20140829 ifrs 収益の基準解説と実務・itへの影響

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IFRS 収収収収収収収収収収IT 収収収収 株株株株株株株 株株株株株株 株株株株株 株株株株株 株株株株株株株株株株株 (CISA) 2014 株 8 株 29 株

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2014/08/29 NTTデータビズインテグラル様主宰セミナーの登壇資料です

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Page 1: 20140829 IFRS 収益の基準解説と実務・ITへの影響

IFRS 収益の基準解説と実務・ IT への影響

株式会社クレタ・アソシエイツ 代表取締役公認会計士 公認情報システム監査人 (CISA)

原 幹

2014 年 8 月 29 日

Page 2: 20140829 IFRS 収益の基準解説と実務・ITへの影響

1. IFRS を巡る国内外の動向

2. IFRS 収益認識基準の概要

3. IFRS 収益認識基準の改訂が実務・ IT に与える影響

目次

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Page 3: 20140829 IFRS 収益の基準解説と実務・ITへの影響

1. IFRS をめぐる国内外の動向

Page 4: 20140829 IFRS 収益の基準解説と実務・ITへの影響

テーマ 2014 Q3 2014 Q4 2015 Q1 2015 Q2

保険契約 再審議

リース 再審議

中小企業向け IFRS 再審議

概念フレームワーク ED 目標

ダイナミックリスク管理( マクロヘッジに対するポートフォリオ再評価アプローチ )

パブリックコンサルテー

ション

料金規制事業 DP 目標

開示イニシアティブ 開示の原則 ボード討議

1. IFRS をめぐる国内外の動向IFRS 改訂スケジュール

• 収益認識の基準 (IFRS15 号 ) が正式にリリースされた

• 「リース」の再審議を継続中出典: Work plan - as at 30 July 2014 より抜粋http://www.ifrs.org/Current-Projects/IASB-Projects/Pages/IASB-Work-Plan.aspx

DP:Discussion PaperED:Exposure Draft( 公開草案 )

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Page 5: 20140829 IFRS 収益の基準解説と実務・ITへの影響

リース会計基準の概要と特徴 「使用権 (right of use) モデル」の適用検討

リース取引の貸手は「リース期間にわたり、リース料等の支払を受ける権利」という資産を保有している

リース取引の借手は「リース期間にわたり、リース資産を使用する権利」という資産を保有しており、同時に「リース期間にわたり、リース料等の支払をなす義務」という負債を保有している

貸手における「履行義務アプローチ」と「認識中止アプローチ」 既存の基準の置き換え

IAS17 IFRIC4( 契約がリースを含んでいるかどうかの判定 ) SIC15( オペレーティング・リース-インセンティブ ) SIC27( リースの法形式を伴う取引の実質の評価 )

検討ステータス リースの貸手については収益認識の包括的検討完了後に着手 リースの借手については IAS17 を維持しつつ、オペレーティングリースについても

無形資産 ( リースに備わった使用権 ) を取得して反映する方向で検討中 リース資産を「タイプ A( 不動産以外 ) 」 「タイプ B( 不動産 ) 」に分けて処理を規定す

1. IFRS をめぐる国内外の動向主要トピック : リース

審議中

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Page 6: 20140829 IFRS 収益の基準解説と実務・ITへの影響

1. IFRS をめぐる国内外の動向主要トピック : リース

設例 ( タイプ A リース ) 耐用年数 10 年の機械を 3 年リースする リースは解約不能、リース期間を延長する権利やリース期間満了時に購入する権利はない 支払額は各期末に 120 百万円、現在価値はリース取引開始時に 300 百万円

「借手」の仕訳の例

借方 金額 貸方 金額

リース取引開始日 使用権資産 300 リース料支払義務 300

利息相当額の計上 リース料支払義務利息費用

9030

現金 120

使用権資産の償却 減価償却費 100 減価償却累計額 100

※使用権資産:リース資産 ( 原資産 ) をリース期間にわたって使用する権利を表す資産

審議中

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Page 7: 20140829 IFRS 収益の基準解説と実務・ITへの影響

国内企業への IFRS 適用に関する動向 (2013 年~ ) 国内上場企業への強制適用について決定タイミングは未定 金融庁・企業会計審議会の検討状況

5 月 28 日開催 企画調整部会 IFRS任意適用の要件緩和が提案された IFRS の一部を除外・修正する IFRS( 「エンドースメント IFRS 」「 J-IFRS 」と呼称 ) の策定が提

案された 連結開示を行う企業の単体財務諸表の開示簡素化 ( 会社法の要求水準に統一する、金商法の連結ベース開示を行っている場合は個別ベース開示を省略する ) が提案された

連結開示を行わない企業の単体財務諸表の開示は見直しを行わないこととした 6 月 12 日開催 企画調整部会

IFRS の一部を除外・修正する IFRS( 「エンドースメント IFRS 」「 J-IFRS 」と呼称 ) の策定が引き続き議論された

「日本基準」「米国会計基準」「ピュア IFRS 」「エンドースメント IFRS 」の 4種類を併存しつつ、任意適用の対象範囲を拡大する方向で調整する

6 月 19 日開催 企画調整部会 「国際会計基準 (IFRS) への対応のあり方に関する当面の方針」 ( 案 ) を承認

6 月 20 日 金融庁 「国際会計基準 (IFRS) への対応のあり方に関する当面の方針」を公表

1. IFRS をめぐる国内外の動向国内における IFRS 適用の動向

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Page 8: 20140829 IFRS 収益の基準解説と実務・ITへの影響

