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伏木富山港湾事務所 情報誌 21世紀に夢をはぐくむ 伏木富山港をめざして 平成27年度 No.伏木地区 浚渫工事が完了 初冬の頃 皆様におかれましては、ますますご清祥のことと存じます。 111日(日)に開催された「富山マラソン2015」では、約1万4千人のランナーが、快晴の越中路を 駆け抜けました。フルマラソンは、高岡市役所前をスタート、コースのハイライトは新湊大橋で、富岩運河環水 公園がゴールと、みなと周辺もコースとなりました。ます寿司やシロエビの天むすが、給水所で提供されたり、 獅子舞の演舞、太鼓の演奏など富山ならではの様々なおもてなしが、そこかしこで、用意されていました。 今号では、伏木地区の国際物流ターミナル整備事業の泊地浚渫工事ほかについて、お知らせします。 泊地浚渫区域 伏木外港 万葉ふ頭 泊地 【浚渫作業全景】 【汚濁防止枠(膜)による濁りの拡散防止対策】 【グラブバケット】 浚渫(しゅんせつ)とは、港に出入りする船の航行や停泊 に必要な水深を維持する等のため水底(海底、川底)の土砂等 を掘削・除去することです。 伏木港の近代以降の港湾整備は、明治33年に、当時合流 していた小矢部川と庄川を分離する事業と併せ実施された工事 が始まりで、小矢部川の河口部に発展した現在の内港地区 中心におこなわれました。 その後、船舶の大型化への対応や、河口港の宿命である流下 土砂の浚渫から脱却するため、平成元年に伏木外港建設に着手 しています。 伏木地区の伏木外港万葉ふ頭では、工業用の原塩、金属くず、中古自動車、鉄鋼、非鉄金属、石炭などバルク 貨物(ばら積み貨物)を中心に取り扱っています。高岡市をはじめ県西部製造企業の産業活動に必要な原材料や エネルギー資源の供給拠点として、地域経済の発展や産業活動を支えています。 また、近年はクルーズ船の寄港にも対応しており、今年度は4隻のクルーズ船が入港しました。大水深の連続 バースが整備されていることから10万トンを超える大型クルーズ船の接岸も可能です。 伏木地区では、国際物流ターミナル整備事業として、泊地(船舶が安全に停泊できる水域)の浚渫工事を実施 しています。 浚渫工事は、グラブ浚渫船といわれる作業船を使用して、パワーショベルの様に360度回旋できるクレーン で吊り下げられたグラブバケットで海底の土砂を摑み揚げ、海底地盤を掘り下げます。 工事に当たっては、グラブ浚渫船に汚濁防止枠(膜)を設置して、浚渫作業による土砂の濁りが周囲に拡散し ない様に施工し、9月末をもって浚渫工事が竣工しました。 今年度の泊地浚渫完了をもって、伏木外港における泊地(水深14m)の計画区域40.9ha全てで、水深 12m化が完了し、船舶大型化への対応とともに船舶の円滑な入出港やより一層の航行安全が確保されることと なりました。より多くの船舶が、万葉ふ頭を利用し伏木港が、ますます発展することが期待されます。 北防波堤

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Page 1: 21世紀に夢をはぐくむ 伏木富山港をめざして伏木富山港湾事務所情報誌 21 世紀に夢をはぐくむ 伏木富山港をめざして 平成27年度 No.3 伏木地区

伏木富山港湾事務所 情報誌

21世紀に夢をはぐくむ伏木富山港をめざして

平成27年度 No.3

伏木地区 浚渫工事が完了

初冬の頃 皆様におかれましては、ますますご清祥のことと存じます。

11月1日(日)に開催された「富山マラソン2015」では、約1万4千人のランナーが、快晴の越中路を

駆け抜けました。フルマラソンは、高岡市役所前をスタート、コースのハイライトは新湊大橋で、富岩運河環水

公園がゴールと、みなと周辺もコースとなりました。ます寿司やシロエビの天むすが、給水所で提供されたり、

獅子舞の演舞、太鼓の演奏など富山ならではの様々なおもてなしが、そこかしこで、用意されていました。

今号では、伏木地区の国際物流ターミナル整備事業の泊地浚渫工事ほかについて、お知らせします。

泊地浚渫区域 伏木外港 万葉ふ頭

泊地

【浚渫作業全景】 【汚濁防止枠(膜)による濁りの拡散防止対策】 【グラブバケット】

※ 浚渫(しゅんせつ)とは、港に出入りする船の航行や停泊に必要な水深を維持する等のため水底(海底、川底)の土砂等を掘削・除去することです。

※ 伏木港の近代以降の港湾整備は、明治33年に、当時合流していた小矢部川と庄川を分離する事業と併せ実施された工事が始まりで、小矢部川の河口部に発展した現在の内港地区 を中心におこなわれました。

