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3.11原発事故から3年を迎えて、
子どもたちの未来のために
第3回 ・ 311「つながる、つたえる、そして未来へ」集い実行委員会・講演会 2014年4月19日(金)
京都大学原子炉実験所 小出 裕章
原子力発電は効率の悪い蒸気機関
広島原爆で燃えたウランの重量 800g
(生成した核分裂生成物の重量)
100万kWの原子力発電所1基が1年運転するごとに燃やすウランの重量
1トン (生成する核分裂生成物の重量)
大量に必要とされる燃料と、
大量に生み出される放射性物質
原子力発電所や核燃料施設は過疎地に押し付けられた
福島原発事故
今、進行中
炉心の冷却 が必要
水素爆発 発生
プールの 冷却が必要
フィルタ無し
6
事故は収束していない
2011年3月11日に運転中だった1号機から3号機
2011年3月11日に定期検査中で運転していなかった4号機
すでに熔け落ちた炉心、それが今どこにあるかすら分からない
すでに大量に放出された放射性物質
果てしない放射能の封じ込め作業と労働者の被曝
今現在、そして今後も続く住民の被曝
その使用済み燃料プールの底には広島原爆1万4000発を超えるセシウム137がある。今後さらに大量放出の虞
ひたすら水を注入してきたが、汚染水が溢れている
1号機
2号機
3号機
広島原爆
IAEA 閣僚会議に対する 日本国政府の報告書 大気中に放出した セシウム137の量 [ベクレル]の比較
8.9×1013 5.9×1014
1.4×1016
7.1×1014
大気中だけで 広島原爆 168発分
セシウム137汚染の世界への拡がり
CEREA, Ècole des Ponts ParisTech and EdF R&D, http://cerea.enpc.fr/en/fukushima.html
Longitude
Latitu
de
北半球温帯に属する日本では偏西風が卓越風で、福島原発から大気中に放出された放射性物質は太平洋に流れた。
福島県の東半分を中心にして、宮城県と茨城県の南部・北部、さらに、栃木県、群馬県の北半分、千葉県の北部、岩手県、新潟県、埼玉県と東京都の一部地域が、放射線管理区域にしなければならない汚染を受けた。
http://radioactivity.mext.go.jp/ja/1910/2011/11/1910_1125_2.pdf
那須塩原
Cs-137の量[TBq]
大気中放出量 15000 県
福島県 1914 栃木県 180 群馬県 110 茨城県 61 宮城県 47 岩手県 13 千葉県 13 長野県 4 山形県 2 東京都 2 新潟県 2 埼玉県 1 山梨県 0 神奈川県 0 秋田県 0 総量 2351
大気中へのCs-137の放出量と 県別降下・沈着量
大気中への放出量(日本政府公称値) 15000 TBq
福島県 1914 TBq
栃木県
群馬県
茨木県 宮城県 岩手県 千葉県
沢野伸浩 さん( 星稜女子短期大学)の評価
残りは太平洋へ
放射能は五感で感じられない。 想像できないわずかな重量
大気中に放出されたセシウム137の放射能量 (日本政府がIAEAに報告した値)
1.5×1016 ベクレル
日本の陸地に降下したセシウム137の放射能量 (沢野伸浩 さん(星稜女子短期大学)の評価)
2.4×1015 ベクレル
重量では 4.7 kg
重量では 750 g
日本は「法治国家」か? 国民が法律を破ると国家は処罰する
それなら、法律を守るのは、国家の最低限の義務であろう
日本では、一般人は1年間に1ミリシーベルト以上の被曝をしてはいけないし、させてはいけないという法律がある。
放射線管理区域から、1m2あたり4万ベクレルを超えて放射能で汚れたものを管理区域外に持ち出してはならないという法律もあった。
福島原発事故を引き起こした最大の犯罪者は政府であり、 その政府は事故が起きたら、それらをすぐに反故にした。