1. IFRS をめぐる国内外の動向国内における IFRS 適用の動向

国内企業への IFRS 適用に関する動向 (2013 年~ ) 国内上場企業への強制適用について決定タイミングは未定 新会計基準の開発

ASBJ 主導で「修正国際基準」公開草案を策定 基準の削除 /修正は必要最小限にとどめる

その他包括利益 (OCI) のリサイクリング (a) 資本性金融商品の OCI オプション

  IFRS第 9 号に従って OCI 処理したものは売却時または減損時にリサイクリングする (b)確定給付負債 ( 資産 ) の純額の再測定

  「 IAS第 19 号に従って OCI 処理された金額について、遅延認識を行う」方向で基準の  削除 /修正を検討する

のれんの非償却 「 IFRS第 3 号に従って計上されたのれんについて償却」の方向で基準の削除 /修正を検討し

ていく 「毎年ののれんの減損テスト、企業結合で取得した無形資産の識別、耐用年数を確定できな

い無形資産」については削除 /修正しない

適用時期未定 (2015 年 3 月期? )

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Page 9: 20140829 IFRS 収益の基準解説と実務・ITへの影響

1. IFRS をめぐる国内外の動向国内における IFRS 適用の動向

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国内企業への IFRS 適用に関する動向 (2013 年~ ) 修正国際基準 ( 公開草案 ) の概要

次の 3文書より構成される 修正国際基準の適用 ( 案 ) 企業会計基準委員会が採択した国際会計基準審議会 (IASB) により公表された

会計基準及び解釈指針 (IFRS/IAS/IFRIC/SIC) 2012※ 年 12 月 31 日現在公表分 企業会計基準委員会による修正会計基準

のれんの会計処理 ( 案 ) その他の包括利益の会計処理 ( 案 )

エンドースメント手続1. IASB が新規 / 改正された会計基準等を公表する2. ASBJ が「削除又は修正」せずに採択できるか検討する

採択する場合はその旨の公開草案を公表 「削除又は修正」を行って採択する場合には ASBJ による修正公開草案を公表

3. 公開草案への意見をもとに審議を行い採択を行う4. 金融庁による修正国際基準に関する告示を行う

「我が国における会計基準に係る基本的な考え方と合わない場合」または「実務上の困難さがある場合」に「削除又は修正」の対応を行う

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1. IFRS をめぐる国内外の動向国内における IFRS 適用の動向

モニタリングボードの位置付け

モニタリングボード

IFRS財団評議員会

IFRS諮問会議 IASB IFRS 解釈指針委員会

指名の承認

指名指名

指名

IFRS の作成・改訂

金融庁【議長】証券監督者国際機構 (IOSCO)欧州委員会 (EC)米国証券取引委員会 (SEC)バーゼル銀行監督委員会 ( オブザーバー )

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Page 11: 20140829 IFRS 収益の基準解説と実務・ITへの影響

1. IFRS をめぐる国内外の動向国内における IFRS 適用の動向

モニタリングボードの位置付け 既存メンバーの定期的な見直しを行う

2013 年に開始し、原則として 3 年ごとに見直す ( 次回は 2016 年 ) メンバーの自己評価に追加的情報やデータを加えたうえで評価する メンバーの適格性は、すべての要件の完全な充足に向けてのそれまでの達成度合いを十分に考慮した上で、当該要件に照らして評価する

メンバー要件 当該市場で資金調達する企業の連結財務諸表について

1. IFRS の適用を強制又は許容し、2. 実際に IFRS が顕著に適用されている状態となっている、もしくは3. 妥当な期間でそのような状況へ移行することを既に決定していること

→モニタリングボード議長国 ( 日本 ) として、次回メンバー改選の2016 年 1 月までに国内での IFRS 適用実績を積み上げる必要がある

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Page 12: 20140829 IFRS 収益の基準解説と実務・ITへの影響

1. IFRS をめぐる国内外の動向国内における IFRS 適用の動向

国内企業への IFRS 適用に関する動向 (2013 年~ ) 新たな株価指数 (JPX 日経 400) の開発

日本取引所グループと日本経済新聞社の共同プレスリリースを実施(2013 年 7 月 30 日 )

構成銘柄数 400銘柄

対象銘柄の選定基準 企業業績に基づく指標 (ROE などを想定 ) 市場流動性指標 (市場での取引量や市場価値などを想定 ) 定量的指標以外に定性的要素 ( ディスクロージャーに関する事項など ) も銘柄選定に加味することを検討

対象銘柄の更新が 2014 年 7 月 31 日に行われた 新規銘柄組み入れ企業 (31 社 ) のうち、 IFRS 適用企業は 2 社 ( リコー、セイコーエ

プソン )

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出典:http://www.tse.or.jp/market/topix/jpx_nikkei.html

Page 13: 20140829 IFRS 収益の基準解説と実務・ITへの影響

国内企業への IFRS 適用に関する動向 (2013 年~ ) 経団連の動き

2013 年 6 月 10 日に「今後のわが国の企業会計制度に関する基本的考え方~国際会計基準の現状とわが国の対応~」を公表

「 IFRS任意適用に関する実務対応参考事例」を順次公表(最終更新: 2014 年 1 月 15 日 ) http://www.keidanren.or.jp/policy/2014/002.pdf 非上場株式の公正価値評価、資産の減損、有給休暇引当金など追加

