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最新市場調査資料

2019年版

自動車における新技術の現状と将来性

総合技研株式会社

Ⅰ.新技術を取りまく市場環境

1.電動化車両市場動向 ················································································( 1)

1)パワートレイン種類 ·············································································( 1)

2)パワートレインの電動化レベル ······························································( 2)

3)世界におけるEV・PHV・フルHEV・48V-HEV別

市場規模:2015~2025年予測·············( 3)

4)日本におけるEV・PHV・フルHEV・48V-HEV別

市場規模:2015~2025年予測·············( 5)

5)日系メーカーにおけるEV・PHV・フルHEV・48V-HEV別

世界 販売台数:2015~2018年 ···········( 7)

2.先進安全システム市場動向 ·······································································( 8)

1)乗用車に搭載されている先進安全システム一覧 ··········································( 8)

2)先進安全システム実現にあたって新たに装備される部品(システム/主要部品) ··( 9)

3)先進安全システム領域別市場規模:日本 2015~2025年予測 ··············( 10)

4)自動ブレーキ市場規模:日本 2015~2025年予測·····························( 11)

3.自動運転市場動向···················································································( 12)

1)自動運転車の市場区分 ··········································································( 12)

2)世界の自動化レベル別ロードマップ·························································( 13)

3)日本の自動化レベル別ロードマップ·························································( 14)

4)世界と日本の自動運転市場規模・搭載率:2015~2025年予測·············( 16)

4.軽量化・CFRP化動向 ··········································································( 17)

1)車体軽量化動向(鉄→アルミ→CFRP化) ·············································( 17)

2)CFRPの成形方法 ·············································································( 19)

3)CFRPに用いられるマトリクス樹脂······················································( 20)

4)自動車分野におけるCFRP化の狙い······················································( 21)

5)自動車におけるCFRP使用部位の現状と今後 ··········································( 22)

6)トヨタ車におけるCFRP成形方法とマトリクス樹脂 ·································( 24)

7)自動車分野におけるCFRP使用量・市場規模,レクサスLFAについて ·······( 25)

8)自動車分野におけるCFRP化の課題······················································( 26)

Ⅱ.新たに開発された新技術概要

1.自動車業界における技術開発トレンド·························································( 27)

2.分野別有力新技術···················································································( 29)

3.人工知能技術の応用例 ·············································································( 31)

4.新技術分野別タイトル数内訳 ····································································( 32)

5.新技術分野別タイトル一覧(全155タイトル) ··········································( 33)

1)パワートレイン系················································································( 33)

2)シャシー系・ボディ系・操作系 ······························································( 35)

3)材料・工法系······················································································( 37)

4)その他 ······························································································( 39)

目 次目 次目 次

Ⅲ.新技術分野別個票

・製品化段階(研究,開発,製品化) ・キーテクノロジー ・開発背景

・技術概要・技術動向 事業化の現状と今後 など

1.パワートレイン系分野(29タイトル)···················································( 40)

1)エンジン・補機編 ·············································································( 40)

SPCCIエンジン「SKYACTIV-X」,熱効率40%ダイナミックフォース

2.0Lガソリンエンジン,熱効率50%超ガソリン・ディーゼルエンジン,エンジン

周辺機器用高耐熱モーター,微粒化解析工学応用燃料噴射装置,ターボ用電動コンプレッサ,

ディーゼル向け鈑金タービンハウジング,ガスインジェクション機能付き電動

コンプレッサ,始動用12Vリチウムイオン2次電池,FLAD基材排ガス浄化触媒

2)電動化関連(モータ,バッテリー,インバータなど) ······························( 55)

インホイールモータ用ワイヤレス給電技術,新世代EV向け超急速充電システム,

PHV用小型充電器,EV用ワイヤレス給電システム,EV向け電動ドライブモジュール,

トラクションモータシステム「E-Axle」,モータ・ジェネレータ機能付き

ハブベアリング「eHUB」,48Vマイルドハイブリッド車向けエンジン出力軸直結

ISG,次世代EV用モータ制御専用回路技術,ハイブリッド車用超小型フルSiC

パワーユニット,セパレータレス新構造リチウムイオン2次電池,最大50%ネオジム磁石

削減モーター,省レアアース重希土類フリーモーター,低抵抗トレンチコート構造

SiC-MOSFET,EV用高耐久性SiCパワー半導体,大電流(50A以上)縦型

GaNパワー半導体,コンパクトパッケージ水素ステーション,EV・PHVバッテリー

利用系統連系型電源システム,小型EV向けプラットフォーム「e Power train」

2.シャシー系・ボディ系・操作系分野(60タイトル) ·································( 83)

