平成27年度 地域ケア会議の実践例 (個別事例の検討をする個別ケア … ·...
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平成27年度 地域ケア会議の実践例
(個別事例の検討をする個別ケア会議)
開催回数:1回
繰り返される消費者被害を防ぎ、安全に安心した在宅生活を継続できるよう支援体制を構
築することを目的に開催。
○集まった人
地 域…長女、町内会長、老人クラブ会長、民生委員
その他…担当ケアマネジャー、訪問介護事業所職員、通所介護事業所職員、短期入所事
業所職員、成年後見支援センター職員、高齢者福祉課保健師、地域包括支援セ
ンター職員
○話し合いの内容
家族の身に覚えのない商品が送られてきたり、電話のキャッチセールスなどに繰り返し
遭遇している。これまでは、家族が早期に発見しクーリングオフで対応できたため大き
な被害にはあっていないが、知らない人も家に上げてしまうので心配。ヘルパー訪問時
に押し買い業者が自宅に上がって物色していたこともあった。
地域住民よりさまざまな意見が出され、民生委員・町内会などそれぞれが大きな負担が
かからない範囲で地域での見守り(知らない人が出入りしていないか、変わった車が来
ていないかなどを周囲が普段の生活をするなかで、多少意識的に観察をするなど)を行
うこととなった。町内会では防犯協会の旗を自宅前に立ててくれることとなった。
消費者被害を繰り返す日中独居の認知症高齢者Aさんの支援について
78歳、女性。要介護3長女と暮らしているが、
長女は仕事のため日中不在。要介護 3である
が、電話や来客対応が可能なため、消費者被
害に遭うことが増えている。地域との交流が
以前より少なくなっており、地域住民が心配
している。
消費者被害に遭わずに安心
して生活したい。
家族・専門職・地域住民が一堂に会して話し合ったことにより本人や世帯の状況の共通理解を
図ることができた。顔の見える関係性となり、本人を取り巻く人々による、ゆるやかな連携で
きる関係が構築された。また、地域住民向けの認知症に関する勉強会の開催などを町内会向け
に働きかけをすることとした(個別課題解決機能・ネットワーク構築機能)。
支援の進捗状況やさらに不足している支援などについて第 2回目の地域ケア会議で検討するこ
とも想定していたが、認知症高齢者Aさんが死去されたことにより支援が終結した。
地域包括支援センター 帯広市社会福祉協議会
1
開催回数:1回
介護サービスの提案と併せて地域住民の協力を得ながら、在宅生活を支援できるネットワ
ーク構築を目的に開催。
○集まった人
地 域…娘、町内会長、民生委員、
その他…居宅介護支援事業所職員 2 人、訪問看護ステーション看護師 2 人、成年後見支
援センター職員、社会福祉協議会職員、高齢者福祉課保健師、職員地域包括支援センタ
ー職員
○話し合いの内容
ごみの分別が出来ない様子で、隣人が気にかけサポートしている。既に地域住民のサ
ポートがある状況であるが、地域の力が必要であることを再確認し、継続してできる範
囲の見守り等してもらう。
夫婦が頼りにしている隣人の方に引き続きゴミの確認をお願いすることにした。そのこ
とで普段の生活がどの程度できているかなどの情報収集も期待できる。また、町内会で
は今まで以上に可能な範囲で声をかけたり、挨拶をしたり様子を見ていくことへの協力
が得られ、民生委員の方も地域活動のなかで、直接的な介入までではないものの意識し
て様子を見ていくことへの理解が得られた。夫婦 B 世帯が在宅生活を継続するために地
域の方々の見守りの目が増えた。火災報知器の設置による火災等の早期発見ができるよ
う、消防署職員の協力を得ることや認知症の早期治療のために、往診など医療機関と連
携をして対応することとした。
家族・専門職・地域住民との意見交換により、B世帯への共通理解が図られ、抱えている課題
が共有できた。世帯を取り巻く人々により、地域住民・専門職の垣根を越えたゆるやかなネッ