1. IFRS をめぐる国内外の動向国内における IFRS 適用の動向

出典:http://www.keidanren.or.jp/policy/ifrs_jirei.html

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Page 14: 20140829 IFRS 収益の基準解説と実務・ITへの影響

1. IFRS をめぐる国内外の動向国内における IFRS 適用の動向

「国際会計基準 (IFRS) への対応のあり方に関する当面の方針」の概要 任意適用要件の緩和

「上場企業」「国際的な財務活動・事業活動」の要件を撤廃する IFRS の適用の方法

IASB が定めた IFRS( ピュア IFRS) 以外に、日本の事情に鑑みて個別の基準を削除・修正して対応した IFRS( エンドースメントされた IFRS) の適用を検討する

エンドースメントされた IFRS の策定は ASBJ 主導で行う 単体開示の簡素化

財務諸表本表については会社法の要求水準に統一することを基本とする 注記等については会社法の要求水準に統一し、金融商品取引法の連結開示が十分に行われている場合は単体開示を免除する

単体開示のみの公開会社は特に変更なし その他

強制適用の是非、時期については明示しない 「新指数の適用企業の選定にあたって、 IFRS の適用を考慮することを期待」

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Page 15: 20140829 IFRS 収益の基準解説と実務・ITへの影響

1. IFRS をめぐる国内外の動向国内における IFRS 適用の動向

任意適用の要件緩和による対象会社数の変化

出典:IFRS任意適用要件の緩和についてhttp://www.fsa.go.jp/singi/singi_kigyou/siryou/soukai/20130528.html

有価証券報告書提出企業数

4,061

上場企業数3,550

非上場企業数511

外国に資本金 20億円以上の連結子会社を有する企業数

621

外国に資本金 20億円以上の連結子会社を有しない企業数

2,929

IFRS 適用企業数

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単位:社

要件緩和による増加

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Page 16: 20140829 IFRS 収益の基準解説と実務・ITへの影響

国内での IFRS任意適用の状況

44 社が IFRS による開示済みまたは開示を表明済み (2014 年 8 月現在 ) 任意適用会社 (35 社 ) ※下線は 2ヶ月以内の更新

日本電波工業、住友商事、 HOYA 、日本板硝子、日本たばこ産業、ディー・エヌ・エー、アンリツ、 SBIホールディングス、マネックスグループ、双日、丸紅、トーセイ、中外製薬、楽天、ネクソン、ソフトバンク、旭硝子、アステラス製薬、武田薬品工業、小野薬品工業、第一三共、そーせいグループ、リコー、伊藤忠商事、三井物産、三菱商事、伊藤忠エネクス、エムスリー、エーザイ、ヤフー、伊藤忠テクノソリューションズ、富士通、セイコーエプソン、日東電工、ケーヒン

任意適用予定 (9 社 ) ファーストリテイリング、参天製薬、コニカミノルタ、日本取引所グルー

プ、クックパッド、 LIXIL グループ、花王、三菱ケミカルホールディングス、田辺三菱製薬

1. IFRS をめぐる国内外の動向国内における IFRS 適用の動向

出典: http://www.tse.or.jp/rules/ifrs/info.html

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Page 17: 20140829 IFRS 収益の基準解説と実務・ITへの影響

国内での IFRS任意適用の状況

1. IFRS をめぐる国内外の動向国内における IFRS 適用の動向

出典: http://www.tse.or.jp/rules/ifrs/info.htmlをもとに集計

2014 8 )年 月現在(社業種分類 IFRSを適用中 IFRSを適用予定 合計

電気機器 5 1 6精密機器 1 0 1ガラス・土石製品 2 0 2食料品 1 0 1サービス業 3 1 4証券、商品先物取引業 2 0 2卸売業 7 0 7小売業 0 1 1不動産業 1 0 1医薬品 7 2 9情報・通信業 4 0 4化学 1 2 3輸送用機器 1 0 1その他金融業 0 1 1金属製品 0 1 1合計 35 9 44

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1. IFRS をめぐる国内外の動向国内における IFRS 適用の動向

「日本版 IFRS 」に黄信号? 2014/6/5 日本経済新聞朝刊

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Page 19: 20140829 IFRS 収益の基準解説と実務・ITへの影響

1. IFRS をめぐる国内外の動向国内における IFRS 適用の動向

採用すべきは「修正国際基準 (JMIS) 」か「ピュア IFRS 」か?

日本基準(J-GAAP)

ピュアIFRS

エンドースメントされたIFRS

(JMIS)

「エンドースメント手続が導入されたとしても、現行の日本基準について、引き続き、これを高品質化するよう、前向きに対応していく」

• 基準間の差異は出るのか?• 差異の扱いはどうするのか?• エンドースメントされた IFRS

は「 IFRS 」として受け入れられる基準なのか?

