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非劣性検証 -評価の経験、現状そして課題 201195医薬品医療機器総合機構 安藤 友紀 2011年度統計関連学会連合大会 企画セッション:非劣性試験における統計的課題

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非劣性検証-評価の経験、現状そして課題

2011年9月5日医薬品医療機器総合機構

安藤 友紀

2011年度統計関連学会連合大会企画セッション:非劣性試験における統計的課題

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はじめに

本日の講演内容は個人の経験に基づく個人的な意見です

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概要

非劣性試験の特徴とこれまでの経緯

現状

国内における状況

FDAのドラフトガイダンス

関連するその他の話題

非劣性検証と優越性検証

国際共同治験

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概要

非劣性試験の特徴とこれまでの経緯

現状

国内における状況

FDAのドラフトガイダンス

関連するその他の話題

非劣性検証と優越性検証

国際共同治験

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非劣性試験の特徴

被験薬の有効性が実対照薬の有効性よりも劣らないことを示す

非劣性試験に関する重要な論点

同等限界(非劣性マージン)の設定

「臨床的に許容できると判断しうる最大の差であり、実対照薬の有効性を立証した優越性試験において観測された差よりも小さいものであるべき」

分析感度の保証

「有効な治療と有効性の低いあるいは無効な治療とを区別する力」

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関連する環境の変化

被験薬の有効性を示すための方法の変遷

「臨床試験のための統計的原則」(医薬審第1047号平成10年11月30日、以下、ICH-E9)以前

ICH-E9~ 「臨床試験における対照群の選択とそれに関連する諸問題」(医薬審発第136号平成13年2月27日、以下、ICH-E10)

現状

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ICH-E9以前

~1992年 有効性に関して実対照薬との間に統計的な有意差が認められないことをもって、有効性が実対照薬と同等であるとみなされていたことがある(いわゆる「NS同等」と呼ばれる判断)

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ICH-E9以前

「臨床試験の統計解析に関するガイドライン」(薬新薬第20号、平成4年3月4日) 同等性の検証

「薬効評価に当っては、プラセボよりも有意に優れており、市販の実対照薬と同等又はそれ以上であることが要求されている。ここで、“有意差のない”ことをもって直ちに“同等”であるとするのは明らかに間違いであり、有意差のないことは統計的に“同等”を保証するものではない。」

△以上に劣ることはないことの証明をもって同等性を保証しようとする方法 a.治験薬と実対照薬の有効率の差の信頼区間(90%信頼区間)が-△より

小さい領域を含まない場合

b.「治験薬の有効率が実対照薬の有効率に比して△以上劣る」という帰無仮説に対する片側仮説検定(有意水準5%)を用い、これが棄却されたときに臨床的に同等と判断

△:治験薬と実対照薬の臨床的に許容できると考えられる有効率の差を予め設定しておいたもの 疾患、薬効群により具体的な数値は異なるものの、例えば 10%が一つの目

安となる。

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脳循環代謝改善薬の再評価

厚生省緊急医薬品情報 (平成10年5月20日(水))「再評価結果に基づく脳循環代謝改善薬4成分に係る措置について」

昨日(5月19日)開催された中央薬事審議会常任部会において次の4成分の脳循環代謝改善薬について、「これらの薬剤の薬理効果は否定されるものではないが、現在の医療環境の中で、これらの薬剤の慢性期の脳血管障害時の治療における医療上の有用性は承認当時に比較すると低下したものと考えられ、現時点における医療上の有用性は確認できなかった。」との再評価の答申が出され、厚生省として、次に掲げる医薬品について関係製薬会社に対し、(1)薬事法に基づく製造承認の整理(2)医薬品の製造・販売の中止、医療機関・薬局からの回収(2週間以内)を指示しました。また、(3)昨日(5月19日)付けで、医療保険での使用を差し控えるよう医療機関・薬 局にお願いしており、5月25日には薬価基準から削除する予定です。これにより、同日以降の診療(調剤)での当該薬剤の保険給付ができなくなります。(5月24日までの当該薬剤の保険給付分は診療(調剤)報酬の請求は可能です。)

[対象医薬品](成分名)イデベノン、塩酸インデロキサジン、塩酸ビフェメラン、プロペントフィリン

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http://www1.mhlw.go.jp/houdou/1005/h0519-1.html

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脳循環代謝改善薬の再評価

承認時の有効性評価 実対照薬(ホパテン酸カルシウム)との比較に基づき承認(実対照薬自体は他の理由(肝障害)で1990年には使用されなくなっていた)

当時はいわゆる「NS同等」で承認(旧統計ガイドライン以前)

