★ 遺伝子を1ヶ所こわす(変異の導入) 変異原物質で処理 ★...

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遺伝学 遺伝子を1ヶ所こわす(変異の導入) 変異原物質で処理 変異により予想される性質(phenotype)を示す株を単離 (DNAを合成できない細胞) 変異した遺伝子の染色体上での位置を決定(mapping) その遺伝子を単離 その遺伝子がコードするタンパク質(酵素)の性質を調べる。 DNAを合成できない細胞 = 細胞は生きていけない  -> 変異体の単離は不可能  ?!

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  • 遺伝学

    ★ 遺伝子を1ヶ所こわす(変異の導入) 変異原物質で処理★ 変異により予想される性質(phenotype)を示す株を単離

    (DNAを合成できない細胞)★ 変異した遺伝子の染色体上での位置を決定(mapping)★ その遺伝子を単離★ その遺伝子がコードするタンパク質(酵素)の性質を調べる。

    DNAを合成できない細胞 = 細胞は生きていけない -> 変異体の単離は不可能  ?!

  • DNA 合成開始に必要な酵素の同定 大腸菌での温度感受性変異株の単離変異株を単離し、DNA合成開始に必要な酵素の遺伝子を同定する

    DNA合成開始に必要な酵素の遺伝子が変異すると -> DNAを合成できなくなる。-> 変異大腸菌は増殖できない。

    温度感受性変異株 temperature sensitive mutant ts 変異株 (大腸菌) ある遺伝子に変異が入り、遺伝子のコードする酵素の1つのアミノ酸が置換し、酵素の安定性が変化してしまった様な変異大腸菌は通常37℃で培養

     30℃  通常より低温なので、変異のある酵素でも、その活性(作用)を維持 42℃  通常より高温なので、変異のある酵素は不安定となり働かなくなる。 -> 42℃ではts変異のある大腸菌は成育できない。大腸菌のDNAに変異をランダムに導入30℃で増殖できるが、42℃では増殖できない様な性質を示す変異株を多数単離する。-> 成育に必須な酵素の遺伝子が変異した株 ⇒ その一部がDNA複製に必須な酵素の遺伝子変異が導入されたのはどの遺伝子か解析 (mapping)変異の起きた遺伝子からできる変異型酵素の性質(DNA合成開始が42℃で起きないか)を解析

  • 温度感受性変異により、DNA合成が起きなくなる遺伝子Stryer生化学28章p788

    遺伝子 遺伝子産物の働きdnaA oriC の9-mer 繰り返し配列に結合。ATP依存にDNAの2本鎖(13mer部分)を開く(open complex)

    dnaB helicase (巻き戻し酵素) dnaC タンパク質の助けをかりて、open complex の1本鎖DNA部分に結合し、DNA鎖にそって進み、2本鎖をほどき、1本鎖を露出させる。

    dnaC dnaBタンパク質がDNAに結合するのを助ける。

    dnaG primase   RNA primer を合成する。しばしば、dnaG (primase) は dnaB (helicase) に結合して働くdnaG (primase) とdnaB (helicase)の複合体を primosome と呼ぶ

    RNA の合成にはもととなる 3' -OH は不要DNA の合成には、既存のDNA(またはRNA)の3' -OH が必要

  • 大腸菌 ( E. coli ) 複製開始点 oriC での、DNA合成開始機構

    oriC

    DnaB が2本鎖をほどき1本鎖を露出させる

    DnaAが9mer部分に結合し 13mer部分を開くopen complex

    DnaCはDnaBが結合するのを助ける

    1本鎖部分はSSBタンパク質が結合し安定化する

    SSB single-strand binding protein

    負のsupercoil DNA は 1本鎖が露出しやすい

    分子細胞生物学第4版 Fig.12-7

    DnaG タンパク質 (primase)

    RNA primer

    SSB

    Stryer 生化学 p788

  • 分子細胞生物学第4版 Fig.12-9

    DNA 鎖の伸長

    Leading 鎖 5' -> 3' に連続して合成

    Lagging 鎖 5' -> 3' に合成された短いDNA断片が次々に結合

    RNA primer

    Okazaki Fragment

    Stryer生化学28章p783

    hiroreplication fork (複製フォーク)での

    hiro

    hiroエッセンシャル細胞生物学 図6-12

    hiro

  • Okazaki断片(大腸菌 1000-2000 bases/2sec)(動物 100-200 bases)

    鋳型鎖

    DnaG タンパク質が RNA primerを合成

    大腸菌 DNA合成酵素DNA polymerase I 修復DNA polymerase II 修復(SOS)DNA polymerase III 複製

    DNA polymerase III が RNA primer の 3' -OH から DNAを合成

    DNA polymerase I が RNA primer を分解除去 及び、みぞの部分のDNAを合成

    ATPDNA ligase が断片を結合

    hiroStryer p782, Essential細胞生物学 図6-16

    hiro

  • 大腸菌 DNA合成酵素 3種類存在DNA polymerase I DNA 修復時のgapをうめる。DNA polymerase II DNAに大きな損傷が起きた時に誘導されるDNA修復反応 (SOS repair)DNA polymerase III replication 時の DNA合成

    大腸菌 DNA合成酵素の特徴polymerase

                                                                           I            II         III         polymerase activity 5' -> 3' + + + exonuclease activity 3' -> 5' + + + 校正に関与exonuclease activity 5' -> 3' + – –

    5' 3'

    3' 5'

    OH

    鋳型鎖

    合成は 5'->3' の方向

    polymerase activity 5' -> 3'

    5'3'

    3' 5'

    OH

    鋳型鎖

    3' -> 5' exonuclease activity

    合成と逆向きにけずる

    5' -> 3' exonuclease activity

    5'->3' の方向にけずる

    exo (へりから) nuclease (ヌクレオチドを分解する酵素) endo (中央から) nuclease (ヌクレオチドを分解する酵素)

    endo-nuclease (中央から分解)

    RNA primerをけずる