1)システム(車両運動制御,先進安全,自動運転など) ······························( 83)

車両運動制御技術GVC Plus,車載用大容量直流電力線による通信技術,

ドライバー眠気検知・予測技術,ドライバー脳波測定による運転支援技術,

顔画像センシングによるドライバー見守りセンサー,ドライバー異常時緊急停止システム,

後付けドライバーステータスモニター,事故リスク予測プラットフォーム,

ディープラーニング技術応用高速画像認識ソリューション,人工知能応用「気が効く」

HMI技術,ドライバー運転負荷軽減音声アシスタント機能,先読みエコドライブ機能付き

カーナビゲーション,逆送検知機能搭載カーナビゲーション,ペダル踏み間違い加速抑制

システム,周囲とコミュニケーションする「安心・安全ライティング」,トレーラー向け

安全走行支援カメラシステム「Surround Eye 3+1」,自動運転用

ソフトウェア高速変更技術,自動運転アプリ不具合短時間再現技術,自動運転用LiDAR

における高信頼性計測ロジック技術,長距離呼び寄せ自動遠隔出庫システム「Long

Renge Summon」,自動駐車システム「Pro Pirot Parking」,

自宅・駐車場周辺環境を記憶する高度自動駐車システム,スマートフォン利用バーチャル

キーレスエントリーシステム,車載システム向け多層防御技術,センサーセキュリティ技術

調査項目

スピーカーレスオーディオシステム,運転席・助手席の同時定位オーディオシステム,

滑りやすい路面検知タイヤセンシング技術,中小型トラック用電動パーキングブレーキ,

電動パワーステアリング用汎用制御ソフト

2)部品分野(センサ,ECU,LSI,アクチュエータ,車部品一般,電子部品) ···(124)

MEMSミラーを用いた自動運転向けLiDAR,自動運転向けLiDARにおける

長距離測定回路技術,世界最小77GHzミリ波レーダー,電子スキャン方式24GHz

準ミリ波レーダー,ステレオマッチング技術よる車載用カメラ,夜間認識性能を向上

させた普及型画像センサー,高精度路面検知車載ステレオカメラ,デジタルアウターミラー

(電子ミラー),人工知能応用電子ミラー向け物体認識技術,高感度カメラによる

電子インナーミラー,GNSS・6軸センサー利用自車位置検出ユニット,ドライバー

モニター用グリップセンサー付きハンドル,2出力ブレーキペダルポジションセンサー,

ハプティクス向けアクチュエータ,5G向け合成石英ガラスアンテナ,仮想化支援機能搭載

次世代車載制御マイコン,車載用3D AR HUD,超薄型拡張現実HUD,高精細

レーザー光ヘッドランプ,青色レーザーによる次世代型指向性白色光源,シート一体型

センターエアバッグ,印刷方式4K有機ELパネル,カーエアンコン用2重管型熱交換器

「IHX」,ステアリング補助機能付きハブベアリング「e HUB」,LED照明付き

エアコンレジスター,自動運転用タイヤ,空気レスタイヤ,タイヤ共鳴音低減技術,

引張り強度420MPa超高強度アルミボルト,防水型パワースライド駆動ユニット

3.材料系・工法系分野(57タイトル)······················································(169)

1)金属(鉄,アルミ,銅,レアメタル)···················································(169)

鉄による軽量化“NSafe-Auto Concept”,高生産性ホットスタンプ

鋼板,冷間プレス加工用1310Mpaハイテン鋼板,高成形性980MPaハイテン鋼板,

張出し・フランジ成形用ハイテン鋼板「JEFORMA」,高潤滑性自動車用GI鋼板

「GI JAZ」,トラック用高強度板ばね用鋼,トポロジー技術応用部品接合位置

最適化技術,隙間ゼロの自動車用亜鉛めっき鋼板溶接技術,異種金属接合用

ロボットシステム,チタン薄板大型スポーツバイク燃料タンク,難燃性Mg合金と

Al合金の異材接合技術,エンジン周辺部品向け高耐熱ダイカスト用Mg合金,

3Dプリンターで作る砂型製作技術,コバルト・ニッケルのリサイクル技術

2)樹脂・ゴム······················································································(189)

