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住まいづくりのポイント
住まいづくりの手引き64
火災の発生状況を見ると、建物火災の大半が住宅であり、火災による死者のほとんどが住宅火災によるものです。そこで、消防法令が改正され、住宅用防災機器のうち住宅用火災警報器(煙式)の設置が義務づけられました(マンションやアパート等で自動火災報知設備等が設置されている住宅を除きます)。その他の住宅用防災機器(住宅用消火器等)も積極的に取り入れ、住まいの安全性を高めましょう。
1.住宅用火災警報器等
●住宅用防災機器の設置例
5 防火対策
煙式警報器
熱式警報器
●住宅用火災警報器の種類
(2) 設置場所について 寝室と寝室がある階の階段の上部等に設置します。(下図参照)
(3) 維持管理方法について 住宅用火災警報器が適切に機能するためには維持管理が重要です。「いざ」というときに住宅用火災警報器がきちんと作動するよう、日頃から作動確認とお手入れをしておきましょう。(消防庁予防課ホームページ http://www.fdma.go.jp/html/life/juukei.html)
●電池切れに注意!定期的に作動確認をしましょう。 住宅用火災警報器は電池が切れると作動しなくなります。定期的に点検ボタンを押すなどして作動確認を行いましょう。
(1) 住宅用火災警報器の種類について 個々の機器が煙(熱)を感知する機能と警報を出す機能を有し、煙(熱)を感知することにより、単独又は連動して警報を発します。また、煙(熱)を感知した住宅用火災警報器だけでなく、連動設定を行っているすべての住宅用火災警報器が火災信号を受け警報を発する連動型もあります。なお、連動型には、配線によるものと無線式のものがあります。
普段就寝している部屋のことで、来客が就寝するような部屋は除きます。
就寝に使用する部屋がある階の階段の踊り場の天井または壁に設置します。(ただし、避難階〈1階など容易に避難できる階〉は除きます )
台所については、火災予防条例で設置に努めるものとしています。(設置義務はありません)
最寄りの消防署へお問い合わせください。
煙式
煙式
煙式
煙式又は熱式
防火対策[住宅用火災警報器等]
住まいづくりの手順
住まいづくりのポイント
建築に関する法律等
資料と相談・問合せ先
住まいづくりの手引き 65
●定期的にお手入れをしましょう。 住宅用火災警報器はホコリが入ると誤作動を起こす場合があります。定期的な掃除を行いましょう。掃除の方法は機種によって違いますので取扱説明書をご確認ください。
●火災以外で警報音が鳴った時は… 住宅用火災警報器は、電池が切れそうになった際や故障の際に音や光で知らせてくれる機種があります。警報音が鳴った時の対処方法は取扱説明書等を確認してください。
●本体交換及び廃棄方法 住宅用火災警報器は、古くなると電子部品の寿命や電池切れなどで、火災を感知しなくなることがあります。10 年を目安に警報器本体を交換してください。
(4) その他 火災予防上、台所等の火を使用する場所に住宅用火災警報器を設置することも大切です。設置は義務ではありませんが、設置することをお勧めします。
2.その他の住宅用防災機器 以下の住宅用防災機器を取り入れ、住まいの安全性を高めましょう(設置は義務ではありません)。(1) 住宅用消火器
住宅用消火器は、住宅火災に適した消火器として開発されたもので、軽量で簡単に操作できる構造になっています。 ABC 粉末消火器と強化液消火器とがあり、性能を表す適応表示マークがついています。また、さらに手軽に操作できるエアゾール式簡易消火具もあります。
(2) 自動消火装置① 住宅用スプリンクラー設備
熱によって自動的に火災の発生を感知し、スプリンクラーヘッドから水又は消火性能をもつ薬剤を放出することによって、消火・火災抑制をする設備です。
② 住宅用自動消火装置 熱を感知して自動的に浸潤剤入り水や強化液等を放出して消火・火災抑制をする装置です。
3.防炎製品 普通の繊維は燃えやすい性質があり、タバコやライター等の小さな火に触れても着火しやすく、火災の延焼拡大の要因にもなっています。 防炎製品とは、繊維を燃えにくいように加工処理した製品で、エプロン、アームカバー、カーテン、布団、毛布、自動車のボディーカバー等があります。寝具や衣類などは、見た目や手ざわりは 普通のものと変わりなく、肌に触れたり、幼児がなめたりしたときの安全もチェックされています。また、市民の方々が購入する際の目安となるよう「安心マーク付き防炎ラベル」が付いています。
●安心マーク付き防炎ラベル
防火対策[住宅用火災警報器等、その他の防災機器、防炎製品]
住まいづくりのポイント
住まいづくりの手引き66
6 防犯対策
1.住まいの防犯対策 安全な住まいづくりのためには、泥棒や空き巣などに対する防犯性や、在宅時のセールス訪問など、わずらわしい訪問者への対策も重要です。特に住宅を対象とした侵入犯罪は、強盗など凶悪犯罪に発展する危険を伴います。 住宅への侵入箇所のほとんどは、玄関、勝手口などの出入口と窓の開口部が占めていますので、5分間の破壊工作に耐えられる防犯性の高い建物部品(CP部品)の導入など、必要に応じた対策を考えましょう。
