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平成27年度千葉県3R推進シンポジウム 東京オリンピック・パラリンピックを 契機とした3Rのあり方 ~ロンドンに学ぶ「ごみゼロ」への挑戦~ NPO法人持続可能な社会をつくる元気ネット 鬼沢良子 1 NPO GENKI Net for Creating a Sustainable Society 2015

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  • 平成27年度千葉県3R推進シンポジウム 東京オリンピック・パラリンピックを

    契機とした3Rのあり方 ~ロンドンに学ぶ「ごみゼロ」への挑戦~

    NPO法人持続可能な社会をつくる元気ネット

    鬼沢良子 1 NPO GENKI Net for Creating a Sustainable Society 2015

  • ロンドン視察 2014・9・5~9・8

    2

    インタビューした方々 ●BSI 英国規格協会 (現在、ISO20121推進を担当) Ms.Amanda Kiely LOCOG(ロンドン組織委員会)で2007年 から物品購入ライセンス担当

    「私たちは、 本気で持続可能なオリンピックにしたかった」 ●ARUP オーヴ・アラップ・アンド・パートナーズ社(アラップ社) 建築分野の国際的な総合エンジニアリングサービス企業 オリンピックパークの建設に携わる Mr.Rainer Zimmann Ms.Melody Ablola

    「廃棄物を循環させることは、 環境面だけでなく 経済面においても非常に重要」

    この視察は、NPO法人持続可能な社会をつくる元気ネットの 2014年度 地球環境基金助成事業「連携で共創する地域循環めざして・EU視察」として実施しました。

    NPO GENKI Net for Creating a Sustainable Society 2015

  • ●WRAP (Waste & Resources Action Programme) 世界の廃棄物削減に向けた共創をめざすNGO ロンドンオリンピック組織委員会と民間の廃棄物処理業者(SITA) と共に廃棄物戦略を策定し、循環のつなぎ手として辣腕をふるう。 Dr. Mervyn Jones (Head of Collaborative Programmes)

    「オリンピックは、 世界に向けたショーケースである」 「オリンピックがイニシアティブを取ってスタンダードを作った。

    後にこのスタンダードが継続して使われるようになった」 ●ISEAL alliance 環境ラベルを運用する世界の環境認証団体のネットワーク組織 Ms.Norma Tregurtha Mr.Marcus Nyman

    「すべてのステークホルダーを 巻き込んで対話することが大切」

    NPO GENKI Net for Creating a Sustainable Society 2015 3

  • ■ポイント① 持続可能性専門チームを設置

    持続可能なオリンピックを実現する組織づくり

    ロンドンオリンピック組織委員会(LOCOG)は、持続可能性を重視。建設から運営すべてに組み込むため、2007年に

    「持続可能性(サステナビリティー)専門チーム」を設置

    「持続可能性専門チーム」責任者を任命 DAVID STUBB氏

    専門チーム 5部門 約30人(スタッフ15人とボランティア15人)

    ○廃棄物

    ○生物多様性

    ○気候変動

    ○インクルージョン

    ○健康な生活

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    英国規格協会(BSI) (ISO20121推進担当) Ms.Amanda Kiely アマンダ・カイリー氏

    民族・年齢・立場を超えて、 一人ひとりが自分も オリンピックゲームの一員 という気持ちに

  • ■ポイント② 評価基準としてマネジメントシステム導入 2012年、国際イベントマネジメントシステムISO20121誕生

    持続可能なイベントとして「何をもって成功とするのか」

    基準が必要 ⇒2007年、イギリス国内規格BS8901を作成

    LOCOGがサプライヤーに持続可能性基準を守るよう提示

    2012年オリンピックまでに認証をうけることを明記して契約

    第1基準群 基準満たすと自己宣言する

    第2基準群 外部からも基準を満たしていると評価を受ける

    第3基準群 費用をかけて認証機関の認証を取得する

    (例)サプライヤーの物品購入基準

    1.どこで作ったか? 2.誰が作ったか?

    3.何でできているか? 4.包装材は?

    5.その後、どこで使われ、どう処分されるか?

