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2016 年度 現代人間論系 論系ゼミ要項 2015 年 9 月 (作成)早稲田大学文学学術院事務所 最新情報は、論系ゼミ/ゼミ論文/卒業研究 Web ページ で随時確認するようにしてください。

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2016 年度

現代人間論系

論系ゼミ要項

2015 年 9 月 (作成)早稲田大学文学学術院事務所

最新情報は、論系ゼミ/ゼミ論文/卒業研究 Web ページ

で随時確認するようにしてください。

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ゼミの主旨

近代以降の社会は人類が初めて経験する「非聖化された社会」であるといわれます。私たち現代人にとって

は科学的思考がものを考える根本枠組みとなっていますが、そうした科学的知見のたどり着いた結論の一つは、

すべての出来事には必然的因果関係に縛られない不確定性、偶然性があるということでありました。こうした

科学的知見は伝統的宗教に対して、これまでの必然的全知という神概念を撤回する必要性を突き付けるもので

あるとされます。

われわれはこうした生の偶然性の中で、それでもこの世界が調和ある見通しのきく安全な世界であってほし

いと願い、そうしたコスモス願望に突き動かされて「聖なるもの」を立て、この「聖なるもの」との交流を通

じて生を充実したものとして意味づけようとしてきました。こうした遺産が神話や伝承、民間習俗や祭りであ

り、あるいは宗教美術・音楽・文学といった芸術的な表象であり、また宗教の規範的在り方を探る宗教哲学・

思想的言説であるといえます。そういった「聖なるもの」との多様なかかわりから文化を見てみようとするの

がこのゼミの主旨です。

授業内容

「聖なるもの」とのかかわりはあらゆる文化領域にまで浸透していますので、各自興味あるテーマを自由に

決めて研究をすすめるというのがこのゼミの基本コンセプトですが、どのような理論的理解が可能であるかを

知り、またそのための基礎知識を獲得するために、3 年次にはミルチャ・エリアーデの『聖なるものと俗なる

もの』をテクストとして講読します。講読と並行して自分の興味あるテーマを少しづつ明確化する作業を進め、

中間発表やレポート作成も経験してもらいます。

4 年次には3年次のゼミ活動の成果を踏まえて、各自が研究テーマを具体的に設定し、論文(ゼミ論)を書

き上げることになりますが、何度かの中間発表を順番で行い討論を通じて論点を深めることを目指します。

シラバス

【3 年生】

春期:ミルチャ・エリアーデの『聖なるものと俗なるもの』(邦訳『聖と俗』ウニヴェルシタス叢書)を 2,3

人づつのグループに分けて講読箇所を分担して、内容のまとめ、語句や概念の説明を行ってもらいます。

秋期:個人、テーマを自由に設定して順番に発表を行います。

【4 年生】

春期:毎週、1名ないし2名ずつ、ゼミ論の途中経過を報告してもらいます。

秋期:その都度テーマを定め、討論形式の演習とします。

3,4 年合同のゼミ合宿を夏に行い、3 年生は秋期に発表するテーマの中間発表、

4 年生はゼミ論の中間発表をします。

担当教員 科目名

田島 照久

精神文化論ゼミ(聖性文化論)

副題:人間の本質を「聖なるもの」との関わり方から探る

プログラム:精神文化論

1定員

15 名程度

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教科書

3 年生:『聖と俗』ウニヴェルシタス叢書

参考文献

必要に応じてその都度教場で指示します。

評価方法

【3 年生】

学年末のレポートと合宿を含めた平常点によって評価します。

【4 年生】

合宿を含めた平常点によって評価します。

授業実施曜日・時限(予定)

【3 年生】火曜日3時限に行います。

【4 年生】火曜日4時限に行います。

火曜日4時限に 3 年 4 年合同でゼミを行うことがありますので、3 年生は

火曜日4時限も空けておいてください。

選考方法

・ゼミ志望理由書

・2 年春学期までの成績を参考にする

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3

授業内容

【3年生】

私たちが生きて行く中で、言葉とそれによって構築された「ナラティブ」(物語)がどのような働きを

しているか、あるいは、どのように私たちの生をかたちづくっているのか、多面的に考察する(ナラテ

ィブ・スタディーズ)。まず文学、言語学、修辞学などを中心とする、ナラティブ分析のための基礎理論

を学び、それらを応用しながら、主に以下のような観点からケース・スタディーを試みる。

①自伝、体験記、日記など「わたし語り」(self-narrative)のジャンルに属する言説を分析する。

②小説を中心とする文芸作品をとりあげ、「生」がナラティブとして言語化されていく過程を分析する。

③メディア・広告などを主に言語面から分析し、それらが現代社会の中で機能するナラティブをいかに

利用・補強し、また同時にどのようなナラティブを産出しているかを検討する。

【4年生】

前年度の学習に立って、各自が研究方法とテーマを選択・設定し、発表と相互批評を通じてゼミ論の

作成に取り組む。

シラバス

以下は現時点での予定。授業開始後は、ゼミ生諸君と相談しながら柔軟にスケジュールを設定していく。

【3年生】

4 月~7 月 言説・ナラティブ研究の具体的な方法・理論を学習し、その成果を生かしてグループによる

研究発表を行う。

夏休み合宿 春期に習得したアプローチを用いて個人研究を行い、合宿において発表する。

10 月~12 月 初年度は、4年生と合同のグループによる文献研究もしくはテーマ研究。平行して個人課

題を設定し、3年レポート(事例研究)を作成。

1 月 4年生が提出したゼミ論について合評会に参加、割り当てられたゼミ論についてコメントを行う。

また、3年レポート(事例研究)をまとめる作業を行い、ゼミ論の方向性を探る。

【4年生】

4 月~7 月 3年次に続けて言説・ナラティブ研究の方法・理論を学習。理解を深めながらゼミ論への具

体的な適用について各自検討する。また、グループによる研究発表を行う。

夏休み合宿 ゼミ論の一部について、発表を行う。

10 月~12 月 文献研究もしくはテーマ研究を行う。平行してゼミ論を執筆。順次報告発表を行う。12

月最終ゼミ日にゼミ論を提出。

1 月 ゼミ論合評会に参加。提出したゼミ論文をゼミ論集にまとめる作業を行う。

担当教員 科目名

安藤 文人

精神文化論ゼミ(ナラティブ研究)

副題:言葉とナラティブから生の有り様を探る

プログラム:精神文化論

2定員

12 名程度

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4

教科書

特に設けない。

参考文献 ゼミに入る前に読んでおくと良いものを一部だけ挙げます。

1.G.レイコフ、M.ジョンソン『レトリックと人生』(大修館書店、1986)

2. ケネス・J・ガーゲン『あなたへの社会構成主義』(ナカニシヤ出版、2004)

3.片桐雅隆『自己と「語り」の社会学』(世界思想社、2000)

4.浅野智彦『自己への物語論的接近―家族療法から社会学へ』(勁草書房、2001)

評価方法

【3年生】

春期は平常点(授業等での活動状況)、秋期は年度末のレポート(事例研究)によって評価する。

【4年生】

授業等での活動状況、報告発表の内容などによって評価する。

授業実施曜日・時限(予定)

