騒音・振動概論音の大きさの感覚は,soneで表され,基準音の大きさを1soneとして,感...
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騒音・振動概論
11
平成21年度
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(1)騒音規制法(以下,「法」という。)第 2条(定義)第 1項では,「この
法律において「特定施設」とは,工場又は事業場に設置される施設のうち,
著しい騒音を発生する施設であって政令で定めるものをいう。」となって
おり,指定地域内だけに限っているわけではない。しかし,騒音規制を受
けることになる施設及び工場は,指定地域内のものだけである。誤り。
(2)法第2条(定義)第2項参照。正しい。
H21-30
騒音・振動関係 平成21年度
11 Question
-
(3)法第3条(地域の指定)第1項及び第2項参照。正しい。
(4)法第4条(規制基準の設定)第1項及び第2項参照。正しい。
(5)法第9条(計画変更勧告)参照。正しい。
以上のことから正解は(1)となる。(テキスト法規.編:騒音規制法)
H21-31
問1:正解(1)
騒音・振動概論
11
例えば,プレスとか,施設名を挙げて,それが特定施設に該当しているか否かの出題は騒音と振動を合わせると,2年に1回程度とよく出題されるが,本問題のような問いかけの問題は例が少ない。
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「特定工場等において発生する騒音の規制に関する基準」(以下,「基準」とい
う。)についての出題である。
(1)基準第1条(基準)備考2参照。正しい。
(2)基準第1条(基準)備考4(二)参照。「周期的又は間欠的に変動し,そ
の指示値の最大値がおおむね一定の場合は,その変動ごとの指示値の最大
値の平均値とする。」となっており,単に指示値の最大値ではないことか
ら,誤り。
(3)基準の環境大臣の定める「基準」は表のとおりであり,時間の区分及び
区域の区分は正しい。
H21-32
騒音・振動関係 平成21年度
11 Question
-
(4)基準第1条(基準)第2項一参照。正しい。
(5)基準第1条(基準)備考3参照。正しい。
以上のことから正解は(2)となる。
(テキスト法規編:騒音規制法,特定工場等において発生する騒音の規制に関
する基準)
H21-33
問2:正解(2)
騒音・振動概論
11
特定工場等において発生する騒音の規制に関する基準及び特定工場等において発生する振動の規制に関する基準については,基準値,測定方法,評価方法や値の決定方法等の違いはあるが,そのどちらかが,毎年出題されている。
45 デシベル以上 50デシベル以下
50 デシベル以上 60デシベル以下
60デシベル以上 65デシベル以下
65デシベル以上 70デシベル以下
40デシベル以上 45デシベル以下
45デシベル以上 50デシベル以下
55デシベル以上 65デシベル以下
60デシベル以上 70デシベル以下
40デシベル以上 45デシベル以下
40デシベル以上 50デシベル以下
50デシベル以上 55デシベル以下
55デシベル以上 65デシベル以下
第 1種区域
第 2種区域
第 3種区域
第 4種区域
昼 間区域の区分
時間の区分夜 間朝 ・ 夕
-
「騒音に係る環境基準について」(以下,「基準」という。)に関する出題であ
る。
(1)基準,第1環境基準,第2項,(2)参照。「騒音の評価手法は,等価騒音
レベルによるものとし,時間の区分ごとの全時間を通じた等価騒音レベル
によって評価することを原則とする。」となっており,音圧レベルではな
いことから,誤り。
(2)基準第1 環境基準第2項(1)参照。正しい。
(3)基準第1 環境基準第2項(5)参照。正しい。
(4)基準第1 環境基準第2項(5)なお書き参照。正しい。
(5)基準第2 達成期間等第1項(1)参照。正しい。
H21-34
騒音・振動関係 平成21年度
11 Question
-
以上のことから正解は(1)となる。
(テキスト法規編:騒音に係る環境基準について)
H21-35
問3:正解(1)
騒音・振動概論
11
騒音に係る環境基準については,基準値,測定方法,評価方法,地域の類型,時間の区分,達成期間等の違いはあるが,ほぼ毎年出題されている。
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振動規制法の目的に関する出題である。
振動規制法の第 1条(目的)は,「この法律は,鉉工場及び事業場における
鉤事業活動並びに建設工事に伴つて発生する鉈相当範囲にわたる振動について
必要な規制を行うとともに,道路交通振動に係る要請の措置を定めること等に