(1) 出入口の防犯対策 玄関の解錠等の手口としては、ピッキングなど鍵を対象に破壊や解錠を行うものと、こじ破りなどドア自体を破壊するものがあります。玄関の鍵をピッキングに強いものに取り替えたり、サムターンにカバーをつけるなどの対策の他、以下の様な対策があります。
①ワンドア・ツーロック;ワンドア・ツーロックとは、「ひとつのドアにカギを 2 つ以上つける(主鍵の他に補助鍵をつけて防犯性を高める)」ことです。
②補助鍵;補助鍵は主鍵と離れた位置につけます。③ガードプレート;ドアとドア枠のすき間を保護し、こじ
開けを防止します。④ドアボス;ドア外しを防ぐための金具で丁番側に取り付けます。⑤ドアチェーン;ドアを全開させないための用心鎖です。⑥ドアスコープ;ドアを開けずに来訪者を確認するための広角レンズです。
(2) 窓の防犯対策 一戸建て住宅で一番多い被害は、窓ガラスを割って侵入される手口です。網入りガラスや防音、断熱用の複層ガラスは防犯対策としてはほとんど効果がないことに注意してください。 窓ガラス割りの対策としては以下の様なものがあります。
①合わせガラス;合わせガラスは 2 枚の板ガラスで中間膜をはさみ、熱と圧力を加えて接着させたガラスです。ガラスを割ることはできても、強靱な中間膜が貫通を防ぐため、侵入・盗難防止にも効果的です。
②防犯フィルム;室内側のガラスの全面に防犯フィルムを貼ることにより、合わせガラスのような強度を保つことが可能となります。
③格子;アルミ面格子は、アルミサッシと一体になったものを選びましょう。外付けの
ガードプレート
かんぬき付近の隙間を塞ぎ、バール等による鍵の破壊・玄関扉のこじ開けを防ぎます。
ドアボス
丁番を破壊されても、玄関扉をはずすことができません。
玄関扉
玄関扉
外壁
外壁
防犯対策[住まいの防犯対策]
住まいづくりの手順
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住まいづくりの手引き 67
タイプは、ネジが簡単に外されないように、できるだけ、長いネジを用い、下地にしっかり止めつけたり、ネジの頭をつぶし、接着剤などで固定しましょう。
(3) その他の防犯対策 出入口や窓自体の防犯性を高める以外に、犯罪者を近づけない対策として次の様な対策があります。
①センサーライト;人が近付くとライトが点灯、もしくは点滅します。商品によってはブザーと連動するものもあります。通常 100V のコンセントがあればどこにでも簡単に設置できます。
②扉・窓センサー;扉や窓を開くと大きなブザー音で侵入者に警告します。昼間のピンポン音と夜の警告音を切りかえできるタイプもあります。最近の商品は電池内蔵のワイヤレスタイプが多いので、両面テープやビス止めでどこにでも設置できます。補助鍵やセンサーライトなどと組み合わせればさらに効果的です。
③ガラスセンサー;ガラスの破壊に伴う振動を感知し、大音量の警告音を鳴らします。こちらも両面テープを使って設置する商品が多く、取り付けは簡単です。鍵の近くに取りつけるのがポイントです。
④防犯カメラ・テレビモニター付きインターホン;訪問者を撮影することで、侵入者を近づけない効果が期待されます。
(4) セキュリティ・ホーム認定制度 NPO法人 福岡県防犯設備士協会では、住宅侵入犯罪の予防と居住者の安心感醸成を図るため、住宅への侵入を防ぐ一定の基準を満たす戸建住宅について「セキュリティ・ホーム
(防犯性の高い戸建住宅)」として認定を行っています。
【制度の概要】 認定を受けるには、お住まいの戸建住宅が審査基準に合致することが必要です。 審査は、100 点満点の加点方式で、審査項目には必須項目と望ましい項目があり、合計点が 70 点以上となれば、認定を受けることができます。a) 対象 ............... 福岡県内全て(新築、既築)の戸建住宅b) 手数料 ............ 新築住宅 12,000 円、既築住宅 17,000 円c) 申請書類 ......... 協会ホームページからダウンロード可能です。d) 認定証等交付 .. 認定を受けた住宅には、認定証、認定シール、登録カードを交付
します。e) 審査期間 ......... 新築の場合は、申請後概ね2週間ですが、既築の場合は、現地調
査等がありますので、詳しくは協会事務局までお問い合わせください。
防犯対策[住まいの防犯対策]
住まいづくりのポイント
住まいづくりの手引き68
●塀、柵、門扉等による敷地の明確化●犯罪企図者を潜ませないための見通しの確保
●窓へのCP対応サッシ、ガラス及び補助錠の設置
●浴室等の窓への四方枠付面格子の設置
●録画機能付きテレビドアホンの設置
●CP対応の扉、枠、錠の設置●玄関灯、外灯の設置
●窓への侵入の足場とならない駐車場屋根の配置
【審査項目の例】
問合せ先; NPO法人 福岡県防犯設備士協会 TEL 092-718-3990協会ホームページ http://www.fukuoka-bosetsukyo.jp/
防犯対策[住まいの防犯対策]
