サクセスストーリー

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Japanese and Multinational Companies in Switzerland. invest-in-switzerland.jp サクセスストーリー

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Japanese and Multinational Companies in Switzerland.

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Page 1: サクセスストーリー

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サクセスストーリー

Page 2: サクセスストーリー

Building Long-term Partnerships Drives Growth.

Japanese World in Switzerland | 1

Nissan

Shimadzu

Hitachi Medical

Sunstar

Eisai Pharma

Fanuc FA

JTI

Toray Membrane

Elpida Memory

Sekisui Alveo

Mycom Intertec

Namiki

Mont-Bell

Eizo Nanao

Union Tool

Google

Kraft Foods

Johnson & Johnson

Siemens Building Technologies

Columbia Sportswear

Fossil

スイス - 欧州へのゲイトウェイ サクセスストーリーの舞台 サクセスストーリー 「日本企業」

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サクセスストーリー 「多国籍企業」

お問い合わせ スイス・ビジネス・ハブのサービス 

目次

Page 3: サクセスストーリー

2 | Success Stories

ようこそスイスへ.

2009年9月1日に発効された日本・スイス間の自由貿易・経済連携協定

(FTEPA) により、二国間の経済関係は大きな進展を遂げました。この協定

は、両国の関係の深まりを祝うと同時に、欧州での事業設立を検討中の日本

企業の皆様にスイスのメリットを伝える絶好の機会を提供します。スイスは

欧州の中心にありながら、その独立性を維持し続けており、この重要な貿易

協定が、スイスの恵まれた立地条件のさらなる活用を可能にします。

スイスは、その安定した経済、政治、事業環境が評価され、長年にわたり多く

の国際組織の活動拠点となってきました。国際連合や国際オリンピック委員

会などの本部が立地し、ABB, Nestle, Novartis, Roche, Credit Suisse,

UBSなどのスイス企業も本国にグローバル本社を構えています。

近年では、Hitachi Medical Systems, Japan Tobacco, Nissan,

Elpida などの日本企業のほか、Google, Kraft, Foods, Siemens

Building Technologies などの国際企業のグローバル本社と欧州本社も

数多く設立されています。

これらの具体的な事例に加え、多数の国際調査がスイスの魅力を裏付け

ています。例えば、「IMD World Competitiveness Yearbook 2008」

(2008年IMD国際競争力年鑑)では、国際企業に欠かせない多言語能力

のほか、技能労働者の豊富さにおいてもスイスが世界第1位の評価を受け

ています。このような調査結果には、世界屈指の教育水準と勤勉さというス

イス人の特質が顕著にあらわれていると同時に、几帳面さ、信頼性、勤労意欲、

高度な資格と多言語能力など、スイスの労働人口の特色を証明しています。

これは、優れた教育制度、4つの公用語とビジネスの公用語である英語を併

せ持つ文化、そして日本とよく似た労働文化の産物にほかなりません。スイ

スと日本は、質の高さ、信頼性、長期的関係を大切にする価値観を共有して

います。

この「サクセスストーリー」は、スイスで事業を設立して成功を収めた日本企

業と多国籍企業を紹介する冊子です。その事業内容は、小規模なセールス

オフィスから研究開発センター、欧州本社やグローバル本社まで、多岐にわ

たっています。しかし、すべての企業に共通する事は、スイスの開放的な市

場環境、国が企業に提供する数多くのメリット、そして従業員が質の高い生

活を楽しむことができる住環境にスイスの魅力を見出している点です。

本誌をお読みいただくと、それぞれの企業が特有の要件を持っていること

がおわかりになるでしょう。スイスと26の州政府は、政府と民間産業からの

支援を受け、それぞれの企業のニーズに合わせて対応する柔軟なサービス

の提供により、国外からの投資促進を行っています。いずれのサービスも、

スイスでの事業設立をできる限り弊害なく簡潔に行う事ができるよう工夫

されています。

スイス外国企業誘致局は、欧州市場への玄関口であるスイスに関心をお持

ちの企業を支援しています。ご相談・ご質問については、スイス大使館のス

イス・ビジネス・ハブまでお気軽にお問い合わせください。担当者が丁寧に対

応し、本誌でご紹介している企業と同様に、皆様の企業にもたらすスイス特

有の魅力についてご案内いたします。

Success Stories | 3

スイス-欧州へのゲイトウェイ

Eric Scheidegger経済省経済管轄局(SECO)

局次長

大使

エリック・シャイデッガー博士

Daniel Küngスイス 貿易投資振興会

CEO

ダニエル・キュング

Page 4: サクセスストーリー

4 | Success Stories Success Stories | 5

「欧州市場を狙う日本企業にとって、スイスは事業メリットの宝庫です」

Eric Scheidegger, Ambassador

経済省経済管轄局 (SECO) 局次長 大使 エリック・シャイデッガー博士

サクセスストーリー 「日本企業」サクセスストーリーの舞台

バーゼル

ツークビール/ビエンヌ

ヌーシャテル

ベルン

ローザンヌ

ジュネーブ

チューリッヒザンクトガレン

クール

ルガノ

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Japanese Companies Multinational Companies

Google

Kraft Foods

Johnson & Johnson

Siemens Building Technologies

Columbia Sportswear

Fossil

Nissan

Shimadzu

Hitachi Medical

Sunstar

Eisai Pharma

Fanuc FA

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Toray Membrane

Elpida Memory

Sekisui Alveo

Mycom Intertec

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Eizo Nanao

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Building Long-term Partnerships Drives Growth.

Success Stories | 7

日本の3大自動車メーカーのひとつである日産自動車は、全種類の乗用

車と商用車を製造し、NissanとInfinitiのブランドのもとで販売していま

す。1933年に創設され、1950年代に最初の海外事業を米国でスタート

した日産は、その後世界5大陸に製造・販売事業を広げ、総売上の15%以上

を欧州が占めています。2006年には、NissanとInfinitiの両ブランドの

欧州での販売・製造事業を管理するため、ヴォー州に欧州本社を新設しました。

日産は、カルロス・ゴーン現社長が1999年に最高執行責任者に就任したの

をきっかけに復興を遂げ、既存事業を立て直した後、全世界の事業を拡大し

ました。欧州は日産の主要成長地域のひとつで、現在は全事業の15%を占

めています。日産の欧州グループ企業は、欧州の設計、研究開発、製造、ロジ

スティクス、セールスおよびマーケティング事業部門で1万2,800人以上

を雇用しています。欧州グループは、西欧とロシアを含む東欧の40市場で

53万台超の自動車を販売し、スペインと英国の工場で合計45万台を製造

しています。

Nissan Europeは、事業合理化の一環として、2005年に新本社の設置

候補地を欧州全体で探し、最終的にGGBa(Greater Geneva Berne

area)にあるヴォー州を選択しました。続く2006 年にヴォー州で設立され

たNissan International SAは、ロール中心街 の北にあり、レマン湖を

見下ろす新しい商業パーク、A-One Business Centerに他社よりも早い

2008年に移転しました。

「ジュネーブとローザンヌに挟まれた地域にある、ビジネスエクセレンスの拠点に惹かれたのです」Nissan International SA, 代表取締役 エリック・ニコラス氏

6 | Success Stories

有能で熟練した人材が魅力

会社名:Nissan International SA

部門:自動車

スイスでの事業:欧州本社

日本での事業設立:1933年

スイスでの事業設立:2006年

スイスの従業員数: 145名

全世界の従業員数:215,000名

所在地:GGBA地区ヴォー州ロール

Facts.

Page 6: サクセスストーリー

Building Long-term Partnerships Drives Growth.

8 | Success Stories

日産は、ジュネーブとローザンヌに挟まれた欧州の中心部にある、ビジネス

エクセレンスの拠点に惹かれました。ヴォー州を選んだもうひとつの主な要

因は、経験豊富で有能な人材が豊富であり、将来の事業拡大に伴う熟練した

人材の雇用が可能なことでした。

ヴォー州の新しい欧州本社には、総務、マーケティング、セールス部門のほ

か、製造、サプライチェーン管理、法務、財務部門があります。これらの業務

をひとつ屋根の下で行うのは初の試みで、重要職務の連係を密にし、協力体

制と効率を改善するという移転目標の一部を達成しました。合計145名の

社員がこの新しいオフィスで働き、その約25%が2008年に4種のモデル

で欧州市場に投入された日産の高級車ブランド、Infinitiで勤務しています。

社員の多くが、欧州各地にある日産オフィスからここに移転しました。この地

域の生活の質の高さは、経験豊富な熟練スタッフを誘致して保持する上で

重要な検討要素です。家族にとっては、質の高い国際学校教育を簡単に利

用できることも重要な条件であり、週末や休暇の時期には近くのスイスアル

プスでさまざまなアクティビティを楽しめるというメリットもあります。会社

自体も地元コミュニティで大いに歓迎されており、今後は地域とのつながり

をさらに深めてコミュニティに貢献する予定です。

Success Stories | 9

Shimadzu Schweiz GmbHは、京都に本社を置き、産業・研究用分析機

器、航空関連機器、医用機器の製造で世界をリードする島津製作所の子会

社です。 1875年に機器メーカーとして創設されて以来、島津製作所はこ

の分野における先端技術の先駆けとしての地位を確立し、多数の世界初の

開発を成功させながら、数々の賞を受賞してきました。現在、同社の分析機

器は、化学薬品、製薬、バイオテクノロジー研究所、食品産業と半導体産業

のほか、研究開発、プロセス制御、品質管理の分野で使われています。さら

に同社は、世界中の顧客に対するサービスを充実させるため、70か国に事

業所を設置しています。

島津製作所は、日本企業としては欧州での操業年数が長く、40年前に欧州

市場に参入し、20年前に複数市場で直接販売組織を設立しました。1999

年にバーゼル ラント準州ライナッハ に直接販売・カスタマーサービスオフ

ィスを開設するまでは、スイスにおける同社の販売活動を独占販売代理店

が請け負っていました。

Shimadzu Schweizの設立に理想的なロケーションとして、ライナッハが

選ばれました。その理由として、バーゼル地域にある大手製薬会社と化学薬

品会社の本社に近いため、顧客のニーズに効率的に応えられることが挙げ

られます。各産業の有力企業の存在が、スイス事業所の重点市場における

分析機器の販売可能性を大きく広げています。その一方で、競争が激しい

当該市場では強い競争力が求められます。

「顧客との地理的な近さと日常的な連絡は、長期的な関係構築の第一歩です」Shimadzu Schweiz GmbH 代表取締役 ダニエル・アルブレヒト氏

Presented by:

長期的な協力関係の構築で成長を促進

コンセプトカー

「NUVU」(ニューヴ)

完全電気自動車

二酸化炭素排出量ゼロ 会社名:Shimadzu Schweiz GmbH

部門:分析機器

スイスでの事業:販売・カスタマーサービス

日本での事業設立:1917年

スイスでの事業設立:1999年

スイスの従業員数: 16名

全世界の従業員数:9,326名

所在地:バーゼル地方バーゼルラント準州ライナッハ

Facts.

