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平成28年10月28日 資源エネルギー庁 省エネルギー課 三牧 純一郎 2030年に5030万klの使用量削減に向けた 省エネ政策

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Page 1: 2030年に5030万klの使用量削減に向けた ... - NEDO · 傾向も見て取れる一方、中小企業を中心にイニシャルコストを負担できない事業者においては

平成28年10月28日資源エネルギー庁省エネルギー課三牧 純一郎

2030年に5030万klの使用量削減に向けた省エネ政策

Page 2: 2030年に5030万klの使用量削減に向けた ... - NEDO · 傾向も見て取れる一方、中小企業を中心にイニシャルコストを負担できない事業者においては

震災以降、需要サイドでは、化石燃料依存の高まりを原因としたエネルギーコストの上昇、厳しい電力需給、温室効果ガスの排出抑制といった課題が山積している。

エネルギーコスト高の影響等により、事業者は経済合理性の範囲で、省エネ設備投資を増やす傾向も見て取れる一方、中小企業を中心にイニシャルコストを負担できない事業者においては設備投資が滞り、設備の老朽化が進んでいるとの指摘。

電力需給の状況が厳しいことを踏まえ、ピーク対策等の需要量抑制の取組が注目されている。

省エネルギーとは

1

省エネルギーとは、一般的に「電力・石油・ガスなどの消費の節約」を指す。

対策については、省エネルギーに資する高効率機器や設備を導入する対策(ハード面の対策)と、設備を最適運転するといったエネルギー管理の徹底による対策(オペレーション面の対策)の大きく2つが存在。

省エネルギー対策を徹底することで、化石燃料輸入国である我が国において、より合理的かつ安定的なエネルギー需給構造を実現するとともに、事業者や家庭におけるエネルギーコスト削減や、企業のエネルギーコストの削減を通じた生産性の向上による産業競争力の強化に貢献。

震災後の環境の変化

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我が国のエネルギー消費状況

2

石油危機以降、GDPは2.4倍に増加したにもかかわらず、産業部門はエネルギー消費量が2割近く減少。一方、民生部門は大きく増加(業務部門2.4倍、家庭部門2.0倍)。

産業部門は依然として、全体の4割の消費量を占める。

0

100

200

300

400

500

600

0

50

100

150

200

250

300

350

400

450

1973 75 80 85 90 95 2000 05 10 14

(原油換算百万kL)

(年度)

産業部門

家庭部門

運輸部門

(兆円、2005年価格)

業務部門

23%

14%

18%

45%

16%

9%

9%

66%

【出典】総合エネルギー統計、国民経済計算年報、EDMCエネルギー・経済統計要覧。

実質GDP1973→2014

2.4倍

最終エネルギー消費量

全体1973→2014

1.2倍

運輸1973→2014

1.7倍

家庭1973→2014

2.0倍

業務1973→2014

2.4倍

産業1973→2014

0.8倍

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長期エネルギー需給見通しにおける2030年度の見通し

2030年度(省エネ対策後)

2013年度(実績)

エネルギー需要

最終エネルギー消費

熱ガソリン都市ガス等75%

電力25%

3.6億kl

徹底した省エネ5,030万kl程度

(対策前比▲13%程度)

電力28%程度

熱ガソリン

都市ガス等72%

程度

経済成長1.7%/年

3.3億kl程度

一次エネルギー供給

自給率24.3%程度

2030年度

石炭25%程度

天然ガス18%程度

石油30%程度

再エネ13~14%程度

原子力11~10%程度

4.9億kl程度

LPG 3%程度

3

3.8億kl

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エネルギーミックスにおける省エネルギー対策

各部門における省エネルギー対策の積み上げにより、5,030万KL程度の省エネルギーを実現する。

<各部門における主な省エネ対策>

産業部門 <▲1,042万KL程度> 業務部門 <▲1,226万KL程度>

家庭部門 <▲1,160万KL程度>

運輸部門 <▲1,607万KL程度>

主要4業種(鉄鋼、化学、セメント、紙・パルプ)⇒ 低炭素社会実行計画の推進

工場のエネルギーマネジメントの徹底⇒ 製造ラインの見える化を通じたエネルギー効率の改善

革新的技術の開発・導入

業種横断的に高効率設備を導入⇒ 低炭素工業炉、高性能ボイラ、コジェネレーション 等

次世代自動車の普及、燃費改善⇒ 2台に1台が次世代自動車に⇒ 燃料電池自動車:年間販売最大10万台以上

交通流対策・自動運転の実現

建築物の省エネ化⇒ 新築建築物に対する省エネ基準適合義務化

LED照明・有機ELの導入⇒ LED等高効率照明の普及

BEMSによる見える化・エネルギーマネジメント⇒ 約半数の建築物に導入

国民運動の推進

住宅の省エネ化⇒ 新築住宅に対する省エネ基準適合義務化

LED照明・有機ELの導入⇒ LED等高効率照明の普及

HEMSによる見える化・エネルギーマネジメント⇒ 全世帯に導入

国民運動の推進 4

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支援措置

産 業 部 門 業 務 部 門 家 庭 部 門 運 輸 部 門

住宅リフォーム減税

クリーンエネルギー自動車

エコカー減税

我が国の省エネルギー政策の全体像(支援措置)

省エネ設備、トップランナー機器導入の際の利子補給

省エネ設備の導入や省エネビル建築に際しての税制(特別償却)等

省エネ技術開発への補助金(蓄電池、自動車等)

中小企業向けの省エネ診断

省エネ補助金(設備更新、省エネ改修、電力ピーク対策、エネルギーマネジメント・システム導入)

省エネ補助金(設備更新、省エネ改修、電力ピーク対策、エネルギーマネジメント・システム導入)

住宅・建築物のネット・ゼロ・エネルギー化(ZEB・ZEH)への補助

省エネ設備、トップランナー機器導入の際の利子補給

トラック・タクシー、海上輸送分野の省エネ実証

生産性向上設備投資促進税制(エネルギー効率向上)

家庭用燃料電池(エネファーム)

省エネ設備導入の際の融資制度

予算措置

税制

既築住宅・建築物への高性能建材

リチウムイオン蓄電池

製造プロセス改善に資する技術開発への補助金

5

省エネ設備導入の際の融資制度

導入支援

技術開発

気付き

実証

個別機器の導入補助

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省エネルギー投資促進に向けた支援補助金平成29年度概算要求額 1140.0億円(515.0億円)

事業の内容

条件(対象者、対象行為、補助率等)