その後、船舶の大型化への対応や、河口港の宿命である流下土砂の浚渫から脱却するため、平成元年に伏木外港建設に着手しています。

伏木地区の伏木外港万葉ふ頭では、工業用の原塩、金属くず、中古自動車、鉄鋼、非鉄金属、石炭などバルク貨物(ばら積み貨物)を中心に取り扱っています。高岡市をはじめ県西部製造企業の産業活動に必要な原材料やエネルギー資源の供給拠点として、地域経済の発展や産業活動を支えています。

また、近年はクルーズ船の寄港にも対応しており、今年度は4隻のクルーズ船が入港しました。大水深の連続バースが整備されていることから10万トンを超える大型クルーズ船の接岸も可能です。

伏木地区では、国際物流ターミナル整備事業として、泊地(船舶が安全に停泊できる水域)の浚渫工事を実施しています。

浚渫工事は、グラブ浚渫船といわれる作業船を使用して、パワーショベルの様に360度回旋できるクレーンで吊り下げられたグラブバケットで海底の土砂を摑み揚げ、海底地盤を掘り下げます。

工事に当たっては、グラブ浚渫船に汚濁防止枠(膜)を設置して、浚渫作業による土砂の濁りが周囲に拡散しない様に施工し、9月末をもって浚渫工事が竣工しました。

今年度の泊地浚渫完了をもって、伏木外港における泊地(水深14m)の計画区域40.9ha全てで、水深12m化が完了し、船舶大型化への対応とともに船舶の円滑な入出港やより一層の航行安全が確保されることとなりました。より多くの船舶が、万葉ふ頭を利用し伏木港が、ますます発展することが期待されます。

北防波堤

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新湊大橋『土木学会デザイン賞』奨励賞を受賞

第35回 全国豊かな海づくり大会 富山大会

第35回全国豊かな海づくり大会は、10月25日(日)射水市の高周波文化ホールを会場に天皇・皇后両

陛下をお迎えし、式典行事が行われました。

功績団体等の表彰、作文コンクール等の表彰、漁業後継者の決意表明などが行われました。また、午後に

は会場を快晴の海王丸パークに移し、海上パレードや稚魚の放流などが行われました。

海王丸パークでの式典終了後、両陛下がお乗りの御料車は新湊大橋を通って次の目的に向かわれたことか

ら、両陛下にも地上約50mからの富山湾や雄大な立山連峰をご覧頂けたのではないかと思います。

全国豊かな海づくり大会は、水産資源の保護・管理、海や河川などの環境保全の大切さを訴えるとともに、

水産業の振興発展をはかることを目的に、第1回大会が昭和56年に開催されて以来、大会実行委員会(豊か

な海づくり推進委員会と都道府県の組織)が主催し、農林水産省が後援して開催されています。

実行委員会事務局によると関連行事のあった24日と25日の2日間で、3万人を超える来場者があったと

のことです。来年(第36回)の全国豊かな海づくり大会は、山形県(鶴岡市、酒田市)で開催されます。

富山マラソンに向けて地域美化活動

新湊大橋は、2012年に土木学会田中賞、

照明学会照明普及賞も受賞しています。

『富山マラソン2015』を4日後に控えた10月28日

(水)、当事務所と富山新港地区建設工事安全協議会が共

同で、地域社会貢献活動の一環として、歩道や路肩の草刈

り、ゴミ拾い等を実施しました。実施箇所は、フルマラソ

ンコースの23km地点沿いとなる射水市堀岡地内の約80

0m区間で、20人が参加しゴミ袋10個分の枯草・ゴミ

等を収集しました。

新湊大橋を渡り終えたランナーや沿道で応援される方々

が、気持ちよく競技し、また応援できたのではないかと思

います。今後も、様々な形で地域に貢献できる活動を続け

ていきたいと考えています。

新湊大橋が2015年度「土木学会デザイン賞」奨励賞を受賞しました。これは 2001年に創設された公益社団法人 土木学会の景観・デザイン委員会が主催するもので、国内に所在する公共空間(施設)や土木構造物の優れた空間デザインを顕彰するものです。