Page 7: サクセスストーリー

Success Stories | 11

Hitachi Medical Systems Europeは、東京に本社を置く日立グルー

プの一部です。1910年に創設された日立製作所は、現在7つのコア事業

部門を擁し、全世界で35万人以上を雇用しています。 Hitachi Medical

Systems Europe の親会社である日立メディコは、 MRI システム、X線

装置、超音波診断装置などの高度な医療システムのほか、医療情報システ

ムの開発、製造、販売、設置を専門としています。Hitachi Medical Sys-

tems Europe は、ツークの欧州本社から欧州全体の医療専門家に医療シ

ステムを提供しています。同社の革新的なテクノロジー、卓越した性能、最

先端で実用的な医療ソリューションは、顧客から高く評価されています。

日立メディコは、1997 年にツーク州に Hitachi Medical Systems

Europe を設立しました。現在は、この欧州本社がロシアを含む欧州全体の

子会社8社と 30 以上の販売業者の事業を監督しており、最近では管轄地

域をアフリカ北部とサハラ以南地域にも広げています。過去4年間に安定し

た成長を記録した同社では、総売上高の86%を装置売上、残り14%をサ

ービス収入が占めています。また、売上の3分の2が高度超音波システム、3

分の1が MRIおよびCTシステムの販売によるものです。

「スイスがビジネスに有利というのは本当です。これはよく聞く話ですが、多くの国々のビジネス環境を実際に体験してみると、スイスのメリットをはっきりと実感できます」Hitachi Medical Systems Europe 財務・管理マネージャー アレックス・フォン・ロッツ氏

スイスは本質的なメリットを提供する国

10 | Success Stories

Shimadzu Schweizにとってのスイス市場は、長年の取引関係を重視し

て優先する保守的なアプローチなど、多くの点で日本市場に似ています。地

理的な近さによって顧客との日常的な連絡を可能にすることは、長期的な

関係を構築するための第一歩です。同社は、新市場への参入にあたり、革新

的なアイデアと独自の技術を生かした科学的ソリューションの提供に焦点

を当てました。

このようなソリューションを実現するためには、熟練したスペシャリストによ

る多大な時間と労力の投資が必要です。ライナッハ事業所の社員はすべて

現地採用され、当地の文化とビジネス習慣を理解しているため、顧客と共通

の概念をもとに業務に対応できます。また、Shimadzu Schweizの現地ス

ペシャリストが島津製作所欧州本社の製品スペシャリストと協力し、同本社

を通じて特殊な需要を日本の本社に伝えています。

難しい問題を解決し、質の高い専門機器を提供してきた実績が、信頼できる

長期的なパートナーとしてのShimadzu Schweizの実力を証明していま

す。さらに同社では、研究開発部門に対し、顧客の将来的なニーズを継続的

に伝達しています。また、機器のさらなる精密化と自動化を推進しながら、コ

スト削減にも取り組んでいます。関係拡充のための効果的なアプローチが

成功し、1999年に1人の従業員で始業した事業所がここ数年間で安定し

た成長を遂げ、現在は16人を雇用しています。

ライナッハという立地条件が、Shimadzu Schweizの従業員の多様性に

も貢献しています。従業員のうち数名が、スイスとも国境を接するドイツと

フランスの出身です。国際色豊かな従業員が、英語を仕事上の公用語とす

る同社の多言語・多文化環境をさらに充実させています。

Facts.会社名:Hitachi Medical Systems Europe

部門:医療機器

スイスでの事業:欧州本社

日本での事業設立:1910年

スイスでの事業設立:1997年

スイスの従業員数: 20名

全世界の従業員数:16,000名

所在地:大チューリッヒ圏ツーク州ツーク

Prominence UFLC

(超高速液体クロマトグラフ)

Presented by:

Page 8: サクセスストーリー

12 | Success Stories

ツークは、Hitachi Medical Systemsに幅広い本質的なメリットを提供

しています。質の高い労働力が豊富なため、経理からロジスティクス、マネ

ージメントまで、事業に必要な一般職と専門職の両方を現地で募集して採

用することができます。さらに、欧州内で人材を採用してスイスに呼び寄せ

ることも、遠隔勤務を命じることも可能です。事実、同社の経営幹部もイタ

リア、フランス、スイス、ドイツに散在しており、必要に応じてツーク本社に出

社します。

このような背景から、欧州の中心という好立地、そしてチューリッヒ空港から

欧州全体の都市へのすばやく簡単なアクセスを可能にするインフラが非常

に重要になります。もうひとつの重要な条件として、地方政府による積極的

な支援が挙げられます。たとえば、地方政府に電話で問い合わせるだけで従

業員のビザの情報を入手でき、わずか数日で承認を受けることができます。

関係当局が協力的で手続きも簡単なため、外部の専門家に頼らずに必要な

手続きを終えることが可能です。

スイスには多国籍企業が多いため、国際企業の設立と経営に必要な専門的

人材と技能を容易に活用できます。欧州全体での取引と規制準拠に欠かせ

ない、熟練した会計士、弁護士、コンサルタントも現地に揃っています。多言

語・多文化環境を特長とするスイスでは、欧州のビジネス標準語である英語

をはじめ、各国言語で仕事をすることへの抵抗がありません。

スイスの税制度もわかりやすく明快で、法人税と所得税を含む税率の低さ

も特長のひとつです。Hitachi Medical Systemsでは、ビジネスへの取

り組み、法令と規制の遵守、公正さを重視する姿勢など、スイス文化と日本

文化には多くの共通点があると感じています。

Success Stories | 13

サンスターは、オーラルケア分野において常に世界トップテンに入り、約

4000人の社員を擁しています。世界16カ国に拠点を置き、代理店のサ

ービス提供を合わせると90カ国以上で製品とサービスを提供しています。

地域的にも、文化的にも世界中のお客様にとって身近な存在であるために

は、それぞれの国や地域によって求められるニーズを正しく理解し、スピー

ディーに対応しながら企業としての責任を果たしていかなければなりませ

ん。その意味において、サンスターは、グローバル企業であり、かつローカル

企業であることを目指しています。

1932年グループ創業以来、「常に人々の健康の増進と生活文化の向上に

奉仕する」という社是のもと、<人々の健康で幸せな暮らしづくり>を実践

しています。サンスターは、心と身体の健康があり、文化があり、そして人生

がある、というシンプルにして深遠な哲理を日々の業務の中で確認しなが

ら、真の健康に通ずる「製品とサービス」を提供していくことを、同社の社会

的責任と考えています。お客様に「健康」、「美」、「安全」、「快適」という、なく

てはならない価値をお届けするために、お口から全身の健康を支える「マウ

ス&ボディ」、美しさと健康をサポートする「ヘルス&ビューティ」、安全で快

適なくらし環境のための「ヘルシーホーム」、そして産業界に貢献する「セイ

フティ&テクノロジー」という4つの事業領域を設けています。

2002年にスイス・ヴォー(Vaud)州エキュブレンにサンスタースイスSA社

を設立し、09年にはスイス・ヴォー州エトア(Etoy)に新本社社屋を完成さ

せました。現在、グローバル経営の拠点として、人事、ファイナンス、購買、広

報だけでなく、研究開発やマーケティング活動を担っています。

「ここスイスの新たなグローバル経営拠点が、 サンスターの夢や使命の実現を後押しすると 確信しています」サンスターグループ会長 金田善博氏

HI VISION Preirus

超音波診断装置

Presented by:

Facts.会社名:サンスタースイスSA

部門:日用品、トイレタリー用品メーカー

スイスでの事業:本社

日本での事業設立:1932年

スイスでの事業設立:2002年

スイスの従業員数: 42名

全世界の従業員数:約4000名所在地:GGBa地区 ヴォー州エトワ

グローバルな発展のための経営拠点

Page 9: サクセスストーリー

14 | Success Stories

新社屋では欧米、アジア、日本の社員が力を合わせて事業目標の達成に向

け取り組んでいます。その下で世界中での事業活動を担っているのは、それ

ぞれの地域に根ざした事業会社や事業所です。スイス統括本部は、スイス・

ヴォー州の州都である国際都市ローザンヌの近くにあります。

サンスターがグループの経営機能の中核をスイスに設置した理由として、

平和の国スイスは物価や通貨が安定し、経済競争力も高く、雇用も安定し生

活の質も高い国であることが挙げられます。また民主主義が徹底し、行政や

法も高度に整備され、何よりも多言語国民による多様な異文化に寛容な国

として、国自体が世界中で信頼されるブランドでもあるからです。この国で

生まれる製品やサービスは、グローバルの申し子として、世界を駆け巡って

います。

今後の事業展開におけるサンスターの次なる挑戦は、継続的にユニークな

高付加価値製品を提供していくことにあります。そのためにスイスの恵まれ

た医科歯科教育、研究機関、先進バイオテクノロジー、高度な技術者を活用

でき、また中東やアフリカ、欧州市場への入り口として、スイスは最適の地です。

これからも真のグローバル企業として、平和を希求する国々で、「お口を通

じた身体の健康」と、「生活文化」の向上のために、全世界をターゲットにし

た製品、技術に果敢にチャレンジし、積極的なグローバル経営を推進してい

きます。世界には、サンスターが貢献できる場がまだまだたくさんあると考

え、新しい挑戦、新しい試みを続けながら、お客様に満足していただける高

品質製品、サービス、先進技術を世界中に届ける努力を続けます。それがサ

ンスターの『夢』であり『希望』であり『使命』なのです。

Success Stories | 15

Eisai Pharma AGは、東京に本社を置くエーザイ株式会社の欧州子会社

であるEisai Europe Limitedのスイスの系列会社です。1941年に設立

されたエーザイは、研究に基づくヒューマンヘルスケア(hhc)企業として、

世界中で創薬と製品の開発・販売に従事しています。また、神経科学、神経

学、精神医学を含む統合神経科学、腫瘍治療と支持療法を含む統合腫瘍学、

そして急性冠症候群、アテローム血栓症、敗血症、関節リウマチ、乾癬、クロ

ーン病をなどの血管・免疫反応の3つの治療分野に活動の焦点を当ててい

ます。

エーザイは、研究施設、製造拠点、そしてマーケティング子会社のグローバ

ルネットワークを通じて、世界的なヘルスケアシステムに多面的かつ積極的

に参加しています。また、日本、北米、中国、アジア・オセアニア・中東、欧州の

5つの主要地域で事業を展開し、全世界で11,000人以上を雇用しています。

スイスの系列会社であるEisai Pharma AGは2005年に設立れ、2006

年に製品販売、医療・規制関連業務とマーケティング活動を本格的に開始し

ました。現在同社は、てんかん、慢性疼痛、胃腸病の治療薬として指定され

ている処方薬の販売許可を保有しています。また、同社の製品には、オーフ

ァン(希少疾病薬)指定を受けた治療薬も含まれています。

「行政当局は顧客重視でサービス精神をもち合わせています。私が経験した中でも特にユニークなアプローチです」

Eisai Pharma AG カントリーマネージャー ブルーノ・ピロビーノ氏

中央に位置するロケーションは、顧客との強い恊働関係を促進

Facts.会社名:Eisai Pharma AG

部門:製薬

スイスでの事業:販売事業、医療・規制関連業務とマーケティング活動

日本での事業設立:1941年

スイスでの事業設立:2005年

スイスの従業員数: 15名

全世界の従業員数:11,000名

所在地:大チューリッヒ圏チューリッヒ州チューリッヒ

Presented by:

Page 10: サクセスストーリー

16 | Success Stories

Eisai Pharma AGは、設立以来、ヒューマンヘルスケア(hhc)企業哲学の

一環として、患者重視の非営利プロジェクトも実施しています。

エーザイは、立地、インフラ設備、熟練労働者の雇用可能性など、子会社設

立の重要条件を考慮した上で、スイスの事業拠点としてチューリッヒを選び

ました。同社のオフィスは、チューリッヒ空港から公共交通機関でわずか5分

の場所にあり、イギリスにある欧州本社や日本本社との行き来にも便利で

す。スイスの優れたインフラは、各市場でのサービスも容易にしています。

世界的に有名で質の高い教育機関が揃ったスイスには、経験豊かな人材も

豊富であり、同時に国外から赴任するスタッフにとっても魅力的です。

Eisai Pharma AGのカントリーマネージャーを務めるピロビーノ氏は、ス

イスの大きな特長として、顧客重視でサービス精神をもち合わせている行

政当局の姿勢を挙げています。3つの大陸に渡るさまざまな国での勤務経

験を持つ同氏は、行政当局との連絡の取りやすさ、明確で分り易い手続き、

迅速な意志決定を高く評価しています。また、必要な時は担当者に気軽に電

話で問い合わせることができます。さらに、国際企業が多いチューリッヒと

スイスには経験豊富なコンサルタントが揃っており、国際企業の設立と経営

に必要な専門知識とサービスを利用するのも簡単です。

Success Stories | 17

Fanuc FA Switzerland GmbH は、当初は米国の General Electric

Co. (GE) と日本のファナック株式会社の合弁事業である GE Fanuc

Automation Corporation の子会社として設立されました。GEは全世

界で約30万人の従業員を雇用する、世界屈指の規模と多様性を誇るテクノ

ロジー、製造、サービス企業です。一方、ファナックは工場オートメーションと

コンピュータ数値制御(Computer Numerical Control)技術において

50年以上の経験を持ったオートメーションのパイオニア企業です。

工場オートメーションで世界をリードする Fanuc GE は、産業界のニーズ

に対応するために、継続的な開発と卓越した製品信頼性に重点をおいてお

り、その業務は世界的な販売・サービスネットワークにより支援されていま

す。Fanuc FA Switzerland GmbHは、1988年にスイスの顧客に製品

とサービスを提供するために設立され、2004年に欧州組織再編の一環と

して社名と法人格を変更しました。現在は、ベルン州ビール/ビエンヌにある

新社屋を拠点に事業を展開しています。

Fanuc FA は、CNC装置とサービスをスイスの工作機械メーカーに提供

する OEM サプライヤーとして、高度に成熟したニッチな市場を対象に活

動し、CNC制御装置、モーター、駆動装置などの電子機器を工作機械メー

カーに販売しています。工作機械メーカーは、Fanuc GE の部品を自社製

機械に取り付けてプログラミングを行います。完成品の85パーセントが世

界中に輸出され、自動車、航空機、医療、時計製造などの幅広い産業で使わ

れています。

「現実的で協力的な行政当局と率直な関係を築いています」Fanuc FA スイス ゼネラルマネージャー欧州担当副社長 ピーター・バリマン氏

意志決定者にすばやく直接的なアクセスが可能

Presented by:

Facts.会社名:Fanuc FA Switzerland GmbH

部門:工場オートメーション

スイスでの事業:販売・サービス

日本での事業設立:1972年

スイスでの事業設立:1988年

スイスの従業員数: 24名

全世界の従業員数:4,894名

所在地:GGBa地区ベルン州ビール/ビエンヌ

Page 11: サクセスストーリー

18 | Success Stories

Fanuc FA では、スイスの顧客ニーズに対応するために製品販売部門、ア

プリケーション部門(技術サポート)、アフターサービス部門を設けていま

す。最近のビール/ビエンヌへの移転により、スイスの Fanuc GE 関連会

社4社が初めて一つの社屋に集まり、インフラ設備の共有とより密接な協力

体制で業務の効率化を実現しています。社屋の立地は顧客企業にも近く、

その80パーセントが80キロメートル圏内にあるため、敏速なサービスとサ

ポートの提供により、同社の製品が市場シェアの50パーセントを占めてい

ます。

スイスのオフィスは、製品と技術の両面で日本と密接な関係にあります。同

社の全製品を日本で開発、出荷し、必要に応じて顧客や開発エンジニアと直

接連絡をとり、CNC制御装置、電動機や電機部品などのカスタマイズされ

た提案を行っています。

Fanuc FA の従業員にとっては、ビール/ビエンヌはドイツ語とフランス語

が公用語であるため、スイス全土の顧客に対して円滑にサービスを提供で

きる拠点です。また、精密製造の専門知識を持つ従業員を採用するのも簡

単な立地です。同社では、従業員全員がビール/ビエンヌに住むスイス人ま

たは欧州人です。さらに、ビール/ビエンヌへの移転をベルン州が積極的に

支援し、経済的インセンティブを提供すると同時に、立地探しとさまざまな

許可の発行を含む行政手続の支援を行いました。同社は、現実的かつ協力

的な行政当局と、率直な関係を築いています。スイスの他都市と同様に、ビ

ール/ビエンヌも比較的小規模なため、意志決定者にすばやくかつ直接的な

アクセスが可能である事もこの地のメリットのひとつです。

Success Stories | 19

日本たばこ産業株式会社は、1985年に設立、東京に本社を置き、世界に向

けてたばこ製品の製造・販売・研究を行っています。グローバル・シガレット・

メーカーとして世界第3位の規模を誇る成長企業であり、世界市場シェア

11%を占め、世界の5大ブランドの内3ブランドを含むたばこを製造販売し

ています。また医薬事業においては、オリジナル新薬の研究開発・製造・販売

を行い、食品事業でも、飲料・加工食品・調味料の製造・販売を行っています。

JTI(Japan Tobacco International)は、日本たばこ産業の海外たばこ

事業を担い、グループの海外製品製造・マーケティング・販売等に従事して

います。1999年に日本たばこ産業は多国籍企業R.J.レノルズ(RJR)のた

ばこ事業を取得し、JTIを発足させ、さらに2007年にギャラハーグループ

を取得し拡大発展してきました。この発展を期に、1979年にジュネーブに

設立されたRJRの国際統括本部も吸収し、地域との密接な関係を継続して

きました。それはジュネーブでの事業を強化するために決断された、2013

年完成予定で1,000名以上の従業員が勤務する新社屋建設にも反映され

ています。同時に、ルツェルン州ダグマルゼレン工場では、2000年に比べ

500%の生産拡大を達成することができました。

JTIは60ヶ国に25,000名におよぶ従業員を有し、その製品は120か国で

販売されている真の多国籍企業です。この多様性はジュネーブやダグマル

ゼレンでもみられ、現在48ヶ国籍からなる1,000名以上の従業員を雇用

し、常務執行役員17名は12の異なる国籍で構成されています。

「海外での事業運営・拡大にとって、 国際基盤の整ったスイス・ジュネーブは素晴らしい環境を与えてくれます」企業戦略・事業開発 上級執行役員 フリッツ・フランケン氏

優れた国際的ビジネス環境

Presented by:

Facts.会社名:JTI (Japan Tobacco International)

部門:たばこ製品の海外製造・マーケティング・販売

スイスでの事業:国際統括本部

日本での事業設立:1985年

スイスでの事業設立:1999年

スイスの従業員数: 1,000名

全世界の従業員数:25,000名

所在地:GGBa地区ジュネーブ州ジュネーブ

ルツェルン州ダグマルゼレン

© Genève Tourisme

Page 12: サクセスストーリー

20 | Success Stories

スイスは安定した政治体制、安全性、国際的視野やビジネスの歴史から始

まり、欧州の中心である立地、また欧州や世界の主要都市とつながるジュネ

ーブ空港やチューリヒ、フランクフルトの空港に近く非常に利便性が高いな

ど、JTIにとって国際統括本部をスイスに置くことの利点は明確です。そし

て海外事業遂行のために重要である安全な財政インフラ、国や州の支援態

勢、他国との多くの租税条約があげられます。

またジュネーブは州も含めて、多国籍企業をしっかりと支える社会基盤が整

備されています。国際連合や赤十字など多くの国際機関が立地するスイス

では、人口の45%が180国籍におよぶ外国人であり、多言語多文化な環

境を形成しています。世界に通用する経験豊富な人材、優れたサプライヤ

ーや物流拠点、国際的な事業運営にとって便利なタイムゾーンも利点です。

世界ベスト3都市として評価されている質の高い生活は、従業員にとっては

勿論のこと、JTIにとっても世界の優秀な人々を採用することができるとい

う大変重要な意味をもっています。教育レベルの高いインターナショナルス

クール、レストラン、ショッピング、エンターテイメントや芸術、また山々に囲

まれたジュネーブでは多様なレジャーアクティビティの機会に恵まれ、生活

や仕事の両面にとって大変魅力的な場所といえるのです。

Success Stories | 21

Toray Membrane Europe AG (TMEu) は、世界中の21の国と地域で

事業を展開する世界有数の化学会社、東レ株式会社の子会社です。

TMEuは、1983年にRopur AGという社名で三井物産とKallenberg氏

の合弁事業として欧州、中東、アフリカで東レ膜製品を販売することを目的

に設立されました。その後、2003年に東レがRopur AGの持株比率を引

き上げて経営権を取得したのを受けて、2004年に社名をToray Mem-

brane Europe AGに変更しました。 現在は、 バーゼルラント州のミュン

ヒェンシュタインに本社を置き、欧州、中東、アフリカ全域に設営した7つの

ロ−カルオフィスと4つのディストリビューターを統轄しています。

革新的なアイデア、技術、製品を通じた価値創出による社会貢献という東レ

グループの経営理念をもとに、 東レは環境および水処理膜の製造で世界を

リードしています。 同社の革新的な製品は、経済的・物理的条件による水不

足や水質劣化が深刻な国々で水の需要を満たすのに貢献しています。 東レ

の最先端の水処理膜製品は、海水淡水化、下廃水処理、各種製造業に必要

な超純水製造に大きな威力を発揮しており、今や無くてはならぬ存在となっ

ています。これらの貢献が世界で広く認められ、”2008 United Nations

Humanitarian Award”を受賞しています。

「欧州内で相対的に低い税金、ヨーロッパ屈指の交通至便な立地、多言語に堪能な人材の 採用が容易、友好的で勤勉なスイス人気質、 生活しやすい環境等に日本企業は もっと注目して良いでしょう」Toray Membrane Europe AG, 社長 尾崎由雄氏

海外からの投資の受け入れ体制が整ったスイス

Presented by:

Facts.

