韓国民事執行法邦語試訳 -...
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資 料
金 炳 学
〔ま え が き〕
韓国民事手続法は、日本を介して、ドイツ民事訴訟法(ZPO)を継受したも
のである。
日本においても、民事訴訟法典から、民事執行法典(1979年)および民事
保全法典(1989年)が単行法として独立していった経緯は、諸氏にとってあ
きらかなところである。
韓国においては、新民事訴訟法の制定(2002年)と相俟って、民事執行法
が単行法として独立していった経緯は日本と類似しているが、保全手続を単行
法化せず、民事執行法典にそのまま残している点が立法の大きな特色と言えよ
う。
また、立法に際しては、母法たるZPOを見倣い不誠実な債務者に対する対応
として、財産明示制度を強化し、監置制度を設け、債務者不履行者名簿制度等
を整備するとともに、債権実現に当たり、オンライン化を積極的に取り入れて
いる点も、比較法研究として、注目に値するところである。
間接強制制度を巡っては、いまだ、補充性論を撤廃していないが、ZPO888
条、同890条と平仄をあわせるかたちで、債権実現のため、積極的に活用され
ているところである。
ここに微力ではあるが、ドイツ=日本=韓国の比較民事執行法研究の一助と
なればと思い、韓国民事執行法の和訳を公表するものである。
韓国民事執行法邦語試訳-2016年5月31日現在-
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行政社会論集 第 29 巻 第3号
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制 定 2002年1月26日 法律第6627号
最終改正 2015年5月18日 法律第13286号
施 行 2015年11月19日
第1編 総 則(第1条~第23条)
第2編 強制執行
第1章 総 則(第24条~第60条)
第2章 金銭債権に基づいた強制執行
第1節 財産明示手続等(第61条~77条)
第2節 不動産に対する強制執行
第1款 通 則(第78条~第79条)
第2款 強制競売(第80条~第162条)
第3款 強制管理(第163条~第171条)
第3節 船舶等に対する強制執行(第172条~第187条)
第4節 動産に対する強制執行
第1款 通 則(第188条)
第2款 有体動産に対する強制執行(第189条~222条)
第3款 債権およびその他の財産権に対する強制執行
(第223条~251条)
第4款 配当手続(第252条~第256条)
第3章 金銭債権以外の債権に基づいた強制執行(第257条~263条)
第3編 担保権の実行等のための競売(第264条~第275条)
第4編 保全処分(第276条~312条)
附 則
大韓民国民事執行法施行令
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韓国民事執行法邦語試訳-2016年5月31日現在- (金 炳学)
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大韓民国民事執行法
第1編 総 則
第1条(目的)
この法律は、強制執行、担保権実行のための競売、民法、商法その他の法律
の規定による競売(以下「民事執行」と称する。)並びに保全処分の手続を
規定することを目的とする。
第2条(執行実施者)
民事執行は、この法律に特別の規定のない限り、執行官が行う。
第3条(執行法院)
① この法律に規定された執行行為に係る法院の処分又は執行行為に係る法院
の協力事項を管轄する執行法院は、法律によって特に指定がない限り、執行
手続を行う場所又は行った場所を管轄する地方法院がなる。
② 執行法院の裁判は、弁論を経ないですることができる。
第4条(執行申請の方式)
民事執行の申請は、書面で行わなければならない。
第5条(執行官の強制力使用)
① 執行官は、執行をするために必要がある場合には、債務者の住居、倉庫そ
の他の場所を捜索して、閉鎖した戸又は器具を開く等適切な措置を行うこと
ができる。
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行政社会論集 第 29 巻 第3号
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② 第1項の場合に抵抗を受けるときは、執行官は、警察又は国軍の援助を要
請することができる。
③ 第2項の国軍の援助は、法院に申請しなければならず、法院が、国軍の援
助を要請する手続は、大法院規則で定める。
第6条(立会人)
執行官は、執行にあたり抵抗を受け又は債務者の住居において執行を実施す
るのに債務者又は事理分別能力を有するその親族、雇用人に会うことができ
ないときは、成年二人若しくは特別市、広域市の区又は洞の職員、市、邑又
は面の職員(都農複合形態の市の場合、洞地域では市職員、邑又は面地域で
は邑又は面職員)若しくは警察公務員中の一人を証人として立ち会わせなけ
ればならない。
第7条(執行官に対する援助要求)
① 執行官以外の者として法院の命令によって、民事執行に関する職務を行う
者は、その身分又は資格を証明する文書を所持し、関係人が求めるときはこ
れを提示しなければならない。
② 第1項の者が、その職務を執行するのにあたり抵抗を受けるときは、執行
官に対して援助を求めることができる。
③ 第2項の援助要求を受けた執行官は、第5条および第6条に規定された権
限を行使することができる。
第8条(公休日又は夜間の執行)
① 公休日又は夜間には、法院の許可がある場合に限り、執行行為をすること
ができる。
② 第1項の許可命令は、民事執行を行うときに提示しなければならない。
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第9条(記録の閲覧および謄本の交付)
執行官は、利害関係人の申請により、執行記録の閲覧を許可して、記録にあ
る文書の謄本を交付しなければならない。
第10条(執行調書)
① 執行官は、執行調書を作成しなければならない。
② 第1項の調書には、次の各号の事項を明らかにしなければならない。
1.執行を行った日時および場所
2.執行の目的物およびその重要な事情の概要
3.執行立会人の表示
4.執行立会人の署名捺印
5.執行立会人調書を読み聴かせ又は提示し、その者がこれを承認して署名
捺印した事実
6.執行官の記名捺印又は署名
③ 第2項第4号および第5号の規定により署名捺印できない場合には、その
理由を記載しなければならない。
第11条(執行行為に属する催告およびその他の通知)
① 執行行為に属する催告およびその他の通知は執行官が口答で行い、これを
調書に記載しなければならない。
② 口答により催告又は通知をできない場合には、民事訴訟法第181条、第
182条および第187条の規定を準用して、その調書の謄本を送達する。この
場合、送達証書を作成しないときは、調書に送達した事由を記載しなければ
ならない。
③ 執行する場所および法院の管轄区域内で第2項の送達ができない場合に
は、催告又は通知を受けた者に大法院規則が定める方法で調書の謄本を送付
し、その事由を調書に記載しなければならない。
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第12条(送達又は通知の省略)
債務者が外国に居たり又はその所在が明らかでないときは、執行行為に属す
る送達又は通知をする必要がない。
第13条(外国送達の特例)
① 執行手続において外国に送達又は通知をする場合には、送達又は通知とと
もに大韓民国内に送達又は通知を受ける場所および受取人を定めて、相当の
期間内に届け出るように命ずることができる。
② 第1項の期間内に、届出がない場合には、その後の送達又は通知をしない
ことができる。
第14条(住所等が変更した場合の届出義務)
① 執行に関して、法院に申請又は届出をした者若しくは法院から文書の送達
を受けた者が送達を受ける場所を変更したときは、その旨を法院に正しく届
出をしなければならない。
② 第1項の届出をしなかった者に対する送達は、他に送達する場所が分から
ない場合ときは、法院に届出された場所又は従来送達を受けた場所に大法院
規則が定める方法により送付することができる。
③ 第2項の規定により文書を送付した場合には、送付した時に送達されたと
ものとみなす。
第15条(即時抗告)
① 執行手続に関する執行法院の裁判に対しては、特別の定めがある場合に限
り、即時抗告をすることができる。
② 抗告人は、裁判の告知を受けた日から一週間の不変期間内に、抗告状を原
審法院に提出しなければならない。
③ 抗告状に抗告理由の記載がないときは、抗告人は、抗告状を提出した日か
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ら一〇日以内に、抗告理由書を原審法院に提出しなければならない。
