(3)大豆 - 農林水産省ホームページ...

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(3)大豆 (大豆の輸入量は減少傾向) 平成 23(2011)年度における大豆の消費仕向量(油糧用、食用等)は、前年度の 364 万 t に比べて 12%(45t)減少し 319 万 t となっており、平成 12(2000)年度の 496 万 t から 36%(177 万 t)減少 しています(図 3-5-14)。 大豆は、食用油等の油糧用に加えて、豆腐、みそ、しょうゆ等の食用があり、平成 23(2011)年度 の消費仕向量(319万 t)のうち油糧用は 65%(207 万 t)、食用は 30%(95 万 t)を占めています。国 内で生産された大豆は、ほぼ全量が食用として、豆腐用(60%)、煮豆・そう菜用(9%)、納豆用 (12%)、みそ・しょうゆ用(9%)等に仕向けられています(図 3-5-15)。 平成 23(2011)年度における大豆の 1 人当たり供給数量は、前年度の 6.3kg に比べて 2%(0.1kg) 減少し 6.2kg となっており、平成 12(2000)年度の 6.4kg から 3%(0.2kg)減少しています。 一方、平成23(2011)年度における生産量は、前年度と同程度の22万tとなっていますが、平成 12(2000)年度の 24 万 t から 8%(2 万 t)減少しています。 なお、平成23(2011)年度における輸入量は、前年度の346万tに比べて18%(63万t)減少し 283 万 t となっており、平成 12(2000)年度の 483 万 t から 41%(200 万 t)減少しています。この主 な背景として、大豆の国際価格高騰の影響等により油糧用の需要がなたね油に移行していることが挙げ られます。 図 3-5-14 大豆の生産量、消費仕向量等の推移 食用 食用 kg 1 人当たり供給数量(右目盛) 輸入量 消費仕向量 生産量 万t 700 600 500 400 300 200 100 0 7.0 6.0 5.0 4.0 3.0 2.0 1.0 0.0 6.2 6.2 6.4 6.4 6.5 6.5 5.3 5.3 95 95 101 101 99 99 83 83 319 319 496 496 482 482 439 439 283 283 483 483 468 468 440 440 22 22 24 24 22 22 17 17 昭和 55 年度 (1980) 平成2 (1990) 12 (2000) 23 (2011) 資料:農林水産省「食料需給表」 注:1)生産量、輸入量、消費仕向量には、飼料用、種子用、油 糧用・加工用(みそ用、しょうゆ用等)、減耗量が含まれ る。1 人当たり供給数量はこれらを含まない粗食料の値。 2)食用は、粗食料にみそ用、しょうゆ用仕向量を加えた値。 図 3-5-15 大豆の需要量及び国産大豆の用途 (平成 23(2011)年度) 大豆需要の 用途別割合 食用大豆の 国産割合 国産大豆の 用途別供給割合 0 20 40 60 80 100 油糧用 2,067 千 t 65% 食用 950千t 30% その他171 千 t 5% 輸入 738千t 78% 国産 212 千 t 22% 豆腐 60%(27%) その他 9% みそ・ しょうゆ 9%(12%) 納豆 12%(21%) 煮豆・そう菜 9%(60%) 3,188 千 t 資料:農林水産省調べ 注:「国産大豆の用途別供給割合」の( )内の値は各用途におけ る国産の割合。 大豆の作付面積は、米の生産調整の拡大に伴い、昭和 62(1987)年には 16 万 3 千 ha まで増加しま したが、転作目標の緩和等により、平成 6(1994)年には 6 万 1 千 ha に減少しました(図 3-5-16)。平 成17(2005)年以降は、13万haから14万ha程度で推移しており、平成24(2012)年の作付面積 は 13 万 1 千 ha となっています。 平成24(2012)年の作付面積を地域別にみると、平成12(2000)年に比べて、北海道で1万1千 ha(68%)、東海で4千ha(55%)増加している一方、関東・東山で5千ha(31%)、北陸で2千ha (13%)減少しています。 また、大豆の作付面積を田畑別にみると、昭和45(1970)年頃は畑における作付けが中心でしたが、 その後、米の生産調整において大豆が転作作物に位置付けられたことや、土地改良事業による水田の汎 196 第5節 主要農畜産物の生産等の動向

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Page 1: (3)大豆 - 農林水産省ホームページ 豆の作付面積規模別に販売農家数と作付面積の割合をみると、作付面積規模1ha以上の販売農家 数の割合は、平成12(2000)年の8%から平成22(2010)年の18%まで10ポイント上昇していま

