モニタリング技術研究会設立のご挨拶mntr.jpn.org/20150809/_src/sc546/1.pdfモニタリング技術研究会設立のご挨拶...

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モニタリング技術研究会設立のご挨拶代表世話人知邑舎 メディカルサテライト岩倉 長尾尋智

拝啓

厳しい暑さが続いております。

皆様におかれましてはますますご健勝のこととお慶び申し上げます。

さて、かねてより下足番の勉強会として15年余り活動いたしてまいりましたが、

このたび「モニタリング技術研究会」を設立し活動を継続することといたしました。

これも皆様のご支援とご協力の賜物と感謝するしだいでございます。

日本の透析医療は世界のトップレベルであり、これは医師とともにコメディカル、

人工腎臓関連の各メーカらが一丸となり研鑽を積み上げてきたことによるものです。

近年、透析患者の背景として透析安定期には見られなかった、多様化した患者

ニーズがありより安全で安定した血液透析技術が必要とされています。

透析医療の現場では、患者の体調や病状の変化を把握するため、日常的にバイ

タルサインが定量的に測定されており、各種のモニタリング機器が常に使用されて

います。

本会は血液浄化領域に伴う、諸分野でのモニタリング技術の研究を行うとともに、

知識と技術の普及を図り、血液浄化領域の医療の向上に寄与することを

目的とする学術団体です。

血液浄化療法の中で、臨床工学技士の立場からモニタリング機器の有用使用、

管理等全般的な意見交換の場となり、今後、日本の血液浄化や透析技術を担う

臨床工学技士、透析看護師の研鑽の場となるよう希望いたしております。

敬具

平成27年8月吉日

モニタリング技術研究会代表世話人メディカルサテライト岩倉 長尾 尋智

血液浄化領域におけるモニタリングと展望

大会長講演

第1回モニタリング技術研究会

発光部

受光部

Blood Flow

クリットラインチャンバー

照射された近赤外線は赤血球を通過する間に吸収、散乱され受光部に届きます。

クリットライン モニタ

(CLM:JMS社)

専用CLMチャンバーを用いる。Hctを連続測定しその変化を⊿%BVとしてモニタリングする。

REAL-TIME HEMATOCRIT

リアルタイムHct測定(1995)

805nm付近の波長は赤血球が酸化、還元のどちらの状態でも光の吸収能が同一とみなせる波長である。NBVの波長はこの波長を使用している。CLMの波長は660、805、950、1310nmのうち、数波長を使用している。

Hct⊿%BVSao2PRR

なぜ長尾尋智がモニタリングにこだわり始めたのか?

モニタリングによって助かった例(95年)

大学病院から透析導入後、転院された患者。食欲がなく、おなかが痛い。便秘。

CLMを用いた透析開始。(デモ)1時間後、下降していたΔ%BVが急激に上昇し始めた。「便がしたい。」「血圧下降、顔色不良。」

透析開始後に始まった消化管出血のため、救急搬送。1ヶ月ほど入院治療の後、復帰された。

血圧、脈拍、除水量、除水速度。血流量、静脈圧、TMP。

定型的な数値の記録では、患者さんの変化を早期発見はできないのではないか?リアルタイムな指標・評価法は?

患者さんから見たモニタリング

「元気で長く」‥ 良好な生命予後

適切なドライウエイトの設定

透析中の血圧変動の回避

十分な透析量の確保

適切な治療条件の設定

治療条件の設定のための的確な情報の取得

「維持血液透析ガイドライン 血液透析処方」 「血液透析患者における心血管合併症の評価とガイドライン」「慢性血液透析用バスキュラーアクセスの作成および修復に関するガイドライン」 より

適切なドライウエイトの設定

•腎機能の低下による水分が蓄積し体重が増加するため本当の体重が分からない。•本当の体重はこのくらいだろうと、推定。•発熱・風邪・下痢の時や、食事量の減少で体重が減少。•たくさん食べれば太ります。•体重の変化に応じてドライウエイトをいつも正しく決めておくことは、透析患者さんが体調を良好に保つために重要。・ドライウエイトの推定には、いくつかのパラメータを参考にします。•なかでも重要な4項目とされている。