より,銕生活環境を保全し,国民の健康の保護に資することを目的とする。」と
なっていることから,正解は(3)となる。(テキスト法規編:振動規制法)
H21-36
問4:正解(3)
騒音・振動関係 平成21年度
11
本問題のように,振動規制法や騒音規制法の目的だけでの出題は少なかったが,他の事項との複合した設問の一つまで含めると,2年に1回程度出題される。法の目的は基本であるので確実に覚える必要がある。
Question
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「特定工場等において発生する振動の規制に関する基準」(以下,「基準」とい
う。)に関する出題である。
(1)基準第1条(基準)備考3参照。正しい。
(2)基準第1条(基準)備考6三参照。正しい。
(3)基準の環境大臣の定める「基準」は表のとおりであり,「第3種区域」と
いうものはない。誤り。
(4)基準第1条(基準)備考5一イ参照。正しい。
(5)基準第1条(基準)備考5一ハ参照。正しい。
H21-37
騒音・振動概論
11Question
55 デシベル以上 60デシベル以下
60デシベル以上 65デシベル以下
60デシベル以上 65デシベル以下
65デシベル以上 70デシベル以下
第 1 種区域
第 2 種区域
昼 間区域の区分
時間の区分夜 間
-
以上のことから正解は(3)となる。
(テキスト法規編:振動規制法,特定工場等において発生する振動の規制に関
する基準)
H21-38
問5:正解(3)
騒音・振動関係 平成21年度
11
特定工場等において発生する振動の規制に関する基準及び特定工場等において発生する騒音の規制に関する基準については,基準値,測定方法,評価方法や値の決定方法等の違いはあるが,そのどちらかが,毎年出題されている。今回の試験問題では問2に騒音の規制に関する基準からの出題があり,騒音振動の両方で出題があった。
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「特定工場における公害防止組織の整備に関する法律」(以下,「法」という。)
騒音及び振動発生施設に関する出題である。
(1)法施行令第4条(騒音発生施設)第1号参照。正しい。
(2)法施行令第4条(騒音発生施設)第2号参照。正しい。
(3)法施行令第5条の 2(振動発生施設)第3号参照。正しい。
(4)法施行令第4条(騒音発生施設)参照。騒音発生施設として定められて
いるものは,機械プレスと鍛造機の2機種のみであり,液圧プレスは定め
られていないことから,誤り。なお,液圧プレスは振動発生施設として定
められている。
(5)法施行令第5条の 2(振動発生施設)第1号参照。正しい。
以上のことから正解は(4)となる。
(テキスト法規編:特定工場における公害防止組織の整備に関する法律,同施
行令)
H21-39
問6:正解(4)
騒音・振動概論
11
同法による騒音発生施設であるか振動発生施設であるかの違いはあるが,騒音又は振動発生施設に関する出題頻度は多い。今回のように騒音及び振動の発生施設が同時に出題されることは少なかった。
Question
-
主要な音源の特徴についての出題である。
(1)機械別の騒音レベルの情報によると,鍛造機は 85~ 120dB,製管機械
は 90~ 115 dB,送風機は 75~ 115 dBのものがありこれらの機械は概し
て騒音レベルが高い。正しい。
(2)建設工事用機械別の騒音レベルの情報によると,ディーゼルハンマ 90
~ 103 dB,ドロップハンマは 88~ 98dB,リベットガンは 80~ 86dBの
ものがありこれらの機械は概して騒音レベルが高い。正しい。
(3)自動車騒音の特徴であり,定常走行では,タイヤ音の寄与が約6割以上
となり,速度の増加とともに,タイヤ音による高周波成分が増加する。エ
ンジン音の寄与の比率はタイヤ音より小さい。誤り。
(4)最近の民間ジェット旅客機は,騒音対策が進み,かつてのような高音域
成分の多い旅客機は少なくなって,その分中低周波数成分の多いものとな
ってきている。正しい。
H21-40
騒音・振動関係 平成21年度
11 Question
-
(5)鉄道騒音の特徴であり,正しい。なお,新幹線鉄道騒音は高速度のため,
空力音の影響等により高い周波数成分の多いものとなっている。
以上のことから正解は(3)となる。(テキスト2. 3. 2 ~ 6)
H21-41
問7:正解(3)
騒音・振動概論
11
主要な騒音源の特徴;騒音・振動概論:H18問 8。比較的頻度の多い出題であり,特徴以外のものとの組合せで出題されることもある。
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音の大きさと音の強さのレベルに関しての出題である。