国 民間団体等

事業イメージ

事業目的・概要

工場・事業場、住宅、ビルにおける省エネ関連投資を促進することで、エネルギー消費効率の改善を促し、徹底した省エネを推進します。

成果目標

平成42年省エネ目標(5,030万kl削減)達成に寄与します。

事業者等

補助補助(定額,2/3,

1/2,1/3)

給湯

照明

暖房

冷房

換気

削減

エネルギーを上手に使う

エネルギーを創る

大幅な省エネを実現した上で、再生可能エネルギーにより、年間で消費するエネルギー量をまかなうことを目指した住宅/建築物

②、③ZEH/ZEBとは

エネルギーを極力必要としない

① 省エネルギー設備への入替支援工場・事業場単位、設備単位で、省エネ効果の高い設備の入替について支援を行います。また、29年度から新たに、工場・事業場や複数事業者間でのエネルギー使用量の削減や原単位改善を支援します。

② ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)の導入支援ZEHの価格低減・普及加速化のため、ZEHの普及目標を掲げたZEHビルダーが設計・建築・改築するZEHの導入を支援します。

③ ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)の実証支援ZEBの実現・普及のためのガイドライン作成等を目的に、ZEBの構成要素となる高性能建材や高性能設備機器等の導入を支援します。

④ 住宅の断熱・省エネ改修の支援

住宅の断熱・省エネ改修を促進するため、高性能建材(断熱材や窓等)や高性能設備(空調設備等)を用いた改修を支援します。

① 申請時の省エネ目標の100%以上達成を目指します。

②~④ 平成32年までに新築戸建住宅の過半数のZEH実現と建築物におけるZEB実現及び、省エネリフォーム件数の倍増を目指します。

天井・壁・床等の断熱ガラスの交換 外窓交換・内窓設置

住宅の断熱・省エネ改修を支援

④ 下記改修により、住宅の省エネ化を実現

・高効率空調設備・高効率給湯設備・蓄電システム の導入(戸建住宅に限る)

エネルギー消費原単位改善① 工場の省エネ取組事業者の省エネ取組を支援

エネルギー消費原単位での省エネ

省エネ効果の高い設備の入替

<高効率照明> <高効率空調>

設備更新

エネマネの活用等による効率改善

資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部省エネルギー課 03-3501-9726製造産業局 生活製品課 03-3501-0969

エネマネ事業者※の活用による効率的・効果的な省エネ

※エネマネ事業者:エネルギーマネジメントシステムを導入し、エネルギーの見える化サービスをはじめとした、エネルギー管理支援サービスを通じて工場・事業場等の省エネルギー事業を支援する者。

エネルギー使用量

生産量 原単位

設備導入前

1,500 300 50

設備導入後

3,000 1,000 30

原単位改善

÷

÷

6

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事業イメージ

中小企業等に対する省エネルギー診断事業費補助金平成29年度概算要求額 11.0億円(7.5億円)

事業の内容

条件(対象者、対象行為、補助率等)

事業目的・概要

診断事業 中小・中堅事業者等に対し、省エネ・節電診断等を無料

で実施します。

省エネ相談地域プラットフォーム事業 全国に省エネの相談窓口を設

置し、中小企業等による省エネの取組をきめ細かに支援します。

講師派遣事業 地方公共団体等が参加費無料で開催する省エネ等

に関する説明会やセミナー等に、省エネ及び節電の専門家を無料で派

遣します。

成果普及事業 中小企業等の省エネ活動を支援するために、具体的

な省エネ診断事例や省エネ技術など、診断事業やプラットフォーム事業

の成果を様々な媒体を通じて情報発信します。

成果目標

平成16年から平成32年までの17年間の事業であり、診断の結果、提

案された省エネの取組の9割以上※が実施されることを目指します。また、

全国に中小企業等の省エネ取組に係る支援窓口が存在することを目

指します。

※(省エネ実施量/診断時において提案した省エネ量)で算出

事業者

地方公共団体等

国民間団体等

補助(定額) 民間団体等

(地域プラットフォーム)

補助(定額)

診断・情報提供

講師派遣

相談・対応

診断事業

(省エネ診断の例) オフィスの空調の運用改善 工場の廃熱の有効利用 等

(プラットフォームの役割)

計画の見直し支援 等省エネの計画の策定支援 等

運用改善・設備更新の支援補助金・融資制度等の案内 等フォローアップ 等

PDCA支援

診断の案内・実施 等

省エネ相談窓口の設置省エネに関する情報発信 等 情報発信

実態把握

プラットフォーム事業

講師派遣事業・省エネ情報提供等事業

(説明会の様子) (ポータルサイトによる情報提供)

資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部省エネルギー課03-3501-9726

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トラック・船舶等の運輸部門における省エネルギー対策事業費補助金平成29年度概算要求額 62.5億円(新規)

資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部省エネルギー課 03-3501-9726国土交通省総合政策局環境政策課03-5253-8263

事業の内容 事業イメージ

条件(対象者、対象行為、補助率等)

補助民間団体等

民間企業等

成果目標

本事業及びその波及効果によって、運輸部門におけるエネルギー消費量を2030年(平成42年)までに原油換算で年間約167万kl削減することを目指します。

補助(定額,1/2,1/3)

補助(定額、1/2)

事業目的・概要

運輸部門の最終エネルギー消費量は全体の約2割で産業部門に次いで多く、当該部門の省エネ対策を進めることが重要です。

そのため、輸送事業者と荷主との連携について実証事業を行い、その成果を業界内で活用することで、輸送の効率化等による更なる省エネを図ります。

併せて、スキャンツールを整備工場に導入して点検整備データを収集し、燃費に影響する不具合の分析を行うとともに、実使用時の燃費性能の検証を行い、自動車の点検整備に係る情報や実燃費情報のユーザーへの効果的な提供等により実使用時における自動車の燃費改善を図ります。

トラック輸送事業者に対して、車両動態管理システムの導入に必要な経費を支援し、車両の位置情報等を活用した輸送ルートの最適化などの輸送事業者と荷主との連携による省エネ対策の実証を行います。

実使用時における自動車の燃費改善事業

荷主・輸送事業者連携による省エネ化推進事業

事業所車両動態

管理システム走行車両の運行情報を共有

ルート変更の指示等により輸送効率の向上を実現

内航海運事業者等に対して、運航計画最適化などソフト面を組み合わせた省エネ船の設計建造等を支援し、船舶の実運航時の省エネ効果を実証します。

外部にデータを出力可能なスキャンツールの導入により点検整備データを収集し、燃費に影響する不具合の分析を行い、ユーザーや自動車メーカーへの効果的な情報提供を図ります。

自動車の実燃費と、カタログ上の燃費との差異の要因について、調査分析を行い、ユーザーへの実燃費値の情報提供のあり方を検討します。

最適な航海計画

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革新的な省エネルギー技術の開発促進事業平成29年度概算要求額 96.0億円(77.5億円)

