コンパートメント症候群

形成外科 岡部

2014.5.16.救急カンファレンス

そもそもコンパートメント

・・・って何？

compartment : 語源はイタリア語 【名】区画、物入れ、ロッカー、(鉄道の)車室 ジーニアス英和大辞典より引用

コンパートメント＝筋区画

コンパートメント症候群＝ 筋区画内圧上昇によって筋、血管、

神経が障害される。

前方区画

外側区画

深後方区画

浅後方区画

左下腿断面図

Netter解剖学アトラスより引用

左下腿断面図

Netter解剖学アトラスより引用

機序： 急性型→骨折や挫傷による大量出血や腫脹。 慢性型→過度の運動による筋肉の浮腫・肥大。

↓

区画内圧の上昇

↓

毛細血管の血流障害 ↓

組織虚血

好発： 特に下腿。前腕、大腿。

症状： 疼痛、腫脹、圧痛、知覚障害、運動障害etc

診断： 視診・触診：疼痛・腫脹の部位、知覚障害、運動障害、筋伸展による誘発痛。 画像：Xp→骨折の有無 MRI→血腫の有無

内圧測定：needle manometer法

内圧測定：needle manometer法

※正常値は成人5～10mmHg、小児13～17mmHg。 ※筋区画内圧>30mmHgで診断。

治療： 筋膜切開 → open創

例：(最も頻度の高い下腿前区画)

例：(最も頻度の高い下腿前区画) 症状：・下腿前外側の疼痛、腫脹。 ・深腓骨神経圧迫による母趾～第３趾 ～足背にかけて知覚障害。 ・前脛骨筋、長母趾伸筋、長趾伸筋の 筋力低下、硬直。 ・他動的足趾底屈による誘発痛。

深腓骨神経の圧迫による症状 筋の浮腫、圧迫による症状

例：(最も頻度の高い下腿前区画) ※区画内圧>30mmHgで組織虚血が始まる。 ※前脛骨動静脈は脈圧>100mmHgのため傷害されることはほぼない。

圧挫症候群(Crush Syndrome) 長時間の圧迫により広範な横紋筋融解がおこり、循環不全や急性腎不全を引き起こす。 局所：コンパートメント症候群 全身：低容量性ショック、不整脈(K↑)、 腎不全、代謝性アシドーシス

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