な AA 分析法が必要である.そこで「食品中 AA の

免疫測定系の開発」を行った.AA 分子中のα,β-不飽和カルボニル部位へ 3-および

4-mercaptobenzoic acid を 1,2-付加させて 3-および 4-[(2-carbamoylethyl)thio] benzoic

acid を合成し,これらをハプテンとして keyhole limpet hemocyanin に結合して免疫原を

調製した.これらの免疫原によりウサギを免疫して得られたポリクローナル抗体を用いて,

AA の検出下限が 0.4 ng/mL の間接競合 ELISA 系を確立した.

Cha BY, Shi WL, Yonezawa T, Teruya T, Nagai K, Woo JT. An inhibitory effect of

chrysoeriol on platelet-derived growth factor (PDGF)-induced proliferation and PDGF

receptor signaling in human aortic smooth muscle cells Research Signpost 35-52(2009)

ルイボスティーから得られた抗酸化物質クリソエリオールが,PDGFにより誘導される

血管平滑筋細胞のPDGF-Rβリン酸化を阻害し増殖を抑制することを示した.

Nishihama Y, Ogamino T, Wen LS, Cha BY, Yonezawa T, Teruya T, Nagai K, Suenaga K,

Woo JT, Nishiyama S. Synthetic studies of mangostin derivatives with an inhibitory

activity on PDGF-induced human aortic smooth cells proliferation Heterocycles.

77:759-765 (2009) マンゴスチンの各種誘導体を合成し,それらのPDGFにより誘導さ

れる血管平滑筋増殖に対する阻害活性を比較検討した.

Edward A. Berry, Huang LS, Fevzi Daldal, Nagai K, Minagawa N. Ascochlorin is a novel,

specific inhibitor of the mitochondrial cytochrome bc1 complex Biochimica et

Biophysica Acta 1797: 360-370(2010) 真菌由来のアスコクロリンが,チトクロームbc

1複合体の酵素活性部位であるQ1およびQ0の両部位に作用することにより活性を阻害

することを明らかにした.

崔鳳根・史文磊・長谷川森一・車炳允・米澤貴之・照屋俊明・永井和夫・禹済泰. 2009 年

12 月. 平滑筋細胞におけるセサミンとファルゲシンの抗増殖効果比較 第7回日本機能性

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生物機能開発研究所 2009 年度研究業績-115

食品医用学会総会.(広島)

李永實・車炳允・王暁星・崔宣實・崔鳳根・米澤貴之・照屋俊明・永井和夫・禹 済泰.

2009 年 12 月. 抗脂肪食肥満マウスにおける fargesin の肥満と糖尿に対する効果 第 7

回日本機能性食品医用学会総会(広島)

日比野文香・米澤貴之・長谷川森一・車炳允・永井和夫・禹済泰. 2010 年 3 月. 骨芽細

胞分化に対する auraptene の作用 日本農芸化学会 2010 年度大会(東京)

禹済泰・米澤貴之・太田正人・赤澤寛行・車 炳允・照屋俊明・稲垣雅彦・加藤且也・秋

久俊博・永井和夫. 2010 年 3 月. 目薬の木由来アセロゲニン類の骨芽細胞分化および骨

形成促進活性 日本農芸化学会 2010 年度大会(東京)

浅井みどり・李順燕・佐藤征子・二宮禎・小澤英浩・山口宏二・米澤貴之・車炳允・照屋

俊明・大西素子・永井和夫・禹済泰. 2010 年 3 月. 卵巣摘出マウスの骨密度低下に対す

るホノキオールの抑制効果 日本農芸化学会 2010 年度大会(東京)

李順燕・浅井みどり・二宮禎・小澤英浩・山口宏二・米澤貴之・車炳允・照屋俊明・永井

和夫・禹済泰. 2010 年 3 月. 卵巣摘出マウスの骨密度低下に対するエピガロカテキンガ

レートの抑制効果 日本農芸化学会 2010 年度大会(東京)

長谷川森一・照屋俊明・佐藤征子・米澤貴之・車炳允・永井和夫・禹済泰. 2010 年 3 月.

桂皮酸誘導体の破骨細胞分化阻害作用における構造活性相関 日本農芸化学会 2010 年度大

会(東京)

米澤貴之・車炳允・照屋俊明・矢ケ崎一三・永井和夫・禹済泰. 2010 年 3 月. 破骨細胞

分化におけるナイスタチンの作用 日本農芸化学会 2010 年度大会(東京)

崔宣實・飯田加賀美・車炳允・李永實・米澤貴之・照屋俊明・永井和夫・禹済泰. 2010 年

3 月. アルテビリン C の脂肪細胞分化とインスリン感受性に対する効果 日本農芸化学会

2010 年度大会(東京)

李永實・王暁星・崔鳳根・崔宣實・車炳允・米澤貴之・照屋俊明・山口宏二・永井和夫・

禹済泰. 抗脂肪食肥満マウスにおけるノビレチンの糖尿に対する効果 日本農芸化学会

2010 年度大会(東京)

Kim SY, Choi BK, Yokosuka A, Cha BY, Yonezawa T, Teruya T, Nagai K, Minaki Y, Woo

JT. 2010.3. New diarylheptanoids from rhizomes of Tacca chantrieri attenuate

platelet-derived growth factor-induced signal transduction and involves cell cycle

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116-生物機能開発研究所 2009 年度研究業績

arrest in human aortic smooth muscle cells 日本農芸化学会 2010 年度大会(東京)

佐藤征子・長谷川森一・日比野文香・崔宣實・史文磊・照屋俊明・車炳允・米澤貴之・永

井和夫・禹済泰. 2010 年 3 月. チコリ酒粕およびチコリ芋由来の生理活性成分の探索 日

本農芸化学会 2010 年度大会(東京)

倉知建始・田村眞理・小林孝安・禹済泰・永井和夫・大西素子. 2010 年 3 月. 破骨細胞

分化におけるプロテインフォスファターゼ2Cεの機能 日本農芸化学会2010年度大会 (東

京)

種田明子・安達雅代・舩渡歓子・根岸晴夫.2009.ヘッドスペース‐マイクロ固相抽出-

GC‐MS 法によるニオイエビネ Calanthe izu-insularis (Orchidaceae)の揮発性成分の解析.

中部大学生物機能開発研究所紀要.9:79-84.ニオイエビネ Calanthe izu-insularis

(Orchidaceae)の花が発散する揮発性成分を HS‐SPME 法で濃縮し,GC-MS 分析を行った.

テルペノイド類及び脂肪族化合物の 12 物質が同定され,主要成分はテルペノイド類の(E)-

β-Ocimene、Linalool、(E,E)-α-Farnesene、(E)-Nerolidol であった.朝方と夕方の個々

の揮発性成分の発散量の比較を行った結果,すべての揮発性成分が朝方に多く,夕方に少

なくなった.

根岸晴夫.2009 年 6 月.食用サボテンの処理方法,食用サボテン及び食用サボテン添加食

品.出願番号 特願 2009-148467.出願日 2009/6/23.本発明は,食用サボテンの表皮の青

臭さをマスキングするとともに,褐変色を抑制することができる食用サボテンの処理方法,

その処理方法により処理された食用サボテン及び当該食用サボテンを添加した食品を実現

する技術に関する特許である.