音の大きさの感覚は,soneで表され,基準音の大きさを 1 soneとして,感
覚上 n倍に聞こえる音の大きさを n soneとしている。音の大きさのレベルは
単位をphonで表している。
音の大きさ S(sone)と音の大きさのレベル L N(phon)の間には,次式の関
係がある。
S=2(LN-40)/10 又は,LN = 10 log2S+ 40 = 33.2 log10 S+ 40
音の大きさ Sが 2倍になると音の大きさのレベルは,10 phon大きくなる。
題意での周波数は1kHzであることから,phon=dB と判断できる。10 phon大
きくなることは,10 dBレベル大きくなることになる。音の強さのレベル L 1
は,次式で表される。
(1)
強さが10倍になったときにレベルが10 dB 大きくなることから,音の大き
さが2倍と感じるときの,音の強さは10倍のときである。又は,レベルが10
dB 大きくなったときの強さのレベルを L 10,そのときの音の強さを I 10とする
と,次のように計算でも求めることができる。
L1 +10= log I0
I10
L1 = 10 log ( I:音の強さ,I0:基準の音の強さ)I0
I
H21-42
騒音・振動関係 平成21年度
11 Question
-
(2)
式(1)と式(2)より
以上のことから正解は(5)となる。(テキスト2. 4. 3)
I10=10 I
L1 =10 log =10 log I0
I
10 I0
I10
=I0
I
10 I0
I10
L1 = log × -10=10 log -10 log 10=10 log I0
I10
I0
I10
I0
I10
101
H21-43
問8:正解(5)
騒音・振動概論
11
音の大きさと音の強さのレベルに関しての出題は,比較的少ないが,音の大きさに絡んだ出題は頻度が多く,騒音・振動概論:H18問 14,H19問 9・問10,H20問 11と出題されている。
-
音の聞こえに関する出題である。
(1)人の可聴範囲で,周波数は20~ 20000 Hz,レベル範囲は,人によって
0~ 130 dBという人もいるが,少し安全をみて一般には,0~ 120 dBと
している。正しい。
(2)音の大きさの感覚尺度(ソーン)は,周波数 1000Hz・40 dBの純音を
基準音とする比率尺度である。2000Hzではない。誤り。
(3)等価騒音レベルは変動する騒音のある時間範囲 Tについて,エネルギー
的な平均値として表したレベルであり,I=p 2/tcであることから次式のよ
うにも表される。正しい。
I:強さ(エネルギー),p:音圧,tc:特性インピーダンス,
T:ある範囲の時間,pA :対象とする騒音の瞬時A特性音圧
p0:基準音圧,IA :対象とする騒音の瞬時A特性強さ
等価騒音レベル= LAeq,T= 10 log
= 10 log
pA2
p02
IAI0
t1
t2#
t1
t2#
dtT
1 ( t)
dtT
1 ( t)
H21-44
騒音・振動関係 平成21年度
11 Question
-
I 0 :基準強さ
(4)マスキングの定義である。正しい。
(5)音の大きさ(ラウドネス)の定義である。正しい。
以上のことから正解は(2)となる。(テキスト2. 4. 2 ~ 3,2. 4. 5,2. 4. 8)
H21-45
騒音・振動概論
11
音の大きさを含めた音の聞こえ;騒音・振動概論:H18問 9,H19問13,H20問10と毎年出題されている。
問9:正解(2)
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H21-46
騒音・振動関係 平成21年度
11
影響・評価に係る単位記号;騒音・振動概論:H19問 12。数年に1回程度出題されている。しかし,単位そのものは基本的なものであるので,複合した問題で出題されることも含めるとより出題頻度は多い。
単位記号等と騒音の評価量との関係に関する出題である。
(1)平成 25 年 4月からの新「航空機騒音に係る環境基準について」では,
Lden で評価することになっている。正しい。
(2)音の大きさのレベルの単位は,phonである。正しい。
(3)騒音に係る環境基準は,等価騒音レベルで評価することになっている。
道路交通騒音も環境騒音の中に含まれている。正しい。
(4)工場騒音は,レベル変動に応じて評価をすることになっているが,
WECPNLでは評価しない。なお,WECPNLは航空機騒音の現在の環境基
準の評価基準に用いられているものである。誤り。
(5)音の高さの心理尺度にmelが用いられている。正しい。
以上のことから正解は(4)となる。
(テキスト2. 3. 6,2. 4. 3,2. 4. 5,2. 4. 7,法規編:航空機騒音に係る環境基準,
騒音に係る環境基準)
問10:正解(4)
Question
-