事業の内容

条件(対象者、対象行為、補助率等)

事業イメージ

事業目的・概要

エネルギー基本計画(平成26年4月閣議決定)にも記載のあるよう

に、本事業において、「業種横断的に、大幅な省エネルギーを実現する

革新的な技術の開発を促進」していきます。

具体的には、開発リスクの高い革新的な省エネルギー技術について、

シーズ発掘から事業化まで一貫して支援を行う、提案公募型研究開

発を戦略的に実施します。

成果重視の研究開発を一層促進するため、ステージゲート審査

(フェーズ移行時の外部有識者による審査)や中間評価により目標

達成を徹底し、事業化を見据え企業の参画と自己負担を求めることで、

革新的技術の実用化を着実に進められる有望テーマの支援を推進しま

す。

成果目標

平成24年度から平成33年度までの10年間の事業であり、本事業を

通じて、省エネルギー技術の研究開発・事業化を促進し、我が国におけ

るエネルギー消費量を2030年度(平成42年度)に原油換算で

1,000万kL削減することを目指します。

国企業大学等

補助(2/3、1/2)新エネルギー・産

業技術総合開発機構(NEDO)

交付金

開発成果として製品化された事例

テーマ設定型プロジェクト(2/3以内助成)

インキュベーション研究開発

(2/3以内助成)

実証開発(1/2以内助成)

実用化開発(2/3以内助成)

事業化

2年以内 3年以内 3年以内

ステージ

ゲート審査

ステージゲート審査

採択審査

採択審査

採択審査

採択審査

最長5年

技術開発フェーズ

高効率ガスエンジンシステム超高輝度・大光量の省エネ型LED照明

スパコンに搭載される超省電力型高性能プロセッサ

資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部省エネルギー課03-3501-9726

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エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)の概要

対象:工場等を設置して事業を行う者(エネルギー使用量1,500kl/年以上)

・エネルギー管理者等の選任義務

・エネルギー使用状況等の定期報告義務

・中長期計画の提出義務

・事業者の努力義務

対象:貨物/旅客の輸送を業として行う者(保有車両数 トラック200台以上、鉄道300両以上等)

・中長期計画の提出義務

・エネルギー使用状況等の定期報告義務

・事業者の努力義務

対象:自らの貨物を輸送事業者に輸送させる者(荷主)

(年間輸送量が3,000万トンキロ以上)

・計画の提出義務

・委託輸送に係る

エネルギー使用状況等の定期報告義務

・事業者の努力義務

エネルギー消費機器等

対象:エネルギー消費機器、熱損失防止建築材料の製造又は輸入事業者

<トップランナー制度>(31品目)(乗用自動車、エアコン、テレビ等のそれぞれの機器などにおいて商品化

されている最も優れた機器などの性能以上にすることを求める制度)

・事業者の努力義務

事業者の一般消費者への情報提供の努力義務

・家電等の小売業者による店頭での分かりやすい省エネ情報(年間消費電力、燃費等)の提供

・電力・ガス会社等による省エネ機器普及や情報提供等

一般消費者への情報提供

対象:住宅・建築物の建築主・所有者(延べ床面積300㎡以上)・新築、大規模改修を行う建築主等の省エネ措置に係る届出義務・維持保全状況の報告義務

・建築主、所有者の努力義務

対象:建売戸建住宅の供給事業者(年間150戸以上)

・供給する建売戸建住宅における省エネ性能を向上させる目標の遵守義務・事業者の努力義務

工場・事業場 運輸 住宅・建築物

省エネ法は、我が国の省エネ政策の根幹。石油危機を契機として1979年に制定。

産業・業務・家庭・運輸の各部門におけるエネルギーの効率向上を求めている。

10

平成29年から新法に移行

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工場 運輸

省エネ法の変遷

事業場 住宅・建築物

1947 熱管理法制定(石炭・重油)

1979 省エネ法制定 エネルギー(熱・電気)管理指定工場の指定

住宅・建築物分野、機械器具分野の判断基準制定

1983 省エネ法改正エネルギー管理士試験の導入

1993 省エネ法改正基本方針の策定定期報告書制度の導入

石油危機を

契機に制定

原単位の年平均1%以上

改善の努力目標

1998 省エネ法改正エネルギー管理指定工場の拡充

2005 省エネ法改正熱・電気一体管理の導入

2008 省エネ法改正 事業者単位の導入(フランチャイズチェーンの規制対象化等) セクター別ベンチマーク制度の導入【産業部門対策】

特定の業種・分野について、中長期

的に目指すべき水準=ベンチマーク

を設定

2002 省エネ法改正 業務部門(事業場)の定期

報告導入

1998 省エネ法改正 機械器具や自動車へのトップランナー制度の導入

【民生部門対策(製品規制)、運輸部門対策(燃費規制)】

2005 省エネ法改正 輸送部門に規制対象拡充

2013 省エネ法改正 需要家の電力ピーク対策

建築材料等へのトップランナー制度の導入【民生部門対策】

1993 省エネ法改正特定建築物(住宅を除く)の新築増改築に係る指示・公表の対象化

2002 省エネ法改正特定建築物(住宅を除く)の省エネ措置の届出義務化

2005 省エネ法改正特定建築物に住宅を追加大規模修繕の追加 等

2008 省エネ法改正特定建築物の規制強化

※第1種:命令の追加、第2種:勧告の追加

住宅事業建築主の性能向上努力義務の追加

今後の

展開方向

セクター別ベンチマーク制度

の見直し・拡大【工場・事業場】

2015 建築物の省エネ基準適合

義務化【住宅・建築物】※大規模非住宅から段階的に実施。

11

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8,745

9,112

9,049

8,643

8,593

8,289

9,597

9,555

9,264

8,837

7,333

7,216

6,842

3,839

3,968

3,951

5,115

5,547

5,614

5,094

5,267

5,197

5,186

5,056

4,698

4,455

3,362

3,162

2,639

13,860

14,659

14,663

13,737

13,860

13,486

14,783

14,611

13,692

13,292

10,695

10,378

9,481

3,839

3,968

3,951

0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000 16000

平成26年度

平成25年度

平成24年度

平成23年度

平成22年度

平成21年度

平成20年度

平成19年度

平成18年度

平成17年度

平成16年度

平成15年度

平成14年度

平成13年度

平成12年度

平成11年度製造部門

業務部門

エネルギー管理指定工場等の数の推移

エネルギー管理指定工場等の数は法改正を契機に増加。

出所:平成27年度工場等判断基準遵守状況等分析調査等

第一種指定工場の業種制限撤廃、第二種指定工場創設

熱・電気一体管理(それぞれ1,500kl以上から、合計

1,500kl以上が対象に)