大橋勝太郎・山本亜矢子・根岸晴夫.2009 年 6 月.乳由来乳酸菌の乾燥食肉製品に対する

バイオプリザバティブとしての利用技術の研究. FOOMA JAPAN 2009 アカデミックプラザ(東

京ビックサイト,東京).乳酸菌による乳酸発酵を利用した発酵食品は,生成する有機酸に

よって酸味を呈する.そのため乳酸菌の食品としての利用には限界があった.しかし,ジ

ャーキーのような非加熱乾燥食肉製品に乳酸発酵技術を応用すると,バイオプリザバティ

ブとして作用し,有害菌の生育抑制効果が期待できた.しかも酸味の付与が嗜好性の向上

につながる可能性を見出した.

根岸晴夫.2009 年 7 月.乳酸菌を利用する食品の加工技術.中部大学テクノモール(豊川

市民プラザ,愛知県豊川).乳酸菌を利用した代表的な食品と乳酸菌の有用性について概説

した.また乳酸菌を利用した非加熱乾燥食肉製品「ポークジャーキー」と「サボテンヨー

グルト」について紹介した.

根岸晴夫.2009 年 8 月.発酵技術による新製品開発の紹介.第3回生物食品技術研究会,

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生物機能開発研究所 2009 年度研究業績-117

(社)岐阜工業会主催(テクノプラザ,各務原市).乳酸発酵技術を応用した食品開発の事

例として,企業の機能性ヨーグルトの開発状況について概説した.さらに研究室で取り組

んでいる発酵技術の応用事例として,ヨーグルト,ゴーダチーズ,及び非加熱発酵乾燥食

肉の研究状況について講演した.

根岸晴夫.2009 年 9 月.乳酸菌を利用した食品ものづくりシーズの紹介.中部大学フェア

(中部大学,春日井キャンパス).ここ数年取組んでいる乳酸菌を利用した食品の研究開発

の成果として,「サボテンヨーグルト」,及び非加熱発酵食肉「ジャーキー」について紹介

した.

根岸晴夫.2009年11月.食品衛生スペシャリスト人材養成講座「食品製造の科学を考える」.

美濃加茂商工会議所食品部会主催(中部大学,春日井キャンパス).牛乳と乳製品の科学を

事例としてあげ,食品製造の科学的な考え方について解説した.また工場の生産管理の手

法についても概要を論じた.さらにアイスクリーム製造をモデルとして,製造現場におけ

る食品衛生などの品質管理の方法として,HACCP 手法を中心に解説した.

根岸晴夫.2009 年 12 月.食品加工における乳酸菌の役割と,乳酸菌を利用した食肉加工技

術の展望.工業技術会(株)主催,半蔵門 JCII ビル(東京).食品開発における乳酸菌の役

割とスターターカルチャーの上手な利用法に関する講習会において,食肉製品への乳酸菌

の利用について講演した.食品加工における乳酸菌の役割,食肉製品と乳酸菌の関わり,

発酵食肉製品における乳酸菌の有用性,および乳酸菌を利用した非加熱乾燥食肉製品の開

発などの話題を取り上げた.

根岸晴夫.2010 年 1 月.食品安全エキスパート養成塾講座 「食品開発と製造の科学を考え

る」.大垣商工会議所食品部会主催(中部大学,春日井キャンパス).食品の開発と製造に

おいて,食品科学を理解することの重要性について講義した.事例として,牛乳成分と乳

製品の科学,および家畜の死後変化と食肉の熟成の科学を取り上げ,チーズ,ヨーグルト

などの発酵食品,特定保健用食品,発酵ソーセージなどとの関係について解説した.

根岸晴夫.2010 年 1 月.平成 21 年度 食農連携セミナー in 名古屋「東海地区 2 社の事例

調査発表((株)堀製麺,山崎製パン(株))」.(財)食品産業センター,愛知県食品産業クラ

スター協議会共催(愛知県産業労働センターウインクあいち,名古屋市).国産原料を巧み

に活用している東海地区の2企業として,愛知県の山崎製パン(株)安城工場と三重県の

(株)堀製麺を取り上げた.国産原材料調達における課題とその対応,原材料生産への関与

の方法,及び製品の販路確保の方法などの調査結果について報告した.その後,企業の代

表者を交えてパネルディスカッションを行なった.

根岸晴夫.2010 年 2 月.平成 21 年度 セミナー牛乳を科学する「牛乳の成分とその機能」.

(社)和歌山県栄養士会,(社)日本栄養士会主催;(社)日本酪農乳業協会,(社)中央畜

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118-生物機能開発研究所 2009 年度研究業績

産会共催(和歌山県勤労福祉会館,和歌山市).和歌山県栄養士会の会員を対象に牛乳成分

の特徴と栄養的価値について解説した.また牛乳成分に期待される第三次機能などの話題

にも触れて,基調講演を行なった.その後,会場の栄養士の方々と牛乳の栄養に関わる諸

疑問を取り上げ,パネルディスカッションを行った.

根岸晴夫.2010 年 3 月.「食農連携総括セミナーi n 東京」.(財)食品産業センター主催,

北とぴあ(飛鳥ホール),東京.(財)食品産業センター主催で,食品企業関係者及び地域

の農林水産業関係者の具体的な連携,いわゆる"食農連携"の手法を検討するため,東海地

区2社の事例調査を含め,全国各地区で調査した食農連携の先進16 事例の発表が行われた.

発表後,発表者全員と当事業の委員会委員長とのパネルディスカッションを行った.

大橋勝太郎・近藤友希・水田尊大・種田明子・根岸晴夫.2010 年 3 月.乳業用乳酸菌を利

用した非加熱発酵食肉製品のテクスチャー改善.日本畜産学会第 112 回大会(明治大学駿

河台キャンパス,東京).非加熱乾燥肉のテクスチャー改善を目的に,ヨーグルト用 Lb.

bulgaricus, St. thermophilus 混合菌とチーズ用 Lac. lactis, Lac. cremoris, Lac.

diacetyllactis, Leu. cremoris 混合菌を使用し,発酵後の熟成と糖質添加の影響につい

て検討した.培養後の熟成により乾燥肉のテクスチャーに軟化傾向が認められた.またテ

クスチャー改善に糖質の添加が有効なことが示唆された.

種田明子・大橋勝太郎・中川沙弥香・Chaykaew Supaporn・水田尊大・根岸晴夫.2010 年 3

月. HS-SPME-GC/MS 法によるフウラン(Neofinetia falcata)花の放出する揮発性成分の日

周変化の解析(第 2報).日本農芸化学会 2010 年度大会(東京大学駒場キャンパス,東京).

Neofinetia falcata の花が発散する揮発成分の日周変化を観察した.Linalool,Methyl

benzoate,Methyl tiglate など約 20 種の揮発成分で日周変化がみられた.連続暗期条件下

でも同様のリズムが観察され,それは概日リズムによる発散であると考えられた.切花に

ついても,同様の日周変化が観察された.また,捕集剤 Mono TrapⓇを用いて GC におい嗅

ぎ分析を行い,かおりの寄与物質を確認した.