ICRP-2007年勧告 約100ミリシーベルト以下の線量においては不確実性が伴うものの、がんの場合、疫学研究および実験的研究が放射線リスクの証拠を提供している。
約100ミリシーベルト を下回る低線量域でのがんまたは遺伝的影響の発生率は、関係する臓器および組織の被曝量に比例して増加すると仮定するのが科学的に妥当である。
100ミリシーベルト 以下の被曝なら安全という学者は刑務所に入れるべき。
栃木県の汚染と那須塩原市
Cs-134の半減期は2年、
Cs-137の半減期は30年、
そのため10年もたてば、 Cs-134の実質的に汚染は なくなり、以降はCs-137の 汚染が長期に残る。
0 10 20 300
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0
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7
セシウム汚染の減衰
物理的な減衰のみを考慮
[年]
[万Bq/m2]
当初、Cs−134 と Cs−137 が
それぞれ 3 万Bq/m2 ずつ
を受けていた時の減衰
Cs−134
Cs−137
合計 6 万Bq/m2 の汚染
地表に降ったセシウムの 63%は半減期0.61年で 減少する。 残り37%は半減期93年で 減少する。 Reactor safety Study Appendix VI Page 8-8 & E-4
この評価がどこまで正し いかは分からないが・・・
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セシウム汚染の減衰
物理的な減衰と環境での移動を考慮
[年]
[万Bq/m2]
当初、Cs−134 と Cs−137 が
それぞれ 3 万Bq/m2 ずつ
を受けていた時の減衰
Cs−134 Cs−137
合計 6 万Bq/m2 の汚染
Cs-134のガンマ線は Cs-137のガンマ線に 比べて約3倍強い。
そのため当初は被曝の 約7割はCs-134から来る。 しかし、半減期が短い ため、10年以降はほぼ Cs-137のガンマ線による 被曝が残る。
0 10 20 300
0.05
0.1
0.15
0.2
0.25
0.3
[μGy/hr]
[years]
Cs−134
Cs−137
Cs−134とCs−137の合計で6万[Bq/m2]
の汚染地での空間γ線量率の推移
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0.05
0.1
0.15
0.2
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0.3
[μGy/hr]
[years]
Cs−134
Cs−137
Cs−134とCs−137の合計で6万[Bq/m2]
の汚染地での空間γ線量率の推移
(Csの移動を考慮)
当初、2.6μGy/hあった 空間ガンマ線量率は 3年後には0.05μGy/h に減少。
日本の通常の環境での 空間ガンマ線量率は 約0.05μGy/h。 3年たった今、自然から 受ける空間ガンマ線量と 地面を汚染している セシウムから受ける 空間ガンマ線量が ほぼ等しい。
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[mGy]
[years]
Cs−134
Cs−137
Cs−134とCs−137の合計で6万[Bq/m2]
の汚染地での積算線量の推移
(Csの移動を考慮)
6万ベクレル/m2の汚染地 に住む人は30年の間に 外部被曝だけで7.1mGy を受ける。
30年後、7.1mSv
5年後
そのうちの半分の被曝は事故後5年に受ける。
変わってしまった世界の中で
広範な地域で、人々が普通に生活する場が、放射線管理区域以上に汚れてしまった。それらの場所では、土地も食べ物も、がれきも下水の汚泥も、多くの物質が放射性物質と呼ぶべきものになった。
この事態を許した大人として、私たちはどう生きるのか?
