career education column vol.1 住友商事が学生らに奨励金 · column career education vol.1...

Post on 26-Aug-2020

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 住友商事は本年度、地元の大学生や専門学校生を対象に、NPO法人「せんだい・みやぎNPOセンター」(仙台市)などでインターンシップ(就業体験)事業を実施する。来年度以降は、受け入れ先を岩手、福島両県にも拡大。事業は5年間、継続する予定で、同社は「ユースが主体的・継続的に関わることで、多くのことを学び、経験し、地域のさらなる発展の担い手として育つことも期待します」としている。 事業は、東日本大震災の被災地支援の一環。NPO法人「市民社会創造ファンド」(東京都)と連携して行う「東日本再生ユースチャレンジ・プログラム」の一つ。地元を中心とした10代後半から20代の大学、専門学校生ら十数人を受け入れる予定になっている。インターンシップでは、学生らには1時間あたりの活動に対して800円を奨励金として支払い、最大で300日間、

仙台、名取両市内で被災地支援などに取り組む7団体で活動してもらう内容だ。 初年度に受け入れるのは、せんだい・みやぎNPOセンターのほか、NPO法人「ハーベスト」、一般社団法人「ぶれいん・ゆに~くす」など仙台市内6団体と、名取市の国際交流協会ともだちin名取。 プログラムでは、対象世代がグループで取り組む地域再生を支援する「活動・研究助成」があり、インターンシップ事業と合わせた事業費は、5年間で5億円を見込んでいるという。 せんだい・みやぎNPOセンターの小川真美事務局次長は「私たちにとって、初めての取り組みになりますが、学生らと一緒に、充実したプログラムを作っていきたい」と話している。

 経済広報センター(東京)はこのほど、全国の社会広聴会員を対象に実施した「教育に関する意識調査」の調査結果をまとめた。産業界が教育に関して今後、拡充すべきこととして「企業から学校へ出張する『出前授業』」がトップになった。「出前授業」を望んでいるのは全体の 64%で、「教員の民間企業研修の受け入れ」(56%)や「インターンシップの受け入れ」(55%)にも高い期待を寄せていることが浮き彫りになった。 また、東日本大震災を受け、地震に備える観点から、今後

どのような防災教育が必要かをたずねたところ、「地域と連携した防災訓練」が 74%と最も多く、次いで「豪雨・豪雪・津波などによる自然災害を含めた防災教育」(73%)、「緊急時に対応する教員への防災教育」(62%)を求める声が多かった。 調査は 2012 年 2 月上旬、全国のさまざまな職業、年代の人で構成された「社会広聴会員」3141人を対象に、インターネットによる回答選択、自由記述の両方式で実施した。有効回答率は64.6%。

キャリア教育アワード▶大賞のトロフィ

キャリア教育アワード

大賞トロフィにこめられた想い

被災地で就業体験後押し

住友商事が学生らに奨励金

経済広報センター調査結果

「出前授業」の拡充求める声トップ

大阪の経済・労働6団体が「キャリア教育」を支援

「関西キャリア教育支援協議会」設立 子どもの職業観や働く意欲を育てようと関西生産性本部(大阪市)はこのほど、「関西キャリア教育支援協議会」を設立したと発表した。協議会は、同生産性本部をはじめ、関西経済連合会、関西経済同友会など大阪府内の経済、労働6団体で構成。大阪府、大阪市両教育委員会と連携し、依頼を受けた小・中・高等学校の教育現場に社会人講師を派遣するなどして、「キャリア教育」を支援する。 協議会は3月に行われた記者発表で、次世代の「人財育成」を大阪府内の産業界、労働界が一体となって取り組んでいく姿勢をアピール。「情熱教室」と銘打ち、小・中・高等学校からの依頼に応じて、教育現場へ社会人講師を派遣したり、職場体験、工場見学の受け入れ施設を紹介したりするなどの活動を展開していくことを説明した。 協議会によると、当面の活動は大阪府内だが、今後3年間の成果を踏まえて、関西のほかの府県に拡大することも視野に入れているという。

ColumnCareer Education

Vol.1

内藤 惠子(ないとう けいこ)岩手県大船渡市出身。泉(現仙台)市立根白石小学校を振り出しに、仙台市内の小学校で教諭、教頭、仙台市教育局教育相談課適応指導センター主任指導主事、主幹兼所長、校長を歴任する。最後の勤務校となった仙台市立七北田小学校では、文部科学省研究開発学校の指定を受け、社会総ぐるみで子どもたちを育む「地域共生科」を創設、同時に立ち上げた「学校支援地域本部」とともに取り組む。仙台市教育振興基本計画策定にも携わる。「地域共生科」の実践は2011年度キャリア教育実践優良校として文部科学大臣賞を受賞した。現在、ハリウ コミュニケーションズ(株) 学・社教育支援部長、宮城教育大学非常勤講師、政策研究大学院大学教育政策プログラム研究協力者。

