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1 級建築士学科Ⅱ References 全日本建築士会編:合格対策 1 級建築士受験講座学科 、地人書館、2012 © 2013 office Architype Lab All rights reserved! http://www.architype-lab.com/ 本講座 学科Ⅱ『環境・設備』 31 7 音響・振動 7.1 音の属性 (A) 耳の構造と働き 耳の構造:外耳で音を収集、中耳で音をキャッチ、内耳で信号化して脳へ伝搬 (B) 対数とその性質 対数とは:何乗なの?に注目した数式、音の世界は数値の桁数が非常に大きいので対数で話を進めていきます (C) 音の属性 音波とは:媒質中を伝搬する縦波(疎密波)、太鼓の膜が空気を振動させて音を生じさせる現象がイメージしやすい? 音の三属性:強さ・高さ・音色 音の強さ:強さとは純粋な音の物理量(エネルギー)、距離の2乗に反比例して弱くなる 音の大きさ:大きさとは人体の聴感上のボリューム、聴覚は非常に広い範囲の音の強さを感知することが可能(10 -12 ~1W/m 2 )そのままの数値で表記するとわかりづらいので、対数尺度(log 尺度)を用いて dB(デシベル)で示し ている dB(デシベル) :「レベル」って付いたらデシベル化していますって意味、10dB変化すると音の強さは10倍、20dB 変化すると 100 倍になるので留意 ウェーバー・フェヒナーの法則:さらに人体の感覚は刺激のべき乗に比例するってことも対数尺で表す際に好都合、 あれっ?2 倍になった…?って思ったときはエネルギー的には 10 倍、3 倍になった!って思ったときは 100 倍に なっているので注意 音の高低と周波数:音の周波数によって高低が決まる、周波数が大きいほど高い音、人体の聴感は周波数ごとに感度 が異なっており 4,000Hz 程度が最も感度が高い(同じエネルギーでも最も「大きく」聞こえる、等ラウドネス曲線) 低周波音:概ね 100Hz 以下の重低音(20Hz 以下を超低周波音)、圧迫感等の不調をきたすことがあるので留意 音色:一般的な音は様々な周波数の音が混合している、純粋な 1 つの波形のみで構成される音を純音と呼ぶ

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Page 1: 7 音響・振動 7.1 音の属性 (A) 耳の構造と働き 耳 …...2 10 2 10 0 10log 10 10log 20log (I) 音の強さのレベルの和 ! レベルの合成:対数の足し算は面倒…、80dBの機器が2つあると合計で83dBとなる(同一出力が2つで+3dB)、

1級建築士学科Ⅱ    

References   全日本建築士会編:合格対策 1級建築士受験講座学科Ⅱ、地人書館、2012

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本講座   学科Ⅱ『環境・設備』   31  

7   音響・振動  

7.1 音の属性  

(A) 耳の構造と働き  

Ø 耳の構造:外耳で音を収集、中耳で音をキャッチ、内耳で信号化して脳へ伝搬  

 

(B) 対数とその性質  

Ø 対数とは:何乗なの?に注目した数式、音の世界は数値の桁数が非常に大きいので対数で話を進めていきます  

 

(C) 音の属性  

Ø 音波とは:媒質中を伝搬する縦波(疎密波)、太鼓の膜が空気を振動させて音を生じさせる現象がイメージしやすい?  

Ø 音の三属性:強さ・高さ・音色  

Ø 音の強さ:強さとは純粋な音の物理量(エネルギー)、距離の 2乗に反比例して弱くなる  

 

 

Ø 音の大きさ:大きさとは人体の聴感上のボリューム、聴覚は非常に広い範囲の音の強さを感知することが可能(10-12

~1W/m2)そのままの数値で表記するとわかりづらいので、対数尺度(log 尺度)を用いて dB(デシベル)で示し

ている  

 

 

Ø dB(デシベル):「レベル」って付いたらデシベル化していますって意味、10dB 変化すると音の強さは 10倍、20dB

変化すると 100倍になるので留意  

 

 

 

Ø ウェーバー・フェヒナーの法則:さらに人体の感覚は刺激のべき乗に比例するってことも対数尺で表す際に好都合、

あれっ?2 倍になった…?って思ったときはエネルギー的には 10 倍、3 倍になった!って思ったときは 100 倍に

なっているので注意  

 

 

 

Ø 音の高低と周波数:音の周波数によって高低が決まる、周波数が大きいほど高い音、人体の聴感は周波数ごとに感度

が異なっており 4,000Hz 程度が も感度が高い(同じエネルギーでも も「大きく」聞こえる、等ラウドネス曲線)  

 

 

 

 

 

 

Ø 低周波音:概ね 100Hz 以下の重低音(20Hz 以下を超低周波音)、圧迫感等の不調をきたすことがあるので留意  

Ø 音色:一般的な音は様々な周波数の音が混合している、純粋な 1つの波形のみで構成される音を純音と呼ぶ  

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本講座   学科Ⅱ『環境・設備』   32  

(D) 音の速度  

Ø 音の速度:気温 15℃で約 340m/s、気温が高くなると早くなる、音速=マッハ 1  

 