④ 抗告理由は、大法院規則で定めるところにより記載しなければならない。
⑤ 抗告人が、第3項の規定による抗告理由書を提出しないとき、又は抗告理
由が第4項の規定に違反したとき、若しくは抗告が不適法であってこれを補
正することができないことが明らかなときは、原審法院は、決定でその即時
抗告を却下しなければならない。
⑥ 第1項の即時抗告は、執行停止の効力を有しないい。ただし、抗告法院
(裁判記録が原審法院に残っているときは原審法院)は、即時抗告に対する
決定があるときまで、担保を立てさせて、若しくは立てさせないで原審裁判
の執行の停止若しくは執行手続の全部又は一部の停止を命じ、又は担保を立
てさせて執行の続行を命ずることができる。
⑦ 抗告法院は、抗告状又は抗告理由書に記載された理由に限り調査する。た
だし、原審裁判に影響を及ぼすべき法令違反又は事実の誤認の有無について
は、職権で調査することができる。
⑧ 第5項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
⑨ 第6項のただし書の規定による決定に対しては、不服を申請することがで
きない。
⑩ 第1項の即時抗告に対しては、この法律に特別の定めがある場合を除き、
民事訴訟法第3編第3章中、即時抗告に関する規定を準用する。
第16条(執行異議)
① 執行法院の執行手続に係る裁判として即時抗告することができないのもの
並びに執行官の執行処分、その他に執行官が遵守すべき執行手続に対して
は、法院に異議を申請することができる。
② 法院は、第1項の異議の申請に対する裁判に先立ち、債務者に担保立てさ
せて又は立てさせないで執行の一時停止をに命じ、若しくは債権者に担保を
立てさせ執行の続行を命じる等の暫定処分をすることができる。
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③ 執行官が、執行の委任を拒否し又は執行行為を遅怠させる場合、若しくは
執行官が計算により定められた手数料について争う場合には、法院に異議を
申請することができる。
第17条(取消決定の効力)
① 執行手続を取り消す旨の決定若しくは執行手続を取り消した執行官の処分
に対する異議の申請を棄却又は却下する決定若しくは執行官に執行手続の取
消しを命ずる決定に対しては、即時抗告をすることができる。
② 第1項の決定は、確定しなければその効力を生じない。
第18条(執行費用の予納等)
① 民事執行の申請をするときは、債権者は、民事執行に必要な費用として法
院が定める金額を予納しなければならない。法院が、不足した費用の予納を
命じたときも、同様とする。
② 債権者が、第1項の費用を予納しないときは、法院は決定で申請を却下
し、又は執行手続を取り消すことができる。
③ 第2項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。
第19条(担保提供又は供託法院)
① この法律の定めによる担保の提供又は供託は、債権者又は債務者の普通裁
判籍の所在地の地方法院又は執行法院にすることができる。
② 当事者が担保を提供し又は供託をしたときは、法院は、当事者の申請によ
り証明書を発行しなければならない。
③ この法律に規定された担保については、特別の定めがある場合を除き、民
事訴訟法第122条、第123条、第125条および第126条の規定を準用する。
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第20条(公共機関に対する援助)
法院は、執行をするために必要なときは、公共機関に援助を求めることがで
きる。
第21条(裁判籍)
この法律に定められた裁判籍は、専属管轄とする。
第22条(市又は郡法院の管轄に対する特例)
次の事件は、市又は郡法院の所在地を管轄する地方法院又は地方法院支院が
管轄する。
1.市又は郡法院で成立した和解、調停(民事調停法第34条第4項の規定
により裁判上の和解と同一の効力を有する決定を含む。以下、同じ。)、又
は確定した支払命令に関する執行文付与の訴え、請求異議の訴え又は執行
文付与に対する異議の訴えとして執行権原において認められた権利が少額
事件審判法の適用対象とならない事件
2.市又は郡法院が行った保全処分の執行に対する第三者異議の訴え
3.市又は郡法院で成立した和解又は調停に基づく代替執行又は間接強制
4.少額事件審判法の適用対象とならない事件について本案でする保全処分
第23条(民事訴訟法の準用等)
① この法律に特別の規定のある場合を除き、民事執行および保全処分の手続
に関しては、民事訴訟法の規定を準用する。
② この法律が定めるもののほか、民事執行および保全処分の手続に関し必要
な事項は、大法院規則で定める。
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第2編 強 制 執 行
第1章 総 則
第24条(強制執行および終局判決)
強制執行は、確定した終局判決又は仮執行の宣告を付した終局判決に基づい
て行う。
第25条(執行力の主観的範囲)
① 判決が、その判決に表示された当事者以外の者に効力が及ぶときは、その
者に対して執行し又はその者のために執行することができる。ただし、民事
訴訟法第71条の規定による参加人に対してはこの限りでない。
② 第1項の執行のための執行文の付与に対しては、第31条乃至第33条の規
定を準用する。
第26条(外国裁判の強制執行)
① 外国法院の確定判決又はこれと同一の効力を有すると認められる裁判(以
下「確定裁判等という」)に基づいた強制執行は、大韓民国法院において執
行判決としてその適法である旨の宣言がある場合を除き、行うことができな
い。
② 執行判決を求める訴えは、債務者の普通裁判籍の所在地の地方法院が管轄
し、普通裁判籍がないときは、民事訴訟法第11条の規定により債務者に対
する訴えを管轄する法院が管轄する。
第27条(執行判決)
① 執行判決は、裁判の当否を調査しないでしなければならない。
② 執行判決を求める訴えは、次の各号のいずれかに該当するときは、却下し
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なければならない。
1.外国法院の確定判決等が確定したことが証明されないとき
2.外国法院の確定判決等が民事訴訟法第217条の要件を具備しないとき
第28条(執行力ある正本)
① 強制執行は、執行文の付された判決正本(以下「執行力ある正本」とい
う。)がある場合を除き行うことができない。
② 執行文は、申請により第一審法院の法院書記官、法院事務官、法院主事又
は法院主事補(以下「法院事務官等」という。)が付与し、訴訟記録が上級
審にあるときはその法院の法院事務官等が付与する。
③ 執行文の付与を求める申請は、口答で行うことができる。
第29条(執行文)
① 執行文は、判決正本の末尾に付記する。
② 執行文には、「この正本は、被告某又は原告某に対する強制執行を実施す
るため、原告某又は被告某に付与する」旨を記載し、法院事務官等が記名捺
印しなければならない。
第30条(執行文付与)
① 執行文は、判決が確定し又は仮執行の宣言が付されたときに限り付与す
る。
② 判決の執行にあたり、条件が付されその条件の成就を債権者が証明しなけ
ればならないときは、これを証明する文書を提出したときに限り執行文を付
与する。ただし、判決の執行が担保の提供を条件とするときは、この限りで
ない。
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第31条(承継執行文)
① 執行文は、判決に表示された債権者の承継人のために付与することがで
き、又は判決に表示された債務者の承継人に対する執行のために付与するこ
とができる。ただし、その承継が、法院に明白な事実であるとき、又は証明
書により承継を証明したときに限る。
② 第1項の承継が法院に明白な事実であるときは、これを執行文に記載しな
ければならない。
第32条(裁判長の命令)
① 裁判の執行にあたり条件を付した場合および第31条の場合には、執行文
は、裁判長(合議部の裁判長又は単独法官をいう。以下同じ。)の命令があ
る場合に限り、付与することができる。
② 裁判長は、この命令に先立ち書面又は口答で債務者を審問することができ
る。
③ 第1項の命令は執行文に、記載しなければならない。
第33条(執行文付与の訴え)
第30条第2項および第31条に規定される必要な証明をすることができない
ときは、債権者は、執行文付与の訴えを、第一審法院に提起することができ
る。
第34条(執行文付与等に関する異議の申請)
① 執行文の付与の申請に係る法院事務官等の処分に対して異議の申請がある
場合には、その法院事務官等が所属する法院が決定により裁判する。
② 執行文付与に対する異議の申請がある場合には、法院は第16条第2項の
