② 協働的な学びの工夫 ・発問を吟味し、話合いに積極的に関わ … · ②...
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② 協働的な学びの工夫
・発問を吟味し、話合いに積極的に関わらせることで、学びを深めさせることができた。
・キーワードやポイントの確認をして共通理解を図ることにより、方向性を等しくして学
習を進めることができた。
・児童が単元のワークシートをファイルしておくことは、学習を振り返ったり、自分の考
えを確認したりするのに役立った。また、積極的な発言や考えの検討にも効果があった。
・イメージマップやKJ法、ピラミッドチャートなどの思考ツールで思考を可視化させるこ
とにより、児童の考えが整理・分析しやすくなり、グループ交流が活発になった。
・話型や話合いカードの活用により、発達段階に沿った話し方や聞き方ができるようにな
り、役割に従って積極的に話合いに参加するようにもなった。
・目的に合わせた話合い形態の工夫により、意欲的に話し合うようになった。
(3)今後の課題
① 導入の工夫
・学びの連続性を意識した振り返りと課題設定の工夫
② 協働的な学びの工夫
・学習内容や発達の段階に合った思考ツールの選び方や使い方
・型から離れて話す応用力を身に付けさせること
・授業のねらいに即し、児童の思考に沿った話合いの観点を設定し、話合いをより深める
こと
[参考文献]
・「初等教育資料 4 各教科等における主体的に学習に取り組む態度の育成」
平成 27 年4月 (東洋館出版社)
・「小学校国語科 授業&評価 パーフェクトガイド」
平成 26 年1月 (水戸部修治 著 明治図書)
・「話す・聞く力の基礎・基本」 平成 20 年 11 月 (井上一郎 著 明治図書)
・「アクティブ・ラーニング 実践の手引き」
平成 28 年4月 (田中博之 著 教育開発研究所)
・「考えるってこういうことか! 思考ツールの授業」
平成 25 年8月 (田村 学、黒上晴夫 著 小学館)
・「今、求められる力を高める総合的な学習の時間の展開(小学校編)」
平成 22 年 11 月(文部科学省)
・「総合的な学習の時間における言語活動の手引き」
平成 25 年4月 (京都市総合教育センター研究課)
・「横浜市立戸部小学校 26・27 年度 研究紀要 第 41・42 集 飛べ 翔べ 戸部」
平成 26 年 12 月、平成 27 年 12 月(横浜市立戸部小学校)
・「長崎市立稲佐小学校 平成 27 年度 研究紀要」 (長崎市立稲佐小学校)
・「佐伯市立渡町台小学校 平成 27 年度 研究紀要」 (佐伯市立渡町台小学校)
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1 研究の概要
(1)研究目標
より確かな学力の育成を図るためには、指導過程において、小集団による「協同的な学び
の場」を意図的に設定し、生徒同士による学び合いが有効であることを、授業実践を通して
明らかにする。
(2)研究の取組
本校では、「確かな学力の定着」に迫る手立として「協同学習」に取り組んできた。各教
科の指導過程において、「活動」(思考を伴う活動や学んだことを使う活動、作業的な活動)
を、「協同」(3~4人グループ)で行い、「表現の共有」(生徒の発言の交流)の場を意図
的に設定すること、協同学習がより効果的になるための学習課題の在り方を探ること、生徒
の成就感を引き出す効果的な振り返りの在り方を探ることの三点を重点として段階的に研修
を進めてきた。
具体的には、課題が生徒自身のものとなるよう、生徒にとって身近な課題やICTを活用
するなどして生徒の学習意欲を高めるような工夫をした。グループ内での一人一人の役割を
明確にし、生徒が主体的・協同的に解決できるような場面を設定し、学びが深まるような課
題設定に取り組んだ。特に今年度は生徒が学習した内容や気付き等を自覚し、定着させるた
めのまとめや振り返りを各教科の特性に応じて取り組んだ。また、総合的な学習の時間にお
いては、探究のプロセスを意識した指導計画を立て、ICTを活用した実践に取り組んだ。
その他では、年2回アセスを実施し、その結果を分析し、支援計画を立てることにより、
生徒同士のよりよい人間関係づくりに取り組み、協同学習の充実を図った。更に、協同学習
を通じて生徒に身に付けさせたいスキルとして「館中スキル」を設定し、生徒に意識させな
がら協同学習に取り組ませた。