(E) 音響出力とパワーレベル  

Ø 音響パワー:音響出力、音源から単位時間あたりに放出されるエネルギー、Wで表す  

Ø 音響パワーレベル:PWL、音響パワーを基準音のエネルギー(可聴域の下限値)に対してレベル化  

010log10WWPWL =  

 

(F) 音の強さのレベル  

Ø 音の強さ:単位時間あたりに単位面積を通過するエネルギー  

cP

rWI

ρπ

2

24==     P:音圧、 ρ :空気密度、 c:音速  

Ø 音の強さのレベル:音の強さを基準音の強さ(可聴域の下限値)でレベル化  

010log10IIIL =  

 

(G) 音圧レベル  

Ø 音圧:音波は疎密波であり、媒質(一般的には空気)の圧力変動によって伝搬する  

Ø 音圧レベル:受音点の音圧の 2乗を、基準音圧の 2乗でレベル化   ⇒   コイツだけ 2乗がつくので留意  

0102

0

2

10 log20log10PP

PPSPL ==  

 

(H) 音の強さのレベルと音圧レベルの関係  

Ø 音の強さのレベルと音圧レベル:単位面積を取る面を受音点とすれば実用上は同じです…  

SPLPP

PP

IIIL ====

0102

0

2

100

10 log20log10log10  

 

(I) 音の強さのレベルの和  

Ø レベルの合成:対数の足し算は面倒…、80dBの機器が2つあると合計で83dBとなる(同一出力が2つで+3dB)、

3つある場合は+5dB、4つで+6dB、5つで約+7dB  

 

 

(J) マスキング効果など  

Ø マスキング効果とは:大きな音に小さな音がかき消されてしまう現象、周波数が近い音ほど生じやすい  

 

Ø カクテルパーティー効果:まわりが喧騒でも、目的の音のみは聞き分けることができる能力  

 

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本講座   学科Ⅱ『環境・設備』   33  

(K) 距離減衰  

Ø 音の距離減衰:距離が 2倍になるごとに 6dBずつ減衰する  

 

 

 

『過去問』  

音の属性   音の三要素とは、音の大きさ・音の高低・音色  

音の属性   感覚量は刺激のべき乗に比例(E=kIα)する、スティーブンスのべき乗の法則  

音の属性   人の音に対する間隔量は、音圧の対数に比例する(ウェーバー・フェヒナーの法則)  

音の属性   可聴周波数はおおよそ 20~20,000Hz、対応する波長の範囲は十数mm~十数m程度  

音の属性   音圧レベルの等しい純音を聞いた場合、1,000Hz の方が 100Hz よりも大きく聞こえる   ×2  

音の強さレベル   音圧の実効値が等しい 2つの音を合成した場合の合成音圧は√2倍となる  

音の強さレベル   音の強さのレベルを 20dB 下げるためには、音の強さを 1/100 にする  

音の強さレベル   音の強さが2倍になると音圧レベルは 3dB増加、4倍にでは 6dB増加  

聴感覚   マスキング効果とは、同種の他の刺激の存在により対象刺激の 小知覚閾が上昇する現象  

聴感覚   カクテルパーティー効果とは、まわりが喧騒でも特定の音のみを聞き取ることができる能力のこと  

 

7.2 騒音  

(A) 騒音の許容値  

Ø 騒音とは:存在する音の全ては騒音になり得る  

Ø 騒音の規制値:地域別・時間割で許容値が設定されている  

 

(B) 騒音レベルによる許容値  

Ø 騒音レベル:騒音計のA特性にて騒音を計測した値  

 

 

 

 

(C) 暗騒音  

Ø 暗騒音とは:測定や苦情対象ではない音、静かな場所でも 20~25dB 程度は存在する  

(D) 騒音の測定方法  

Ø 等価騒音レベル:騒音計のA特性にて実測した値の、観測時間内におけるエネルギーの平均値をレベル化(dB表記)

したもの、変動する騒音の評価の際に用いられる  

 

(E) 室内騒音  

Ø NC 値:騒音を周波数ごとに実測(オクターブバンド解析)し、その結果を周波数ごとに NC 曲線上にプロット、

も大きな値がNC値  

 

Ø NC値による基準:スタジオ<劇場<教室・音楽室<ホテル<住宅(寝室)  

 

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(F) S/N 比  

Ø S/N 比とは:騒音関係における S/N 比とは、対象音とそれ以外の音の dB差を示す  

 

(G) 明瞭度・了解度  

Ø 明瞭度とは:音声の聞き取りやすさを示す、実際に言語を聴取して何語音節を聞き取ることができるのかチェック  

 

