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8.3 キー 7/ 9 - 1.キーの種類 2.キーの端部 3.キーの強度 4.キーの呼び方 5.キーの用途 (1)沈みキー ①平行キー ②すべりキー ③こう配(打ち込み)キー (2)半月キー (3)接線キー (4)平キー (5)くらキー (6)丸キー 6.キーの選定 7.キーの強度計算 (1)せん断強さ (2)圧縮強さ

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8.3 キー 7/ 9 - ①

1.キーの種類 2.キーの端部 3.キーの強度 4.キーの呼び方 5.キーの用途 (1)沈みキー ①平行キー ②すべりキー ③こう配(打ち込み)キー (2)半月キー (3)接線キー (4)平キー (5)くらキー (6)丸キー 6.キーの選定 7.キーの強度計算 (1)せん断強さ (2)圧縮強さ

8.3 キー 7/ 9 - ②

1.キーの種類 2.キーの端部

形 状 記号

平行キー ねじ用穴なし P

ねじ用穴付き PS

こう配キー 頭なし T

頭付き TC

半月キー 丸底 WA

平底 WB

(A)両丸形 (B)両角形 (C)片丸形

b b b

l l l

丸形の端部は、受渡当事者によって、面取りとして良い

技能技術の館

8.3 キー 7/ 9 - ③

3.キーの強度 キーの引張強度は、600N/mm2以上でなければならない。 (キー材料としては、S45C、S55C材が使用されることが多い) 4.キーと軸・ハブとの関係 5.キーの呼び方 例1. JIS B 1301 ねじ穴なし平行キー丸形25×14×90 又は、JIS B 1301 P-A 25×14×90 例2. JIS B 1301 丸底半月キー3×16 又は、JIS B1 301 WA 3×16

形 式 説 明 適用するキー

滑動形 軸とハブとが相対的に軸方向に滑動出来る結合 平行キー

普通形 軸に固定されたキーにハブをはめ込む結合 平行キー 半月キー

締込み形 軸に固定されたキーにハブを締め込む結合、又は組み付けられた軸とハブとの間にキーを打ち込む場合

平行キー 半月キー

技能技術の館

8.3 キー 7/ 9 - ④

6.キーの用途 (1)沈みキー 最も一般的に使われるキーで、軸とボスの両方にキー溝を 切ってキーをはめ込むようにしたものである。回転力の伝 達が確実に行われるところに使用する。 ①平行キー 軸のキー溝にキーをはめ込んで、ボスと固定する。 キーの両側面は上仕上げ、上下面は並仕上げ。 両側面にシメシロをつけ、上下にすきまをつける。 ②すべりキー(フェザーキー) キーを軸又はボスにボルト固定し、スライドできるよう にしたもの。クラッチや変速機使用される。 ③打ち込みキー キーの上面に1/100の勾配がついているボスの溝には 1/100の勾配、軸の溝は軸に平行上面と下面は上仕上げ、 側面は並仕上げ。上下面に、シメシロをつけてハンマで打 込む。

技能技術の館

8.3 キー 7/ 9 - ⑤

6.キーの用途 (2)半月キー ウッドラフキーと呼ばれる半円板形のキーである。 キー溝の加工が容易である。テーパ軸によく用いる。 キーが溝の中で動くので取付け、取外しが容易である。 (3)接線キー キー溝を軸の接線方向に作って、 勾配1/60~1/100の2個のキーを互いに 反対向きに組合わせて打ち込んだもの。 正逆転方向に回転方向が変わる場合2ヶ所に 取り付ける。キーの中で最も強固な固定法で、 大動力重荷重用。

技能技術の館

8.3 キー 7/ 9 - ⑥

6.キーの用途 (4)平キー ボスに勾配1/100のキー溝、軸はキー座として平らに加工 して打込んで使用。軽荷重用でくらキーより固定度は高い。 (5)くらキー 軸は加工せずに、ボスに勾配1/100のキー溝を加工。 任意の位置に固定できるが、摩擦力で固定するため軽荷重用。 (6)丸キー 丸ピンをキーの代わりに打込んで固定する。 小軽荷重用。

技能技術の館

8.3 キー 7/ 9 - ⑦

7.キー取付時の注意事項 (1)キー取付時のポイント ①キーの底は密着させる ②キーの天はスキマを付ける。 (焼きばめの場合は必須) ③角部が当たらない様にキーは面取り (2)キーの打込みは変形に注意 軸・ボスの角部は機械加工時のカエリや 膨れがあるので必ず手入れをします。 (3)キーの外し加工

キーの天はすきまを付ける

キーの底はすきまゼロ

キーの角はキー溝に当たらないように面取り

面取り 切り欠き

技能技術の館

8.3 キー 7/ 9 - ⑧

8.キーの設計 (1)用途 ①軸と同等の伝達能力が必要な場合:沈みキー ②軸の伝達能力より小さい場合 :くらキー、平キー ③軸の回転が正逆両方向(交番)で 伝達トルクが大きい場合 :接線キー

電気通信大学 金森

8.3 キー 7/ 9 - ⑨

8.キーの設計 (2)キーの寸法 長さl、幅b、高さh

電気通信大学 金森

8.3 キー 7/ 9 - ⑩

8.キーの設計

8.3 キー 7/ 9 - ⑪

8.キーの設計 (3)キーの強度 ①キーのせん断応力τ →長さ 𝑙 、幅 𝑏 ・キーにかかる力 F は、

・キーにかかるせん断応力τは、

・キーの長さ l は、

𝑙 =2𝑇

𝜏𝑏𝑑 mm

電気通信大学 金森

F :キーにかかる接線力 N T :トルク Nmm d :軸径 mm b :キーの幅 mm l :キーの長さ mm τ :キー材料のせん段応力 N/mm2

F F

8.3 キー 7/ 9 - ⑫

8.キーの設計 (3)キーの強度 ②キー溝壁の圧縮応力σ →長さ 𝑙 、高さ ℎ ・キーにかかる力 F は、

𝐹 =2𝑇

𝑑

・キーにかかる圧縮応力σは、

𝜎 =4𝑇

ℎ𝑑𝑙

・キーの長さ l は、

𝑙 =4𝑇

𝜎ℎ𝑑 mm

※キー材は軸に対して安価なので、キーは軸よりも弱くして安全弁の役割を持たせる

F F

F :キーにかかる接線力 N T :トルク Nmm d :軸径 mm b :キーの幅 mm l :キーの長さ mm τ :キー材料のせん段応力 N/mm2

7/ 9 - ⑬ 8.3 キー

8.キーの設計 (3)モータキーの強度

平行キー

8.3 キー 7/ 9 - ⑭

8.キーの設計 (3)キーの強度 <計算例>標準三相モータのキーについて、安全性を 検討せよ。モータのわく番号は80M、出力P=0.75kW、 回転速度N=1500min-1とする。 トルクTは、

𝑇 =9550𝑃

𝑁=

9550×0.75

1500= 4.78𝑁𝑚 = 4780𝑁𝑚𝑚

① せん断によるキーの長さ 𝑙 は、

𝑙 =2𝑇

𝜏𝑏𝑑=

2×4780

30×6×19= 2.8𝑚𝑚

② 圧縮によるキーの長さ 𝑙 は、

𝑙 =4𝑇

𝜎ℎ𝑑=

4×4780

80×6×19= 2.1𝑚𝑚

③ QK=32mmとなっているので、十分安全である。

b

h l