(3)大豆

(大豆の輸入量は減少傾向)

平成23(2011)年度における大豆の消費仕向量(油糧用、食用等)は、前年度の364万tに比べて12%(45t)減少し319万tとなっており、平成12(2000)年度の496万tから36%(177万t)減少しています(図3-5-14)。大豆は、食用油等の油糧用に加えて、豆腐、みそ、しょうゆ等の食用があり、平成23(2011)年度の消費仕向量(319万t)のうち油糧用は65%(207万t)、食用は30%(95万t)を占めています。国内で生産された大豆は、ほぼ全量が食用として、豆腐用(60%)、煮豆・そう菜用(9%)、納豆用(12%)、みそ・しょうゆ用(9%)等に仕向けられています(図3-5-15)。平成23(2011)年度における大豆の1人当たり供給数量は、前年度の6.3kgに比べて2%(0.1kg)減少し6.2kgとなっており、平成12(2000)年度の6.4kgから3%(0.2kg)減少しています。一方、平成23(2011)年度における生産量は、前年度と同程度の22万tとなっていますが、平成12(2000)年度の24万tから8%(2万t)減少しています。なお、平成23(2011)年度における輸入量は、前年度の346万tに比べて18%(63万t)減少し283万tとなっており、平成12(2000)年度の483万tから41%(200万t)減少しています。この主な背景として、大豆の国際価格高騰の影響等により油糧用の需要がなたね油に移行していることが挙げられます。

図3-5-14 大豆の生産量、消費仕向量等の推移

食用食用

kg1人当たり供給数量(右目盛)

輸入量

消費仕向量

生産量

万t700

600

500

400

300

200

1000

7.06.0

5.04.03.02.01.00.0

6.26.26.46.46.56.5

5.35.3

959510110199998383

319319

496496482482439439

283283

483483468468440440

2222242422221717昭和55年度(1980)

平成2(1990)

12(2000)

23(2011)

資料:農林水産省「食料需給表」注:1)生産量、輸入量、消費仕向量には、飼料用、種子用、油

糧用・加工用(みそ用、しょうゆ用等)、減耗量が含まれる。1人当たり供給数量はこれらを含まない粗食料の値。

2)食用は、粗食料にみそ用、しょうゆ用仕向量を加えた値。

図3-5-15 大豆の需要量及び国産大豆の用途(平成23(2011)年度)

大豆需要の用途別割合

食用大豆の国産割合

国産大豆の用途別供給割合

0

20

40

60

80

100%

油糧用2,067千t65%

食用950千t30%

その他171千t 5%

輸入738千t78%

国産212千t 22%

豆腐60%(27%)

その他9%みそ・しょうゆ9%(12%)納豆

12%(21%)

煮豆・そう菜9%(60%)

3,188千t

資料:農林水産省調べ注:「国産大豆の用途別供給割合」の( )内の値は各用途におけ

る国産の割合。

大豆の作付面積は、米の生産調整の拡大に伴い、昭和62(1987)年には16万3千haまで増加しましたが、転作目標の緩和等により、平成6(1994)年には6万1千haに減少しました(図3-5-16)。平成17(2005)年以降は、13万haから14万ha程度で推移しており、平成24(2012)年の作付面積は13万1千haとなっています。平成24(2012)年の作付面積を地域別にみると、平成12(2000)年に比べて、北海道で1万1千ha(68%)、東海で4千ha(55%)増加している一方、関東・東山で5千ha(31%)、北陸で2千ha(13%)減少しています。また、大豆の作付面積を田畑別にみると、昭和45(1970)年頃は畑における作付けが中心でしたが、その後、米の生産調整において大豆が転作作物に位置付けられたことや、土地改良事業による水田の汎

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第5節 主要農畜産物の生産等の動向

Page 2: (3)大豆 - 農林水産省ホームページ 豆の作付面積規模別に販売農家数と作付面積の割合をみると、作付面積規模1ha以上の販売農家 数の割合は、平成12(2000)年の8%から平成22(2010)年の18%まで10ポイント上昇していま

用化が推進されたこと等から、田における作付けが増加しました。一方、畑における作付面積は、畑のかい廃や野菜等の収益性の高い作物への転換により減少し、平成24(2012)年は、田における作付面積が全体の85%(11万2千ha)を占めています(図3-5-17)。