水田尊大・杉森香織・種田明子・大橋勝太郎・根岸晴夫. 2010 年 3 月. HS-SPME-GC/MS

法によるゴーダチーズの香気の解析.日本畜産学会第 112 回大会(明治大学駿河台キャン

パス,東京).チーズの香気は品質を決定する重要な特性である.チーズが放出する香気を

HS-SPME-GC/MS 法を用いて捕集分析し,熟度の異なる市販ゴーダチーズの揮発性物質の分

析,及び GC/O による香りの解析を行った.12 ヶ月熟成チーズから 34 成分が同定され,そ

のうち Butanoic acid,1-Butanol,3-methyl,Butanoic acid ethyl ester など 5 成分が

熟成中に変化する香りに大きく寄与することが示唆された.

Hasegawa K, Miwa S, Tsutsumiuchi K, Miwa J. 2010. Allyl isothiocyanate that induces

GST and UGT expression confers oxidative stress resistance on C. elegans, as

demonstrated by nematode biosensor. PLoS ONE, 5:e0009267/doi; 10.1371. 線虫バイ

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生物機能開発研究所 2009 年度研究業績-119

オセンサーを用いて,機能性食品成分の候補であるアリルイソチオシアネート(AITC)の

検出および評価をおこなった.AITC は第Ⅱ相酵素を効果的に発現誘導し,酸化ストレス抵

抗性を付与する効果があること,この付与は転写因子 SKN-1 を介する生体反応であること

がわかった.

Yoshida K, Hasegawa K, Mochiji N, Miwa J. 2009. Early embryogenesis and

anterior-posterior axis formation in the white-tip nematode Aphelenchoides

besseyi. Journal of Nematology, 41: 17-22. 極性を持たない線虫の卵母細胞は,精子

の進入がきっかけで前後極性が決定する.黒点米病やホタルイモチ病などの病気を引き起

こすイネシンガレセンチュウ Aphelenchoides besseyi の初期胚を材料として,前後,左右,

背腹軸の決定様式を調べた.前後軸決定はマツノザイセンチュウ B.xylophilus と同様,精

子の進入点が将来の前方となることを明らかにした.左右,背腹軸の決定様式については,

B. xylophilus や C. elegans とは全く異なることが示唆される結果を得た.

Hasegawa K, Miwa J. 2010. Transcriptome analysis of the xrg-1 (RNAi) phenocopy in

C. elegans. Annual Report of Research Institute for Biological Function, 10: in press.

線虫を使ったゼノバイオティックス反応経路の遺伝学的アプローチによって,現在まで4

つの遺伝子 xrg-1, -2, -3, と -4 を発見できた.そのひとつである xrg-1 は,WD

repeat-containing タンパクの一種 WDR23 の線虫ホモログ,WDR-23,をコードしていること

がわかった.遺伝子 xrg-1 を RNAi でノックダウンして,この遺伝子によって制御されてい

る遺伝子群とその転写レベルの変化を DNA マイクロアレイにより網羅的に解析した.

Miwa S, Ishikawa T, Miwa J. 2009. Method for testing the effects of xenobiotics on

innate immunity in C. elegans. The Worm Breeder’s Gazette, 18(1): 26. 「毒をもっ

て毒を制す」という格言がある.わずかな“毒”で生体に自然に備わっている免疫力をあ

らかじめ高めておくことにより,病原菌の感染に対する防衛能力が向上することを証明し

た.

三輪錠司.2010 年 2 月.事業仕分けは,強者に抗うことができたのか? 日本線虫学会ニ

ュース,No. 49: 1-4. 成長型経済の停滞により社会的強者と弱者の格差は必然的に拡大

することを見事に表現した,ケネス・ボールディング(Kenneth E. Boulding: January 18,

1910 – March 18, 1993)の警句を出発点として,民主新政権の始めた事業仕分けの意味,

使命,目的について論じた.

三輪錠司.2009 年 8 月.新型インフルエンザ ― 線虫派の寝言.日本線虫学会ニュース,

No. 48: 1-6. 2009 年 4 月にメキシコを起点として勃発した(メキシコ起点説に疑問符も

ついている)新型インフルエンザに対する日本政府(主に厚生労働省)の対応と対策につ

いて,感染症の専門家の意見および各方面の人たちの論や反応を引用しながら論考した.

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120-生物機能開発研究所 2009 年度研究業績

三輪錠司.2009 年 5 月.線虫学 新時代の予兆.日本線虫学会ニュース,No. 47: 1-5.

次世代シーケンサーの登場によって,分類や生態を中心として展開している今日の線虫学

が激変し,とてつもなく面白い時代がやってくることを説いた.

長谷川浩一・三輪錠司.2010 年 3 月.線虫バイオセンサーを用いた機能性食品成分のスク

リーニング.第 54 回日本応用動物昆虫学大会(千葉大学,千葉).老化や様々な疾病の原

因となる酸化ストレスに対する耐性を向上し,長寿・健康増進効果を発揮する物質のスク

リーニング法を紹介した.

堤内要・服部雄哉・古賀秀徳・石原克之・本庄勉・加藤正俊・漆山哲生・大島潔・三輪錠

司・谷口肇.2009 年 10 月.メルカプト安息香酸を用いたアクリルアミド誘導体の合成と食

品分析への応用.第 98 回日本食品衛生学会学術講演会(函館国際ホテル,函館).HPLC を

用いたアクリルアミド(AA)分析法の開発を目標として,メルカプト安息香酸(MBA)を用

いた AA 誘導体の合成とそれを用いた食品分析への応用を検討した.

長谷川浩一・野々村悠・三輪錠司.2009 年 9 月.Caenorhabditis elegans の WDR-23 は GST

発現を負に制御する.日本線虫学会第 17 回大会(崇城大学,熊本).GST 発現制御が異常な

変異体から,その原因遺伝子 xrg-1(xenobiotic regulated gene)を同定した.xrg-1 は

WDR-23 をコードし,GST 発現を負に制御していることが分かった.WDR-23 は通常 GST 発現

を抑制しているが,ストレッサーによってその抑えがはずれ,GST 発現を誘導する.

近藤有希菜・長谷川浩一・三輪錠司. 2009 年 9 月. GST 発現に関わる遺伝子の変異体解

析.日本線虫学会第 17 回大会(崇城大学,熊本).GST 発現が異常な変異体 Xrg-1,-2,-3,

-4 のうち,-2 および-3 の GST 発現を調べた.変異体 Xrg-2 は,成虫になってから,スト

レッサーなしで筋肉に発現が見られた.変異体 Xrg-3 は,L1 幼虫時より,ストレッサーな

しで体全体に発現が観察された.

吉田幸平・長谷川浩一・持地信雄・三輪錠司.2009 年 9 月.イネシンガレセンチュウ

Aphelenchoides besseyi の初期胚発生と体軸決定について.日本線虫学会第 17 回大会(崇

城大学,熊本).イネシンガレセンチュウ Aphelenchoides besseyi の胚発生について調査

した.初期胚の大量回収法を考案し,体軸決定様式,初期胚発生パターン,細胞骨格の挙

動を調べた.前後軸決定はマツノザイセンチュウ B. xylophilus と同様,精子の進入点が

将来の前方となる.ところが,初期胚の分裂パターンは,B. xylophilus や C. elegans と

は全く異なるユニークなものであることを証明した.