このような実践的研究を通じて、生徒の主体的に学ぶ力を育み、確かな学力の育成に取り
組んだ。
(3)研究経過
年度 月
内 容
教頭 研修主任 特別支援教育コ 学習指導部 備考
ーディネーター
4 推進事業周知 校内研修計画 NRT実施
周知
5 校内研修全体 アセスの実施 先進校視察(教頭)
先進校視察(角田)
会での協同学
習理論研修
埼玉大学教育学部
附属中学校
276 アセスの分析
7 生徒の自己評 NRT分析
価①実施
8 生徒の自己
評価①分析
9 校内公開授業
(英)
10 生徒の自己評 生徒の自己
価②実施 評価②分析
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新潟大学教育学部
附属中学校
11 校内公開授業 アセスの実施研究指定校発
表会 (国・体・技)
12 校内公開授業
(数・社)
1 校内公開授業 アセスの分析
(理・数)
2 生徒の自己評 生徒の自己
価③実施 評価③分析
教員の自己評
価①実施
3 推進事業のま 校内研修のま
とめ とめ
4 推進事業周知 校内研修計画 NRT実施
周知
5 生徒の自己評 生徒の自己
価④実施 評価④分析
6 校内公開授業 アセスの実施
(技)
7 校内公開授業 アセスの分析 NRT分析
(体・音・国)
8 アセスに関わ
る研修
28 9 校内公開授業 生徒の自己 先進校視察(対馬
(数) 評価⑤分析 ・大川)今別町立
生徒の自己評 全国学力テ 今別中学校
価⑤実施 スト結果分 先進校視察(前田
析 ・角田・島田)
盛岡市立下橋中学
校
10 教員の自己評
価②実施
11 校内公開授業研究指定校発
(理・数・社)表会
12 校内公開授業 アセスの実施
(英・理・社)
1 全体研修 アセスの分析
(成果と課題)
2 推進事業のま 校内研修のま
とめ とめ
3 次年度の校内
研修に向けて
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2 各教科での実践
(1)1学年 数学科 学習指導案
①本時の題材 平面図形
②本時のねらい 平面図形において、平行移動、回転移動、対称移動を組み合わせることで、
合同な図形はどのような位置にも移動することができることを理解し、移動
の仕方を説明することができる。
③本時の指導過程
段 学 習 活 動 形・留意点 ○評価 □手だて
階 教師の働きかけ ※T2の動き 予想される生徒の反応 態
・麻の葉模様の画像を見せ、模 ・六角形 ・正三角形 全 ・模様の美しさを感じさせ
様の中にある図形を見付けさ ・二等辺三角形 ・台形 たり、日本の伝統文化に
導 せる。 ・平行四辺形 ・ひし形 も関わることを教えるこ
※T2は電子黒板で画像を提示 ・星形 とで、興味を持たせる。
入 する。 ・いろいろな図形に目を向
けさせる。
5
・正六角形に注目し、12 枚の
分 合同な直角三角形を組み合わ
せで、正六角形ができること
を紹介する。
・課題を提示する。 全
※T2が電子黒板で課題を提示
する。
展 ・ワークシート、直角三角
アの図形を 形を配布する。
A:平行にずらす(平行移動) ・平行移動、回転移動、対
B:点を中心に回す(回転移動 称移動を簡単に説明し、
C:直線で折る(対称移動) 用語も教える。
の3つの移動で、イ~シの位置に
開 移動してみよう。
例題
・アの図形を、平行移動、回転 ・[ア]→平行移動[オ]
移動、対称移動それぞれ1回 ・[ア]→回転移動[ク]
だけで移動できる図形を確認 ・[ア]→対称移動[イ]
30 しよう。 ・[ア]→対称移動[キ]
・平行移動、回転移動、対全
称移動がどのような移動
かを確認する。
・1回では移動できない図
※T2が電子黒板で移動方法を 形があることも確認す
提示する。 る。
問題1
分 ・アの図形を、シの位置に2回 ・[ア]→回転[ク] 個 ・二つの移動方法を考える
で移動するには、どのように →平行[シ] よう指示する。
移動すればいいですか。 ・[ア]→平行[オ] ・机間指導(T1、T2)
→回転[シ]
・移動方法を確認する。
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【ICTを活用した導入】
導入では、ICTを活用して麻の葉模
様の様々な画像を提示することにより、
課題に対する関心を持たせることができ
た。
【ICTを活用した説明】
平行移動、回転移動、対称移動につ
いて、電子黒板で移動方法を提示しな
