エンタングルメントコストの解析とホレボ容量の計算

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1 エエエエエエエエエエエエエエエエ エエエエエエエエ エエエエエエエ / エエエエエエエエエ / エエエエエエエエエエ / エエエエ エエエエ

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Page 1: エンタングルメントコストの解析とホレボ容量の計算

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エンタングルメントコストの解析と ホレボ容量の計算

東京大学大学院 / 情報理工学系研究科 /コンピュータ科学専攻 / 博士課程

下野寿之

Page 2: エンタングルメントコストの解析とホレボ容量の計算

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本研究のテーマ• 量子情報科学に特有の現象の解明

– 量子もつれの有用性の定量化– 量子通信路の容量の加法性が破れないか?

• 研究を遂行する上での面白さ / 難しさ– ( 最も ) 単純な量子系でも

次元数の高い問題が現れること– 問題の難しさを示すこと

Page 3: エンタングルメントコストの解析とホレボ容量の計算

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研究成果

具体例で EC の下限値を計算

EC と ED で差を持つ例の発見

具体例で EF(ρ ρ ⊗ ) =2 EF(ρ)

EC = EF ?

EF の超加法性

加法性

ホ容量の加法性

超加法性の数値検証

ホ容量加法性の示唆

ホ容量は計算できるか量子通信路の問題  ホレボ容量 量子ビット通信は 2 信号

がホ容量達成に最適であるか

4 信号を最適とする量子ビット通信路の発見

真値に収束するアルゴリズム

「量子もつれ」 の定量化 の問題

EF の加法性

非一意性

計算可能か

重複の問題

同値な命題群

Page 4: エンタングルメントコストの解析とホレボ容量の計算

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量子力学による物理世界の描像光の偏光状態

Page 5: エンタングルメントコストの解析とホレボ容量の計算

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密度行列の導入

Page 6: エンタングルメントコストの解析とホレボ容量の計算

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量子もつれの応用

• 物体をコピーするにはどれだけ情報が必要か ?

• 量子テレポーテーション

Page 7: エンタングルメントコストの解析とホレボ容量の計算

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量子もつれに関する歴史的背景

• 1925 シュレーディンガー方程式– 量子的現象が定式化される。

• 1935 アインシュタインらによる量子もつれ– 量子力学を仮定すると、量子もつれの存在を導くこ

とにより、それが超光速通信をするかのように振る舞うことから、量子力学が不完全ではないかと論争。

• 1964 ベルの不等式– ベルの不等式は実験的に確かめることができる。

不等式が破れは、量子もつれの存在を意味する。• 1982 アスペの実験

– 一つの原子から飛び出る二つの光の粒子の量子もつれを示した。

Page 8: エンタングルメントコストの解析とホレボ容量の計算

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量子もつれの計量 (1)

純粋状態の場合

(1) LOCC( 局所操作 + 古典通信 ) の操作で増加しない(2) 局所ユニタリ変換で値が変わらない。(3) 加法性が成り立つ。

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量子もつれの計量 (2)

C,D,F,R は Cost, Distillation, Formation, Relative entropy の略。

混合状態の場合 (Bennett, DiVincenzo, Smolin, Wootters, PRA,1996) (Vedral, Plenio, Rippin, Knight, PRL,1997)

Page 10: エンタングルメントコストの解析とホレボ容量の計算

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量子もつれ計量に関して課題となっていたこと

Page 11: エンタングルメントコストの解析とホレボ容量の計算

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量子もつれ計量の加法性に関して

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他の加法性問題• 量子情報理論において、量子通信路容量の加法性が

関心を集めていた。ホレボ容量 :

その量子通信路を多数回用いた場合の1 回あたりの古典メッセージの通信効率。ただし条件 :

「入力量子同士はもつれなし」「出力量子を一括測定する」

・ 加法性が成り立つ [ 成り立たない ]⇔ 入力量子間のもつれにより容量が  各通信路の容量の総和より増えない [ 増える ]

Page 13: エンタングルメントコストの解析とホレボ容量の計算

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ホレボ容量の加法性に関して• 2 および 3 準位系の通信路に対する