木邑和広・石井美穂・福西昭子・長谷川浩一・堤内要・三輪錠司.2009 年 9 月.線虫バイ

オセンサーを用いたアクリルアミド毒性緩和物質の探索.日本線虫学会第 17 回大会(崇城

大学,熊本).線虫バイオセンサーを用いて,食品危害物質であるアクリルアミドを解毒緩

和する物質のスクリーニングをおこなった.身近な食品のうち,解毒緩和効果のある候補

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生物機能開発研究所 2009 年度研究業績-121

として粉緑茶を見出したので,粉緑茶を液液分離にかけ,水溶性画分に緩和効果をもつ物

質が存在することを突き止めた.

石川友洋・三輪さつき・三輪錠司.2009 年 9 月.Pseudomonas aeruginosa による

Caenorhabditis elegans 殺害に対するアクリルアミドの効果.日本線虫学会第 17 回大会

(崇城大学,熊本).アクリルアミドが薬・毒物に耐性を与え,寿命・生存率などを効果的

に延長・向上させることから,病原菌からの防衛能力も向上すると考え,院内感染などで

猛威を振るっている緑膿菌に対する耐性実験をおこなった.結果,大幅な耐性の向上が見

られた.

三輪錠司・長谷川浩一.2010 年 3 月.線虫バイオセンサーを用いた長寿・健康増進効果を

もつ物質の探索と評価.中部大学生物機能開発研究所セミナー(中部大学,春日井).ゼノ

バイオティクス(生体異物)の応答経路を順遺伝学的手法で解明するため,応答経路に異

常をもつ変異体を多数分離し,4種類の遺伝子 xrg-1,-2,-3,-4 を発見したこと,また

この経路を利用した,健康・長寿効果のある物質のスクリーニング法を開発したこと,を

発表した.

三輪錠司・長谷川浩一・堤内要.2009 年 7 月.GFP (緑色蛍光タンパク質) を用いたバイオ

センサーによる有害物質の検出 ― ノーベル賞受賞研究がどのように利用されているかを

体験して下さい ―.第1回 中部大学応用生物学部 研究教育内容 体験説明会(中部大学,

春日井).近隣の高等学校で教鞭をとっている生物教師を招待し,線虫バイオセンサーを使

用した,有害物質の検出法について,体験学習説明会をおこなった.入試広報課の支援に

感謝する.

三輪錠司・長谷川浩一.2009 年 7 月.モデル生物「線虫」を使った化学物質の安全性及び

機能性評価:「ケミカルバイオロジーとケミカルジェネティックス」.中部大学生物機能開

発研究所,健康食品科学寄附講座,植物バイオ研究センター共催セミナー(中部大学,春

日井).現在急速に発展し注目を集めつつある,ケミカルバイオロジーとケミカルジェネテ

ィックスを盛り上げる一環としておこなわれたセミナーにおいて,ストレス応答系制御経

路を利用した,化学物質の安全性および機能性を評価する方法を紹介した.

Masayama A, Kato S, Terashima T, Molgaard A, Hemmi H, Yoshimura T, Moriyama R. 2010.

Bacillus subtilis spore coat protein LipC is a phospholipase B. Biosci. Biotechnol.

Biochem. 74: 24-30. 食品腐敗の一因となる枯草菌胞子の発芽に関与するリパーゼとして

初めて同定された LipC について,組換え体を用いてその酵素学的性質を解析した結果につ

いて報告した.

Kato S, Masayama A, Yoshimura T, Hemmi H, Tsunoda T, Kihara T, Moriyama R. 2009.

Physiological role of carbon dioxide in spore germination of Clostridium perfringens

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122-生物機能開発研究所 2009 年度研究業績

S40. J. Biosci & Bioeng. 108: 477-483. 食中毒の誘因として知られるウェルシュ菌耐

熱性胞子が発芽する際に必須とされる二酸化炭素の生理的役割について解析した結果につ

いて報告した.

Masayama A, Kato S, Terashima T, Hemmi H, Yoshimura T, Moriyama R. 2009. Partial

characterization of a novel germination-related lipase, LipC, of Bacillus subtilis

and its homologs of pathogenic bacilli. in “Spore forming bacteria in food” (eds. Sohier, D., and Leguerinel, I.) pp. 129-130. 食品腐敗の一因となる枯草菌胞子の発

芽に関与するリパーゼとして初めて同定された LipC と,病原性を有する近類のバシラス属

細菌(セレウス菌)における相同遺伝子産物について,組換え体を用いてそれらの酵素学

的性質の相違点について検討し,その結果について報告した.

Masayama A, Kato S, Terashima T, Hemmi H, Yoshimura T, Moriyama R. 2009.6. Partial

characterization of a novel germination-related lipase, LipC, of Bacillus subtilis

and its homologs of pathogenic bacilli. International Congress SPORE2009, Quimper,

France. 細菌胞子の発芽に関与するリパーゼとして初めて同定された枯草菌 LipC と病原

性を示す近類細菌における相同遺伝子産物の関連性について報告した.

Kodama S, Aizawa S, Taga A, Yamashita T, Kemmei T, Suzuki K, Honda Y, Yamamoto A.

2010. Metal(II)-ligand molar ratio dependence of enantioseparation of tartaric acid

by ligand exchange CE with Cu(II) and Ni(II)-D-quinic acid systems. Electrophoresis,

31, 1051-1054. 銅(II)-D-キナ酸系での配位子交換キャピラリー電気泳動法で,銅(II)-D-

キナ酸のモル比が酒石酸の光学分割に及ぼす影響を調べた.同様の挙動をニッケル(II)で

も比較した.

内山一寿・近藤万莉・中村霞美・伊藤 宏・利根川幸・行谷義治・田嶋一郎・山本 敦.2010.

分析化学,59, 207-212. 光分解-電気伝導度検出 HPLC による臭素系難燃剤の簡易分析.

光分解/電気伝導度検出 HPLC における高分子材料中の難燃剤としての有機臭素化合物測定

装置の開発とその最適化について報告.

Tsukamoto T, Yasuma M, Yamamoto A, Hirayama K, Kihou T, Kodama S, Inoue Y. 2009.

Evaluation of sulfobetaine-type polymer resin as an SPE adsorbent in the analysis

of trace tetracycline antibiotics in honey. J. Sep.Sci., 32, 3591-3595. 蜂蜜中の

抗菌剤テトラサイクリン類を選択的に抽出可能な樹脂を使って精製し,LC-MS/MS で測定す

る方法を開発した.

Tsukamoto T, Yamamoto A, Kamichatani W, Inoue Y. 2009. Synthesis of novel

sulfobetaine-type adsorbents and characteristics of their adsorption of polar solutes

in Hhydrophilic solid phase extraction. Chromatographia, 70, 1525-1530. 純粋に親

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生物機能開発研究所 2009 年度研究業績-123

水性相互作用を発揮るスルホベタイン型の官能基を導入した吸着剤を開発した.この吸着

剤の官能基導入量や保水量等の物性を測定し,化合物の保持特性を解明した.

石上孝行・塚本友康・山本敦・太田一徳・中島康夫・井上嘉則.2009 年 5 月.ジオールカ

ラムにホウ酸移動相を用いた錯形成型陽イオンクロマトグラフィの開発,第 70 回分析化学

討論会(和歌山).ホウ酸とジオールが陰イオン性の錯を形成することを利用した陽イオン

交換クロマトグラフィにおいて,芳香族アミンを対イオンに用いることで,アンモニウム

イオンを含む一価陽イオン類の一斉分析を可能にした.