がら説明した。視覚に働きかけた移動
方法を説明をすることで、生徒は移動
のイメージをはっきりともつことがで
きた。
【問題に取り組む様子】
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段 学 習 活 動 形・留意点 ○評価 □手だて
階 教師の働きかけ ※T2の動き 予想される生徒の反応 態
問題2
展 ・アをケの位置に3回で移動す ・個人で考えてから班で話 個
るには、どのように移動すれ し合う。 班 ・3~4人の学習班
ばよいのですか。 ・[ア]→回転[ク]
→回転[コ]→対称[ケ] ・できるだけ多くの移動方
開 ・[ア]→平行[オ] 法を考えるように指示す
→対称[サ]→回転[ケ] る。
・[ア]→平行[オ]
→回転[コ]→対称[ケ] ・移動方法が少ない人から
30 ・[ア]→対称[キ] 一つずつ発表する。
→平行[サ]→回転[ケ]
・[ア]→対称[イ] ・机間指導(T1、T2)
→回転[サ]→回転[ケ]
分
・どのように移動したか班に発 ・指名された班の代表が発 全 ・移動方法が少ない班から
表してもらう。 表する。 一つずつ発表する。
※T2が電子黒板で発表に合わ
せて操作する。
・まとめをする。 全 ・生徒に問いかけ、言葉を
引き出しながらまとめ
終 平面図形において、平行移動、回転移動、対称移動を る。
組み合わせることで、合同な図形はどのような位置に
も移動することができる。
末 ・問題演習 ・演習問題を解く。 個 ・できるだけ多くの考えを
アの図形をエの位置へ移動す ・[ア]→回転[イ] 出すように指示する。
るにはどのように移動すれば →回転[エ] ○【見方や考え方】
よいですか。 ・[ア]→平行[オ] どのように移動したか理
15 →対称[エ] 解し、説明できる。
〈机間指導・ワークシート〉
□スモールステップで手順
を示し、個別指導する。
分
・振り返りをする。 ・ワークシートへ記入、発 ・授業の振り返りを記入、
表する。 発表させ、次時への学習
につなげる。
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【班での話合いの様子】
学習課題について、個人で考えた時
にはあまり分からなかった生徒であっ
ても、班での話合いをすることで、自
分が考えなかった方法に気付き、理解
を深めることができた。
また、直角三角形のカードを実際に
移動させながら、考えられるように教
師が準備していたことにより、動作を
伴った理解を深めることができた生徒
もいた。
【振り返りの記述】
班での話合いにより、生徒が移動に
関しての理解を深めることができた。
また、もっといろいろな場所にも移
動をさせてみたい等、生徒の成就感や
次の学びへの意欲が多くみられた。
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3 総合的な学習の時間での実践
(1)2学年 単元指導計画
① タイトル 田んぼアートPR活動
② 単元の目標 修学旅行で予定している「田んぼアートPR活動」を効果的に行うために、
先輩や専門家から学んだことを生かしながら、工夫や改善を重ね、最終的
に各グループで創作したPRを実演することができる。
③ 単元の指導計画
時 探究の主 な 活 動 内 容
数 プロセス
1 課題設定 オリエンテーション
・「田んぼアートPR活動」を効果的に行うために、必要なことを考える。
(遠足で実施したPR活動の動画・振り返り用紙を活用)
1 情報収集 先輩から学ぼう
・3年生の実演(動画ICT)を各グループ(PR班)で見て、それぞれの
参考になる点や改善点を出し合う。
1 情報収集 専門家から学ぼう
・田んぼアートに関わっている職員の講話を聞き、各グループ(PR班、
係ごと)で参考になる点を出し合う。
1 整理・分析 PRの創作
・これまでの活動を基に、各グループでPRを創作する。
・実演に向けて、ICTを活用しながら準備や練習をする。
・創作したPRを、他のグループとお互いに見せ合い、参考になる点や改
善点を探す。
1 整理・分析 PRの創作(改善)
(本時) ・前時を踏まえ、各PR班から同じ係同士が集まり、参考になる点や改善
点を出し合う。
・各自のPR班に戻り、ICTを活用しながら実演に向けての準備や練習を
する。
・当日の参観者を対象にPRを実演する。
2 まとめ・表現 PRの実演
・各PR班で創作したPRを学年内で実演する。
