2016 サイバスロン報告

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CYBATHLON CHAMPIONSHIP 2016 報報

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「 CYBATHLON CHAMPIONSHIP 2016 」報告

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CYBATHLON CHAMPIONSHIP 2016 概要

• サイバスロンは、障害者が競技に参加するという点ではパラリンピックと同じだが、パラリンピックが選手の優れた運動能力に焦点を当てる一方で、身体に障害のある人々が日常生活に対処する助けとなる全く新しいロボット補助デバイスに注目する「生体工学のオリンピック」と言える。

• サイバスロンの運営を支援するチューリッヒ工科大学の教授、Robert Riener 氏は、「勝ち負けを決めたり、順位を決めたりすることはあまり重要視していません。私たちは、日常生活で障害となるものを克服するための技術活用を支援・促進したいのです。」と語っています。

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CYBATHLON のレース競技6種目1. Brain-Computer Interface Race( BCI: 脳波コンピュータ・ゲーム)

2. Functional Electrical Stimulation Bike Race( FES: 電気刺激バイク・レース)

3. Powered Arm Prosthesis Race( ARM: パワード義手レース)

4. Powered Leg Prosthesis Race( LEG: パワード義足レース)

5. Powered Exoskeleton Race( EXO: 歩行補助器具レース)

6. Powered Wheelchair Race( WHEEL: パワード車いすレー

ス)

・・・日本チームの出場あり

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10/8 タイム・スケジュール

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日本からの出場チームチーム名 チーム概要 出場部門 出場者コメント

株式会社メルティンMMI

人が体を動かす時に脳から筋肉に送られる電気信号をキャッチして、直感的に動かせる筋電義手。デモにはスイスでの Cybathlon 本戦に出場するアスリート(パイロット)も北海道から駆けつける。さらに 2 種目目として FES( )※ で動くバイク部門にもエントリー。電気通信大学発ベンチャー。

パワード義手FES バイク

障害者の生活をよくするのみならず、最先端技術でさらなる可能性が開けることをアピールしたいと思います。世界にメルティンが開発しているような義手が存在することを広く認知してもらいたいと願っています。

和歌山大学サイバスロンプロジェクトRT-Movers

RT-Mover PType WA は4つの車輪が個別に路面に対応できるのが特徴。車いすでの移動には大きな障害となる、段差やスロープを克服し、利用者の行動範囲を飛躍的に広げる。教授と学部生のみの少数精鋭チーム。

パワード車椅子

実際のユーザが搭乗するという実用フェーズを意識した国際大会での評価を経ることで、より質の高い研究開発につなげることを目指します。全学プロジェクトとして、世界でのネットワークを構築したいと考えています。

株式会社サイボーグ

ロボット義足 Xi leg は足を前に出したり蹴り出すときの人の足首の角度を再現し、歩行の自然な力強さを実現する。技術はもちろんのこと開発陣も要注目の陣揃え。

パワード義足

サイバスロンは実際に使える製品を生み出す登竜門として始まる世界初のサイボーグ技術の競技会です。我々は義足を実際に世の中に商品化して売り出すことを前提に開発しているので、その過程でのマイルストーンにはまったため、参加を決めました。

出典: http://www.stofficetokyo.ch/st-office-tokyo-presents-cybathlon-jp/

※ 脳卒中や脊髄損傷などで中枢神経が損なわれた人の末梢の運動神経や筋に電気刺激を与えることで、 運動機能を再建する機能的電気刺激( Functional Electrical Stimulation )

4 位入賞

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各競技の説明 1. Brain-Computer Interface Race( BCI: 脳波コンピュータ・ゲーム)

脳波コンピュータ・インターフェイス( BCI )のレースでは、仮想ゲームを通して、日常生活の中で様々なアプリケーションを BCIで開発するための BCI の信頼性と精度が試されます。例えば、四肢麻痺を有する人がコンピュータやロボットアーム、車椅子といった様々なデバイスを制御するために、 BCI は脳信号を検出することができます。各レースで最大 4名のパイロットに、 BrainRunners ゲームでアバターを制御するための BCI が装備されます。 BrainRunnersゲームは、サイバスロンの BCI レース用に開発されたマルチプレイヤー型のゲームです。各アバターは勝手に前方に移動するため、パイロットからの入力信号がなくてもレースの最終ラインに到達します。パイロットは、色のついた「パッド」で示された専用領域を歩きながら、 BCI を使用して、正しいタイムフレームで適切なコマンドを送信する必要があります。

正しいコマンドを正しい時間に与えるか、必要のないときはコマンドを送信しないことで、アバターを高速に移動させ、最終ライン近くにアバターを動かすことで、他の競争者よりも優位に立つことができます。パイロットは、アバターが「回る」アクションパッド(シアン)上で回転させたり、「ジャンプ」アクションパッド(マゼンタ)上でトゲをジャンプしたり、「スライド(黄色)」上の光線の下をスライドする指示を送ることができます。

このように、最大で三つの異なるコマンドをゲーム内の BCI から送信することができますが、すべてのコマンドが実装されている必要はありません。ゲームを実行するのに一つのコマンドで十分ですが、パイロットが発射し、 BCIシステムが検出できるコマンドが多数ある方が、アバターはより早く最終ラインに到達することができます。