『過去問』  

騒音   A 特性音圧レベルとは、人体の聴感補正を加えた音のレベルであり、音の大きさの感覚に対応する  

面音源   無数の音が広範囲に点在する場合等、理想的な面音源は距離減衰が生じない  

透過騒音レベル   人体の聴感補正された音の時間平均値、変動する騒音の評価に用いる  

騒音環境基準   住居用の地域においては、昼間は 55dB 以下、夜間は 45dB 以下とされるのが一般的  

騒音許容値   スタジオの許容値は、NC-20 程度  

 

7.3 防音と遮音  

(A) 距離による騒音防止  

Ø 距離減衰:点音源からの音のエネルギーは、距離の二乗に反比例して減衰する、距離が 2倍になると 6dB低下する、

線音源の場合は、距離が 2倍になるとエネルギーが半分になり 3dB低下する  

 

 

 

(B) 遮音による騒音防止  

Ø 壁体への音の入射:壁体を介する音の透過においては、入射音の一部は「反射」、残りが壁体に侵入、侵入した音の一

部は壁体内で「吸収」され消滅、残りが反対側へ「透過」  

 

 

 

 

 

Ø 遮音とは:音を透過させないこと(反射+透過)  

 

(C) 透過損失  

Ø 透過損失とは:入射音と透過音のエネルギーの比を dB化したもの=入射音のレベル(dB)-透過音のレベル(dB)、

遮音の性能を表す、以下の質量則が成り立つ   ⇒   周波数特性は次ページ  

 

(D) 質量則  

Ø 質量則の原則:重い(=面密度が高い)物質ほど遮音性能(=透過損失量)が高い、面密度と入射音の積で求めるこ

とが可能  

 

Ø 壁体の遮音性能:質量則より面密度が高い物質、さらに壁が厚いものほど遮音性能が高い  

 

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(E) コインシデンス効果  

Ø コインシデンス効果とは:一部の周波数において透過損失量が低下してしまう現象、壁体の共振によって生じる、主

に高い周波数に生じる  

 

 

 

 

(F) 中空壁(二重壁)の遮音  

Ø 中空壁の遮音性能:中空壁(含む複層ガラス;スペーサーにより 2枚のガラスの間に隙間がある)は、中高音域では

単層璧に比べて遮音性能が高いが、低音域では逆に遮音性能が低下するので留意  

 

(G) 固体音の防止対策  

Ø 固体音とは:設備機器のガタつきや人体の歩行等により生じる、防振ゴム等を介し構造体に振動が伝搬しないように

留意する  

 

(H) 建築基準法による遮音規定  

Ø 集合住宅における基準:界壁は RC造で 10cm以上等  

 

(I) 遮音等級  

Ø 壁の遮音等級:周波数ごとの「透過損失量」より求める、D値、値が大きいほど遮音性能が高い(透過損失量が大き

いから)  

 

Ø 床の遮音等級:周波数ごとの「透過音レベル」より求める、L 値、値が大きいほど遮音性能が低い(たくさん透過し

てしまうから)、靴音や食器などが落下した歳を想定した軽量床衝撃音と子供などの飛び跳ねを対象とした重量床衝撃

音の評価がある  

 

『過去問』  

距離減衰   距離が 2倍になると音の強さは 1/4 になる(6dB低下する)  

距離減衰   反射音がない空間において、点音源からの距離が 1mから 4mに変化すると音圧レベルは 12dB 低下する  

透過損失   直接入射条件の透過損失は、壁の面密度と入射音の周波数の積で求められる  

透過損失   TL(透過損失)=10log10(入射音エネルギー/透過音エネルギー)  

透過損失   壁の単位面積当たりの質量が大きいほど壁の透過損失は大きい(質量則)   ×2  

透過損失   複層ガラスはその面密度の合計と等しい単板ガラスに比べて、中低音域において遮音性能が低下する   ×2  

質量則   面密度が高いほど、周波数が高いほど遮音性能は高い(透過損失が大きい)   ×2  

遮音性能   吸音率が高くても遮音性能が高いとは限らない(むしろ吸音率が高い方が遮音性能が低い場合が多い)  

遮音性能   複層ガラスでは、コインシデンス効果により同じ面密度の単層ガラスよりも低周波数領域で遮音瀬能が低下  

遮音等級   界壁における(室間)遮音等級に関するD値は、値が大きいほど遮音性能が高い(透過損失で評価するから)  

遮音等級   Dr-55 は Dr-40 に比べて、空気音の遮断性能が高い  

遮音等級   ボード直張り工法では、面密度は高くなるが遮音等級は低下するので留意(共鳴透過が生じる)  

遮音等級   床衝撃音遮音性能に関する L値は、値が小さいほど遮音性能が高い(透過してしまった音のレベルで評価)  

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7.4 吸音  

(A) 吸音と吸音原理  

Ø 吸音とは:「材料が音を吸収すること・音のエネルギーを他のエネルギーに置換することによって低減する」って教科

書ではなっているのですが…本来は「音を反射させないこと」って定義のほうが正しいと思われます  

 

