第 11 回シェアリングエコノミー検討会議 議事次第€¦ ·...

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1 11 回シェアリングエコノミー検討会議 議事次第 1. 平成 30 11 30 日(金) 10:00 12:00 2. 中央合同庁舎4号館 全省庁共用1208特別会議室 3. (1)開会 (2)構成員からの情報提供 (3)事業者・団体からのヒアリング (4)意見交換 (5)閉会 4. 配布資料 【資料11-1】 生貝構成員 提出資料 【資料11-2】 一般社団法人 EC ネットワーク 提出資料 【資料11-3】 PwC コンサルティング合同会社 提出資料 【資料11-4】 Airbnb Japan 株式会社 提出資料 【資料11-5】 株式会社スペースマーケット 提出資料 【資料11-6】 討議参考資料 5. 参考資料 【参考11-1】 PwC コンサルティング合同会社 提出資料

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第 11 回シェアリングエコノミー検討会議

議事次第

1. 日 時 平成30年11月30日(金)10:00~12:00

2. 場 所 中央合同庁舎4号館 全省庁共用1208特別会議室

3. 議 事

(1)開会

(2)構成員からの情報提供

(3)事業者・団体からのヒアリング

(4)意見交換

(5)閉会

4. 配布資料

【資料11-1】 生貝構成員 提出資料

【資料11-2】 一般社団法人 EC ネットワーク 提出資料

【資料11-3】 PwC コンサルティング合同会社 提出資料

【資料11-4】 Airbnb Japan 株式会社 提出資料

【資料11-5】 株式会社スペースマーケット 提出資料

【資料11-6】 討議参考資料

5. 参考資料

【参考11-1】 PwC コンサルティング合同会社 提出資料

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6. 出席者

(構成員) 中央大学大学院法務研究科 安念 潤司 主査

東洋大学経済学部総合政策学科 生貝 直人 構成員

一般財団法人日本情報経済社会推進協会 坂下 哲也 構成員

一般社団法人シェアリングエコノミー協会 重松 大輔 構成員

一般社団法人新経済連盟 関 聡司 構成員

慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科 中村 伊知哉 構成員

森・濱田松本法律事務所 増島 雅和 構成員

一般財団法人日本消費者協会 松岡 萬里野 構成員

国立研究開発法人産業技術総合研究所人間情報研究部門 持丸 正明 構成員

弁護士法人英知法律事務所 森 亮二 構成員

(政務) 平井卓也 情報通信技術(IT)政策担当大臣

(関係省庁)内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局 佐合 達也 参事官

消費者庁消費者政策課 片山 貴順 課長補佐

総務省地域力創造グループ地域政策課 田中 佑典 係長

総務省情報流通行政局情報流通振興課 犬童 周作 課長

厚生労働省政策統括官付情報化担当参事官室 坂本 久美夫 情報化政策分析官

経済産業省商務情報政策局情報経済課 安平 武彦 課長補佐

国土交通省総合政策局情報政策課 蔭山 良幸 課長

環境省地球環境局地球温暖化対策課国民生活対策室 横山 春香 主査

(ゲスト) 一般社団法人 EC ネットワーク 沢田 登志子 様

一般社団法人 ECネットワーク 原田 由里 様

PwCコンサルティング合同会社 寺本 勝俊 様

Airbnb Japan 株式会社 山本 美香 様

株式会社スペースマーケット 積田 有平 様

(事務局) 三輪 昭尚 政府CIO

時澤 忠 副政府CIO

内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室 玉田 康人 次長、矢作 友良 次長、

吉田 宏平 参事官、奥田 直彦 参事官、座間 敏如 上席政府 CIO 補佐官、

髙田 裕介 企画官

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○安念主査 ただいまから第 11 回「シェアリングエコノミー検討会議」を開催いたし