放射能で汚れた世界で生きるしかない。
私の願い
1.子どもを被曝させない
2.1次産業を守る
柚木ミサトさんのイラスト
放射線ガン死の年齢依存性 1万人・シーベルト当りのガン死数(白血病は除く)
J.W.Gofman, Radiation and Human Health
30歳
全年齢平均 3731人
35 40 45 50 55 25 20 15 10 5 0
3855
49
15152
原子力を選んだことに責任のない子どもたちは放射線に敏感
基準と予想されるガン死の発生率 (原子力推進派の危険度を使うなら、被害は4分の1になる。)
基準 ガン死の発生率
平常時
一般の人々 1ミリシーベルト /年
2500人に1人
放射線業務従事者 20ミリシーベルト /年
125人に1人
事故時
福島原発事故 (労働者)
250ミリシーベルト/1回の作業
10人に1人
避難指示 (子どもを含む)
20ミリシーベルト /年
31人に1人 (0歳の子どもの場合)
子どもを被曝から守るための方策
校庭・園庭の土の剥ぎ取り
サマーキャンプなど疎開
本当は避難
福島高校校庭の土
0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500
1
2
Cs-137
Cs-134
0~5 cm
5~10 cm
[Bq/kg]
深さ
汚染した土の剥ぎ取り
0 2000 4000 6000 8000 10000
1
2
3
4
5
6
7
Cs-137
Cs-134
I-131
伊達市果樹園の土
[Bq/kg]
深さ
0~1 cm
1~2 cm
2~3 cm
3~4 cm
4~5 cm
5~6 cm
6~7 cm
汚染した土の剥ぎ取り
伊達市畑の土
[Bq/kg]
深さ
0~1 cm
1~2 cm
2~3 cm
3~4 cm
4~5 cm
5~6 cm
6~7 cm
0 200 400 600 800 1000
14
13
12
11
10
9
8
Cs-137
Cs-134
I-131
福島県の放射性汚染土壌-とくに黒い物質-の野外の産状について 千葉茂樹(福島県立小野高等学校平田校)他 名古屋大学加速度器質量分析計業績報告書(ⅩⅩⅣ)2013年3月
どこにでもある「黒い物質」
黒い物質 志葉玲さん撮影 東京都内、JR平井駅近く
2.2 マイクロシーベルト/時
指で擦った痕
黒い物質中のセシウム セシウム134と137の合計
[ベクレル/kg] 東京都東村山市、学校 22,000±140
東京都東村山市、学校 22,000±120
東京都葛飾区水元公園 280,000±1,600
東京都葛飾区水元公園 290,000±940
東京都葛飾区水元公園 240,000±1,200
東京都葛飾区水元公園 190,000±1,100
福島県南相馬市川房奥 5,700,000±35,000
福島県南相馬市金谷商店前 2,300,000±15,000
福島県南相馬市金谷商店前 2,900,000±13.000
福島県南相馬市4 11,000±140
子どもを被曝から守るための方策
校庭・園庭の土の剥ぎ取り
サマーキャンプなど疎開
本当は避難
給食の材料を厳選する
国がやろうとしていること
基準を決め(1kg当り100ベクレル) それを超えたものは排除
それ以下なら安全
⇒ 放射能は問題ない
汚染の実態を隠す
福島原発事故以前には日本の食べ物は1kg
当り約0.1ベクレルしか汚染されていなかった。
食べ物への向き合い方 食品の汚染を徹底的に調べる。
子どもには汚染の低い食べ物を食べさせる。
汚染の高いものは大人が食べる。
残りは、汚染の度合いごとに「60禁」「50禁」「40禁」「30禁」「20禁」「10禁」と仕分けする。
猛烈な汚染食品は、原子力を進めてきた人たちに食べさせる。
忘れさせようとする策謀
日本では、これまで58基の原子力発電所が建てられた。そのすべては自民党政権が「安全性を確認した」として建てられた。もちろん、福島第一原子力発電所もそうである。その原子力発電所が事故を起こしたにも拘わらず、今止まっている原子力発電所の「安全性を確認して」再稼働させると言い、さらに新たな原子力発電所を建設し、「世界一の原子力技術」を使って原子力発電所を輸出すると言っている。 彼らにとっては、今進行している悲劇を少しでも小さく見せることが必要だし、福島原子力発電所の事故を忘れさせようと策謀している。
歴史の巨大な流れ
国家によって殺された人もいた。しかし、ごく普通の人々が、戦争に反対する人を非国民と呼び、村八分にし、殺していった。
かつての戦争の時、大多数の日本人は戦争に協力した。 騙されたからだと言い訳をする人もいる。
もちろん大本営発表しか流されなかったし、戦争を止めることは誰にもできなかった。
福島原発事故が起きた今、私たちがどのように生きるか、未来の子どもたちから必ず問われる。
柚木ミサトさんのイラスト
大切な自己責任
子どもたちを守ってあげたい
のではない
今、子どもたちを守らないなら 私は私自身を許せない
終わります
ありがとうございました