【必要性】• 日本企業にピュア IFRS に近い

会計基準を採用させやすくする• 「あるべき IFRS 」を示す

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Page 20: 20140829 IFRS 収益の基準解説と実務・ITへの影響

1. IFRS をめぐる国内外の動向国内における IFRS 適用の動向

採用すべきは「修正国際基準 (JMIS) 」か「ピュア IFRS 」か? JMIS は「強制適用」の対象ではない

「ピュア IFRS 」「エンドースメントされた IFRS(JMIS) 」「日本基準」「米国基準」の 4 つの基準を採用できる ( 日本基準以外は任意適用 )

ピュア IFRS の現状 IASB により策定されている 全世界での採用実績多数 日本独自の解釈はない

修正国際基準 (JMIS) の現状 ピュア IFRS に加え、日本独自の解釈にもとづく「日本版 IFRS 」を志向し

たが、IFRSそのものではない

ピュア IFRS から大きな乖離がないように制度設計を目指している 採用実績なし (2015 年 4 月から適用開始? ) 導入実績が国際的に認められるかどうかは不透明

これから導入検討する場合は「ピュア IFRS 」がもっとも現実的である 20

Page 21: 20140829 IFRS 収益の基準解説と実務・ITへの影響

2. IFRS 収益認識基準の概要

Page 22: 20140829 IFRS 収益の基準解説と実務・ITへの影響

2. IFRS 収益認識基準の概要IFRS15 号「顧客との契約から生じる収益」の概要

収益認識の概要と特徴 「約束された財又はサービスとの交換によって受け取る権利を有すると見込ま

れる対価を反映する額で、当該財又はサービスの顧客への移転を描写するように収益を認識する」 特定の要件を満たす場合に 2 つ以上の契約を結合することができる 特定の要件を満たす場合に複数の財又はサービスを単一の履行義務とすることができる 複数の財又はサービスを単一の履行義務としてひとまとめにできる場合、契約当初に損失が認識されるケースが減る

契約前のコストに関する会計処理が変更される 既存の基準の置き換え

IAS18 「収益」 IAS11 「工事契約」 IFRIC12 「サービス委譲契約」 IFRIC15 「不動産の建設に関する契約」 IAS40 「投資不動産」 IAS16 「有形固定資産」

適用時期 2017 年 1 月 1 日以降に開始する事業年度より適用する

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Page 23: 20140829 IFRS 収益の基準解説と実務・ITへの影響

2. IFRS 収益認識基準の概要IFRS15 号「顧客との契約から生じる収益」の概要

契約 契約の取引価格

履行義務

A

履行義務

B

取引価格を履行義務 A

に配分

取引価格を履行義務 B

に配分

収益を認識 収益を認識

1.顧客との契約の識別 3. 取引価格の決定

2. 契約における個々の履行義務の識別

4. 取引価格の個々の履行義務への配分

5. 義務の履行による

収益の認識

収益認識のフロー

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ステップ 1 :顧客との契約の識別 契約の定義

強制可能な権利及び義務を生じさせる複数の当事者間の合意 書面のほか、口頭や商慣習により合意する場合を含む

契約の要件:強制可能であるかどうか ( 法的拘束力があるかどうか ) 当事者間で契約が承認されている&義務の充足がコミットされている 当事者間の権利が明確である 当事者間の支払条件が明確である 契約に経済的実質がある ( リスク・タイミング・将来キャッシュフローなど ) 顧客に移転する財・サービスと交換で権利を得ると見込んでいる対価の回収可能性が高い→値引きがある場合は値引き後の金額を対価とする

契約要件の見直し 原則:契約開始時に適用対象か判定し、以後の再検討は行わない 例外:支払能力や著しい状況の変化によっては、引き渡し未了の財・サービスについて再検討を行う

契約の結合 実質的に同一の契約である場合は、複数の契約を一つとする (単一のパッケージで提供される場合な

ど ) 契約の変更 (工事契約以外も含めた包括的な検討を行う )

別個の契約として処理する 当初契約が終了し、新規契約を締結したものとして処理する 契約の変更を当初契約の一部として処理する

2. IFRS 収益認識基準の概要単位のルール-収益認識単位の決定

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ステップ 2 :契約における個々の履行義務の識別 財・サービスが他と区別できる場合に履行義務を識別する ( 以下の要件をいずれも満たす )

財・サービスからの便益を顧客が単独で得ることができる 例:インストールサービスなしに機器が使えない場合

財・サービスを顧客に移転する契約が同一契約内の他の約束と別個に識別できる 契約上、複数の財・サービスが不可分であるかどうかを検討する

指標1:契約に含まれている財・サービスを統合する著しいサービスを提供していない 指標2:財サービスが同一契約内の他の財・サービスを著しく変更したりカスタマイズしたりしない 指標3:財・サービスの同一契約内の他の財・サービスへの依存度や相互関連性が著しく高くない

同じ性質を持つサービスであれば、履行義務を統合することも検討する

2. IFRS 収益認識基準の概要単位のルール-収益認識単位の決定

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ステップ 3 :取引価格の決定 取引価格

顧客への財・サービスの移転と交換に企業が権利を得ると見込んでいる対価の金額 第三者のために回収する金額 (消費税など ) は取引価格から除く 取引価格の算定要素

変動対価 契約における重大な財務要素の存在 現金以外の対価 顧客に支払われる対価

変動対価 契約で約束した対価が変動金額を含む場合には、その金額を見積もる必要がある 変動対価の例:年間購入量に依存する、将来の業績に依存する、返品により変動するなど 変動対価の見積もり期待値や最も発生の可能性が高い金額など

上記の事実によって重大な戻入れが生じない可能性が非常に高い場合に限り、取引価格に含める

戻入れが生じる可能性とその重大さを考慮した結果、個々の取引ごとでは日本基準とは違う金額で取引価格が識別されることがある

2. IFRS 収益認識基準の概要金額のルール-収益認識金額の決定

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Page 27: 20140829 IFRS 収益の基準解説と実務・ITへの影響