ます。

皆様には御多忙の中、お集まりいただきましてありがとうございます。

本日の御出席者ですが、お手元の座席表に記載のとおりですので、どうぞ御確認く

ださい。

なお、成原構成員は御欠席と伺っております。

まだ御到着でない方がいらっしゃいますが、議事を進めさせていただきます。

初めに、本日御出席を賜りました平井 IT 政策担当大臣からお言葉を頂戴したいと存

じます。

○平井大臣 皆さん、おはようございます。IT 政策、科学技術政策担当大臣の平井で

す。

シェアリングエコノミーに関しては、私も党の IT 戦略特命委員長で長年お話もお聞

きしておりますし、シェアリングエコノミー推進議連の会長ということで、シェアリ

ングエコノミーを何とかもっとブーストさせたいという思いでやっております。

この会議は 11 回目になるのですね。ぜひ、皆さんの力でシェアリングエコノミーを

もう一段高いところに持っていってほしいと思います。

きのう、ちょうど科学技術・イノベーション推進特別委員会がありまして、先生方

からシェアリングエコノミーの質問もありました。やはり何となく地方で自治体が取

り組んでいるから進んでいるのではないかみたいなことではだめだという話で、私も

同感なのです。

世の中にいろいろなプラットフォームがあります。注目を浴びているのはメガプラ

ットフォームの規制みたいなものだと思うのですけれども、シェアエコのプラットフ

ォームとしての存在意義はメガプラットフォーマーとは少し違うと思うのです。

そういう中で、もっとうまい進め方があるのではないかと私は常々考えておりまし

て、あくまでも皆様方の自主規制といいますか、認証制度を中心にもっと自由にビジ

ネスモデルを広げることができたらいいのではないかと思っています。

IT 担当と言われていますけれども、気持ち的にはデジタル化担当と思っています。

いずれ名前も変わったらいいなと思うのですけれども、デジタル化がもうとまらない

ので、そこをうまく、経団連流に言うと Society5.0 ということですけれども、その中

には当然シェアリングエコノミーも入ってこないと、いろいろな世の中のニーズに応

えられないと思うので、ぜひもう一回シェアリングエコノミーを前に進める力を強く

していただきたいと、冒頭にお願いをさせていただきまして、きょうも私は次の会合

の時間ぎりぎりまでここに座ってお話を聞かせていただこうと思っていますので、ど

うぞよろしくお願いします。

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○安念主査 大臣、どうもありがとうございました。

プレスの撮影はここまでとさせていただきます。

大臣御指摘のように、メガであるわけではない、あるいはメガである必要はないと

ころこそシェアリングエコノミーの妙味があると存じますが、もう一段ブーストさせ

るために我々も心を新たにして取り組みたいと存じます。

それでは、早速、議事(2)「構成員からの情報提供」に移らせていただきます。

生貝構成員から、10 分程度で御説明をお願いしたいと存じます。

○生貝構成員 ありがとうございます。御説明申し上げます。少し枚数が多いところ

でございますので、駆け足となりますことを御了承ください。

1ページ、「モデルガイドライン改定に関わる論点」ということで、ただいま大臣

からも御言及がございましたモデルガイドライン及びそれに基づくシェアリングエコ

ノミーの認証制度ということで、2年前に私のほうも最初の会議でプレゼンテーショ

ンさせていただいて、非常に意味のある取り組みとして回っていると考えております

ところ、それをやはり時代に合わせてそろそろ改定を考えていこうということに関し

まして、それにかかわる論点を、特にヨーロッパにおけるプラットフォームの規制の

議論を参考にしながら、少し論点出しをさせていただこうという趣旨のプレゼンテー

ションでございます。

2ページ目でございますけれども、その背景といたしましては、御承知のとおり、

近年、特にヨーロピアンユニオンを中心として、シェアリングエコノミーも含むオン

ライン・プラットフォームに関して、広く透明性・公正性を確保しようというルール

づくりの検討が急速に進められているところでございます。

そういった中で、今後、そういったヨーロッパを中心にした議論はグローバルなル

ール形成というものにさまざまな形で波及していくだろうということを見越しまし

て、それらで重視される論点というものをモデルガイドラインの中に先立って反映さ

せていくということを一つ検討する余地があるのではないのかということが前提とし

ての問題意識となります。

なお、この後、かなり具体的な法規制の内容が続きますけれども、誤解を避けるた

めに申し上げますと、本報告で挙げる論点というのは、ハードローによる規制強化等

については少なくともここでは一切想定しておらず、あくまでソフトロー、自主規制

ルールとしてのモデルガイドラインを発展させていく上での検討材料としての位置づ

けであるということを申し添えさせていただきます。

1ページおめくりいただきまして3ページ、ここは御参考になりますけれども、ヨ

ーロピアンユニオン、欧州連合のほうでも、デジタル単一市場戦略という中でオンラ

イン・プラットフォーム政策文書というものを 2016 年5月 25 日に公表いたしまして、

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その中で、この真ん中にございます、プラットフォームがより社会的な責任を果たし