処分に準ずる決定をすることができる。
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第35条(数通の執行文の付与)
① 債権者が、数通の執行文の申請をし、若しくは先に付与した執行文を返還
せず、再度、執行文の申請をしたときは、裁判長の命令があるときに限り、
付与することができる。
② 裁判長は、この命令に先立ち書面若しくは口答で債務者を審問することが
でき、債務者を審問せず、数通の執行文を付与し、又は再度執行文を付与す
るときは、債務者にその事由を通知しなければならない。
③ 数通の執行文を付与し又は再度付与するときは、その事由を原本および執
行文に記載しなければならない。
第36条(判決原本への記載)
執行文を付与する場合には、判決原本又は上訴審判決正本に、原告又は被告
に対して執行文を付与した旨およびその日時を記載しなければならない。
第37条(執行力ある正本の効力)
執行力ある正本の効力は、全国法院の管轄区域に及ぶ。
第38条(数通の執行力ある正本による同時執行)
債権者が一つの管轄地域又はある一つ方法で強制執行を行っても、完全な弁
済を受けることができないときは、数通の執行力ある正本によって、複数の
管轄地域又は複数の方法により、同時に強制執行をすることができる。
第39条(執行開始の要件)
① 強制執行は、これを申請した者および執行を受ける者の姓名が判決又は付
与された執行文に表示されており、且つ、判決があらかじめ又は同時に送達
されたときに限り、開始することができる。
② 判決の執行がその趣旨により債権者が証明する事実に係るとき若しくは判
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決に表示された債権者の承継人のため又は債務者の承継人に対して行うとき
は、執行判決のほかに付与された執行文を、強制執行が開始する前にあらか
じめ債務者の承継人に送達しなければならない。
③ 証明書によって、執行文を付与したときは、その証明書の謄本を、強制執
行を開始する前にあらかじめ又は同時に債務者に送達しなければならない。
第40条(執行開始の要件)
① 執行を受ける者が、一定の期限の到来によりその債務を履行することに
なっているときは、その期限の到来後に限り、強制執行を開始することがで
きる。
② 執行が、債権者の担保の提供に係るときは、債権者が担保を立てたことを
証明する文書を提出しなければならない。この場合の執行は、その証明文書
の謄本を債務者にあらかじめ、又は同時に、送達するときに限り、開始する
ことができる。
第41条(執行開始の要件)
① 反対給付の履行と引換えに執行することができるということを内容とする
執行権原の執行は、債権者が反対給付の履行又は履行の提供をしたことを証
明したときに限り、開始することができる。
② 給付の執行が不可能なときに、他の給付に代えて執行することができると
いうことを内容とする執行権原は、債権者がその執行が不可能であることを
証明したときに限り、開始することができる。
第42条(執行官による受領証の作成および交付)
① 債権者が、執行官に執行力ある正本を交付して強制執行を委任したとき
は、執行官は、特別な権限なくして弁済又はその他の履行を受けることがで
き、これに対する受領証を作成して交付することができる。執行官は、債務
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者がその義務を完全に履行したときは、執行力ある正本を債務者に交付しな
ければならない。
② 債務者が、その義務の一部を履行したときは、執行官は、執行力ある正本
にその事由を記載し、受領証を債務者に交付しなければならない。
③ 債務者の債権者に対する受領証の請求については、第2項の規定によらな
い。
第43条(執行官の権限)
① 執行官は、執行力ある正本を有している場合、債務者又は第三者に対して
強制執行を行い、第42条の規定する行為する権限を有し、債権者はそれに
対して委任の瑕疵又は制限を主張することができない。
② 執行官は、執行力ある正本を有している場合、関係人から求められるとき
はその資格を証明するためにこれを提示さなければならない。
第44条(請求異議の訴え)
① 債務者が、判決により確定した請求に関して、異議を申請しようとする場
合、第一審判決法院に請求異議の訴えを提起しなければならない。
② 第1項の異議は、その事由が弁論の終結後(弁論を経ないでなされた判決
の場合には判決が言い渡された後)に、生じたものでなければならない。
③ 異議事由が、複数あるときは同時に主張しなければならない。
第45条(執行文付与に対する異議の訴え)
第30条第2項および第31条の場合に、債務者が、執行文付与に関して証明
された事実による判決の執行力を争い又は承継による判決の執行力を争うと
きは、第44条の規定を準用する。ただし、この場合にも第34条の規定によ
り執行文付与に対して異議を申請することができる債務者の権限は影響を受
けない。
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第46条(異議の訴えおよび暫定処分)
① 第44条および第45条の異議の訴えは、強制執行の進行に影響を及ぼさな
い。
② 第1項の異議を主張した事由が、法律上正当な理由があると認められ、か
つ、事実に対する疎明があるときは、受訴法院は、当事者の申請により、判
決をするまでの間、担保を立てさせて、若しくは担保を立てさせないで強制
執行の停止を命じ、又は担保を立てさせて執行の続行を命じ、若しくは既に
した執行処分の取消しを命ずることができる。
③ 第2項の裁判は、弁論を経ないですることができ、急迫の事情があるとき
は、裁判長が行うことができる。
④ 急迫の場合には、執行法院が第2項の権限を行使することができる。この
場合、執行法院は、相当の期間内に第2項の規定による受訴法院の裁判書を
提出するように命じなければならない。
⑤ 第4項後段の期間を経過したときは、債権者の申請により強制執行を続行
する。
第47条(異議の裁判および暫定処分)
① 受訴法院は、異議の訴えの判決において、第46条の処分を命じ、既にし
た命令を取り消し、変更し若しくは認可することができる。
② 判決中第1項に規定された事項に対しては、職権により仮執行の宣言をし
なければならない。
③ 第2項の裁判に対しては、不服を申請することができない。
第48条(第三者異議の訴え)
① 第三者が、強制執行の目的物について所有権その他目的物の譲渡又は引渡
しを妨げる権利を有すると主張するときは、債権者を相手にその強制執行に
対する異議の訴えを提起することができる。ただし、債務者がその異議を争
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うときは債務者を共同被告とすることができる。
② 第1項の訴えは執行法院が管轄する。ただし、訴訟物が単独法官の管轄に
属しないときは執行法院の所在地を管轄する地方法院の合議部がこれを管轄
する。
③ 強制執行の停止又は既にした執行処分の取消しに対しては、第46条およ
び第47条の規定を準用する。ただし、執行処分を取り消すときは、担保を
立てさせないですることができる。
第49条(執行の必然的停止又は制限)
強制執行は、次の各号のいずれかに掲げる文書の提出があったときは、停止
若しくは制限しなければならない。
1.執行する判決又は仮執行宣言を取り消す旨、若しくは強制執行を許さな
い旨又は執行処分の取り消しを命じる旨を記載した執行力のある裁判の正
本
2.強制執行の一時の停止を命ずる旨を記載した裁判の正本
3.執行を免れるための担保を立てたことを証明する文書
4.執行する判決の成立後に、債権者が弁済を受け、又は弁済の猶予を承諾
した旨を記載した文書
5.執行する判決又はその他の裁判が、訴えの取下げその他の事由により効
力を失ったことを証明する調書謄本又は法院事務官等が作成した証書
6.強制執行をしない旨又は強制執行の申請や委任を取り下げる旨を記載し
た和解調書の正本又は公正証書の正本
第50条(執行処分の取消し又は一時差止め)
① 第49条第1号、第3号、第5号および第6号の場合には、既にした執行
処分を取り消さなければならず、同条第2号および第4号の場合には既にし
た執行処分を一時的に差し止めなければならない。
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② 第1項により執行処分を取り消す場合には、第17条の規定を適用しない。
第51条(弁済証書等の提出による執行停止の制限)
① 第49条第4号の文書において弁済を受けた旨を記載した証書を提出して、
強制執行が停止する場合その停止期間は二月とする。
② 第49条第4号の文書において弁済の猶予を承諾した旨を記載した文書を
提出して、強制執行が停止する場合、その停止は二回に限り、かつ通じて六