耐ガソリン性の高いバイオプラスチックフィルム,高強度・高耐熱コネクタ用樹脂(PPA),

プルプレス方式による複雑成形部品量産技術,外装部品向け射出発泡成形技術,

接着性ポリオレフィン,バイオマスからインプレン生成技術,バイオPC・

バイオウレタン樹脂,燃費と高破壊強度を両立したゴム複合体,

自動車タイヤ向け液状ファネルセンゴム

3)ガラス・グレージング ·······································································(200)

樹脂コーティングによる防曇膜付きフロントガラス,有機無機ハイブリッドコーティング

による防曇膜付きフロントガラス,ユニーク形状リアガラス,車載ディスプレイ用

曲面形状カバーガラス,ガラス代替高剛性・高タフネス透明樹脂,樹脂窓ハードコート

(プラズマCVD)技術

4)複合材(CFRP,GFRP) ···························································(208)

フッ素樹脂を用いた熱可塑性CFRTP,SMC製バックドア,しなやかタフポリマー

応用繊維強化プラスチック,しなやかタフポリマー応用CFRP,熱可塑性CFRP

連続異形成形技術,リサイクル対応熱可塑性CFRP用rPEEK樹脂,接触加熱方式

によるCFRP真空成形技術,三軸織CFRTP,プルプレス成形によるCFRP,

CFRP急速加熱装置「HDサーモⅡ/CP」,衝撃吸収骨格用FRP,セルロース

ナノファイバー材を用いる自動車部品軽量化技術,スチールと繊維強化樹脂を用いる

軽量・高剛性ドア,EV用ハイブリッド・サスペンションアーム,樹脂製クロスカービーム,

マルチマテリアルドアモジュール

5)電子材料·························································································(228)

パワーモジュール用高熱伝導性窒化ケイ素基板,LEDヘッドライト用ヒートシンク

一体型窒化アルミ基板,高耐熱ハロゲンフリー多層基板材料,耐酸性無酸素銅条,

高ロバスト性Ni-Zn系ソフトフェライト材料,フロントガラスへの映り込み防止

ディスプレイ用フィルム,高電圧リン酸鉄系リチウムイオン2次電池用正極材,燃料

電池用フッ素系電解質ポリマー,一酸化炭素燃料による燃料電池触媒,パワーモジュール

用焼結接合材料,電動化車両向けコイルへの均一絶縁コーティング

4.開発サポート・自動車技術応用分野(9タイトル) ····································(245)