トワークが構築された。すでに支援をしている地域住民の情報が寄せられた。認知症の治療に
つなげる方法として訪問診療などの支援についても具体的に検討でき、受診につながった(個
別課題解決機能・ネットワーク構築機能)。
夫婦ともに体調を崩し入院したため、継続支援は未実施となっている。
介護サービスの拒否や被害妄想のある認知症高齢者の夫婦B世帯の支援
認知機能の低下があり食事やゴミ出
し、火の取り扱いなど地域住民も心配
している。
夫婦ともに安全に自宅で生
活したい。
2
開催回数:2回
アルコール依存症の方の支援方法について地域住民や医療、介護の専門職で検討し、地域
の見守り体制を構築する目的で開催。
○Aさんのために集まった人
家 族…息子2人、嫁
地 域…民生委員、町内会長、近隣住民
その他…精神科医師、精神科ソーシャルワーカー、訪問看護師、ケアマネジャー、ヘル
パー、保健所保健師、帯広市保健師、地域包括支援センター職員
*家族、地域、精神科医師は2回目に参加
○話し合いの内容
1回目…担当ケアマネジャーが抱えている困難事例に関して、ケアマネジャー、保健師,
看護師、ヘルパーで事例検討。事例を共有し、支援方法について意見交換。
本人の生きがいや、やりがいの提案。(本人の気持ちをお酒以外に向ける)
生活リズムを整えお酒を抜いた状態の時間帯を作り、飲酒していない時に話がで
きる環境を作ることが必要。町内会の協力を得るなどの意見が出た。
担当ケアマネジャーは、病院受診の必要性を本人に考えてもらう事や、趣味等を
発見し働きかけられるようになれるといいと思った。
2回目…家族及び地域住民も参加し開催。
家族は、飲酒により失禁や暴れることも日常的に起きていることから、これま
で親しかった友人・親族がどんどん離れている。町内会の皆さんも同じように離
れ、孤立を深めていくのではと心配。治療をして元に戻ってほしいと思っている。
地域住民からは、町内会行事等、飲み会が多いが、あまり飲ませないよう注意し
たい。郵便受けを見て、9:30頃までに新聞がとられているかどうか確認してい
る。囲碁が好きと知ったので、誘ったことがある。食事がままならないのではと
思うので食事に招いたことがある。抱える問題が大きいほど酒に逃げる傾向があ
ると思う。町内はそんな本人を包み込めるコミュニティーとなり得る。本人の優
しさに訴えて治療の動機付けが出来れば良いと思うなどの意見等あり。
精神科医からは内科入院から精神科の治療に繋げることはできるかもしれないと
助言あり。
アルコール依存症により生活破綻・家族崩壊の危機に陥っているAさんの支援
地域住民がそれぞれできる範囲の見守りを行ってくれていることがわかった。アルコール依存
症の治療について考えながら、今後も、声かけ等行ってもらい、「あなたのことを心配してい
る。」というシグナルを出し続けることで良い変化がおきることを期待する。
次回開催について…経過に応じ地域ケア会議を開催する。
68歳男性、妻入院中。
アルコール依存、認知機能低下
息子 3人協力的だが本人介入拒否
近所とかかわりを持ちなが
ら、馴染みの地域で暮らし
たい
地域包括支援センター 愛仁園
3
開催回数:4回
介護者である夫の介護負担の軽減及び地域の見守り体制を構築する目的で開催。
○B宅のために集まった人
家 族…夫(1回目、4回目に参加)
地 域…民生委員、町内会長、近隣住民4人
その他…精神科看護師、小規模多機能居宅介護ケアマネジャー(妻)、
ケアマネジャー(夫)、帯広市保健師
地域包括支援センター職員
*家族は1回目、4回目に参加。
○話し合いの内容
1回目…情報を共有し、B宅の介護の現状に対し理解が示された。
参加者それぞれ見かけた時には声かけし家まで送る等、役割について確認し、
今後の課題(夫の介護負担の軽減、住人が認知症高齢者の対応方法について学
ぶ、本人の服薬管理)を整理。
2回目…地域住民からの経過報告と意見を共有。