• 浮腫がない。• 血圧が正常化する、または正常化しやすくなるまで除水する。• 連続した下肢のつり、過度の血圧低下がおこれば、過除水と考える。• 心胸比が過去の数値より大きくなく、できれば45%以下の体重を目標。

ドライウェイトを設定する際は、心胸比、透析前の血圧、透析中の血圧低下、尿量、透析前後の血液濃縮、心臓超音波などのデータが必要となる。

h‐ANP

体液量管理DW? 『ドライウエイト』について

数値での評価はできないものか。

どこまで行っても、だいたいこれくらい。

高周波 低周波

多周波数インピーダンス法による身体組成評価の有用性

TIEN Multi-frequency bioelectrical impedance method for the assessment of body composition in Japanese adults.AU 田中喜代次, KIM H, (筑波大 体育科学系) 奥野 淳, 藤本誉博(筑波大学体育研究所)etal SO 肥満研究 VOL. 6 NO. 1; PAGE.68-75;

MLT-50

多周波数インピーダンス法(MFBIA)

MLT-50

TBW/FFM(総体水分比)ECW/FFM (外液比)ICW/FFM (内液比)

ECW(細胞外液)ICW (細胞内液)FFM = BMC + LTM

BMC = 骨塩量(bone mineral content)

LTM = 脂肪量と骨塩量を除く組織量

:身体を構成する実質組織

(bone-free lean tissue mass)

TBW(総体水分)

体液量管理DW?

(Multi-frequency Bioelectrical impedance analysis: MFBIA)

多周波数生体電気インピーダンス法を用いた装置

フレゼニウス・メディカル・ケア株式会社

体組成分析装置 BCM

SKメディカル電子株式会社

体組成分析装置MLT-550N

Biospace 社InBody S10

体液量・栄養管理

体組成分析による体液量管理

-30

-25

-20

-15

-10

-5

0

5

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

変化率(%)推移

入院・死亡1年前を 0 とした平均値の変化率の推移

(n=20)

後Wt

GNRI

Alb

体脂肪重量

ICW

月数

高齢患者の各種指標の推移

-59.5%測定不能

体組成分析による体液量管理栄養管理

血液透析におけるモニタリングは1回ごとの状態のモニタリングのみならず、年単位の変化をモニタリングすることが重要。

透析中の血圧変動の回避

Shoji, T., Tsubakihara. Y., et al Hemodialysis-assosiated hypotension as an independent risk. Kidney Int 66;1212~1220 2004より

収縮期血圧

2年後の死亡率

透析中最低下時血圧(mmHg)

透析中の血圧低下と生命予後透析中の血圧変動の回避

体液量管理DW?

10

15

20

25

30

-25

-20

-15

-10

-5

0

5

0

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22

33

44

55

66

77

88

99

110

121

132

143

154

165

176

187

198

209

220

231

%ΔBVと耳朶血流の比較補液 BV 右耳 BloodFlow(%)

1患者2回の平均グラフ

0

5

10

15

20

25

30

35

-25

-20

-15

-10

-5

0

5

0

11

22

33

44

55

66

77

88

99

110

121

132

143

154

165

176

187

198

209

220

231

%ΔBVと下肢血流の比較補液 BV 右足 BloodFlow

(%)

1患者2回の平均グラフ

耳朶血流測定(LDF法による)

間歇補充(I-HDF)の末梢循環への効果

間歇補充(I-HDF)を30分ごとに行うと耳朶血流、下肢血流ともに呼応した波形が見られた。

頭部・末梢血流量無侵襲モニタリング透析中の血圧変動の回避

0

50

100

150

200

250

-10

-5

0

5

10

15

20

25

30

35

40

0 30 60 90 120 150 180

耳朶平均流量(mL/min) 収縮期血圧(mmHg)

