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 本プロジェクト科目では、「玩具」という学生には身近な商品を通じて、 「商品の企画・開発・マーケティング」一連の流れを学び、最終的には自ら企画立案を行うことで、学生の一般社会へのスムーズな船出を支援することが目的とされています。また、実際にプロジェクトで企画開発した商品が商品化される可能性もあります。 そもそも、玩具産業はかつて輸出奨励企業の一翼として戦前戦後と生産をしていましたが、1985年のプラザ合意による急速な円高により、生産を完全に海外にシフトしました。それ以前の製造・販売の一貫した形態から海外

(中国に集中)で委託生産をして、販売を自社で行う形態に変化してきました。その過程で、自社企画中心から外部委託開発、もしくは外部の企画開発提案を受けて生産・販売を行う形態に変わってきています。多くの外部企画開発提案会社は、もともとは玩具メーカーに勤務していた従業員が独立して、1人の個人会社から数10人規模の会社を形成しています。そのほとんどが関東地区に存在しています。また玩具企画開発は元来、既存技術のコンビネーションによって行われるため、比較的取り組みやすい特徴があります。 このように、本プロジェクトのテーマがなぜ「玩具」なのかと言いますと、玩具の企画・開発は、既存のマーケットにある部材を組み合わせて企画をすることが出来るので、未経験者でも要領を習得すれば企画・開発をすることが出来るからということなのです。そして、玩具開発では特別な技術を身につけずとも、簡単な技術の組み合わせで商品化を実現することも可能であり、企画・開発の初期段階では投資があまりかからない「知恵の勝負」だと言えるでしょう。さらには、製造業で重要なマーケティング、コスティング、生産、採算性そして販売などもあわせて簡単に学ぶことも出来るのです。 また、本プロジェクトの重要なポイントの1つは、担当者として株式会社タカラトミー・戦略開発室の渡辺 公貴さんがいらっしゃったという点です。渡辺さんは、1年間を通して毎週東京から駆けつけ、講義をしてくださり、企画立案についてのアドバイスを くださいました。このように、実際におもちゃ業界の第一線で活躍していらっしゃる方のお話を聞くことができたことは、メンバーにとって非常に意味のあることでした。 最後に、本プロジェクトは、前期の「学習」と後期の「実践」という形で大きく2つに分けて進められました。プロジェクト前半では、玩具という理解しやすい商品を取り扱うことにより、本来正規科目では学ぶことの出来ない実践の商品企画・開発、見積もり、マーケティング、生産、採算性、そして販売等を学びました。プロジェクト後半では、玩具の企画開発を実践として行いました。まずは、フリートークを中心にグループまたは個人のテーマを絞り込み、その後、企画性、採算性を加味して絞り込まれたテーマを深く掘り下げていきました。

1. 目的・概要 t h e p u r p o s e a n d a n o u t l i n e

エンターテインメント商材を通して学ぶ「実践の企画・開発・マーケティング」

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春・秋連結学期 京田辺校地開講科目

k yo t a n a b eエンターテインメント商材を通して学ぶ「実践の企画・開発・マーケティング」

27P r o j e c t Wo r k s 2 0 0 9

a n n u a l s c h e d u l e

玩具産業の概要を学びました。現在は玩具の生産が

ほとんど海外で行われていること、「玩具の企画」を専門

とする会社が存在することなど、初めて知ることばかりの

講義に驚きました。

企画立案から販売までの一般的な流れを学びました。

企業で行われている業務の流れの大枠について知るこ

とが出来ました。

玩具メーカーの利益計画立案、採算の実際、玩具の

見積もり方法を学びました。

マーケティングの概要・重要な要素を学び、玩具産業

で行われているマーケティングについて実践を通して学

びました。

具体的な玩具の企画・開発手法について、実際の

商品を例に学びました。誰もが良く知っている商品がどの

ように企画され、開発、販売されていたのかを知ることができました。

企画立案に必要な各種アイデア発想法・集約方法を学びました。

「アイデア」を生み出すための発想方法や、情報収集の大切さ

など、今後の企画立案実践に必要な重要な知識を得ることが

出来ました。

「情報共有会」として、6名ほどのグループに分かれ、話題の玩

具・ヒット商品・新しい技術についての情報を共有するブレインス

トーミングを実施しました。インターネット、雑誌、TVCMなどから

得た情報を各自が自由に紹介し合うという形式で行われました。

前回のブレストの内容をグループごとに整理し、発表を行いました。

メンバーごとに興味の対象が異なっており、紹介される情報は非常に多岐に渡りました。自分が知ら

ない情報をたくさん知っているメンバー同士、良い刺激を与え合えていたのではないでしょうか。

メンバーそれぞれが「最近話題の商品」をリサーチし、全体に向けて紹介するプレゼンテーションを

行いました。

[ 課外活動 ] メンバー有志が東京ビックサイトにて行われた「東京おもちゃショー2009」を見学しました。

100社以上のブースが出展される大規模な展示会で、多くの新商品が展示されていました。

それぞれの新商品がどのような「企画・開発・マーケティング」のプロセスを経て完成したのか、そんな

ことを想像しながら各メンバーは思い思いに会場を見学していました。

2009年 4月

5月

6月

7月

11日

18・25日

9日

16・30日

6・13日

20日

27日

4日

11日

18日

[ 春学期 ]