事業者単位規制への移行(再指定)

12

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<定期報告書記載内容>

省エネ措置の取組状況

エネルギー消費原単位の推移

ベンチマーク指標の状況(対象業種のみ)

○省エネ措置に係る判断基準 :

エネルギー管理に関する遵守事項を、判断基準(告示)で規定。

事業者全体としての省エネ措置・ 管理体制の整備・ 責任者の配置・ 省エネ目標等に関する取組方針の策定 等

各工場・事業場における省エネ措置(例:空気調和設備)

以下の事項等について、管理標準の設定・これに基づく管理の実施・ 運転管理(運転時間、設定温度等)・ 温度、湿度等の定期的な計測・記録・ 設備の定期的な保守・点検

○ベンチマーク指標と目指すべき水準:現在の設定業種:鉄鋼、電力、セメント、製紙、

石油精製、化学目指すべき水準:各業界で最も優れた事業者

(1~2割)が満たす水準

○努力目標 : 年平均1%以上低減

事業者

定期報告書の提出

経済産業省

合理化計画の

作成・提出指示

報告徴収

指導

立入検査

報告内容の評価

取組が著しく不十分な場合

指示に従わない場合

公表、命令

特定事業者及び特定連鎖化事業者(以下「特定事業者等」という。)から提出された定期報告書等に記載された内容に基づき、工場等判断基準の遵守状況やエネルギー消費原単位の改善状況に問題のある特定事業者等に対して、指導等を実施。

省エネ法に基づく特定事業者及び特定連鎖化事業者に対する措置

※平成22年度~26年度定期報告書関連において合計185件の指導等を実施。 13

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ベンチマーク制度の概要

2008年度の省エネ法改正により、ベンチマーク制度を導入。対象事業として産業部門の6業種10分野にコンビニ事業が追加された。

ベンチマーク制度とは、事業者の省エネ状況を比較できる指標(ベンチマーク指標)を定めることで、事業者の省エネ努力をより公平に評価し、取組が遅れている事業者には更なる努力を促すもの。

目指すべき水準は、各業種で省エネ取組が最も優れた事業者(上位1~2割)が満たす水準として設定。

製造業の約8割をカバー

【出典】資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」を基に作成

各業種のベンチマーク指標

事業 ベンチマーク指標 目指すべき水準

(1A)高炉による製鉄業 粗鋼生産量当たりのエネルギー使用量 0.531kℓ/t以下

(1B)電炉による普通鋼製造業上工程の原単位(粗鋼量当たりのエネルギー使用量)と下工程の原単位(圧延量当たりのエネルギー使用量)の和

0.143kℓ/t以下

(1C)電炉による特殊鋼製造業上工程の原単位(粗鋼量当たりのエネルギー使用量)と下工程の原単位(圧延量当たりのエネルギー使用量)の和

0.36kℓ/t以下

(2)電力供給業火力発電効率A指標火力発電効率B指標

1.00以上44.3%以上

(3)セメント製造業原料工程、焼成工程、仕上げ工程、出荷工程等それぞれの工程における生産量(出荷量)当たりのエネルギー使用量の和

3,739MJ/t以下

(4A)洋紙製造業 洋紙製造工程の洋紙生産量当たりのエネルギー使用量 6,626MJ/t以下

(4B)板紙製造業 板紙製造工程の板紙生産量当たりのエネルギー使用量 4,944MJ/t以下

(5)石油精製業石油精製工程の標準エネルギー使用量(当該工程に含まれる装置ごとの通油量に適切であると認められる係数を乗じた値の和)当たりのエネルギー使用量

0.876以下

(6A)石油化学系基礎製品製造業 エチレン等製造設備におけるエチレン等の生産量当たりのエネルギー使用量 11.9GJ/t以下

(6B)ソーダ工業電解工程の電解槽払出カセイソーダ重量当たりのエネルギー使用量と濃縮工程の液体カセイソーダ重量当たりの蒸気使用熱量の和

3.22GJ/t以下

(7)コンビニエンスストア業当該事業を行っている店舗における電気使用量の合計量を当該店舗の売上高の合計量にて除した値

845kWh/百万円以下

6業種10分野(平成21,22年制定)+コンビニ追加

平成28年4月施行

鉄 鋼

30.5%

化 学

40.2%

窯業土石

8.2%

紙・パルプ

5.7%

非素材系

15.3%

2013年度5,929(PJ)

14

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トップランナー制度対象品目(31品目)

1.乗用自動車

2.貨物自動車

3.エアコンディショナー

4.テレビジョン受信機

5.ビデオテープレコーダー

6.蛍光灯器具及び電球形蛍光ランプ

7.複写機

8.電子計算機

9.磁気ディスク装置

10.電気冷蔵庫

21.DVDレコーダー

22.ルーティング機器

23.スイッチング機器

24.複合機

25.プリンター

26.ヒートポンプ給湯器

27.三相誘導電動機

28.電球形LEDランプ

29.断熱材

30.サッシ 32.ショーケース

31.複層ガラス (今年度追加予定)

11.電気冷凍庫

12.ストーブ

13.ガス調理機器

14.ガス温水機器

15.石油温水機器

16.電気便座

17.自動販売機

18.変圧器

19.ジャー炊飯器

20.電子レンジ

機械器具分野においてトップランナー制度を導入し、その効率の改善に大きな成果をあげてきた。

トップランナー制度とは、エネルギー消費機器の製造・輸入事業者に対し、3~10年程度先に設定される目標年度において最も優れた機器の水準に技術進歩を加味した基準(トップランナー基準)を満たすことを求め、目標年度になると報告を求めてその達成状況を国が確認する制度。

1998年の改正省エネ法に基づき、自動車や家電等についてトップランナー方式による省エネ基準を導入している。現在、31品目(28機器、3建材)が対象となっている。

従来のトップランナー制度はエネルギーを使用する機器のみが対象であったが、民生部門の更なる省エネ対策のため「自らはエネルギーを使用しなくとも、住宅・ビル等のエネルギーの消費効率の向上に資する製品」を新たにトップランナー制度に追加(2013年省エネ法改正:建材トップランナー制度の創設)

平成25年12月28日に断熱材を建材トップランナー制度に追加。平成26年11月30日、新たに窓(サッシ、複層ガラス)を建材トップランナーに追加。

平成28年度中にショーケースを追加予定。

トップランナー制度の概要

15

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住宅におけるトップランナー制度のカバー率

住宅におけるエネルギー消費のうち、トップランナー対象機器のカバー率は約7割。

※1.資源エネルギー庁平成21年度民生部門エネルギー消費実態調査(有効回答10,040件)及び機器の使用に関する補足調査(1,448件)より日本エネルギー経済研究所が試算(注:エアコンは2009年の冷夏・暖冬の影響を含む)。