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【先輩のPR動画を視聴している様子】
3年生のPR動画を視聴することによ
り、生徒にPR活動への関心とイメージ
をもたせ、課題を自分自身のものとし
て捉えさせることができた。
【PRの創作】
これまでの学習で得た情報を基に、ICTを
活用しながらPRを創作した。創作したPRを
互いに見せ合い、参考になる点や改善点を
探すことで、新たな気付きや考えの深まり
が感じられた。
【グループでの話合い】
係同士の話合いで得た情報を各自のPR班
に戻って伝えるというジグソー学習を取り
入れることにより、PR活動の内容を更に深
めることができた。そしてそのPRを研究発
表会に参加していた先生方に実演すること
で、自信と来年度の本番へ向けての意欲に
つながった。
話合いが円滑に進まないグループもあっ
たので、更なるコミュニケーションスキル
の向上が必要である。
【振り返りの記述】
振り返りを記入する時間を十分に確保す
ることができなかった。しかし、自分たち
のPRのよい点や改善点を明確にし、来年度
の本番への意欲を感じさせる記述が多く見
られた。
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4 研究のまとめ
(1)生徒の変容
① 昨年度から学期ごとに生徒に授業に関する自己評価を実施した。それぞれの質問項目
について「当てはまる」「やや当てはまる」と答えた生徒の割合は次のとおりである。
【生徒の自己評価項目とその結果】
【質問内容】
項目1:授業では、自分の考えを発表する機会が与えられていたと思う。
項目2:授業では、グループで話し合う機会がよく与えられていたと思う。
項目3:グループで話し合う活動に積極的に参加したと思う。
項目4:グループで話し合う活動では、自分の考えや根拠を述べることができたと思う。
項目5:グループで話し合う活動では、きちんと話を聞くことができたと思う。
H 27 1回目 H 27 2回目 H 27 3回目 H 28 1回目 H 28 2回目
項目1 95 % 96 % 93 % 94 % 93 %
項目2 96 % 98 % 95 % 96 % 97 %
項目3 86 % 90 % 88 % 88 % 86%項目4 81 % 79 % 82 % 81 % 82 %
項目5 96 % 96 % 97 % 95 % 97 %
以上の結果から、全ての教科の授業で協同学習の場面を取り入れ、多くの生徒が積極的
に話し合う活動に参加していると感じていることが分かる。また、話し合う活動では、き
ちんと相手の話を聞くなどの「館中スキル」を生徒が意識して協同学習に取り組んでいる
ことも分かる。また、生徒同士の人間関係も良好であることが分かる。
その一方で、項目4は他の項目の結果と比較して、8割前後と若干低い結果となってい
る。自分の考えや根拠を述べることは主体的な学習に取り組むうえで大変重要である。こ
のことを苦手としている生徒もいるため、様々な場面で自分の考えや根拠を述べる機会を
設け、生徒に主体的な学びを促していく必要がある。
② 教師の自己評価では、次の項目で「当てはまる」「やや当てはまる」と答えた教師の
割合が向上した。
【教師の自己評価項目とその結果】
質 問 項 目 割合(前年度比)
授業の冒頭で目標(めあて・ねらい)を示す活動を取り入れたか。 100 %(+3%)
様々な考えを引き出したり、思考を深めたりするような発問や 73 %(+ 10 %)
指導をしたか。
総合的な学習の時間において、課題設定からまとめ・発表に至る 74 %(+ 10 %)
探究のプロセスを意識した指導をしたか。
以上の結果から、全ての教師が授業の冒頭で目標を示していると答えていることから、
生徒も課題を明確にし、見通しをもって授業に臨むことができていると思われる。また、
様々な考えを引き出したり、思考を深めたりするような発問や指導をしていると答えた教
師も増えたことから、生徒に課題を自分のものとして捉えさせ、協同学習を生かしながら
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主体的な学びを促していることが伺える。そして、総合的な学習の時間においては、探究
のプロセスを意識した指導をしたと答えた教師も増えたことから、教師の意識の向上が生
徒の主体的な学びにもよい効果をもたらしていると思われる。