 

Ø 吸音機構:多孔質型(ロックウールなど、繊維の振動)、板振動型(板の共振)、共鳴型(孔と背後の空気層の共振)    

 

(B) 吸音率  

Ø 吸音率とは:壁に入射する音のエネルギーに対する、透過音のエネルギーと壁に吸収された音のエネルギーの比(入

射音と反射されなかった音のエネルギー比)、完全開放の窓は吸音率 1.0  

 

 

 

(C) 平均吸音率  

Ø 平均吸音率の算定:複数の材で構成される壁全体の平均吸音率は、各材料の吸音率×面積を全体の面積で除して求め

る、各材の吸音力を合計し全体の面積で除すでもOK  

 

(D) 吸音力  

Ø 吸音力の算定:吸音率×面積、単位は㎡  

 

(E) 吸音による騒音防止  

Ø 吸音による騒音防止:サイレンサを用いることによって、音のエネルギーを低減することが可能、次項の室の残響時

間も短くなる  

 

(F) 2 室間の遮音、遮音度  

Ø 遮音度:隣り合う 2室間の音圧レベルの差、透過損失・吸音力が関係する  

 

(G) 残響時間  

Ø 残響時間とは:音源が停止後に 60dB 低下するまでに要する時間  

 

 

(H) 残響時間の計算式  

Ø セービンの残響式:室の容積に比例、吸音力に反比例  

 

(I) 音響設計(オーディトリアムの形状)  

Ø 適残響時間:各室の用途により異なる、音楽を聞く用途では残響時間は長め、講話等の人の話がメインの空間では

短めに設定する  

Ø 音の特異現象:エコー:やまびこのこと、鳴龍(フラッターエコー)、ささやきの回廊など  

 

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本講座   学科Ⅱ『環境・設備』   37  

『過去問』  

吸音機構   孔あき板を用いた吸音構造では、孔と背後空気が共鳴を起こして音のエネルギーを吸収する  

吸音機構   孔あき板を用いた吸音構造では、特定の周波数の吸音過多に留意する  

吸音機構   中空二重壁の共鳴透過において、空気層を熱くすると共振周波数は低くなる  

吸音機構   多孔質材料と剛壁面との間の空気層を厚さを増すと中・低音域の吸音率が上昇する   ×2  

吸音材料   天井付近に吸音材料を設置すると、残響時間は短くなる、明瞭度も向上する  

吸音材料   天井付近に吸音材料を設置すると、室内で音を発した場合に室内の平均音圧レベルは小さくなる  

吸音材料   天井付近に吸音材料を設置すると、隣室で音を放射した場合の室間音圧レベル差は大きくなる  

吸音材料   多孔質材料は、その表面を通気性の低い材料で被覆すると、高温域の吸音率が低下する  

吸音率   壁に入射する音のエネルギーに対する、透過音のエネルギーと壁に吸収された音のエネルギーの比   ×2  

吸音率   入射音が一定ならば、吸音率が高いほど反射音のエネルギーは小さい  

吸音率   壁の吸音率は、入射する音の周波数により値は異なる  

吸音率   音源が同一ならば、平均吸音率の高い部屋のほうが、室内の平均音圧レベルは低くなる  

吸音率   吸音率が 2倍になると、室内平均音圧レベルは約 3dB減少する  

残響時間   室容積が大きいほど、室内の透過吸音面積が小さいほど残響時間は長くなる(セービンの残響式)  

残響時間   コンサートホールの 適残響時間は、室容積が大きいほど長くなる  

残響時間   平均音響エネルギーが 1/(10^6)(60dB)低下するまでの時間、室容積が小さいほど・聴衆が少ないほど短い  

ホール   シューボックス型は奥行きの深い長方形の平面に高い天井を有する形状  

音響設計   サウンドスケープとは音の排除のみならず、音に意識を向ける事等により良質な音環境を提案すること  

特異現象   フラッターエコーとは、平行な 2つの反射面の間に、反射音が繰り返し留まる現象  

 

7.5 振動  

Ø 教科書一読のこと  

 

『過去問』  

振動レベル   人体の振動感覚補正を行なって評価した振動加速度レベル  

 

8   環境工学融合問題  

Ø 教科書一読のこと  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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本講座   学科Ⅱ『環境・設備』   38  

第 2 部   建築設備  

9   暖房設備・空調設備  

9.1 空気調和と空調負荷の概要  

Ø 空気調和とは:室内の温湿度、気流、じんあい、臭気、各種有害物質などを排除し、室内環境を快適に保つための空

気条件を維持すること(冷暖房ももちろん含まれる)  

 

『過去問』  

一酸化炭素   濃度 1%で数分で死に至る  

 

9.2 空調負荷の種類と計算方法  

(A) 空調負荷の種類  

Ø 空調負荷の種類:壁体貫流熱、窓からの日射熱、外気の侵入熱、機器の発熱、人体の発熱など  

 