ていこう、透明性と公正性を確保していこうといったような4原則のもと、ヨーロッ

パの情報法制全体にまたがるような大規模な規制改革をしています。

そういう中でも、一番下の箱の中の一番下の行にもございますとおり、プラットフ

ォームというものは規模の大小にかかわらず、直接的な規制でルールをつくるという

ことはなかなか難しいところを、自主規制とか共同規制といったような方法論を使っ

てやっていこうというところも書かれているところでございます。

4ページ目に行っていただきますと、こちらはヨーロッパの中心的なプラットフォ

ーム政策の文書が公表されてから2年間の立法状況でございますけれども、本当にそ

れこそ、この法制にかかわるようなところ、デジタル単一市場は、著作権にかかわる

ようなところ、あるいは通信の秘密にかかわるようなところ、極めて多数の法案が議

論されて、だんだんと通過も始まっているところでございますけれども、今回、特に

下線を引いてある「消費者のためのニューディール」という消費者保護のところ、2

つ目のところでは、「オンライン媒介サービスのビジネスユーザーのための公正性と

透明性促進規則」案に関して示唆があるのではないかというところでお話をさせてい

ただくところです。

5ページに行っていただきますと、今回、3点のポイントを挙げさせていただきま

す。この絵は皆様に非常に共有されているところでございますけれども、プラットフ

ォームがおり、左下に需要者がおり、そして供給サイドという者、これはしばしばC

であったり、Bであったりするときに、①の関係性、②の関係性、③の需要者と供給

者の関係性という形で、参考になると考えられる法規制も挙げさせていただくところ

です。

まず、1つ目の需要者の保護。消費者のためのニューディールというパッケージ案

が、ヨーロッパで 2018 年、ことしの4月 11 日に公表されたものでございますけれど

も、今、非常にデジタルで人々の取引というものが変わる中で、まさにシェアリング

エコノミーのようなものを含めて消費者保護をどのように実現していくかというの

は、ヨーロッパを含めて非常にグローバルな課題になっております。

その中で非常にさまざまな指令を改正するのですけれども、真ん中に少し小さい字

で書いてございますとおり、オンライン市場の透明性向上とか、プラットフォーム上

での検索結果の透明性の向上とか、あるいは無料デジタルサービスの消費者の権利と

か、さまざまなことを書いてございます。

7ページ目に飛んでいただきまして、ここでは具体的にシェアリングエコノミーに

かかわるところでどういう規律の案が置かれているのかといいますと、まず規律の対

象といたしましてはオンラインマーケットプレイス、それは消費者がオンラインマー

ケットプレイスのオンラインインターフェース上で取引者及び消費者とオンライン契

約を結ぶことを可能にするサービス供給者を意味するということで、これはマッチン

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グプラットフォーム型のシェアリングエコノミーがおよそ含まれてくるというものに

対して、消費者がその上で供給者と契約を結ぶ前に以下の情報を提供しなければなら

ない。

1つは、オンライン市場における検索クエリの結果として消費者に提示されるオフ

ァーのランキングを決定する主なパラメータ。これは何かと申しますと、いかなるマ

ッチングプラットフォームでも必ずお勧め順とか、あるいは検索結果といったものが

必ず出てくる。それが果たしてどういう順序で掲載されているのかということ。例え

ば純粋な人気順なのか、あるいはある程度の広告等の金銭的な背景をバックにして掲

載しているのかとか、そういったことを最低限ちゃんとトランスパレントにしてはど

うかといったこと。

2つ目に関しましては、今のモデルガイドラインでも少し言及されているところか

と思いましたけれども、プラットフォーム側というのが、物を売ってくれたり、サー

ビスを提供してくれたりする側が果たしてプロなのか、それともアマチュアなのかと

いうことをちゃんと提示するようにいたしましょうということ。

これは当事者の宣言に基づいて提示するということを前提としているわけではござ

いますけれども、その後に、例えばプラットフォームに蓄積される取引データをちゃ

んと解析して、あなたは宣言が間違っているのではないかということをちゃんとプラ

ットフォームの側から指摘するべきではないかという議論もあわせてなされていると

ころでございます。

あとの(c)(d)に関しましては、消費者の権利がそれに適用されるかどうかと

いったことも含まれるのですけれども、参照すべきとしては特に(a)(b)が興味

深いところかと思いました。

次の8ページは、欧州委員会では、こちらのパッケージを公表する際に、かなり行

動経済学的な方法論を用いた調査を行っております。例えば、ランクづけの基準に関

する情報が存在することで、やはり相当程度、消費者の信頼と商品を選択する可能性

が高まるということ。あるいは、2つ目のポツですと、プラットフォーム上の消費者

の権利の確保というものをちゃんとコミットすることで、相当程度この製品の選択の

確率は上がること。あとは、ユーザーのレビューというものが非常に有効であるとい

ったことなども示されているところです。

次の9ページ、②の部分に行っていただきますと、プラットフォームと供給者の関

係というところで、これは皆様もさまざまお聞き及びかもしれませんけれども、4月

26 日にこういったオンライン媒介サービスのビジネスユーザーのために公正性と透明

性を促進していこうという規則案が公表されているところでございます。

こちらにつきましては、直接の適用対象は BtoC 取引を媒介するプラットフォーム企

業になりますので、理念的に純粋な CtoC を媒介するシェアリングエコノミーであれば

基本的に適用対象にはならないというものではあるのですけれども、御承知のとおり、

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いかなるシェアリングエコノミーでも非常に多くのビジネスユーザーの方々が御参加

