10,臨外,石川 2

Post on 01-Jun-2015

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インドシアニングリーン蛍光測定

高知大学医学部外科2

石川 忠則、前田 博教、岡崎 泰長、

による消化管血流評価

川田 通広、笹栗 志朗

目的

ICG(Indocyanine green)は血漿蛋白質と結合し、 特定のLED(発光ダイオード)で励起するとピーク波長830~840 nmの蛍光を発するため、可視化できる。冠動脈bypass後のgraft血流評価や乳癌手術におけるセンチネルリンパ節(SLN)の同定あるいは消化器癌におけるSLNの同定にもその有用性が言われている。今回我々は、消化管の血流評価に応用可能か否かにつて検討した。

方法

ICGを0.2mg/Kgで末梢静脈内注射した。注入直後よりLEDによるICGの蛍光励起と観察装置が一体となった近赤外線カラーCCDカメラを用い、手術室を暗くし、腹壁より20~30cm離して、液晶テレビモニターにて観察した。

一体型近赤外線カラーCCDカメラ

症例

1.腹部大動脈瘤   57/F    Y graft 2.腹部大動脈瘤   74/M    Y graft 3.腹部大動脈瘤   85/F Y graft 4.食道癌(Mt ) 66/M 頸部食道胃管吻合

5.食道癌(Mt ) 53/M 頸部食道胃管吻合 6.食道癌(Lt,胃内転移) 66/M  胸部食道空腸吻合

疾患 年齢/性 手術法

血流評価部位

1.S状結腸 2.S状結腸 3.腸管(回腸末端側の血流不良   でSMA血栓症が疑われた) 4.頸部食道胃管吻合部

5.頸部食道胃管吻合部 6.吻合予定空腸脚

1. 腹部大動脈瘤手術時 S状結腸の血流評価

S状結腸

人工血管

2. 腹部大動脈瘤手術時 S状結腸の血流評価

S状結腸

3. 腹部大動脈瘤手術時 SMA血栓症が疑われた

腸管の血流評価

回腸末端側の虚血腸管 SMA切開、血栓なく タンデトロン注入にて血流改善

蛍光を認める腸管

4. 食道癌手術時 頸部食道胃管吻合部血流の評価

胃管断端部大網

胃管後壁

頚部食道

甲状腺

5. 食道癌手術時 頸部食道胃管吻合部血流の評価

胃管後壁

胃管断端部大網

頚部食道

6. 食道癌手術時 再建空腸の血流評価

吻合予定空腸脚

第二空腸動脈 クランプ

吻合予定空腸脚

蛍光の確認

1.良好 2.良好 3.概ね良好 4.胃管断端大網部に良好

5.胃管断端大網部に良好

6.良好

術後経過

1.良好 2.良好 3.S状結腸壊死,左半結腸虚血あり,左半結腸   切除,人工肛門増設 4.良好

5.良好 6.再建空腸壊死あり,切除し,食道,空腸瘻増設

評価

1.有用 2.有用 3.血流の改善は評価できたが、術後  の虚血は予測できなかった。 4.有用

5.有用 6.有用、しかし術後の虚血は予測で  きなかった。

結語

インドシアニングリーン蛍光測定は消化管血流評価に有用である可能性が示唆されたが、判断が難しい症例があること、再建胃管食道吻合部では、観察部位やICG注入量の検討が必要と考えられた。

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