(B) 空調負荷の計算  

Ø 大負荷:冷房・暖房ともに気象データより類推した設計用外気温湿度温度(TAC温度)をもとに算定  

Ø TAC温湿度:気象データの内上位 2.5%程度を排除した設計温度、稀に見られる猛暑等は除外されている  

 

Ø SAT:相当外気温度、外壁等が日射を受けた場合に生じる温度上昇を想定、日射熱の吸収量のみならず風速の影響も

加味されている  

 

『過去問』  

大負荷計算   照明・人体・器機等からの発熱は冷房時には負荷に含めるが、暖房時には含めない(安全側になるので)  

顕熱負荷   室内外の温度差と風量、比熱の積で求める  

期間負荷   全負荷相当時間とは、冷暖房の年間負荷積算値を 大熱負荷(熱源機器容量)で除した値  

TAC温度   設計用外気条件に用いられる、気象データに統計処理を行った値であり稀に見られる猛暑等の要因は排除  

 

9.3 冷房負荷  

(A) 壁体の貫流熱  

Ø 相当外気温度:日射熱の影響を加味した際に用いられる設計用外気温度    

Ø 実効温度差:日射の影響を受けると貫流する熱量も変動する、変動成分を加味し、地域・壁体の種別・方位等から概

算で求められた基準温度  

 

(B) 日射熱  

Ø 窓ガラスに当たる日射:一部は反射⇒ガラスに吸収され放熱(窓ガラスと室内気温の差により決定)⇒残りが室内へ

透過、したがってガラスからの熱負荷は放射と透過:標準窓ガラスから晴天時に室内に侵入する熱量、標準以外のガ

ラスやブラインド等を用いた場合は同値に日射射影係数をかけて熱量を算定  

Ø 日射射影係数:ブラインドの色等によっても変化(明るいブラインドのほうが係数が高い)  

 

 

 

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本講座   学科Ⅱ『環境・設備』   39  

(C) 侵入外気の熱負荷  

Ø 侵入外気量:隙間の大小・ドアや窓の開閉頻度・屋外の風の影響・室内の温度分布等によって変動、推定が難しいの

で換気回数を用いて経験則で予測  

 

(D) 照明の熱負荷  

Ø 照明器具の熱負荷:ワットあたりの発熱量は、蛍光灯>白熱灯  

 

(E) 人体の熱負荷  

Ø 人体からの発熱:作業状況によって変化する他、年齢・体重等によっても異なる  

 

(F) 機器の熱負荷  

Ø 機器からの発熱:サーバー室・データセンター等は発熱量が多いので留意  

 

『過去問』  

冷暖房負荷   構造体からの熱負荷+内部負荷(人体・各器機)、冷房負荷低減の為には構造体以外にも内部負荷も要低減  

冷暖房負荷   冷暖房機機は、外部負荷の多い窓付近に設置するほうが良好な室内環境が得られる  

日射熱   窓からの日射による冷房負荷は窓から流入する日射量のみならず窓が温められて再放出される熱量も考慮  

日射熱遮へい   ガラスからの侵入熱は「透過する日射熱」「日射で暖められたガラスの再放射」「内外温度差の熱貫流」  

日射熱遮へい   Low-E(低放射率)ガラスとは、低放射膜をコーティングしたガラスであり、断熱効果が高い   ×2  

日射熱遮へい   室内側ブラインドは暗色よりも明色の方が日射遮蔽能力が高い   ×2  

照明の熱負荷   照明発熱負荷とは照明による発熱のことで、冷房負荷の一因となる  

照明の熱負荷   照明の電力消費を減少させると、冷房負荷(冷房用エネルギー消費量)を減少させることが可能  

機器の熱負荷   データセンターは発熱大きい、外気冷房や冷却塔の冷却水によるフリークーリングが有効  

機器の熱負荷   オフィスの室内発熱の主因はOA機器(照明機器よりも大きい)  

消費指数   CEC/AC、年間消費エネルギー量を年間仮想空調負荷で除したもの、値が小さいほど効率良   ×2  

 

9.4 暖房負荷  

Ø 暖房負荷の算定: も寒い日を対象とするので、日射の負荷は除外(部屋を温めてくれるので…)、照明機器等からの

発熱は僅かながら加味しても良い  

 

『過去問』  

なし    

 

9.5 暖房設備  

(A) 暖房設備の分類  

Ø 蒸気暖房:0.01~0.05MPa の蒸気による直接暖房、0.1MPa 以上のものを高圧蒸気暖房と呼ぶ、設備費が安い・

予熱時間が短い、スチームハンマー(騒音)・配管の腐食・容量制限の面で難有り  

Ø 温水暖房:60~80℃の温水を用いた直接暖房、100℃以上を高温水暖房と呼ぶ、蒸気式よりも設備費・予熱時間は

かかるが、騒音・配管の腐食・制御の面では優る  

 