されているところ、これは下側の前文9にございますとおり、そういったようなもの

もこの規則の対象には含まれてくるということがこの規則案の中でも明記されている

ところでございます。

ちなみに、これはどちらかというとメガプラットフォーマーのようなものを想定し

た規則でございますので、中小企業は対象外にしているといったことが一番下のとこ

ろでございます。

そして、そこでいかなる規律がなされているかということに関しますと、今、さま

ざまなビジネスのユーザーにとってプラットフォームというのは彼らのビジネスの不

可欠な基盤になっているといいましたときに、それはちゃんと予見可能、透明である

ように、例えば契約条件を明確にしなければならず、明瞭性と変更 15 日前の通知。そ

れから、突然サービスを停止したり、そこから排除されたりするときは、ちゃんと理

由を通知すること。そして、ここにもランキングづけの主要パラメータが入ってくる

わけでございますけれども、ほかにもプラットフォーム自身が取引に参加するときの

差別的取り扱いとか、あとは媒介サービス自身がさまざまなデータを保有していると

ころに対して、ビジネスユーザーはちゃんとアクセスして自分のビジネスに生かすこ

とができるのかということ。それから、いわゆる最恵国待遇条項に関しても、理由の

明示と一般公表をしろということが書いてあるところでございます。

これは、もしかするとシェアリングエコノミーとは必ずしも完全にスコープが重な

るところではございませんが、自主的なルールのあり方の論点としては一つ興味深い

ところかと考えた次第です。

次の③は、まさにピアの関係といいますか、需要者と供給者の関係性というところ

です。シェアリングエコノミーにとりましてレビューシステムというものが最も重要

であるということは、この検討会の中でも幾度も議論されてきたとおりでございます。

左側は、内閣府の消費者委員会に、欧州のプラットフォーム規制の中でも非常に著名

なクリストフ・ブッシュ教授という方がいらっしゃってプレゼンをされたときに用い

られたプレゼンテーションでございますけれども、ELI の討議草案というもの。これは

European Law Institute というヨーロッパ法の研究所にヨーロッパの代表的なこの分

野の研究者が集まって、この分野を規律する法案のドラフトを書いており、非常に大

きな影響力があるものでございます。

この中で、レビューの収集、処理及び公表に関しまして透明性を課し、その中でさ

まざまな基準を課すのですけれども、評判システムが任意の ISO/CEN の標準を遵守す

るものである場合、それは適合しているものだと推定するという、いわゆる共同規制

方式、民間の基準を守っていればそれは法的な要件も満たすということをハードにつ

くっていってはどうかということを、右側は具体的な条文をその草案から引いてきた

ものでございますが、提案をしているところでございます。

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ほかにもレビューのポータビリティーというところは、触れないところではあるの

ですが、特にモデルガイドラインの中でもレビューの重要性については少し触れられ

ているところでございますけれども、最後のページをめくっていただきますと、これ

がまさしく ISO の 20488 ということで、ことしの6月にファースト・エディションが

できたばかりですけれども、そのレビューの標準というのを国際的なスタンダードと

してつくっている。

例えば真ん中の1ポツ目、間違ったレビューに対する対応とか、最近、さまざまな

プラットフォーム上でいわゆるレビューの販売のようなこともメディア等でも議論さ

れているところではございますところ、それにまさに組織的、制度的な枠組みを含め

て対応していこうというスタンダードがございまして、例えばこういったスタンダー

ドを制度に取り入れていくことも一つはあり得るのかなと考えた次第です。

最後のページは、2年前にプレゼンさせていただいたところと全く同じでございま

す。こういったプラットフォームにかかわる規制の議論はこれからさまざまな形で出

てこようといったところ、やはりさまざまな議論が出てきたときも、それはしっかり

と自主的なガイドラインでもう既に業界としては対応していると。あるいは、むしろ

法規制がどうしてもフリーライダーのために必要だとしても、実際にやっているこの

スタンダードを守ることでもって、まさしくコンプライアンスをしっかりと認めてく

れといったような、さまざまな議論をしていけるということが、この仕組みをまさに

持続可能なものとしていく上でも必要なところかなと考えている次第でございます。

少し時間を過ぎて申しわけございません。以上です。

○安念主査 生貝先生、どうもありがとうございました。

次に議事(3)「事業者・団体からのヒアリング」に移ります。

初めに、インターネット取引に関する一般消費者からの相談を受け付けている、一

般社団法人 EC ネットワークの沢田様、原田様より、資料 11-2に基づいて 10 分程度

で御説明をお願いしたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

○一般社団法人 EC ネットワーク 原田様 本日はお呼びいただき、ありがとうござい

ます。私、EC ネットワークの原田でございます。

私からは、前半のトラブルの動向という話をさせていただきたいと思います。

我々は、一般の消費者の方からインターネット関連に特化したトラブルの相談をお

受けさせていただいております。我々は 2006 年に設立させていただきまして、その前

身、ECOM という団体がございましたが、そのときから活動しております。

このグラフは、そのときからのトラブルの内容というもの、件数等をグラフにさせ

ていただいたものでございます。オレンジ色のグラフは全体の件数となりまして、2004

年あたりに多いものは、いわゆる不当請求というものがはやりましたので、それが非

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常に突出しております。2006 年に落ちておりますのは、団体名が変わりましたので知