【3年生】【4年生】2 学年合同 1 クラスとして火曜日5時限に行なう。

ただし、授業の延長、またはグループごとの活動によって6限まで費やすのが通例。

6限は空けておいてください。

選考方法

・ゼミ志望理由書

・2 年春学期までの成績を参考にする

参考:これまでのゼミ論題目例

*過去のゼミ論集は現代人間論系論系室で閲覧できます。

「ワセジョ論」「現代におけるつながりの物語―相談に表れる現代の友人関係」「物語化される犯罪とそ

の動機―「酒鬼薔薇聖斗」が意味したもの」、「ウェブ炎上における言語の分析及び考察」「スポーツのル

ールからみる「美しさ」への希求―体操競技を例に―」「自虐論~現代社会の「ネジレ」~」「アウシュ

ヴィッツと限界の言葉」「テクストとしてのポップ・ミュージック」「ギャルの病み語りにみる「本当の

自分」と「本当の自分キャラ」」「絵本における絵と詞の相互関係」「「自己」という存在の不確かさ―構

成主義と物語論的視点から」「カテゴリーと自己物語の関係についての考察―発達障害中途診断者の手記

分析から」「志賀直哉におけるアンドレ・ジッドの受容―志賀の〈対照的思考法〉をめぐって―」「国語

教材としての近代文学作品の読解と PISA 型読解―国語教材としての『走れメロス』―」「「なんとなく嫌

い」を明らかにする 新聞の中国報道をもとに」

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5

授業内容

【3年生】

本ゼミでは、ジェンダー研究、セクシュアリティ研究の立場に立ち、ジェンダーとセクシュアリティをめぐる

文化的・社会的問題を取り上げ、考察していきます。

2015 年度春期は、ジェンダーの基本的概念、ジェンダー研究の現状について学び、続いて、現代社会におけ

るジェンダーをめぐる具体的問題の検討、さらに、現代文化と広告におけるジェンダーイメージをめぐる考察

を行いました。秋期は、セクシュアルマイノリティならびに生殖補助医療技術の問題をとりあげます。

2016 年度もこれを継続します。

これからの社会のつくり手となる皆さんに、性について真摯に学び、考えていただくことは、ぜひとも必要な

ことです。ときにそれは、私たち自身の生を「めんどくさく」するかもしれませんが、ひとつ確実に言えるこ

とは、他者との共生に、ジェンダーとセクシュアリティの観点は絶対に欠かせない、ということです。私はこ

の学びをゼミ生の皆さんとともにすることに、情熱と意欲を持っています。

なお、2014 年度のゼミ論題目は以下の通りでした。参考にしてください。

「女性の自己実現に関する諸問題」「家庭における男女平等と役割の変遷」「大都市・都市近郊農業地帯・中山

間地の比較からみる子育て環境の現在」「同性パートナーシップの展望」「多様なパートナーシップを目指して」

「制度化された男女の出会い」「性的嗜好の観点から考える『性の多様性の共存社会』」「メディアが構築する

ジェンダー像」「アニメ作品に表象されるジェンダー構造」「ヤオイとジェンダー」「スポーツメディア作品に

おけるジェンダー」「雑誌『オリーブ』が少女たちに遺したもの」「美しい身体―痩せたい気持ちの正体―」「自

己表現の自由と、社会のジェンダー観念の関係性についての一考察~ファッション/マリリン・モンローから

~」

【4年生】

前年度の成果をもとに、各人が各人の研究主題を決め、各人の選択した方法論に則って、ゼミ論を完成。

シラバス

【3年生】共通の文献の講読。ゼミ生による発表

春・秋期とも、年度ごとに基本文献を複数選択し、講読します。ゼミ参加者の発表により進行(担当箇所の要

約と解説、各自固有の問題設定とその展開など)。

その他、映画鑑賞をして後のディスカッション、ゲストスピーカーをお招きしての授業など、計画しています。

【4年生】ゼミ生による発表/ ゼミ論の執筆

春・秋期とも、各自ゼミ論の構想、執筆に取り組みます。毎週の授業時には、各自がゼミ論に関する報告を行

います。

担当教員 科目名

草野 慶子

精神文化論ゼミ(ジェンダーとセクシュアリティ

の視座)

プログラム:精神文化論

3定員

15 名程度

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教科書

【3年生】担当教員が指定した書籍を、生協で購入いただきます。

【4年生】春期は3年生と同様です。秋期はとくに使用しません。

参考文献

【3年生】【4年生】授業中に多数の文献に接します。それらがすべて参考文献です。

評価方法

【3年生】【4年生】

平常点(各自の発表、議論への参加状況、授業の出欠)、ならびに、コースナビ上に提出を求める発表資

料を評価の対象とします。

授業実施曜日・時限(予定)

2016 年度は、火曜3限ならびに4限

3年生が3限、4年生は4限に登録されます。

【3年生】

3年生の方は、春・秋期とも3限にご出席ください。

4限への出席は大歓迎ですが、義務ではありません。4限に他の授業を登録くださって結構です。

【4年生】

4年生の方は、春期は3・4限にご出席ください。

科目登録の結果は4限のみですが、春期は3限に他の授業を登録しないでください。

秋期は4限のみにご出席ください。秋期は3限にも他の授業を登録くださって構いません。

【3・4年生】

ゼミ合宿についてですが、ゼミ生の皆さんの総意としての要望のない限り、実施は予定していません。

最大の理由は、2009 年度に初めてのゼミ生を迎えて以来の経験から、私のゼミにはほぼ毎年、合宿に行

きたくないという学生が複数名所属し、その「行きたくない」という気持ちは、本ゼミのテーマ、問題

意識と密接に結びついている切実なものだということを実感したからです。

むろん、上にも書いた通り、「ゼミ生の皆さんの総意としての要望」が強くあれば、合宿実施は、私とし

ても嬉しく喜ばしいことです。皆で率直に話し合っていきましょう。

選考方法

・ゼミ志望理由書(必須)

・2年春学期までの成績を参考にします。

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授業内容

多様な性と身体のあり方は、社会において序列化された形で配置され、それゆえに女性やセクシュア

ル・マイノリティは時に生存の危機においやられます。このような性をめぐる社会的現実を批判的に考

察する知の総体がクィア・スタディーズです。社会制度に組み込まれた差別、個人における心的かつ身

体的な現象としての性的欲望・快楽、アイデンティティ・ポリティクスの是非などを検討しつつ、現代

社会の存立を下支えする性という現象の実像を明らかにし、多様な人々がともに生きられるものへと社

会を組み換えていく方途を探ることが、(大げさに言えば)このゼミの目的です。

とは言え、多くの学生にとってはクィア・スタディーズはなじみのない学問分野でしょう。ですから、

ゼミでおこなっていく作業は大体こんなものだと思ってください。「性について、調べて分析して誠実に

考えてみる」「この社会におけるさまざまなマイノリティ(少数派)の置かれている苦境を調べて分析して

誠実に考えてみる」。性を恥やからかいの対象としてでなくまじめに面白がり、その先にこの社会の公正

さを構想する、そんな営みを地道にやっていくことになるはずです。

一点補足です。クィア・スタディーズは学際的(=分野横断的)な学問分野です。担当教員の専門は

社会学ですが、ゼミ生はどのような学問分野を専門としていてもかまいません。むしろ、様々な学問分

野の流儀や方法論を持ち寄って、新しく面白い知見を生み出すことも、このゼミの醍醐味だと思ってく

ださい。

シラバス

春期:文献講読とディスカッションをおこなっていきます。まずは「ジェンダー」「セクシュアリティ」

「差別」などの基礎的なトピックについて理解を深め、続いてクィア・スタディーズの基本概念や理論

等を学んでいきます。

秋期:上記の文献購読・ディスカッションに加えて、個人研究を検討するセッションをおこないます。

教科書

なし

参考文献

授業中に適宜紹介しますが、下記の 2冊はあらかじめ手にとってみることを勧めます。

加藤秀一・石田仁・海老原暁子著『図解雑学 ジェンダー』(ナツメ社、2005)