誤ってコマンドを選択したり( ROTATE のかわりに JUMP を選択するなど)、コマンドを送信するタイミングを間違えたりすると、不利益を被ります(例えば、アバターに減速をもたらし、時間を失うことになります)。例えば、「 NOINPUT 」パッドの上では、何のインプットもしなければ、早く走れますし、誤ってコマンドを送信してしまうと、減速することになります。参考)https://www.ethz.ch/content/dam/ethz/special-interest/conference-websites-dam/cybathlon-dam/documents/2016-08-10_Cybathlon_RacesRules.pdf

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各競技の説明 2. Functional Electrical Stimulation Bike Race(電気刺激バイク・レース)完全な脊髄損傷( SCI )を持つパイロットは、機能的電気刺激( FES )装置を装着し、サイクリング装置にペダリング運動を実行できるようになります。

彼らは、約 750 メートルの総距離をもたらす円形レーストラックを 5 周まわります。パイロットはレース前に専門的な FES の研修制度により、それらの筋肉を訓練します。

レース中、強さに加えて、強度の時間的配分はまた、筋肉疲労の影響を最小化するのに重要な役割を果たします。

レースでは、 2人のパイロットが、円形のレーストラック上で同時にスタートします。

参考)https://www .ethz.ch/content/dam/ethz/special-interest/conference-w ebsites-dam/cy bathlon-dam/documents/2016-08-10_Cy bathlon_RacesRules.pdf

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各競技の説明 3. Powered Arm Prosthesis Race (義手レース)前腕や上腕が切断されたパイロットは、エキソプロテーゼ・デバイス(アームプロテーゼ)を装着します。パイロットは、与えられた制限時間内にできるだけ多くのタスクを解決するように求められます。パイロットは、日常生活の活動に関連するタスクにたいして挑戦をします。一部のタスクでは、パイロットは両方の手や腕だけでなく、身体の他の部分を使用することが許可されています。これらのタスクには、食事を準備したり、階段の上に大きなものを運ぶ(例えば、売り手から物を買ったり、集めたりする)ことが含まれています。他のタスクでは、パイロットは、人工器官のパフォーマンスに明示的に挑戦する運動にチャレンジします。これらのタスクでは、パイロットは、義手を使って特定のもの、またはものの一部を操作することだけが許されています。これらのものや部品は、青色に着色されます。棚から小さい日常品をつかんで、テーブルに運ぶといった青色のものや部品を使ったタスク、ものほしに洗濯バサミを使って服をかけるといったタスク、ワイヤーループタスクやパズルタイプのタスクが行われます。

参考)https://www .ethz.ch/content/dam/ethz/special-interest/conference-websites-dam/cy bathlon-dam/documents/2016-08-10_Cy bathlon_RacesRules.pdf

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各競技の説明 4. Powered Leg Prosthesis Race (義足レース)• 大腿切断または膝関節離断切断のあるパイロットが、エキソプロテーゼ・デバイス(脚補綴)を装着し、与えられた時間内にできるだけ多くのタスクを解決します。

•ほとんどのタスクは、日常の活動を表しています。

参考) https://www.ethz.ch/content/dam/ethz/special-interest/conference-websites-dam/cybathlon-dam/documents/2016-08-10_Cybathlon_RacesRules.pdf

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各競技の説明 5. Powered Exoskeleton Race(歩行補助器具レース)

•完全な胸部脊髄損傷や腰部脊髄損傷を持つパイロットが、外骨格のデバイスを装着します。与えられた時間内にできるだけ多くのタスクを解決します。

•ほとんどのタスクは日常生活の活動です。

参考) https://www.ethz.ch/content/dam/ethz/special-interest/conference-websites-dam/cybathlon-dam/documents/2016-08-10_Cybathlon_RacesRules.pdf

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各競技の説明 6. Powered Wheelchair Race (車いすレース)

異なる障害レベル(例えば四肢麻痺、対麻痺、切断者)のパイロットが、電動車椅子を装備し、限られた時間内にできるだけ多くのタスクを解決するように求められます。ほとんどのタスクは、日常生活の活動を表しています。

6 つの課題(机に正しくつく、スラローム、ドアのついたスロープの上り下り、ガタガタ道、バンク、階段の上り下り)が設置されたコースを走行し、合計点数の高いチームが勝利。参考) https://www.ethz.ch/content/dam/ethz/special-interest/conference-websites-dam/cybathlon-dam/documents/2016-08-10_Cybathlon_RacesRules.pdf

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所感

• サイバスロンは、非常に訓練された事務局メンバーから構成されており、時間が過ぎてしまったパイロットを強制的に会場から退場させるなど、時間内で競技が終わるように徹底されていた。今後のロボットコンテスト開催時にも運営上非常に参考になった。

• 体育館内で1日で終了するよう競技が考えられており、小規模なものに感じられた。実際の街を舞台に競技を行うようなことも考えられる。

• 当初、サイバスロンを日本に誘致するようなことも考えたが、日本発で国際ロボットコンテストを開催することも十分可能であると感じられた。

参考) https://r.lne.st/2016/10/09/14981/