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住まいづくりの手引き 69
2.犯罪の防止に配慮した住宅の構造、設備等に関する指針
①目的 この指針は、福岡県犯罪のない安全・安心まちづくり条例 ( ※ ) 第 16 条第2項の規定に基づき、住宅について、犯罪の防止に配慮した構造、設備等に関する基準、居住者の安全を確保するための管理対策等に関する基準等を示すことにより、防犯性の高い住宅の普及を図ることを目的としています。
②防犯の基本原則
1 被害対象の強化・回避 出入り口や窓の扉、ガラスを強化し、建物への侵入を防ぐ。
直接的な手法
間接的な手法
各主体による防犯活動
総合的な防犯環境の形成
県民
県・警察
事業者
2 接近の制御 専用庭の周囲を塀で囲ったり、上方への足場を少なくするなどして、侵入経路を制御する。
3 監視性の確保 外部照明、街路や窓からの見通しの確保など、屋外に目がとどく環境をつくる。
4 領域性の強化 住宅や屋外の維持管理の向上や住民交流により侵入しにくい環境をつくる。
※福岡県安全・安心まちづくり条例
県民が生命、身体又は財産に対して危害を受ける不安を覚えることなく、安全で安心して暮らすことができる地域社会づくり(以下「安全・安心まちづくり」)に関して基本理念を定め、県、県民及び事業者の役割を明らかにするとともに、県の施策の基本となる事項を定めることにより、安全・安心まちづくりを推進し、もって安全で安心な県民生活を実現することを目的として、平成 20 年 4 月 1 日から施行された条例です。
防犯対策[犯罪の防止に配慮した住宅に関する指針]
住まいづくりのポイント
住まいづくりの手引き70
1.住まいにも求められている省エネルギー対策 1990 年代に入り、地球温暖化が人類をはじめとする生物界全体に深刻な問題をもたらすことが指摘され始めました。温暖化の原因としては、CO2 などの温室効果ガスの増加をはじめ、さまざまな要因が考えられますが、世界の科学者で構成される IPCC( 気候変動に関する政府間パネル ) は、第5次評価報告書(2013 年)の中で、「人間活動が 20 世紀半ば以降に観測された温暖化の主な要因であった可能性が極めて高い」と指摘しています。地球温暖化は、すでに異常気象などにより私たちの生活にも影響をもたらしていますが、今後、砂漠化の進展や氷原・氷床の減少などの直接的な影響のほか、食糧生産、海岸の浸食、生物種の減少などにも一層深刻な影響がでてくるものと予想されています。 特に、私たちの暮らしは、炊事や洗濯、入浴、冷暖房や各種家電製品など、あらゆる場面でのエネルギー消費が不可欠です。近年は、快適性や健康への関心の高まりを背景に、家庭用のエネルギー消費は著しい増加を示しており、住まいや生活における省エネルギー対策を講じることが求められています。
●福岡県の家庭用エネルギー消費量は全体の 12%
※データ;経済産業省資源エネルギー庁「平成 29 年度 エネルギーに関する年次報告書(エネルギー白書)」
※データ;福岡県地球温暖化防止活動推進センター
家庭で消費されるエネルギーは、福岡県全体のエネルギー消費量の 12%を占めています。エネルギー消費の内訳を見ると、産業部門の構成比が、約半数と最も大きな割合を占めていますが、この割合は産業界の努力の結果、年々減少されてきています。一方の家庭や業務他は、1990 年と比べて増加しています。
●家電や冷暖房のエネルギー消費が伸びている 1965 年度の家庭用エネルギー消費の構成比は、給湯、暖房、照明・動力等、厨房、冷房の順でしたが、家電機器の普及・大型化・多様化や生活様式の変化等に伴い、照明・動力等のシェアが増加しました。この結果、2016 年度における家庭で最も多く使われるエネルギーは電気となり、用途別のシェアは照明・動力等、給湯、暖房、厨房、冷房の順となっています。
7 省エネルギー対策
1.9 倍に増加
2016年度
1965年度
0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000× 106J
0.5%
30.7%33.8%
16.0%19.0%
冷房2.3%
暖房24.1%
給湯28.3%
厨房9.3%
照明・動力等35.9%
17,545 × 106
J/ 世帯
33,354 × 106
J/ 世帯
■世帯あたり用途別エネルギー消費量の推移(全国)
■福岡県の部門別最終エネルギー消費量の構成比家庭12%
業務他12%
産業50%
運輸26%
1990年度595PJ
2016年度583PJ
家庭9%
業務他9%
産業60%
運輸22%
省エネ対策[住まいにも求められる省エネ対策]
一口メモ
住まいづくりの手順
住まいづくりのポイント
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住まいづくりの手引き 71
参考;「住みたい!建てたい!伝えたい!『エコ・リュクス』なわが家」[全国地球温暖化防止活動推進センターウ ェ ブ サ イ ト(http://www.jccca.org/)より]