再評価による経験 対照薬を含めた一連の薬剤の効果の、時代の流れに伴う変化の可能性

過去の同等性試験の問題(ただし、いわゆる「NS同等」で承認されたこと自体が問題ではなかった可能性がある)

プラセボ対照試験の重要性(一連の薬剤の開発後に発出された薬効評価ガイドラインでは既に言及されていた)

評価指標の信頼性と妥当性の重要性

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ICH-E9

評価項目 「有効率」→「臨床的に適切で重要な治療上の利益に関する妥

当で信頼のおける指標であることが十分に証拠づけられている」指標

「同等性」と「非劣性」の区別 同等限界(非劣性マージン)

「臨床的に許容できると判断しうる最大の差であり、実対照薬の有効性を立証した優越性試験において観測された差よりも小さいものであるべきである。(中略)同等限界の大きさの選択には、十分な臨床的根拠を示すべきである。」

有意水準(Q&A2) 効果の推定:95%信頼係数の両側信頼区間

検定の際の有意水準:優越性試験、非劣性試験のいずれにおいても、片側2.5%又は両側5%とすることを原則とする

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ICH-E9

ICH-E9に伴う検討

評価項目の信頼性と妥当性の確保

信頼性試験の実施

同等限界の設定に関する工夫

評価項目の精度

医師へのアンケート

非劣性試験において(他の条件が変わらなかった場合の)例数の増加

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ICH-E10

有効性を示すための様々なデザインの整理 非劣性試験に関して

分析感度 次の二つが満たされているかどうか 「薬剤効果に対する感度の既存の証拠」同様にデザインされた過去の試験では、ほぼ一貫して有効な治療と有効性の低いあるいは無効な治療とを区別できた

「試験の適切な実施」試験の実際の行われ方が、有効な治療と有効性の低いあるいは無効な治療を区別する力を低下させなかった

非劣性試験における限界値 「実対照薬とプラセボを比べた場合に、「確実に期待できる実対照薬の効果の大きさの最小値」より大きな値であってはならない。」

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非劣性マージンに対する考え方

国内では非劣性試験においていわゆる仮想プラセボに対しての優越を意識してきたかだろうか? 薬効が存在すること(0ではないこと)

対照薬と同等であること

対照薬の過去のプラセボ対照試験における効果よりも小さいマージン、という設定との乖離の可能性 領域に依存するものの、効果が同等であるという臨床的判断(一般的にさらに小さいマージン)を重視する傾向

2種類?のマージンの存在

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概要

非劣性試験の特徴とこれまでの経緯

現状

国内における状況

FDAドラフトガイダンス

関連するその他の話題

非劣性検証と優越性検証

国際共同治験

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~その後

プラセボ対照の重要性 過去に非劣性試験(同等性試験)により有効性が示されてきた領域においてもプラセボ対照を設定することが推奨される

降圧薬、向精神薬等

非劣性試験での分析感度の保証の困難さ 対照薬の効果に関する情報の少なさ

いわゆる3群比較試験の実施

新医薬品承認審査業務に関わる審査員のための留意事項(平成20年4月17日)

http://www.pmda.go.jp/topics/file/h200417kohyo.pdf

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審査員のための留意事項

「プラセボに対する優越性が検証されているような場合には、既存薬を対照とした非劣性試験は必ずしも必要はない。しかしながら、対象とする疾患で既に標準となる治療薬が確立しており、有効性に関しプラセボに対する優越性が示されていても、臨床的意義が明確になっていないような場合には、標準薬との臨床的位置づけを明確にするため、非劣性試験を実施することが適切である(例:感染症治療薬等)。また、既存薬との位置づけを確認するために、既存薬との比較において統計的な検出力を担保しなくても、既存薬を対照薬として加え、プラセボ、治験薬及び対照薬の3群による比較試験を実施することが有用な場合もある。」

「プラセボによる反応率が一定と推定される疾患領域においては、治験薬の既存薬に対する非劣性を示すこと又は非対照試験でも客観的で適切な臨床試験を実施することにより、評価が可能な場合もある。」

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現在の状況

基本的にはプラセボを対照とした有効性の検証が必要である 通常はプラセボ対照試験の実施

標準薬との位置づけに興味がある(作用機序が異なる、試験の感度の確認)→プラセボ+非劣性(又は参照群の設定でよい場合がある)

非劣性検証が(むしろ)重要である場合もある 標準薬の効果が一般的であり同様の効果が強く求められる→

非劣性(+プラセボ) 用法や漸増方法、剤型の変更→非劣性又は同等性(+プラセ

ボ)

プラセボ対照試験の実施が困難な場合もある →非劣性 非対照試験(限られた状況、希少疾病等)