H21-47
騒音・振動概論
11
騒音の影響の起こる概念の図での出題である。
鉉のブロックは,感覚的被害及び聴取妨害から情緒的被害,睡眠休養妨害及
び精神作業妨害から被害感とか妨害感等の意識(知覚)をつかさどる部分であ
る。すなわち,大脳である。鉤は身体的影響であることから身体が入る。鉈は
Question
-
H21-48
問11:正解(2)
騒音・振動関係 平成21年度
11
騒音の影響の起こり方の概念の図での出題であるが,このような図での出題はほぼ初めてである。類似問題として,騒音の影響と種類まで含めると,騒音・振動概論H18問 11がある。
いろいろな反応の総合的な結果として,うるささやわずらわしさが生じてくる
ことであるから,アノイアンスが入る。
以上のことから正解は(2)となる。(テキスト2. 5. 1 -1)
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H21-49
騒音・振動概論
11
騒音の評価等にかかわる基本的なものに関する出題である。
(1)騒音レベルは,A特性音圧レベルのことであるが,そのA特性は等ラ
ウドネス曲線の 40 phonに準拠して作られた周波数重み特性であり,騒
音計の中に,周波数補正特性(聴感補正回路)として組み込まれているも
のである。誤り。
(2)音の大きさの等感曲線は図,A特性の補正値は表のとおりであり,A特
性の補正値と等感曲線とは一致していないため,騒音レベルの感覚と音の
大きさのレベルは必ずしも一致しないことがある。正しい。
(3)等価騒音レベルは,変動する騒音のある時間範囲 Tについて,エネルギ
ー的な平均値として表したレベルである。また,変動する騒音のある時間
範囲 Tにおける等価騒音レベルは,その騒音と等しいA特性の平均 2乗
音圧を持つ定常音(定常なエネルギーの音)の騒音レベルに相当する。正
しい。
(4)単発騒音暴露レベルは,単発的に発生する騒音の全エネルギー(瞬時A
特性音圧の2乗積分値)と等しいエネルギーを持つ継続時間1秒の定常音
Question
-
H21-50
騒音・振動関係 平成21年度
11
騒音の諸量及び評価等にかかわる基本的なものに関する出題は,騒音・振動概論:H19問10,H20問 12とあり,また,A特性の基本は重要なものであるため,関連したものまで含めると毎年あり,頻度多く出題されている。
の騒音レベルである。正しい。
(5)時間率騒音レベルは,時間重み特性 Fで測定した騒音レベルが,対象と
する時間 Tの Nパーセントの時間にわたって,あるレベル値を超えてい
る場合,そのレベルがNパーセント時間率騒音レベルとなる。この時間率
騒音レベルを求める場合は,累積度数曲線を用いて統計的に求める。正し
い。
以上のことから正解は(1)となる。
(テキスト2. 4. 4 ~ 5,2. 6. 1,4. 2. 3 -6(3))
20 31.5 63
140
130
120
110
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
-10125 250 500
周波数(Hz)
音圧レベル(
dB)
1 k 2 k 4 k 8 k 16 k 20 k
可聴音の範囲(網かけ部分)と音の大きさの等感曲線(等ラウドネス曲線)
最小可聴値
不快領域
周波数(Hz) 31.5 63 125 250 500 1k 2k 4k 8k
A 特性補正値(dB) -39.4 -26.2 -16.1 -8.6 -3.2 0 +1.2 +1.0 -1.1
問12:正解(1)
-
音の基本に関する出題である。
以上のことから正解は(3)となる。
(テキスト2. 6. 1-1,2. 6. 1-4,2. 6. 3)
tcp 2
273T
空気中を伝わる音は鉉縦波であり,その伝搬速度は,伝搬速度の式 c =
331.5 (T:絶対温度)から,空気の絶対温度の鉤平方根に比例する。
また,音の強さは,I = (I :音の強さ, p :音圧(実効値),tc:空気の
特性インピーダンス(固有音響抵抗))より,音圧実効値の鉈二乗に比例する。
H21-51
Question
H21-51
問13:正解(3)
騒音・振動概論
11
音の基本に関する出題は,基本的すぎて出題されることは少ない。しかし,関連しての出題は,騒音・振動概論:H19問 16,H20問 15と頻度多く出題されている。
-
H21-52
騒音・振動関係 平成21年度
11
いろいろな諸量への換算の出題は,騒音・振動概論:H18問 14,H19問 15,H20問 16と頻度多く出題されている。
1 kHz,2× 10-3 Paをいろいろに換算する出題である。
(4)音の大きさの感覚尺度(sone)は,周波数1000Hz・40dBの純音を基準
音とする比率尺度であり,1000Hz・40dBの音は 1 soneとなる。また,