スイス子会社:Toray Membrane Europe AG

事業:東レ膜製品及びその関連商品(薬品、圧力容器等)の欧州・中東・アフリカへの販売・技術サ-ヴィス

事業設立:1983年にRopur AGとして設立、2004年にToray Membrane Europe AGと社名変更、尾崎由雄氏社長就任

従業員数: 35名 所在地:バーゼル地方バーゼルラント準州ミュンヘンシュタイン

親会社:東レ株式会社

業種:化学

事業設立:1926年

従業員数連結ベース:38,500名

Page 13: サクセスストーリー

22 | Success Stories

欧州の中心部にあるスイスはTMEu本社にとり理想的な地理的条件を提供

しています。 販売・技術サービス地域である欧州、中東、アフリカ各市場へ

の効率的アクセスを考えるとスイス以外での本社設置は考えられません。

TMEuにとって、スイスは海外企業を対象としたハイレベルなマーケティン

グや、高品質な製品に見合った技術サービスチームを提供するための拠点

でもあります。 15ヶ国籍のメンバーから構成され、地域事業を運営するチ

ームにとってスタッフの多言語能力は非常に重要です。 各国でのビジネス

はその国の言語で行われ、中には5ヶ国語を流暢に話すスタッフも数人いま

す。 多言語に堪能なスタッフのコミュニケーション能力が、顧客との密接な

関係構築を可能にしています。 スイス人スタッフは教育レベルが高く、勤勉

で有能であり、意欲的に仕事に取り組み会社の成功を支えています。 彼ら

の貢献により、同社では、2004年以来売り上げが330パーセント以上も

増加しました。

スイスは、海外からの投資に対する受け入れ体制も整い、すでに多数の国際

企業がスイスに投資しています。 欧州内での税金の相対的な低さや、スイ

ス人の友好的気質(意外にもこの二つの事実はあまり知られていない)、そ

して快適な生活環境もこの地での拠点設立の魅力といえます。

TMEuグループ企業の唯一の日本人として同社を指揮する尾崎氏にとっ

て、スイスは最高のライフスタイルを提供する国です。 日本での学生時代

のように、冬はスキー、夏はハイキングを手軽に楽しめるのも魅力です。

Success Stories | 23

1999年に日本で創設されたエルピーダメモリ株式会社は、DRA M

(Dynamic Random Access Memory)シリコンチップの製造で世界

をリードしています。同社の設計、製造、販売事業は、ハイエンドサーバ、携

帯電話、消費者向けデジタル電子機器を含む幅広い用途に対応する先端

技術と専門知識によって支えられています。Elpida Memory (Europe)

Sarlは、顧客との関係強化と現地のチップセットおよびフラッシュメモリメ

ーカーとの提携によって欧州事業を拡充するため、2008年にジュネーブ

州グランランシーに設立されました。同社では、半導体の販売、技術サポー

ト、アフターサービスを実施し、エルピーダの最先端のシステム設計と解析

技術を生かしたデザイン活動を推進する「システムテクノロジーラボ」を運

営しています。

携帯電話や消費者向け電子機器で使われているDRAMは、PC向けチップ

セットとは異なり、用途に合わせてカスタマイズされています。その結果、顧

客企業の製品に特有の機能を提供できるようになります。設計段階が1年に

満たないため、DRAMチップの設計と販売ではカスタマーサポートが非常

に重要です。エルピーダは、スイスでの新会社設立にあたり、欧州の顧客へ

の質の高いセールス・サービスサポートを迅速に提供することを重視しまし

た。また、それまで別の場所で行っていた本社業務と技術サポート業務を統

合しました。欧州の中心というジュネーブの立地と、州内およびその周辺、さ

らに車で2~3時間のグルノーブルやミラノなどに数社の顧客企業がある

という好条件は、事業効率化に欠かせない重要な要因でした。

「州政府は貴重なアドバイスを提供し、新会社設立をスムーズにするための協力を惜しみませんでした」

Elpida Memory (Europe) Sarl 社長 古澤明彦氏

投資誘致に積極的な国

Presented by:

Toray RO Element

Toray MBR Module

Facts.会社名:Elpida Memory (Europe) Sarl

部門:マイクロ技術

スイスでの事業:欧州向け販売

日本での事業設立:1999年

スイスでの事業設立:2008年

スイスの従業員数: 10名

全世界の従業員数:3,477名

所在地:GGBa地区ジュネーブ州グランランシー

Page 14: サクセスストーリー

24 | Success Stories

エルピーダは、新会社設立と同時に、日本から呼び寄せたエンジニアが勤務

する「システムテクノロジーラボ」をジュネーブに開設しました。このラボは

最新の解析測定システムを備え、顧客の設計を支援し、基板レイアウトと使

用ルーチンのシミュレーションを実施し、ノイズと熱問題のフィードバックな

どを提供しています。欧州でこのようなサービスを提供する唯一のDRAM

サプライヤーであるエルピーダは、同ラボの設置により、自社DRAM製品と

顧客システムの互換性を保証するための技術リソースを活用できます。さら

に、このラボが市場競争力強化にもつながっています。

投資誘致に熱心なジュネーブ州政府が、エルピーダによるジュネーブでの会

社新設を奨励して支援しました。同政府は、当初よりエルピーダを積極的に

援助し、貴重なアドバイスを提供して、新会社設立をスムーズにするための

協力を惜しみませんでした。また、移転、立地探しなどを支援するサービス

も紹介しました。エルピーダにとって、同州の法人税が欧州他国よりも安い

ことも有利な条件でした。

教育水準が高く熟練労働者が豊富なスイスは、欧州全体での業務効率化を

保証する多言語に堪能なカスタマーサポートスタッフの採用に理想的です。

さらに、スイスがもたらした予想外のメリットとして、航空運賃の安さが挙げ

られます。近くの空港から格安航空会社を利用できるため、欧州全体の都市

でのカスタマーサポート提供はもちろん、米国や日本での経営者会議への

出席も簡単です。エルピーダは、この好条件を利用して、欧州の顧客に柔軟

でグローバルな技術サポートを提供しています。

Success Stories | 25

積水化学工業株式会社は、プラスチックと自動射出成型製品の製造企業と

して、1947年に大阪で設立されました。以来、プラスチック、高分子科学、

セラミック、電子、医療技術とバイオテクノロジー、化学薬品、建設および工

業資材の分野における草分け企業として事業活動を続けています。また、

日本では、モジュラー住宅とアパートの大手メーカーとしても知られていま

す。積水化学の子会社であるSekisui Alveoは、1971年にポリオレフィン

フォームの開発と製造を専門とするAlveo AGとして創設されました。ポリ

オレフィンフォームは、粘着テープ、好感触自動車内装材、建設産業向け充

填剤や断熱材のほか、スーツケース、ヘルメット、靴などの消費材など、さま

ざまな産業で幅広い用途に使われています。

Alveo AGの設立後間もなく、同社は欧州で信頼できるパートナーを探し

ていた積水化学との協力を開始しました。多数の共同プロジェクトを成功

させた後、両社は関係をさらに強化することで合意しました。1973年に

は、Alveo AGが積水化学の100%出資子会社になり、欧州の主要生産施

設を積水化学に提供すると同時に、同社のグローバルネットワークの基盤を

固めました。現在、Sekisui Alveo AGは、同社の欧州本社、製造施設、高

度なカスタマーサービスとサポートを提供するアプリケーションサービス研

究所を擁しています。

「私たちの役割は、専門知識と品質意識を活かして効率的な成果をあげる支援のために、お客様と従業員からの質問やアイデアを集約する拠点になることです」Sekisui Alveo 最高経営責任者(CEO)イゴール・アリンクス氏

欧州の中心という立地が顧客との強い関係を促進

Elpida Memory (Europe) Sarl

社長 古澤明彦氏

「システムテクノロジーラボ」にて

Presented by:

Facts.会社名:Sekisui Alveo AG

部門:プラスチック工学

スイスでの事業:欧州本社、アプリケーションサービス研究所

日本での事業設立:1947年

スイスでの事業設立:1973年

スイスの従業員数: 40名

全世界の従業員数:19,742名

所在地:ルツェルン州ルツェルン

Page 15: サクセスストーリー

26 | Success Stories

Sekisui Alveo AGが欧州で成功した重要な理由のひとつに、ルツェルン

にある本社の立地の良さがあります。欧州の主要な顧客と近距離にあるこ

とが密接な協力関係を促進し、各市場において直接地域レベルの情報交換

を可能にしています。このような関係を基に、ポリオレフィンフォームの専門

家は顧客サービスを最適化することができます。さらに、欧州の中心という

立地により、経営陣とスイス以外の国にある企業との調整が容易になりま

す。 Sekisui AlveoのCEO、イゴール・アリンクス氏は、次のように語って

います。「私たちの役割は専門知識と品質意識を活かして効率的な成果を

あげる支援のために、お客様と従業員からの質問やアイデアを集約する拠

点になることです。」

日本の親会社も、このサービス概念のメリットを享受しています。現地の従

業員は欧州市場の知識が豊富で、顧客ごとに特有の要望を完全に理解して

おり、密接に協力し合い効果的な提案を展開しています。Sekisui Alveo

AGは、質の高い製品、技術、コンサルティングに加え、それらの包括的なサ

ービスをルツェルンのアプリケーションサービス研究所で提供しています。

本社からわずか20分の場所にある当研究所では、専門家チームが材料加

工の分析と現実性を調査し、実行可能性調査を実施し、新規アプリケーショ

ンをテストし、顧客向けの試作品を製作します。結果として、経営陣、開発エ

ンジニア、セールススタッフが密接に連絡を取り、顧客に最適な提案を実現

しています。

現在ではSekisui Alveo AGは欧州屈指のポリオレフィンフォーム製造企

業であり、約420名の従業員を雇用しています。ルツェルンに本社を置く同

社は、積水化学のグローバルネットワークの重要な事業拠点になっています。

Success Stories | 27

Mycom Intertec AGは、東京に本社を置く株式会社前川製作所(Mycom)

のスイス事業所です。 1924年に設立されたMycomは、冷却・凍結機器用

圧縮機を他社に先駆けて製造した日本企業です。この民間企業は、以来85

年間にわたり発展を続け、世界屈指の大規模な冷蔵機器メーカーに成長し

ました。また、圧縮機関連製品およびシステムの技術開発と商品化において

も業界をリードしています。

Mycomは、豊富な専門技術を生かし、冷却、食品加工、ロボット、オートメー

ション分野における産業用大型装置の有力メーカーになりました。日本企業

としていち早く海外進出を遂げた実績を持つ同社は、創設者を父に持つ前

川正雄会長みずからの指揮のもと、2004年にスイス事業所を開設しました。

スイスへの移転は、新たなビジネスとライフスタイルの2つの機会を前川氏

にもたらしました。スイスに身を置くことで、企業トップの意志決定者との意

志の疎通がスピーディになり、Mycomの品質に対する理解と認識を得ると

同時に、Mycomならではのユニークなソリューションと完全なシステムを

販売できます。同社の専門技術の一例として、大型ハドロン衝突型加速器で

使用するためにCERN(欧州原子核研究機構)に納入した世界最大の 2段

式複合ヘリウム圧縮機が挙げられます。

「欧州では革新性が重視されます。革新的で質の高い製品を擁する日本企業にとって、スイスは欧州市場参入に理想的な基盤になるはずです」株式会社前川製作所 名誉会長 前川正雄氏