2.住まいの省エネルギー対策のポイント
(1) 「省エネルギー住宅」は「快適な住まい」 一般に消費者は、「明るく日当たりの良い家」や「夏涼しく冬暖かい家」といった住まいを望んでいます。例えば「明るく日当たりの良い家」は窓を大きく、多くとることで可能となりますが、断熱・遮熱対策をしなければ「夏涼しく冬暖かい家」とはなりません。快適な住まいとは、住宅を断熱化・気密化するとともに、自然の持つ力を最大限活かす工夫を加えることで達成できますが、これは同時に省エネルギーを達成できる住宅でもあります。このように環境にやさしい住宅とは、何かを我慢する住宅ではなく、心地よく暮らせて省エネルギーにもなる住宅なのです。 住まいの省エネルギー対策は、自然の力を利用しながら、「建築設計」「設備設計」「設備の制御・管理」の三要素をうまく融合させて達成するものといえます。
部屋の中の上下間の温度差が 3℃以内であると、非常に快適だといわれています。また、部屋間の温度差もできるだけ少ないことが望ましく、このような環境にすると、冬でもトイレ・浴室の寒さが和らぎ、ヒートショックのストレスもなくなります。さらに、結露によるカビやダニの発生も抑制することができ、快適であるだけでなく、健康な住宅とすることができます。ヒートショックとは? ヒートショックとは、急激な温度変化がもとで、健康障がいが引き起こされることです。良くある例は、暖かいリビングなどから、寒い浴室に行き、裸になって熱い風呂に入る場合に、血管の収縮などが温度変化についていけないで、脳梗塞や、心筋梗塞を発生させるようなことです。ヒートショックの原因は、断熱性能が悪いため、部屋間の温度差が大きいことによる場合が多いようです。
部屋の中の上下の温度差を減らし、ヒートショックをなくしましょう
※環境省地球環境局「省エネルギー住宅ファクトシート」[全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト(http://www.jccca.org/)]より作成
風力発電でエネルギー交換
保水タイルで打水効果
雨水で生活用水を節約
二重の壁で空気が抜ければ家が長持ち
風の流れを考えた設計で夏快適に
大型の二重窓で冬暖かい部屋に
天窓で明るい部屋に
太陽光発電や太陽熱温水器で太陽のエネルギーを活かす
落葉樹で夏の日差しを遮り、冬は日光を取り入れる
夏期は、ブラインド、すだれや植物で遮光、遮熱
断熱
気密
換気
自然エネルギー
省エネ機器
省エネリフォーム
省エネ住宅
■省エネ住宅の実現に必要な三要素
■省エネ住宅のイメージ
建築設計建物の外側を被う外皮の断熱・遮断
設備設計高効率で適正サイ
ズの機器
制御管理設備の運転時間など適切な運転と管理
省エネ住宅の実現に必要な三要素
省エネ対策[省エネ対策のポイント]
住まいづくりのポイント
住まいづくりの手引き72
(2) 断熱対策 住宅の断熱性能を高めるには、床・壁・屋根ごとに適切な断熱材を選び、十分な厚さで包み込むことが重要です。
①断熱材の種類 断熱材には、繊維系断熱材と発泡プラスチック系断熱材の 2 種類があります。
②断熱工法の種類 断熱工法には、下記の 3 つの施工法があります。*充填断熱工法;壁の間や天井、床に無
機繊維系断熱材を充填する工法。発泡プラスチック系断熱材も使うことがあります。
*吹込み工法;繊維状断熱材をほぐして、天井裏や壁の空隙に吹き込む工法。
*外張断熱工法;柱の外側や屋根にボード状の発泡プラスチック系断熱材か繊維系断熱材を張り付ける工法。
(3) 開口部の断熱・遮熱対策①熱は開口部から逃げやすい
1軒の住宅における熱損失の割合は、各部位の表面積とその部分の熱の通りやすさで決まります。窓・扉といった開口部は全面積の 25% 程しかない場合でも、熱の損失量は壁面の約 2.5 倍になります。 「新省エネ基準」に対応した一般的な木造住宅でも、開口部の熱の通りやすさは壁面の 10 倍近くで、窓の断熱性能は他の部位に比べて極めて低いのです。窓の断熱化は住宅の断熱化においてもっとも有効な方法です。
②開口部の断熱対策 開口部の断熱は、サッシを木やプラスチック製にした上で複層ガラスを入れたり、二重窓にすると効果がありますが、少なくとも複層ガラスを採用することが望まれます。
■住宅からの熱の逃げ道(冬季の暖房時)
参考:(一社)日本建材・住宅設備産業協会 http://www.kensankyo.org/syoene/index.htm
参考;環境省地球環境局「省エネルギー住宅ファクトシート」[全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト
(http://www.jccca.org/)より]
■断熱建材の種類
■断熱工法の種類充填断熱工法 吹込み工法 外張り断熱工法
高密度グラスウールロックウールボードインシュレーションボードビーズ法ポリスチレンフォーム押出法ポリスチレンフォーム硬質ウレタンフォームフェノールフォーム
グラスウールロックウールポリエチレンフォーム
グラスウールロックウールセルローズファイバー
繊維系発泡系