音の大きさ 10sone は,L N=33.2 log 10+40=73.2phon(73.2dB)であり,
40dBではないことから,誤り。
(5)1 kHzにおいては,音の大きさのレベル(phon)=音圧レベル(dB)であ
ることから,40phon= 40dBとなり,正しい。
以上のことから正解は(4)となる。(テキスト2. 4. 3,2. 6. 1-6)
×10-3 2×10-5 2( (
(2×10-3)2
4004×10-6
400
I
I0( (tcp 2
tcp 2
p02
p2
(1)音圧レベル Lp = 10 log(p2/p02)=20 log =20 log (102)
=40 dB,正しい。
(2)音の強さのレベル Lp = 10 log(I /I0 )と音圧レベル Lp = 10 log
(p2/p02)は I = により,Lp = 10 log = 10 log であり,数
値的には等しいことから,正しい。また,ごく簡単には強さのレベ
ル≒音圧レベルとして良い。
(3)音の強さ I = = = = 10-8ことから,正しい。
問14:正解(4)
Question
-
H21-53
問15:正解(1)
騒音・振動概論
11
音の基本である音の伝搬速度の出題であるが,伝搬速度そのものに関してのみの出題は少ない。
音の伝搬速度に関しての出題である。
伝搬速度は c = 331.5 (T:絶対温度=273+θ)で表されることから,
正解は(1)となる。なお,常温前後のときには略式で,c= 331.5 +0.61θとす
ることもできる。常温と差のある温度範囲の場合は略式は用いない。
(テキスト2. 6. 3 -1)
273T
Question
-
H21-54
騒音・振動関係 平成21年度
11
音の屈折は,下式で表され,気温の低いほう(伝搬速度の遅いほう)に屈折
する性質がある。言い換えれば,音は気温の低いほうに集まるような伝搬の仕
方をする。冬の地表面の冷えた夜間等に遠くの音がよく聞こえることがあるの
はこのためである。
風の影響については,「音の伝搬速度=331.5+ 0.61θ+風速」と判断される
sin i1sin i2
=c 2
c 1
Question
-
H21-55
問16:正解(4)
騒音・振動概論
11
音の伝搬状況は基本的なものであるが,出題頻度はやや少なく,騒音・振動:H18問 15がある程度である。
ことから,風速の遅いほうに音が集まるような伝搬の仕方をする。大気中の風
速は一般に地上より上空のほうが速い。このため風下の地表近くに音が集まる
ような伝搬の仕方をする。
したがって(a)では,上空鉉が高温,低いほう鉤が低温,(b)ではその逆で
上空鉈が低温,低いほう銕が高温,(c)では,上空が鈿風速大,低いほう鉋
が風速小となる。
以上のことから正解は(4)となる。(テキスト2. 6. 3 -5)
-
H21-56
問17:正解(2)
騒音・振動関係 平成21年度
11
このような苦情件数等に関する出題は,騒音又は振動のどちらかで毎年ある。また,両者の苦情件数の比較に関する出題もある。
公害等調整委員会の調べによる振動公害の苦情に関する出題である。最近及
び数年間の定義がはっきりしていないが,最新の資料での最寄の3年間のデー
タは次のようになっている。
(1)振動公害の苦情件数は,平成16年度 1916件,平成17年度 2100件,平
成18年度 2081件であり,ほぼ2000件前後である。正しい。
(2)道路交通振動に対する苦情件数の交通機関全体に占める比率は,平成16
年度270/308,平成17年度281/332,平成18年度278/329であり,約85%
程度になっている。40%ではないことから,誤り。
(3)製造事業所に対する苦情件数は,平成 17年度に多少増加したが,大筋
では斬減傾向である。正しい。
(4)交通機関と製造事業所の苦情件数は,平成 16年度 308対 188,平成 17
年度 332対 207,平成18年度 329対 160であり,交通機関に対する苦情件
数のほうが多い。正しい。
(5)建築・土木工事の全体の苦情件数に占める比率は,平成16年度54.9%,
平成17年度53.4%,平成18年度56.8%であり,全体の半数以上を占めて
いる。正しい。
以上のことから正解は(2)となる。(テキスト3. 2. 2)
Question
-
H21-57
騒音・振動概論
11
主要な振動発生源全般の特徴についての出題である。
(1)プレス機械は衝撃振動を発生し,比較的レベルも大きく苦情の多いもの
となっている。昭和 48年当時の資料によると,機械プレスの苦情が最も
多く,次いで同様な衝撃振動の発生する鍛造機であった。振動は衝撃で発
生することがほとんどであり,現在もこの傾向は続いていると判断してよ
い。正しい。
(2)建設作業振動の苦情について,東京都の調査によれば,苦情の発生と工