※2.本調査では各エネルギー源ともに「MJ」ベースに統一して熱量換算した上で集計・分析を実施。電力は2次換算値。

【H21年 家庭部門機器別エネルギー消費量の内訳(エネルギー)】

ガス温水機器

23.7%

ガス調理機器

8.3%

電気冷蔵庫

6.8%

照明器具

6.4%石油ストーブ

5.4%

テレビ

4.2%

石油温水機器

4.1%

エアコン

3.5%電気便座

1.8%

電子計算機

1.2%

ジャー炊飯器

1.1%

電子レンジ

0.9%

ネットワーク機器類

0.5%

DVDレコーダー

0.4%

ガスストーブ

0.3%

ビデオテープレコー

ダー

0.3%

エコキュート

1.8%

石油ファンヒーター

6.2%

食器洗い乾燥機

1.8%

電気温水器

2.6%

洗濯機・洗濯乾燥機

1.0%

電気カーペット

1.0%

電気厨房(IH)

0.7%

太陽熱

0.2%

電気機器その他

11.7%

その他暖房機器

4.2%

世帯当たりエネルギー

消費量34,905MJ/年

(2009年)

16

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トップランナー制度による効率改善の例

トップランナー制度の導入により、ガソリン乗用自動車は約74.4%(1996→2012年度)、エアコンは約30%(2001→2011年度)の効率改善が図られた。

17

1174

1220

1241

1212

1157

1048

1028

1028 997

966

924

884

860

896 872

862

700

800

900

1000

1100

1200

1300

1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014

平均新車燃費の推移

○ガソリン乗用車の10・15モード燃費平均値の推移○出所:国土交通省

燃費(km/L)

年度

期間消費電力量の推移

○冷房能力2.8kW(8~12畳)のエアコンの単純平均値の推移○期間消費電力量は、日本工業規格JIS C 9612:2005に基づいたもの○出所:各年度の省エネ性能カタログ(夏・冬)

【乗用車】 【エアコン】

期間消費電力量(kWh)

約30.7%改善

年度

12.3

12.1

12.4 12.9

13.2 13.5

14.0 14.6

14.7 15.0

15.1 15.5

15.7

16.5 17.8

18.3 19.5

21.1

22.5

23.8

8

10

12

14

16

18

20

22

24

26

1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014

約96.7%改善

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住宅・建築物の省エネ基準の段階的適合義務化

日本再興戦略(平成25年6月14日閣議決定)抜粋○住宅・建築物の省エネ基準の段階的適合義務化• 規制の必要性や程度、バランス等を十分に勘案しながら、2020 年までに新築住宅・建築物について段階的

に省エネ基準への適合を義務化する。これに向けて、中小工務店・大工の施工技術向上や伝統的木造住宅の位置付け等に十分配慮しつつ、円滑な実施のための環境整備に取り組む。

日本再興戦略中短期工程表

エネルギー基本計画(平成26年4月11日閣議決定)抜粋規制の必要性や程度、バランス等を十分に勘案しながら、2020年までに新築住宅・建築物について段階的に省エネルギー基準の適合を義務化する。

住宅・建築物の省エネを一層進めるため、新築住宅・建築物について、 2020年までに省エネ基準への適合を段階的に義務化することが閣議決定されている。

18

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その他の建築物特定建築物一定規模以上の建築物(政令: 300㎡ )一定規模以上の非住宅建築物(政令: 2000㎡ )

一定規模以上の新築、増改築に係る計画の所管行政庁への届出義務

必要に応じて所管行政庁が指示・命令

新築又は改修の計画が、誘導基準に適合すること等について所管行政庁の認定を受けると、容積率の特例*を受けることができる。

建築物の所有者は、建築物が省エネ基準に適合することについて所管行政庁の認定を受けると、その旨の表示をすることができる。

建築主事又は指定確認検査機関

所管行政庁又は登録判定機関

適合判定通知書着工

建築物使用開始

住宅事業建築主*が新築する一戸建て住宅

住宅事業建築主に対して、その供給する建売戸建住宅に関する省エネ性能の基準(住宅トップランナー基準)を定め、省エネ性能の向上を誘導

一定数(政令:年間150戸)以上新築する事業者に対しては、必要に応じて大臣が勧告・公表・命令

届出

① 新築時等に、建築物のエネルギー消費性能基準(省エネ基準)への適合義務

② 基準適合について所管行政庁又は登録判定機関(創設)の判定を受ける義務

③ 建築基準法に基づく建築確認手続きに連動させることにより、実効性を確保。

● 基本方針の策定(国土交通大臣)、建築主等の努力義務、建築主等に対する指導助言

建築確認

検査

適合性判定

省エネ基準適合義務・適合性判定

住宅トップランナー制度

エネルギー消費性能の表示

省エネ性能向上計画の認定、容積率特例

法案の概要

*住宅の建築を業として行う建築主

● その他所要の措置(新技術の評価のための大臣認定制度の創設 等)

*省エネ性能向上のための設備について通常の建築物の床面積を超える部分を不算入

<住宅トップランナー基準に適合しない場合>

<省エネ基準に適合しない場合>

※特定建築物を除く

断熱窓サッシ・ガラス高効率空調設備

LED照明

[省エネ性能向上のための措置例]

高効率給湯設備 19

16.4 23.2 22.5 18.1

26.5 34.5

65.5 50.3 43.0

0%

20%

40%

60%

80%

100%

1973 1990 2013

0

5,000

10,000

19

73

19

77

19

81

19

85

19

89

19

93

19

97

20

01

20

05

20

09

20

13…

建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(平成27年法律第53号、7月8日公布)

○我が国のエネルギー需給は、特に東日本大震災以降一層逼迫しており、国民生活や経済活動への支障が懸念されている。

○他部門(産業・運輸)が減少する中、建築物部門のエネルギー●消費量は著しく増加し、現在では全体の1/3を占めている。

⇒建築物部門の省エネ対策の抜本的強化が必要不可欠。

1973 1990

エネルギー消費量の推移背景・必要性

[年]

シェアの推移産業▲12.5%

運輸▲0.7 %

建築物+33.5%

(1990-2013)2013

(速報値)

[%]

1973 1990 2013(速報値)