数値実験例による加法性の示唆 (Osawa, Nagaoka, IEICE Trans. Fundamentals. 2001)

• ( ホレボ容量加法性を導く ) 最大 p ノルムの乗法性が成り立たない HW 通信路の発見(Holevo, Werner, quant-ph, 2002)

• もつれ破壊通信路の加法性 (Shor, J.Math.Phys. 2002)

• Unital 通信路の加法性 (King, J.Math.Phys. 2002)

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MSW 対応

入力量子状態 中間状態 環境に放出した量子状態と

出力量子状態

[Matsumoto,Shimono,Winter, Commun.Math.Phys. 2004]

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研究成果

具体例で EC の下限値を計算

EC と ED で差を持つ例の発見

具体例で EF(ρ ρ ⊗ ) =2 EF(ρ)

EC = EF ?

EF の超加法性

加法性

ホ容量の加法性

超加法性の数値検証

ホ容量加法性の示唆

ホ容量は計算できるか量子通信路の問題  ホレボ容量 量子ビット通信は 2 信号

がホ容量達成に最適であるか

4 信号を最適とする量子ビット通信路の発見

真値に収束するアルゴリズム

「量子もつれ」 の定量化 の問題

EF の加法性

非一意性

計算可能か

重複の問題

同値な命題群

Page 16: エンタングルメントコストの解析とホレボ容量の計算

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量子もつれの計量の計算に関して

※ HW 通信路のホレボ容量の加法性が示される。

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Page 18: エンタングルメントコストの解析とホレボ容量の計算

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(2)

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加法性命題の依存関係

結局 1. 2. 3. 4. 全部が同値。K.Matsumoto, T.Shimono, A.Winter. “Remarks on additivity of the Holevo

channel capacity and of the entanglement of formation”, Commun. Math. Phys. 246 (2004)

P.W.Shor, “Equivalence of Additivity Questions in Quantum Information Theory”, Commun. Math. Phys. 246 (2004)

A.A.Pomeransky, “Strong superadditivity of the entanglement of formation follows from its additivity”, Phys. Rev. A, 68 (2003)

MSW 対応を用いた証明

Page 20: エンタングルメントコストの解析とホレボ容量の計算

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超加法性 strong superadditivity

• EF で 4個の粒子の量子もつれ量を AB 間で計る場合、 右のように 2組に切り離して計った和が、 元の左の量より増えないことを指す。

• 不等式の方が等式よりも数値検証が簡単。

Page 21: エンタングルメントコストの解析とホレボ容量の計算

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EF の超加法性について数値計算による反例探索 (1)

左辺≧右辺 を満たさないものはないか? → ( 最も単純な )2準位系4粒子なら計算できる

ρ : 16(= 24 ) 準位系 は純粋状態とする左辺 : 縮約フォンノイマンエントロピー右辺 : 2×2 の EF は concurrence

(Wootters 1998) により、計算

(H. Fan, T.Shimono. EQIS, 2003)

Page 22: エンタングルメントコストの解析とホレボ容量の計算

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EF の超加法性について数値計算による反例探索 (2)

[ 左辺-右辺 ]≧ 0 を満たさないものはないか?2準位系4粒子に対し、反例は無し。

(H. Fan, T.Shimono. EQIS, 2003)

左辺>右辺

左辺=右辺

左辺<右辺 左辺-右辺 に

降下法を適用ランダムサンプル

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ホレボ容量の加法性は破れないか ?-まず量子ビット通信路に対する計算法を確

立(Hayashi,Imai,Matsumoto,Ruskai,Shimono, QIC, 2004)

Page 24: エンタングルメントコストの解析とホレボ容量の計算

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見つけた4信号量子ビット通信路

Page 25: エンタングルメントコストの解析とホレボ容量の計算

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超加法的であるか ?