「夫婦を招いてカラオケを行った。楽しんでくれた様子。継続したい。本人を見
かけた時には挨拶・声かけ・お話しをし、家まで送る。家に夫がいない場合は
ケアマネジャーに連絡をする。地域住民がもっと認知症について理解を深める
ために町内会で認知症サポーター養成講座を企画したい。夫の協力要請があれ
ば、ボランティアで関わりたいと思うが何かあったとき責任の所在がどうなる
のか不安。茶話会が近くにあると良い。
町内に気になる人がいても情報がわからないので見守りも困難であることが課
題と感じている。」 夫の介護負担軽減(レスパイト)については、継続課題。
3回目…ボランティア保険に加入し活動を行っている「認知症フレンドシップクラブ」
について情報提供。夫から直接どんなサポートが必要か聞きたい。
認知症の症状が進行していると感じるが、在宅生活の継続は可能なのか。
4回目…夫の参加により、直接夫が地域の人にどんな支援を必要としているか確認し
夫は、自分が外出際、妻の話し相手をしてほしいと希望。
女性同士でカラオケボックスに行くなど工夫して協力したい。
張り付き行動が顕著な認知症の妻とその介護者の夫(老老介護)B宅への支援
妻は5年前よりアルツハイマー。夫
が離れると不安になるのでいつも一
緒にいたい。
介護負担が大きく大変だ
が、子供には心配かけたく
ない。
住民の希望により4回(7月~11月)にわたり開催してきた。地域住民による具体的な見守
り、夫との信頼関係を築くことができ、地域住民とサービス事業所等とのネットワークも確立
した。
4
実施回数:3回
認知症高齢者の生活の確立と次男の医療的管理を目的として開催。
○Ⅽ宅のために集まった人
その他…精神科医師、メディカルソーシャルワーカー、ケアマネジャー、ヘルパー、
成年後見支援センター職員、帯広保健所保健師、高齢者福祉課、障害福祉課、
社会課職員、地域包括支援センター職員
○話し合いの内容
1回目…次男の医療的管理については、保健所と障害福祉課で訪問し検討。
金銭搾取、ネグレクト(虐待疑い)については、高齢者福祉課と地域包括支援
センター職員が訪問し検討するなど役割分担を行った。
2回目…次男が札幌で行方不明となり長男が捜索願を提出。倒れているところを保護さ
れ札幌の病院に入院。(札幌の病院との連携は保健所担当)
次男の今後について、長男との調整(保健所担当)
次男が札幌で生活する場合、入院中の保護申請必要(高齢者福祉課担当)
長男についても父親との別居が望ましい(別居の勧めについてケアマネジャー、
成年後見支援センター職員、地域包括支援センター職員、高齢者福祉課職員)
3回目…保健所より次男、治療により幻覚・幻聴なく落ち着いている。札幌での生活希
望している。
長男との面接状況については、父親が介護保険のサービスを継続し、自立する
ためには別居が望ましいこと説明すると「母親の病状が悪化している。母の状
態が落ち着いてから自宅を出る。」と話されている。
長男による金銭搾取、ネグレクトによる虐待の可能性はあるため、見守り継続。
認知症高齢者と精神疾患(統合失調症)のある家族C宅の支援
78歳男性 頼りの息子たちが自立で
きていないため、父親の年金をあて
にした生活。父親への必要な支援を
拒否。
必要なサービス、支援を受
け、住み慣れた我が家で生
活したい。
長男・次男の状況により父親本人への介入が困難となっていた事例であるが、関係機関との連
携により役割分担をしながら、家族状況の変化が激しいⅭ宅の支援をタイムリーに行うことが
できた。
5
開催回数:1回
行方不明のリスクが高い認知症高齢者が、安心して地域で暮らすために、情報共有とネッ
トワーク構築を行うことを目的に開催。
○集まった人
地 域…民生委員、スーパーマーケット店長
その他…高齢者福祉課、地域包括支援センター職員
○話し合いの内容
高齢者福祉課より帯広市の認知症高齢者施策について説明。
意見交換。
スーパーの店長からは、開店30年を迎える歴史ある店舗のため、開店当時から利用さ