    ◆規制だけでなく、達成目標・基準・ツールの提示が重要

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  • ゼロ・ウェイスト戦略による 再開発・選手村の基本設計

    資源循環をコーディネートし、市場創出 本当にゼロにするのは難しいが、目標は高く持つ ➡LOCOGとNGOが協力し、ゼロ・ウェイスト実現の必要事項を検討。 ➡循環ルートの構築が必要 「発生抑制・再使用・再利用・エネルギーリカバリー・埋め立て」の徹底 「大会が終わってどう活用するか」を重視し事業者が知恵を出した。 解体計画 ➡2004年、オリンピックパーク予定地にある200事業所の移転、解体。 解体資材の敷地内再使用・再利用目標90% 外部の新幹線トンネル工事から出た土をかさ上げに使用。 ➡NGOがつなぎ、 143の建物の解体資材・土を、97%(20万トン)を 再使用・再利用

    循環資源をつないだ「WRAP」の取り組みが大きく貢献。

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    アラップ社 (ARUP) オーヴ・アラップ・アンド・パートナーズ社 Mr.Rainer Zimmann Ms.Melody Ablola

  • メインスタジアムや競技施設の改修工事

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    競技施設の2/3は一時的に建設。 (バスケ会場などは、今はない) 実施後、競技施設の1/3は地域に合うように規模を小さく改造して活用。 浚渫、拡幅工事で蘇ったリー川 ドッグ建設によりトラック輸送を削減 ⇦水泳競技場:17,500席を2,500席の

    小規模に改修・生物多様性に配慮したイングリッシュガーデン

    8万人収容のメインスタジアムは2.5万人収容のフットボール・サッカー場に改造中

    ➡解体した鉄柱は、橋梁工事で再使用予定

    写真は訪問した2014年9月撮影

    解体した礫を使用

  • NPO GENKI Net for Creating a Sustainable Society 2015 8

    選手村の改造を設計段階から配慮 17,000人が滞在➡2,800戸の賃貸住宅に

    ◆若い世代が暮らす新しい地域に変貌 ◆近い将来、3万

    人が住む環境都市に成長する

    ◆学校、医療施設、環境技術に特化した大学、博物館、デジタル・メディア施設を新設

    ◆欧州最大のショッピングモール「ウエストフィールド・ストラットフォードシティー」

  • NPO GENKI Net for Creating a Sustainable Society 2015 9

    Waste & Resources Action Programme(WRAP) Dr. Mervyn Jones マービン・ジョーンズ博士

    イベント運営のごみゼロ戦略

    施設建設だけでなく、イベント運営中の食料容器包装・装飾品など、すべて の関係者を巻き込んで、リサイクルの環をどうつなぐかが重要 EUの循環政策に合わせて、1.そもそもごみを出さない 2.再使用 3.リサイクル/コンポスト 4.エネルギーリカバリー 5.埋め立て イベントごみって何だろう? 関係者・NGOで考える What Who Where Why イベントごみのサイクルビジョン 予想・計測・報告・検討 目標は「埋め立てごみをゼロに」

  • 分別の徹底をめざし 20万人の関係者と7万人のボランティアに研修

    食品ロス削減と分別、コンポスト化の取り組み

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    大会関係者とボランティアに「サステ ナビリティー」を含む研修を実施。 そのために、まず指導する人材を育 成し、教材開発も。 すべてのスタッフに、作業担当内容に 応じて、短期間で研修。オンザジョブ スタイルで。 それぞれの作業の成果に対する評価 も重要。

    ■ポイント③ 持続可能性基準を関係者に浸透させる研修の徹底

    準備中・運営中の関係者20万人への研修が重要

  • NPO GENKI Net for Creating a Sustainable Society 2015 11

    国際社会環境認定表示連合 (ISEAL ) Ms.Norma Tregurtha ノルマ・トレガーザ氏 Mr.Marcus Nyman マルカス・ニューマン氏

    ■ポイント④ 民間・NGO・市民との共創 2012ロンドン・オリンピック・フードビジョン~認証等の活用~

    FSC森林認証 海のエコラベル フェアトレード

    目標は最低と最高を設定(品目は、肉・魚・コーヒーなど多種) 最低目標はレッドトラクターマークの食材であること イギリスの食品は、レッドトラクターマーク(追跡システム、トレサビリティー の遵守)を求められている。