名度の関係で落ちておりますけれども、個人間取引の割合に関しましては比較的コン

スタントになっておりまして、15%から 20%前後というような数字で続いております。

内訳はどういうものがあるかというものですけれども、前半のほうはほとんど個人

間取引、オークションのものが多かったのですが、直近の4年間ぐらいを円グラフに

したものですが、2013 年ごろから個人間取引もフリマの御相談がふえまして、今はオ

ークションとフリマはほぼ拮抗するような割合になっております。

個人間のトラブルの内容別の内訳になっております。「出品者とのトラブル」とい

うのがやはり非常に多くて、それに対しては「商品への不満」という内容が一番多く

なっております。「購入者とのトラブル」というのがその次に続きまして、その後は

「プラットフォームへの苦情」、こういった順番で来ております。相変わらず「詐欺」

というのも発生するのですけれども、出品者とのトラブルというのが発生しましたと

きにプラットフォームに相談しても、個人間で解決してください、そして、消費生活

センターに相談しても、個人間ですので消費生活センターでは扱えないと。こういっ

たトラブルの内容に関しては、対応も非常に難しいところが発生しております。

「商品への不満」という内容は大体どういうものかというのを、こちらのほうで書

かせていただいております。明らかに虚偽という悪意があるものもあるのですけれど

も、どちらかといいますと、当事者間でなかなか難しいというような内容も多くなっ

ておりまして、一方的に話を聞いただけの言い分では簡単に第三者的に判断できない

ような内容も多くなっております。

ここから先の2ページは事例になっております。細かい内容は御説明するのはお時

間の関係で省かせていただきますが、当事者の話し合いだけではすぐに解決できずに、

とはいえ、プラットフォームからは当事者間で話し合ってほしいというような内容で

終わってしまう、そういうような、当事者に悪意はないのですが、なかなか解決が難

しいというような内容が多いと思っていただければというところです。

後半は沢田のほうからお話をさせていただきます。

○一般社団法人 EC ネットワーク 沢田様 続けます。

このような当事者間のトラブルに関しまして、その解決方法として最近注目されて

いるのがオンラインでの紛争解決、Online Dispute Resolution というものです。ある

アメリカの研究者の言葉を御紹介しますと、人間がモノやサービスを交換するほぼ全

ての環境において、誤解、苦情、衝突は発生すると。つまり、どんなに頑張っても紛

争は避けられないものであるということです。

先ほどの生貝先生の御説明の中でも、フィードバックとか評判のシステムというの

はeコマースの世界では非常に重要であると言われています。もちろん重要なのです

が、それだけで十分かという問題意識です。

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紛争解決の仕組みを用意するということは、企業にとってもちろんコストではある

のですけれども、ユーザーにとっては何か悪いことが起こっても解決できるという信

頼感、安心感につながります。プラットフォームを運営される企業さんにとりまして

も、紛争解決を通じてユーザーがどんな悪い体験しているのかを早く認知して手を打

つことができるというメリットもあると思われます。

アメリカのオークション大手の eBay を皆さん御存じかと思いますが、ここではサイ

ト上にレゾリューションセンター、紛争解決センターを設けておりまして、年間 6000

万件の紛争をサイト上で処理しています。これだけの数の処理をするとなれば、一々

人間が入っていては回って行きませんので、90%は人間の介在なしで、ソフトウエア

のみでオペレーションしているという話でございます。

eBay の調査によりますと、ユーザーは長期間かけて有利な結論を得るよりも、不利

な結論でもいいから迅速に結論が出ることを望む、また、ODR を経験したユーザーは逆

に eBay へのリピート率が向上する、ロイヤリティーが向上するというデータもござい

ます。

アメリカの ODR がこのようにビジネスベースで発展しているのに対しまして、EU は

法整備によって ODR の推進をしております。2013 年にできた ADR 指令と ODR 規則に基

づきまして、2016 年から欧州委員会が運営しているプラットフォームに、オンライン

でサービスを行う事業者は必ずリンクを張らなければいけないという義務づけがされ

ています。

シェアリングエコノミーでは、日本ではまだ創世期ということもあり、たくさんの

紛争が顕在化しているということではないように思います。幾つか報告されている事

例を挙げましたが、この中には、プラットフォーム運営事業者さんの適切な介入によ

り問題なく解決しているケースもあると思われます。

ただ、最後のマッチングサイトのケースに見られるように、先ほど原田が御紹介い

たしましたが、当事者間でやってください、本人同士で解決してくださいと突き放さ

れるケースもやはりあるように思います。

そういったところに ODR を仕組みとして入れていただければ大変よいのではないか

ということを今回申し上げようと思いました。特に当事者にとっては、先ほど原田が

申しましたように、相談先がない、消費者センターに行くわけにもいかないという問

題、訴訟をすることはもちろん、弁護士さんに相談するだけでも金額的に見合わない

という問題があります。さらに、匿名で取引ができる仕組みになっているところも多

いですから、直接交渉したくても、連絡先とか取引相手の名前すらわからないという

ケースもございます。

ですので、プラットフォームさんの中にこういった ODR の仕組みをつくっていただ

くことができれば、我々のような外部に相談するよりも、恐らくはトラブルに直面し

た利用者さんのストレスや不安感はかなり減じるのではないかと思っております。

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なぜ ODR をプラットフォームが用意するのがよいかと申しますと、やはりプラット