月を超えることができない。
第52条(執行を開始した後に債務者が死亡した場合)
① 強制執行を開始した後に債務者が死亡したときは、相続財産に対して強制
執行を続行する。
② 債務者に知らしめるべき執行行為を行う場合に、相続人の存在又はその所
在が明らかでないときは、執行法院は、債権者の申請により、相続財産又は
相続人のために、特別代理人を選任しなければならない。
③ 第2項の特別代理人に関しては、民事訴訟法第62条第2項乃至第5項の
規定を準用する。
第53条(執行費用の負担)
① 強制執行に必要な費用は債務者の負担とし、執行によって、優先的に弁済
を受ける。
② 強制執行の基礎となる判決が破棄されたときは、債権者は第1項の費用を
債務者に返還しなければならない。
第54条(軍人又は軍務員に対する強制執行)
① 軍人又は軍務員に対して、兵営、軍事用庁舎又は軍用船舶において強制執
行をする場合には、法院は、債権者の申請により、軍法官、部隊長又は船長
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韓国民事執行法邦語試訳-2016年5月31日現在- (金 炳学)
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に嘱託して、これを行う。
② 嘱託により差し押えられた物は、債権者が委任した執行官に交付しなけれ
ばならない。
第55条(外国で行う執行)
① 外国で強制執行を行う場合に、その外国の公共機関の法律上の共助を受け
ることができるときは、第一審法院が、債権者の申請により、外国の公共機
関にこれを嘱託しなければならない。
② 外国に駐在する大韓民国領事によって強制執行ができるときは、第一審法
院は、その領事にこれを嘱託しなければならない。
第56条(その他の執行権原)
強制執行は、次に掲げるものに基づいても実施することができる。
1.抗告によらなければ不服を申請することができない裁判
2.仮執行の宣言を付した裁判
3.確定した支払命令
4.公証人が、一定の金額の支払又は代替物若しくは有価証券の一定の数量
の給付を目的にする請求について作成した公正証書で、債務者が強制執行
を承諾した旨の陳述が記載されているもの
5.訴訟上の和解、請求の認諾等その他確定判決と同一の効力を有するもの
第57条(準用規定)
第56条の執行権原に基づいた強制執行に対しては、第58条および第59条の
規定を除き、第28条乃至第55条の規定を準用する。
第58条(支払命令および執行)
① 確定した支払命令にもとづく強制執行は、執行文の付与を要することな
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行政社会論集 第 29 巻 第3号
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く、支払命令正本によって行う。ただし、次の各号のいずれかに掲げる該当
する場合には、この限りでない。
1.支払命令の執行に条件が付された場合
2.当事者の承継人のため強制執行をする場合
3.当事者の承継人に対して強制執行をする場合
② 債権者が、数通の支払命令正本を申請、又は先に付与した執行文を返還せ
ず、再度、執行文を申請したときは、法院事務官等がこれを付与する。この
場合、その事由を原本および正本に記載しなければならない。
③ 請求異議の訴えに対しては、第44条第2項の規定を適用しない。
④ 執行文付与の訴え、請求異議の訴え又は執行文付与に対する異議の訴え
は、支払命令を発した地方法院が管轄する。
⑤ 第4項の場合に、その請求が合議事件であるときは、その法院の所在地を
管轄する地方法院の合議部で裁判する。
第59条(公正証書および執行)
① 公証人が作成した証書の執行文は、その証書を保存する公証人が付与す
る。
② 執行文の付与の申請に関する公証人の処分に対して異議の申請があるとき
は、その公証人の事務所の所在地を管轄する地方法院の単独法官が決定によ
り裁判する。
③ 請求異議の訴えに対しては、第44条第2項の規定を適用しない。
④ 執行文付与の訴え、請求異議の訴え又は執行文付与に対する訴えは、債務
者の普通裁判籍の所在地の法院が管轄する。ただし、そのような法院がない
場合には、民事訴訟法第11条の規定により債務者に対して訴えを提起する
ことができる法院が管轄する。
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第60条(過怠金の執行)
① 過怠金の裁判は検事の命令で執行する。
② 第1項の命令は、執行力ある執行権原と同一の効力を有する。
第2章 金銭債権に基づいた強制執行
第1節 財産明示手続等
第61条(財産明示の申請)
① 金銭の支払を目的とする執行権原に基づいて強制執行を開始できる債権者
は、債務者の普通裁判籍の所在地の法院に、債務者の財産明示を申請するこ
とができる。ただし、民事訴訟法第213条による仮執行宣言付判決又は同条
の準用による仮執行宣言が付された執行力のある執行権原の場合には、この
限りでない。
② 第1項の申請には、執行力のある正本および強制執行を開始するのに必要
な文書を付さねばならない。
第62条(財産明示申請に対する裁判)
① 財産明示申請に正当な理由があると認められるきには、法院は、債務者に
財産状態を明示した財産目録を提出するように命ずることができる。
② 財産明示申請に正当な理由があると認められないとき、又は債務者の財産
を容易に把握することができると認められるときは、法院は、決定により申
請を棄却しなければならない。
③ 第1項および第2項の裁判は、債務者を審問しないで行う。
④ 第1項の決定は申請債権者および債務者に送達しなければならず、債務者
に対する送達には、決定に従わない場合には、第68条に規定された制裁を
受ける旨、告知しなければならない。
⑤ 第4項の規定により債務者に対して行う送達は、民事訴訟法第187条およ
び第194条による方法によることはできない。
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行政社会論集 第 29 巻 第3号
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⑥ 第1項の決定が債務者に送達できないときは、法院は、債権者に、相当の
期間を定めてその期間内に債務者の住所を補正するよう命じなければならな
い。
⑦ 債権者が第6項の命令を受けてもこれを履行しようとしないときは、法院
は、第1項の決定を取り消して、財産明示申請を却下しなければならない。
⑧ 第2項および第7項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
⑨ 債務者は、第1項の決定につき送達を受けた後、送達場所に変更が生じた
ときは、その旨を法院に直ちに届け出なければならず、届出をしない場合に
は民事訴訟法第185条第2項および第189条の規定を準用する。
第63条(財産明示命令に対する異議の申請)
① 債務者は、財産明示命令の送達を受けた日から一週間以内に異議を申請す
ることができる。
② 債務者が第1項により異議を申請したときは、法院は、異議申請事由を調
べる期日を定めて、債権者および債務者にこれを通知しなければならない。
③ 異議の申請に正当な理由があると認められるときは、法院は、決定により
財産明示命令を取り消さなければならない。
④ 異議の申請に正当な理由が認められないとき又は債務者が正当な理由なく
して期日に出席しないときは、法院は、決定により異議の申請を棄却しなけ
ればならない。
⑤ 第3項および第4項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
第64条(財産明示期日の実施)
① 財産明示命令に対して債務者の異議の申請がない場合又はこれを棄却した
ときは、法院は、財産明示のための期日を定めて、債務者に出席するように
命じなければならない。この期日は債権者にも通知しなければならない。
② 債務者は、第1項の期日に強制執行の対象になる財産と、次の各号の事項
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韓国民事執行法邦語試訳-2016年5月31日現在- (金 炳学)
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を明示した財産目録を提出しなければならない。
1.財産明示命令送達前一年以内に債務者がした不動産の有償譲渡
2.財産明示命令送達前一年以内に債務者が、配偶者、直系血族および四親
等以内の傍系血族並びにその配偶者、配偶者の直系血族および兄弟姉妹に
した不動産以外の財産の有償譲渡
3.財産明示命令送達前二年以内に債務者がした財産の無償処分。ただし、
儀礼的な贈物は除く。