れている方も多く、顔見知りの方も多い。高齢者の方も多く、必要があればできる協力
はしていきたい。
民生委員より認知症と分かるまでにはその方と相当接しなければ理解できないと感じて
いる。徘徊まで心配するような方は今のところいないが、認知症の方がどこまで在宅で
生活できるのか等、必要時、地域包括支援センターとも相談したい。
地域の認知症高齢が安心して買い物ができるために
地域に一人暮らしの高齢者や認知症
の高齢者が増えている。
高齢者になっても安心して
お買い物ができる地域にな
ってほしい。
高齢者が利用する地域のお店や金融機関等との連携・ネットワークづくりは重要である。今回
の会議を機に認知症サポーター養成講座等スーパーの職員に対する認知症の周知・啓発が進む
ことを期待している。
1
6
開催回数:2回
アルコール依存症の高齢者に対して、地域の見守り体制構築を目的として開催
○集まった人
地 域…民生委員、町内会長、町内会熟年部部長、地域住民
その他…消防署職員、保健所保健師、ケアマネジャー、高齢者福祉課保健師、地域包括
支援センター職員。
消防署職員、保健所保健師は2回目に参加
○話し合いの内容
1回目…アルコール依存について長期的な支援が必要と考えられるため、保健所保健師
も次回の会議に参加してほしい。ポータブルストーブを使用し、家の中は物が
いっぱいであることから、火事の危険性が高いため、消防署の職員の参加を希
望。*1回目は前年度(26年度)3月開催
2回目…保健所保健師からは、治療に繋がるには時間がかかるが、生活環境を少しずつ
整え、支援者と本人との関係づくりが重要であるとアドバイス。
消防署職員からは、管轄の出張所職員に状況を伝達してもらい、気にかけても
らうようにすることができた。
アルコール依存症の一人暮らし高齢者Dさんの支援
65歳女性 ポットのお湯で火傷を
したり、外で転倒し、頭部をケガす
るなど危険なことがある。離婚した
元夫が時々様子を見に来ている。
安心・安全に地域で生活し
たい。
2回目開催が4月であり、火災のリスクは低く、アルコールによる影響も落ち着いている様子
であることから、住民の見守りで様子をみることとなる。
7
開催回数:2回
アルコール依存症、認知症の一人暮らしの高齢者に対し、地域の見守り体制の構築を目的に開催。
○集まった人
地 域…民生委員、老人クラブ会員
その他…精神科医師、看護師、MSW、成年後見支援センター職員、ヘルパー、
ケアマネジャー、新聞社販売局員、保護課職員、高齢者福祉課保健師、
高齢者福祉課相談員、地域包括支援センター職員。
*精神科医師、看護師、MSW、成年後見支援センター職員、保護課職員は1回目のみ参加。
民生委員、老人クラブ会員、新聞社販売局員は2回目のみ参加。
○話し合いの内容
1回目:成年後見制度の利用やライフラインの確保、受診方法等について具体的な支援
について検討。
2回目:高齢者福祉課から、認知症サポーター養成講座や徘徊模擬訓練等認知症に関す
る取組について説明。新聞社から、見守り活動について説明
地域の見守り状況を確認し、地域の心配事を共有。(たばこの火の始末やアパー
トの階段からの転落の心配など)地域住民と専門職の緊急時の連絡体制につい
て確認し合った。
アルコール依存症、認知症の一人暮らし高齢者Eさんの支援
81歳女性 金銭管理ができず、支払が滞
り電気等止められている。子供はいるが関
係性悪く支援は受けられない。
認知症の治療していず症状進行している。
施設入所はしたくない。死
ぬまで地域で生活したい。
各専門職等の役割が明確となり成年後見制度につなぐ準備が整った。
音信不通の家族と連絡が取れ、緊急時の連絡体制が整った。
認知症の進行に伴い今後グループホーム入所も考えられるが、在宅生活を継続したいという意
思を尊重しながら、老人クラブの友愛訪問活動や民生委員の見守り等継続してもらいながら、
大きな変化があった場合は地域包括支援センターに連絡をもらう体制とした。