フォームごとに、取引の態様ごとにトラブルは違うと思いますので、想定されるトラ

ブルに見合った、提供者と利用者の間の行為規範、取引当事者としての行為規範をつ

くっていただき、それを ODR の判断基準とする。法に触れるかどうかとか、債務不履

行かどうかといったような基準はもちろんあるのですが、それとは別に、行為規範に

合った行動をしているかどうかということをもとに ODR の判断を行えるということが

1点です。

それと、プラットフォームの中にある決済システムや評価システムと ODR の結果を

連動させることによって、自主的な解決手段である ADR に事実上の執行力を持たせる

ということもプラットフォームの中であれば可能です。こういった形で、紛争解決の

有効性を向上させることができるのではないかということです。

もう一つは、プラットフォーム事業者さんにとりましても、先ほども申し上げまし

たが、紛争は情報の宝庫です。これをしっかりと自分たちのものとして分析すること

によって、サービスの向上につなげていただくことができるのではないかと思います。

そこで、本検討会議への御提案です。モデルガイドラインの見直しを検討されてい

るということでしたので、その中にプラットフォーム事業者に対してのガイドライン

ではなく、提供者と利用者がどのように取引をすることがよいのかという基本的な考

え方といいますか、行為規範を示していただくというのはいかがでしょうか。

幾つか思いつきで挙げてみましたけれども、うそをつかないとか、約束を守るとか、

幼稚園みたいですが、意外と重要なことだと思います。こういった共通の原則を挙げ

ていただき、それをそれぞれの運営事業者さんがカスタマイズして、それぞれのプラ

ットフォームに合った、取引態様に合った行動規範をつくっていただくというのが1

点です。

最後ですが、それとともに先ほど申し上げました ODR の仕組みを政府としても後押

しをして、推奨していただけないかという御提案でございます。例えば中小企業も含

めて共通に使えるようなプロトタイプをつくって、実証実験までやってオープンにし

ていただくということをお考えいただけないかという御提案でございます。

本日は貴重な機会をいただき、ありがとうございます。以上でございます。

○安念主査 原田様、沢田様、どうもありがとうございました。

刺激的な御報告が続いておりますので、皆さん、御発言になりたいというのはわか

っておりますけれども、後でまとめてディスカッションの時間をとりたいと思います。

(平井大臣退室)