河口和也『クィア・スタディーズ』(岩波書店、2003)

評価方法

春期は授業貢献度、秋期は授業貢献度および個人研究の成果をまとめた年度末レポートによって評価

します。

担当教員 科目名

(新規嘱任者)

精神文化論ゼミ(クィア・スタディーズ)

副題:

プログラム:精神文化論

4定員

12 名程度

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8

関連 URL

なし

授業実施曜日・時限(予定)

木曜 5 限

履修モデル

ジェンダー、セクシュアリティおよびクィア・スタディーズに関する授業を受講した上で参加するこ

とが望ましいが、必須ではありません。

ゼミ紹介

クィア・スタディーズという学問はその学際性ゆえ広い範囲の研究対象をカバーします。そのため、

授業の内容は出席者の専門分野や研究テーマによって大きく変動します。逆に言うと、ひとりひとりの

受講生が何らかの意味で「専門家」としてゼミに参加することが求められます。「教師が学生に一律に同

じ内容を教える」という形式から離れ、それぞれの「専門家」の作業を互いに敬意をもって批判しあう、

ゼミ形式の授業の肝をうまく捕まえて、楽しんで受講してください。

備考

合宿をおこなうか否かは受講者の話し合いによって決めます。セクシュアル・マイノリティの中には

(あるいはそうでなくても)、「同室に誰かと宿泊する」「他人のいる浴場で入浴する」「人前で着替える」

といった行為に強い心理的抵抗を覚える人もいます。慣習を押し付けず、お互いが嫌な思いをしないで

済むためのスマートなやり方を学ぶのも、このゼミの裏テーマだと思ってください。

選考方法

項 選考方法 実施の場合は「○」

1 ゼミ志望理由書(必須) ◯

2 2 年春学期までの成績を参考にする。 ◯

3 面接を行う。

4 抽選による。

5 その他(別途提出物を求めるなど)

上記「その他」の内容:

以 上

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授業内容

私たちは一人では生きていません。ともに生きています。くわしく言えば、他の人間と関係をもち、

関係を構成しながら生きています。そこに人間関係(自分自身への関係を含む)を規制する行為規範(「き

まり」)が生まれ機能することになります。この「きまり」に対して問いを向け、その根拠を探ることで、

それはまっとうな「きまり」なのだろうかと問い抜くのがこのゼミの活動内容です。

さて、行為規範は日常的には明確に意識されていません。それが意識されるのは、往々にして、私た

ちが、自分の生きる社会に道徳的問題を見出したときです。この観点から、行為規範への問いは、「私た

ちの社会はどうあるべきか」という問いを誘発するでしょう。他方、道徳的問題の意識は、そもそも行

為規範とは何で、その正当性・妥当性はどうやって保証できるのか、という問いをも生み出します。し

たがって、このゼミは、一方で、現代社会の固有の性格ならびにその道徳的問題をつかみだす研究と、

他方で、道徳的問題の抽象的な根拠を考え抜いて、哲学的な思索の蓄積に接続する研究の二面をもつこ

とになります。

【3 年生の目標】

1、新聞記事などに見られる現代社会の道徳的問題を検討し、それがどのような意味で問題なのかを把

握できるようになる。そのために現代倫理学のさまざまな概念を理解することが必要になる。

2、世界に起きている道徳的問題に関心を向け、基礎外国語の知識を用いて、海外の新聞・雑誌などか

ら紹介できる力をつける。

3、上の1と2の作業を通じて、本ゼミにおける自分自身の研究テーマを見つける。

4、グループ研究に参加し、共同研究を通して、自分の意見の輪郭を把握する。

【4 年生の目標】

1、現代社会の道徳的問題の中から、自分の関心のある倫理学的テーマを追求する。

2、グループ研究に参加し、共同研究を通して、自分の意見を深める。

3、ゼミ論文のための研究を遂行し、中間報告を行ない、論文を完成し提出する。

シラバス

1、参加者が、みずから興味のある記事を収集し、その道徳的問題としての本質を全体で検討する。

2、参加者の関心に基づいて、共同研究グループを作り、グループ研究の計画を立てる。

3、各人が基礎外国語の知識を活用して、各学期一回、海外の道徳的問題事情を報告する。

(この報告の題材として英語の記事を用いることも許容される。)

4、関係構成論プログラムの合同ゼミが開催される場合、それに参加する。

5、共同研究グループの中間報告を行ない、全員で討議する。

教科書

2015 年度は現代倫理学の教科書を使用し、隔週で検討しました。

担当教員 科目名

御子柴 善之

関係構成論ゼミ(プラクティカル・エシックス)

副題:ともに生きる倫理を考える

プログラム:関係構成論

5定員

12 名程度

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参考文献

伊勢田哲治『動物からの倫理学入門』名古屋大学出版会、2008 年.

K・S・シュレーダー=フレチェット編『環境の倫理』(上・下)、晃洋書房、1993 年.

T・ビーチャムら『企業倫理学』(1・2・3)晃洋書房、2005 年.

P・シンガー『私たちはどう生きるべきか』法律文化社、1995 年.

越智貢編『情報倫理学入門』ナカニシヤ出版、2004 年.

森岡正博編『「ささえあい」の人間学』法藏館、1994 年.

H. LaFOLLETTE, The Oxford Handbook of Practical Ethics, Oxford University Press, 2003.

評価方法

各学期、1回の短いレポートと海外記事報告の提出を条件として、ゼミ活動における平常点で評価し

ます。なお、平常点の評価においては、授業時における討議への積極的な参加を重視します。

関連 URL

そのときどきのテーマに合わせて、情報収集を積極的に行います。

履修モデル

参加者には倫理学と社会学に関連する諸科目を履修してもらいたいと思います。倫理学の<規範的方

法>と社会学の<記述的方法>を融合させつつ思考することが、このゼミの目的のひとつだからです。

ゼミ紹介

このゼミは、現代社会・現代人を倫理学的に論じる具体性をもつとともに、高度に抽象的な道徳性に

まで議論を及ぼそうとするものです。したがって、道徳の名において現代社会・現代人を嘆き断罪する

ものではないし、道徳によって社会問題が解決するかのような幻想を紡ぎだすものでもありません。む

しろ、私たちの社会で「道徳の問題」と言われているものの正体を見定める<道徳批判>を行うという

側面をもつものです。まじめな研究・討議のなかに、ポジティヴに考え抜く(「どうでもいい」という思

いを振り切る)態度を共有しましょう。

授業実施曜日・時限(予定)

2 学年合同で木曜日 5時限に行う。ただし、毎回、若干の授業時間延長が予想される。4 年生のゼミ論

文指導はアポイントメントに基づいて行う。

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備考

「ゼミ」という言葉を聞いて、「合宿!」というひらめきをもった方はご注意ください。本ゼミでは、

合宿を行いません。ゼミ生には、「合宿」なしでも真剣に討論できる関係を形成できる人であって欲しい

と思います。また、ゼミの希望があれば、休業期間を利用した夏休み特別企画を開催します。(2011 年は

「ともに生きる」、2012 年は「愛について」、2013 年度は「幸福な死」をテーマとしました。2014 年度は

映画『ハンナ・アーレント』や『ホテル・ルワンダ』を観て、悪と善について議論しました。2015 年度

は企画中です。)