図3-5-16 大豆の地域別作付面積の推移千ha180

160

140

120

100

80

60

40

20

0

131131137137138138134134123123

6161

163163

142142

27272626242421211616

77

1818

2323

33333535383834343030

1818

4242

3939

13131414151515151515

1616

99

11111212141416161616

1111

21211818

121212121111101077

9988

9999997788

131399

55 55667788

55

15151212 5555212122222121232321217724242020

昭和55年産(1980)

62(1987)

平成6(1994)

12(2000)

17(2005)

22(2010)

23(2011)

24(2012)

北海道

東北

北陸

中国四国九州

関東・東山

東海近畿

資料:農林水産省「耕地及び作付面積統計」

図3-5-17 大豆の田畑別作付面積の推移

180

160

140

120

100

80

60

40

20

0

131137138134123

61

163

142

11211711911197

31

11586

2020192425304857

昭和55年産

(1980)

62(1987)

平成6(1994)

12(2000)

17(2005)

22(2010)

23(2011)

24(2012)

資料:農林水産省「耕地及び作付面積統計」

千ha

近年における大豆の作付面積は、平成21(2009)年の14万5千haから平成24(2012)年の13万1千haに1万4千ha減少しています(表3-5-3)。これを都道府県別にみると、作付面積の減少が大きい秋田県、宮城県、栃木県等においては、新規需要米作付面積が増加している傾向がみられます。これは、湿田が多く大豆の収量が上がらないことから新規需要米への転換が進んだものと考えられます。一方、北海道の作付面積は2,700ha増加しているほか、三重県では、地域一体となった水田の団地的利用とブロックローテーションの取組等により760ha増加しており、大豆の生産拡大に向けては、排水性等の条件の良い水田を団地的に利用し、湿害の回避や作業性の向上を図る取組が重要となっています。

表3-5-3 平成21(2009)年産以降の都道府県別大豆作付面積の増減(単位:ha)

大豆作付面積 新規需要米作付面積平成21年産(2009)(①)

24(2012)(②)

増減(②-①)

21(2009)(③)

24(2012)(④)

増減(④-③)

全国 145,400 131,100 ▲14,300 18,142 68,091 49,949

上位

北海道 24,500 27,200 2,700 99 1,320 1,221三重県 3,360 4,120 760 186 850 664滋賀県 5,430 5,700 270 153 978 825岐阜県 2,690 2,780 90 318 1,002 684兵庫県 2,670 2,700 30 140 624 484

下位

秋田県 10,100 7,620 ▲2,480 1,252 3,252 2,000宮城県 11,500 9,040 ▲2,460 1,257 3,754 2,497栃木県 4,830 2,710 ▲2,120 1,028 5,912 4,884山形県 7,250 5,640 ▲1,610 1,057 3,323 2,266新潟県 7,140 5,630 ▲1,510 1,282 5,035 3,753

資料:農林水産省「作物統計」、「新規需要米の取組計画認定状況」注:新規需要米は、認定面積。

197

第1部

第3章

Page 3: (3)大豆 - 農林水産省ホームページ 豆の作付面積規模別に販売農家数と作付面積の割合をみると、作付面積規模1ha以上の販売農家 数の割合は、平成12(2000)年の8%から平成22(2010)年の18%まで10ポイント上昇していま

大豆の作付面積規模別に販売農家数と作付面積の割合をみると、作付面積規模1ha以上の販売農家数の割合は、平成12(2000)年の8%から平成22(2010)年の18%まで10ポイント上昇しています(図3-5-18)。また、作付面積に占める割合は、特に5ha以上を作付けする販売農家の割合が14%から35%まで21ポイント上昇しており、規模拡大の進展がみられます。

図3-5-18 販売目的で大豆を作付けした販売農家数と作付面積の規模別割合

100806040200

35.0

14.3

2.8

1.0

16.0

9.7

3.3

0.6

27.1

26.7

12.3

6.2

10.4

19.1

11.4

10.3

11.5

30.2

70.2

82.0

販売農家数

大豆作付面積

平成12年(2000)

22(2010)

12(2000)

22(2010)

15万8千戸

9万4千戸

5万7千ha

7万1千ha

0.5~1.0ha0.5ha未満 3.0~5.0ha1.0~3.0ha 5.0ha以上

資料:農林水産省「農林業センサス」

(技術普及による単収・品質の向上を推進)