○安念主査 しかし、あんなに力のこもった御挨拶をなさる大臣は珍しい。大変心強

い感じがいたしました。

続いて、シェアリングエコノミーに関する意識調査につきまして、PwC コンサルティ

ング合同会社の寺本様より、資料 11-3に基づいて 10 分程度で御説明をお願いしたい

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と存じます。

○PwC コンサルティング合同会社 寺本様 皆様、おはようございます。PwC の寺本と

申します。よろしくお願いいたします。

iPad のほうに資料を御用意させていただいておりますけれども、PwC は御存じのと

おり、グローバルに事務所を置いている中で、シェアリングエコノミーに関して申し

上げますと、英国の事務所のほうで、端的に申し上げると未来予想図というような、

未来の社会を想像してみようという中で、シェアリングエコノミーという所有から共

有へというビジネスが大きなインパクトを持ってくるというところから端を発しまし

て、市場規模の推計であったり、アメリカの消費者の市場調査等をさせていただいて

いる中で、それを踏まえて、手前ども日本におきましても昨年から消費者の市場調査

というものをさせていただいております。

2018 年、2回目ということで、ただいまお手元のほうに御用意させていただいてい

るものは、昨年との対比も含めた資料になります。資料全般につきましては、既に配

付させていただいている中で、詳細な資料を全て御用意させていただいておりますの

で、お時間があるときに御確認いただくとしまして、本日はその中から有意なものを

中心に皆様に御披露したく存じます。

まず、ごらんいただいているものは、「シェアリングエコノミー」という単語その

もの、要はシェアリングエコノミーという単語を知っていますかという質問に対しま

して、右が 2017 年、左が本年という比較になりますけれども、スコアは着実にふえて

はいるのですけれども、「シェアリングエコノミー」という単語そのものに関しては、

まだそんなに多くの認知度といいますか、市民権を得るほどの状態にはなっていない

ところではあるのですけれども、他方で、次のページを見ていただくと、サービスそ

のものの認知は、実はスコアは上がっています。

大事なのは、「シェアリングエコノミー」という単語を知っていただくということ

ではなくて、シェアリングエコノミーというビジネスに触れていただく、経験してい

ただくことによって、いいものなのだなということを経験する方が実は認知を含めて

これだけのスコアリングです。昨年ですと、知っているという方が 30%に対して、本

年は 42.4%、10%以上の増率で、これは非常に有意な数値だろうと考えております。

恐らく、これはシェアリングエコノミーを推進させていただくという思いのもと、

それこそお帰りになられた大臣を含め、内閣官房、各省庁、それから事業者が一生懸

命取り組まれてきたこれまでの取り組みが消費者にきちんと届いているという有意な

結果であろうと考えております。

認知されているカテゴリーとしましては、空間、場所の提供であったり、移動であ

ったり、モノというものの認知は非常に高いのですけれども、我々が注目しておりま

すのは下から2つ目、スキルシェアというところで、見ていただくと 10%以上の増加

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を示しております。

日本固有の課題としまして労働力不足というのがテーマとして語られて久しいです

けれども、そういったテーマに対して、シェアリングエコノミーというビジネスが日

本においては消費者の立場から見ると注目されているというところが見てとれるかと

思います。

利用経験というところを見ていただきますと、利用経験そのものは全体の 13.3%と、

サービスそのものの認知はふえていますけれども、実際に使ってみようというところ

まで一歩踏み出すというところはまだまだこれからなのかなというところではありま

すけれども、先ほど申し上げましたように、具体的なサービスの認知は 10%以上の増

加を示しておりますので、そこは時間の問題なのかなという見方もできるかと思いま

す。やはり利用経験というところで見ますと、場所、空間のシェアだったり、移動、

モノというものが中心を占めているところでございます。

利用意向というところも、見ていただくと、かなり好意的に捉えているというとこ

ろはごらんいただけると思います。各カテゴリーそれぞれ増加しているというところ

で、有意なのかなと感じるところです。

そうは言いましても、先ほどの御説明もありましたが、懸念事項としては、実際の

サービスを安心して、もしくはサービスの先にある CtoC、相手、貸してくれたりする

方がどれだけ信頼できるのか、そのモノがどれだけ信頼できるのかという課題は、そ

れぞれのカテゴリー、シェアリングエコノミーのビジネスのそれぞれの分類に共通し

て、やはり消費者とすると高い関心を示している。

ですので、先ほどの数値にあった実際の利用意向をさらにふやしていくためには、

安心して使っていただくための何らかの取り組み、工夫が、これは当然プラットフォ

ーマーを中心としてより一層お務めいただく必要があるのだろうと考えております。

むしろ、それさえ実現できれば、サービスの認知は先ほど見ていただいたように 43%

とふえておりますので、使う方はどんどんふえてくるということがここからも推定さ

れるということでございます。

最後は、利用時の提供者、CtoC の相手方とのコミュニケーションに関しましても、

見ていただくと、実際に相手との接点の経験があるというところが 27%ぐらいですね。

会って直接交流することに抵抗はありますかというところに関しても 30%というとこ

ろで、こういったところが信頼というものをどれだけより一層担保するかというとこ

ろで増減してくることになるのだろうと思います。

今回、実はこれからごらんいただきたいのが、今ごらんいただいているページを含

めて4ページございます。前半の2ページは、2018 年の調査結果に対して自由にコメ

ントしてくださいという意見に応募してくださった消費者の自由意見で、3ページ目、

4ページ目は、それと比較して 2017 年、昨年の自由コメントを書いてくださいと。

恐縮ですけれども、一、二分ありますので、ぜひ皆様、今見ていただいているペー

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ジを含めて4ページをごらんいただきたいと思います。個人ボタンを押すとページが

進められると思いますので、皆様、画面の上にある「個人」というボタンを青くして

いただくと、画面がスライドできます。

いかがでしょうか。今、お読みいただいていると思いますけれども、後ほどまた細

かくお読みいただくと、いろいろなインサイトがここからも見えてくると思います。

ちなみに、画面上の「共有」というボタンを押していただくと、共通の画面に戻りま

す。

私どものほうでこの資料をあえて今回御紹介したのは理由がありまして、昨年の自

由コメントと比較して圧倒的にポジティブな意見がふえているということなのです。

初めて調査をした昨年の調査結果をごらんいただくと、恐縮なのですが、実はネガテ

ィブな意見が結構多かった。それがたった1年、間を置くだけでポジティブな意見が

ふえています。

これは非常に有意だと感じるのは、先ほど来御説明した調査結果の数値があったと

思うのですけれども、ちなみに昨年とことし、アンケートにお答えいただいた方は重

複しておりませんので、純粋にあれだけのスコアが上がっていて、しかも前回お答え

いただいていない初めて調査を経験した人からも、ポジティブな意見という形でこれ

だけ定性評価が得られている。着実に一般消費者、最終受益者である国民一人一人に

対するシェアリングエコノミーの意識が変わってきている。これはひとえに、ここに

お集まりの皆々様のこれまでのお取り組み、各事業者の取り組みの賜物と思いますし、

よりシェアリングエコノミーというビジネスが国民に受け入れていただく可能性とい

うのがここからも読み取れるのではないかということで、通常、コンサルですとデー

タに基づくインサイト提示が中心でプレゼンをさせていただくのですが、今回はあえ

てこういうコメントをごらんいただいて、皆様に消費者の気持ちを感じていただきた

いということで、ちょっと変則的な御紹介をさせていただきました。

最後になりますが、今回の資料とは別に参考資料としまして、3月の世界経済フォ

ーラムで出させていただきましたシェアリングエコノミーをテーマとしたホワイトペ

ーパーを御用意しておりますので、こちらもお時間があるときにごらんいただければ

と思います。

ありがとうございました。

○安念主査 どうもありがとうございました。

続いて、事業者の取り組みについてでございます。Airbnb Japan 株式会社の山本様

より、資料 11-4に基づいて 10 分間程度で御説明をお願いしたいと存じます。

○Airbnb Japan 株式会社 山本様 おはようございます。Airbnb の山本でございます。

今日はお時間をいただきまして、誠にありがとうございます。

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Airbnb ですが、いつもお伺いすると御利用いただいた方は2人ぐらいいらっしゃる