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FDAのドラフトガイダンス

Guidance for Industry: Non-Inferiority Clinical Trials (Draft) 非劣性試験の一般的な留意事項

マージンの設定と結果の解析方法

Q&A 評価の事例

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FDAのドラフトガイダンス

マージンの設定 M1

対照薬が非劣性試験で示すと考えられる全ての効果 過去の試験等から推定される 非劣性試験を実施する上での非常に重要な点

M2 臨床的に受け入れられる被験薬の対照薬との差 被験薬が対照薬の効果M1のうちのどの程度の割合を保持すべきか、に関連

M1の選択と分析感度は以下に基づく 薬剤効果に対する感度の過去の証拠

非劣性試験と過去の対照薬のプラセボ対照試験との類似性(constancy assumption)

試験の質

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概要

非劣性試験の特徴とこれまでの経緯

現状

国内における状況

FDAドラフトガイダンス

関連するその他の話題

非劣性検証と優越性検証

国際共同治験

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非劣性検証と優越性検証

対面助言等で時折提示される質問 治験計画時に、本薬の有効性の対照薬に対する非劣性検証に加え優越性検証においても一定の検出力を保てるよう被験者数を設定し、非劣性が示された場合には優越性を検証することを治験実施計画書に明記する

(対照薬に対する優越性の主張が可能か)

FDAドラフトガイダンスの記載 「It is possible to design the NI study to first test

the hypothesis of NI with the pre-specified margin, and then if this test is successful, proceed to analyze the study for a superiority conclusion. This sequential strategy is entirely acceptable.」

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非劣性検証と優越性検証

一義的な目的は非劣性の検証 非劣性が検証されれば当該治験薬について承認に足る有効性が認められたと判断できる

優越性検証を主目的として試験を計画することも可能、又はそれが必要な場合もある 治験薬が既存薬に対してより有効であることを示すことに意味があると考えた場合等

開発コンセプトに関わる問題 対象患者や用量の選択にも関連

一試験の結果に左右されてよいか

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非劣性検証と優越性検証

現状、基本的には非劣性検証の結果を中心に審査報告書、添付文書の臨床試験の項を記載

試験の結果として、対照薬との差の信頼区間等の記載はあり、解釈は可能である

安全性との比較考量が焦点となる場合等、例外はある

当該医薬品の特徴として情報提供することは可能ではないか

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国際共同治験における問題

国際共同治験として実施される検証的試験の対照群やその内容に関連して、地域差が存在する可能性がある

対照群の設定

実対照薬用量やその調節方法

標準治療

「国際共同治験に関する基本的考え方」(薬食審査発第0928010号平成19年9月28日)において言及

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「基本的考え方」Q&A9

国際共同治験でプラセボのみが対照群と設定されている場合があるが、そのような場合においても日本では別途実薬を対照群として設定することが必要であるか? 原則としてその必要はなく、治験薬のプラセボに対する優越性が検証

され、全集団と日本人集団との間で一貫した結果が得られるよう臨床試験を計画することが適切である。(後略)

対照群として用いられる実薬が国際的な標準薬であっても、国内では未承認の場合があるが、このような場合に国内での対照薬をどのように設定すべきか? 用いようとしている実薬が国際的に標準薬であることが諸外国等のガ

イドライン等の記載から客観的に説明できるのであれば、国内で未承認の医薬品であっても、治験における対照薬として試験を実施することは可能・・・(中略)・・・なお、非劣性検証を目的とした試験における結果の解釈については慎重に判断する必要があるので、当該未承認の対照薬の有効性・安全性に関するデータ、特に日本で既承認である医薬品と当該未承認薬の相違等について、可能な限り情報を収集し、得られる結果の日本人患者への外挿性を予め検討しておくことが望ましい。

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国際共同治験における問題

実対照薬に関する国内外の情報量の差異、対照治療の内容の差異が特に非劣性の判断に与える影響は大きい

被験薬及び対照薬の当該試験における成績の国内外の差異、類薬等を含めた臨床薬理学的情報や試験成績等を踏まえて解釈するべきだろう

非劣性試験における日本人部分集団と全体集団の成績の一貫性や、日本人被験者数の設定も別途論点になる

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おわりに

治験薬の有効性検証を取り巻く環境にはここで触れていないものも含め様々な変化がある 臨床薬理学的検討

主要評価項目とサロゲートエンドポイント(バイオマーカー)の関係

国際的な医薬品開発

今後も、効率的かつ十分に情報を収集する方策に関する検討が必要 承認前に、医薬品が提供される際に必要不可欠な情報の承認前に効率的に取得

その他必要な情報については市販後に計画的に収集

疾患や薬剤の特徴を踏まえて判断