ステップ 4 :取引価格の個々の履行義務への配分 履行義務の基礎になる財・サービスの契約開始時点における「独立販売価格」にもとづい

て取引価格を配分し、配分された金額が具体的に測定される収益の金額となる

独立販売価格とは 財・サービスを同様の状況において同様の顧客に別個に販売する場合の当該財・サービスの観察可能な価格

直接観察可能でない場合は個別に見積もる必要がある 調整後市場評価アプローチ 見積コストにマージンを加算するアプローチ 残余アプローチ

残余アプローチは今後限定的に利用される

2. IFRS 収益認識基準の概要金額のルール-収益認識金額の決定

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Page 28: 20140829 IFRS 収益の基準解説と実務・ITへの影響

ステップ 5 :義務の履行による収益の認識 ステップ 2 で識別した「履行義務」のそれぞれについて、契約開始時点において

「一定期間にわたり充足される履行義務かどうか」をそれぞれ判定する 一定期間にわたり充足される履行義務の場合 (請負工事など )

進捗度を測定したうえでその期間にわたって収益を認識する 一定期間にわたり充足されない履行義務の場合 (物品販売など )

特定の一時点において収益を認識する

現行の「財・サービスが顧客に移転した時点で収益を認識する」という考え方と大きな違いがないため、 IFRS15 号の適用によって収益認識のタイミングは大きく変化しにくい

2. IFRS 収益認識基準の概要タイミングのルール-収益認識時期の決定

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Page 29: 20140829 IFRS 収益の基準解説と実務・ITへの影響

2. IFRS 収益認識基準の概要IFRS15 号「顧客との契約から生じる収益」の概要

収益認識の基本的な考え方 契約当事者のいずれかが義務を履行した時点で

「契約資産」 (contract asset)または「契約負債」 (contract liability) を財政状態計算書に表示する

契約に係る権利及び義務

契約資産 (純額 )

権利>義務の場合

契約負債 (純額 )

権利<義務の場合

権利履行義務

履行義務権利

契約負債契約資産

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Page 30: 20140829 IFRS 収益の基準解説と実務・ITへの影響

2. IFRS 収益認識基準の概要ケーススタディ (1)

タイミング 借方 金額 貸方 金額

製品 A を引き渡した時

契約資産 400 収益 (A) 400

製品 B を引き渡した時

売上債権 (A)売上債権 (B)

400600

契約資産収益 (B)

400600

製品 A 引渡しにともなう

収益の認識

製品 B 引渡しにともなう

収益の認識

引渡し完了による対価を受け取る権利が

確定している

対価を受け取る権利が確定していない

( ケース 1 :契約資産の認識 )• 20X8 年 1 月 1 日に、甲社は顧客へ「製品 A 」と「製品 B 」を引き渡す契約を対価 1,000 百万円で締結した。この契約では、「製品 A 」がまず引き渡され、次に「製品 B 」が引き渡された後に対価の全額を支払う(=すべて引き渡されるまでは支払が留保される )

• 甲社は「製品 A 」と「製品 B 」の履行義務を識別し、独立販売価格にもとづいて取引価格を「製品A 」について400 百万円、「製品 B 」について 600 百万円に配分した

• 甲社は製品を顧客に引渡した時点でそれぞれに履行義務に係る収益を認識する※IFRS15 号の設例 39 をもとに一部改変

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2. IFRS 収益認識基準の概要ケーススタディ (2)

タイミング 借方 金額 貸方 金額

1 月 31 日前払の期日到来

売上債権 2,000 契約負債 2,000

3 月 1 日前払の実行

現金 2,000 売上債権 2,000

3 月 31 日製品の引渡し

契約負債 2,000 収益 2,000

期日到来にともない、顧客から支払を受ける無条件の義務が確定した

引渡し完了にともなう収益の認識

契約上の対価を受け取る

権利が確定した

( ケース 2 :契約負債の認識 )• 20X9 年 1 月 1 日に、乙社は製品を顧客に 3 月 31 日に引き渡す「解約不能」の契約を締結した• 契約上は、 20X9 年 1 月 31 日に代金 2,000 百万円を前払いする取り決めになっている• 顧客から乙社への支払は 20X9 年 3 月 1 日に実行された• 乙社は 20X9 年 3 月 31 日に顧客へ製品を引渡した※IFRS15 号の設例 38 をもとに一部改変

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Page 32: 20140829 IFRS 収益の基準解説と実務・ITへの影響

新しい収益認識基準で留意すべき 6 つの項目

1.開示がキーポイント 見積にもとづく処理について投資家の判断材料が増加2.ソフトウェア、通信、不動産業に大きな影響 現行基準が新基準より早いタイミングで収益を認識している業種では大きな影響が出る3.IFRS は以前より厳密になる 米国との足並みが揃い、単一で厳密な基準が確立した4.過渡的対応グループが指針を作成する  FASB/IASB が共同で指針作成に対応する5.非貨幣資産の売却処理は改善される 非得意先に対する非貨幣性資産の売却がより経済的実態を反映する6.新基準の移行時期は厳しい  2017 年 1 月 1 日以降開始事業年度より (初年度適用の場合は 2015 年 1 月 1 日より )適用

2. IFRS 収益認識基準の概要IFRS 15 号適用上の留意点

32

出典:’ New revenue guidance: Six things to consider’ より抜粋http://www.journalofaccountancy.com/News/201410232.htm