大豆は湿害に弱いため、作付けする水田を団地化し排水対策を徹底することが必要です。このため、地域の気象条件や土壌条件に応じて湿害を回避し、単収や品質の向上、安定化を図る新しい耕起・播種等技術(いわゆる「大豆300A技術」)が開発されています。この技術は単収300kg/10a、品質Aクラス(1等、2等)を確保することを目指しており、本技術の導入により収益性が向上し、大豆の作付けが拡大することが期待されています。大豆300A技術の普及面積は、増加傾向で推移しており、平成23(2011)年産は、前年に比べて1,100ha増加し3万2千haとなっています(図3-5-19)。また、平成23(2011)年産における地域別の普及面積を平成20(2008)年産と比較すると東海は3,200ha(74%)増加、東北は2,900ha(71%)増加、北陸は1,400ha(21%)増加しており、この3地域で全体の7割を占めています。このように、大豆300A技術は、地域により普及状況に違いがみられることから、産地、都府県、試験研究機関、国等が相互に連携し、更なる普及に向けた取組を推進することが重要となっています。

(経営の安定に向け単収の安定・向上が課題)

大豆を含む豆類作部門の農業粗収益の推移をみると、水田作経営では平成16(2004)年以降、おおむね8万円/10aから9万円/10aの間で推移していますが、特に平成16(2004)年と平成20(2008)年は、農業粗収益が9万3千円/10aと高くなっています(図3-5-20)。この主な背景として、平成16

図3-5-19 大豆300A技術の地域別普及面積の推移

北海道

関東

東北

九州中国・四国近畿

東海

北陸

40

35

30

25

20

15

10

5

0

31.730.626.7

21.1

7.07.55.1

4.12.01.63.0

1.5 8.17.98.26.6

7.67.45.34.43.33.03.12.72.72.11.41.2

千ha

平成20年産(2008)

21(2009)

22(2010)

23(2011)

資料:農林水産省調べ注:関東には、山梨県、長野県、静岡県を含む。

198

第5節 主要農畜産物の生産等の動向

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(2004)年は、天候の影響により大豆の収穫量が減少し価格が高騰したこと、平成20(2008)年は天候に恵まれ、単収が高かったことが考えられます(図3-5-22)。また、畑作経営では、平成16(2004)年以降おおむね7万円/10aから8万円/10aの間で推移して

いますが、平成20(2008)年は単収が高かったことから農業粗収益が8万3千円/10aと最も高くなっています(図3-5-21)。一方、農業経営費は、水田作、畑作共に5万円/10a程度で安定的に推移していることから、農業所

得は、農業粗収益の増減に応じて変動しています。このように、農業所得は大豆の単収や価格の影響を受けることから、経営の安定・向上を図るために

は、単収や品質の向上、安定化を図ることが課題となっています。

図3-5-20 水田作経営豆類作部門の10a当たり農業粗収益及び農業所得の推移

120

100

80

60

40

20

0

3434

23233434

38383434393934344141

56565757

555555554848525249495252

90908080

898993938282

90908383

939355

2828555550504444

33333030

29295555

2626

30302626343443433838575753536363

農業所得農業経営費

戸別所得補償

共済・補助金等(戸別所得補償以外)

販売収入等

千円/10a

平成16年(2004)

17(2005)

18(2006)

19(2007)

20(2008)

21(2009)

22(2010)

23(2011)

農業粗収益

資料:農林水産省「農業経営統計調査 営農類型別経営統計(個別経営)」

注:図3-5-6の注釈参照。

図3-5-21 畑作経営豆類作部門(北海道)の10a当たり農業粗収益及び農業所得の推移

農業粗収益

戸別所得補償農業所得

農業経営費

共済・補助金等(戸別所得補償以外)

販売収入等

千円/10a

平成16年(2004)

17(2005)

18(2006)

19(2007)

20(2008)

21(2009)

22(2010)

23(2011)

100

80

60

40

20

0

90

70

50

30

10

30232630

232521

27

5051535348474648

8174

7983

707367

75 81317

9

1165

3 10

63626274606663

72

資料:農林水産省「農業経営統計調査 営農類型別経営統計(個別経営)」

注:図3-5-6の注釈参照。

図3-5-22 大豆の単収と落札価格の推移千円/60kg単収

大豆落札価格(右目盛)

kg/10a200

150

100

50

0

20

15

10

5

0

8.306.836.657.087.366.846.93

15.84 160162158178

164161168

119

平成16年産

(2004)