③ 財産目録に記載する事項および範囲は、大法院規則がこれを定める。
④ 第1項の期日に出席した債務者が三月以内に弁済する可能性があることを
疎明したときは、法院は、その期日を三月内で延期することができ、債務者
が次の期日に債務額の三分の二以上を弁済したことを証明する文書を提出し
たときは、更に一月の範囲内で延期することができる。
第65条(宣誓)
① 債務者は、財産明示期日に財産目録が真実であるということを宣誓しなけ
ればならない。
② 第1項の宣誓に関しては、民事訴訟法第320条および第321条の規定を準
用する。この場合、宣誓書には次の通り記載しなければならない。
「良心に従って、事実どおり財産目録を作成、提出いたしました。万一、隠
匿したもの又は虚偽に作成したものがあれば、処罰を受けることを誓いま
す。」
第66条(財産目録の訂正)
① 債務者は、明示期日に提出した財産目録に形式的な瑕疵又は不確な事柄が
あるときは、第65条の規定による宣誓をした後でも、法院の許可を得て、
既に提出した財産目録を訂正することができる。
② 第1項の許可に関する決定に対しては、即時抗告をすることができる。
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行政社会論集 第 29 巻 第3号
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第67条(財産目録の閲覧、複写)
債務者に対して強制執行を開始することができる債権者は、財産目録の閲
覧、複写を申請することができる。
第68条(債務者の監置および罰則)
① 債務者が正当な事由なくして次の各号のいずれかに該当する行為をした場
合には、法院は、決定により、二〇日以内の監置に処する。
1.明示期日の欠席
2.財産目録の提出拒否
3.宣誓の拒否
② 債務者が、法人又は民事訴訟法第52条の社団又は財団であるときは、そ
の代表者又は管理人を監置に処する。
③ 法院は、監置裁判期日に債務者を呼び出して、第1項各号の違反行為に対
する正当な理由の有無を審理しなければならない。
④ 第1項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
⑤ 債務者が、監置の執行中に財産明示命令の履行を申請したときは、法院
は、直ちに明示期日を開かなければならない。
⑥ 債務者が、第5項の明示期日に出席し、財産目録の提出並びに宣誓をした
とき、若しくは申請債権者に対する債務を弁済し、これを証明する文書を提
出したときは、法院は、直ちに監置決定を取り消して、債務者のを釈放を命
じなければならない。
⑦ 第5項の明示期日は、申請債権者に通知せずに行うことができる。この場
合、第6項の事実を債権者に通知しなければならない。
⑧ 第1項乃至第7項の規定による裁判手続および執行その他必要な事項は、
大法院規則で定める。
⑨ 債務者が、虚偽の財産目録を提出したときは、三年以下の懲役又は五〇〇
万ウォン以下の罰金に処する。
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韓国民事執行法邦語試訳-2016年5月31日現在- (金 炳学)
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⑩ 債務者が法人又は民事訴訟法第52条の社団又は財団であるときは、その
代表者又は管理人を第9項の規定により処罰し、債務者は第9項の罰金に処
する。
第69条(明示申請の再申請)
財産明示申請が、棄却、却下された場合には、その明示申請をした債権者
は、棄却、却下事由を補完しなければ、同一の執行権原をもって再度財産明
示を申請することができない。
第70条(債務不履行者名簿登裁の申請)
① 債務者が次の各号のいずれかに該当する場合、債権者は、その債務者を債
務不履行者名簿に記載するよう申請することができる。
1.金銭の支払を命じた執行権原が確定した後又は執行権原を作成された
後、六月以内に債務を履行しないとき。ただし、第61条第1項ただし書
きに規定された執行権原の場合を除く。
2.第68条第1項各号の事由又は同条第9項の事由に該当する場合。
② 第1項の申請をするときは、その理由を疎明しなければならない。
③ 第1項の申請に対する裁判は、第1項第1号の場合には債務者の普通裁判
籍の所在地の法院が管轄し、第1項第2号の場合には財産明示手続を実施し
た法院が管轄する。
第71条(登載申請に対する裁判)
① 第70条の申請に正当な理由があると認められるときは、法院は、債務者
を債務不履行者名簿に記載する決定をしなければならない。
② 登載申請に正当な理由が認められないとき、又は容易に強制執行をするこ
とができると認められる明白な事由があるときは、法院は、決定でこれを棄
却しなければならない。
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行政社会論集 第 29 巻 第3号
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③ 第1項および第2項の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。こ
の場合、民事訴訟法第447条の規定は準用しない。
第72条(名簿の備置)
① 債務不履行者名簿は、登載決定をした法院に備え置く。
② 法院は、債務不履行者名簿の副本を債務者の住所地(債務者が法人の場合
には主たる事務所の所在地)の市(区が設置されない市をいう。以下同
じ。)、区、邑又は面の長(都農複合形態の市の場合には洞地域は市又は区の
長、邑又は面地域は邑又は面の長とする。以下同じ)に送付しなければなら
ない。
③ 法院は、債務不履行者名簿の副本を、大法院規則で定めるところにより一
定の金融機関の長又は金融機関関連団体の長に送付し、債務者に対する信用
情報として活用させるようにすることができる。
④ 債務不履行者名簿又はその副本は、何人でも閲覧又は複写することを申請
することができる。
⑤ 債務不履行者名簿は、印刷物等に公表されてはならない。
第73条(名簿登載の抹消)
① 弁済、その他の理由により債務が消滅したことが証明されたときは、法院
は、債務者の申請により、債務不履行者名簿において、その名前を抹消する
決定をしなければならない。
② 債権者は、第1項の決定に対して、即時抗告をすることができる。この場
合、民事訴訟法第447条の規定は準用しない。
③ 債務不履行者名簿に記載された年から一〇年が過ぎたときは、法院は、職
権により、その名簿に記載された名前を抹消する決定をしなければならな
い。
④ 第1項および第3項の決定をしたときは、その旨を債務者の住所地(債務
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韓国民事執行法邦語試訳-2016年5月31日現在- (金 炳学)
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者が法人の場合には主たる事務所の所在地)、市、区、邑又は面の長および
第72条第3項の規定により債務不履行者名簿の副本を送った金融機関等の
長に通知しなければならない。
⑤ 第4項の通知を受けた市、区、邑、又は面の長および金融機関等の長はそ
の名簿の副本に記載された名前を抹消しなければならない。
第74条(財産照会)
① 財産明示手続の管轄法院は、次の各号のいずれかに該当する場合には、そ
の財産明示を申請した債権者の申請により個人の財産および信用に関するコ
ンピュータネットワークを管理する公共機関、金融機関又は団体等に債務者
名義の財産に関して問い合わせることができる。
1.財産明示手続における債権者が、第62条第6項の規定による住所に関
する補正命令を受けても民事訴訟法第194条第1項の規定による事由に
よって債権者がこれを履行することができないことが認められる場合
2.財産明示手続において債務者が提出した財産目録の財産だけでは執行債
権の満足を得ることができない場合
3.財産明示手続において第68条第1項各号の事由又は同条第9項の事由
がある場合
② 債権者が、第1項の申請をする場合には、照会する機関又は団体を特定し
なければならず、照会にかかる費用を予納しなければならない。
③ 法院が、第1項の規定により照会する場合には債務者の人的事項を記載し
た文書によって、該当機関又は団体の長に債務者の財産および信用に関し
て、その機関又は団体が保有している資料をひとまとめにして提出するよう
に求めることができる。
④ 公共機関、金融機関又は団体等はは正当な理由なくして第1項および第3
項の照会を拒否することはできない。
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行政社会論集 第 29 巻 第3号
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第75条(財産照会の結果等)