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3. IFRS 収益認識基準の改訂が実務・ IT に与える影響

Page 34: 20140829 IFRS 収益の基準解説と実務・ITへの影響

単位のルール 契約単位にもとづく販売単位の再検討

金額のルール 回収可能性にもとづく収益金額の見直し 値引き・割戻を考慮した計上金額の決定

タイミングのルール 「一定期間にわたり充足される履行義務か」の判定

3. IFRS 収益認識基準の改訂が実務・ IT に与える影響収益認識の基準改訂が影響するポイント (総論 )

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Page 35: 20140829 IFRS 収益の基準解説と実務・ITへの影響

取引価格 計上タイミング 仕訳処理 移行

3. IFRS 収益認識基準の改訂が実務・ IT に与える影響基準改訂の影響範囲

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Page 36: 20140829 IFRS 収益の基準解説と実務・ITへの影響

取引単位の分解・結合 契約単位の精査 回収可能性の分析

計上単位の見直し 契約単位の分解 契約単位の結合

3. IFRS 収益認識基準の改訂が実務・ IT に与える影響変更ポイント:取引価格

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実務 IT

• 契約単位と販売単位の整合をとる( 不一致の場合は販売単位を修正 )

• 契約時の販売単位を確認する (追加 )

• 取引先マスタと契約マスタの整合• 契約登録フローの見直し

( 取引先登録とは別に定義する )

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商流の分析 業務フロー分析:契約締結、サービス引渡し

タイミングの検討 一定期間にわたり充足される履行義務の場合

進捗度を測定したうえでその期間にわたって収益を認識する 一定期間にわたり充足されない履行義務の場合

特定の一時点において収益を認識する 証跡の取得

契約書類の生成、口頭での合意

3. IFRS 収益認識基準の改訂が実務・ IT に与える影響変更ポイント:計上タイミング

37

実務 IT

• 契約締結契約負債、契約資産の計上判定

• 出荷・納品形状タイミング判定

• 引渡し証跡の入手

• 出荷・納品完了確認データの入手

• 引渡しの証跡保存自動登録または手動登録のフロー検討

Page 38: 20140829 IFRS 収益の基準解説と実務・ITへの影響

仕訳生成タイミング 契約締結時 財・サービス引渡時 売上債権の計上時 入金消し込み時

3. IFRS 収益認識基準の改訂が実務・ IT に与える影響変更ポイント:仕訳処理

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実務 IT

• 仕訳登録単位の分析( 原則として契約単位 )

• 契約締結時の仕訳パターン分析(前払時の処理など )

• 追加仕訳テンプレート登録( 契約締結・引渡・債権計上・入金 )

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初度適用の場合 2017 年 3 月より初度適用開始する場合に必要な財務諸表

B/S(F/P) 2015 年 3 月期、 2016 年 3 月期、 2017 年 3 月期 (3 期分 )

P/L(C/I) 2016 年 3 月期、 2017 年 3 月期 (2 期分 ) C/F 2016 年 3 月期、 2017 年 3 月期 (2 期分 ) 2015 年 3 月期の B/S のうち、利益剰余金期首残高は IFRS 適用が前提→ 2014 年 4 月からの P/L データは IFRS にもとづいて集計する必要がある

業務分析はいつからスタートするべき?

3. IFRS 収益認識基準の改訂が実務・ IT に与える影響変更ポイント:移行

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実務 IT

• 全体スケジュール作成• 初度適用時期の決定• 分析開始時期の決定

• 移行時期検討• 初度適用時の運用方針検討• バージョンアップ時期の確認

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3. IFRS 収益認識基準の改訂が実務・ IT に与える影響会計システムの今後のトレンド

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会計システムも社内運用からクラウド活用に変化する エンドユーザーのクラウドサービスへの抵抗感が小さくなった ベンダーの製品ラインがクラウドを前提にしているケースが増えた 懸念されているセキュリティ面も解決できるようになってきた クラウドでの運用事例の増加、ノウハウが蓄積されてきた

「クラウドサービスのセキュリティが心配 ... 」→適切なセキュリティと運用次第で社内システムと同等の運用も可能

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3. IFRS 収益認識基準の改訂が実務・ IT に与える影響会計システムの今後のトレンド

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クラウドサービスの分類 パブリッククラウド プライベートクラウド パブリック+プライベートの組み合わせ (ハイブリッドクラウドなど )

パブリッククラウド プライベートクラウド

コスト 低価格 中~高価格特にサービスの拡張を行う場面では割高なコストになる

サーバの所有権 クラウドサービス事業者 自社(またはクラウドサービス事業者 )

サーバの場所 クラウドサービス事業者の管轄内

自社(またはクラウドサービス事業者の管轄内 )

拡張性 容易(申請後、遅滞なくサービスが利用できるようになる )

やや困難(自社の IT インフラとの整合をとる必要がある場合、検討が必要 )

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3. IFRS 収益認識基準の改訂が実務・ IT に与える影響会計システムの今後のトレンド