③ 昨年度から年に2回実施しているアセスでは、次の項目で数値的向上が見られた。
【アセスの数値が向上した項目】
「非侵害的関係」や「友人サポート」といった「対人的適応」に関する項目に満足してい
る生徒の割合が高くなるにつれて、「学習的適応」や「生活満足感」の値も徐々に向上して
きている。協同学習は生徒同士の信頼関係の構築にも有効であり、良好な人間関係が学習や
学校生活に対する満足感にもつながることが分かった。
(2)研究の成果
生徒が主体的に学ぶ力を身に付けるために、全ての教科の授業で協同学習の場面を取り入れ
たことにより、どの教科でも話合いがスムーズに行われるようになった。また、グループ内
での役割が固定しないよう、司会係・記録係・発表係等の役割をローテーションすることで、
生徒が主体的に話合いに参加することができた。また、自分の役割をうまく果たせずに困っ
ている他の班員をサポートしながら学習に取り組む雰囲気が自然と生まれ、生徒同士のより
よい人間関係の構築にも繋がった。また、協同学習を通して身に付けさせたいスキルを「グ
ループ」「学習」「コミュニケーション」の3つの観点から「館中スキル」として設定する
ことで、生徒がそれらを意識して話合いに取り組み、良質なコミュニケーションを図ること
ができた。
また、教師一人一人が校内公開授業を実施し、協同学習や振り返り場面の工夫といった視
点から互いに参観し合ったことにより、効果的な協同学習や振り返り方法を共有することが
できた。教科の枠を超えて参観し合ったことで、効果的な協同学習場面の設定などについて
自らの授業を省みるきっかけとなり、授業改善へと生かすことができた。様々な教科での協
同学習の場面で、生徒たちが学び合っている様子や自らの授業とはまた違った一面を目の当
たりにしたことで、改めて協同学習のよさや面白さを実感することができた。
今年度は更に、学習した内容や気付き等を生徒が自覚し、定着させるためにまとめと振り
返りに取り組んできたことにより、教師がしっかりとした見通しをもって授業に臨むことが
できた。振り返りの記述からは、生徒の理解度やつまずき、そして次の学びに対する意欲な
どを把握することができた。また、生徒の振り返りを教師がきちんと読み取り、その後の授
業に生かしていくことや、学習内容を定着させるための手立てなどについて考えることに繋
がった。
総合的な学習の時間では、探究のプロセスを意識した指導計画を立てることにより、これ
0
20
40
60
80
100
120
学習的適応 友人サポート 非侵害的関係 生活満足感
H271回目
H272回目
H273回目
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までの指導計画を見直し、課題が生徒自身のものとなるような様々な工夫をした。その結果、
生徒がとても意欲的に活動に取り組むことが出来ていた。また、整理・分析の段階を意識し
た指導を行うことで、生徒から多様な意見を引き出すとともに、話合い活動に深まりがみら
れた。
(3)今後の課題
協同学習や振り返りを行うためには、時間の確保が最大の課題である。協同学習に時間を
割いてしまい、まとめがおろそかになったり、振り返りまで実施できないという場合も多々
あった。そのため、教師は1時間の授業で指導する内容や発問を精選する必要があった。生
徒自身が学習した内容等を自覚し、定着させるためにはまとめと振り返りを行うためのある
時間の確保が重要である。そのことを意識して、見通しのある授業づくりに努めていかなけ
ればならない。
総合的な学習の時間では、各学年で「村内訪問学習」「職場体験学習」「田んぼアートPR
活動」といった特色ある活動がこれまでも行われてきたが、生徒の「なぜ?」や「もっと知
りたい」といった興味・関心をもっと引き出せるような探究的プログラムを実践していくこ
とが、生徒の主体的な学びを育むためには大切である。前年度の実践をただ引き継ぐだけで
なく、生徒の実態と合わせて探究的な学習プログラムを追求していく必要がある。
ICTは生徒の興味・関心を高めるために有効であった。生徒にとって学習内容をより分か
りやすくするためには、具体的な画像や動画を提示することがとても有効である。しかし、ICT
を使いこなせるようになるためには、教師側にも知識や技術が必要であり、必要な時に有効
に活用できるような環境整備が大きな課題である。
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