施行済

施行済

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現行制度

○ 省エネ法は、判断基準に基づいて事業者に原単位の改善等を促し、必要に応じて指導等の措置を実施。

○ 原単位「1%改善」に加え、より現場の実態に合った取組を促すため、業界ごとに原単位目標(ベンチマーク)を設定。

○ 優良事業者の称揚、停滞事業者の取組促進の観点から、事業者クラス分け評価制度(SABC評価制度)を本年度から開始。

新たな省エネ政策への転換 ~原単位改善~

○ ベンチマーク設定業種の拡大(2018年度中に7割カバー)に向けた具体的な施策(標準的な考え方の提示、インセンティブの付与 等)を講じる必要があるのではないか。

○ 事業者クラス分け評価制度の実効性のさらなる向上(称揚効果や取組促進効果の向上 等)を図る必要があるのではないか。

○ 原単位改善を後押しするために、省エネ量だけではなく、原単位改善率に着目した支援制度の充実が必要ではないか。【予算】

今後の課題

20

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官民対話「『日本再興戦略』改訂2015」(平成27年6月30日閣議決定)に基づき、グローバル競争の激化や急速な技術革新により不確実性の高まる時代に日本経済が歩むべき道筋を明らかにし、政府として取り組むべき環境整備の在り方と民間投資の目指すべき方向性を共有するため、未来投資に向けた官民対話を開催。第3回ではエネルギー関連の投資と課題を議論。

未来投資に向けた官民対話(第3回 平成27年11月26日)

総理発言抜粋

製造業向けの省エネトップランナー制度を、本年度中に流通・サービス業へ拡大し、3年以内に全産業のエネルギー消費の7割に拡大することを目指す。

鉄鋼

22%

化学

24%

窯業土石

4%

紙パルプ

3%

事務所・ビル卸小売・デパート・

スーパー ホテル・旅館

その他業務部門

その他産業部門

現状で53%をカバー

【出所】(一財)日本エネルギー経済研究所「エネルギー・経済統計要覧2015」

2013年度 2.03億kl

貸事務所業

高炉・電炉

エチレン・ソーダ等

セメント

洋紙・板紙百貨店

スーパー

ホテル

5% 5%2%

10% 25%

ショッピングセンター

全産業の7割を対象とすることを目指す

コンビニ 平成28年4月施行

21

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事業者クラス分け評価制度① ※平成28年度より制度開始

省エネ法の定期報告を提出する全ての事業者をS・A・B・Cの4段階へクラス分けし、クラスに応じたメリハリのある対応を実施するもの。

Aクラス一般的な事業者

3,417社(27.5%)

Sクラス省エネが優良な事業者7,774社(62.6%)

Bクラス省エネが停滞している事業者

1,221社(9.8%)

Cクラス注意を要する事業者

【水準】SクラスにもBクラスにも該当しない事業者

【対応】特段なし。

【水準】①努力目標達成または、②ベンチマーク目標達成

【対応】優良事業者として、経産省HPで事業者名や連続達成年数を表示。

【水準】①努力目標未達成かつ直近

2年連続で原単位が対前度年比増加

または、②5年間平均原単位が5%

超増加

【対応】注意文書を送付し、現地調査等を重点的に実施。

【水準】Bクラスの事業者の中で特に判断基準遵守状況が不十分

【対応】省エネ法第6条に基づく指導を実施。

※1 平成27 年度定期報告(平成26年度実績)総事業者数12,412社より算出※2 努力目標:5年間平均原単位を年1%以上低減すること。※3 ベンチマーク目標:ベンチマーク制度の対象業種・分野において、事業者が中長期的に目指すべき水準。

※2

※3

※2

※1 ※1 ※1

22

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Sクラス事業者の公表

省エネ取組が進んでいる優良事業者として、経産省HP上で、業種別に事業者を公表。同業他社の努力目標達成状況を把握することで、自らの立ち位置を確認することも期待。

Bクラス事業者への働きかけ

省エネ取組が停滞している事業者に注意文書を送付し、必要に応じて、報告徴収、現地調査、立入検査を実施。判断基準遵守状況が不十分であれば指導。

事業者クラス分け評価制度②

Sクラス事業者の公表 Bクラス事業者への働きかけ

Sクラスの事業者を業種別に公表し、達成年度を★で表示。

●注意文書はすべてのBクラス事業者へ送付。●現地調査、立入検査の結果、判断基準遵守状

況が不十分と判断された場合、Cクラスとして指導。

注意文書

現地調査

立入検査

報告徴収

Bクラス

事業者

指導

Cクラス標準産業分類

中分類特定事業者

番号主たる事業所

の所在地事業者等名

過去の省エネ評価省エネ評価 ベンチマーク

達成分野

27年度 28年度 29年度 30年度 31年度

○○業 0000000 △△県 A事業者 ★ ★ ★ ★ ★ □□□□業

○○業 0000000 △△県 B事業者 ★ ★ ★ ★ ★ ‐

○○業 0000000 △△県 C事業者 ‐ ★ ★ ★ ★ □□□□業

○○業 0000000 △△県 D事業者 ‐ ‐ ‐ ★ ★ □□□□業

○○業 0000000 △△県 E事業者 ★ ★ ★ ★ ‐ ‐

○○業 0000000 △△県 F事業者 ★ ★ ★ ‐ ‐

ベンチマーク目標を達成している場合に記載。

Sクラス達成を★表示。Aクラス以下は表示なし。

23

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HEMS

高効率給湯設備

高効率照明設備

高断熱仕様

日射遮蔽

涼風

高効率空調設備

夏期

冬期

高断熱窓排出

省エネ換気設備

太陽熱利用

ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス照明等のトップランナー化

省エネリフォーム市場の拡大

住宅の省エネを強力に推進

未来投資に向けた官民対話(第3回 平成27年11月26日)

総理発言抜粋住宅の省エネを促進します。来年度にトップランナー制度を白熱灯へ適用します。2020年までに、ハウスメーカー等の新築戸建ての過半数をZEH化するとともに、省エネリフォームを倍増します。

24

Page 26: 2030年に5030万klの使用量削減に向けた ... - NEDO · 傾向も見て取れる一方、中小企業を中心にイニシャルコストを負担できない事業者においては

蛍光灯

(電球形蛍光ランプ、蛍光灯器具)

LED

(電球形LEDランプ)

現行基準

(個別)

LED

(電球形LEDランプ、

LED照明器具)

白熱灯

(白熱電球、白熱灯器具)

政令において、特定エネルギー消費機器等に「電球類」と「照明器具」を新たに指定し、照明全体での共通の新基準を策定する。

照明に関するトップランナー新基準の策定について

白熱灯

基準なし

その他蛍光灯

(電球形蛍光ランプ、蛍光灯器具)