事現場からの距離では,10m以内が43%,10~ 20m未満が27%,20~
50m未満が23%であり,50m未満で90%以上と,近い距離のものがほと
んどで,50m以遠は約8%であった。正しい。
(3)道路交通振動のピーク成分(最大値)を支配しているのは大型車両の走
行である。正しい。
(4)自動車の走行速度10km/h当たりの変化で,振動レベルは2~ 3 dB程
度の変化をしている。路面補修による効果は,一般的に 5~ 10 dBの振
動レベルの低減効果が見込めるようである。よって,路面補修による変化
のほうが大きい。正しい。
Question
-
(5)新幹線鉄道によって生じる振動の振動レベルの時間変動のレベル波形は,
台形パターンを示し,三角形パターンでない。誤り。
以上のことから正解は(5)となる。
(テキスト3. 3. 1,3. 3. 2,3. 3. 3,3. 3. 4)
H21-58
問18:正解(5)
騒音・振動関係 平成21年度
11
主要な振動発生源である機械,建設作業,道路交通及び新幹線鉄道それぞれの振動の特徴に関する出題は,その中の全部又はいくつかのどちらかという見方をすると毎年ある。新幹線鉄道振動の振動レベル波形パターン;騒音・振動概論:H20問 19
-
H21-59
騒音・振動概論
11
振動の感覚についての出題である。
(1)振動レベル計の指示計の動特性(時間重み特性)は,図1に示す振動の
継続時間と,振動の大きさの感じ方との関係の実験の結果から定められて
いる。この特性を時定数で表すと0.63秒となり,振動レベル計の指針の振
れの速さに採用されている。継続時間に対する感覚特性と無関係ではない。
誤り。
0
2
4
6
8
10
12
14
16
18
5.02.01.00.50.20.10.050.020.01
振動の大きさの相対値(
dB)
継続時間(s)
周波数(Hz)
2510204060100200
10510510510510510510090
パルスレベル(VGL)
[出典:三輪]
図 1 振動の継続時間と振動の大きさの感じ方との関係
Question
-
H21-60
騒音・振動関係 平成21年度
11
振動の感覚;騒音・振動概論:H18問 20,H19問 20,H20問 20
(2)鉛直,水平振動に対する人体の応答曲線(図2参照)より,水平振動で
は,1~ 2 Hzの周波数範囲の振動が最も感じやすく,鉛直振動の最も感
じやすい周波数は 4~ 8 Hzであり,水平振動のそれより鉛直振動のほう
が高い周波数である。正しい。
(3)感じるか感じないかの境目の値を感覚閾値といい,振動を感じるか感じ
ないかの境の値は振動感覚閾値といわれる。正しい。
(4)図1の振動の継続時間と振動の大きさの感じ方との関係の実験結果によ
ると,2秒以上の継続振動は,連続してより継続している振動と同じ大き
さに感じており,継続時間5秒以上においても当然連続振動と同じ大きさ
に感じる。正しい。
(5)図2の鉛直・水平振動に対する人体の応答曲線より,鉛直振動と水平振
動では感じ方に差のあることが分かる。正しい。
以上のことから正解は(1)となる。(テキスト3. 4. 4(1)~(3))
10.0
5.0
2.5
1.0
0.5
0.25
1 2 4 8 16 31.5 6380
3 dB
9 dB
+3 dB/oct加速度(
rms )(
m/s2 )
周波数(Hz)
① 鉛直振動 (労働環境の 8時間の許容限界)② 水平振動 (労働環境の 8時間の許容限界)
+6 dB/oct
①
②
(注) oct:octaveの略,倍の周波数[出典:ISO 2631:1974]
図 2 鉛直・水平振動に対する人体の応答曲線
問19:正解(1)
-
H21-61
騒音・振動概論
11
振動感覚と人体各部の影響に関する出題である。
(1)前問の図2の鉛直・水平振動に対する人体の応答曲線より,水平振動で
は 1~ 2 Hzの周波数範囲の振動が最も感じやすいことが分かる。正し
い。
(2)前問の図1の振動の継続時間と振動の大きさの感じ方との関係より,低
い周波数の振動では,約 2秒以下,高い周波数の振動では約 1秒以下で,
継続時間がそれより短いと大きさの感覚量が変化し,短いほど小さく感じ
る。一般に継続時間2秒以下の振動では,連続振動の大きさよりも,継続
時間が短いほど,その大きさが小さく感じることが分かる。正しい。
(3)人体を振動台の上で加振した場合,立位と座位について振動台対人体各
部位の振動加速度比を実測した実験結果によると,人体各部位が,周波数
の変化によっていろいろな物理的応答を示すことが分かっており,特にお
よそ 4~ 8 Hzの周波数では,腰から上が振動台の振動と比べて 1.5~ 2
倍ぐらいに大きく揺れることが分かっている。人体の共振周波数は,座席