選考方法

・ゼミ志望理由書

・2 年春学期までの成績を参考にする

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授業内容

【3 年生】バイオテクノロジーは、IT と並び、21 世紀の花形技術であるといわれています。一方で、遺

伝子操作、再生医療など、バイオテクノロジーは様々な形で今まで私たちが考えもしなかった倫理的問

題を投げかけ、人間観を変えつつあります。私たちの身体とは何か、どこまで操作してよいのか。人間

の生死とは何か、人間は無限に生きたいのか。個人の尊厳とは何か。現代の生命倫理が投げかけるこう

いった問題を考えていきます。生命倫理の具体的問題を取り上げながら、人間とはなにか、深く考えて

いくための倫理的、哲学的視点と方法を身につけます。

【4 年生】

シラバス

ゼミの前半は、3 年生 4年生合同で、倫理学の基本的な文献を読み、現代の問題を考えるための基礎概念

と理解を身につけます。同時に、ゼミ後半(6 限の延長を含みます)では、自らの関心を持ったテーマご

とにいくつかのグループに分かれて、テキストを決め、講読、研究を行います。グループは半期ごとに、

テーマを再度考えて再編します。

【3 年生】

春学期:倫理に関する基本的な文献を読みながら、その基本にある倫理観を学ぶことが中心となります。

秋学期:ゼミ論の候補となるテーマを、様々な分野の資料、文献をあたって調べます。この段階では、

関心がもてる複数のテーマ、問題群についておおよその見通しをたてることが重要です。

【4 年生】

特に、後期は個人個人のテーマを選び、ゼミ論の構想を考え発表することが中心となります。

教科書

【3 年生】【4 年生】

テキストは学生と相談のうえ決定します。生命倫理を中心としますが、IT に関係する情報倫理、あるい

は動物の倫理、企業倫理など、皆さんの関心に応じて、人間理解が問題になる倫理的問題を広くとりあ

げるつもりです。

参考文献

【3 年生】【4 年生】

『現代倫理学入門』加藤尚武著、講談社学術文庫 1997 年

『生命医学倫理』トム・L・ビーチャム/ ジェイムズ・F・チルドレス著、成文堂、1997 年

『バイオエシックスの基礎』加藤尚武・飯田亘之編、東海大学出版会、1988 年

『ヒトはいつ人になるのか』村松聡著、日本評論社、2001 年。

担当教員 科目名

村松 聡

関係構成論ゼミ(生命と人格)

副題:バイオテクノロジーの進歩と影響に直面して人間を考える

プログラム:関係構成論

5定員

12 名程度

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『複製されるヒト』リー・M・シルヴァー著、翔泳社、1998 年。

評価方法

【3 年生】【4 年生】

授業での発言、発表と Presentation、学期末のレポートを総合的に評価します。

授業実施曜日・時限(予定)

【3 年生】【4 年生】2 学年合同 1クラスとして金曜5時限に行います。しかし、6 限へ必ず延長しますの

で、金曜日 6 限以降には他の科目やアルバイトをを入れないようにしてください。

ゼミ紹介

倫理学(エシックス)は原点においては、「人間のしあわせとは何か」、「人間は何を求めているのか」

を問う学問であり、そこから「人間とは何か」を考える哲学的な人間理解へと発展しました。ゼミでは、

この原点から出発し、広く哲学的に人間を探求します。

倫理学・哲学の理解と、実際の社会問題に取り組む姿勢を同時に養うことを目指す欲張りなゼミと考え

てください。

備考

積極的な授業参加を求めます。「沈黙は悪徳」ですので、心してください。発言しない学生はいないも

の、とみなします。汗をかいて手に入れた知のみが、皆さんの一生の血となり、肉となります。そうい

うつもりで、がんばりましょう。

このゼミを取る皆さんは、講義「応用倫理学」(春学期)、「生命倫理」(秋学期)をできるだけ前もって

受講してください。must とは言いませんが、講義では、倫理学と生命倫理全般にわたって議論するため

に必要な知識や問題点を解説します。ゼミを取ろうか、考えて迷っている 2 年生の皆さんは、演習「生

命医療の論理と倫理」(秋学期)で、ゼミの「雰囲気」と議論の仕方を試すことをお奨めします。

ゼミ選択で重要なのは、本人の関心です。倫理的問題意識、哲学的関心、IT やバイオテクノロジーな

どの具体的問題への興味などが自分にあるかどうか、そこがゼミを選ぶ際の一番のポイントです。それ

を、確かめるために、お試しに講義、演習などをとりましょう。

選考方法

・ゼミ志望理由書、場合によっては面接します。(必ず行うという意味ではありません。)

・2 年までの成績を参考にしますが、まず何より本人の関心、興味がゼミと一致するかが大切です。興味

と関心が薄いと、半年以上にわたってゼミ論を準備し、執筆し、完成にまで至ることはできません。

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授業内容

私たちの人間関係は社会の変化とともに大きく姿を変えてゆきます。戦後の高度経済成長とともに、

その希薄化が長い間指摘されてきました。このゼミでは社会の変化と人間関係をテーマに、今後の関係

構築、関係形成、善き社会のあり方について考察してゆきます。そのさい、特定の領域に絞り実証的に

調査をしつつ、問題に迫るアプローチをとります。

3 年生は複数のグループを形成し、特定のテーマを 1 年間追究します。そのなかで、現在社会の人間関

係について考察するのみならず、研究の方法や論文の書き方を学びます。4 年生はゼミ論があるため、個

人研究が中心となります。また、グループ研究や個別研究とは別に、「つながりづくり」について実践的

活動を行っている NPO 法人と合同ゼミを実施します。

研究テーマは教員と相談しつつ、学生が自主的に決めます。2015 年のグループテーマは、「付き合うと

いうこと」「東京に集まる人たち」「地域のブランディング」「大学生の友人関係」です。

シラバス

【3 年生】

春学期

1)文献輪読(社会の変化と人間関係に関する文献を中心に)

2)グループ課題、合同ゼミの準備(夏期休暇期間中に合同ゼミ 1 回目)

秋学期

1)グループに分かれてテーマ別に研究

2)合同ゼミ 2回目(12 月予定)

3)報告書の作成

【4 年生】

春学期:ゼミ論テーマの発表と進捗状況の報告、討論および合同ゼミ

秋学期:ゼミ論文の仕上げ、テーマ別研究のサポート、合同ゼミ

*3、4 年生:夏休みに合宿を実施します。また、春学期、秋学期に一度ずつフィールドワークを行いま

す。2015 年春は国立ハンセン病資料館に行きました。そのさいは授業を振り替えます。

教科書

授業内で指定いたします。

参考文献

石田光規,2015,『つながりづくりの隘路――地域社会は再生するのか』勁草書房.

若林幹夫,2007,『郊外の社会学――現代を生きる形』ちくま新書.