現在、蛍光灯(電球形蛍光ランプ、蛍光灯器具)とLED(電球形LEDランプ)のトップランナー基準により個別で省エネ性能の向上を図っている。

今後は、個別の製品ごとではなく、白熱灯、蛍光灯、LED等を含めた照明全体での共通の新基準を策定し、高効率照明の普及を促し、照明全般の省エネ効率を高めていく。

その他基準なし

新基準

(照明全体) 白熱灯、蛍光灯、LED等の照明全体の省エネ効率を

共通の新基準により促していく

25

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年度 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025 2026 2027

機器 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 H32 H33 H34 H35 H36 H37 H38 H39

電球形蛍光ランプ 施行

蛍光灯器具 施行

電球形LEDランプ 施行

LED器具

白熱電球

白熱灯器具

その他

白熱灯

 LED

蛍光灯

電球類

照明器具

策定スケジュール

◆2016年10月17日照明器具等判断基準ワーキンググループ(第1回)(議題:対象範囲、エネルギー消費効率、測定方法)

◆2016年12月予定照明器具等判断基準ワーキンググループ(第2回)(議題:目標年度、区分、目標基準値、表示事項、取りまとめ案)

◆2017年以降のプロセスワーキンググループ取りまとめ、パブリックコメント、WTO/TBT通報、政省令告示改正 26

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○ 省エネ法や省エネ補助金では、事業者による柔軟な省エネ活動を促進するため、これまで、工場・事業場単位の制度から事業者単位の制度への転換等、エネルギー管理の実態に合った体系を検討してきた。

○ 加えて、省エネ法第84条の2(経産大臣は、事業の連携等による他の者のエネルギーの使用の合理化等の促進に寄与する取組を促進するよう適切に配慮)により、事業者の単位を超えた省エネ活動にも配慮することとなっているが、地縁的一体性のある場合等について特例的な運用を行うに留まっている。

現行制度

新たな省エネ政策への転換 ~エネルギー管理の単位の拡大~

○ よりエネルギー管理の実態に合った制度を目指し、サプライチェーン単位やグループ会社単位等での省エネ活動を評価する必要があるのではないか。

○ 例えば、サプライチェーン単位やグループ会社単位等での省エネを促進する支援制度を充実させる必要があるのではないか。【予算】

今後の課題

27

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1,500kl未満1,500kl以上

第一種指定工場(3,000kl以上)第二種指定工場(1,500~3,000kl)

1,500kl未満

フランチャイズチェーン本部

加盟店

指定なし

1,500kl以上

指定工場 指定工場

指定なし

特定事業者

※省エネ法の規制対象

※省エネ法の規制対象外

○○株式会社

○○株式会社

※省エネ法の規制対象

直営店

△△株式会社△△株式会社

フランチャイズチェーン本部

加盟店

直営店

工場・事業場単位規制 事業者単位規制

特定連鎖化事業者 ※省エネ法の規制対象

※エネルギー使用量の合計が1,500kl以上

平成20年の省エネ法改正の際には、エネルギー管理の実態に合わせて、「工場・事業場単位」の規制から「事業者単位」への規制へ転換。連鎖化事業の概念も取り入れたことにより、工場・事業場単位の指定ではカバーできなかったコンビニ等も省エネ法の対象とした。

エネルギー管理の実態への対応 ~事業所単位から事業者単位へ~

28

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(参考)省エネ補助金のスキームについて

※当該事業を実施しようとするエネルギー管理を一体で行う工場・事業場等を申請単位とする。工場・事業場等全体のエネルギー使用量と、既設設備単体のエネルギー使用量を把握して、省エネルギー計算を実施。

※トップランナー制度対象機器を導入する場合、トップランナー基準を満たす機器のみを補助対象とする。

事業場

電気

ガス

重油

その他のエネルギー

省エネ設備・システムを導入支援の場合は、工場・事業場等全体のエネルギー使用量が

1% 以上

または

500kl 以上 削減されること

または

補助対象経費1千万円あたりの耐用年数を考慮した省エネルギー量が

であること

200kl/1千万円 以上

~導入事例~

国内で実施される事業であって、既設設備・システムの置き換え、または製造プロセスの改善等の改修により、省エネ・電力ピーク対策を行う際に必要となる費用を補助。

また、エネルギー管理支援サービス事業者(エネマネ事業者)を活用し、エネルギーマネジメントシステム(EMS)を導入することで、より一層の効率的・効果的な省エネルギーを実施する事業も支援。

29

Page 31: 2030年に5030万klの使用量削減に向けた ... - NEDO · 傾向も見て取れる一方、中小企業を中心にイニシャルコストを負担できない事業者においては

○ 省エネ法による直接的な規制が及びにくい中小企業や消費者については、これまでトップランナー基準により個々の機器の省エネ性能の向上を促し、これら機器が買い替え等により導入されることで省エネを進めてきた。

現行制度

新たな省エネ政策への転換 ~サードパーティの活用~

○ 中小企業や消費者に直接アプローチできるサードパーティへの働きかけを強め、さらに省エネを進めるため、支援制度の充実を検討するべきではないか。【予算】

今後の課題

30

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空調・照明空調・照明 ※※

中小企業等への支援強化

ベンチマーク制度業種毎にエネルギー生産性目標(努力目標)を設定

産業 運輸 家庭業務

省エネ目標:5,030万kl

工場 家電 住宅貨物・タクシー店舗・オフィス・ビル 建材自家用

1,042万kl 1,226万kl 1,607万kl 1,160万kl

運輸関連機器(自動車)ビル

6業種10分野(製鉄業、セメント業等)

8割以上をカバー

機器・建材トップランナー機器や建材毎にエネルギー消費効率の目標を設定

31品種(乗用自動車、ガス温水機器、断熱材 等)

ビル

コンビニ業(平成28年4月より導入)

サードパーティの活用が期待される分野

新築・既築住宅

省エネルギー相談地域プラットフォーム

エネマネ事業者

ZEHビルダー

エネマネ事業者

例①

例②

例③

エネルギー小売事業者※省エネ製品・サービスエネルギー小売事業者

例④

31

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ZEHの自立的普及を図るため、2020年度までに提供する住宅の過半数をZEH化することを宣言した工務店・ハウスメーカー・設計事務所等を「ZEHビルダー」として登録。

ZEH補助金は登録されたZEHビルダーが設計、建築したものに限って交付。ZEHビルダーの活動を通じたZEHの普及・拡大を期待。ZEHビルダー一覧は補助金執行団体や経産省のHPで公開。