① 法院は、第74条第1項および第3項の規定により照会した結果を、債務
者の財産目録に準じて、管理しなければならない。
② 第74条第1項および第3項により照会を受けた機関又は団体の長が正当
な理由なくして虚偽の資料を提出したり、又は資料を提出することを拒否し
たときは、決定により五〇〇万ウォン以下の過怠金に処する。
③ 第2項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
第76条(罰則)
① 何人も、財産照会の結果を強制執行以外の目的で用いてはならない。
② 第1項の規定に違反した者は、二年以下の懲役又は五〇〇万ウォン以下の
罰金に処する。
第77条(大法院規則)
第74条第1項および第3項の規定により照会をする公共機関、金融機関又
は団体等の範囲および照会手続、第74条第2項の規定により債権者が予納
しなければならない費用、第75条第1項の規定による照会結果の管理に関
する事項、第75条第2項の規定による過怠金の賦課手続等は、大法院規則
で定める。
第2節 不動産に対する強制執行
第1款 通 則
第78条(執行方法)
① 不動産に対する強制執行は、債権者の申請により法院が行う。
② 強制執行は、次の各号の方法でする。
1.強制競売
2.強制管理
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③ 債権者は、自らの選択によって、第2項各号うち一つの方法若しくは二つ
の方法を併用して、執行することができる。
④ 強制管理は、仮差押えを執行するときにも、行うことができる。
第79条(執行法院)
① 不動産に対する強制執行は、その不動産の所在地の地方法院が管轄する。
② 不動産が、数個の地方法院の管轄区域に存在する場合には、各地方法院に
管轄権が認められる。この場合、法院が必要であると認めるときは、事件を
他の管轄地方法院に移送することができる。
第2款 強制競売
第80条(強制競売申請書)
強制競売申請書には、次の各号の事項を記載しなければならない。
1.債権者および債務者並びに法院の表示
2.不動産の表示
3.競売の理由となる一定の債権および執行することができる一定の執行権
原
第81条(添付文書)
① 強制競売申請書には、執行力ある正本のほか、次の各号のいずれかに該当
する文書を添付しなければならない。
1.債務者の所有で登記がされた不動産については登記事項証明書
2.債務者の所有で登記がされていない不動産については、直ちに債務者名
義に登記することができるということを証明する文書。ただし、その不動
産が登記がされていない建物の場合には、その建物が債務者の所有に属す
ることを証明する文書、その建物の地番、構造、面積を証明する文書およ
びその建物に関する建築許可又は建築届出を証明する文書
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行政社会論集 第 29 巻 第3号
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② 債権者は、公的帳簿を主管する公共機関に、第1項第2号ただし書の事項
等を証明するよう求めることができる。
③ 第1項第2号ただし書の場合に、建物の地番、構造、面積を証明すること
ができないときは、債権者は、競売申請と同時にその調査を執行法院に申請
することができる。
④ 第3項の場合に、法院は、執行官にその調査を命じなければならない。
⑤ 強制管理をするため既に不動産を差し押えた場合には、その執行記録に第
1項各号に該当する文書が添付されているときは、再度、文書を添付する必
要はない。
第82条(執行官の権限)
① 執行官は、第81条第4項の調査のため、建物に立ち入り、又は債務者若
しくは建物を占有する第三者に質問をし、文書の提示を求めることができ
る。
② 執行官は、第1項の規定により、建物に立ち入るために必要があるとき
は、閉鎖した戸を開く等適切な処分をすることができる。
第83条(競売開始決定等)
① 競売手続を開始する決定においては、同時にその不動産の差押えを命じな
ければならない。
② 差押えは、不動産に対する債務者の管理、利用は影響を受けない。
③ 競売手続開始決定後には、法院は、職権により又は利害関係人の申請によ
り、不動産に対する侵害行為を防止するために必要な措置をとることができ
る。
④ 差押えは、債務者にその決定が送達された時又は第94条の規定による登
記がされた時に効力が生ずる。
⑤ 強制競売申請を棄却又は却下する裁判に対しては、即時抗告をすることが
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できる。
第84条(配当要求の終期決定および公告)
① 競売開始決定に係る差押えの効力が生じたとき(その競売開始決定前に他
の競売開始決定があった場合を除く)には、執行法院は、手続に必要な期間
を考慮して、配当要求の終期を、最初の売却期日の以前までに定める。
② 配当要求の終期が定められたとき、法院は、競売開始決定をした旨および
配当要求の終期を公告し、第91条第4項ただし書の傳貰権(1)者および法院
に知れている第88条第1項の債権者にこれを告知しなければならない。
③ 第1項の配当要求の終期決定および第2項の公告は、競売開始決定に係る
差押えの効力が生じたときから一週間以内に行わなければならない。
④ 法院事務官等は、第148条第3号および第4号に掲げる債権者および租
税、その他の公課金を主管する公共機関に対して、債権の有無、その原因お
よび金額(元金、利子又は費用その他の附帯債権を含む。)を、配当要求の
終期までに法院に届け出るべき旨催告しなければならない。
⑤ 第148条第3号および第4号に掲げる債権者が第4項の催告に対する届出
をしないときは、その債権者の債権額は登記事項証明書等、執行記録にある
文書と証憑により計算する。この場合には、債権額を更に追加することはで
きない。
⑥ 法院は、特に必要があると認めるときは、配当要求の終期を延期すること
ができる。
⑦ 第6項の場合には、第2項および第4項の規定を準用する。ただし、既に
配当要求又は債権の届出をした者に対しては同項の告知又は催告をする必要
はない。
第85条(現況調査)
① 法院は、競売開始決定後、直ちに執行官に不動産の現状、占有関係、借
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行政社会論集 第 29 巻 第3号
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賃(2)又は保証金の金額その他の現況について調査を命じなければならな
い。
② 執行官が、第1項の規定により不動産を調査するときは、その不動産に対
して第82条に規定された措置をすることができる。
第86条(競売開始決定に対する異議の申請)
① 利害関係人は、売却代金が完全に弁済されるときまでに、法院に、競売開
始決定に対する異議を申請することができる。
② 第1項の申請を受けた法院は、第16条第2項に準ずる決定をすることが
できる。
③ 第1項の申請に関する裁判に対して、利害関係人は、即時抗告をすること
ができる。
第87条(差押えの競合)
① 強制競売手続又は担保権実行のための競売手続を開始する決定をした不動
産に対して、他の強制競売の申請があったときは、法院は、更に競売開始決
定をして、先の競売開始決定に基づく執行手続により競売を行う。
② 先の競売開始決定をした競売申請が取り下げられたとき、又はその手続が
取り消されたときは、法院は、第91条第1項の規定に反しない限度で、後
の競売開始決定により手続を続行しなければならない。
③ 第2項の場合において、後の競売開始決定が配当要求の終期後の申請に係
るものであるときは、執行法院は、新たに配当要求の終期を定めなければな
らない。この場合、既に第84条第2項又は第4項の規定により配当要求又
は債権届出をした者に対しては、同項の告知又は催告を要しない。
④ 先の競売開始決定に係る競売手続が停止したときは、法院は、申請により
決定で、後の競売開始決定(配当要求の終期までにされた申請に係るものに
限る。)に基づいて、手続を続行する。ただし、先に競売開始決定に係る競
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韓国民事執行法邦語試訳-2016年5月31日現在- (金 炳学)
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売手続が取り消されたとき、又は第105条第1項第3号に掲げる事項につい
て変更が生ずるときは、この限りでない。
⑤ 第4項の申請に対する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