担当教員 科目名

石田 光規

関係構成論ゼミ(社会の変化と人間関係)

副題:

プログラム:関係構成論

7定員

15 名程度

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評価方法

授業内での発表、報告書などにより総合的に評価します。

授業実施曜日・時限(予定)

月曜日 3 限、4 限に実施します。ゼミ履修者は 3 年生、4 年生ともに月曜日の 3 限、4 限は空けておいて

ください。3・4年合同で授業を行うこともあります。

履修モデル

社会学および社会調査に関連する科目を履修してください。自らの足で実際に調査をして社会現象を分

析する力を身につけましょう。

ゼミ紹介

グループ単位で課題を遂行するため(とくに 3 年)、サブゼミ等、授業時間外でも集まる時間がかなりあ

ります。そのため、その他学外活動が忙しい方にはあまり向かないかもしれません。また、ディスカッ

ションを通じてゼミを進めていくので、積極的に発言する人のほうがなじみやすいでしょう。教員は一

歩下がって、学生中心で運営していくことを目標としています。

備考

ゼミは皆さんの積極的な参加によって作られるものです。意欲的な学生の参加を望みます。

選考方法

項 選考方法 実施の場合は「○」

1 ゼミ志望理由書(必須) ○

2 2 年春学期までの成績を参考にする。 ○

3 面接を行う。 △

4 抽選による。

5 その他(別途提出物を求めるなど) ○

上記「その他」の内容:

希望人数により面接等を実施します。

以 上

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授業内容

ゼミのテーマである「ライフストーリー」には2つの意味がある。1つは、個人が語る(書く)自分

自身の人生の物語であり、もう1つは、ポピュラーカルチャー(小説、映画、TVドラマ、アニメ、漫

画、歌曲、CMなど)の中に遍在するさまざまなタイプの人生の物語である。個人は自分自身の人生の

物語を語る(書く)ときに、後者をモデルとして利用している(あるいは無意識のうちに影響を受けて

いる)。授業では、両者をともに研究の対象とする。現代という状況の中で、人々はどのように自分の人

生を語っているのか、意味づけているのか、その意味付けに根拠を与えているものは何なのか、そうし

た問いをめぐって、現代人の人生の困難と希望について考えていきたい。研究に必要な方法論として、

社会学と心理学(とくに自己心理学・発達心理学)に重点を置いて勉強していく。

言うまでもないことだが、ゼミは協働作業の場である。「現代人のライフストーリー」というテーマや、

社会学や心理学に関心があるというのは、ゼミ生の最低限の共通事項で、関心の具体的な広がり方はさ

まざまであろう。性格が十人十色であることはいうまでもない。そういう学生たちがゼミという公共圏

を形成・維持していくためには、ゼミというプロジェクトを推進していくためには、協調性やコミュニ

ケーション能力が必要とされる。自分だけで思う存分にやりたいという学生には、ゼミではなく、卒業

研究という選択肢が用意されている。

ゼミでの2年間の活動は、最終的には、ゼミ論としてまとめられる。ゼミで鍛え上げた「読む」「語る」

「聴く」「議論する」「書く」という一連の知的能力は、卒業後どのような進路に進むのであれ、必ず役

に立つはずである。

シラバス

【3 年生】

春期:①社会学・心理学のテキストの講読。

②4年生のゼミ論のテーマ報告、ライフストーリー・インタビュー調査のケース報告を聴く

秋期:①引き続き社会学・心理学のテキストの講読

②ライフストーリー・インタビュー調査(1回目)

冬合宿:ライフストーリー・インタビューのケース報告

【4 年生】

春期:①社会学・心理学のテキストの講読

②ゼミ論テーマ報告

③ライフストーリー・インタビュー調査(2回目)およびケース報告

秋合宿:ゼミ論の構想報告

秋期:①ゼミ論草稿の発表

②ゼミ論提出とゼミ論集の編集

担当教員 科目名

大久保 孝治

人間発達論ゼミ(現代人のライフストーリー)

副題:

プログラム:人間発達論

8定員

15 名程度

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教科書

大久保孝治『日常生活の探究』(左右社)、同『ライフストーリー分析』(学文社)

評価方法

平常点(授業・合宿での活動状況)とゼミ論によって評価する。

授業実施曜日・時限(予定)

金曜5限・6限

3年生は5限、4年生は6限に自動登録されますが、実際の授業は、基本的に5限は3年生・4年生

合同で、6限は3年生・4年生で分かれて行うので、5限・6限に他の科目を入れないようにして下さ

い。週に一度、金曜日の夕方からは「ゼミの時間」と定めて、時間とエネルギーを投入してください。

そういう学生を待っています。

選考方法

・ゼミ志望理由書(必須)

・2 年春学期までの成績を参考にする。

・これまで私の演習を履修したことのない学生については原則として面接を行う。

ゼミ風景(4年生・3年生合同ゼミ。2015 年 4月 17 日)

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授業内容

人間は他の霊長類とは比較にならないほど豊かな意味世界に生きている。多彩な文化を創り出し、自

分に深く気づき、見ることができない他者の心の世界を表象できる人間の心はなぜ誕生しえたのか。そ

れは人間の心を探究する者にとって最大の謎の一つである。このゼミは、養育者との間で特有な共有世

界をもとうとする赤ちゃんの心の働きに、その謎を解く糸口を見出そうとする。

赤ちゃんは、誕生直後から人を志向し、養育者からの間主観的な関わりを足場にして、自分や他者に

気づいていく。その気づきの過程には、他者との関係性を深く体験し、自己、他者、モノの違いを理解

する特異で有能な情動と認知(情動知)の働きがあると考えられている。子どもに備わる生物としての

「ココロ」が、養育者との関係を基盤にして、人間らしく文化化された「心」に変容する過程を、次の 2

つの視点から検討する。

第 1 は、子どもが進化の過程で獲得した個体能力と、他者との関係から生じる関係能力という視点で

ある。子ども自身がもつ個体能力を基盤にして、他者との関係性の中から創発される子どもの心の働き

や発達に注目し検討する。「ミラーニューロン」「模倣」「共同注意」「ポインティング」「アタッチメント」

「自己感」「他者感」「ふり遊び」「言葉」「心の理論」「嘘」「文化化」など、検討すべき対象は多彩であ

る。

第 2 は、定型的な発達をする健常児と、非定型的な発達をする発達障害児を比較する視点である。2

つのタイプの発達現象に触れることで、子どもの心の理解はより深まる。当たり前のように自他の世界

を理解し、豊かな意味世界に生きるように見える子どもの心は、決して当たり前ではないことに気づく

だろう。

ゼミでは、定型発達と非定型発達を隔年で取り上げる。したがって、2 年間のゼミ活動で両タイプの発

達過程を研究することができる。また、子どもの理解には、子どもと実際に接触することが不可欠であ

る。早稲田大学と提携する保育所でボランティア実習をする機会を設けるので、積極的に子どもと接触

してほしい。この実習には、早稲田大学から「ボランティア実習参加証明書」が発行される。

2016 年度は健常児の発達を検討の対象とする。

シラバス

【3 年生】

春 期:①関係発達(定型発達もしくは非定型発達)のテキストの学習

②子どもの心理発達評価に関わる基礎学習

③保育所などでの実習(秋期も)

夏 期:合宿を予定

秋 期:①春期のゼミや自己学習を踏まえた学習内容の報告

②4 年生のゼミ論中間報告の理解とディスカッション

③学習レポートの執筆

冬 期:合宿を予定(ゼミ論の合同編集作業)

担当教員 科目名

大藪 泰

人間発達論ゼミ(子どもの関係発達論)

副題:人間の心の起源を探る

プログラム:人間発達論

9定員

12 名程度

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【4 年生】

春 期:①関係発達(定型発達もしくは非定型

発達)のテキストの学習

②ゼミ論のテーマ設定と作成準備

③保育所などでの実習(秋期も)

夏 期:合宿を予定

秋 期:①ゼミ論文の中間報告と議論

②ゼミ論文原稿へのゼミ生からの意見・

疑問の聴取と原稿内容の検討

③ゼミ論文の執筆

冬 期:合宿を予定(ゼミ論の合同編集作業)