山本敦.2009 年 6 月.高機能性吸着剤の開発と食品分析への適用.食のグリーンアナリシ

ス研究会(名古屋).食の安全性は,生産者,流通業者から行政,消費者までがそれぞれの

立場で努力して初めて確保されるものであり,そのためには食品がヒトの健康に及ぼす悪

影響と,それを排除すべく行政がとっている施策に関する情報が全ての関係者間に上手く

伝達されていなければならない.そこで,迅速かつ環境調和型分析法の確立を図り,食品

製造,流通そして消費者の安全に関わる要求に応える方策について提案.

山本敦・立松路也・塚本友康・井上嘉則・齊藤 満.2009 年 9 月.オンレジン抽出検出一体

分析法.日本分析化学会第 58 年会(札幌).化合物に選択性の高い樹脂を合成していくう

ちに,溶出の困難さから,溶出の必要性を除外した新規測定法の可能性を見出し,その概

念について報告.

塚本友康・山本敦・中島康夫・井上嘉則・齊藤 満.2009 年 9 月.イオン交換樹脂を用いな

い高感度陽イオン分析.日本分析化学会第 58 年会(札幌).ホウ酸・ジオール錯体の陽イ

オン分析系において,従来と異なる新規サプレッサ法について提案.

内山一寿・山本敦・伊藤 宏・利根川幸・近藤万莉.2009 年 9 月.HPLC-DAD を用いた微分

スペクトルクロマトグラム法による難燃剤の選択検出.日本分析化学会第 58 年会(札幌).

臭素系のジフェニルエーテル及びビフェニル類は多数の異性体が存在するため,LC では多

くのピークが重なり状態で溶出される.そこで,微分スペクトルクロマトグラフ法により,

未分離ピークの個別定量法について検討した.

山本敦・内山一寿・近藤万莉・木方隆文・小萱香代.2009 年 9 月.HPLC-DAD 微分スペクト

ルクロマトグラム法による蜂蜜中抗菌剤 TMP の高選択的分析.日本分析化学会第 58 年会(札

幌).蜂蜜中の TMP を測定するために,濃縮カラムを使った直接インライン多量注入法を検

討している.精製が不十分なため,妨害ピークの影響を受ける.そこで,微分スペクトル

クロマトグラフ法による定量を試みた.

小玉修嗣・會澤宣一・多賀 淳・山本敦・鈴木健太郎・誉田佳孝・健名智子・山下智富・齊

藤尚仁.2009 年 9 月.配位子交換キャピラリー電気泳動法での配位子濃度依存的エナンチ

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124-生物機能開発研究所 2009 年度研究業績

オマー泳動順の逆転現象.日本分析化学会第 58 年会(札幌).一般に,配位子交換クロマ

トグラフ法では,中心金属と配位子の割合には最適濃度が存在するものと考えられてきた.

金属濃度を最適以上に増加させると,Rs は 0 を超えて異性体の溶出順が反転することを見

出した.

健名智子・小玉修嗣・山本敦・井上嘉則・早川和一.2009 年 9 月.固相抽出-HPLC 法を用

いた海水中 EDTA 分析法の検討.日本分析化学会第 58 年会(札幌).海水中の EDTA 測定の

ための固相抽出法の開発を検討した.その結果,活性炭カートリッジに吸着された

Fe(III)-EDTA は,塩酸含有メタノールによって溶出されることを見出した.

小林泰之・塚本友康・山本敦・井上嘉則・上茶谷若・齊藤 満.2009 年 9 月.長鎖のベタイ

ン構造を有する吸着剤の開発.日本分析化学会第 58 年会(札幌).親水性相互作用の発揮

を期待して,カルボキシ基とイミノ基を併せ持ったポリマを官能基とした抽出剤を合成し,

親水性化合物に対する保持特性を評価した.

立松路也・塚本友康・山本敦・井上嘉則・齊藤 満.2009 年 9 月.オンレジン抽出検出一体

分析法開発のための基礎的検討.日本分析化学会第 58 年会(札幌).抽出・精製・検出一

体型のオンレジン検出法における試作型検出モジュールの構築とその評価について報告し

た.

三輪俊夫・山本敦・小玉修嗣.2009 年 9 月.新規旋光度検出器を用いた光学純度測定~マ

ツタケオールにおける溶媒増感効果.日本分析化学会第 58 年会(札幌).キノコ中の香気

成分であるマツタケオールを,その光学活性に基づく旋光度検出法について検討した.こ

の発表で,優秀ポスター賞を受賞.

中島康夫・鈴木清一・山崎真樹子・井上嘉則・山本敦.2009 年 9 月.有機リン酸分析シス

テムの開発~分析システムの構築とグリホサートへ応用~.日本分析化学会第 58 年会(札

幌).リン酸化合物を選択的に捕集するジルコニアを使い,除草剤であるグリホサート分析

への適用を図った.

Tsukamoto T, Ishigami T, Yamamoto A, Ohta K, Nakashima Y, Inoue Y. 2009 June.

Separation of common mono- and divalent cations on diol-type stationary phase with

borate-xylylendiamine eluents. The 3nd Korea-China-Japan joint ion analysis

symposium, (Jeju, Korea). ホウ酸とジオール錯体を利用した陽イオン交換クロマトグ

ラフィにおいて,対イオンであるキシリレンジアミンを疎水性相互作用で除去する新規サ

プレスト法について報告した.

山本敦.2010 年 3 月.食の安全について―食品中の添加物・有害物質の選択的簡易分析法

の開発―.バイオ関連合同コーディネータ会議 シーズ発表会(名古屋).食の安心・安全

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生物機能開発研究所 2009 年度研究業績-125

を担保するために欠かせない,食のリスクコミュニケーションを円滑にする手法としての

オンレジン分析法を紹介した.

健名智子・小玉修嗣・山本敦・井上嘉則・早川和一.2010 年 3 月.活性炭固相抽出-HPLC

法による海水中の EDTA 分析.日本薬学会第 130 年会(岡山).演者らの開発した固相抽出

-HPLC-UV 法を,実際の海水中の EDTA 量測定に応用した.

三輪俊夫・山本敦・小玉修嗣・田所利康・堤 浩一・佐藤崇信.2010 年 3 月.回折格子一次

光の遅相測定―新規旋光度検出器の感度に及ぼす遅相の影響.日本薬学会第 130 年会(岡山).

回折格子のようなピッチの短く規則正しい波状板での反射光に遅相が起こる現象は既に報

告されている.今回,そこでの回折光に遅相が生じていることを初めて観測し,その現象

を利用した旋光度検出器を開発した.

小玉修嗣・山本敦・多賀 淳・誉田佳孝・鈴木健太郎・健名智子・山下智富・齊藤尚仁.2010

年 3月.キラル配位子交換キャピラリー電気泳動法によるイソクエン酸の光学異性体分析.

日本薬学会第 130 年会(岡山).D-キナ酸を配位子とした場合の,各種中心金属によるイソ

クエン酸の光学分割の差異について考察した.