第88条(配当要求)
① 執行力ある正本を有する債権者、競売開始決定が登記された後に仮差押え
をした債権者、民法、商法その他の法律によって、優先返済請求権を有する
債権者は、配当要求をすることができる。
② 配当要求により買受人が引き受けるべき負担に変更が生ずる場合には、配
当要求をした債権者は、配当要求の終期後にこれを撤回することができな
い。
第89条(二重競売申請等の通知)
法院は、第87条第1項および第88条第1項の申請があるときは、その事由
を利害関係人に通知しなければならない。
第90条(競売手続の利害関係人)
競売手続の利害関係人は、次の各号の者とする。
1.差押債権者および執行力ある正本によって配当を要求した債権者
2.債務者および所有者
3.登記簿に記載された不動産上の権利者
4.不動産上の権利者としてその権利を証明した者
第91条(引受主義又は剰余主義の選択等)
① 差押債権者の債権に優先する債権に係る不動産の負担を買受人に引き受け
させ、若しくは売却代金をもってその負担を弁済するのに不足しないという
ことが認められる場合でなければ、その不動産を売却することはできない。
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行政社会論集 第 29 巻 第3号
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② 売却不動産の上のすべての抵当権は売却により消滅する。
③ 地上権、地役権、傳貰権および登記された賃借権は、抵当権、差押債権又
は仮差押債権に対抗することができない場合には、売却により消滅する。
④ 第3項の場合以外の地上権、地役権、傳貰権および登記された賃借権は、
買受人が引き受ける。ただし、そのうち傳貰権の場合には傳貰権者が第88
条により配当要求をすることで、売却により消滅する。
⑤ 買受人は、留置権者に対してその留置権をよって担保される債権を弁済す
る責任を負う。
第92条(第三者および差押えの効力)
① 第三者は、権利を取得するときに競売申請又は差押えがあるということを
知り得た場合には、差押えに対抗することができない。
② 不動産が、差押債権のために義務を負った場合には、差押え後、所有権を
取得した第三者が所有権を取得したときは、競売申請又は差押えがあったと
いうことについて、知り得なっかたときも、競売手続を続行しなければなら
ない。
第93条(競売申請の取下げ)
① 競売申請が取り下げられた場合、差押えの効力は消滅する。
② 買受申出があった後、競売申請を取り下げる場合には、最高価買受申出人
又は買受人および114条の次順位買受申出人の同意を得なければ、その効力
を生じない。
③ 第49条第3号又は第6号の文書を提出する場合には、第1項および第2
項の規定を、第49条第4号の文書を提出する場合には第2項の規定を準用
する。
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第94条(競売開始決定の登記)
① 法院が、競売開始決定をした場合、法院事務官等は直ちにその事由を登記
簿に記載するように登記官に嘱託しなければならない。
② 登記官は、第1項の嘱託により競売開始決定事由を記載しなければならな
い。
第95条(登記事項証明書の送付)
登記官は、第94条により競売開始決定事由を登記簿に記載した後、その登
記事項証明書を法院に送付しなければならない。
第96条(不動産の滅失等による競売取消し)
① 不動産が滅失又は売却等によって権利の移転を妨げる事情が明らかとなっ
たときは、法院は、強制競売の手続を取り消さなければならない。
② 第1項の取消決定に対しては、即時抗告をすることができる。
第97条(不動産の評価および最低売却価格の決定)
① 法院は、鑑定人に不動産の評価を命じ、その評価額を斟酌して、最低売却
価格を定めなければならない。
② 鑑定人は、第1項の評価のため必要がある場合、第82条第1項に規定さ
れた措置をすることできる。
③ 鑑定人は、第7条の規定により執行官に対して援助を求めるときは、法院
の許可を得なければならない。
第98条(一括売却決定)
① 法院は、数個の不動産の位置、形態および利用関係等を考慮し、これらを
一括売却することが相当であると認めるときは、職権により又は利害関係人
の申請により、一括売却することを定めることができる。
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② 法院は、不動産を売却する場合に、その位置、形態、利用関係等を考慮
し、他の種類の財産(金銭債権を除く。)をその不動産とあわせ一括売却す
ることが相当であると認めるときは、職権により又は利害関係人の申請によ
り、一括売却することを定めることができる。
③ 第1項および第2項の決定は、その目的物に対する売却期日前までにする
ことができる。
第99条(一括売却事件の併合)
① 法院は、それぞれに競売申請がされた数個の財産若しくは他の法院又は執
行官に係属した競売事件の目的物に対して、第98条第1項又は第2項の決
定をすることができる。
② 他の法院又は執行官に係属した競売事件の目的物の場合には、他の法院又
は執行官は、その目的物に対する競売事件を第1項の決定をした法院に移送
する。
③ 第1項および第2項の場合に、法院は、その競売事件を併合する。
第100条(一括売却事件の管轄)
第98条および第99条の場合には、民事訴訟法第31条によらず、同法第25条
の規定を準用する。ただし、登記することができる船舶に関する競売事件に
対しては、この限りでない。
第101条(一括売却手続)
① 第98条および第99条の一括売却決定による売却手続は、この款の規定に
より行う。ただし、不動産以外の財産の差押えは、その財産の種類に応じて
該当する規定に定める方法で行い、そのうち、執行官の差押えによる財産の
差押えは、執行法院が、執行官に差押えを命じる方法により行う。
② 第1項の売却手続で各財産の代金額を特定する必要がある場合には、各財
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産に対する最低売却価格の比率を定めなければならず、各財産の代金額は総
代金額を各財産の最低売却価格比率により割った金額とする。各財産が負担
すべき執行費用額を特定する必要がある場合にも、同様とする。
③ 数個の財産を一括売却する場合には、そのうちの一部の売却代金により、
各債権者の債権額および強制執行費用を弁済するのに充分であるときは、他
の財産の売却を許可しない。ただし、土地およびその上にある建物を一括売
却する場合又は財産を分離して売却する場合において、その経済的効用が著
しく減少する場合又は債務者の同意がある場合には、この限りでない。
④ 第3項本文の場合には、債務者は、売却する財産を指定することができ
る。
⑤ 一括売却手続に関して、本法で定めた事項を除いては、大法院規則で定め
る。
第102条(剰余を生ずる見込みがない場合等の競売取消し)
① 法院は、最低売却価格をもって、差押債権者の債権に優先する不動産のす
べての負担および手続費用を弁済すると剰余を生ずる見込みがないと認める
ときは、差押債権者にその旨を通知しなければならない。
② 差押債権者が第1項の通知を受けた日から一週間以内に、第1項の負担お
よび費用を弁済して剰余を生ずる価格を定め、その価格に見合う買受申出が
ないときは自らが申出額で買い受ける旨の申出をしたにもかかわらず、充分
な保証を提供しないときは、法院は、競売手続を取り消さなければならな
い。
③ 第2項の取消決定に対しては、即時抗告をすることができる。
第103条(強制競売の売却方法)
① 不動産の売却は、執行法院が定める売却方法により行う。
② 不動産の売却は、売却期日に行う競り売り、売却期日に入札および開札す
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る期日入札、又は入札期間内に入札し売却期日に開札する期間入札の三つ方
法により行う。
③ 不動産の売却手続に関して必要な事項は、大法院規則で定める。
第104条(売却期日および売却決定期日等の指定)
① 法院は、最低売却価格として第102条第1項の負担および費用を返済して
剰余を生ずる見込みがあると認めるとき又は差押債権者が第102条第2項の
申出をし充分な保証を提供したときは、職権により、売却期日および売却決
定期日を定めて、大法院規則で定める方法で公告する。
② 法院は、売却期日および売却決定期日を利害関係人に通知しなければなら
ない。
③ 第2項の通知は、執行記録に記された利害関係人の住所に、大法院規則で
定める方法で送付することができる。
④ 期間入札の方法により売却する場合には、入札期間に関しても第1項乃至
第3項の規定を適用する。
第105条(売却物件明細書等)
① 法院は、次の各号の事項を記載した売却物件明細書を作成しなければなら
