人狼知能コンテストとは何か
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「人狼知能コンテスト」とは何か~人狼知能プロジェクト~東京大学大学院工学系研究科鳥海不二夫
2015/11/12人工知能学会研究会合同研究会「人狼知能コンテスト」キックオフ
2015 年 10 月 16 日「コンピュータ将棋プロジェクト」終了宣言
コンピュータ vs 人間の歴史• 1997 年チェス– ディープブルーがチェスチャンピオンに勝利
• 2013 年将棋– コンピュータがプロ棋士に勝利
• 2050 年サッカー– ロボットによるチームが ワールドカップ優勝チームに勝利 ( 予定 )
コンピュータ vs 人間の歴史• 2001 年– HAL9000 の反乱
• 2004 年– SkyNet による核戦争勃発
• 2045 年– シンギュラリティ
• 2050 年– MATRIX による人類支配
完全ゲームと不完全情報ゲーム• 完全情報ゲーム– お互いの情報が完全に与えられているゲーム– 将棋,囲碁,チェスなど– 機械学習などの適用
• 不完全情報ゲーム– ゲーム情報が完全には与えられていないゲーム– ポーカー,麻雀など– 「予測」「推定」技術の発展が重要
アナログゲームと定式化• アナログゲーム– 将棋などのテーブルゲーム– 電源不要ゲーム
• アナログゲームの定式化– 将棋・囲碁・ポーカー:状況と可能手が有限– 定式化が容易– 機械学習に注力可能
将棋・チェス・オセロ完全情報ゲーム・デジタル化可能プロに勝利するレベルに到達不完全情報ゲーム定式化困難ゲーム
ゲームにおける人工知能
汝は人狼なりや• 人間陣営を人狼陣営に分かれてプレイ• 各プレイヤの陣営は非公開– 不完全情報
• 会話によってゲームが進行– 自由対話の中から情報を推測– デジタル化困難
不完全情報ゲーム定式化困難ゲーム
人狼知能プロジェクト• 「人間と自然なコミュニケーションを取りながら人狼をプレイできるエージェントの構築」– より高度な知能の創出– より高度なコミュニケーションの実現
新しいエージェントの標準問題として
人狼とは• 誰が人狼かを一定時間の対話で推測• 追放と襲撃を繰り返し– 人狼:村人と人狼を同数にする– 村人:人狼をすべて追放する
• 村人:会話をヒントに人狼を追放• 人狼:追放されないように村人 のフリをする
人狼ゲームの歴史• 人狼の歴史
– 1986 年 : ソ連で誕生• Mafia(Russia/USSR)
– 2001 年 : 標準化• Are you werewolf? (USA)
– 2002 年~ : 役職の誕生• Lupus in Tabula (Italy)• The Werewolves of Miller's Hollow
(France)– 2003 年~ : オンライン人狼
• 人狼 BBS とそのクローン• 匿名化・長期化・人狼側のディスカッション
– 2012 年~ : 魅せる人狼• 人狼演劇 (TLPT)• テレビ放送・映画等
人狼とは
議論私は村人ですよ この人怪しい
私は占い師です
俺が占い師だ
投票
投票追放
襲撃
襲撃死亡
勝利条件・村人
人狼が全て追放されれば村人の勝利
勝利条件・人狼
人狼と村人の数が同じになれば人狼の勝利
占い師 ( 予言者 )
人狼じゃ無い
人狼だ!
霊媒師追放
人狼じゃ無い
ボディーガード (狩人 )
護衛
狂人 (裏切り者 )
役職• プレイヤー役職 ( 能力 )– 村人:能力無し– 占い師:毎ターン一人のプレイヤーが人狼かどうか知ることが出来る– 霊媒師:前回追放したプレイヤーが人狼かどうか知ることが出来る– 狩人:毎ターン一人を人狼の襲撃から守る– 人狼:毎ターン誰かを襲撃できる– 狂人:能力は無いが,人狼陣営に所属
• 能力を駆使して所属する陣営を勝利させる
対面人狼・オンライン人狼カード型人狼:パーティゲーム• 一試合十数分程度
– 短い会話で嘘がつけるか• 顔が見える環境での競争
– 相手の性格や反応を見る• 狼同士の会話はジェスチャ
オンライン型人狼:言語ゲーム• 一試合数日間
– 熟慮した発言が可能• キャラクターによる匿名化
– 性別や見た目の影響排除• 狼同士の会話を平衡で行う
– コミュニケーションミスの排除
不完全情報ゲームとしての人狼• 不完全性から生じる技術– 推理
• 得られた情報が真かどうか不明• 文脈からの真偽の判定
– 説得• 自分がこう思っていると相手が思っているだろう• 相手に情報を与えて信頼を得る
• 嘘を前提としたコミュニケーション– 誰かが嘘をついていうという状況
• 村人側:自分が語る事をどうやって信用してもらうか• 人狼側:自分が騙る事をどうやって信用してもらうか
– 「説得する人工知能」
コミュニケーションの複雑性• コンピュータと人の対戦自体にまだ壁が存在–思考だけでは無い様々な課題
• 人間との自由対話– コンピュータに理解しやすい世界ではない– 対面対話 (音声理解・音声合成 )– 自然言語処理 ( 言語理解・言語発話 )
• 非言語情報– 人間の表情や仕草の理解– エージェントが行う表情や仕草