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開催回数:1回
家庭と仕事を持ちながら、独居の母親宅に泊まり込み介護を行っている長女の介護負担の
軽減及び見守り体制の構築を目的に開催。
○集まった人
その他…担当ケアマネジャー、愛仁園圏域内及び再委託先の居宅介護支援事業所ケアマ
ネジャー、デイケア(通所リハビリ)相談員、デイサービス(通所介護)相談
員、高齢者福祉課保健師、地域包括支援センター職員。
○話し合いの内容
1回目…担当ケアマネから事例の説明の後、参加者は事例の理解を深めるための質問を
行い、事例を共有。認知症の二次的症状が強く、意思の疎通が難しい。
在宅での生活を安全に継続でき、娘の介護負担の軽減を図るためにはどのよう
なことができるか検討。
娘が本音で担当ケアマネジャーや相談員と話しができることで精神的な負担軽
減になる。
本人の意思確認や対応が難しい事例であるが、ケアマネジャー一人で抱え込ま
ず事業所とも一緒に支援の方法を考える。
地域での見守り体制も必要。
前頭側頭型認知症、肺がん末期の一人暮らし高齢者Fさんの支援
74歳女性 重度の認知症で、暴力等
の二次的症状が激しく、娘の介護負担が
大きい。
意思疎通も困難。
娘と良い関係で最期まで、
自分らしく生活したい。
事業所での支援の様子を担当ケアマネジャーが知ることで連携して支援を行えることが確認
された。
9
開催回数:1回
家族との確執のため家族の協力を得ることが困難な認知症の一人暮らし高齢者に対して、
専門職と地域住民が情報を共有し、地域の見守りネットワークの構築を目的に開催。
○集まった人
地 域…民生委員、町内会副会長、近隣住民
その他…医療ソーシャルワーカー、小規模多機能型居宅介護ケアマネジャー、
高齢者福祉課保健師、地域包括支援センター職員。
○話し合いの内容
認知症の進行、身体状況、緊急時の連絡先の確保等の課題を整理し、地域の方に介護保
険でのサービスの内容を知ってもらった。
何かあればサービス事業所に連絡してもらうよう体制を確保。
日常的な支援は難しくても、緊急時の連絡先は家族が担うことを確認。
地域の方の声かけやおかずの差し入れなどの見守りは今まで通り継続してもらう。
認知症の一人暮らしの高齢者Gさんの支援
娘と良い関係で最期まで、
自分らしく生活したい。
81歳女性 重度の認知症で、暴力等の
二次的症状が激しく、娘の介護負担が大
きい。
意思疎通も困難。
地域の方は、「どう対応して良いかわからず困っている。」「私たちに言われても…」といった反
応だったが、経過と現状を知ってもらったこと、何かあったときの連絡先が分かったことで安
心できたとの声をいただいた。
できる範囲での見守りを継続してもらえることとなり、ネットワークができたが、認知症の進
行が早く、一人暮らしが困難な状況となってきている。
10
開催回数:1回
夫婦ともに認知症のある世帯。夫婦が安心して地域で暮らすため見守りや安否確認の体制、
緊急時の連絡体制などの情報共有とネットワーク構築を目的に開催。
○集まった人
地 域…親戚、民生委員、町内会会長、近隣住民
その他…医療ソーシャルワーカー、担当ケアマネジャー、通所介護事業所職員、訪問介
護事業所職員、高齢者福祉課保健師、地域包括支援センター職員。
○話し合いの内容
夫婦の生活状況、介護サービス内容、地域住民、専門職との関わりについて情報共有。
緊急時の連絡体制を確認し、救急車が夫婦宅に泊まっていたら、緊急連絡してもらう。
地域住民の夫婦に対する声かけや見守りは継続してもらう。また、町内会や老人会の行
事に誘ってもらう。
認知症高齢夫婦世帯H宅の支援
夫 93歳、妻 93歳の高齢者夫婦世帯。
夫は心疾患あり状態悪化により救急搬
送2回経験あり。妻は夫の急変時の対
応できない。一人娘は父親との関係が
悪く、今後の支援協力が難しい。
夫婦ともに、住み慣れた自
宅で生活を継続したい。
専門職、町内会、地域住民がそれぞれ別々に行っていた支援を共有することによりネットワー