HEMS

高効率給湯設備

高効率照明設備

高断熱仕様

日射遮蔽

涼風

高効率空調設備

夏期

冬期

高断熱窓排出

省エネ換気設備

太陽熱利用

2020年度までに新築住宅の過半数をZEH化することを宣言、公表+毎年のZEH普及対策、建造実績等を報告、公表

ZEHビルダー

ZEHビルダーが設計・建築したZEHに補助金を交付

サードパーティの例①(ZEHビルダー)

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省エネ補助金において、省エネ・電力ピーク対策に寄与する設備等の導入に加え、EMSを導入し、エネルギー管理支援サービスを通じて工場・事業場等の省エネ・電力ピーク対策を支援する者をエネマネ事業者として位置付け。

エネマネ事業者を活用して省エネ対策を実施した場合には、活用しない場合と比べて補助率優遇(1/3 ⇒ 1/2)。

サードパーティの例②(エネマネ事業者)

167事業者

(12.5%)

313事業者

(23.4%)662事業者

(49.4%)

197事業者

(14.7%)

大企業等(エネマネ活用)

大企業等(エネマネ非活用)

中小企業(エネマネ非活用)

中小企業(エネマネ活用)

エネマネ活用

【省エネ補助金の活用実績(H27当初)】

省エネ量(kl) 平均省エネ率

エネマネ非活用

大企業等 364969.8 0.8%

中小企業 28401.3 5.4%

合計 393371.1 0.8%

エネマネ活用

大企業等 27894.9 7.0%

中小企業 12143.7 17.8%

合計 40038.6 8.6%

出典:平成27年度エネルギー使用合理化等事業者支援補助金の採択データより、資源エネルギー庁が試算。 33

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サードパーティの例③(省エネルギー相談地域プラットフォーム)

現在、全国19の「省エネルギー相談地域プラットフォーム※」が、中小企業等の省エネ取組にかかるきめ細かな支援を実施。

※省エネ支援事業者が地域の専門家(商工会議所や自治体、コンサル及び金融機関等)と協力して作る「省エネ支援の連携体」

平成29年度までに全国に省エネ取組に係る支援窓口を構築予定。

省エネルギー相談地域プラットフォーム

金融機関省エネ専門家

経営専門家

省エネ支援事業者(コーディネーター)

省エネ?

中小企業等

「省エネルギー相談地域プラットフォーム」の役割

連 携

Plan

計画

Do

実行

Check

評価

Act

改善

計画の見直し支援 等

省エネの計画の策定支援 等

運用改善や設備更新の実施支援補助金、融資制度等の案内 等フォローアップ 等

PDCAサイクル支援

省エネ実施例の紹介省エネに関する診断の案内・実施 等

省エネ相談窓口の設置省エネに関する情報発信 等

情報発信実態把握

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(参考)「省エネルギー相談地域プラットフォーム」一覧

19のプラットフォームが約200人の専門家とともに中小企業等の省エネを支援。

(注)※印を付した道府県については、一部の地域に限って支援を実施している。

富山県一般社団法人地域資源循環システム協会

岐阜県一般財団法人岐阜県公衆衛生検査センター

石川県一般財団法人いしかわエネルギーマネジメント協会

福岡県、大分県、山口県一般社団法人エネルギーマネジメント協会

岡山県、山口県一般社団法人エコエネ技術士ネット

沖縄県一般社団法人沖縄CO2削減推進協議会

沖縄県一般財団法人沖縄県環境科学センター

大阪府※特定非営利活動法人泉州建築設計協会

長野県※公益財団法人さかきテクノセンター

北海道※公益財団法人釧路根室圏産業技術振興センター

青森県※特定非営利活動法人循環型社会創造ネットワーク

群馬県※一般社団法人 群馬県技術士会

山梨県山梨県商工会連合会

神奈川県、千葉県※一般社団法人エネルギーから経済を考える経営者ネットワーク会議

北海道※公益財団法人 室蘭テクノセンター

群馬県一般社団法人ぐんま資源エネルギー循環推進協会

神奈川県神奈川県

静岡県一般社団法人静岡県環境資源協会

静岡県※株式会社浜松新電力 35

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需要家と顧客接点のあるエネルギー小売事業者の製品・サービスや情報提供は需要家の省エネ促進の鍵。

エネルギー小売全面自由化により、市場環境が大きく変化する中で、今後も小売事業者と需要家が適切に省エネを推進できるよう、小売事業者による情報提供等のあり方を検討する必要があるのではないか。

サードパーティの例④(エネルギー小売事業者)

■省エネ法における規定(一般消費者への情報の提供)第八十六条 一般消費者に対するエネルギーの供給の事業を行う者、建築物の販売又は賃貸の事業を行う者、エネルギー消費機器等及び熱損失防止建築材料の小売の事業を行う者その他その事業活動を通じて一般消費者が行うエネルギーの使用の合理化につき協力を行うことができる事業者は、消費者のエネルギーの使用状況に関する通知、建築物の外壁、窓等を通しての熱の損失の防止及び建築物に設ける空気調和設備等に係るエネルギーの効率的利用のために建築物に必要とされる性能の表示、エネルギー消費性能等の表示、熱損失防止建築材料の熱の損失の防止のための性能の表示その他一般消費者が行うエネルギーの使用の合理化に資する情報を提供するよう努めなければならない。

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(参考)電力小売事業者による省エネ製品・サービスの提供事例

サービス種別 対象 事業者名 内容

経済的インセンティブ

値引き 家庭 東急パワーサプライ• 電力需要がピークとなる昼間時間帯に、電車を利用して系列の

百貨店やスーパーに行くことで電気代を値引き。

ポイント付与

家庭

東急パワーサプライ • 猛暑日の昼間時間帯に電車を利用するとポイントを付与。

エネットNTTファシリティーズ

• 電力不足が予想される時間帯に節電すると、ポイントを還元。

クーポン配信

家庭 東急パワーサプライ • 系列のクールシェアスポットで利用可能なクーポンを配信。

家庭

北陸電力 • 需給逼迫時に、協力店で利用可能なクーポンをメールで配布。

エネットNTTファシリティーズ

• 電力不足が予想される時間帯に提携施設で利用可能なクーポンを配信。

省エネ機器の普及

提案 業務 リコージャパン• 電力小売の契約者に対し、LED照明やエアコン等の省エネ機

器の導入を提案。

販売 家庭 東京ガス• ガス器具販売店「東京ガス ライフバル」において、冷蔵庫・洗

濯機等の大型省エネ家電を販売。

リース家庭

関西電力 • エコキュート、IHクッキングヒーター、ルームエアコンをリース。

中国電力 • エコキュート、IHクッキングヒーターをリース。

業務 関西電力 • 空調・給湯・厨房・受電設備等をリース。

出典:第1回エネルギー小売事業者の省エネガイドライン検討会資料より引用37