立松路也・末松千賀子・三輪俊夫・山本敦・井上嘉則.2010 年 3 月.オンレジン分析法―

クロルピリホスへの適用.日本薬学会第 130 年会(岡山).クロルピリホスに対する選択的

抽出剤の合成と評価,及び化学発光法の最適化を行い,オンレジン分析法の確立を目指し

た.

Ishikawa K, Yoshimura K, Harada K, Fukusaki E, Ogawa T, Tamoi M, Shigeoka S. 2010.

AtNUDX6, an ADP-ribose/NADH pyrophosphohydrolase in Arabidopsis, positively

regulates NPR1-dependent salicylic acid signaling. Plant Physiology In press

シロイヌナズナ細胞質型 ADP-ribose/NADH pyrophosphatase (AtNUDX2, 6, 7) の中で,

AtNUDX6 の発現はサリチル酸 (SA) 処理 (0.5 mM) 下でのみ顕著に誘導された.AtNUDX6 過

剰発現株 (Pro35S:AtNUDX6) および破壊株 (KO-nudx6) を用いた解析の結果,AtNUDX6 によ

る NADH 代謝は,TRX-h5 の発現制御を介した NPR1 依存的 SA シグナリングの制御に関与する

ことが示された.

Maruta T, Tanouchi A, Tamoi M, Yabuta Y, Yoshimura K, Ishikawa T, Shigeoka S. 2010.

Arabidopsis chloroplastic ascorbate peroxidase isoenzymes play a dual Role in

photoprotection and gene regulation under photooxidative stress. Plant Cell

Physiology 51, 190-200

活性酸素消去系の鍵酵素であるアスコルビン酸ペルオキシダーゼ(APX)の中で,葉緑体局

在型の 2 つのアイソフォーム(チラコイド膜結合型: tAPX, ストロマ型: sAPX)の酸化ス

トレス応答における役割をそれぞれの遺伝子破壊株を用いて解析した.その結果,葉緑体

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126-生物機能開発研究所 2009 年度研究業績

局在型 APX,特に tAPX は,酸化ストレス防御に働くだけでなく,葉緑体由来酸化ストレス

シグナルの発信に重要な役割を果たすことを明らかにした.

Ishikawa K, Ogawa T, Hirosue E, Nakayama Y, Harada K, Fukusaki E, Yoshimura K, Shigeoka

S. 2009. Modulation of the poly(ADP-ribosyl)ation reaction via the Arabidopsis

ADP-ribose/NADH pyrophosphohydrolase, AtNUDX7, is involved in the response to

oxidative stress. Plant Physiology 151, 741‐754

シロイヌナズナのヌクレオシド 2-リン酸加水分解酵素(Nudix hydrolase)の一つである

AtNUDX7 は,酸化ストレス下において,ポリ(ADP リボシル)化反応(PAR)の分解産物であ

る遊離 ADP-ribose からのヌクレオチドリサイクルによる細胞内エネルギー状態の維持だけ

でなく,NADH の代謝を介したポリ(ADP リボシル)化伸長酵素の活性化制御に機能している

ことを明らかにした.また,AtNUDX7 による PAR の活性化制御により,酸化的 DNA 損傷に対

する修復因子の発現が調節されていた.

Tanabe N, Kimura A, Yoshimura K, Shigeoka S. 2009. Plant-specific SR-related protein

atSR45a interacts with spliceosomal proteins in plant nucleus. Plant Molecular

Biology 70, 241‐252

植物特異的なドメイン構造を有する新規の SR タンパク質である atSR45a のスプライソソー

ム形成における atSR45a の役割を,酵母 Two-hybrid 法および BiFC 法により解析した.そ

の結果,atSR45a はスプライソソーム形成における 5’および 3’スプライス部位認識のための

基本構成因子などと相互作用し,スプライシング効率の制御に関与することを明らかにし

た.

吉村和也・石川和也・重岡成. 2010. "高等植物における Nudix hydrolase ファミリーの

多様な生理機能 -ヌクレオシド 2-リン酸類縁体の代謝を介した細胞応答制御-" 化学と生

物 印刷中

様々な生物において,ヌクレオシド 2-リン酸類縁体の代謝制御に関与する Nudix hydrolase

の酵素学的性質や分子特性,生理機能,それらによる多様な細胞応答の制御機構について,

最新の知見を総説した.

伊藤大輔・加藤貴大・石川和也・吉村和也・重岡成. 2010 年 3 月.CoA 代謝制御への CoA

pyrophosphohydrolase (AtNUDX11, 15)の関与.日本農芸化学会 2010 年度大会(東京)

分子遺伝学的手法により,シロイヌナズナにおける細胞質局在型 Nudix hydrolase 11

(AtNUDX11) およびミトコンドリア型 AtNUDX15 による CoA およびその誘導体代謝の生理的

意義の解明を試みた.その結果,AtNUDX11および15によるCoA代謝は,CoA生合成酵素(PANK,

PPCS, PPCD, PPAT, DPCK)の発現制御に関与していることが明らかになった.

森達也・森雅揮・横山国大・田部記章・丸田隆典・佐藤信雄・高橋広夫・吉村和也・重岡

成. 2010 年 3 月.タイリングアレイを用いた強光応答性シロイヌナズナ SR タンパク質,

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生物機能開発研究所 2009 年度研究業績-127

atSR45a の選択的スプライシング制御機構の解析.日本農芸化学会 2010 年度大会(東京)

遺伝子破壊株を用いたタイリングアレイ解析により,強光ストレス(800 µmol/m2/s)下で

シロイヌナズナのセリン-アルギニンリッチ(SR)タンパク質,atSR45a によりスプライシ

ング効率を制御される遺伝子の同定を試みた.その結果,atSR45a によりスプライシング効

率もしくは転写レベルが制御される複数の遺伝子の存在を確認した.

野志昌弘・草地一志・田内葵・丸田隆典・田茂井政宏・薮田行哲・吉村和也・石川孝博・

重岡成.2010 年 3 月.葉緑体由来の酸化的シグナリングによる環境ストレス応答の制御機

構.日本農芸化学会 2010 年度大会(東京)

チラコイド膜結合型アスコルビン酸ペルオキシダーゼ(tAPX)の一過的発現抑制系を用い

た実験から同定された,葉緑体由来の酸化的シグナリングに関与する遺伝子群遺伝子群

(RTS; Responsive to tAPX suppression)の遺伝子破壊株を単離し,それらの酸化ストレ

ス応答を解析した.

吉本忠司・黒瀬将史・丸田隆典・石川和也・吉村和也・重岡成.2010 年 3 月.リボフラビ

ン代謝制御における葉緑体型 FAD pyrophosphohydrolase(AtNUDX23)の生理機能.日本農

芸化学会 2010 年度大会(東京)

リボフラビン代謝系におけるシロイヌナズナ葉緑体局在型 Nudix hydrolase 23(AtNUDX23)

の役割について解析した.その結果,AtNUDX23 発現レベルによる遊離 FAD あるいは FMN レ

ベルの増加が,RF 生合成系のフィードバック阻害を引き起こすことが示唆された.

井上隆広・立花広太・丸田隆典・薮田行哲・吉村和也・石川孝博・重岡成.2010 年 3 月.