への体の固定方法,姿勢,振動の方向などによって異なるが,鉛直振動で
Question
-
は,立位や座位の人体の胸腹部の共振は,4~ 8 Hz付近にある。正しい。
(4)(3)での実験では,鉛直振動のとき,頭部,特に眼球では20~ 30 Hz
付近に共振が現れるといわれている。正しい。
(5)座位の人体に鉛直振動が耐えられる限界まで暴露したときに出現する症
状を周波数と共に示した資料によると,その周波数は 10 Hz付近の周波
数のものが多く,20 Hzより高い周波数でのものの記述はなかった。このこ
とから,20Hz以上の周波数が大きな影響を与えているとはいえない。誤り。
以上のことから正解は(5)となる。(テキスト3. 4. 4,3. 4. 5)
H21-62
問20:正解(5)
騒音・振動関係 平成21年度
11
振動感覚と人体各部の影響;騒音・振動概論:H18問 19
-
H21-63
騒音・振動概論
11
振動規制法の規制基準値設定時の測定位置を含めての基本的な考え方等に関
しての出題である。
(1)「工場,建設作業,道路交通,新幹線鉄道の振動に係る基準の根拠等に
ついて」(振動専門委員会報告添付資料,昭和 51年 2月 28日,中央公害
対策審議会騒音振動部会,振動専門委員会)によると,その中の基準値の
設定についての基本的考え方では,「基準値設定の基本的考え方は,昼間
については,振動による健康障害はもとより日常生活にも支障を与えない
こととし,夜間については,睡眠妨害等の影響を生ぜしめないこととし
た。」とあることから,正しい。
(2)振動の評価は,ISO 2631-1974「全身振動暴露の評価に関する指針」で
の,周波数補正を準用した,振動レベルで評価していることから,正しい。
(3)振動規制法の規制値は,敷地の境界線での振動レベルのため,振動規制
法での規制値等との比較のための測定は,敷地境界線での振動レベルの測
定結果を評価することになる。住民の建物内の振動レベルの測定結果は,
参考値としかならない。誤り。
Question
-
(4)(1)の説明により,正しい。
(5)振動の規制基準は,表のようである。区域の区分の第1種区域とは,良
好な住居の環境を保全するため,特に静穏の保持を必要とする区域及び住
居の用に供されているため,静穏の保持を必要とする区域,第2種区域と
は,住居の用に併せて商業,工業等の用に供されている区域であって,そ
の区域内の住民の生活環境を保全するため,振動の発生を防止する必要が
ある区域及び主として工業等の用に供されている区域であって,その区域
内の住民の生活環境を悪化させないため,著しい振動の発生を防止する必
要がある区域であり,地域性も加味されて設定されている。正しい。
以上のことから正解は(3)となる。
(テキスト3. 4. 8,振動規制法第2条第2項,特定工場等において発生する振動
の規制に関する基準)
55 デシベル以上 60デシベル以下
60デシベル以上 65デシベル以下
60デシベル以上 65デシベル以下
65デシベル以上 70デシベル以下
第 1 種区域
第 2 種区域
昼 間区域の区分
時間の区分夜 間
H21-64
問21:正解(3)
騒音・振動関係 平成21年度
11
振動の規制値設定に関連しての,また,測定位置に関しても出題は,頻度が少ない。
-
H21-65
騒音・振動概論
11
振動の変位,速度,加速度,加速度レベル及び振動レベルについて,それら
の換算の出題である。
dtdy
dt
dv
d2t
dy2
a0
a( (
y0ωω
2
振動変位を y = y0 sinωt とすると,振動速度は v = = y
0 ωcosωt,振動
加速度は a = = =-ωv0 sinωt =-y
0ω2 sinωt で表される。そのピ
ーク値にのみ着目すると,変位を y0とすると,速度は v =y
0ω,加速度は a
= vω = y0ω2 と表され,周波数と変位等のどれか一つが分かれば他の二つは,
換算できることになる。なお,ω = 2rf である。また,正弦振動の実効値は,
加速度等のピーク値×1/ である。加速度レベルは L = 20 log ,
a0 =10-5である。鉛直方向振動の 20 Hzの人体感覚補正値は-8 dBである。
これらをもとに計算すると次のようである。なお,20 Hz の人体感覚補正値
が不明の場合は,16 Hz が-6 dB,31.5 Hz が-12 dB であることから,補
間法で求める。
(1)振動変位振幅 y0= =9×10-4/(2rf )≒ 9×10-4/125.7≒7.2×10-6。
正しい。
(2)振動加速度振幅=速度振幅×ω=vω=9×10-4×(2rf )=9×10-4×125.7
Question
-
以上のことから正解は(4)となる。(テキスト3. 6. 2 -2~ 4)
2
≒11×10-2 = 0.11。正しい。