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1級建築士学科Ⅱ    

References   全日本建築士会編:合格対策 1級建築士受験講座学科Ⅱ、地人書館、2012

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本講座   学科Ⅱ『環境・設備』   40  

(B) 床暖房  

Ø 電気式:床の直下に発熱体を組み込み、通電して加温、各方式ともに床表面の温度は 30℃程度が望ましい  

Ø 温水式:外部に熱源を持ちそこから温水を室床下に導いて暖房、熱源はガス・灯油等を用いる他に電気式のヒートポ

ンプを用いる場合もある  

Ø 温風式:高温の温風を床下に循環させる、韓国のオンドル  

 

(C) 蒸気暖房配管と付属機器  

Ø 暖房配管:1/200~1/300 の先下がりの勾配が必要  

Ø 付属機器:蒸気トラップ・放熱器トラップ等を用いて、蒸気が冷却された際に生じる凝結水の排出を行う  

 

(D) 暖房配管に使用される継手および弁類  

Ø 継手・弁類の留意点:高温・高圧に耐えるための工夫が必要  

 

(E) 放射熱暖房(冷房)  

Ø 放射熱冷暖房とは:天井・床・壁面に管を埋設し温水や冷水を流し、放射熱によって室内の温熱環境を調整、室内の

温度分布が均一化しやすいが予熱に時間がかかる、パネルヒーティングとも呼ばれる  

 

(F) 温気炉  

Ø 温気炉:空気加熱炉・送風機(ファン)・加湿器・エアフィルターなどを組み合わせた温風暖房ユニット  

 

(G) 温風暖房  

Ø 温風暖房の特徴:同時に換気空気清浄が可能・温度湿度の調整がしやすい・気温の上昇が早い、送風機から騒音が発

生する等の短所もある  

 

(H) 放熱器  

Ø 直接放熱器:鋳鉄製・鋼板製など、ラジエター、オイルヒータなどで採用されているヤツ  

Ø 空気加熱器:蒸気や温水を鋼管に通して付近の空気を温めて、ファンで送風  

 

(I) ボイラ  

Ø ボイラの種類:容量の少ない鋳鉄製ボイラ(蒸気は 0.1MPa まで)、容量の大きい鋼板製ボイラ(蒸気は 1.0MPa ま

で)、 も容量の大きい水管式ボイラ(1.0MPa い上の高圧水蒸気可能)  

Ø ボイラの設置:一定規模(伝熱面積 3㎡以上)のものは専用室に設置し出入口を 2箇所設ける、ボイラの 上部から

天井までの距離は 1.2m以上・周壁面とは 45cm以上離す  

 

『過去問』  

配管方式   リバースリターン配管方式は、各負荷機器を結ぶ配管長さをほぼ等しくして、配管抵抗をそろえた方式  

省エネ   運転開始後の予熱・予冷時間において外気取り入れを停止することは、省エネに有効   ×2  

 

 

 

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9.6 空気調和設備  

9.6.1 空調方式  

(A) 空調方式の分類と種類  

Ø 建築士試験における空調方式とは:大規模建築物で複数の室の温湿度管理が必要な場合を想定している  

Ø 空調方式の分類:全空気方式(単一ダクト方式・マルチゾーンユニット方式・二重ダクト方式など)、水・空気方式(フ

ァンコイルユニット方式など)、全水方式(ファンコイルユニット方式など)、個別ユニット方式(パッケージ方式・

マルチパッケージ方式など)  

 

(B) 定風量単一ダクト方式(CAV)  

Ø 定風量単一ダクト方式とは:1台の空調機から建物全室に対して 1本のダクトで温冷風を送風、各室で風量調整が不

可(個別の気温調整ができない)・各室間の温湿度のアンバランスが生じる等の短所がある、とにかく大空間に適する  

 

(C) 変風量単一ダクト方式(VAV)  

Ø 変風量単一ダクト方式とは:CAV 方式から各室で風量調整ができるように改良が加えられたもの、風量の調整によ

り各室で個別の気温調整が可能、ただし換気のための 低限の風量は確保する必要がある、ホテルの客室・病院の病

室等の各室が比較的細かく区切られた用途で有効  

 

(D) マルチゾーンユニット方式  

Ø マルチゾーンユニット方式とは:送風機の吐出し口に冷却・加熱コイルが設置されており、ゾーンごとに温冷の調整

が可能  

 

(E) 二重ダクト方式  

Ø 二重ダクト方式とは:冷風用と温風用の 2本のダクトを有する、混合ユニットで冷風と温風を混合し個別の温度調整

が可能  

 

(F) ファンコイルユニット方式(ダクト併用方式)  

Ø ファンコイルユニット方式とは:中央熱源室から冷水・温水を各ユニット(ファンとコイルを有する)まで供給し、

各ユニットにて気温の調整を行う、温冷水を共通の配管で供給する 2 管式(行きと戻りね)、温冷水を別々に供給す

る 4管式がある  

 