▲3月に行われた記者発表会

ト ピ ッ ク ス

 「あのトロフィをよく見たい」という問い合わせがあるというのが、キャリア教育アワード大賞のトロフィである。 キャリア教育アワードは、企業や経済団体による教育支援の取組を奨励・普及するために2010 年度に創設された表彰制度で、2回目となった11年度は、全国68の企業及び団体から合計78 件の応募があったという。優秀賞7組のうち、「普及型キャリア教育部門」「地域密着型キャリア教育部門」「地域ネットワーク型キャリア教育部門」の3部門の最優秀賞が1組ずつ選出され、その中から1組のみが大賞を受賞したことから、大賞は大変な重みをもっていることがわかる。 11年度の大賞は「地域ネットワーク型キャリア教育部門」の福井商工会議所青年部の「おしごと探検隊 “アントレ・キッズ ”」が受賞した。 05年度からスタートしたこの事業は、7年を経て、200の企業と4000人が参加する規模に拡大。学校・PTA・商店街や商工会を巻き込み、青年部の単独事業から共催事業へ、さらには、参加団体の自主的・継続的な運営へと発展し、地域の活性化に貢献している。企業側には人材育成というメリットが、参加する親子にはキャリア教育としての効果に加え、親子のコミュニケーションの活発化というメリットが生まれており、『中・小の企業』でも、『地方の小さな市町村』でも、『家庭の中』でもできるキャリア教育であるという自称「魔法のマニュアル」があることが、高く評価されたとのことであった。 去る1月26日に有楽町朝日ホールで開催された「キャリア教育シンポジウム」に参加する機会を得た。前任校仙台市立七北田小学校のキャリア教育実践優良校(文部科学大臣表彰)受賞により、アワード大賞の授賞式にも立ち会ったが、日本のあちこちで、地方の企業人が熱い思いで子どもたちの将来と地域の未来を考え、行動していることが伝わってくる、そして元気の出る授賞式とシンポジウムであった。 さて、前述の大賞トロフィである。なんと「二宮金次郎」をモチーフにしているのだそうだ。そのコンセプトは、

 薪を背負って働きながら、書物を開いて学び、足を一歩踏み出しているその姿はキャリア教育そのもの。また、二宮尊徳は、報徳思想(私利私欲に走るのではなく社会に貢献すれば、いずれ自らに還元されるという考え方)を唱えた人でもあります。まさに、二宮尊徳こそが、キャリア教育のシンボルであると考え、トロフィのモチーフとさせました。

 NPO 法人北海道職人義塾大学校の職人さんたちの粋を結集して作成されたものです。 ~一般社団法人 キャリア教育コーディネーター

ネットワーク協議会ホームページから~ 

 キャリア教育がねらう子どもの姿~学ぶ目的をもって自ら学ぶ姿、そしてキャリア教育を支える企業や経済団体の姿勢にも通じるコンセプトと受け止めた。福井商工会議所青年部の大賞受賞は、キャリア教育が決して新しいことに向かうだけではなく、大きな企業や都会でしかできないものでもないことを示唆している。 震災を経験し、地方のよさ、ものづくりの価値、家族を基本にした地域のつながりのありがたさなどが見直されている。私たちが捨ててきてしまった血縁や地縁の煩

わずら

わしさに隠れた本質的な価値や、朴

ぼくとつ

訥で不器用と言われる東北人の、強きょうじん

靭な人間性や心の温かさに裏打ちされた協調性が見直されている。 キャリア教育の目的は、一人ひとりが自分らしさを発揮しつつ、社会の中で共生していくことができる社会性をもった人としての「生きる力」を育むことにあるということをもう一度確認し、共通理解したいと考える。 ちなみに、七北田小学校の校庭には2代目となる二宮金次郎の石像があり(1代目の銅像は大戦中に金属供出された)、運動会の紅白対抗の勝敗を握るとか、「金次郎の背負っている薪は何本?」「金次郎の前に出ている足は右? 左?」などと学校クイズの常連になるアイドルぶりである。 かつては、日本中の小学校の校庭に建ち、子どもたちの学びを見守ってきた二宮金次郎像。今も残っている学校は全国でどの位あるのだろう。アワードを機会にもう一度、表舞台に出てこないかな―などと、スマートにデフォルメされた金次郎トロフィを見ながら思ったのだった。

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