ない。
1.不動産の表示
2.不動産の占有者および占有の権原、占有できる期間、借賃又は保証金に
関する関係人の陳述
3.登記された不動産に対する権利又は仮処分の執行で売却により効力を失
わないこと
4.売却により設定されたとみなされる地上権の概要
② 法院は、売却物件明細書、現況調査報告書および評価書の寫本を法院に備
え置いて、何人でも閲覧できるようにしなければならない。
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第106条(売却期日の公告内容)
売却期日の公告内容には、次の各号の事項を記載しなければならない。
1.不動産の表示
2.強制執行で売却する旨およびその売却方法
3.不動産の占有者、占有の権原、占有し使用できる期間、借賃又は保証金
約定およびその金額
4.売却期日の日時および場所、売却期日を進行する執行官の姓名および期
間入札の方法で売却する場合には入札期間および場所
5.最低売却価格
6.売却決定期日の日時および場所
7.売却物件明細書、現況調査報告書および評価書の寫本を売却期日前に法
院に備え置いて、一般の閲覧に供する旨
8.登記簿に記載する必要のない不動産に対する権利を有する者は、債権の
届出をしなければならない旨
9.利害関係人は、売却期日に出席することができる旨
第107条(売却場所)
売却期日は、法院内で行わなければならない。ただし、執行官は法院の許可
を得て、他の場所で売却期日を進行することができる。
第108条(売却場所の秩序維持)
執行官は、次の各号のいずれかに該当すると認められる者に対して売却場所
への立ち入ることを制限し、若しくは売却場所から退場させ、又は買受けの
申出をさせないことができる。
1.他の者の買受申出を妨害した者
2.不当に他の者と談合し、又はその他売却の適正な実施を妨害した者
3.第1号又は第2号の行為を教唆した者
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4.民事執行手続における売却に関して、刑法第136条、第137条、第140
条、第140条の2、第142条、第315条および第323条乃至第327条に規定
された罪で有罪判決を受け、その判決確定日から二年を過ぎていない者
第109条(売却決定期日)
① 売却決定期日は、売却期日から一週間以内に定めなければならない。
② 売却決定手続は、法院内で行わなければならない。
第110条(合意による売却条件の変更)
① 最低売却価格以外の売却条件は、法院が、利害関係人の合意により変更す
ることができる。
② 利害関係人は、配当要求の終期まで第1項の合意をすることができる。
第111条(職権による売却条件の変更)
① 取引の実状を反映し又は競売手続を効率的に進行するために必要がある場
合には、法院は、配当要求の終期までに売却条件を変更し又は新しい売却条
件を定めることができる。
② 利害関係人は、第1項の裁判に対して、即時抗告をすることができる。
③ 第1項の場合に、法院は、執行官に対して、不動産について必要な調査を
命じることができる。
第112条(売却期日の進行)
執行官は、期日入札又は競り売りの方法による売却期日において、売却物件
明細書、現況調査報告書および評価書の寫本を閲覧に供し、特別な売却条件
があるときはこれを告知し、法院が定めた売却方法により買受価格を届け出
るべき旨を催告しなければならない。
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第113条(買受申出の保証)
買受申出人は、大法院規則で定めるところにより、執行法院が決定した金額
および方法による保証を、執行官に提供しなければならない。
第114条(次順位買受けの申出)
① 最高価買受申出人以外の買受申出は、売却期日の終了まで執行官に対し
て、最高価買受申出人が代金納付期限までにその義務を履行しない場合、自
己の買受申出について売却を許可すべき旨の申出(以下「次順位買受申出と
いう。)をすることができる。
② 次順位買受申出は、その申出額が最高価買受申出人の申出の額から買受け
の保証の額を控除した金額以上である場合に限り、することができる。
第115条(売却期日の終了)
① 執行官は、最高価買受申出人の姓名およびその価格を告げ、かつ次順位買
受申出の催告した後、適法な次順位買受申出人がいれば次順位買受申出人を
定めその姓名および価格を告げた後、売却期日の終了を告知しなければなら
ない。
② 次順位買受申出をした者が二名以上であるときは、申出をした買受価格が
高い者を次順位買受申出人に定める。申出た買受価格が同額であるときは、
くじで次順位買受申出人を定める。
③ 最高価買受申出人および次順位買受申出人を除いた他の買受申出人は、第
1項の告知により買受けの責任を免れ、直ちに買受申出の保証の返還を申請
することができる。
④ 期日入札又は競り売りの方法による売却期日において、売却期日を終了す
るときまでに許可しうる買受価格の申出がないときは、執行官は、直ちに売
却期日の終了を取り消し、同じ方法で買受価格を申し出るように催告するこ
とができる。
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⑤ 第4項の催告に対して買受価格の申出がなく売却期日を終了するときは、
売却期日の終了を再度取り消すことができない。
第116条(売却期日調書)
① 売却期日調書には、次の各号の事項を記載しなければならない。
1.不動産の表示
2.差押債権者の表示
3.売却物件明細書、現況調査報告書および評価書の寫本を閲覧に供したこ
と
4.特別な売却条件があるときはこれを告知したこと
5.買受価格の申出を催告したこと
6.すべての買受申出値格とその申出人の姓名、住所又は許可しうる買受価
格の申出がないときは、その旨
7.売却期日を終了まで許可しうる買受価格の申出がなく、売却期日の終了
を取り消し、再度、買受価格の申出を催告したときは、その旨
8.最終的に売却期日の終了を告知した日時
9.買受けのための保証を提供したこと又は保証を提供しないでその買受を
許可しなかったときは、その旨
10.最高価買受申出人および次順位買受申出人の姓名およびその価格を告
げたこと
② 最高価買受申出人および次順位買受申出人又は出席した利害関係人は調書
に署名捺印しなければならない。署名捺印できないときは執行官がその事由
を記載しなければならない。
③ 執行官は買受申出の保証を返還したとき受領証を受け取り、調書に添付し
なければならない。
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第117条(調書および金銭の引渡し)
執行官は、売却期日調書および買受申出の保証として返還した保証金以外の
保証金を、売却期日から三日以内に法院事務官等に引き渡さなければならな
い。
第118条(最高価買受申出人等の送達受領者申出)
① 最高価買受申出人および次順位買受申出人は、大韓民国内に住所又は居所
並びに事務所がないときは、大韓民国内に送達および通知を受ける場所およ
び受領者を定めて、法院に届出なければならない。
② 最高価買受申出人および次順位買受申出人が、第1項の届出をしないとき
は、法院は、これらの者に対する送達又は通知をする必要がない。
③ 第1項の届出は執行官に対して、口答で行うことができる。この場合、執
行官は調書にその旨を記載しなければならない。
第119条(新たな売却期日)
許可しうる買受価格の申出がなく、売却期日が最終的に終了したときは、第
91条第1項の規定に反しない限度で、法院は、最低売却価格を相当な範囲
において低く設定し、新たな売却期日を定めなければならない。その期日に
おいて許可しうる買受価格の申出がないときも、同様とする。
第120条(売却決定期日における陳述)
① 法院は、売却決定期日に出席した利害関係人に、売却許可に関する意見を
陳述するようにしなければならない。
② 売却許可に関する異議は、売却許可があるときまでに申請しなければなら
ない。既に申請した異議に対する陳述も同様とする。
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第121条(売却許可に対する異議申請事由)
売却許可に関する異議は、次の各号のいずれかに該当する事由がある場合に
限り申請することができる。
1.強制執行を許可することができないとき又は執行を続行することができ
ないとき
2.最高価買受申出人が不動産を買い受ける能力又は資格を有しないとき
3.不動産を買い受ける資格のない者が、最高価買受申出人をして、買受申
出をさせたとき
4.最高価買受申出人、その代理人又は最高価買受申出人をして、買受届出
をさせた者が第108条各号の一つに該当するとき
5.最低売却価格の決定�
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