“中二病”はなぜ流行る？ 目次 １、若者のニーズとキャラクターの対応関係：作品分析 ２、中二病キャラが人気になる社会的背景：社会分析 ３、補足：喪女と中二病の違い ※そのむかしNHKの某番組に出たときにつくった資料 読み返すと「うーん」と思うところも多々ありますが 基本そのままにしてあります

作成：飯田一史（2012/11/04） ichiiida@gmail.com

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１、若者のニーズとキャラクターの対応関係

いまの若者がエンタメに求めるニーズは ①楽しい ②ネタになる ③刺さる の３つである。 ※詳しくは私の本を参照（露骨な宣伝）

このきもちに訴えかけるキャラクター造形が“中二病”

１、若者のニーズとキャラクターの対応関係 中二病キャラとニーズの対応関係 ①クールに見えるけどおばか＆ごっこ遊び→楽しい

②かわいいのに中二病的な用語やパロディネタ使う＆“あるある”→ネタになる ③「中二キャラになった理由は実は…」を掘り下げていくと →刺さる

余談ながら中二病は「残念」（かわいいのにアレとか、プラスのスペックとマイナスな属性にギャップがあるキャラクター）からの派生形態。

２、中二病キャラが人気になる社会的背景

①こどもが外（自然）で遊ばなくなっている →サブカルネタの一般化 ②若者のソーシャルネイティブ化 →空気を読んで“ツッコミながら楽しむ”のが傷つかない

このような若年層のきもちに訴えかけるキャラ造形が“中二病”

２、中二病キャラが人気になる社会的背景

①こどもが外（自然）で遊ばなくなっている

「青少年の自然体験への取組状況」によれば、「キャンプをしたこと」や「海や川で泳いだこと」など自然体験について、ほとんどしたことがないこどもが10年前に比べて全般的に増加している ↓ 遊びのインドア化。アニメ、マンガ、ゲーム、ネットに。 ↓ 30代以下の４人に1人が「自分はオタクだと思う」と回答 （矢野経済研究所調べ） ↓ ひとむかしまえよりも、サブカルはずっとポピュラーなものに →中二病ネタが誰でも“わかる”ものに

出所 独立行政法人国立青少年教育振興機構「「青少年の体験活動等と自立に関する実態調査」報告書 平成21年度調査」、 矢野経済研究所「オタク市場」に関する調査結果2011

２、中二病キャラが人気になる社会的背景

②若者のソーシャルネイティブ化 中学生の2人に１人、高校生の97％がインターネットを利用 ↓ 自分の関心あることをすぐ検索して評判を確かめるように ↓

自分の好きなものや自分の趣味に対する否定的な意見を否応なく見ることに。でも、叩かれるのはイヤ ↓

最初から「ツッコミながら楽しむ」というスタンスならボロクソに言われて傷つかずに済む ↓

“恥ずかしいけど「わかってて」やってる”という中二病キャラは（痛さや揶揄を織り込み済みなので）安全に楽しい

データの出所：内閣府「平成22年度青少年のインターネット利用環境実態調査」

３、補足：喪女と中二病の違い

■非モテ女（喪女）はソロ、中二病はソーシャル/シェア

谷川ニコ『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い！』と虎虎『中二病でも恋がしたい！』を比べるとわかること ↓

・かつて中二は「世界の秘密を俺だけが知っている！」というソロプレイヤーだった →いまはみんなでいじる/楽しむもの ・ネガティブで自虐的な喪女こそクラスで孤立している存在 ↓ 中二病は明るい。楽しい。かわいい！

ただしクラスで浮いている自意識過剰な喪女も谷川ニコと山田花子のマンガを比較すればわかるが、2010年代には「ネタ」（ギャグマンガ）になっているが、80年代には「実存」にかかわるシリアスなものだった