クが構築された。
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開催回数:1回
緊急時の連絡体制などの情報共有とネットワーク構築を目的に開催。
○集まった人
地 域…民生委員、近隣住民
その他…警察署職員(地域課、生活安全課)、帯広市成年後見支援センター、
担当ケアマネジャー、訪問介護事業所職員、訪問看護ステーション看護師、
デイサービスセンター職員、保護課職員、地域包括支援センター職員。
○話し合いの内容
民生委員より専門職の支援がされているので、地域として何ができるか皆さんと話し合
って模索していかなければと思う。火事の心配等あるが、どのような見守りができるか
考えたいと。
他の住民からも手すきの時にちょっと訪ねることはできる。町内会の草集めの時に声を
かけることは出来るかも知れないなどできる範囲での見守り等について活発に意見交換
がなされた。
認知症のひとり暮らしの高齢者Ⅰさんの支援
81歳、女性。要介護3
家族は遠方で頼りにできず、親戚とは
疎遠である。肺の病気で手術しており
呼吸困難もあり、耳も聞こえずらい。
物忘れがあっても住み慣れ
た自宅で生活したい。
地域住民からは元気な女性と思われていたが、本人の状況について情報共有することによりで
きる範囲での声かけや見守り等について具体的な検討がなされた。会議後、町内会の方が本人
宅に訪問し、連絡先を書いた紙を置いてくれるなど積極的な関わりも行われている。
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開催回数:2回
平成 25 年度から継続的に会議を開催している事例で地域の見守り体制は確立しているが、
認知症の進行に伴う課題を共有し、課題解決のための検討を行い地域での生活を支援する
ことを目的として開催。
○集まった人
地 域…町内会長、町内会会員 2人、老人クラブ会長
その他…高齢者福祉課保健師、地域包括支援センター職員
○話し合いの内容
課題について具体的な目標を設定し、何をどのように支援するか地域住民と一緒に考え
役割分担をしている。
好きなパークゴルフも、ルールを守らず勝手な行動が目立ってきているが、町内の人の
理解を得て、声かけをしながら見守られている。
認知症の夫と介護者の妻の夫婦世帯A宅の支援
夫 81歳、認知症の進行で車の運転が心
配で、外出すると道に迷って自宅に戻
れなくなる心配がある。
物忘れがあっても住み慣れ
た自宅で生活したい。
【町内会に関して】
町内会独自に、見守りが必要な事例について訪問する体制ができた町内会である。
平成24年に、この町内会に住む認知症高齢者のケア会議を行ったのが見守り体制ができた切
っ掛けであり、町内会が自主的に「一人暮らしや、高齢者のみの世帯、障害のある方」のお宅
を訪問する「見守り隊」を計画。包括も見守り隊定例会には必ず参加し現在もバックアップを
行っている。
【この事例の現在の様子】
交通違反が切っ掛けで運転免許が取り消しとなった。徒歩での外出機会が増え、自宅に帰る事
が出来なくなることが増えた為、現在家族がGPSの利用を開始。町内での見守りも継続とな
っている。
地域包括支援センター 帯広至心寮
13
開催回数:1回
歩行のふらつきがあり転倒による怪我を繰り返している妻と主な介護者の夫への支援につ
いて検討し、ネットワーク構築を目的に開催。
○集まった人
地 域…妻の兄、民生委員、町内会長、町内会会員 2人、
その他…高齢者福祉課保健師、地域包括支援センター職員
○話し合いの内容
町内会の近隣住民は、妻がたばこを吸うため火事の心配があることから、火の回りだけ
でも片づけが必要と意見を言うも、兄からは片づけられないのは昔からなので、声をか
けても無理と思う。片づけばかりにこだわらなくても良いと思うとのこと。
町内会としては、少しでも工夫や対応をすることで安心して町内で生活できるようにし
ていきたいと考えている。