教科書 以下の書籍を予定している。

大倉得史 2011 『育てる者への発達心理学-関係発達論入門』 ミネルヴァ書房

参考文献

岡本夏木 1982 『子どもとことば』 岩波新書

やまだようこ 2010 『ことばの前のことば-うたうコミュニケーション』 新曜社

トマセロ 2006 『心とことばの起源を探る-文化と認知-』 勁草書房

トマセロ 2013 『コミュニケーションの起源を探る』 勁草書房

日本発達心理学会編 2012 『発達の基盤:身体、認知、情動』 新曜社

開 一夫ほか 2014 『母性と社会性の起源』 岩波書店

清水由紀・林 創(編著) 2013 『他者とかかわる心の発達心理学』 金子書房 など

評価方法

平常点(ゼミでの活動、課題レポートなど)によって評価する。

授業実施曜日・時限(予定)

【3 年生】【4 年生】2 学年合同で木曜日 5 時限に行なう。

ディスカッション等で延長することがあるので、6 時限目は他の授業を入れないようにすること。

備考

子どもが好きで、子どもの心の世界の不思議さに関心があり、その世界をゼミ論文として自ら描き出

したいと思う皆さんのゼミ参加を期待します。「ポピンズナーサリー早稲田」での実習に積極的に参加す

るようにしてほしい。

選考方法

・ゼミ志望理由書

・2 年春学期までの成績を参考にする。

・場合によって面接をすることがある。

松代セミナーハウスでの夏期合宿

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授業内容

【3 年生】

現代人特有の心理的発達とは,どのようなものなのだろうか。このゼミでは,人びとの心理的個人差

(性格・パーソナリティ,認知的プロセス等)に目を向けつつ,現代社会を生きる人びとのさまざまな

問題について検討する。たとえば,人間の性格(パーソナリティ)にはどのような側面があるのか,ど

のように把握されるのか,どこにその起源があるのか,どのように変化していくのか,なぜ特定の性格

の持ち主が適応・不適応状態に陥るのか,何がキーとなって性格が認識されるか,といった問題を扱う

こともできる。このゼミではこれらの問題意識を持ちつつ,より幅広い個別の問題に取り組みたい。な

お各自の研究テーマの選定は,上記のものに限らない。友人関係や恋愛といった対人関係の問題,就職

やキャリア・進路の問題,服装や化粧など身の回りの事柄から研究テーマを決めていくこともある。

各種の文献をあたることも重要ではあるが,実際に調査・実験・観察を行い,データの解析を進める

中で学ぶことは多い。3年の秋学期には,受講者の興味・関心に基づきながら,複数のプロジェクトチ

ームを作り,共同研究を進める。なお,データ解析が必要となる研究プロジェクトが多いと予想される。

統計処理パッケージ SPSS や R,HAD の使用については,もちろんサポートを行うが,各自で積極的に取

り組んでもらう必要がある。ゼミが決まり次第,情報提供を行っていくので積極的に学んでもらいたい。

【4年生】

4年次には各自の問題意識を立て,ゼミ論の完成を目指す。3年次で取り組んだ課題を発展させても

良いし,新たな課題に取り組んでも構わない。毎回の授業で進捗状況を報告してもらう予定である。

シラバス

【3 年生】

春期:心理学に関する文献(書籍および論文)の講読,ディスカッション,発表を行う。

秋期:グループによる共同研究プロジェクトを立ち上げ,研究を遂行する。各グループで話し合いなが

ら,研究テーマを決める。実際に調査・実験を行う中でデータをとり,分析し,グループで論文をま

とめるという一連の研究活動を経験する。

【4 年生】

春期:ゼミ論の経過発表を行う。

秋期:ゼミ論の経過発表を行う。

教科書

【3 年生】

受講生の状況に合わせながら,授業内で指示する。

【4 年生】

受講生の状況に合わせながら,授業内で指示する。

担当教員 科目名

小塩 真司

人間発達論ゼミ(現代人の心理)

副題:個人差と発達の両面に注目して人間のあり方を考える

プログラム:人間発達論

10定員

12 名程度

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参考文献

当該テーマの理解を深めるために,次の本を参考にしてほしい。

小塩真司 (2010). はじめて学ぶパーソナリティ心理学―個性をめぐる冒険― ミネルヴァ書房

小塩真司 (2011). 性格を科学する心理学のはなし 新曜社

小塩真司 (2014). Progress & Application パーソナリティ心理学 サイエンス社

日本パーソナリティ心理学会(企画) 二宮克美・浮谷秀一・堀毛一也・安藤寿康・藤田主一・小塩真

司・渡邊芳之(編) (2013). パーソナリティ心理学ハンドブック 福村出版

評価方法

【3年生】

平常点(ゼミでの活動や課題への取り組み)によって評価する。

【4年生】

平常点およびゼミ論文によって評価する。

授業実施曜日・時限(予定)