富山県関係では、これまでに「富山ライトレール」が2006年度最優秀賞、黒部市の「YKKセンターパーク」が2011年度奨励賞、「富山大橋」が2014年度奨励賞を受賞しています。

新湊大橋の景観コンセプトは、「伏木富山港の古き良き伝統を踏まえ、21世紀の環日本海地域の新たな象徴、交流と安らぎの場を創出する橋梁デザイン」という理念を掲げ、平成13~17年に延べ11回の技術検討調査委員会を通じて、機能とコストにも配慮しながら「地域の景観資源と融和した新たな観光資源の創出」や「多様な周辺環境と調和するシンプルでまとまりのある橋梁デザイン」など具体的な整備方針を決定し、主塔や橋脚をはじめ、付属物の細部形状に至るまで、デザインや色彩について検討されました。

その造形や周囲との調和を保ち続けるデザインにより、地元の方々から、親しみや愛着を持っていただける施設としてありつづけて貰いたいと思います。

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苫小牧向けにRORO船が伏木港へ寄港

11月4日 「ほくと」が寄港 積み込みを待つシャーシ 10月13日 積み込み作業の様子「つるが」

船舶諸元:つるが・ほくと 全長約180m、幅約27m、総トン数約1万1200トン、積載能力トレーラ160台・乗用車50台。

右舷側の船首・船尾にランプウェイを備えるロールオン・ロールオフ船。

あいの風プロムナードで世界記録に挑戦

※ もっとも長いすしの列の記録(The record for the longest line of sushi)

“しんみなと”の語呂に掛けて、437.10mを目指してのチャレンジでしたが、僅かに上まわり、437.2mでした。

※あいの風プロムナード

日本海側最大の斜張橋「新湊大橋」の中央部480mは、上下2層構造でつくられており、車道部の下にエレベータでアクセスする全天候型の

歩行者道“あいの風プロムナード”があります。

近海郵船(株)が、苫小牧港(北海道)と敦賀港(福井県)を結んで運航するRORO船が、季節運航で伏木港に寄港しています。10月、11月、来年3月の3回、敦賀港を出港し、伏木港に寄港した後、苫小牧港へ向かいます。

これは、富山県と北海道との物流ネットワークの多様化を図るため、苫小牧港と伏木富山港とを結ぶ内航RORO船の定期運航化に向けた取り組みとして行われるものです。

今年1回目の寄港となった10月13日には、6月に就航した新造船「つるが」が伏木万葉ふ頭に接岸し、入港歓迎セレモニーが開催されたほか、地元や物流関係者を対象に見学会が開かれました。見学会では、船内でのシャーシ積み込み作業の視察や、操舵室での船の構造や機能の説明がありました。見学会後には、参加者による懇談会が開催され、デイリーやマンスリーでの定期運航化、混載での集貨、物流機能の充実など活発な意見交換が行われました。

今回の寄港では、北海道から富山へ製材が、富山から北海道には肥料や古紙などが輸送されました。また、今回初めてRORO船を利用する企業もありました。内航RORO船を利用した北海道との新たな輸送ルート開拓に向け、益々の利用拡大が期待されています。

新湊大橋の歩行者道「あいの風プロムナード」で、11月14日(土)、新湊地区の有志・住民らが参加して、ギネス世界記録(すしの長さ)へ挑戦する催しがありました。

「あいの風プロムナード」の富山湾側にズラリと並べたテーブルの上に地元産のサクラマスとお米を使ったおよそ6cm×9cmの“ます寿司”がすき間なく並べられました。午前9時半頃から越の潟・堀岡の両側から“ます寿司”を並べ始め、ギネス世界記録への挑戦が開始されました。次々と運び込まれる“ます寿司”を並べる作業を繰り返し、午後1時前、“ます寿司”が新湊大橋で、一列に繋がりました。その後、場所をかえて、ギネス世界記録の認定証授与も行われました。

日本海側最大の斜張橋「新湊大橋」で、新たな世界記録が誕生するとともに、地域の活性化にも「新湊大橋」が、一役貢献できた1日となりました。

※RORO船とは:Roll On Roll Off Ship(ロールオン・オールオフ船)の略で、船体の側面や船尾に船体と岸壁を結ぶ「ランプウェイ」を備え、貨物を積んだトレーラーなどが自走して船内に乗り込み、直接貨物の積み降ろしが出来る船舶のことです。