使用する主な断熱材 使用する主な断熱材 使用する主な断熱材
参考;(一社)日本建材・住宅設備産業協会 http://www.kensankyo.org/syoene/index.htm
プラスチックサッシと高断熱複層ガラス木製サッシと高断熱複層ガラス
二重サッシ(アルミサッシと単板ガラス+樹脂内窓と複層ガラス)アルミ熱遮断構造サッシと複層ガラスアルミ樹脂複合サッシと複合ガラス
アルミサッシと複合ガラスアルミサッシと単板ガラス(一般的なもの)
※「アルミサッシと単板ガラス」を 100 とした場合の比較
35.7
断熱性能
高い
低い
35.735.7
53.553.5
71.4100
0 20 40 60 80 100
グラスウールロックウールセルローズファイバーインシュレーションボードビーズ法ポリスチレンフォーム押出法ポリスチレンフォーム硬質ウレタンフォームポリエチレンフォームフェノールフォーム
無機繊維系
プラスチック系
木質繊維系
繊維系微細な繊維の間に熱が伝わりにくい空気を閉じ込めるもの。
発泡系微細な独立した気泡に熱が伝わりにくい空気やガスを閉じ込めるもの。
■サッシの種類と断熱性能
複層ガラス断熱サッシ断熱ドア防湿・気密フィルム気密テープ気密パッキン
参考:(一社)日本建材・住 宅設備産業協会http://www.kensankyo.org/syoene/index.htm
断熱材
断熱開口部材
気密補助材料
床 7%
開口部58%
換気15%
天井・屋根 5%
外壁15%
省エネ対策[省エネ対策のポイント]
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住まいづくりのポイント
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住まいづくりの手引き 73
③窓の遮熱対策 最近の住宅は高断熱性能を有しているため、室内に熱を入れてしまうと、室外に排出することが難しくなり、逆に冷房効率を悪化させることになります。そこで、夏期は室内に直射日光を入れないように、開口部に遮熱対策を施すことが重要です。
a)窓の内外に植栽・ブラインド・遮熱複層ガラス等を設置します。b)ブラインドなどの設置は、窓の外側に取り付けた方が、内側に取り付ける場合
よりも3倍近く効果的です。c)庇やオーニング(日除けテント)の取付は太陽高度が高い時間帯では特に有効
です。
(4) 気密・換気対策①気密と換気の必要性
冷暖房の効果を高めるためには、断熱性を高めるだけでは十分ではありません。住宅の中の隙間をなくして、無駄な熱の出入りを押さえることが必要です。これが「気密性を高める」ということです。 一方、気密性を高めることで、自然な空気の出入りは少なくなり、汚れた空気がたまりやすくなります。そこで、計画換気が必要となります。
②季節による「開く」と「閉じる」の使い分け 省エネ住宅といっても一年中気密性や計画換気が必要な訳ではありません。冷暖房を使用しない季候の良い時期には窓を開けて通風するなど、季節による使い分けを行いましょう。
参考;(一社)日本建材・住宅設備産業協会 http://www.kensankyo.org/syoene/index.htm
参考;(一社)日本建材・住宅設備産業協会 http://www.kensankyo.org/syoene/index.htm
また、普通のガラスに比べて熱の通りにくいガラスには、ガラスを二重にして間に空気の層をいれた複層ガラス、ガラスを三重にして間の空気層を二重にした三重ガラス、低放射特殊金属膜をコ-ティングした Low-E ガラスなどがあります。Low-E ガラスは、暖房時に外気に向かって放射される熱を反射し、室内に戻します。それぞれの熱の通りやすさは右図に示すように大きな違いがあります。
単板ガラス(3mm)
複層ガラス(3mm+A6+3mm)
遮熱複層ガラス(Low-E3mm+A6+3mm)
室外 室内 室外 室内 室外 室内
88% 79%41〜50%
3mm 3mm 3mm 3mmLow-E3mm
空気層6mm
空気層6mm
閉じる(冬と夏) 開ける(春と秋)
夏 は日射 を 遮蔽し、 室 内 に入れない
冬は日射を取得
開口部を閉じ、冷暖 房効率を高める
開口部を開放し、通風する
■ガラスの日射浸入率
■季節による使い分け
省エネ対策[省エネ対策のポイント]
一口メモ
住まいづくりのポイント
住まいづくりの手引き74
(5) 省エネ機器の利用 家庭のエネルギー消費量のうち、暖冷房や給湯などの用途に全体の約 60%が消費されています。住まいの省エネルギー化を実現するには、建物の省エネルギー化だけではなく、エアコンや給湯器などの設備機器のエネルギー効率を高めることが大切です。
①省エネ家電 家電製品の技術進歩はめざましく、例えば最近のエアコンは 10 年前と比較すると約7%も省エネ化しているなど、一般に新しい機器ほど電気代も節約できるようになっています。 なお、エアコン、テレビ、冷蔵庫などの製品の省エネルギー性能を星の数で表し、年間の目安電気料金を表示するラベル「統一省エネルギーラベル」等もあり、製品を選ぶ際の省エネ性能の比較等に役立ちます。各メーカーが現在販売している製品の統一省エネラベル等の情報は、「省エネ型製品情報サイト(http://seihinjyoho.go.jp/)」で公開されています。