17(2005)

18(2006)

19(2007)

20(2008)

21(2009)

22(2010)

23(2011)

資料:農林水産省「作物統計」、(財)日本特産農産物協会「大豆入札取引結果」

(4)野菜

(野菜の消費量、生産量は減少傾向)

平成23(2011)年度における野菜の消費仕向量は、前年度の1,451万tに比べて3%(44万t)増加し1,495万tとなっていますが、平成12(2000)年度の1,683万tから11%(188万t)減少しています(図3-5-23)。また、平成23(2011)年度における1人当たり供給数量は、前年度の88.1kgに比べて3%(3.0kg)

199

第1部

第3章

Page 5: (3)大豆 - 農林水産省ホームページ 豆の作付面積規模別に販売農家数と作付面積の割合をみると、作付面積規模1ha以上の販売農家 数の割合は、平成12(2000)年の8%から平成22(2010)年の18%まで10ポイント上昇していま

増加し91.1kgとなっていますが、平成12(2000)年度の102.4kgから11%(11.3kg)減少しています。一方、平成23(2011)年度における生産量は、前年度の1,173万tに比べて1%(13万t)増加し1,186万tとなっていますが、平成12(2000)年度の1,370万tから13%(184万t)減少しています。なお、平成23(2011)年度における輸入量は、前年度の278万tに比べて11%(31万t)増加し309万tとなっていますが、平成12(2000)年度の312万tから1%(3万t)減少しています。このような中、平成23(2011)年の作付延べ面積は、前年に比べて7千ha(1%)減少し54万1千haとなっており、平成12(2000)年の62万haに比べて7万9千ha(13%)減少しています(図3-5-24)。また、平成23(2011)年の作付延べ面積を地域別にみると、平成12(2000)年に比べて全ての地域で減少していますが、平成2(1990)年と比べると、北海道において6万5千haから11万2千haに4万7千ha(72%)増加しています。

図3-5-23 野菜の生産量、消費仕向量等の推移

kg

1人当たり供給数量(右目盛)

輸入量

消費仕向量

生産量

万t1,8001,6001,4001,2001,0008006004002000

200180160140120100806040200

昭和55年度

(1980)

平成2(1990)

12(2000)

23(2011)

資料:農林水産省「食料需給表」

1,663 1,585

1,370 1,186

50 155

312 309

1,713 1,739 1,683 1,495

113.0 108.4 102.4 91.1

図3-5-24 野菜の地域別作付延べ面積の推移

東北 北陸 関東・東山

東海

近畿 中

国 四国

九州

北海道70

60

50

40

30

20

10

0

54.154.154.854.856.356.362.062.062.562.564.464.4

11.211.211.411.411.211.212.112.1

6.56.55.15.1

6.96.97.17.17.37.38.18.1

8.78.78.28.2

2.32.32.32.32.42.42.62.6

2.92.93.13.1

14.714.714.814.815.315.317.017.0

18.918.920.520.5

3.83.83.93.94.24.24.54.55.25.26.36.3

2.52.52.52.52.82.83.03.03.93.94.54.5

2.62.62.62.62.62.62.82.83.43.43.83.82.32.32.32.32.52.52.92.93.63.63.53.5

7.67.67.67.67.87.88.68.69.19.19.19.1

万ha

昭和55年(1980)

平成2(1990)

12(2000)

17(2005)

22(2010)

23(2011)

資料:農林水産省「耕地及び作付面積統計」

(だいこん、はくさい等の生産水準が大幅に低下)

主要野菜の生産量の推移をみると、昭和55(1980)年を100とした場合、レタスはサラダ需要の増加等を背景に平成2(1990)年に136まで上昇し、その後140程度で推移しているほか、にんじん、ねぎ、たまねぎは90から100の水準を維持しています(表3-5-4)。一方、きゅうり、だいこん、はくさい、なす、さといもの生産量は長期的に低下傾向で推移しており、平成23(2011)年には60以下の水準となっています。これらの品目が低下した主な背景としては、漬物を始めとする需要の減退等の影響が考えられます。

200

第5節 主要農畜産物の生産等の動向

Page 6: (3)大豆 - 農林水産省ホームページ 豆の作付面積規模別に販売農家数と作付面積の割合をみると、作付面積規模1ha以上の販売農家 数の割合は、平成12(2000)年の8%から平成22(2010)年の18%まで10ポイント上昇していま