トレーラの荷台部分(シャーシ)を切り離して船倉へ積み付けできます。自走車輌による積み降ろしを行うため荷役にかかる時間が短く済み、トラック輸送に比べ、二酸化炭素の排出量が少なく環境に優しいほか、トラック運転手の人手不足の解消にも繋がるとして、国土交通省としても“モーダルシフト”を推進しています。

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富岩運河環水公園ライトアップ『来てみられ』

球形LED 天門橋 泉と滝の広場

「海とみなとの相談窓口」 発行元:国土交通省 北陸地方整備局

伏木富山港湾事務所

〒930-0856 富山市牛島新町11-3

TEL 076-441-1901 FAX 076-443-1408

http://www.toyama.pa.hrr.mlit.go.jp

平成27年11月作成

【環水公園アマノガワ2015の様子(10/3) 】

立山町立釜ヶ渕小学校で出前授業

※1 99.7% :日本の外国との貨物の取引(貿易)を貨物の量でみると、船舶による貨物 (海上)運送が、全体の99.7% (重量ベース)を占めています。 生活や産業に欠かせない物資のほとんどが、港を経由して輸入されている ことになります。港があることで豊かな生活が支えられていると言うこと ができます。 ※2 食料自給率39% :平成25年の日本の食料自給率は、39%(カロリーベース)です。多くの 食料・飼料を輸入しています。食料品の多くが、港を経由して輸入されて います。

10月28日(水)、立山町立釜ヶ渕小学校へ伺い「みなとの役割」と題して出前授業を行いました。

これは、国土交通省 港湾局が監修した学習教材『港の大研究』の申込みにあたり、出前授業を希望されたことから、訪問させていただいたものです。

5年生15名の皆さんに、動画で伏木富山港のコンテナターミナルにおける荷役機械を使った貨物の積み卸しの作業の様子を見てもらったり、「99.7%」※1や「食糧自給率39%」 ※2 、「加工貿易」など、数字やキーワードを交えてお話をしました。

みなとは、旅客については、人々が乗降する場所だということ。また、貨物については、海上輸送(船)と陸上輸送(トラック、鉄道など)の間で、貨物の引き渡しを行う場所だということを理解してもらえたと思います。海から少し離れた地域のため日頃、海や港には余りなじみがないと伺っておりましたが、出前授業を通して“みなと”を少しでも身近に感じてもらえたのではないかと思います。

今後、是非“みなと”に足を運んで、港や船の大きさや新湊大橋も見てもらえればと思いました。

なお、12月3日(水)には、高岡市立成美小学校5年生77名への出前授業を予定しています。

かまがふち

富山に観光でいらっしゃる方には、園内に世界で一番美しいと語られる某有名珈琲チェーン店の店舗や、某有名シェフがプロデュースするレストランもある『富岩運河環水公園』(以下、環水公園)の散策がお勧めです。

環水公園は、富山駅北口から徒歩約10分、富山市の中心部に位置し、好天に恵まれれば雄大な立山連峰を望むことができ、富岩運河の船だまりを利用した水辺の空間を中心に、憩いの場と水に親しむ環境が演出されてます。

日没から午後10時までの間は幻想的なライトアップも行われています。そのロケーションの美しさから、映画やTVの撮影も数多く行われるなど、昨年の観光客入込数も県内最多となる139万人が訪れています。

その環水公園で、10月3日(土)の夕方、イルミネーション点灯式(環水公園アマノガワ2015)が行われました。水辺を飾る2万5千個のLEDの彩りに加え、当日だけの球形LED灯1万2千個が、水面に浮かびました。たくさんの見物者が訪れ、幻想的な景色を楽しんでいらっしゃいました。

また、環水公園からは、国指定重要文化財「中島閘門」を通り、岩瀬カナル会館までを結ぶ運河クルーズ「富岩水上ライン」が運航しており、3隻の観光船(fugan、sora、もみじ)が就航しており、およそ5kmの船旅を楽しむことができます。新幹線効果もあり、10月には、総乗船客数が14万人を超えました。

今年度の運河クルーズの運航は終了(11/23迄)したので、運航が再開される春までの間は、駅北から岩瀬浜まで走行しているポートラムに乗車して、沿線を観光してはいかがでしょうか。

2万個を超えるLED電球のイルミネーションで彩られ冬の環水公園にも、皆さん“あそんに、いってみられ ~ ”