②高効率給湯器 給湯器もエネルギーを消費する設備機器ですが、最近は熱効率の高い製品が開発され、普及し始めています。A) CO2 冷媒ヒートポンプ給湯器(エコキュート)
夜間の割安な電気を利用する給湯器で、大気中の熱を取り込んで熱効率を高めています。エネルギーコストは従来の1/3といわれています。
B) 潜熱回収型給湯器(エコジョーズ、エコフィールなど) ガスや灯油などでお湯を作るときの排気中に捨てられる排熱ロスを抑えた給湯器です。給湯中の熱効率は、従来型の約 80%に対して 95%まで向上しており、使用する燃料料金は従来より約 13 〜 15%節約できます。ガスを燃料とするものがエコジョーズ、灯油を燃料とするものがエコフィールと呼ばれています。
③家庭用熱電併給(コージェネレーション)システム(エコウィルなど) ガスや灯油などを燃料として発電し、その時の排熱でお湯を作って給湯や暖房を行う機器です。1つのエネルギーで電気とお湯を同時に作り出すため、エネルギー消費量を抑えることができます。ガスを燃料とするものがエコウィルと呼ばれています。
「ZEH(ゼッチ)」と呼ばれるゼロ・エネルギー住宅は、住宅で使うエネルギーを自宅でまかなって、エネルギー収支を正味でゼロにする住宅です。国は「エネルギー基本計画」で 2020 年までに新築注文戸建住宅の半数以上で、2030 年までに新築住宅の平均で ZEH の実現を目指すとしています。
ZEHとは?④家庭用燃料電池(エネファーム) 家庭用燃料電池は、都市ガスや L Pガス、灯油などから水素を取り出し、空気中の酸素と反応させて発電し、その時に発生する熱を利用してお湯を作ります。CO2 排出量は従来の給湯器と比べて約 45%削減し、エネルギー効率は 75%以上です。
省エネ対策[省エネ対策のポイント]
住まいづくりの手順
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住まいづくりの手引き 75
(6) 自然エネルギーの利用 住宅で活用可能な自然エネルギーは、太陽光、太陽熱、自然風などがあります。さらに、生ゴミ処理や雨水・中水の利用、屋上緑化や壁面緑化などにより環境負荷を低減する方法があります。
①太陽熱 住宅において太陽熱は、これまで、主として太陽熱温水器を介して給湯に利用してきました。近年はパッシブソーラーという、設計上の工夫により太陽熱や熱により発生する空気の流れを利用して室内環境をコントロールする方式があります。
参考;環境省地球環境局「省エネルギー住宅ファクトシート」②太陽光発電
太陽光を電力に変換する発電方式で、導入費用は高めですが、余った電気は電力会社に買い取ってもらい、夜間や雨天時は通常の電力会社の電力を利用できます。太陽光発電パネルが屋根と一体となったものや既存の屋根に設置するタイプがあります。
③その他 その他の自然エネルギーや資源として、風力発電、雨水貯留システムなどがあります。
(7) 省エネリフォーム 断熱の基本は、住宅をすっぽりくるむ事です。ですから、部位毎にバラバラに施工するより、リフォームに合わせて全体を一度に行うと、とても効果的です。ただし、天井や屋根と壁、壁と床や基礎などの境目は、施工が難しい場所で、注意が必要です。外側に張り付ける工法では、いずれの部位も外装材を支える構造強度が必要です。施工方法などは、「(一社)福岡県住宅リフォーム協会(フリーダイヤル 0120-782-783)」などにお問い合わせください。 外壁や屋根などの断熱改修により、断熱性能の向上が期待できますが、内装のリフォームに適した方法と外装のリフォームに適した方法があります。次ページに省エネリフォームの考え方を図示していますので、ご参照ください。
南面する窓や天窓から日射を直接室内に取り込み、床や壁などに蓄熱する方式。
ダイレクトゲイン(蓄熱) 付設温室システム(集熱) (地熱・冷房)家の南側に集熱室として温室を作る方式。温室で暖められた空気を室内に取り入れる。
地中に空気を通すことで、夏に冷風を得る方式。天井等より温風を抜くことで、冷風が吸い上げられ、室内に循環する。
■パッシブソーラーの種類
省エネ対策[省エネ対策のポイント]
住まいづくりのポイント
住まいづくりの手引き76
3.住宅の省エネルギー基準 省エネルギー基準は、日本全国を気候によって8地域に分け、各地域ごとに外壁や窓枠等の熱貫流率や日射熱取得率などの熱性能の基準値を示したものです。この基準値は建築基準法とは異なり、建築主の義務となるものではありませんが、2000 年にスタートした住宅性能表示制度の表示項目の1つ「温熱環境」の判定指標として利用されています(p 28 参照)。 また、2013 年に改正された省エネルギー基準では、建物全体の省エネルギー性能をよりわかりやすく把握できる基準とするため、外壁や窓等の熱性能に加えて建物全体の省エネルギー性能を評価する「一次エネルギー消費量」の基準が加わりました。