(G) 個別ユニット方式  

Ø 個別ユニット方式とは:送風機・冷凍機等が一つのパッケージとなっているもの、一般家庭にあるエアコン  

 

(H) その他の空調方式  

Ø デシカント空調方式:シリカゲルなどの化学的吸湿剤を用いて除湿を行う、エコ  

Ø タスクアンビエント空調方式:全体空調(アンビエント)と個人別・個別の空調(タスク)を併用した空調  

 

Ø 外気冷房:外気温が室内気温よりも低い際(中間期・冬期)の冷房に外気を用いる空調、事務所建築等では10~20%

程度の省エネが期待される  

 

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『過去問』  

中央熱源空調方式   個人別の空調調整も可能(タスクアンビエント)なため、パーソナル空調方式としての採用も可能  

中央熱源空調方式   設備関連機械室の所要スペースは、事務所ビルよりもシティーホテルの方が大きい  

空調方式   単一ダクト変風量方式(VAV)は負荷に応じて吹出口の空気量や温度の調整が可能  

空調方式   ファンコイルユニット方式はゾーニング制御・個別制御が容易、病室やホテル客室に採用される   ×2  

空調方式   変水量方式(VWV)、熱負荷に応じて送水量を調整可能、冷水ポンプの消費電力を抑えることが可能  

空調方式   機械室面積は床面積比、全空気方式で 7.3~9.5%、ファンコイル・ダクト併用方式で 4.6~8.0%程度  

空調方式   DDCは、自動制御方式の一、調節部にマイクロプロセッサが使用されて中央監視システムとの連動可  

空調方式   床吹出し空調は二重床を利用するもので、床吹出口の移設・増設に対応しやすい  

空調方式   冷温水の運搬熱量は、行き帰りの温度差・循環流量・水の比熱、水の密度の積で求める  

外気取り入れ   室内の二酸化炭素濃度に応じて外気取り入れを制御する方式は、余計な外気負荷の低減に有効  

外気冷房   外気ファン等で外気を取り入れ、内部発熱に対応するエコ換気  

外気冷房   内部発熱が大きく必要外気量の小さい建築物ほど、効果が高い  

外気冷房   外気冷房やナイトパージ(夜間外気導入)方式は、内部発熱の大きい建物の中間期・冬季に有効   ×3  

外気冷房   外気温が低い状況で導入されるので取入れた外気の方が相対湿度が低い、加湿が必要となる場合もあり  

 

9.6.2 空気調和設備に使用する機器等  

(A) 冷凍機  

Ø 圧縮式冷凍機の原理:常温で気化する媒質(以前はフロンガス、今は対替)フロンを用いる、媒質の気化熱で周囲の

水を冷却、媒質を加圧して再度液体へ変化、圧力を開放して気化を繰り返す  

Ø 圧縮式冷凍機の種類:往復型(レシプロ、往復運動をするピストンで加圧)、遠心型(ターボ、回転する羽根車で加圧)  

 

 

 

 

 

Ø 吸収式冷凍機の原理:水が媒質、水を低圧にすることで常温で気化させる、気化した水蒸気を吸収器(臭化リチウム)

で回収、再生機内で吸収液を高温にし水分のみ抽出、また水の圧力を…以降繰り返し  

Ø 吸収式冷凍機の特徴:圧縮機が無いので静か、冷却水や冷却塔(臭化リチウムを冷却する)が大規模になる(圧縮式

の 1.5~2倍程度)  

 

 

 

 

 

 

(B) 冷却塔  

Ø 冷却塔とは:冷却水を屋上などに設置した冷却塔に導き水を噴霧して通風によって冷却水を冷却  

Ø 冷却塔の設置位置:冷却塔付近には建物開口部を設けない(シックビル症候群の防止)  

 

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(C) 空気調和機  

Ø 空気調和機とは:外気と循環空気を混合し適温適湿の調和空気を作り、送風機によって各室へ送り込む機器のこと  

Ø 加熱コイル:らせん状のヘリカルフィンコイルと板状のプレートフィンコイルがあり  

Ø エアフィルター:粉塵除去用のエアフィルターの粒子捕集率の測定法には、計数法・比色法・質量法などがある  

Ø 空気洗浄機:冷水を噴霧して粉じんの除去や、空気の湿度調整を行う  

Ø 送風機:軸流送風機は静圧が低く風量が大きい、遠心送風機は静圧が高く風量が小さい傾向にある、2 台並列に設置

しても送風量は 2倍にはならない  

 

(D) ヒートポンプ  

Ø ヒートポンプとは:物質の状態を上手に操ることにより消費電力の数倍の熱量を移動させることが可能、冷媒回路を

切り替えることにより暖房に用いることも可能、外気温 7℃でギリバランスが取れる(井戸水は 15℃程度だから熱

源としては 適だけど、あまり使い過ぎると役所に怒られる…規制されているところもあり)  

 

 