【3年生】【4年生】2学年合同で火曜日5時限に行う。毎回の授業では,前半は3年生が中心,後半は

4年制が中心の内容となる。延長する場合があるので,6限目も出席可能な体制をとっておくこと。

ゼミ紹介

ゼミの web サイト:http://www.f.waseda.jp/oshio.at/member/waseda/seminar.html

研究には,統計的な分析手法を用いる機会が数多くある。とはいえ,数式を覚えることは要求しない。

数学が苦手でも,皆さんであれば自学自習で対応することは十分に可能である。研究室の web サイト

( http://www.f.waseda.jp/oshio.at/edu/data_b/top.html )にも統計教材があるので,各自で参照し

てほしい。ゼミが決定次第,ゼミ開始までに学んでほしいことについて指示を出す。

毎年,学生自身が企画し,ゼミ合宿を行っている。合宿では各自(各グループ)の研究の進捗状況の

報告に加え,様々なイベントを行っている。

その他,コンパやイベントなど,学生が主体となって企画している。

選考方法

・ ゼミ志望理由書

・ 2 年春学期までの成績

・ 必要に応じて面接を実施する。

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授業内容

このゼミナールは、子ども・若者の成長と自立の問題、成人・高齢者の福祉と自己実現の問題に関心の

ある人を対象とします。子どもから高齢者まで生涯にわたっての福祉と教育と文化の結合の問題をとり

あげます。なかでも特に子ども(乳幼児期・児童期・青少年期)の成長と発達への注目を中心課題とし

ます。今日「子どもの貧困」が社会問題となっていますが、子どもの豊かな成長のためには、生活保障

(福祉)と発達保障(教育)の統一、さらには子ども主体の文化との結合が欠かせません。しかし、現

実には社会制度的に子どもの福祉と教育と文化は分断され、発達と自立に向けての環境が阻害されてい

ます。このゼミナールでは、①子どもの権利保障の基礎理念を学ぶとともに、②学校教育・社会教育の

制度や実践を知り、③児童福祉の制度やサービスの実際を理解すること、④子どもの文化・芸術にかか

わる諸実践を広く視野に入れ、⑤三者の分断の谷間にある問題、いまだ正面から光が当てられていない

問題(たとえば、不登校の子どもと学習権保障問題、学童保育と放課後問題、子どもの貧困と児童養護

問題、幼保一元化と子ども・子育て新制度問題)や、三者の統合を目指す新しい実践としてのスクール

ソーシャルワーク、子どもの居場所づくり、フリースクールのとりくみ、子どもの遊び・遊び場づくり

とプレイワークなどに学びながら、「教育福祉」「福祉文化」「子どもの権利保障」概念の今日的意義につ

いて深めていきます。

学校教師などの教育の現場、あるいは児童福祉施設や児童福祉行政に携わろうと考えている人はもち

ろんのこと、将来子ども・子育てにかかわる人にとっても、教育・福祉問題への視野を広げ、子ども観・

子育て観を豊かにしていく機会となるでしょう。

以上の課題を考えるにあたって、具体的なとりくみに接し・関わる中で実践的に学ぶことが大切なので、「子

ども」「高齢者」「世代間交流」にかかわる福祉・教育・文化施設、市民NGO・NPO・ボランティア団体

のとりくみに関する見学・調査・交流を位置づけます。2016年度も、東京都中野区の「なかの生涯学習大学」

(公的社会教育の講座)で学ぶ高齢者と交流し、合同ゼミナールの機会を持ちます。また東京都板橋区成増社

会教育館での子育て講座に参加して、教育・福祉・文化の連携についての取り組みを実践的に学びます。

シラバス

【3年生】上記ゼミ内容の①~⑤までの課題を、下記テキストを使用して学びつつ、各自の問題関心あるテー

マごとにグループを形成し、「サブ・ゼミナール」を進める。

春期:①教育福祉・福祉文化問題の実態をつかむ(統計・白書等を手がかりに)。

②教育福祉・福祉文化問題にかかわる基礎的文献、手がかりとなる文献を講読する。

③中野区生涯学習大学の高齢者との合同ゼミナール(2回~3回程度)を行う。

板橋区成増社会教育館の講座を通じての体験学習を行う。

夏休み:ゼミ合宿を予定している(その際に、「子ども」「高齢者」「世代間交流」施設のいずれかの見学・

交流・体験学習を組み込む。2016年度の夏合宿では、民間保育園の乳幼児、職員、保護者との交流を予定して

いる)。

秋期:①春期の学習と夏休みの体験学習をもとに、ゼミ論文のテーマを探る。

②「サブ・ゼミナール」ごとの研究発表を行い、レポートを検討する(そのプロセスを通じて、各自の

担当教員 科目名

増山 均

福祉社会論ゼミ(教育福祉・福祉文化論)

副題:豊かな発達・自立に向けて教育・福祉・文化をつなぐ

プログラム:福祉社会論

11定員

15 名程度

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テーマを煮つめていく)。

③3年次『ゼミ報告集』を作成する。

【4年生】

前年度の学習を踏まえて、ゼミ論文を書き上げる。その際、次の二つの方法を選択できる。①個人で独自の

テーマを設定して「個人論文」をまとめること。②関連するテーマおよび方法論が共通する場合に、当事者同

士で話し合い「グループ論文」をまとめること。

春期:ゼミ論文の作成にむけて、個人・グループ論文の作成を中心課題とする。

春期のゼミナール、夏休みの「ゼミ合宿」「研究報告会」を通じて、論文のテーマ・構想・方法を順次発表・

検討する。

秋期:個人またはグループ論文の執筆を進め、必要に応じて検討会を行う。

1月に3,4年生合同で、「ゼミ論文発表会」を行う。

以上は、当面の予定であり。ゼミの開始後に、ゼミ生と相談しながら学習の課題・内容・方法を確定

する。

教科書

日本子どもを守る会編『子ども白書』2014年版、2015年版、本の泉社

参考文献

山野則子・吉田敦彦他編『教育福祉学への招待』せせらぎ出版

一番ケ瀬康子『福祉文化へのアプローチ』ドメス出版

竹内常一・佐藤洋作『教育と福祉の出会うところ』山吹書店

佐藤一子・増山均編著『子どもの文化権と文化的参加』第一書林

草野篤子他編『世代間交流学の創造』あけび書房

増山 均『教育と福祉のための子ども観』ミネルヴァ書房

川村匡由・瀧澤利行『教育福祉論―生涯学習と相談援助―』ミネルヴァ書房

小川利夫『教育福祉の基本問題』勁草書房

小川利夫・高橋正教編『教育福祉論入門』光生館

評価方法

【3 年生】

ゼミでの発表内容・学習態度、課題レポートと合宿を含めた平常点によって評価する。

【4 年生】

ゼミでの発表、合宿を含めた平常点およびゼミ論文の内容によって評価する。

授業実施曜日・時限(予定)

【3 年生】火曜日3時限に行う。

【4 年生】火曜日4時限に行う。

火曜日3,4時限を使い、3 年 4 年合同でゼミを行うことがある。

選考方法

・ゼミ志望理由書

・2 年春学期までの成績を参考にする

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授業内容

ディスアビリティを切り口として現代と社会福祉のあり方について考えるゼミです。

「障害(disability)は社会的に構築されている(個人の属性ではない)」という考え方を「障害の社会モデ

ル」と呼びます。イギリスの障害当事者運動から生まれたこの新しい障害観は、格差・貧困・差別・社

会的排除などの現代社会の諸問題の解決を、“できなくされている人(disabled person)”の自己責任へと

還元させず社会の側に対応を求めるポリティクスとして注目されています。

本ゼミでは、「障害の社会モデル」を手がかりとし、加速する新自由主義と閉塞する福祉国家を交響す

る公共圏へと再構築するために必要な「自由の平等」と新たな福祉のかたち(ケア・運動・政策・制度

的再分配)について、読み/調べ/考えていきます。

まなざすことなく聴き発する問いが〈自足する明晰の世界〉を突き崩し、自らの〈生き方の窓〉をひ

らくことを期待しています。

シラバス

【3 年生】

春期:文献講読とディスカッションを通じて基本概念や理論等を学びます。

秋期:文献研究やフィールドワーク等を通じて各人の問題意識を掘り下げ自由研究を行います。

【4 年生】

春期:文献講読や合同ゼミへの参画及びゼミ論の予備研究を行います。

秋期:ゼミ論を執筆/完成させて、報告会を開催/ゼミ論集を作成します。

2014 年 12 月 19 日 祝!ゼミ論提出 2・3・4年合同懇親会

担当教員 科目名

岡部 耕典

福祉社会論ゼミ(ディスアビリティと現代)

プログラム:福祉社会論

12定員

15 名程度

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教科書・参考文献

・確定メンバーの志望動機や関心領域などを踏まえて決定したいと思います。

(講読文献は原則としてコピーで配布します)

【参考】2015 年度講読文献(秋期予定を含む)

※2016 年度については新ゼミ生の関心を踏まえゼミ開始時までに決定します。

■排除と差別

排除と差別の社会学を考える基本をめぐって+フリークスという寓話(好井裕明)

排除・差別問題における当事者とは誰か(倉石一郎)

同性愛への「寛容」をめぐって(風間孝)

ユニークフェイス・レボリューション(石井政之)

「ひきこもり」について考える/「私」を振り返る(石川良子)

「外国人」とは誰か(佐々木てる)

■障害学

障害学の歴史と変遷(秋風千恵)

平等派でも差異派でもなく(石川准)

米国の障害学(アドリアン・アッシュ)

障害(ディスアビリティ)の共通性(ヴィク・フィンケルシュタイン)

英国の障害者運動(ニック・ダナファー)

障害学と文化の視点(倉本智明)

ろう文化とろう者コミュニティ(木村晴美)

バリアフリーはなにをもたらしたのか 「能力」の補償・代替・増強のいま(中邑賢龍)

障害者への割引サービスをずるいと感じるあなたへ 「公平性」をめぐるコンフリクト(飯野由里子)