細胞質型アスコルビン酸ペルオキシダーゼによる酸化的シグナリングの制御機構.日本農

芸化学会 2010 年度大会(東京)

遺伝子破壊株を用いて,細胞質型アスコルビン酸ペルオキシダーゼによる酸化的シグナリ

ングの制御機構の解明を試みた.その結果,本酵素による細胞内レドックス制御は植物の

傷害応答シグナル(ジャスモン酸)経路に関与していることが明らかになった.

池本圭輔・金森あずさ・丸田隆典・石川和也・吉村和也・重岡成.2010 年 3 月.葉緑体型

NADPH 加水分解酵素(AtNUDX19)による光環境順応の制御機構.日本農芸化学会 2010 年度

大会(東京)

シロイヌナズナ葉緑体局在型 Nudix hydrolase 19(AtNUDX19)の光環境順応への関与につ

いて解析した.その結果,AtNUDX19 による NADPH レベルの制御は,細胞内レドックス状態

および光合成電子伝達系の調節を介して植物の光環境順応に関与することが示唆された.

横山国大・石川裕基・吉村和也・森達也・田部記章・丸田隆典・佐藤信雄・高橋広夫・重

岡成.2010 年 3 月.強光ストレス応答性 SR タンパク質,atSR30 による選択的スプライシ

ング制御機構の解析.第 51 回日本植物生理学会年会(熊本)

シロイヌナズナ セリン-アルギニンリッチ(SR)タンパク質,atSR30 の強光ストレスに応答

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128-生物機能開発研究所 2009 年度研究業績

した選択的スプライシング制御機構の解明を試みた.その結果,atSR30 は他の複数の SR タ

ンパク質と共役してスプライセオソーム構成に関与することが示唆された.また,タイリ

ングアレイ解析により,強光ストレス下でスプライシング効率を制御される遺伝子の同定

を試み,atSR30 によりスプライシング効率もしくは転写レベルが制御される遺伝子を同定

した.

石川和也・小川貴央・吉村和也・重岡成.2010 年 3 月.シロイヌナズナ Nudix hydrolase・

AtNUDX6・による NPR1 依存的サリチル酸シグナリングの制御.第 51 回日本植物生理学会年

会(熊本)

シロイヌナズナ細胞質型 ADP-ribose/NADH pyrophosphatase (AtNUDX2・6・7) の中で,

AtNUDX6 は NADH のみを生理的基質とし,その発現は病原菌感染時に誘導されることが明ら

かになっている.そこで本研究では,AtNUDX6 による NADH 代謝の制御が植物の病原菌感染

応答に果たす役割について解析を行った.その結果,AtNUDX6 による NADH 代謝は,TRX-h5

の発現制御を介した NPR1 依存的 SA シグナリングの制御に関与することが示された.

田内葵・野志昌広・丸田隆典・田茂井政宏・薮田行哲・吉村和也・石川孝博・重岡成.2010

年 3 月.葉緑体におけるアスコルビン酸ペルオキシダーゼによる酸化的シグナリングの制

御機構.第 51 回日本植物生理学会年会(熊本)

一過的発現抑制系を用いて,チラコイド膜結合型アスコルビン酸ペルオキシダーゼ(tAPX)

による葉緑体内レドックス制御が遺伝子発現へ及ぼす影響について検討した.その結果,

葉緑体型 APX 活性のバランスが環境ストレス応答の制御に関与することが示唆された.

尾尻恵・草地一志・野志昌広・田内葵・丸田隆典・薮田行哲・吉村和也・石川孝博・重岡

成.2010 年 3 月.葉緑体由来の酸化的シグナリングに関与する遺伝子群の単離.第 51 回日

本植物生理学会年会(熊本)

H2O2 の消去および H2O2 を介した酸化的シグナリングの制御に深く関与するチラコイド膜結

合型アスコルビン酸ペルオキシダーゼ(tAPX)の一過的発現抑制系を用いて,葉緑体由来

の酸化的シグナリングに関与する遺伝子群(RTS; Responsive to tAPX suppression)の単

離を試みた.その結果,RTS 遺伝子群には抗酸化系に関わる遺伝子はほとんど含まれておら

ず,高温耐性や耐病性,ホルモン応答に関与する遺伝子群が多く含まれていた.

野志昌弘・草地一志・尾尻恵・田内葵・丸田隆典・薮田行哲・吉村和也・石川孝博・重岡 成.

2009年11月.葉緑体由来の酸化的シグナリングを介した環境ストレス応答機構の解明. 第

20 回 関西光合成研究会(奈良)

H2O2 の消去および H2O2 を介した酸化的シグナリングの制御に深く関与するチラコイド膜結

合型アスコルビン酸ペルオキシダーゼ(tAPX)の一過的発現抑制系を用いて,葉緑体由来

酸化的シグナルにより制御される遺伝子発現制御機構を解析した.

池本圭輔・金森あずさ・丸田隆典・石川和也・吉村和也・重岡 成.2009 年 11 月.NADPH

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生物機能開発研究所 2009 年度研究業績-129

加水分解酵素(AtNUDX19)によるピリジンヌクレオチド代謝制御が光環境順応に及ぼす影

響.第 20 回 関西光合成研究会(奈良)

NADPH 特異的加水分解活性を有するシロイヌナズナ葉緑体局在型 Nudix hydrolase 19

(AtNUDX19)による NADPH レベルの制御が種々の光環境条件下における細胞内レドックス

状態および光合成電子伝達活性に及ぼす影響について解析した.その結果,AtNUDX19 によ

る NADPH レベルの制御は細胞内レドックス状態および光合成電子伝達系の調節を介して植

物の光環境順応に関与することが示唆された.

伊藤大輔・加藤貴大・石川和也・吉村和也・重岡成.2009 年 11 月.CoA pyrophosphohydrolase

(AtNUDX11・15)アイソザイム による CoA 代謝制御 第 24 回 ユーグレナ研究会(大阪)

シロイヌナズナ Nudix hydrolase (AtNUDX1~27) ファミリーの中で,CoA 加水分解活性を

有する細胞質型 AtNUDX11 およびミトコンドリア型 AtNUDX15 の生理的役割を明らかにする

ことを試みた.その結果,AtNUDX11 および 15 の発現抑制は,CoA 生合成系のフィードバッ

ク阻害を引き起こすことが示唆された.

吉本忠司・黒瀬将史・丸田隆典・石川和也・吉村和也・重岡成.2009 年 11 月.FAD

pyrophosphohydrolase(AtNUDX23)によるリボフラビン代謝系の制御機構 第 24 回 ユー

グレナ研究会(大阪)

リボフラビン代謝系におけるシロイヌナズナの葉緑体局在型 FAD 特異的加水分解酵素,

Nudix hydrolase 23(AtNUDX23)の役割を,AtNUDX23 発現抑制株(KD-nudx23)を用いて解

析した.その結果,AtNUDX23 の発現レベルの変化による遊離 FAD レベルの増加が RF 生合成

系のフィードバック阻害を引き起こすことが示唆された.