(E) ダクト  

Ø ダクトの分類:低速ダクト(8~15m/s 程度)、高速ダクト(20~30m/s 程度)  

Ø アスペクト比:矩形の縦横の比、ダクトにおいては 4:1 以下とすることが望ましい(正方形に近いほうが送風の効

率が高い)  

 

Ø 圧力損失:圧力損失は、送風動圧(=1/2×空気密度×風速~2)に比例して大きくなる  

 

 

(F) 吹出し口・吸込み口  

Ø がらり:視線を遮りながら通風換気を行うために通風口に設けられる平行な薄板のこと、砂埃等を吸い込まないよう

に地上 4m以上の位置に設置、通過する風速は風切り音防止のために 3m/s 以下  

Ø がらりの風量:風量=有効開口率×がらり面積×面風速、面風速は 3m/s 程度とする、外壁ガラリの通過風量の基準

は、給気で 3m/s 以下、排気で 4m/s 以下  

 

(G) 保温・保冷  

Ø 冷温水配管の保温:グラスウール・発泡スチロールなどの保冷材を用いて送水時の温度変化を抑えること  

 

(H) 耐震設計  

Ø 地震への対策:各種機器の設置時に地震対策を講じる必要がある  

 

 

 

 

 

 

 

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『過去問』  

冷凍機   ノンフロン化にともない自然冷媒であるアンモニア・二酸化炭素・水などが冷媒として用いられている  

冷凍機   吸収冷凍機は、遠心式冷凍機に比べて大気に排出する熱量が約 1.5 倍となるので冷却塔は大型   ×2  

冷却塔   冷却塔と外気取り入れ口との離隔距離は 10m以上(レジオネラ症防止の為)  

冷却塔   冷却塔の冷却効果は、冷却水の蒸発潜熱により得られる  

冷却塔   電動冷凍機を用いた場合よりも二重効用吸収冷凍機を用いたほうが、補給水量は多い  

冷却塔   冷却塔と外気取入れがらりとの離間距離は 10m以上とする  

冷却塔   密閉式冷却塔は送風機動力は大きくなるが、水質劣化による性能低下のリスクは少ない  

コイル   冷温水コイルの通過風速は 2〜3m/s 程度が望ましい、蒸気コイルは 3〜5m/s 程度  

フィルタ   粉塵除去用のエアフィルタの粒子捕集率の測定法には、計数法・比色法・質量法の表示方法がある  

送風機   軸流送風機は静圧が低く風量が大きい、遠心送風機は静圧が高く風量が小さい傾向にある  

送風機   軸動力は送風機の全圧と送風量との積で求められる   ×2  

送風機   同一性能の送風機を 2台並列運転しても、風量は 2倍とはならない  

ヒートポンプ   井水は冬季において外気温よりも温度が高いので、ヒートポンプの熱源として効率が高い  

ヒートポンプ   ヒートポンプ給湯器の成績係数は 3〜4、電気温水器と比較して 1/3〜1/4 のエネルギー消費  

ヒートポンプ   利用効率は貯湯槽の容量や制御モードの影響を受ける  

ヒートポンプ   ガスタービンヒートポンプは、エンジンの排熱の利用によって暖房運転時の効率の向上を図る  

ポンプ   軸動力は「ポンプの吐出し量」と「全揚程」に比例する  

ダクト   圧力損失は、送風動圧(=1/2×空気密度×風速~2)に比例して大きくなる  

ダクト   風速 30%減で送風動圧約 1/2、損失半分  

ダクト   空調ダクトにおける圧力損失は、風速の二乗に比例する   ×3  

ダクト   送風エネルギー消費量、長方形ダクトの場合、正方形に近いほうが送風エネルギー消費量が小さい  

吹出口   アネモ型の方がライン状吹出口よりもコールドドラフトが生じにくい  

がらりの風量   風量=有効開口率×がらり面積×面風速、面風速は 3m/s 程度とする   ×2  

がらりの風量   外壁ガラリの通過風量の基準は、給気で 3m/s 以下、排気で 4m/s 以下  

がらりの風量   風量を同一と仮定した場合、外気取入れガラリの方が排気ガラリよりも正面面積は大きくなる  

 

9.7 ガス設備  

(A) ガスの種類  

Ø 都市ガス:都市ガスの種類は、比重・熱量・燃焼速度の違いにより区分される(13A などの数値は熱量と比重の関

係、アルファベットは燃焼速度)、空気よりも軽い  

Ø LP ガス:ボンベで供給、低濃度でも爆発の危険性有り、空気よりも重い  

 

(B) ガス器具の給排気  

Ø 探知機の設置位置と排気;都市ガスは天井付近に探知機を設置し上部から排気、LPガスは床付近に設置し下部排気  

 

(C) ガス設備の留意点  

『過去問』  

都市ガス   都市ガスの種類は、比重・熱量・燃焼速度の違いにより区分される  

都市ガス   13Aなどの数値は熱量と比重の関係、アルファベットは燃焼速度   ×2