革新性を重視するビジネス環境

Presented by:

Facts.会社名:Mycom Intertec AG Europe

部門:機械

スイスでの事業:流通・販売

日本での事業設立:1924年

スイスでの事業設立:2004年

スイスの従業員数: 11名

全世界の従業員数:2,750名

所在地:大チューリッヒ圏ツーク州ツーク

Sekisui Alveoのアプリケーション

サービス研究所では、フォームの

連続生産を開始する前に、厳密な

耐久性試験を実施しています。

Page 16: サクセスストーリー

28 | Success Stories

欧州での事業設立を考えた時、スイスはMycomにとって自然な選択でし

た。スイスには世界の一流企業が集まっており、多数の欧州本社とグローバ

ル本社があります。また、スイスの企業経営陣は、Mycomが関心を持つ大

型投資の決定権を持っています。さらにスイスには、市場参入に必要な専門

知識とスキルも揃っています。4つの公用語に加え、ビジネスでは英語が一

般的に使われているため、コンサルタントを探すのも、欧州全体で調査やプ

レゼンテーションを実施するのも簡単です。

スイスと日本には共通点が多く、スイスでの事業設立も運営も順調に進ん

できたと前川氏は言います。率直な人間関係、勤勉な人々、和やかな職場の

雰囲気に加え、高度な技能を持つスタッフを利用できるというメリットもあ

ります。日本語に堪能な若者も多いため、日本人スタッフにとってのスイス

国内、さらには欧州全体での共同作業やコミュニケーションも簡単です。労

働法が柔軟で、全国的な労働ストライキがないことも、スイスのインフラの

信頼性の高さ、そして国内と欧州全体での輸送の容易さに貢献しています。

前川氏は、プライベートな時間にはスイスのライフスタイルとアウトドアを

満喫しています。ツーク州全体が広々とした庭のようで、愛犬ハチの散歩が

きっかけで近所の人々とも親しくなりました。ツークからわずか1時間で行

ける世界一流のコースに魅せられ、しばらく遠ざかっていたスキーも再開し

ました。

Success Stories | 29

1939年設立、東京に本社を置く並木精密宝石(株)は、特殊素材とコア技術

である「切る・削る・磨く」を進化させ、先端技術との融合により通信・半導体

分野の精密部品と医療用製品を供給する世界的リーダーです。長年にわた

る製造プロセスの技術・研究開発への熱心な取り組みによって生み出され

た独自の素材と製品により、常に最先端を走り続けています。

並木は設立以来、スイスとは深い関わりを持ち続けています。製造機器をス

イスから輸入することで、宝石機器メーカーとしても礎を築くことができま

した。最初の国内工場である秋田工場は、スイス流ワークライフバランスを

導入することにより、多くの熟練技術者をひきつけることができました。今

日でも秋田工場は、並木の中核的存在となっています。

並木は、さらなる発展のための環境構築を求めて欧州の顧客に近い拠点を

設けることを検討し同時にナノテクノロジーを含む成長分野での研究開発

パートナーを探していました。いくつかの候補地を検討後、欧州市場にとっ

て最適な拠点としてGGBa地区(Greater Geneva Berne area)のヴォー

州ローザンヌに決定しました。

スイスが欧州の中心であることなど、スイスがもたらす多くの利点の他に

も、ローザンヌは特別な魅力を持ち合わせています。その中でも特に並木に

とって重要だったことは、Ecole Polytechnique Federale de Lausanne

キャンパス内にあるPSE(Parc Scientifique de EPFL)施設内に必要に応

じて柔軟に拡張できるオフィススペースを確保できたことでした。

「R&Dのための新しい協力関係やテクノロジー・インキュベータ・モデルとしての将来性ある顧客と直接につながることができるなど、スイスに本拠地があることにより、製品ラインと市場双方の発展にとって新しいチャンスを得ることができます」

Namiki Precision of Europe SA 代表取締役 下田洋一氏

革新と発展のチャンスを得て

Presented by:

Facts.会社名:Namiki Precision of Europe SA

部門:先進素材及び精密機器製造

スイスでの事業:欧州本社

日本での事業設立:1939年

スイスでの事業設立:2009年

スイスの従業員数: 4名

全世界の従業員数:2,000名

所在地:GGBa地区ヴォー州ローザンヌ

Page 17: サクセスストーリー

30 | Success Stories

PSEは科学研究開発を立ち上げるためのインキュベータであり、世界レベ

ルの共同研究の機会や新製品のために汎ヨーロッパのエンドユーザーとの

密接な関係を得ることを可能にしてくれます。テクノロジー・インキュベー

タ・モデルは物理的・法的にも並木の新会社設立を容易にし、研究開発やサ

プライヤーのネットワークへの参入を行い、同社はその後すぐにEPFLとの

共同開発契約を締結しました。GGBa地区での医療技術分野における優秀

な企業群は、それぞれが重要な役目を果たし同社の最先端技術やマイクロ

モーター、ポンプなどの製品を次世代医療機器へ導入するなど、さらに市場

を広げることになりました。

並木の欧州でのさらなる飛躍のためにも、スイスは様々な恩恵をもたらすこ

とができます。ジュネーブ空港から40分という欧州市場への容易なアクセ

スや、またJSFTEPA(日本・スイス自由貿易・経済連携協定)により、低関税

率や投資、人の移動などの合意が行われ、さらに魅力が増大しました。

研究開発に力を注ぐ並木にとって、今回の共同開発契約は同社の研究開発

部門に大いなる価値を見出しています。ローザンヌでの研究開発の新しい

アプローチとエンドユーザーとの緊密な関係を通して行う高付加価値製品

やアプリケーションの開発は、日本での新技術や製品開発への取り組みを

も広げています。そして、それは並木の更なる世界的発展へと導くことへつ

ながることでしょう。

Success Stories | 31

モンベルは、辰野勇氏と2人の山仲間、真崎文明氏、増尾幸子氏によ1975

年に設立されました。辰野氏がモンベル創設を思いついたのは、1969年

に有名なアイガー北壁を登っていた時のことでした。当時の登山服と道具

が、過酷な条件に耐えうるものではなかったのです。そこで辰野氏は、どん

な条件下でも快適で軽いアウトドアウェアと道具を作ることを決心しまし

た。こうしてモンベルが誕生し、ベルン州にあるグリンデルヴァルトとの密接

な関係が始まりました。

モンベルは当初、日本独自の「機能美」を登山用具に取り入れ、さらにこのコ

ンセプトを幅広いアウトドア用品に拡大しました。現在は、日本国内で60店

以上、米国で1店の小売店を経営しています。2005年には、設立30周年

を記念して、モンベル創設の原点であるアイガー山麓の町、グリンデルヴァ

ルトに欧州初の店舗を開店しました。

スイスのモンベルのストーリーは、山を愛する共通の心から生まれました。

スイス・ベルンアルプスの山麓にあるグリンデルヴァルトは、アルプス登山文

化発祥の地のひとつに数えられ、登山ガイドの拠点になっています。さらに、

観光客、登山家、ハイキングを楽しむ人々にとってのアルプスへの入り口で

もあります。辰野氏はグリンデルヴァルトを定期的に訪れており、町の中心

部にある絶好の店舗用地を見つけた地元の観光協会がモンベルを誘致しま

した。

「スイス人は一緒に働きやすい人々です。同じ考えを共有し、完璧主義でもあるため、明確な目標を与えれば必ず達成してくれます」Mont-Bell (Suisse) SAマネージャー 金岡由美氏

山を愛する心を分かち合う

Presented by:

f1.5mm micro-motor Facts.会社名:Mont-Bell (Suisse) SA

部門:アウトドア用品

スイスでの事業:小売店舗

日本での事業設立:1975年

スイスでの事業設立:2005年

スイスの従業員数: 6名

全世界の従業員数:500名

所在地:GGBa地区ベルン州グリンデルヴァルト

Page 18: サクセスストーリー

32 | Success Stories

この店舗は、モンベルとグリンデルヴァルトのさまざまな協力の成果といえ

ます。また、東京在住のスイス人弁護士が、スイスでの会社設立を支援しま

した。モンベルは、ゆっくりと着実に市場知識と経験を積み重ねながら、段階

的なアプローチによってスイス市場と欧州市場への参入を行いました。店

舗が掲げた目標は、登山とハイキングに必要なものすべて、そして観光客向

けの幅広い服をお客様に提供することでした。

マネージャーを務める金岡由美氏にとって、1年目が最大の難関でした。現

地の需要に合わせた商品とサイズ構成を見極めながら、店の知名度を上げ

ることが求められました。インターネット経由でバックオフィスサポートを提

供する大阪本社と密接に協力しながら、米国モンベルからサイズの大きい

製品を取り寄せるなどの方法で、問題をひとつずつ解決していきました。こ

のアプローチが成功し、その後に新店舗を開店するための基盤も整いまし

た。モンベルの知名度も向上しました。欧州全体の多くの店がその特徴を認

識し、モンベル製品の販売に興味を示しています。

金岡氏は「スイス人は一緒に働きやすい人々と感じています。それは、同じ

考えを共有し、完璧主義でもあるため、明確な目標を与えれば、必ず達成し

てくれるからです。店で働く現地スタッフを探すのも難しくありませんでし

た。」登山愛好家でもある金岡氏は、山麓に住んで働き、職場に歩いて通う

生活に大いに満足しています。

Success Stories | 33

Eizo Nanao AGは、高画質ビジュアルディスプレイシステムで世界をリー

ドするEIZOナナオグループの一部です。石川県白山市に本社を置くEIZO

ナナオは、ディスプレイモニターと周辺機器、エンターテイメント向けモニ

ター、画像化システムソフトウェアの設計、開発、製造、販売を行っていま

す。従業員の3分の1以上が研究・開発に従事する同社では、質の高い技術

と最先端のソフトウェアを統合したモニターとディスプレイシステムを製造

し、その製品は高い精度と信頼性が求められる環境で使われています。20

か国を超える国々で事業を展開するEIZOナナオは、現地での販売とサービ

スを強化するため、2005年にチューリッヒ州ヴェーデンスヴィールにスイ

ス子会社を設立しました。

高い生活水準と技術革新において長い歴史を持つスイスでは、高品質な製

品に対する眼識と需要が定着しています。そのため、スイス市場はEIZOに

とって非常に需要です。日本と同様に、スイス市場で成功した製品は、ヨーロ

ッパ全体はもとより、全世界で認められることになります。

1985年から2005年までは、現地の代理店がEIZOディスプレイの販売と

アフターサービスを担当していました。代理店創設者でもある社長の引退

希望を機に、EIZOナナオはスイス市場を再評価し、代理店の販売事業を買

収して、スイス市場での販売活動と管理を強化しました。

「顧客と密接に関りあうことにより、新たなニーズを把握して、研究・開発部門に反映させることができます」

Eizo Nanao AG 最高経営責任者(CEO) 荒田邦裕氏

共通点が多いスイスと日本のビジネス文化

Presented by:

Facts.会社名:Eizo Nanao AG

部門:ディスプレイモニター

スイスでの事業:マーケティング・販売

日本での事業設立:1968年

スイスでの事業設立:2005年

スイスの従業員数: 15名

全世界の従業員数:1,389名

所在地:大チューリッヒ圏チューリッヒ州ヴェーデンスヴィール

Page 19: サクセスストーリー

34 | Success Stories

EIZOは、子会社新設と同時に、一般市場向け販売からコンサルティングと

サービスを中心としたビジネスモデルへと焦点を移しました。その基盤に

は、顧客およびユーザーとの直接的な関係があります。また、EIZO製品が

メリットを提供する4つの垂直市場区分に注力しました。具体的には、取引フ

ロアやコントロールセンターで使用する金融取引用モニター、航空および

道路・トンネル交通管制センター向けモニター、フィルムレス環境への移行

を進めている放射線科を中心とした医療用モニター、そしてグラフィックス

市場向けのカラーマネジメント用モニターです。いずれの市場も安定して

おり、EIZOのテクノロジーと5年間の製品保証が競争力を発揮します。さら

に、顧客と密接に関りあうことにより、現在のニーズを満たすと同時に、新た

なニーズを把握して、研究・開発部門に反映させることができます。

EIZOでは、スイスに進出して間もなく、日本とスイスにはビジネスへの取り

組みにおける共通点が多いことに気づきました。スイス人は伝統的に勤勉

で責任感が強く、非常に信頼できます。キャリア目標の達成に向けて努力す

るため、キャリアパスの設定を重視します。また、開放的で友好的な国民性

が新事業の設置と運営を助け、地域社会にも簡単に溶け込むことができま

す。日本人スタッフは、スイスに到着した翌日に仕事を開始でき、仕事のやり

方やビジネス文化の違いに戸惑うこともありません。

さらにスイスでは、最高のライフスタイルを楽しめます。平日は東京と同じ

ように仕事をこなし、週末は長野のように30分圏内で山登り、ゴルフなどの

アクティビティを満喫できます。Eizo Nanao AGのCEO 荒田邦裕氏は、

「スイスの住み心地を聞かれたら、120%満足と答えています」と語ってい

ます。

Success Stories | 35

ユニオンツール株式会社は、1960年に新潟県長岡市で設立されました。

その後、PCB(プリント基板)産業向けマイクロドリルとルーター、金型・鋳型

製造産業向けの革新的な高精度エンドミル、そして高精度リニアモーション

ガイド製造のパイオニア企業としての地位を確立し、製品と生産装置の設

計、開発、製造に従事しています。現在ではPCBドリルで世界的に37パー

セントのシェアを誇っています。

ユニオンツールは、PCB製品の販売機会を欧州市場に見出し、1986年に

販売・サービス専門の全額出資子会社をスイスに創設しました。続く1987

年には、スイスの時計製造産業の中心地であるヌーシャテル州の現所在地

に移転しました。2001年にエレクトロニクス産業が世界的な需要低下の

打撃を受けるまでは、PCB関連製品が同社事業の99パーセントを占めて

いました。ユニオンツールは、この大幅な需要低下に対応すべく、金型・鋳型

製造用エンドミルを欧州市場に投入しました。以来、エンドミル製品は成長

を続け、現在では同社の全事業の40パーセントを占めています。さらに同

社では、航空宇宙、医療、エレクトロニクス、時計製造などの産業で新市場を

開拓するための取り組みを続けています。

ユニオンツールは、欧州各国に製品ライン別の販売業者を擁しています。ド

イツ、イタリア、フランス、スイスの市場を中心に活動する同社にとって、ス

イスは各国の販売業者へのサービス提供に理想的な立地です。また、販売

業者だけでなく、複雑な技術要件を持つ大規模な顧客にも直接対応してい

ます。

「スイス人はとても寛容で調和的であり、お互いの言語と文化を尊重しています。当地赴任後でもすぐにスイス人の仕事意識に慣れることができるでしょう」Union Tool Europe SA 社長 クリス・セール氏

スタッフの質の高さが大きなメリット

Presented by:

Facts.会社名:Union Tool Europe SA

部門:精密製造機械

スイスでの事業:欧州での販売・テクニカルサービス

日本での事業設立:1960年

スイスでの事業設立:1986年

スイスの従業員数: 10名

全世界の従業員数:1,511名

所在地:GGBa地区ヌーシャテル州ヌーシャテル

Page 20: サクセスストーリー

36 | Success Stories

スイスがユニオンツールにもたらす主なメリットとして、スタッフの質、技能

と労働モラルの高さが挙げられます。ヌーシャテルのスタッフは多国語に対

応し、全員が少なくとも2~3か国語を話します。10人のスタッフの国籍は

5か国にわたり、7か国語の使用が可能なため、販売先の国々での産業特有

のニーズやビジネス文化を容易に理解できます。他の欧州諸国に比べて賃

金は高めですが、高技能で能率的なスタッフには支払い金額に見合った価

値があります。

スタッフの優秀さは、750万の総人口のうち100万人以上を外国人が占

める、多様性に富むスイス社会の産物と言えます。スイス人は非常に寛容で

調和的であり、お互いの言語と文化を尊重しています。当地赴任後はすぐに

効率、勤勉さ、計画性を重視するスイス人の仕事意識に慣れることができま

す。また、ユニオンツールのスタッフの離職率は非常に低く、スイスの失業

率も低くありながら、有能なスタッフの雇用にも苦労しません。工学技術の

知識と経験を持つ技術系スタッフの豊富さも、ヌーシャテルの特長のひとつ

です。

事業立地選定当初は、スイスの有利な税制も決め手になりました。ユニオン

ツールは国内投資者および雇用創出・製品製造企業と見なされ、スイス企

業との競争もないため、設立後10年間は優遇税制を受けることができまし

た。この優遇期間が終了した現在でも、スイスの法人税の低さは非常に有

利な条件となっています。

生活面では、自然に囲まれた環境で質の高い暮らしを楽しめるほか、小都市

ヌーシャテルでは短時間で通勤が可能です。中には職場のすぐ近くに住ん

でいるため、昼休みは車で自宅に戻り、家族と昼食を楽しむスタッフもいま

す。

Success Stories | 37

「政治、経済、ビジネスと、周辺環境が安定しているので、長年多くの国際機関、多国籍企業がスイスを本拠地に選んでいます」Daniel Küngスイス 貿易投資振興会 CEO ダニエル・キュング

サクセスストーリー 「多国籍企業」

Presented by:

Page 21: サクセスストーリー

Success Stories | 41

Google Zurich は、米国カリフォルニア州のインターネット企業、Google

Inc.の欧州研究本部です。当時スタンフォード大学院生だったラリー・ペイ

ジ氏とセルゲイ・ブリン氏が 1998 年に設立した Google は、画期的なイ

ンターネット検索エンジン技術を発展させ、インターネットを通じた情報活

用に革新をもたらしました。現在では全世界の主要市場をリードするインタ

ーネット企業として知られています。Googleの革新的な検索テクノロジー

は、世界中の膨大な数の人々と情報を結び付け、google.com は世界屈指

の検索エンジンとして広く認識されています。

Googleは、広告、コンテンツ配信やサイト管理などの顧客企業を擁し、広

告サービス、そして収益を創出する幅広い検索サービスを提供していま

す。Googleの的を絞った広告プログラムは、あらゆる規模のビジネスに明

白な成果をもたらすと同時に、ユーザーにとっての総合的なインターネット

体験を向上させています。Google は、全世界に 60 以上のオフィスとエン

ジニアリングセンターを設置しており、Google Zurich は欧州、中東、アフ

リカ地区の研究本部として機能しています。

Googleは、スイスで訓練を受けたエンジニアでもある初代エンジニアリン

グ担当副社長ウルス・ヘルツル氏の提案により、2004年にチューリッヒオ

フィスを開設しました。ヘルツル氏はスイスの大学の質の高さを十分に認識

しており、この特長は学界との密接な関係を通じて革新と成長を促進する

Googleの哲学と一致していました。

「最先端のテクノロジーに関与するスイスの学界や教授陣との協力は、Googleにとって重要です。スイスの大学は世界一流です」Google EMEA, (欧州、中東、アフリカ地区) エンジニアリングコミュニケーションズ責任者 マシアス・グラフ氏

欧州の中心で最先端のテクノロジーを実現

Facts.会社名:Google Zurich

部門:情報テクノロジー

スイスでの事業:欧州研究本部

米国での事業設立:1988年

スイスでの事業設立:2004年

スイスの従業員数: 450名

全世界の従業員数:20,000名以上

所在地:大チューリッヒ圏チューリッヒ州チューリッヒ

EXCELLENCEIN THE HEART OF EUROPE

スイス・ラーニングは、世界中から生徒が集まる

スイスの名門ボーディング・スクール(寄宿学校)

とホテル学校のグループです。

スイスが生んだルソー、ペスタロッチ、ピアジェ

などの偉大な思想家たちは、スイスの教育の基

礎を築いてきました。そして、彼らの思想は世界

中の至るところで深く浸透しています。知育のみ

ならず、躾や個性を重視した全人教育は、スイス

の教育の伝統の礎となり、今日に至るまで受け

継がれてきています。

スイス・ラーニング日本事務局は、日本の皆様に

スイスの教育の伝統を守り続ける名門ボーディ

ング・スクールを様々な形でご紹介しています。

毎年秋には、スイスから加盟校の先生方が来日

し、留学ワークショップや、卒業生の合同同窓会

を開催しています。

また、スイス留学を検討している方には、スイス

大使館内にて予約制の個人カウンセリングを行

なっておりますので、お気軽にご相談ください。

スイス・ラーニング日本事務局〒106-8589 東京都港区南麻布5-9-12スイス大使館 スイス・ビジネス・ハブ

留学アドバイザー 飯沼由紀子Tel: 03-5449-8400(代表) 03-5449-8433(直通)Fax: 03-3473-6090

[email protected]