京田辺校地開講科目

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 プロジェクト前半には、「実践の商品企画・開発、見積もり、マーケティング、生産、採算性、そして販売等について学び、企画・開発の要領を習得すること」を目標に活動しました。ここでは、本プロジェクトを担当される、株式会社タカラトミー・戦略開発室の渡辺さんによる講義形式で授業が進行しました。各回では「企画・開発とはどのようなものか?」「アイデア発想法について」「実物の商品を例にしたマーケティング手法の紹介」といったテーマについての講義が行われました。これは玩具業界で実際に働かれている渡辺さんの視点でまとめられた講義であり、臨場感溢れるものでしたので、学生にとって非常に有意義なものとなりました。 夏期休暇中には、メンバー有志が「東京おもちゃショー2009」を見学しました。学内にとどまらず、課外での活動も積極的に行い、その後の活動に役立つ情報を収集することができたと考えています。 プロジェクト後半には、「商品化を目指して、グループまたは個人で企画を立案する」ことを目標に活動を行いました。「グループ企画」においては、各自が情報収集を行った結果を共有し、企画テーマを決定しました。「癒し」「エコ」「健康」などのテーマが選ばれましたが、

「グループ企画」では具体的な企画の立案には至りませんでした。「個人企画」では、

2. 成果達成度 t h e a c h i e v e m e n t d e g r e e

「東京おもちゃショー2009」で発表された新商品やトレンドなどについて特に見学に参加できなかっ

たメンバーのために情報共有を行いました。

自分達が実際に足で稼いで集めた情報ですので、紹介する方も特に力が入っていました。

グループ企画のためのテーマを選定するため、情報収集とその共有を盛んに行いました。

また、各メンバーが随時個人の企画に取り組みました。

マーケティングプランの立案について、実際に企業で進行中の企画を例に改めて学びました。現在

進行形の話題ということで、特にメンバーは熱心に講義を聴いていました。

総括として、各メンバーがそれぞれ企画書を提出し、企画について1人5分間のプレゼンテーション

を行いました。中には自分で作った試作品のおもちゃを持込むメンバーもおり、それまでの個人企画

の集大成を発表しました。

[ 秋学期 ]

2009年

2010年 1月

9月26日・  

10月3日

10月10日

~  12月19日

9日

23日

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 本プロジェクトの目的には、「学生の一般社会へのスムーズな船出を支援すること」というものがあります。この1年間の活動を終え、この目的はかなりの程度達成されたと言うことが出来るでしょう。メンバーは皆、実際に企業で企画・開発に携わっていらっしゃる渡辺さんのお話から多くのことを学び、自らが社会に出た時に取り組むこともあるであろう「企画立案」というテーマに真剣に取り組みました。 実際に自分の企画が商品化されるか否かに関わらず、この経験は必ずやメンバーそれぞれの将来に何らかの形で役に立つことでしょう。

3.プロジェクトを通じて t h r o u g h a p r o j e c t

各自が情報収集を行い、個人で企画の立案を行いました。こちらではいくつもの企画が生まれると同時に、他メンバーとの対話などを通じて企画が改良されていくなど、個人活動ではない「プロジェクト活動」の良さが存分に発揮されたと言えるでしょう。 プロジェクト全体を通しての成果達成度については、前半に行った「企画・開発についての学習」を後半の「実践の企画立案」に活かすという形が確立できており、1年を通して目標の達成度は高かったと言えるでしょう。反省点としては、後半に行われた「グループ企画」が思うように進行することが出来なかったことが挙げられます。グループで企画に取り組むためのテーマの選定に手間取り、実際に企画の立案に取り掛かることが出来なかったのは残念な点でした。 ですが、テーマ選定のために各自が行った情報収集やその共有活動は各自の「個人企画」にプラスとなる場合も多く、

「グループ企画」に取り組んだことが無駄であったとは言い切れません。現時点で「個人企画」のいくつかが商品化される可能性が出てきています。「企画の商品化」を大きな目標として活動してきた本プロジェクトとして、この点は非常に評価できることだと考えます。実際に商品化が実現するかどうかは現時点ではまだ明らかではありませんが、メンバー一同大きな期待を持って今後の展開を見守っています。 もちろん、本プロジェクトがこのような一定の成果を挙げることが出来たのは、多くの方の支えがあってのことであるというのは言うまでもありません。株式会社タカラトミーの渡辺さん、生命医科学部の田中先生をはじめ、本プロジェクトの運営に御尽力頂いた皆様に、メンバー一同厚くお礼申し上げます。

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