知的障害者の「自己選択」をめぐるジレンマ(植戸貴子)

■家族とケア

家族の臨界 ケアの分配公正をめぐって(上野千鶴子)

家族からの出発 新しい社会の構想に向けて(岡野八代)

ジェンダー家族のポリティクス 家族と性愛の「男女平等」主義を疑う(牟田和恵)

性愛の多様性と家族の多様性 レズビアン家族・ゲイ家族(釜野さおり)

■福祉社会・労働

認知症をめぐる排除と包摂(井口高志)

社会的排除と健康格差(斉藤政茂・近藤克則)

心理主義化と社会批判の可能性(崎山治男)

生活をまわす/生活を拡げる(三井さよ)

教育と労働 正規/非正規の壁と学歴(中澤渉)

健康と生命 晒される生命の訴え(早坂裕子)

評価方法

【3 年生】平常点及び課題によって評価します。

【4 年生】平常点及び春期末・秋期末のゼミ論報告を含むゼミ論への取り組みによって評価します。

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関連 URL

・ http://www.f.waseda.jp/k_okabe/ 岡部耕典研究室

担当授業一覧、履修モデル、過去のゼミ論文(全文)、学内外の講演会等のお知らせ等を掲載。

・ http://www.eft.gr.jp イナッフ・フォア・トゥディ?

担当教員の研究や活動にかかわるデータベース。

授業実施曜日・時限

金曜日 3.4 限

3 年生は 3 限、4 年生は 4 限に自動登録されますが、3.4 年が別々に授業を行う場合と 2 時限通しで合

同授業を行う場合がありますので、3 限と 4 限の両方の時間を空けておくことが望まれます。

備考

・夏季には合宿を行う予定です。

・ゼミ論集を作成します。ゼミ論は全文が以下の研究室ホームページに掲載されます。

選考方法

ゼミ志望理由書と 2 年春学期までの成績を参考にして選考します。(必要に応じ面接を行う場合があり

ます。その場合は、waseda-net のアドレスに個別に連絡します)

参考 これまでのゼミ論文一覧

★研究室 HP から全文が読めます★ http://www.f.waseda.jp/k_okabe/semi-theses/

2014 年度

スポーツ障害を通して競技者を取り巻く環境を考える

福祉へのまなざし ―生活保護バッシングから見えてくるもの―

ホームレスを生み出した社会とあるべき支援 ―THE BIG ISSUE とスープの会から見る支援のバランス―

子どもの自治が貫かれた自然体験活動の可能性 ―アニマシオンを手がかりに見る―

児童虐待における社会的養護の現状とその課題 ―これからの社会的養護のあるべき姿とは―

「障害の社会モデル」と内なる障壁 ―予測する不幸より振り返る幸福を―

まなざされる身体 ―ユニークフェイス、見た目の問題を見つめ直す―

ゆとり教育は否定されるべきものか ―学習指導要領とPISAの結果からみるその是非―

新卒一括採用制度はあるべきか ―学生が前向きに就職するために今必要なこととは―

早稲田大学におけるバリアフリー問題について ―誰しもに開かれた学びの場としての大学とは―

「障害者文化」の共生に向けた可能性

ひとり親家庭の抱える問題とその支援 ―ひとり親家庭が自立するには―

セクシュアル・マイノリティのカミングアウト ―性の多様性が認められる社会を目指して―

2013 年度

これからの家族と社会保障 ―少子高齢化社会を超えて―

累犯高齢者はなぜ増え続けているのか ―再犯防止には何が必要なのか―

「産みやすい社会」とは ―労働の多様性に向けて―

「生きづらさ」解消へ向けて ―ベーシック・インカムの可能性を探る―

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遊びが病児の暮らしに与える効果 ―二つの活動から考えるー

ロマンチックラブイデオロギーからの解放に向けて ―結婚をめぐる言説と制度の歴史―

発達障害児の社会適応とオーケストラ ―ベネズエラの音楽教育、エル・システマから考える―

共生の足場としての地域 ―地域モデルから考える―

ほんとうの幸福とは何か ―『絶望の国の幸福な若者たち』の批判的再検討から―

看取る側から考える死の受容 ―終末期医療と生命倫理をめぐって―

人工妊娠中絶を減らすために ―国、社会、個人ができること―

学校におけるいじめへの対応 ―子どもの心身を守るには―

声を上げられる社会 ―「強姦」・「慰安婦」の問題を中心に―

児童虐待を防止するために必要な支援 ―親子への支援と家族の再統合―

よりよい特別支援学級の在り方 ―発達保障とインクルーシブ教育を手掛かりとした新たな可能性―

日本における外国人労働者問題

2012 年度

政治参加における討論型世論調査の有効性と地方自治体による市民参加の取り組みの重要性

「ハンセン病」を語り継ぐ意義 ―差別に抗する人権教育として―

発達障害と「少年犯罪」

地域に「雇用」を生む仕組みを考える ―発展途上国における取り組みからの考察―

DI 児の望ましい福祉 ―非配偶者人工授精で生まれた子どもたち―

現代における新たなコミュニティの形とは ―「ゆるやかなつながり」を求めて―

不幸な中絶を減らすために 児童虐待と現代社会 ―女性がひとりで子どもを産んで育てられる社会―

働きたい女性が働きやすい社会とは ―デンマークと日本の比較から見る子育て支援・雇用・教育―

難病者福祉 ―病者の生の実際と新たな支援のかたち―

子ども・若者の貧困 ―ベーシック・インカムとスクールソーシャルワークの可能性―

2011 年度

「ALS患者の尊厳死」をめぐって ――よりよく生きられる社会の在り方を考える

障害者スポーツとノーマライゼーション

見過ごされたケアの責任と平等 ――リベラルな依存の公共哲学

ロシアの社会福祉 ――体制転換期の高齢者の生活

「若者」の貧困と社会的排除に関して

現代における大学生の就職問題と労働への意義 ――望ましい就職、支援とは

児童虐待と現代社会

知的障がい者との共生社会の実現

セクシャル・マイノリティの暮らしやすい社会を求めて ――同性婚、ドメスティック・パートナー制度を通じて

日本における望ましい地域福祉 ――スウェーデンとの比較からみる家族介護・ホームヘルプ

「無縁」にならず生きていけるような社会とは

生活保護ケースワーカーのあるべき姿について

知的障害当事者の生活の支援と地域社会 ――えびすぱれっとホームとたこの木クラブの生活を比較して

望ましい災害ボランティアの在り方 ――阪神・淡路大震災と東日本大震災を通して

望ましい介護のあり方とは ――認知症高齢者の在宅介護を通して

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2010 年度

現代の家族とこれからの家族福祉

セクシュアル・ハラスメントと行為遂行性((パフォーマティビティ)

――キャサリン・マッキノンとジュディス・バトラーの議論を通じて

医療観察法の問題点と犯罪を犯した精神障害者の処遇の在り方

障害者の脱施設化および地域自立生活の意義

義務教育における特別支援教育とインクルーシブ教育の意義 ――将来がひろがる教育とはなにか

集団生活を送る場としての学校のあり方 ――現代のいじめ問題から見る子どもたちの変化

鉄道における交通弱者支援の現状と課題 ――高齢者や障害者の外出促進に向けた一考察

日本の社会保障のあるべき姿についての一考察 ――弱者にとってよりよい社会支援の在り方を求めて

春の合同・公開ゼミ 夏休み前の懇親会

夏合宿・バーベキュー 夏合宿・自由討論

年末の合同懇親会 学位授与式