3時間10分で終了

【HD】

【治療条件】治療モード:HD 治療時間:3.5hr 血液流量:250ml/min 除水量:1.62L

開始時体重40.9㎏ 終了時体重:39.4kg

収縮期血圧

BP80台除水停止

除水再開

BP80台

除水停止

除水再開

BP80台除水停止

除水再開

透析困難症例

透析中の血圧が不安定

2015/05/13

透析中の血圧変動の回避

LDFによるモニタリング

リアルタイムな血圧測定と警報の発報

【治療条件】治療モード:I-HDF(1.2L) 治療時間:3.5hr 血液流量:250ml/min 除水量:1.79L

開始時体重41.0㎏ 終了時体重:39.2kg

0

50

100

150

200

250

-10

-5

0

5

10

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20

25

30

35

40

0 30 60 90 120 150 180

耳朶平均流量(mL/min) ⊿%BV(%) 収縮期血圧(mmHg)

収縮期血圧

透析困難症例 【I-HDF】

血圧は100mmHgを割らなかった

終了時の体重を下げることが出来た。

2015/05/15

210

透析中の血圧変動の回避

LDFによるモニタリング

CLMよるBVモニタリング

十分な透析量の確保

VA評価

c

c

c

十分な透析量の確保

VA評価

0

0.5

1

1.5

2

2.5

3

0

0.5

1

1.5

2

2.5

0 50 100 150 200 250 300

KT

/V

(min)

排液測定電圧

各HDFの排液測定電圧

各HDFの排液推定BUNから求めたKT/Vの推移

排液測定電圧と推定KT/V:実測KT/V

排液から得られたデータが透析量のモニタリングに活用できる可能性がある。

排液モニターの可能性透析液廃液モニタリング技術十分な透析量の

確保

VA評価・血流量(脱血圧)

患者さんが元気で過ごすための細やかなサポート

医師●血液・生化学検査●問診・触診●画像診断など

臨床工学技士

●生命維持管理装置の操作・保守管理●モニタリング機器の活用

看護師

●透析治療の受容●透析ライフの教育●生活支援

医療従事者から見たモニタリング

第1章 第二条 2

「臨床工学技士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、臨床工学技士の名称を用いて、医師の指示の下に、生命維持管理装置の操作(生命維持管理装置の先端部の身体への接続又は身体からの除去であって政令で定めるものを含む)及び保守点検を行うことを業とする者をいう。

臨床工学技士法(昭和六十二年六月二日法律第六十号)

最終改正:平成二六年六月一三日法律第六九号

ガイドラインに示されている項目を正確にモニタリングしアセスメントする。

生命維持管理装置

モニタリング技術・機器

プログラム除水

高Na透析

On-line HDF

I-HDF

実血流・再循環率

排液電圧→Kt/V

循環血液量

頭部血流量

適切なDW

透析中の血圧変動

十分な透析量

実血流・最適透析液流量可変

アクセス管理・評価

DWの設定

【医師・看護師とカンファレンス】臨床工学部にて評価した結果をフロア担当の臨床工学技士がカンファレンスにて医師、看護師へ評価報告を行い、情報交換、検討を行っているところです。

HOSPYグループwebサイト 臨床工学部のページhttp://hospy.jpn.org/ce/より

モニタリング運用の実際

【臨床工学部にて評価】MLT-50測定結果と検査データ、画像情報を元にフロア担当の臨床工学技士、施設担当者の臨床工学技士を中心として評価・検討を行っているところです。

モニタリングから得られたデータを臨床に生かす。

まとめ

・まとめられたガイドラインに示される項目を具体的に表すために

新しいモニタリング技術を駆使し透析治療に生かす。

・多様化する個々の患者に合った透析方法を可能とする。

・モニタリング技術の進歩とは、最終的には装置が情報に基づき

ある程度、集約した動作を自動的に行う装置と管理システム。

血液浄化領域におけるモニタリングと展望

新しい血液浄化臨床工学技士の責任

血液浄化生命維持管理装置の誕生。

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