車載用モデルベース開発,モデルベースと開発連携するドライブトレインシステム,

人工知能応用トポロジー最適化EVモーター設計支援技術,都市交通渋滞解消

CMOSマシン,路面検査コンパクトユニット,人工知能応用感性分析サービス,

工業用汎用水素バーナー,パワーアシストスーツ,第3世代ヒューマノイドロボット

【Ⅰ-1.新技術を取りまく市場環境・電動化車両市場動向】

3

単位:千台

2015 2016 2017 20182019

予測

2020

予測…

2025

予測

V…

765

2,580

110

2,100

1,035

2,770

500

65,500

■世界 実数

68,700 71,900 74,230 75,230 82,000

5,030 6,405 …

76,300 77,500 …

71,270 71,095

1,575 3,300

2,000

4,000

7,200

16,500

2,150

4

3,572

70,658

2,408

32

4,284

70,946

1,636

2,376

66,324

308

1,815

2,822

69,078

510 699 992 1,274

230 426 570

ICEV

乗用車 合計

EV

PHV

小計

フル

HEV

48V-

HEV

単位:%

2015 2016 2017 20182019

予測

2020

予測…

2025

予測

93.4 91.7 … 79.9

乗用車 合計 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 … 100.0

小計 3.5 3.9 4.8 5.7 6.6 8.3 … 20.1

2.9 3.2 3.4 3.6 … 4.9

0.1 0.6 … 8.8

■世界 比率

EV 0.7 1.0 1.3 1.7 2.1 2.7 … 4.0

PHV

96.1 95.2 94.3ICEV 96.5

0.0 0.0 0.048V-

HEV0.0

0.3 0.4 0.6 0.8 1.0 1.3 … 2.4

フル

HEV2.4 2.5

3)世界におけるEV・PHV・フルHEV・48V-HEV

別市場規模:2015~2025年予測

【Ⅰ-2.新技術を取りまく市場環境・自動運転市場動向】

14

3)日本の自動化レベル別ロードマップ

自動化レベル 東京オリンピック

2015 2020 2025 2030 2035 年

部分自動

運転※1

○低レベル 2

○中レベル 3

○高レベル 4

完全自動運転※2

レベル 5

※1 高速道路、自動車専用道路、特定ルート/一般道

※2 一般道まで含み制約なし

自動運転はまず高速道路でのニーズから普及が始まる。高速道路で自動運転に切り替えるこ

とで運転負担軽減、特に渋滞時に自動運転に切り替えることができればドライバーの負担、ス

トレスを大幅に軽減することが出来る点が評価され、普及、市場で実績を積みながら、より自

動化レベルの高い高度なシステムへと進化していく。2020年はトヨタ、ホンダなどが高速

道路複数車線での自動運転実用化の年となり、また東京オリンピック開催に合わせ国が自動運

転を推進していることから、大変重要な位置付けをもつ年となる。

自動運転を自動化レベル別にみると部分自動運転の中で自動化レベルの低い○低は2016年

8月より日産がプロパイロット1.0として実用化、プロパイロット1.0は高速道路単一車線

で自動運転が可能となる。続いて日産は2018年にプロパイロット2.0として高速道路

市場立ち上げ(2016)日産プロパイロット

SUBARUアイサイト(2017)

市場拡大標準的装備として定着

自動化レベル○中へシフト

具現化しない?

市場普及拡大

東京オリンピック

実証実験

新概念の車

として登場

市場立ち上げ

【Ⅲ-1.新技術分野別個票/パワートレイン系分野】

42

熱効率40%ダイナミックフォース2.0Lガソリンエンジン (18年2月発表)

開発主体 トヨタ自動車

製品化段階 研究 開発 製品化

キーテクノロジー ・高速燃焼技術,可変制御技術

①開発経緯・背景・市場ニーズ

トヨタはTNGAパワートレイン戦略においてダイナミックフォースエンジンとして2.5L

ガソリンエンジンを開発、新型エンジンはより高い走行性能と環境性能を両立させており、世界

トップレベルの熱効率を実現している。2020年時点でもエンジン搭載車が圧倒的多数を占め

ることから新世代プラットフォームTNGAに合わせてエンジンとトランスミッションを一新、

2.5Lガソリンエンジンはその第一弾。2018年3月には2.0L版を追加している。また2

016年4月にパワートレーンカンパニーを設立、高効率自然吸気エンジンと新型トランスミッ

ションの開発に力を入れていく。

②新技術(製品)の技術概要・技術動向

エンジン開発では従来は車種や用途に合わせてエンジンの構造や組み合わせるデバイスを開発

していたが、TNGAではプラットフォーム刷新と全パワートレーンの刷新を同期させることに

よりエンジンの重心や搭載方法などを最適化して構造の統一を実施、合わせてエンジンの燃焼室

やシリンダーの設計なども統一してエンジンバリエーションは気筒容積と気筒数の組み合わせで

構成できるようになった。今後はエンジンの種類を整理,統合し、TNGAエンジンへの置換え

で約40%の削減が実施される。

ダイナミックフォース・2.5Lガソリン車用エンジン・ハイブリッド車用エンジンは世界トッ

プレベルの熱効率40%・41%を達成、同時に緻密な制御による高レスポンス化と全速度域で

の高トルク化など新技術の採用により全面的に見直し、大幅に進化させている。

採用技術としては高速燃焼技術はロングストローク化(S/B≒1.2)、バルブ挟角拡大、レ

ーザクラッドバルブシートを用いた高効率吸気ポートにより流量アップとダンブル流強化を両立

させ、高速燃焼を実現している。

マルチホール直噴インジェクターは強化したタンブル流と噴霧自由度の高いインジェクターを

【Ⅲ-1.新技術分野別個票/パワートレイン系分野】

43

組み合わせることで燃料と空気のミキシングを向上させ、高速燃焼に貢献する。

連続可変容量オイルポンプ(トロコイド式)はエンジンの運転状態に応じてオイルの吐出量を

制御*することで無駄仕事を低減しエンジンのフリクション低減に貢献している。さらに吸気バ

ルブにはレーザーバルブシートを用いて効率改善を実現している。

*制御室の圧力をコントロールし、油圧調整リングを動かしアウターローターを偏芯させ、連

続的にオイルの吐出量を制御する。

新型エンジンは、高速燃焼技術、可変制御システムの採用のほか、排気・冷却・機械作動時な

どの様々なエネルギーロスを少なくして熱効率を向上させるとともに高出力を実現して、その結

果、新開発の2.0Lガソリン車用エンジン・ハイブリッド車(HV)用エンジンは世界トップレ

ベルの熱効率40%(コンベンショナルエンジン)・41%(HVエンジン)を達成した。また従

来型エンジンに比べて低回転から高回転まで全域でトルクアップを実現すると同時に各国の排気

規制にも先行して対応している。

採用技術

レーザーピットスカートピストン 世界初

スカート摺動面に鏡面加工を施し、低フリクション化を実現、スカート表面にはレーザーによ

りクロスハッチ状の細溝を設けることで、耐スカッフ性を向上させている。

性能

シリンダヘッド(コンベ,HV専用設計)