石川和也・小川貴央・吉村和也・重岡成.2009 年 12 月.シロイヌナズナ NADH

pyrophosphohydrolase (AtNUDX6) によるサリチル酸シグナリングの制御.第 32 回日本分

子生物学会年会(横浜)

シロイヌナズナの ADP-ribose/NADH pyrophosphohydrolase の一つ,AtNUDX6 が病原菌感染

応答に果たす役割について検討した.その結果,本酵素はサリチル酸に応答した NADH 代謝

制御を介して,病原菌感染応答の中心的因子,NPR1 に依存的な SA 誘導遺伝子 (PR1・WRKY70・

NIMIN1・NIMIN2) や,NPR1 の活性化に関与するチオレドキシ 5 (TRX5) の発現制御に機能

していることを示した.

池本圭輔・金森あずさ・丸田隆典・石川和也・吉村和也・重岡成.2009 年 12 月.NADPH 加

水分解酵素(AtNUDX19)によるピリジンヌクレオチド代謝および光環境順応の制御. 第

32 回日本分子生物学会年会(横浜)

シロイヌナズナ葉緑体局在型 Nudix hydrolase 19(AtNUDX19)発現抑制株(KD-nudx19)お

よび遺伝子破壊株(KO-nudx19)を用いて,ピリジンヌクレオチドレベルが種々の代謝系や

光環境順応に及ぼす影響を解析した.その結果,AtNUDX19 による NADPH レベルの制御は光

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130-生物機能開発研究所 2009 年度研究業績

合成電子伝達系の調節などを介して植物の光環境順応に関与することが示された.

森達也・田部記章・丸田隆典・吉村和也・重岡成.2009 年 12 月.植物の選択的スプライシ

ング制御因子 atSR30 および atSR45a による強光ストレス応答.第 32 回日本分子生物学会

年会(横浜)

動物の主要な選択的スプライシング制御因子 ASF/SF2 のホモログである atSR30 と植物特有

のドメイン構造を有する atSR45a による選択的スプライシング制御が強光ストレス応答に

及ぼす影響について,それぞれの遺伝子破壊株および二重遺伝子破壊株を用いて解析した.

その結果,atSR30 および atSR45a は選択的スプライシング制御を介して,強光下での HsfA2

や Hsp70 の発現を負に制御していることが示唆された.

丸田隆典・草地一志・野志昌弘・田内葵・薮田行哲・吉村和也・石川孝博・重岡成.2009

年 12 月.アスコルビン酸ペルオキシダーゼは葉緑体レドックス状態と環境ストレス応答の

クロストークに関与する.第 32 回日本分子生物学会年会(横浜)

一過的遺伝子発現抑制株を用いた解析により,チラコイド膜結合型アスコルビン酸ペルオ

キシダーゼ(tAPX)が葉緑体レドックス状態の制御に重要であり,それによる葉緑体発の

酸化的シグナルは種々の環境ストレス応答とクロストークしていることを示した.

田内葵・山田宏機・野志昌弘・丸田隆典・薮田行哲・吉村和也・石川孝博・重岡成.2009

年 5 月.アスコルビン酸ペルオキシダーゼによる葉緑体レドックス制御の環境ストレス応

答への関与.日本ビタミン学会第 61 回大会(京都) 葉緑体レドックスの制御に機能する

と予想されるチラコイド膜結合型アスコルビン酸ペルオキシダーゼ(tAPX)レベルの遺伝

子発現への影響について詳細に検討した結果,tAPX 発現の一過的抑制に伴い,細胞死,老

化およびホルモン応答に関与する遺伝子群の応答が認められた.以上より,葉緑体型 APX

活性のバランスが環境ストレス応答の制御に関与することが示唆された.

石川和也・小川貴央・吉村和也・重岡成. 2009 年 5 月.シロイヌナズナ ADP-ribose/NAD(P)H

pyrophosphohydrolase・AtNUDX7・による酸化的 DNA 損傷修復機構の制御.日本ビタミン学

会第 61 回大会(京都)

NADH 加水分解酵素,AtNUDX7 による PAR 反応制御の生理的意義を AtNUDX7 過剰発現株およ

び遺伝子破壊株を用いて解析した.その結果,正常および酸化ストレス下における DNA 一

本鎖損傷の修復因子(AtXRCC1)および DNA 相同組換え修復(HR)因子(AtXRCC2)の発現量は,

AtNUDX7 の発現量および PAR 活性と正の相関関係を示したことから,AtNUDX7 は PAR 反応を

介して DNA 修復因子の発現量を制御することで,酸化ストレス防御に関与することが示唆

された.

池本圭輔・丸田隆典・石川和也・吉村和也・重岡成.2009 年 5 月.NADPH pyrophosphohydrolase

(AtNUDX19)を介した葉緑体での NADPH 代謝が光環境順応に及ぼす影響.日本ビタミン学

会第 61 回大会(京都)

Page 39: 生物機能開発研究所2009年度研究業績- 愛知真木子 …stu.isc.chubu.ac.jp/bio/public/ann_rep_res_inst_biol...阻害されるが,3種の中ではDt,Dsが富栄養耐性,Drが富栄養感受性であることが明らか

生物機能開発研究所 2009 年度研究業績-131

葉緑体に局在し,NADPH 特異的加水分解活性を有する AtNUDX19 の生理機能を明らかにする

ために,AtNUDX19 発現抑制株(KD-nudx19)および遺伝子破壊株(KO-nudx19)の通常生育

光(NL),弱光および強光条件におけるピリジンヌクレオチド量,アントシアニン量,およ

び生育比較を行った.その結果,AtNUDX19 は光環境への順応の負の制御因子として機能す

ることが示唆された.

伊藤大輔・石川和也・小川貴央・吉村和也・重岡成.2009 年 5 月.シロイヌナズナ CoA

pyrophosphohydrolase(AtNUDX11 および 15)の CoA およびその誘導体の代謝制御への関与.

日本ビタミン学会第 61 回大会(京都)

CoA 加水分解酵素,AtNUDX11 および 15 の分子特性および生理機能を解析した.その結果,

AtNUDX11 および 15 が TCA サイクルやβ酸化などの多様な代謝経路の制御に関与すること,

AtNUDX11 および 15 は互いに機能を相補していることが示唆された.

丸田隆典・井上隆広・薮田行哲・吉村和也・石川孝博・重岡成.2009 年 5 月.細胞質型ア

スコルビン酸ペルオキシダーゼを介した活性酸素種の機能制御.日本ビタミン学会第 61 回

大会(京都)

レドックス制御系の鍵酵素である細胞質型アスコルビン酸ペルオキシダーゼ(APX1)が非

常に重要であると考えられた.そこで,APX1 の遺伝子破壊シロイヌナズナ(KO-APX1)を用

いて,傷害ストレスおよび JA メチルに対する感受性を評価した.その結果,APX1 の欠損は

JA により細胞外で発生した H2O2に対する感受性を強めること,および酸化的シグナリング

の特異性に影響することが明らかになった.

和田俊夫.2009 年 9 月.第2回生物食品技術研究会.講師「食の安全性確保とネット情報

の活用」.(社)岐阜県工業会主催(テクノプラザ、各務原市)

和田俊夫.2009 年 10 月.食品衛生スペシャリスト人材養成講座.講師「食品の分析を考え

る」.美濃加茂商工会議所主催(美濃加茂市中央公民館、美濃加茂市)

和田俊夫.2010 年 3 月.食の安全・食育にかかわる教育のための大学連携フードコンソー

シアム.講師「食のリスク管理の現状」.大学連携フードコンソーシアム主催(中部大学名

古屋キャンパス、名古屋市)