近くの店が閉店したため、買い物が不便になった。今は自分たちで何とか買い物をして
いるが様子だが、今後不安。外出する頻度が少なくなっているので心配等住民より話が
あった。
娘がいるので町内としては、どこまで関わって良いのかと考えてしまう。
【会議を開催して良かったこと】
個別の事例を通して、町内会及びその周辺地域の課題に関しても地域の方から直接聞くことが
出来た。地域包括支援センター帯広至心寮(東)サテライト事業所周辺の買い物の不便さが急
を要する課題であること確認すること出来た。地域包括支援センターの知名度が低い事を再確
認できた。周知活動について見直す機会となった。
【この事例の現在の様子】
現在、精神科に入院中。(民生委員さんが入院したという情報を伝えて下さった)
同居の長女とコンタクトが取れたが「支援などは必要ない」と関わりを拒否されている。
又動きがあった際にすぐに動きが取れるように、関係者との情報共有を行っている。
歩行状態が悪く転倒による怪我が心配な高齢者B宅の支援
妻 69歳、介護保険は未申請。夫と長女
の三人暮らしだが、夫も足が悪く、歩
行に支障あり。娘は仕事で日中不在。
夫婦ともに安全に自宅で生
活したい。
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開催回数:1回
夫婦共に認知症。夫は他害行為の恐れがあり緊急時の対応や見守り支援の体制構築を目的
として開催。
○集まった人
地 域…大家さん
その他…担当ケアマネジャー、通所介護事業所職員、帯広警察署職員、訪問看護師、
高齢者福祉課保健師、地域包括支援センター職員
○話し合いの内容
子どもの居ない高齢者夫婦。夫が要介護1、自律神経失調症、抑うつ状態、アルツハイ
マー型認知症(MMS9点/30 点)、平成 19 年には包丁でソファーを切り刻んだり、振り
回すなどの行為がみられた。介護サービスについてはデイサービス週 3 回、医療の訪問
看護週 1回。
妻は夫に何も言わず尽くしていたが、平成 27年 6月頃から物忘れがみられ、大江病院受
診。妻もアルツハイマー型認知症と診断された。(MMS18点/30点)
妻が認知症で今までできたことができなくなったことで、夫のイライラ感が募りイライ
ラ感が募り暴言が聞かれるようになった。そのことで妻も心身共に疲労感、恐怖感を感
じ「夫と離れて暮らしたい」「夫なんて死ねばいいのに」などと言葉が聞かれ、夜も眠れ
ないことが増えた。
夫のイライラ感も増しており、様々な言動に恐怖感を感じており、今までの行動を考え
るとないが起こるかわからない状況にある。また夫から「箸で刺すぞ」という言動がき
かれたこともあり、妻の恐怖感が増している。
今後夫婦で暮らしていくのか、その場合どのような支援が望ましいのか考えたい。結果、
二人の生活を分離して別々に生活をするという形が望ましいということになった。夫は
治療が必要と医師より診断され、精神科入院、妻は介護申請をして高齢者下宿へ入所。
経済的にもそれぞれに生活保護をうけることとなった。
認知症高齢者の夫婦A宅への支援
夫 81歳、妻 75歳。妻は夫の言動を負担に
感じており、眠れないなどの訴えが聞かれ
る。夫は感情が不安定で夜中に買い物に行
かせたりする。妻が不在だと大家宅へ探し
に行く。
夫婦ともに安全で安心
な生活を送りたい。
<成果>
関わっていた関係者で情報を共有。生活を分離してそれぞれに生活を立て直すことができるよ
うに支援した。ご本人は現在も精神科入院、退院後はグループホームの入所を予定している。
また妻は高齢者下宿で新たな生活を再スタートしている。
<今後の方向等>
夫は現在も治療中、妻は介護認定を受けており、認知症の症状も見据えつつ、高齢者下宿職員
とも情報共有し、必要に応じて生活支援をしていく。
地域包括支援センター 帯広けいせい苑
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