参考;(一財)省エネルギーセンターホームページ
■省エネルギー基準(福岡県)省エネルギー基準 地域区分ごとの基準値
地域区分※ 5 6 7外皮平均熱貫流率 0.87 0.87 0.87
冷房期の平均日射熱取得率 3 2.8 2.7※地域区分 「5」:矢部村 「6」:地域区分「5」及び「7」を除く県内の市町村 「7」:福岡市(博多区、中央区、南区、城南区)
■一次エネルギー消費量対象設備
空調・暖冷房設備換気設備照明設備給湯設備昇降機※
※共同住宅が対象
■省エネ手法の採用例項目 内容
設備の効率化 ○高効率機器の採用
負荷の削減○外皮の断熱化○日射の遮蔽・取得○通風利用○躯体蓄熱
○熱交換換気の採用○調光○照明制御
○節湯型器具の採用○太陽熱温水器の設置○高断熱浴槽の採用
エネルギーの創出 ○太陽光発電設備の設置 ○コージェネレーション設備の設置※参考:国土交通省住宅局「住宅・建築物の省エネルギー基準 平成 25 年改正のポイント」
●建築物省エネ法 建築物部門のエネルギー消費量は著しく増加しており、省エネ対策の抜本的強化が必要不可欠なことから、平成 27 年 7 月「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」が公布されました。平成 28 年 4 月から「エネルギー消費性能の表示」、「省エネ性能向上計画の認定、容積率特例」の誘導措置が開始されました。平成 29 年 4 月からは「2,000 ㎡以上非住宅の省エネ基準適合義務・適合性判定義務」「300 ㎡以上建築物の届出義務」「住宅トップランナー制度」の規制措置が開始されています。
■省エネリフォームの考え方床壁・外装材天井・屋根
内装をリフォームするとき
外装をリフォームするとき
天井を張替える場合
壁を張替える場合
床を張替える場合
天井裏に断熱材を吹き込むか、敷き込みます。
壁の中に断熱材を充填します。
床下に断熱材をはめ込みます。
屋根を葺き替える場合
外壁をリフォームする場合
屋根下地の外側に断熱材を張り付けます。
壁の外側に断熱材を張り付けます。
省エネ対策[住宅の省エネ基準]
住まいづくりの手順
住まいづくりのポイント
建築に関する法律等
資料と相談・問合せ先
住まいづくりの手引き 77
4.住宅の省エネルギー対策に係る助成制度等
(1) 認定低炭素住宅に係る優遇措置 市街化区域等において、一定の省エネルギー基準を満たす住宅の建築を計画すると、所管行政庁の認定を受けることができます。この「認定低炭素住宅」を建築又は購入すると、住宅ローン減税などの優遇措置を受けることができます。 認定を受けるためには、壁や屋根等の断熱性能が次世代省エネルギー基準を満たすことや、冷暖房設備や給湯設備等の一次エネルギー消費量を省エネルギー基準(平成 28年基準)より 10%削減することに加え、太陽光発電設備や節水トイレの設置等、その他の低炭素化に資する措置が必要となります。 詳細は、下記のウェブサイトをご参照ください。
国土交通省:低炭素建築物認定制度 関連情報http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000065.html
一般社団法人住宅性能評価・表示協会 http://www.hyoukakyoukai.or.jp/teitanso/index.php
(2) 減税制度 省エネルギー対策を行った住宅(新築、リフォーム)に対する減税制度としては、ローン減税、住宅特定改修特別税額控除、固定資産税の減額の3つがあります。
*詳しい条件や内容は、国土交通省ホームページ「各税制の概要」をご覧ください。 http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr2_000011.html
(3) 低利融資フラット 35S
フラット 35 を利用して新築住宅を建設・購入又は中古住宅を購入する際に、「省エネルギー性」の基準等を満たすことで、フラット 35 の借入金利を一定期間引き下げることができます。
※詳しい条件・内容については、フラット 35 サイト(http://www.flat35.com/)をご覧ください。
(4) 補助金●省エネ設備設置に関する補助金
省エネ設備設置に関する独自の補助制度を持つ市町村もあります。詳細は各市町村におたずねください。
■独自の補助がある市町村福岡市(p112 参照)、久留米市(p117 参照) 他※ p13 各市町村の助成制度等一覧⑧をご覧ください。
省エネ対策[住宅の省エネに対する助成制度]
住まいづくりのポイント
住まいづくりの手引き78
以前の住宅は、杉、桧などの板材やしっくいなどの建材が使用されていましたが、近年ではフローリング材、壁紙を使用する住宅が多く見られるようになりました。これらの建材や家具、日用品などから放散される化学物質が様々な体調不良を引き起こす「シックハウス症候群」として問題になっています。 この対策として国は、新築住宅及び既存住宅における住宅性能表示に室内の化学物質の濃度等を測定し表示する項目を追加しました。また、平成 14 年7月に建築基準法が改正され、化学物質を使った建材の使用の制限、住宅への換気装置の設置が義務付けられ、平成 15 年7月に施行されました。