• 2C(Λ) を計算するのは困難なので工夫する。

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超加法的であるか? (2)

超加法的では無かった次の方向性 :このグラフの凸性が普遍的なら加法性問題の解決になる。

Page 27: エンタングルメントコストの解析とホレボ容量の計算

文献リスト反対称状態の EC の計算の試み(1) T.S. :

“Lower bound for entanglement cost of antisymmetric states”, quant-ph/0203039 (2002)

(2) T.S. : “Additivity of Entanglement of Formation of Two Three-level-antisymmetric States”, International Journal of Quantum Information, 1(2) (2003)

MSW 対応、 EC と ED の違いの検出(3) K.Matsumoto, T.S., A.Winter :

“Entanglement Cost of Antisymmetric States and Additivity of Capacity of Some Quantum Channel”, Commun. Math. Phys. 246 (2004)

EF の超加法性の検出の試み(4) H.Fan, T.S.,

“Numerical test of the superadditivity of entanglement of formation for four-partite qubits”, EQIS2003, Poster (2003)

量子ビット通信路のホレボ容量の計算

(5) M.Hayashi, H.Imai, K.Matsumoto, M.B. Ruskai, T.S. : “Qubit Channels which require four intputs to achieve capacity”,Quantum Information and Computation, 5 (2005)

Page 28: エンタングルメントコストの解析とホレボ容量の計算

 フォンノイマンエントロピー の定式化

  Neumann 1932

 情報通信路の定式化  Shannon 1948

シャノン容量の計算 Arimoto 72; Blahut 72

ホレボ容量の定式化Holevo73.97.98;Shumacher Westmoreland 97; Ohya Petz Watanabe 97

EC ,ED,EF の提案 Bennett DiVicenzo Smolin Woottes 96

関連研究との位置づけ

EC と EF の漸近的関係Hayden  Horodecki Terhal 01

反対称状態 → HW 通信路のホ容量加法性

EC の計算の試み Vidal Dur Cirac 02

EC の下限値 02

ED =0, EC > 0 なる例の発見Horodecki 98

ユニタル経路に関する加法性 King 02

EN の提案Vidal Werner 02

各種加法性問題の同値性Matsumoto Shimono Winter 04; Shor 04; Pomeransky 03

2 量子ビットの EF の計算法Hill Wootters 97; Wootters 98  

EC と ED で差を持つ例 Vidal Dur Cirac 02

EF(ρ ρ ⊗ ) =2 EF(ρ) 03

超加法性の数値検証 03

EC の決定 Yura 03

一般次元に拡張 Matsumoto Yura 04

量子ビット経路に関する CPTP 性Ruskai Szarek Werner 02

非直交入力が最適となる量子経路 Fuchs 97

3 信号を最適とする 量子ビット経路 King Nathanson Ruskai 02

非漸近的なエンタングルメントの比較Vidal 99,00

純粋状態のエンタングルメント定量の一意性Popscu Rohlich 97; Vidal 00; Nielsen 00; Donald Horodecki Rudolph 02

ホ容量計算の試み Osawa Nagaoka 01; Shor 03

  真値に収束するホレボ容量を  計算するアルゴリズム 05

4 信号を最適とする量子ビット経路 05

ホ容量から EC を求め ED で差を持つ例 04

そのホ容量加法性の示唆 05

ホ容量から EF が求まらない例 Ruskai 04

※ 長方形の重なりは長方形に記載された研究項目の直接の関係を表す。※ みかん色に色づけされた長方形が本博士論文に収録された研究内容。

そのさらに高速なアルゴリズムOto Imai 05

Page 29: エンタングルメントコストの解析とホレボ容量の計算

研究成果

具体例で EC の下限値を計算

EC と ED で差を持つ例の発見

具体例で EF(ρ ρ ⊗ ) =2 EF(ρ)

EC = EF ?

EF の超加法性

加法性

ホ容量の加法性

超加法性の数値検証

ホ容量加法性の示唆

ホ容量は計算できるか量子通信路の問題  ホレボ容量 量子ビット通信は 2 信号

がホ容量達成に最適であるか

4 信号を最適とする量子ビット通信路の発見

真値に収束するアルゴリズム

「量子もつれ」 の定量化 の問題

EF の加法性

非一意性

計算可能か

重複の問題

同値な命題群