(3)振動加速度実効値= a/ ≒0.11/1.414 = 0.08。正しい。
(4)振動加速度レベル=20 log(0.08/10-5)= 20 log(8×103)=18+60=78。
75ではないことから誤り。
(5)振動レベル=加速度レベル+感覚補正値=78+(-8)=70。正しい。
H21-66
問22:正解(4)
騒音・振動関係 平成21年度
11
変位,速度,加速度,加速度レベル,振動レベルの換算;H18問 22,H19問 24,H20問 24振動に関しての基本的事項で,これらの相互の変換の問題は,振動レベル計の校正を求める問題等を含めると出題頻度が多く,他にこの基本を知らないと解けない問題も多い。基本的事項は確実に覚えておくことが必要である。
-
固有振動数( f 0)を求め,その値を使ってばね定数(k=mω02)を求める出題
である。
ばねの変位(d)(伸び)と固有振動数 f0 は,変位の長さの単位をmで与える
と次のようになる。式に数値を代入する場合,単位に気をつける必要がある。
このときのばね定数は k=mω02 で与えられる。
k=m×(2πf 0)2=1×(2×π×5)
2≒1000
以上のことから正解は(1)となる。(テキスト3. 6. 3 -1)
f0 = = =5=
d
0.5 0.5
0.01
0.50.1
H21-67
問23:正解(1)
騒音・振動概論
11
簡単なばね定数の計算は,基本的なものであるため,特論も含めるとほぼ毎年出題される。
Question
-
H21-68
騒音・振動関係 平成21年度
11
レーリー波の伝搬状況に関する出題である。
(1)レーリー波は,楕円運動(図参照)をし,進行方向の運動だけではない
ことから,誤り。
(2)媒質粒子運動の振幅は,深さと共に急激に小さくなり,1波長分の深さ
では,表面の0.4倍以下となる(図参照)。誤り。
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
1.2
1.4
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
1.2
1.4
深さ
/レーリー波の波長
表面の振幅との比
レーリー波の鉛直成分,水平成分
(水平成分)
(鉛直成分)
v= 0.25
v= 0.5
1.21.00.80.60.40.2-0.2-0.4-0.6 0
Question
-
H21-69
問24:正解(5)
騒音・振動概論
11
波動の伝搬についての出題は,ほぼ毎年あるが,レーリー波の特長に関連しての出題は,騒音・振動概論:H18問 24があり,2年に1回程度の出題である。
(3)伝搬速度は,剪断波の速度の0.965~ 0.92倍程度であり,5割ではない。
誤り。
(4)媒質粒子の運動は円運動ではなく,楕円運動である(図参照)。誤り。
(5)楕円運動の方向は,波長の1/5ぐらいの深さで水平方向成分は逆方向に
なり,地表とそれ以上の深さの地中では方向が逆となる(図参照)。正し
い。
以上のことから正解は(5)となる。(テキスト3. 6. 4-2(3))
-
H21-70
騒音・振動関係 平成21年度
11
低周波音の特徴等についての出題である。なお,低周波音は,その特徴関係
は騒音・振動概論,測定関連は,騒音・振動特論で出題されることが多いが,
特徴と測定の両者を合わせて一つの問題としてどちらかで出題されることもあ
る。
(1)圧迫感,振動感は 40 Hz付近で特に強く感じられるといわれている。
正しい。
(2)心理的反応として圧迫感,振動感があることが知られている。正しい。
(3)周波数20 Hz 以下の音波を超低周波音という。誤り。
(4)建具に超低周波音及び低周波音を照射して,次第に音圧レベルを上昇さ
せ,建具ががたつき始める音圧レベルを実験室で調べた環境庁(現環境省)
の調査結果を図に示す。その結果では,建具の揺れ始める最低音圧レベル
は,建具の種類,大きさ,設置条件建具背後の部屋の構成や戸や扉の開閉
状態でも大きく異なっていた。正しい。
(5)図によると,建具の揺れ始める最低の音圧レベルは70~ 75 dBと判断
され,60 dB以下では建具の揺れは生じないと判断されている。正しい。
以上のことから正解は(3)となる。(テキスト2. 7. 1)
Question
-
H21-71
問25:正解(3)
騒音・振動概論
11
低周波音の出題が,平成20年度問25,関連しての出題が平成19年度特論問16とあり,一般的なものは概論で,測定関連は特論で出題される。
入射周波数(Hz)
障子木製サッシ木製雨戸アルミサッシ鉄サッシ
入射音:純音(5~50 Hz)
入射音圧レベル(
dB)
建具のがたつき閾値(研究報告例)
10 20 30 40 50
120
110
100
90
80
70
60
50
印は,このレベル以下ではがたつきが発生しないもの