(1) 建築基準法に基づくシックハウス対策 シックハウスの原因となる化学物質の室内濃度を下げるため、建築物に使用する建材や換気設備が建築基準法により規制されます。シックハウスの原因となる化学物質の代表的なものとしてホルムアルデヒドがあります。内装仕上げ材に使用する建材のうち、ホルムアルデヒド発散建築材料はその含有量により等級付けがなされており、使用面積の制限が定められています。規制の対象となるなる建築材料は、木質建材(合板、木質フローリング、パーティクルボード、MDF[Medium Density Fiberboard]など)、壁紙、ホルムアルデヒドを含む断熱材、接着剤、塗料、仕上塗材などです。
8 シックハウス対策
建築材料の区分 ホルムアルデヒドの発散
JIS、JASなどの表示記号 内装仕上げの制限
建築基準法の規制対象外
少ない 放散速度5μg/㎡h以下 F☆☆☆☆ 制限なしに使える
第 3種ホルムアルデヒド発散建築材料
5μg/㎡h〜20μg/㎡h F☆☆☆ 使用面積が制限
される第 2種ホルムアルデヒド発散建築材料
20μg/㎡h〜120μg/㎡h F☆☆
第1種ホルムアルデヒド発散建築材料 多い
120μg/㎡h超 旧 E2Fc2又は表示無し 使用禁止
※1 μ g(マイクログラム):100 万分の 1g の重さ。放散速度1μ g /㎡ h は建材1㎡につき1時間当たり1μ g の化学物質が発散されることをいいます。※2 建築物の部分に使用して5年経過したものについては、制限なし。
また、ホルムアルデヒドを発散する建材を使用しない場合でも、家具からの発散があるため、原則として全ての建築物に機械換気設備の設置が義務付けされています。さらに、機械換気設備を設ける場合は、天井裏、床下、壁内、収納スペースなどから居室へのホルムアルデヒドの流入を防ぐための措置が必要となります。
(2) 生活上のチェックポイント 建築基準法さえ守ればシックハウス対策は十分、というわけではなく、住宅選びに当たっては、トルエン、キシレンなど他の化学物質対策もしっかりチェックしましょう。また、家具や防虫剤、化粧品、タバコ、ストーブなども化学物質の発生源となります。身の回りの日用品や換気など、住まい方にも十分気をつけましょう。
シックハウス対策
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住まいづくりの手引き 79
●特に、新築時や夏期は、適切な換気を心がけましょう① 24 時間換気システムのスイッチは切らずに、常に運転するようにする。②新築やリフォーム当初は、室内の化学物質の発散が多いので、しばらくの間は換気や
通風を十分行うように心がける。③特に夏は化学物質の発散が増えるので室内が著しく高温多湿となる場合(温度 28℃、
相対湿度 50%超が目安)は、窓を閉め切らないようにする。④窓を開けて換気する場合は、複数の窓を開けて、汚染空気を排出するとともに、新鮮
な空気を室内に導入するようにする。 ⑤換気設備は、フィルターの清掃など定期的に維持管理する。
●意外なものも発生源となることがあるので、化学物質の発生源を減らしましょう①新しい家具やカーテン、じゅうたんにも化学物質を発散するものがあるので注意
が必要。②家具や床に塗るワックス類には、化学物質を発散するものがあるので注意が必要。③防虫剤、芳香剤、消臭剤、洗剤なども発生源となることがある。④化粧品、香水、整髪料なども影響することがある。⑤室内でタバコを吸うことは避けたほうが望ましい。⑥開放型ストーブ、排気を室内に出す暖房器具(ファンヒーター等)の使用は避け、排
気を外部に出すもの(FF 式ストーブ等)など室内空気の汚染が少ない暖房器具を使用することが望ましい。
アスベストは、石綿とも呼ばれる繊維状の天然鉱物の総称で、耐熱性、耐薬品性、絶縁性などの特性に優れているため、セメント板、スレート、サイディングなどに加工され、建築物の壁、屋根、外装などの建材に多く使用されてきました。アスベストは、そこにあること自体が直ちに問題ということではなく、飛び散ったアスベストを吸い込むことで健康被害を引き起こすため、労働安全衛生法や、大気汚染防止法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律などで飛散防止の対策が取られています。(1) 吹付けアスベスト等
吹付けアスベスト等のアスベストを含有する吹付け材が劣化すると、空気中にアスベストが飛散し、健康被害が発生するおそれがありますので、除去、封じ込め、囲い込みなどの飛散防止を行う必要があります。
(2) 吹付けアスベスト等がある建物の改修・解体時の注意 アスベストを含有する吹付け材、断熱材、保温材、耐火被覆材及び成型板等を使用した建物を改修・解体する際には、大気汚染防止法及び労働安全衛生法に基づく届出が必要な場合や、作業での遵守事項が定められています。
9 アスベスト対策
問合せ先; p129 をご覧ください。
アスベスト対策