20140213 web×マス広告の統合分析第1部_公開用

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インターネット広告分析に役立つ計量時系列分析とは? 沖本 竜義 一橋大学大学院国際企業戦略研究科

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サイバーエージェント インターネット広告事業本部主催のセミナー 「一橋大学沖本准教授との共同研究経過発表 研究結果と最新US動向から見る、Web×マス広告の統合分析について」 http://www.cyberagent.co.jp/event/attribution_seminar/ にて使われたスライドの公開版です。

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Page 1: 20140213 web×マス広告の統合分析第1部_公開用

インターネット広告分析に役立つ計量時系列分析とは?

年 月 日

沖本 竜義

一橋大学大学院国際企業戦略研究科

Page 2: 20140213 web×マス広告の統合分析第1部_公開用

本日の講演の流れ

導入的な例

計量時系列分析の考え方

モデル

時系列分析のマーケティング分野への応用例

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導入的な例

モデルを用いた株式市場の分析

目的は何か?

株式収益率を予測したい!

リスク管理を適切にやりたい!

そのために どのようなことが明らかにできればよいか?

どんな情報が役に立つのか

どんな変数がどのような影響を持つのか

モデルを用いると,このような問いに答えを見つけることがで

きる

グレンジャー因果性分析

インパルス応答分析

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実証分析例

データ: の日次データ 年 月~ 年 月

:日本株式市場の収益率

:イギリス株式市場の収益率

:アメリカ株式市場の収益率

変量 モデルを推定

インパルス応答分析

ある変数に対するショック 想定外の変化 がその変数やその他の

変数の値に与える影響の分析

日銀の想定外の金融政策により,日本の株価が 上昇したと

き,他国の市場がどのような影響を受けるか?

3

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1.2%

0.1%

0.2%

(t)

(t+1)

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1%

0.4%

(t)

(t+1)

0.4%

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0.8%

(t)

(t+1)

0.4%

2 (t+2)

0.1%

0.4%

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計量時系列分析の考え方

時系列分析の目的

観察された時系列データ の動きを説明できるモデルの構築

景気の動向や株価の予測

明日の株価や為替レートの範囲の予測

国際株式市場間の関係の分析

財政・金融政策の評価

マーケティングへの応用!

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TOPIX

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

3500

75 78 81 84 87 90 93 96 99 02 05年

実効為替レート

0

20

40

60

80

100

120

75 78 81 84 87 90 93 96 99 02 05年

00年=100

鉱工業生産指数

0

20

40

60

80

100

120

75 78 81 84 87 90 93 96 99 02 05年

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時系列分析的アプローチ

過去のデータの傾向を探る

日次株式収益率を調べてみたら, となった

現実には,何らかの傾向とともに,様々な要因に左右される不確定

な要因も存在

現実のデータ 何らかの傾向 不確定要因

時系列分析は,時系列モデル 数学的モデル により,過去のデータ

の傾向を捉える

時系列モデルで,捉えられない部分は,モデルの誤差と考える

現実のデータ 時系列モデル 誤差

誤差の部分を統計学的に処理を行うことによって,時系列モデルを

構築する

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‐3

‐2

‐1

0

1

2

3 傾向

現実のデータ

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時系列モデル

どのように過去のデータの傾向を捉えるか?

少しの仮定が必要

現在と過去のデータの 比例 関係は不変

過去のデータの影響は,どんどん薄れていく

この過程の下での代表的な時系列モデルは 期のデータを自身の過

去の線形関数で表すモデル

このようなモデルを自己回帰モデルまたは モデルと呼ぶ

モデル

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モデルの使用例

データ: 年 月から 年 月の鉱工業生産指数の月次成長率

モデル:

推定結果:

年 月の成長率の予測値:

年 月の成長率の実現値:

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モデル

モデル

経済変数は互いに関連している

経済成長率は政策や金融市場に大きな影響を受ける

株式収益率は為替や他国の株式市場の動きに大きな影響を受ける

複数の時系列データの動きや特性を同時に説明するモデルの必要性

予測精度の向上

変数間の動学関係の分析

ベクトル自己回帰 モデルの利用

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が を用いて,マクロ経済を分析する

ことを提唱して以来,多くの問題に応用されている

は を用いたマクロ経済分析も数々の貢献のうちのひとつ

として, 年にノーベル経済学賞を受賞

モデル:複数の変数を定数と自身の過去に回帰したモデル

変量 モデル

一般的に, 変量 モデルは 本の回帰式からなり,それぞれの

回帰式は,各変数を定数と全変数の過去に回帰した形をしている

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1

2

1 2

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変数の選択

システムに含まれる変数が多いほどモデルは正確になるはずだが,

推定が困難になるなどの問題も生じる

経済理論などを用いて,モデルに含める変数を選択する必要がある

国際株式市場の関係

: 時点 における 日本株式市場の収益率

:イギリス株式市場の収益率

:アメリカ株式市場の収益率

金融政策の評価

:鉱工業生産指数または

:コールレート

:マネタリーベース

:物価

:株価や為替レート

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インパルス応答関数

ある変数に対するショック 想定外の変化 がその変数やその他の変

数の値に与える影響の分析

国際株式市場の関係

:日本株式市場の収益率

:イギリス株式市場の収益率

:アメリカ株式市場の収益率

日本株式市場のショックに対するアメリカ市場の

日本の株式市場で何らかのショックが起きたとき,アメリカ株

式市場に,同時点や 期後などの各時点でどのような影響を与

えるか?

日本株式市場のショックに対するイギリス株式市場の

インパルス応答関数は合計 個存在する

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モデルにおける

ある日の米国市場でショックが起こる

同じ日の日本市場とイギリス市場にショックが伝わる

が変化し, が変化

各市場の同時点での反応が翌日の各市場に伝播

の変化を通じて, が変化

翌日の反応が, 日後に伝播

の変化を通じて, が変化

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t

t+2

t+1

t+3 t t+3 t+2 t+1 21

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-0.4

0.0

0.4

0.8

1.2

1.6

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

Response of RJP to RJP

-0.4

0.0

0.4

0.8

1.2

1.6

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

Response of RJP to RUK

-0.4

0.0

0.4

0.8

1.2

1.6

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

Response of RJP to RUS

-0.2

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

Response of RUK to RJP

-0.2

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

Response of RUK to RUK

-0.2

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

Response of RUK to RUS

-.2

.0

.2

.4

.6

.8

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

Response of RUS to RJP

-.2

.0

.2

.4

.6

.8

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

Response of RUS to RUK

-.2

.0

.2

.4

.6

.8

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

Response of RUS to RUS

Response to Cholesky One S.D. Innovations ± 2 S.E.

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1.2%

0.1%

0.2%

(t)

(t+1)

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(t)

(t+1)

0.4%

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0.8%

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0.4%

2 (t+2)

0.1%

0.4%

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時系列分析のマーケティング分野への応用例

検索広告とディスプレイ広告の分析

検索広告とディスプレイ広告の動学的関係を分析

アメリカ南部に拠点をもつ商業銀行のデータを利用

グレンジャー因果性分析による,因果性の分析

共和分と呼ばれる長期均衡関係の分析

モデル 長期均衡関係を考慮に入れた による分析

検索広告クリックを 回上昇させたときの

初の 週間は,検索を通じた口座開設が週間 程度上昇し,

週間後以降は 程度上昇する

初の 週間は,ディスプレイ広告を通じた口座開設は有意に

低下し,その後は有意な影響はなし

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ディスプレイ広告を 万ドル増やしたときの

初の 週間は,検索を通じた口座開設は上昇しないが, 週間

後以降は週間 程度の上昇が見られる

初の 週間は,ディスプレイ広告を通じた口座開設は週間

程度上昇し,それ以降は 程度上昇する

ディスプレイ広告のほうが有効に思えるが,追加的なコストは大

きい

総予算の パーセントを検索広告に配分するのが 適

その他の応用例に関しては,例えば,

と今後のプレゼンを参照

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参考文献

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