強いタンブル流(燃費性能)と吸気流量(出力性能)を両立させる吸気ポートにするため、吸

気バルブシートにレーザークラッドバルブシートを採用している。

③事業化の現状と今後

― 採用状況(見込み),販売計画,生産目標・予測,市場性など ―

ダイナミックフォースエンジン2.5Lは2017年投入のカムリ,レクサスUXに搭載、20

18年にモデルチェンジされるクラウンではハイブリッドにダイナミックフォースエンジン2.

5Lが搭載,2.0L版はオーリス,レクサスUXに搭載される。トヨタでは2021年までに9

機種の新型エンジン・17バリエーションを投入、今後、一気にエンジンのモジュール化が加速

していき、2.5Lエンジンはその先行役となる。

【Ⅲ-2.新技術分野別個票/シャシー系・ボディ系・操作系分野】

103

周囲とコミュニケーションする「安心・安全ライティング」 (17年10月発表)

開発主体 三菱電機

製品化段階 研究 開発 製品化

キーテクノロジー ・ライティング技術,センサー技術

①開発経緯・背景・市場ニーズ

歩行者の交通死亡事故の約6割が夜間に発生しておりライトを使った安全性向上が求められて

いること、また自動走行車両の課題として車の挙動が歩行者や他車には分かりにくく、車と周囲と

のコミュニケーション技術の向上が求められている。

②新技術(製品)の技術概要・技術動向

<開発の特長>

1.アニメーション利用や車外センサーとの連動で、より分かりやすい表示を実現

<アニメーションを利用して悪天候時でも判別しやすい表示>

・大きな図形のアニメーションで、悪天候時でも歩行者などが判別しやすい表示を実現

<ドア開け・後退時に車外センサーと連動してより注意を喚起する表示>

・車外センサーの検知領域に入った歩行者に路面の表示図形を点滅させて注意を喚起

・同時に運転席のドアノブ近くのライトを点滅させ、運転者の注意も喚起

2.三次元グラフィックスを用いた設計検証ツールにより、デザイン品質を向上

<表示図形の見え方を検証できる設計ツール>

・実車搭載前に路面に表示する図形の様々な角度からの見え方を検証

・車の状態や表示するアニメーションのパラメータなどを変更でき、状況に応じたデザイ

ンを実現

③事業化の現状と今後

― 採用状況(見込み),販売計画,生産目標・予測,市場性など ―

今後の展開としては実用化に向けた研究開発を継続し、2020年度以降の事業化を目指す。

【Ⅲ-3.新技術分野別個票/材料系・工法系分野】

204

ガラス代替高剛性・高タフネス透明樹脂 (18年6月発表)