表3-5-4 主要野菜における生産水準の推移(昭和55(1980)年=100)

昭和55年産(1980)

平成2(1990)

12(2000)

17(2005)

22(2010)

23(2011)

(参考)23(2011)収穫量(千t)

レタス 100 136 141 145 141 142 542にんじん 100 109 114 102 99 103 617ねぎ 100 103 100 92 89 90 485たまねぎ 100 114 108 94 90 93 1,070キャベツ 100 100 94 88 88 89 1,375ピーマン 100 106 106 95 85 88 142ほうれんそう 100 109 90 85 76 75 264ばれいしょ 100 104 85 80 67 70 2,387トマト 100 76 80 75 68 69 703きゅうり 100 91 75 66 58 57 585だいこん 100 87 70 60 56 56 1,493はくさい 100 75 64 57 55 56 897なす 100 90 77 64 53 52 322さといも 100 69 50 40 37 37 171

資料:農林水産省「野菜生産出荷統計」

(加工・業務用への対応が重要)

近年、女性の社会進出、単身世帯の増加等の生活スタイルの変化により、食の外部化1・簡便化が進行しています。このような中、国内の野菜需要は、家計消費用から加工・業務用に変化しています。野菜需要に占める加工・業務用の需要の割合は、昭和50(1975)年の36%から上昇傾向で推移しており、平成2(1990)年には昭和50(1975)年に比べて15ポイント上昇し51%となっています(図3-5-25)。加工・業務用需要の割合は平成2(1990)年

以降も緩やかに上昇しており、平成22(2010)年の加工・業務用需要の割合は56%となっています。また、加工・業務用需要を加工原料用と業務用別にみると、平成12(2000)年には、加工原料用と業務用がそれぞれ27%でしたが、近年、加工原料用需要の割合が上昇する一方、業務用需要の割合が低下しており、平成22(2010)年には、加工原料用が5ポイント上昇し32%、業務用が3ポイント低下し24%となっています。さらに、加工・業務用需要に占める輸入野菜の割合をみると、ばれいしょを除く指定野菜2(13品目)

は、平成2(1990)年の12%から平成17(2005)年の32%に上昇しています(図3-5-26)。平成22(2010)年は、平成17(2005)年に比べて2ポイント低下したものの平成17(2005)年とほぼ同水準の30%となっています。一方、家計消費用需要に占める輸入野菜の割合は、平成2(1990)年の0.5%から平成22(2010)

年の2%3に上昇しているものの、加工業務用に比べて僅かであることから、野菜の輸入量の増加は加

図3-5-25 野菜の加工・業務用割合の推移

%100

80

60

40

20

0

444546495364

242527

323027514736

昭和50年(1975)

平成2(1990)

12(2000)

17(2005)

22(2010)

60(1985)

家計消費用 加工原料用 業務用

資料:農林水産政策研究所「農林水産政策研究所レビュー No.48」、農林水産省調べ

注:昭和60(1985)年以前は農林水産省調べ。

1[用語の解説]を参照。2 消費量が多く国民生活にとって重要な野菜で、野菜生産出荷安定法施行令(昭和41年政令第224号)で定めるキャベツ、きゅうり、さといも、だいこん、たまねぎ、トマト、なす、にんじん、ねぎ、はくさい、ばれいしょ、ピーマン、ほうれんそう、レタスの14品目。

3 農林水産政策研究所「農林水産政策研究所レビューNo.48」

201

第1部

第3章

Page 7: (3)大豆 - 農林水産省ホームページ 豆の作付面積規模別に販売農家数と作付面積の割合をみると、作付面積規模1ha以上の販売農家 数の割合は、平成12(2000)年の8%から平成22(2010)年の18%まで10ポイント上昇していま

工・業務用需要と結び付いていると考えられます。このため、国産野菜における加工・業務用需要に向けた供給拡大や安定供給体制の確立が課題となっています。

図3-5-26 野菜の加工・業務用における輸入品割合の推移

さといもにんじんたまねぎトマト

100

80

60

40

20

0

395153

78

30

505449

78

3246

3436

77

2610

218

66

12

指定野菜(13品目)

平成2年度(1990)

平成12年度(2000)

平成17年度(2005)

平成22年度(2010)