人狼知能実現のための課題• 人工知能としての課題– ゲームとしてのプレイ可能性–他者の理解・不完全情報の推測– 「強い」から「面白い」へ
• エージェント技術としての課題– 自然言語処理
• プロトコル上の行動の自然言語化,自然言語の理解– ヒューマン・エージェント・インタラクション (HAI)
• エージェントインターフェースの実装• 映像や音声による表現
ロードマップ人工知能による作成可能性
人間によるプレイの解析人狼知能の構築
人狼知能エージェントの実装
人間と人狼知能の対戦
• データ分析• ゲームフレームの解析
• 機械学習• 強化学習• ルールベース• 大会開催
• バーチャルエージェント• 自然言語処理• 音声対話・表情分析• リアルエージェント
• 強い人狼知能• 楽しませる人狼知能• 魅せる人狼知能
ロードマップ人工知能による作成可能性
人間によるプレイの解析人狼知能の構築
人狼知能エージェントの実装
人間と人狼知能の対戦
• データ分析• ゲームフレームの解析
• 機械学習• 強化学習• ルールベース• 大会開催
• バーチャルエージェント• 自然言語処理• 音声対話・表情分析• リアルエージェント
• 強い人狼知能• 楽しませる人狼知能• 魅せる人狼知能
人狼知能のエージェント化• エージェント化に必要な技術は多数– 画像認識 ( 話者特定,表情からの類推 )–音声対話処理– 自然言語処理 (意味理解 )– 推論– 行動決定– 自然言語処理 ( 発話生成 )–音声出力–表情作成 ( リアルなプレイのために )
入力
出力
思考
バーチャルエージェント• 人工知能と対面で人狼やりたい– 対面には表情や音声など壁が多い– バーチャルエージェントならテキストベースで行ける
• どうせなら,あの有名キャラに対戦してもらおう
初音ミク:クリプトン・フューチャー・メディア画像:ちゃっぴー(歌う絵師)さん
異議あり!ミクさんは間違っていますちゃんと説明しろ,ミク!
人狼はミクさんです.
人狼知能対戦のイメージ
人狼知能( AI)対戦のログ再生プレーヤを作ってみた [小林 15]
• Unity による対戦プレーヤによる再生
身体性を持ったエージェント
ロードマップ人工知能による作成可能性
人間によるプレイの解析人狼知能の構築
人狼知能エージェントの実装
人間と人狼知能の対戦
• データ分析• ゲームフレームの解析
• 機械学習• 強化学習• ルールベース• 大会開催
• バーチャルエージェント• 自然言語処理• 音声対話・表情分析• リアルエージェント
• 強い人狼知能• 楽しませる人狼知能• 魅せる人狼知能
• 第一回人狼知能大会– CEDEC2015– 2015 年 8 月 27 日
人狼知能大会
大会概要• 参加登録チーム数 78 チーム– 学生チーム: 42 / 78 チーム (0.53)
• 予選参加チーム 38 チーム– 学生チーム: 24 / 38 チーム (0.63)
• 決勝参加チーム 15 チーム– 学生チーム: 7 / 15 チーム (0.47)
多数の取材
決勝の一試合の模様
決勝結果順位名前 村人 占い 霊媒 狩人 狂人 人狼 総合饂飩 1 1 7 1 1 1 1
働きの悪い村 4 2 8 2 4 3 2Satsuki 3 3 3 8 14 2 3wasabi 2 11 12 4 5 4 4
GofukuLab 10 7 1 5 3 5 5IPA 9 4 9 10 8 6 6
iace10442 11 9 4 6 2 12 7
平兀 6 10 15 3 6 10 8
Y・ Y 14 5 10 7 12 7 9swingby 5 14 2 15 11 8 10
itolab 13 6 11 11 7 13 11Team Fenrir 8 13 5 12 10 11 12
中村人 12 8 13 13 15 9 13CanvasSoft 7 15 6 9 9 14 14
昼休みはいつも人狼でつぶれる 15 12 14 14 13 15 15
<人工知能学会 30周年記念事業 >「人狼知能」大会@CEDEC2016
JSAI×CEDEC
今後のスケジュール2015 年 12 月 大会運営委員会立ち上げ ※人狼知能標準ルールの策定 ※評価方式、対戦方式、予備予選の検討 人狼サーババージョン 0.3.0 公開予定2016 年 03 月 8-9 日 ゲーム AI コンペ大会 @ 電通大 04 月上旬 大会方式、ルールの公開 06 月 01 日 サーババージョン確定、登録受付開始 07 月上旬 予備予選開始 (登録〆切 n 日前まで ) 07 月中旬 登録〆切 08 月 08 日 プログラム〆切 予選1週間、決勝進出チーム確定 予選敗退チームバイナリ公開 08 月 16 日 決勝進出プログラム提出 決勝1週間 08 月下旬 人狼知能大会@CEDEC2016
人狼知能エージェント開発支援• セミナを開催–勉強会• 2015 年 11 月 15 日
– ※第1回大会の優勝者が講師– まだ数名の猶予があります
–入門セミナ (2016 年 04, 05, 06 月 3回開催 )• 東京、大阪、福岡 or 仙台 を検討
– 開発合宿 (2016 年 07 月予定 )
http://aiwolf.org