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クラウドサービスのメリットとデメリット

メリット デメリット

• システム投資対効果 (ROI)標準化されたメニューにもとづいて大量に利用するため、利用者あたりのコストが劇的に下がる

• 拡張性容量や利用者数がより多く必要となったときに、追加的な作業なしにサービスを拡張することができる

• 調達スピードサーバ機器やネットワーク回線を自前で準備するのに比べ、申し込んでから 1営業日以内にサービスが使えるものが多い

• サービス安定性サービスの安定度合はクラウドサービス事業者に依存するため、自社内でサーバ運用するのに比べて稼働時間の保証率が低くなることがある

• セキュリティインターネット経由でサービスを利用するため、常に不正アクセスのリスクがともなう。有効なセキュリティ対策が必須となる

• 利用頻度原則として利用量に応じた課金が行われるため、サービスの利用頻度が低い場合、自社内でサーバを運用するより高コストになることがある

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3. IFRS 収益認識基準の改訂が実務・ IT に与える影響会計システムの今後のトレンド

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アプリケーション

実行環境 ライブラリ

ミドルウェア

データベース

OS

仮想マシン

ハードウェア

ネットワーク

自社開発

提供

選択可

自社開発

提供

選択可

選択可

提供

IaaS* PaaS* SaaS*

*Infrastructure as a Service / Platform as a Service / Software as a Service の略

クラウドサービスの提供形態

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セキュリティリスクへの対応 重要データの保存範囲を線引きする

原始資料 (紙の請求書や納品書など ) 仕訳基礎データ (販売購買在庫など ) 仕訳、元帳データ 帳票類や中間出力データ

アクセス制御 (論理アクセス /物理アクセス ) ユーザーアカウントの管理、ログイン履歴、監査

委託先の内部統制評価 (必要に応じ ) クラウドサービスでのライセンス提供形態 (OS/ データベースなど )

仮想マシン数あたり /CPUあたり提供かにより見積総コストに影響する クラウドサービス事業者のサポート対応

トラブル時の責任分解 ( アプリケーションは自社、それ以外はベンダーなど ) ベンダー責任下の対応範囲については、サービスレベル合意 (SLA) の仕様について事前確認する

3. IFRS 収益認識基準の改訂が実務・ IT に与える影響クラウドサービスで会計システムを運用する場合の留意点

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Page 45: 20140829 IFRS 収益の基準解説と実務・ITへの影響

3. IFRS 収益認識基準の改訂が実務・ IT に与える影響グループ会計基盤の整備

グループ会計基盤の整備方針 IFRS から読み取れるグループ会計の考え方

IFRS10 「連結財務諸表」 19項「親会社は、類似の状況における同様の取引及び他の事象に関し、統一された会計方針を用いて、連結財務諸表を作成しなければならない」

「親会社説」から「経済的単一体説」志向へ 企業グループを「経済的に統一された単一事業体」と考える グループに所属する各企業は「会計処理」「決算日」等原則として統一する 上場企業は「グループ」を単位に考える

グループ会計機能統合の要請 意思決定スピードの向上に応える 会計基礎データの変換・改変作業に対する時間的制約

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事業単位のシステムを維持&親会社のシステム基盤を刷新する 低コストでの導入が可能 データ収集時の変換等、オーバーヘッド負担がかかる 会計基盤の見直しタイミングを各拠点の事情にもとづき個別検討でき

事業単位のシステムと親会社システム基盤を統合する 導入コストはかかるが、運用面の負荷を軽減できる 会計基盤の見直しタイミングを全体最適の視点から検討できる

3. IFRS 収益認識基準の改訂が実務・ IT に与える影響グループ会計基盤整備のアプローチ

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3. IFRS 収益認識基準の改訂が実務・ IT に与える影響グループ会計基盤の全体像 ( 現状 )

EU子会社F/S

単体会計システム

期中 /決算整理(JGAAP)

合算 T/B(JGAAP)

修正後 T/B(JGAAP)

販売 S

連結 F/S(JGAAP)

購買 SAJE/RJE(JGAAP)

AJE/RJE(JGAAP)

業務システム

T/B : 試算表AJE : 修正仕訳RJE : 組替仕訳EJE : 連結修正 /消去仕訳F/S : 財務諸表T/B : 試算表JGAAP: 日本基準

単体 F/S(JGAAP)

AJE/RJE(JGAAP)

単体 T/B(JGAAP)

US子会社F/S

EJE(JGAAP)

連結会計システム

47

Page 48: 20140829 IFRS 収益の基準解説と実務・ITへの影響

単体 T/B(IFRS)

3. IFRS 収益認識基準の改訂が実務・ IT に与える影響グループ会計基盤の統合案:二重元帳方式

EU子会社F/S

単体会計システム

期中 /決算整理(JGAAP)

修正後 T/B(JGAAP)

販売 S

連結 F/S(JGAAP)

購買 SAJE/RJE(JGAAP)

EJE(JGAAP)

業務システム

単体 F/S(JGAAP)

単体 T/B(JGAAP)

US子会社F/S

連結 F/S(IFRS)単体 F/S

(IFRS)

AJE/RJE(IFRS)期中 /決算整理

(IFRS)

EJE(IFRS)

合算 T/B(IFRS)

修正後 T/B(IFRS)

AJE/RJE(IFRS)

AJE/RJE(JGAAP)

AJE/RJE(JGAAP)

合算 T/B(JGAAP)

T/B : 試算表AJE : 修正仕訳RJE : 組替仕訳EJE : 連結修正 /消去仕訳F/S : 財務諸表T/B : 試算表JGAAP: 日本基準

連結会計システム

48

Page 49: 20140829 IFRS 収益の基準解説と実務・ITへの影響

3. IFRS 収益認識基準の改訂が実務・ IT に与える影響グループ会計基盤の統合案:組替方式 (IFRSベース )

EU子会社F/S

単体会計システム

期中 /決算整理(JGAAP)