    【食料調達指針】 地元産・持続可能な農業・オーガニック・ 季節の野菜・フェアトレード・栄養バランスに優れたメニュー 重要な3つの認証

  • スポンサー企業の取り組み 飲食企業の食品皿はコンポスト可能に

    マクドナルド社との連携 容器をたい肥化可能なものにしてほしいと要望 ➡否定 現行容器を調査し,現行の70%はすでにたい肥化 可能。変更は30%、ストローとカップのふたのみと 定量的に調査して要望➡応諾 マクドナルド店頭の、すべての食べ物ごみと容器類 はオレンジのボックスに投入可能に (日本での取り組みなどは、未定)

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  • デザイナー、サプライヤー、建設会社、廃棄物事業者、WRAP、LOCOGスタッフと共に設計段階、

    開催中、閉会後の建物の解体までを視野に入れて「持続可能なごみゼロイベント」を目指した。

    ○構造物はサプライヤーと連携して、標準規格のものを使い、基本はレンタル。例えばアルミ枠はポータブルな設計とし、使用後はサプライヤーに返却。

    ○建物内の備品は、同じく規格品を使い、テーブル、調理機器、調理ユニット、備品などはレンタル。 ○開催中は、スタッフ研修を徹底し、 分別のお手本を示した。 ○フードビジョンに対応してイングランド内 の食糧調達を行い、魚は海のエコラベルを 実践。 結果として、75%のリユース、リサイクルを 達成し、25%をエネルギー回収。 埋め立てごみはゼロを達成。

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    LOCOG Learning legacy-Lessons learned from planning and staging the London 2012 Gamesより

    建造物の木材は すべて森林認証のもの

    開会の5年前から準備

  • コカ・コーラ社 明るく楽しいキャンペーン(70日間) • Keep happiness going: Recycle • Recycling: It’s a team event • Feel like a winner: Recycle

    取締役Muhtar kent氏のコメント

    持続可能性の大切さを知った消費者は、おいしいという理由だけでは商品を買いません。かれらは、商品を選ぶとき、その会社が持続可能性に社会的責任を持っているかどうかも商品の選択基準にします。

    リサイクル部長

    持続可能性のメッセージは、オリンピック企業の原則です。私たちはスポンサー企業として、2007年から準備を始めました。その頃ロンドンはまだ分別は効果的に行われていませんでした。だからこそ、この挑戦は、やりがいを感じました。

    持続可能なイベントゲーム・コーディネーター

    コカ・コーラ飲料を売るチームと共に、持続可能性のオリンピック戦略を作りました。我々のスタッフは、この持続可能性ゲームに大変興味を持ち、我々はコカ・コーラ社がどんなにプライドをもってこの事業を行っているかを社員に感じてもらいました。これは社員のモラルを高め、自信をもって働き、そのことが社会に広く伝わりよいメッセージを発信できました。 Wrap final report; London 2012 legacy Transfer Recycling Communicationsから

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  • 2020年を契機とした 循環型社会づくりと3Rのあり方

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    ■2Rと資源循環及び消費行動

    ■環境配慮設計の周知と認識、消費行動のグリーン化(実践) ■廃棄物から資源への意識変革

    ■処理から、回収~ものづくりへの循環のための仕組みづくり

    地域と共にいかに具体的行動につなげていけるかが大事

    ロードマップ.pptx

  • 持続可能性への挑戦 セミナー 2015年8月12日(水)実施

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    持続可能性は、「廃棄物の発生抑制と再生資源の有効利用、ごみゼロ」だった。

    【ジョーンズ氏のことば】

    • 初期段階から、様々なステークホルダーが関与することが重要だ。

    • 5年という期間は決して長くはない。

    何を実現しなければならないか、優先順位

    は何か、などを話し合うのは今。決めてか

    ら行動に移すまでには3年ほどかかる。

    さらに詳しくは、この本で!!