車載レーダー用フェーズドアレー技術

Phased Array Technology for Automotive Radar Applications

三宅 康之

Yasuyuki MIYAKE

株式会社デンソー AD&ADAS 技術 2 部

DENSO CORPORATION AD&ADAS Engineering Div. 2

概要

自動運転の実現に向けて車両の周辺を監視する車載センシング技術が急速に進化している。自動運転

を実現するためには特性の異なる様々なセンサーを車両に搭載する必要があるが、その中でも雨・霧・

雪といった環境の変化に強いレーダーが注目を集めている。当初レーダーは前方監視用として市場に投

入されたが、最近になって車両の前・後側方エリアを監視するコーナーレーダーとして普及しはじめた。

コーナーレーダーは死角に存在する車両を検知してドライバーに知らせる BSW(Blind Spot Warning)や、

駐車場で後退する際に自車に近づく車両を検知する RCTA(Rear Cross Traffic Alert)等の車載アプリケ

ーションに適用されているが、それぞれのアプリケーションによって監視するエリアが異なっている。

レーダーを用いた車載アプリケーションにおいて不要な検知を防ぐためには電波をできるだけ見たい

エリアのみに送信することが望ましい。フェーズドアレー技術はそれを実現する手段の 1つで、移相器

と呼ばれる装置の導入により送信する電波の向きを電子的に制御することを可能にする。本稿では、フ

ェーズドアレー技術を導入したコーナーレーダーについて紹介し、さらに多重反射や電波干渉といった

現状の課題についても言及する。

Abstract

Recently various advanced driver assistance systems with corner radar have been introduced into the market. The

radar requires to have a wide field-of-view for realizing plural driver assistance systems. However, undesired

backscatter, which degrades the radar performances, increases with enlarging the detectable area. Phased array

technology is one of the solutions to overcome this difficulty. We can adjust the detectable area to be suitable for

each system. In this paper, the corner radar with the phased array technology is described.

図 フェーズドアレー技術を用いた

電波の送信方向制御

移相器

アンテナ

送信する電波の方向

図 コーナーレーダーの用途例

駐車車両

ターゲット

自車

コーナーレーダー

(a) BSW (b) RCTA

死角

電波送信エリア

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MWE 2018 FR1B-2