資料:農林水産政策研究所「農林水産政策研究所レビューNo.48」注:指定野菜(13品目)は、ばれいしょを除く指定野菜。

コラム

野菜生産の機械化一貫体系の実用化

加工・業務用野菜の価格は、生鮮用に比べて安価な場合が多く、安定した経営を図るためには、低コスト化・省力化が不可欠です。野菜の生産においては、特に収穫、調製作業に多くの時間が割かれるため、収穫、調製用の新型農業機械の開発・普及を推進しています。

○加工用ほうれんそう収穫機 【平成23(2011)年実用化】・地上部のみを刈り取り、加工用で不要な株もとは収穫しない。・収穫作業時間が手作業の10分の1に短縮され、全作業時間は28時間/10aと、慣行(177時間/10a)の16%に短縮。・同じ軟弱野菜であるこまつな(栽培期間:6~8月)と組み合わせた利用が可能(ほうれんそうの栽培期間:9~5月)。

○加工用・業務用キャベツ収穫機 【平成25(2013)年実用化予定】・高精度の刈り取り機構でキャベツを一斉収穫。・機上で選別、調製作業を行い、大型コンテナに直接収容することで調製・出荷作業を省力化。・大型コンテナに収容した後、そのままトラックやJR貨物に積み込めるため、流通経費も節減可能。

202

第5節 主要農畜産物の生産等の動向

Page 8: (3)大豆 - 農林水産省ホームページ 豆の作付面積規模別に販売農家数と作付面積の割合をみると、作付面積規模1ha以上の販売農家 数の割合は、平成12(2000)年の8%から平成22(2010)年の18%まで10ポイント上昇していま

○たまねぎ調製装置 【平成25(2013)年実用化予定】・貯蔵乾燥させたたまねぎの根と葉切りを1時間当たり3,500個処理可能(人力の2倍速)。・コンテナ単位で投入されたたまねぎを1玉ずつ分離し、向きを揃えながら自動で処理。

(経営の安定に向け価格の安定が重要)

露地野菜作経営における農業粗収益の推移をみると、平成16(2004)年以降、53万円/10aから58万円/10aの間で推移しています(図3-5-27)。農業経営費は平成20(2008)年に減価償却の算出方法が変更されたこと等により前年に比べて3万円/10a増加し36万円/10aとなり、その後は35万円/10a程度で推移しています。農業所得については、20万円/10aから25万円/10aの間で推移していますが、平成23(2011)年は、野菜価格の低下等により前年を下回っています。施設野菜作経営における農業粗収益の推移をみると、平成16(2004)年以降、おおむね増加傾向に

あり、平成23(2011)年は25万5千円/100m2と近年で最も高くなっています(図3-5-28)。農業経営費については、光熱動力費の割合が高いことから、燃料価格の変動に伴い平成16(2004)年から平成20(2008)年にかけて増加し、その後やや減少しますが、平成23(2011)年には再び増加に転じています。農業粗収益、農業経営費共に増加傾向で推移していることから、農業所得はおおむね9万円/100m2から10万円/100m2の間で推移しています。野菜は、気象条件の影響を受けて作柄が変動しやすい上に保存性も乏しいため、国が主要野菜につい

て計画的な生産・出荷を進めていても価格が変動しやすい特性があります。このため、価格変動が野菜農家の経営に及ぼす影響を緩和し、次期作の確保と消費者への安定的な供給を図るため、著しく価格が下落したときには生産者に補給金を交付する価格安定対策を実施しています。

図3-5-27 露地野菜作経営の10a当たり農業粗収益及び農業所得の推移

農業所得農業経営費農業粗収益千円/10a600

500

400

300

200

100

0

196222205216215233216254

351353353360326318318320

547574559576

541551534574

平成16年(2004)

17(2005)

18(2006)

19(2007)

20(2008)

21(2009)

22(2010)

23(2011)

資料:農林水産省「農業経営統計調査 営農類型別経営統計(個別経営)」

注:図3-5-6の注釈参照。

図3-5-28 施設野菜作経営の100m2当たり農業粗収益及び農業所得の推移

232 229 235 234 239252 255

129 133 135 139 150 150 158

104 96 100 96 90 101 97

0

50

100

150

200

250

300

平成16年(2004)

17(2005)

18(2006)

19(2007)

20(2008)

21(2009)

22(2010)

23(2011)

千円/100m2

農業粗収益 農業経営費 農業所得

247

157

90

資料:農林水産省「農業経営統計調査 営農類型別経営統計(個別経営)」

注:図3-5-6の注釈参照。

203

第1部

第3章