開発主体 東レ

製品化段階 研究 開発 製品化

キーテクノロジー ・PMMA樹脂

①開発経緯・背景・市場ニーズ

近年、自動車の軽量化による省エネルギー化を目指して、金属やガラス製部材から樹脂への置

き換え研究が進められている。前面窓やルーフ部材といった自動車のキャビンを構成する部材を

透明樹脂に置き換えることができれば、軽量化による省エネルギー化だけでなく、視野確保によ

る安全性の向上や解放感のある空間の実現といった新たな付加価値も期待できる。

しかし従来の透明樹脂は金属やガラスと比べるとたわみやすく、部材の設計強度を維持するた

めには部材自体を厚くする必要があった。そのため本来の目的である軽量化効果が大幅に低下し、

意匠性も損なわれるといった課題があったが、PMMAはプラスチック材料の中で最高レベルの

透明性、高い耐久性と傷がつきにくい硬さを兼ね備えた樹脂であり、PMMAを技術の出発点と

して産学の密接な連携の下、たわみが小さく、かつ割れにくい革新的な高剛性・高タフネス透明

樹脂の開発に着手した。

②新技術(製品)の技術概要・技術動向

透明プラスチックのポリメタクリル酸メチル(PMMA)をベースに開発した軽くて頑丈な透

明樹脂は高透明性でありながら高剛性・高タフネスを兼ねそろえており、自動車の前面窓として

JISが定める耐衝撃性試験をクリアした。

新開発樹脂を自動車のキャビンを構成する前面窓やルーフ部材に適用することで軽量化による

省エネルギー化だけでなく、視野確保による安全性の向上や解放感のある空間の実現といった新

たな付加価値も期待できる。ルーフ部材に適用した場合、合わせガラス重量の6割超、鋼板重量

の4割の軽量化が見込める。

ガラスや金属の代替材料として自動車用部材のみならずさまざまな用途への展開が期待でき、

軽量化などによる省エネルギー化につながる。

【Ⅲ-3.新技術分野別個票/材料系・工法系分野】

205

③事業化の現状と今後

― 採用状況(見込み),販売計画,生産目標・予測,市場性など ―

開発した新技術は同社が参画する内閣府の「革新的研究開発プログラム(ImpACT)」の一

環で取り組んだ成果であり、今後の販売計画としては表面の摩耗性や低線膨張性,成形の自由度,

コストなどの改良に着手し、自動車での実用化を目指す。同時に自動車以外での活用用途を模索

する。全般的には2030年までをめどに自動車部材として実用化を目指していく方向である。

【Ⅲ-3.新技術分野別個票/材料系・工法系分野】

226

マルチマテリアルドアモジュール (19年3月発表)

開発主体 帝人

製品化段階 研究 開発 製品化

キーテクノロジー ・SMC成形技術

①開発経緯・背景・市場ニーズ

帝人グループは自動車の軽量化,強度やデザイン自由度の向上,および製造工程の短縮化に貢献

するコンポジット製の座席ドアモジュールを開発した。既に試作品の開発にも成功、世界最大の

コンポジット展示会「JECワールド2019」において公開する。

開発背景としては世界的な環境規制の強化を背景としたEV化の加速により、特に欧州を中心に

樹脂などの軽量・高強度素材を用いたモジュール化が進んでおり、既に後部荷室の扉やボンネッ

ト,ルーフなどで実用化している。座席ドアについては事故の際に搭乗者を守り、乗降のたびに

負荷がかかり、かつ電源供給や信号通信に必要なハーネスを内蔵していることなどから、特に優

れた衝撃吸収特性や疲労特性が求められている。一方、一般的にスチール代替の軽量素材として

用いられるアルミは、複雑な形状への加工が容易ではなく、デザインの自由度に制約があるとさ

れている。帝人グループは独自の高機能素材やエンジニアリング技術、および成形技術を駆使し

て、マルチマテリアルによるコンポジット製の座席ドアモジュールを開発・設計し、軽量性、強

度、デザイン性を同時に実現した。

②新技術(製品)の技術概要・技術動向

今回、開発したドアモジュールはCF-SMやGF-SMC(熱硬化性樹脂を炭素繊維やガラス

繊維に含浸させシート状にした成形材料),一方向性のGFRPを組み合わせることにより、座席

ドアに求められる強度を保ちながら、スチールを使用した従来のドア部品に比べて約35%の軽

量化に成功した。またアルミを使用したドア部品と同等の製造コストを実現しながら、アルミで

は実現が難しかった角部分に半径3mmの丸みを持たせた深さ70mmの型押し加工による深絞

り成形を行い、デザイン性も向上した。さらに高い耐熱性が求められる電着塗装(E-Coat)

工程にも適応可能であることから、従来の金属部品の塗装工程ラインを活用できるため、生産性

【Ⅲ-3.新技術分野別個票/材料系・工法系分野】

227

も向上する。

③事業化の現状と今後

― 採用状況(見込み),販売計画,生産目標・予測,市場性など ―

帝人グループは自動車部品の軽量・高強度コンポジット化の加速に向け、様々な取り組みを推進

しており、今回開発したドアモジュールもグループ内の素材や技術を結集し、顧客ニーズに沿っ

た最適な設計と改良を行うことにより、2025年までに実用化を目指す。また、今回の開発を

機にマルチマテリアルでの部品供給メーカーとしてソリューション提案力の強化を進めることで、

2030年近傍には、自動車向け複合材料製品事業で2,000百万米ドル規模の売上を目指す。

2019年版

自動車における新技術の現状と将来性

価 格:68,000円(消費税別)

発刊日:2019年 4月 25日

発刊者:総合技研株式会社

自動車技術研究グループ

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