www.swisslearning.com

Page 22: サクセスストーリー

42 | Success Stories

わずか2人でスタートしたチューリッヒオフィスは、その業績が全社的に認め

られて大型プロジェクトを担うようになり、急速に拡大しました。その結果、

より広い建物への移転が必要になり、続いて欧州、中東、アフリカ地区の研

究本部をチューリッヒに置くことが決まりました。現在、同本部は米国外で最

大のGoogleエンジニアリング部門であり、450 人のスタッフが Google

検索アルゴリズム、 Google Map や Google Earth などの地理情報製

品、YouTube ビデオアプリケーション、 Gmail の開発に従事しています。

エンジニアリングを事業基盤とするGoogleにとって、学界との協力は非常

に重要です。Googleは、優秀な人材の採用だけでなく、共同研究を通じた

テクノロジーの推進においてもスイスの大学と密接に協力しており、大学院

生の講義と支援を行っています。また、スイスと欧州全体を結ぶ交通機関へ

のアクセスも重要な要素です。現地の行政当局とも良好でスムーズな協力

関係を維持しています。

チューリッヒの大きな特長である生活の質の高さは、当地へのスタッフの移

転と他国からのスペシャリストの誘致に非常に有利です。Googleがある街

の中心部は安全で洗練されており、アウトドア活動やレクリエーションを近

郊で簡単に楽しめ、インフラも整備されています。このように恵まれた職場

環境が、Googleの成長に貢献しています。チューリッヒを初めて訪れる多

くの人々が、気候の良さ、公共交通機関とインフラの充実ぶりに驚きます。

また、Googleのスタッフの多くは自転車で通勤しています。子供たちがイ

ンターナショナルスクールに簡単に入学できるのも大きな魅力です。

常にテクノロジーの最先端で活動するGoogleのような革新企業に対し、

スイスは欧州、そして全世界での繁栄と成長に欠かせない質の高い環境を

提供しています。

Success Stories | 43

ビスケットの「オレオ」や「LU」、クリームチーズの「フィラデルフィア」、コー

ヒーの「ジェイコブス」や「カルテ・ノワール」、そしてチョコレートの「ミルカ」

「コートドール」「トブラローネ」といったブランドをはじめ、多彩な家庭食品

を製造販売するクラフトフーズは、食料品・飲料業界で世界第2位の規模を

誇るグローバル企業です。

その欧州事業拠点、クラフトフーズヨーロッパは、この数年、ビジネスモデル

の大改革を進めています。従来の国別組織体制は、全欧州市場を見渡した

カテゴリー別(「コーヒー」「チーズ・加工食品」「チョコレート・ビスケット」な

ど)事業体制へと移行し、この流れに沿って、各国に分散していた経営機能

はスイス、チューリッヒに集められつつあります。

クラフトフーズにとって欧州の経営機能とカテゴリー別事業をチューリッヒ

に集結させたことは非常に有意義でした。現在、現地採用スタッフと50カ国

におよぶ多国籍スタッフからなる総勢約600名の従業員がチューリッヒ郊

外に建てられた新社屋に勤務しています。チューリッヒ空港まで15分ほど

の距離のため、欧州の主要都市にすばやく移動できるほか、海外から訪れる

マネージャーや担当者の移動も大して時間を要しません。

「チューリッヒは生活環境がいいので、 人材がすぐに集まります」

チューリッヒで毎日をおいしく

Presented by:

Facts.会社名:Kraft Foods Inc.

部門:食品

スイスでの事業:欧州事業統合拠点(2007年設立)スイス事業拠点

米国での事業設立:1883年

スイスでの事業設立:2007年

スイスの従業員数: 600名

全世界の従業員数:100,000名

所在地:大チューリッヒ圏チューリッヒ州チューリッヒ

Page 23: サクセスストーリー

44 | Success Stories

チューリッヒは優れた商環境と多国籍文化を持つばかりでなく、国際性も豊

かです。そのためさまざまな国から来ているクラフトの欧州従業員にとって

馴染みやすい土地柄といえます。国際都市での洗練された暮らし、ショッピ

ング、レストラン、美術館や博物館といった生活の愉しみ、街をとりまく大自

然など、多彩な魅力を多く備えています。数ヶ国語で授業を行うインターナ

ショナルスクールや現地校といった教育環境も整い、医療施設、交通手段も

充実しています。こうした生活環境の良さが同社の円滑な人事採用や人事

異動に一役買っているといえるでしょう。

Success Stories | 45

Johnson & Johnson は、殺菌済み外科用包帯を生産し患者の命を救う

ために、ジョンソン三兄弟が米国ニュージャージー州で創設した企業です。

以来120年間にわたり、応急処置キット、ベビーパウダー、使い捨てコンタク

トレンズから最小侵襲手術や画期的な医薬品まで、人命を救い人々の生活

の質を向上させるためのアイデアを数多く生み出してきました。さらに同社

は、吸収合併と新会社設立を通じて世界最大の総合ヘルスケア製品製造企

業に成長し、コンシューマー、製薬、医療機器および診断の3つの部門で幅

広く活動しています。

Johnson & Johnson は、1991年以来、 GGBa(Greater Geneva

Berne area)にあるヌーシャテル州のル・ロックルとヌーシャテルで活発に

事業を展開してきました。同社のル・ロックル/ヌーシャテル・キャンパスに

は、Johnson & Johnson Neuchâtel 傘下の研究開発および製造企

業11社があります。これらすべての子会社が、神経外科学、整形外科学、脊

椎学、婦人科学、スポーツ医学、肥満学、創傷管理などの分野において革新

的な埋め込み型医療機器の開発、製造、販売に従事しています。主要製品と

して、水頭症治療用の調節式バルブ、外傷用インプラント、脊椎インプラン

ト、TVTインプラント、創傷管理用製品、埋め込み型薬物送達システム、埋

め込み型アンカーシステム、調節式胃バンドなどが挙げられます。

「GGBa地域、そしてスイスの大きな特長は、最先端の医療機器開発に必要なパートナーがすべて揃っているということです」Johnson & Johnson Neuchâtel ゼネラルマネージャー アンドレ・ヘンメリー氏

世界で認められた医療専門技術の中心地

Presented by:

Facts.会社名:Johnson & JohnsonNeuchâtel (Medos International Sàrl)

部門:医療機器

スイスでの事業:研究開発、製造、販売

米国での事業設立:1986年

スイスでの事業設立:1991年

スイスの従業員数: 1,250名

全世界の従業員数:120,000名

所在地:GGBa地区ヌーシャテル州ル・ロックルヌーシャテル

Page 24: サクセスストーリー

46 | Success Stories

同社では、キャンパス構造を活用して財務、人事、品質管理、安全対策、情報

管理、様々な企業へのロジスティックサービスなどの共通サービス機能を果

たしています。ヌーシャテルは、Johnson & Johnsonに数多くのメリット

を提供しています。GGBa地区は欧州の中心にあるだけでなく、世界で認め

られた医療技術の中心地です。当地は、時計製造産業の研究・高精度技術で

古くから知られ、多数の企業がオートメーションとマイクロ・ナノテクノロジ

ーの分野で高度な専門技術を獲得しています。いずれも、医療技術産業に

欠かせない重要な要素です。

このように高度な専門技術、熟練者の豊富な労働力、そして有利な労働条

件を受けて、数百社の企業が事業活動を行っており、その分野は生体材料、

心臓血管・歯科インプラントと装置、糖尿病治療器具、医療用電気・撮像装

置、矯正装具、呼吸装置、手術器具、創傷管理などにおよびます。さらに、こ

れらの企業は、微細加工・組み立て分野を含む包括的な下請け業者ネットワ

ークを利用して、サプライチェーン全体に効率的にアクセスすることが可能

です。Johnson & Johnson Neuchâtelのゼネラルマネージャーアンド

レ・ヘンメリー氏は、様々なメリットを次のようにまとめています。「GGBa地

域、そしてスイスの大きな特長は、車で1~2時間圏内に、最先端の医療機

器の開発に必要なパートナーがすべて揃っているということです。」

Johnson & Johnsonは、ヌーシャテルでの研究活動の拡充を続けてお

り、ル・ロックル・キャンパスに最近11社目の企業を迎えました。

Success Stories | 47

Building TechnologiesはSiemens AGの事業部門で、チューリッヒ

を拠点とするElectrowatt Ltd.の工業事業買収により、ビルオートメー

ションと防火設備における長年の経験を統合して1998年に設立されまし

た。Electrowattは1985年に創設された歴史ある企業で、発電・給電と

工学技術サービスに重点を置いていました。同社の工業部門は、1940年

設立の防火設備の有力企業であるCerberus Ltd.(スイス、メンネドルフ)

と1962年に設立されたビルオートメーションの欧州大手企業、Staefa

Control System Ltd.(スイス、スタファ)の買収により、20世紀後半に創

設されました。1996年には、Electrowattが1896年設立のLandis &

Gyr Ltd(スイス、ツーク)を買収し、Landis & Staefaの新社名のもとで、ビ

ルオートメーション事業をStaefa Control Systemと統合しました。

現在、Siemens Building Technologiesは、ビルオートメーション、電

気設備技術、HVAC製品(暖房、換気、空調)、防火・セキュリティ製品、セキュ

リティの5つの事業部門で構成されています。Siemens Building Tech-

nologiesは、これらの事業部門を統合して総合的なビルセキュリティ、オー

トメーション、保全サービスとシステムを提供し、関連製品を製造していま

す。また、事業部門の独自の組み合わせにより、世界でも業界をリードして

います。

「行政と経済の相関性に見られるように、企業にやさしい環境が整ったツークに、多くの国際企業が事業拠点を置いています」

Siemens Switzerland Ltd Building Technologies Division マネージメントサポート責任者 フィリップ・ウェーバー博士

ツークは多数の国際企業の事業拠点

Presented by:

Facts.会社名:Siemens Switzerland Ltd, Building Technologies Division

部門:建築技術

スイスでの事業:グローバル本社

スイスでの事業設立:1998年

スイスの従業員数: 2,000名

全世界の従業員数:38,500名

所在地:大チューリッヒ圏ツーク州ツーク

Page 25: サクセスストーリー

48 | Success Stories

Building Technologies DivisionはSiemens Switzerland Ltd,

Zurich(スイス)の一部で、Siemens Building Technologies GmbH

& Co. oHG(ドイツ、エルランゲン)、Siemens Building Technolo-

gies Inc.(米国イリノイ州バッファローグローブ)、その子会社および系

列会社、建築技術分野におけるSiemensの主要事業で構成されていま

す。Building Technologiesのグローバル本社はツークにあり、人材管理

のほか、ビルオートメーションと防火設備の研究・開発分野で現在約2,000

名が勤務しています。さらにツークでは、約300名の従業員が建築技術製

品の製造に従事しています。

Building Technologies Divisionがグローバル本社の立地として選

んだツークには、歴史的なつながりだけでなく、さまざまなメリットがありま

す。欧州とスイスの中心という立地条件に加え、質の高いインフラ、チューリ

ッヒ国際空港からわずか45分という利便性、鉄道と道路の公共交通機関へ

のアクセスの良さも大きな魅力です。さらに、国際経験が豊かで外国語に堪

能な熟練した人材が豊富な点も大きなメリットです。スイス人従業員の優秀

さは、国外からスイスに移転する際の魅力でもある卓越した教育システム

の成果といえます。

もうひとつのメリットに、長年にわたり経済的、財政的、政治的、社会的安定

を維持しているスイスの事業環境があります。行政当局は効率的でサービ

スを重視しており、意志決定能力にすぐれ、官民協力プロジェクトを支援し

ています。フィリップ・ウェーバー博士は、「行政と経済の相関性に見られる

ように、企業にやさしい環境が整ったツーク市に多くの国際企業が事業拠点

を置いています」と語っています。スイスの生活の質の高さも注目に値しま

す。ツークでは湖や山に簡単に出向くことができるため、自然に囲まれたレ

ジャーやレクリエーションの機会も豊富です。

Success Stories | 49

1938 年にオレゴン州ポートランドで設立された Columbia Sportswear

Company は、アクティブアウトドアウェアとフットウェアのザイン、調達、

マーケティング、販売で世界をリードしています。世界有数の大手アウター

ウェアメーカーであり、米国屈指のスキーウェア販売企業である同社は、

すぐれたクオリティ、パフォーマンス、機能性と価値で国際的な評価を確立

し、Columbia Sportswear、MountainHardwear、Sorel、Montrail、

Pacific Trailのアウトドアブランドを展開しています。

Columbia Sportswearは、1993年にドイツに子会社を設けることによ

り欧州市場に参入し、1997年にはスイスにも拠点を構えました。その後は

欧州におけるアウトドアウェア、フットウェア、スキーウェアの売上を着実に

伸ばし、欧州屈指の有力アウトドアブランドに成長しました。最先端の技術

を市場にもたらす革新的なブランドとして位置づけられているColumbia

Sportswear は、欧州ではウィンターブーツのSorel、トレイルランニング

シューズの Montrail、そして登山用品と登山ウェアの Mountain Hard-

wear ブランドを所有しています。

2005年に入ると、多様化し分散した欧州事業を合理化するため、欧州、中

東、アフリカ地区(EMEA)本社をジュネーブに移転しました。現在、ジュネー

ブオフィスでは、経営陣、セールスチーム、サポートチームが欧州全体の業

務を担い、アパレルおよびフットウェア製品チームと法務、人事、小売、流通、

マーケティング、企画、セールス、総務部門がすべてのブランドを管理してい

ます。

「スイスのライフスタイルは最高です。ビジネスとアウトドアを愛する人にとって、スイスに勝る場所はないでしょう」

Columbia Sportswear Company ゼネラルマネージャー クリスチャン・フィネル氏

国際ビジネスと最高のアウトドアを両立

Presented by:

Facts.会社名:Columbia Sportswear Company

部門:アクティブアウトドアウェアおよびフットウェア

スイスでの事業:欧州、中東、アフリカ地区本社

米国での事業設立:1938年

スイスでの事業設立:2004年

スイスの従業員数: 67名

全世界の従業員数:2,800名

所在地:GGBA地区ジュネーブ州ジュネーブ

Page 26: サクセスストーリー

50 | Success Stories

欧州本社をジュネーブに設立する決断は、欧州の中心という立地、国際的な

事業環境、製品が実際に使われるアウトドア環境の近さという3つの重要な

条件にもとづいており、ジュネーブはそのすべての条件を十分に満たしてい

ました。特に、欧州の中心部というスイスとジュネーブの立地条件により、欧

州の各市場を結ぶ流通業務とコミュニケーションが非常にスムーズになり

ます。

グローバル事業に適した国際都市であるジュネーブには、ビジネスに有利な

環境が整い、欧州での取引に必要な条件がすべて揃っています。ジュネーブ

では、当地での事業の成功に欠かせない多文化・多言語の人材を、国内はも

ちろん、国外からも簡単に誘致して雇用することができます。また、欧州市

場に通じたコンサルタントやスペシャリストも豊富です。ジュネーブは住み

やすく、幅広い年齢の学生を受け入れる優良校などの充実したインフラが

多くの国際的な人々を支えています。

欧州のアウトドアの中心地であるジュネーブは、アウトドア製品企業にとっ

て非常に有利です。アウトドアに簡単にアクセスできるスイスは、欧州の

環境での製品開発とその試験市場として理想的です。欧州のColumbia

Sportwearフランチャイズ店舗7店のうち2店がジュネーブとシャモニー

の近くにあるため、現在の製品についての反応や市場トレンドの情報をすば

やく入手できます。さらに、従業員の多くがアウトドアを楽しみ、山岳地方で

暮らし働く人々とも密接な関係にあります。特にシャモニー地方は車でわず

か1時間の距離にありながら、欧州でも指折りの厳しい環境で製品を試す事

が可能です。

Success Stories | 51

米国で設立されたFossilは、ファッションのデザイン、開発、マーケティン

グ、販売を専門とする企業です。自社ライセンスブランドのもとでの幅広

いファッションウォッチの販売でスタートした後、革小物、ベルト、ハンドバ

ッグ、サングラス、ジュエリー、アパレルを投入して製品ラインを拡充しまし

た。2001年には、スイスのビールにある時計メーカー3社を傘下に収め、

純正スイス時計のデザインと製造が可能になりました。その結果、ライセン

スブランド事業の拡大が実現し、世界的な評価もさらに向上しています。

2004年に、欧州の組織が各国ではなく地域全体に焦点を当てた構造に変

わったため、EMEA諸国での販売をサポートする欧州本社をバーゼル州バ

ーゼル市に設立しました。当初は小規模だった欧州本社は、組織とプロセス

の確立とともに拡大し、担当業務を徐々に増やしました。現在は90名がこ

こで勤務し、企業財務、プランニング、サプライチェーン、IT、人事業務のほ

か、Fossil Storeの管理業務を担っています。一方、販売と国内マーケティ

ングは各国の組織が担当しています。

事業の性質上、スイスはFossilにとって理想的な選択でした。バーゼルは

世界屈指の高級時計・ジュエリー見本市であるBaselWorldの開催地であ

り、スイスに頻繁に足を運んでいたFossil経営陣もこの国に愛着を持って

いました。唯一の問題は、「スイスのどこにするか?」ということでした。結果

としてバーゼルに欧州本社を置くことが、BaselWorldの相乗効果をもたら

しています。製品トレンドを間近に観察できるだけでなく、主要イベントに参

加する重要な顧客や同業者と直接会合をもつことができます。

「Fossilにとって、スイスは欧州本社として自然な選択でした。唯一の問題は、

『スイスのどこにするか?』ということでした」

Fossil Group Europe 代表取締役 マーティン・フレイ氏

高度な技能と多言語・多文化を特長とする人材

Presented by:

Facts.会社名:Fossil Group Europe GmbH

部門:時計・ファッションアクセサリーのデザインと製造

スイスでの事業:欧州本社

米国での事業設立:1984年

スイスでの事業設立:2004年

スイスの従業員数: 90名

全世界の従業員数:5,400名

所在地:バーゼル地方バーゼルシュタット準州バーゼル

Page 27: サクセスストーリー

52 | Success Stories

スイスがFossilにもたらすメリットは、それだけではありません。開放的で

信頼性の高い法制度と租税構造が支える安定した政治・経済環境が、事業設

立のための確かな基盤を提供しています。バーゼル州政府も積極的に協力

し、事業運営を支援するだけでなく、バーゼルに移転したスタッフのために

学校の情報や新生活のスタートに役立つ情報なども提供しました。

スイスはEU加盟国と非加盟国の両方と密接な経済関係にあり、高速列車と

手近な国際空港を含む卓越した輸送インフラを備えているため、あらゆる

市場に簡単かつ確実にアクセスできます。また、あえて市場規模の小さいス

イスを選んだことを評価して、欧州にあるFossilの子会社もスイスでの本

社設置を好意的に受け入れました。

設立当初は、重要な役職に米国グローバル本社と欧州他国の社員が就いて

いました。しかし、立ち上げ期間が終了してプロセスが確立された後は、バ

ーゼル地方の現地スタッフがその役職を引き継ぎました。柔軟性の高い人

材、そして高度な技能と多言語・多文化を特長とするスタッフが、この移行に

おける重要な要素になっています。グローバル企業が高く評価している、熟

練したやる気のあるスタッフのを雇用が容易であり、将来的な能力開発も期

待できます。欧州本社を設立して5年以上が経ち、住民、市、地域との関係

が強くなった現在、Fossilは長期的な事業拠点、そして生活の場としてのス

イス のさらなる発展に期待しています。

Success Stories | 53

Switzerland. Trade & Investment Promotion.www.osec.ch

SECO State Secretariat for Economic Affairswww.seco.admin.ch

Aargau:www.aargauservices.ch

Appenzell Innerrhodenwww.ai.ch

Appenzell Ausserrhodenwww.wifoear.ch

BaselArea Economic Promotion www.baselarea.ch Basel Stadt Basel Landschaft Jura

Business Development Lucernewww.lucerne-business.ch

Greater Geneva Berne areawww.ggba-switzerland.ch Berne: www.berneinvest.com Fribourg: www.fr.ch Geneva: www.whygeneva.ch Neuchâtel www.e-den.ch Valais www.business-valais.ch Vaud: www.dev.ch

Greater Zurich Areawww.greaterzuricharea.ch Glarus: www.glarusnet.ch The Grisons: www.awt.gr.ch Schaffhausen: www.economy.sh Schwyz: www.schwyz-economy.ch Solothurn: www.locationsolothurn.ch Zug: www.zug.ch/economy Zurich: www.awa.zh.ch

Nidwaldenwww.nwcontact.ch

Obwaldenwww.iow.ch

St. Gallenwww.location.sg.ch

Thurgauwww.wiftg.ch

Ticinowww.copernico.ch

Uriwww.ur.ch/wfu

お問い合わせ

Presented by:

Page 28: サクセスストーリー

54 | Success Stories

スイスでの事業設立には、多くの戦略的な意志決定と管理業務が必要とさ

れます。スイス・ビジネス・ハブ スイス外国企業誘致局は、スイス大使館にオ

フィスを構え、日本企業の皆様にスイスでの事業設立に関する情報提供と

支援を行っています。

スイス・ビジネス・ハブは、チューリッヒの本部(Osec スイス貿易振興会)の

ほか、スイス各州の経済開発局と協力して、投資家、企業家、企業幹部、コン

サルタントの皆様をはじめ、スイスでの事業設立に興味をお持ちの方々に

情報を提供しています。

スイス・ビジネス・ハブでは、国外事業拠点としてのスイスを宣伝する活動の

一環として、投資家、企業幹部、コンサルタントの皆様に対し、スイスとその

立地がもたらすメリットのみならず、克服すべき課題についての情報も提供

しています。また「ステップ・バイ・ステップサービス」により、基本情報、基本

コンサルティング、応用コンサルティングの3段階にもとづいた総合的なサ

ービスを提供しています。

基本情報の目的は、スイスの立地に関する適切な最新情報を提供すること

です。インターネットで参照できるさまざまな文書、ホットライン、メディアツ

アー、公式イベント、セミナーなどを通じて情報を提供します。

基本コンサルティングでは、スイスでの事業と諸条件に関する日本企業の

皆様の質問にお答えします。この段階では、民間企業から州開発局まで、さ

まざまなパートナーとの密接な提携関係により以下のサービスを提供して

います。

・ 各企業向けに特化した初回コンサルティングの実施

・ 顧客要件プロフィールの作成

・ 具体的な提案

・ 視察訪問のサポート

応用コンサルティングでは、専門知識を活用して分析し、スイスの立地選び

を成功に導くための信頼できるパートナーとリソースをご紹介します。応用

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