カナダ森林大臣協議会 概況報告書 · 2015-06-01 ·...

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グリーンビルディングと木の効用

カナダ森林大臣協議会

概況報告書

WWW.SFMCANADA.ORG

世界人口や資源需要の増加に伴い、木材などの再生可能資源は消費者にとって責任ある選択肢となっています。カナダの様々な木材製品はあらゆる建築や改築のニーズに対応でき、また、包括的な法令や、適切に管理されている森林から調達したものであることを証明する第三者認証によっても後押しされています。新技術を採用することで木材の効率性が高まっています。エンジニアードウッド製品は強度が高く、幅広い用途に使えるため、その利用はより大型の商業・公共構造物にも広がっています。エンジニアードウッドを製造する場合、どの生産段階においても廃棄物量が抑えられます。建築物の建設、改築、運用に使用する製品の選択は、環境に大きな影響を与えます。世界中で実施された数多くのライフサイクル評価に関する調査から、木材製品は他の主要な建材よりも環境フットプリントが少ないことが示されています。ライフサイクル評価は国際的に認知されている手法で、定量的指標を用います。この評価を意思決定の一環として用い、さまざまな建築資材や

建築構法が与える環境影響や、そこに存在する間に建物全体が与える環境影響を比較することもできます。場合によっては、ライフサイクル評価が驚くような結論を導き出すこともあります。特に元の製品が再生可能なもので、リサイクルに大量のエネルギーが必要となる場合合には、リサイクル製品でない原材料のほうが環境に優しい選択肢となることもあるのです。現地製品の利用が環境にとって望ましいといえるのは、そうした製品がエネルギー消費や汚染を低減するものである場合のみです。Athena® EcoCalculator for Assemblies(アシーナ研究所開発の工法環境影響評価ソフト)はライフサイクル評価の簡易版で、建築家やエンジニアなどが何百もの建築工法の環境影響について評価や比較を行うことができるものです。このツールは、新築建造物や改築に一般的に用いられている設計を評価することもでき、ウェブサイト(www.athenasmi.ca)から無料で入手できます。

グリーンビルディング格付ツール建築業界の専門家が製品や設計の選択について環境パフォーマンスを評価できるよう、数多くの総合的な格付システムがあります。効果的なシステムは、比較の際に一貫した科学的根拠を示すことができ、持続可能な設計の重要な技術的側面を評価すると同時に、伝達や実施がしやすいものです。最良のシステムは、慣例に倣うのではなく、イノベーションを促進させ業績を上げるものです。

木材は扱いやすく、耐久性があり、安全・快適で美しいため、常に人気の建築材料です。気候変動への懸念が高まる中、再生可能資源であるということや、森林が炭素を吸収して貯留してくれることを理由として、木材はさらに魅力的な選択肢となっています

木造枠組工法住宅

北米の典型的な木造枠組工法住宅には29トンの炭素が含まれています。これは、乗用車を5年間運転して発生する温室効果ガスの排出量を相殺する量(ガソリン約12,200リットル(3,200米ガロン))に相当します。

一般的に使用されている北米のグリーンビルディング格付システムの例

• Green Globes—評価プロトコル、格付システム、環境に優しい設計を商業ビルに導入するためのガイドを組み込んだウェブベースの管理ツール

• Leadership in Energy and Environmental Design (LEED)—高性能のグリーン建築の設計・建設・運用の基準を示すグリーンビルディング格付システム

• The ICC 700 NAHB National Green Building Standard—全米住宅建設業者協会があらゆる住宅建設業者およびリフォーム業者向けに策定した規格で、グリーン住宅の設計・開発・建設施工を認定・表彰する基準を示すもの

評価ツールは、カナダの「Built Green」および「R2000」、イギリスの「Building Research Establishment’s Environmental Assessment Method (BREEAM)」、日本の「建築物総合環境性能評価システム(CASBEE)」など、世界中の国々にあります。

木:グリーンビルディングに最適な選択肢コンクリートやプラスチック、金属、その他の材料と比較して、木材製品を製造する方がエネルギーの消費量が少なく、大気環境や水質に与える影響も少ないことが調査結果から明らかになっています。木材は再生可能であり、成長を続ける森林は多くの環境価値や社会的価値を支えます。

北米で生産されるエネルギーの3分の1は建物の暖房・冷房・運用に使用されていることから、省エネルギーはグリーンビルディングの優先事項といえます。木には天然の熱効率性があり、小さな空洞のある組織構造が熱の流れを妨げます。

木材の長所は、建物の運用に必要なエネルギーと内包エネルギーのどちらにも関連性があります。内包エネルギーとは、直接、間接を問わず、原料採取から処分に至るまで、製品が寿命全体を通じて要する総エネルギーのことで、その重要性は、運用エネルギー効率の向上に伴ってますます高まっています。

木造、鉄骨、コンクリート造住宅の環境影響を比較した再生可能産業資材研究協会(CORRIM)による米国の調査では、鉄骨とコンクリート造の住宅を製造する場合、発生する温

室効果ガスは木造住宅よりもそれぞれ26%と31%多いことが明らかになりました。同じ調査から、木造住宅に比べて鉄骨およびコンクリート造の住宅の方が、含まれている内包エネルギーも放出する大気汚染物質も多いことが示されています。

この最良の建築資材は、構造物の寿命期間に耐えられる十分な耐久性があり、建物の耐用年数終了後は再利用することができます。汎用性と柔軟性に富む木材を使用すれば、改築も容易です。最近の調査では、木材は解体後に再利用される可能性が最も高いことも示されています。

北米の建物の大半は、ニーズの変化のため50~60年で解体されています。したがって、建物の設計は、新たな用途に簡単に対応できるよう、あるいは材料の再利用やリサイクルが可能なように解体できるように行うのが得策です。

木材利用の奨励

イングランド地方にある9階建木造集合住宅(Stadthaus)は、現在世界で最も高層の木造住宅構造物です。また、大型エンジニアードウッド製品で構成される20~30階建の純木造構造物を実現させる取り組みが設計者らによって行われています。大きなサイズの耐力壁を得られる大型の木製パネル製品は比較的小径木から作ることができます。

カナダでは、2009年1月にブリティッシュ・コロンビア州政府がブリティッシュ・コロンビア州建築基準法の木造構造物の上限を4階から6階に引き上げました。ケベック州自治体連合では、公共・商業・住宅用建築物に木材の使用を奨励する決議が可決されています。

0%

50%

100%

150%

200%

300%

250%

各外壁部材の内包環境負荷

木材が良い選択であることを示すライフサイクル評価

エネルギー 気候変動 大気汚染

木造と比較した影響度

木造鉄骨構造断熱パネル(SIP)コンクリートコンクリートブロック断熱コンクリート型枠(ICF)

この図は、5つの選択可能な建築システムと典型的な木造枠組工法外壁とを環境パフォーマンスで比較したものです。木造を基準値として100%に設定しています。データ統計は、FPInnovationsがカナダのバンクーバーに適したデータセットを用いて行いました。他の地域では結果が若干異なる場合もあります。

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