合算 T/B(JGAAP)

修正後 T/B(JGAAP)

販売 S

連結 F/S(JGAAP)

購買 S

AJE/RJE(IFRS)

EJE(JGAAP)

業務システム

単体 F/S(JGAAP)

AJE/RJE(IFRS)

単体 T/B(JGAAP)

US子会社F/S

連結 F/S(IFRS)

EJE(IFRS)

AJE/RJE(IFRS)

合算 T/B(IFRS)

修正後 T/B(IFRS)

AJE/RJE(JGAAP)

T/B : 試算表AJE : 修正仕訳RJE : 組替仕訳EJE : 連結修正 /消去仕訳F/S : 財務諸表T/B : 試算表JGAAP: 日本基準

連結会計システム

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Page 50: 20140829 IFRS 収益の基準解説と実務・ITへの影響

3. IFRS 収益認識基準の改訂が実務・ IT に与える影響グループ会計基盤の統合案:組替方式 (JGAAPベース )

EU子会社F/S

単体会計システム

期中 /決算整理(JGAAP)

合算 T/B(JGAAP)

修正後 T/B(JGAAP)

販売 S

連結 F/S(JGAAP)

購買 SAJE/RJE(JGAAP)

AJE/RJE(JGAAP)

EJE(JGAAP)

業務システム

単体 F/S(JGAAP)

AJE/RJE(JGAAP)

単体 T/B(JGAAP)

US子会社F/S

合算 T/B(IFRS)

修正後 T/B(IFRS)

連結 F/S(IFRS)

EJE(IFRS)

AJE/RJE(IFRS)

T/B : 試算表AJE : 修正仕訳RJE : 組替仕訳EJE : 連結修正 /消去仕訳F/S : 財務諸表T/B : 試算表JGAAP: 日本基準

連結会計システム

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Page 51: 20140829 IFRS 収益の基準解説と実務・ITへの影響

3. IFRS 収益認識基準の改訂が実務・ IT に与える影響グループ会計基盤の統合案:各種方式の比較

方式 メリット デメリット

二重元帳方式 相互の決算状況に依存せず独自に   連結決算が可能IFRSベースの元帳があるため、 遡及修正もが原始データへ  トレース可能IFRS 開示の対応スピードが速い

すべての仕訳データを二重に 保持するため管理が煩雑になるIFRS をベースとした業務の 確立が必須

組替方式(IFRSベース )

単体の元帳が単一で改変不要IFRS 開示の対応スピードが早い

IFRS をベースとした連結業務の 確立が必須元帳が JGAAPベースしかな

い ため、遡及修正は仕訳のみで 対応する

組替方式(JGAAPベース )

単体の元帳が単一で改変不要連結業務フローを大きく改変せず 対応できるIFRS をベースとした業務の確立は 必要だが、差分の仕訳生成業務 で足りる

元帳が JGAAPベースしかない ため遡及修正は仕訳のみで対応

IFRS 開示の対応スピードが遅い

“Connect”アプローチ

“Convert”アプローチ

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1. IFRS を巡る国内外の動向 修正国際基準 (JMIS) を検討するべきか?

2. IFRS 収益認識基準の概要 従来の基準を包含する基準に一新された 新しい考え方に早めに慣れて業務への影響を把握する

3. IFRS 収益認識基準の改訂が実務・ IT に与える影響 取引価格・計上タイミング・仕訳処理・移行 会計システムもクラウドサービスの時代へ グループ会計基盤の位置づけと今後の方向性を再検討する

まとめ

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Page 53: 20140829 IFRS 収益の基準解説と実務・ITへの影響

Q&A

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Page 54: 20140829 IFRS 収益の基準解説と実務・ITへの影響

講師プロファイル

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株式会社クレタ・アソシエイツ 代表取締役  原 幹 (HARA , Kan)

1992 年 井上斉藤英和監査法人 ( 現 あずさ監査法人 )会計監査・コンサルティングサービス部門 ( 現 プライスウォーターハウスクーパースコンサルタント )

の初期メンバーとして、主に製造業を対象とした連結決算・グループ経営管理・活動基準原価計算などのシステム企画・設計・構築

1998 年 フューチャーシステムコンサルティングビジネスアナリストとして、主に製造業・流通業を対象としたビジネスプロセスリエンジニアリング(BPR) 実行支援・システム化要件分析等

2001 年 ウルシステムズサービス業・流通業を対象としたビジネス要件分析・業務改革支援・システム要件分析

2004 年 NTT データ システムデザイン ( 現 クニエ )製造業を対象とした業務改革支援・プロジェクトマネジメント・定着化支援および

  プロジェクト管理システムの企画・設計・運用2007 年 独立開業現任 株式会社クレタ・アソシエイツ 代表取締役 http://kleta.co.jp/

原幹公認会計士事務所 代表 http://harakancpa.com/

• 常に実践的な課題解決を展開し、多くのプロジェクトにて高い顧客満足度を得る• 会計および IT領域での豊富な経験を有し、主要な技術要素やコンサルティングメソッドにも精通• 「経営に貢献する IT とは?」という一貫した視点をベースにキャリアを形成、翻訳書およびメディアでの連載実績多数• 専門領域 連結会計・内部統制・国際会計 (IFRS) ・ IT マネジメント• 保有資格 公認会計士・税理士・公認情報システム監査人 (CISA) ・内部統制評価指導士 (CCSA)