かなみたいなイメージなのですが、今日は過去に弊社サービスをご利用いただいた方

は何人くらいでしょうか。ありがとうございます。いつもよりちょっと多かったです。

ありがとうございます。引き続き頑張ります。

弊社はもともと 2008 年にサンフランシスコで誕生したサービスでございまして、創

業者は3人おります。当時、大学院を卒業いたしまして起業しようとしていましたけ

れども、結局なかなかうまくいかず、とうとう賃料が払えなくなってしまったという

ときに、偶然近くで国際会議が開かれておりまして、ホテルが満室だということで、

自分たちの住んでいる部屋の空きスペースにエアマットレスを並べてみようというと

ころから始まったサービスになります。

現状、おかげさまで世界 191 カ国、都市の数8万 1000、物件の数にいたしますと 500

万物件以上、グローバルで掲載をさせていただいております。また、宿泊から始まっ

たサービスでございますけれども、体験のシェア、国によってはレストランのシェア

も始めているところです。

先ほど、生貝先生の御発表にもございましたが、弊社もマーケットプレイスとして

の活動を進めております。特に日本でございますと、法律が入った関係で全てCらし

きサービス提供者もBになってしまっておりますけれども、BとCがホストになりま

して、ゲスト側にはCがいらっしゃるということで、弊社としては双方への消費者と

しての保護が重要であると考えております。

宿泊でございますけれども、個人の家の貸し出しから始まりまして、日本で例えば

旅館さんにも最近は使っていただいておりますし、事業者さんの参入もすごく多く見

られるところでございます。ただ、やはり個人の方の御活躍というのは非常におもし

ろいところでございまして、最高齢のホストさんで私どもが存じ上げている限りでは

2017 年度で 89 歳でしたが、恐らくもう 90 歳になっていらっしゃるかと思います。そ

ういった方も元気にゲストさんを迎えられて、活躍をしてくださっております。

体験でございますけれども、こちらは実は何でもいいのです。ここのお部屋にいら

っしゃるそれぞれの方、実はお持ちの得意があると思います。それから、学生のころ

からずっとこのことは詳しいのですということをいろいろお持ちかと思います。そう

したことを簡単にグローバルの市場にシェアをしていただくことができるようなサー

ビスになっております。

現状、日本ですと約 1,000 の体験を、北は北海道、南は沖縄まで津々浦々で御提供

いただいているという状況でございます。自然体験から、今はやっておりますナイト

ライフといったような、さまざまなコンテンツが御用意できている状況です。

プラットフォームといたしましては、こうしたサービス提供者の方々及びそれを利

用されるゲストの方々にいかに安心・安全に使っていただくかということが非常に重

要であると考えておりますし、特に他人と他人が初めて出会って、特に海外で交わる

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わけでございますので、どうやったら安心を醸成できるかというところに力を入れて

おります。

御説明する際に、いつもこのピラミッドで御説明しております。まず、プラットフ

ォームのインフラとしての安全性が非常に重要であるというところが一点申し上げら

れます。その上で透明性、各ユーザーの情報の透明性の担保。最後、万が一のときの

ためのサポート体制という3段階で設計をしております。

まず安全性でございますけれども、機械学習を取り入れまして全ての取引に関して

リスク評価を行っております。万が一フラグが立った場合には、担当のスタッフがグ

ローバル 250 人ほど待機をしておりまして、すぐに介入をしていくという体制でござ

います。

国によってはバックグラウンドチェックが可能となるようなデータが開示されてい

る国もございますので、そういったところも連携させていただいてチェックを行って

おりますし、2段階認証を重ねまして詐欺対策をできる限り実施しております。

それから、リスティング、物件の安全の確保というところで、物件を掲載される方、

あるいは体験を掲載される方に関しましては、それぞれの最低ラインの基準を設けて

いるというところになります。

透明性に関しては、次のスライドでまた詳しく御説明させていただきます。

サポートでございますけれども、一部報道ですごく危ない、例えば先ほどの PwC さ

んの御発言の最後に、危ないのではないかというコメントがたくさんございました。

ただ、事故の発生率を客観的に申し上げますと、2015 年、ちょっと古い数字で恐縮

でございますが、約 10 万円以上の物損の発生率はグローバルで 0.009%でございまし

た。したがいまして、恐らく報道等で言われているほどは事故は起きていないという

ところが正確なところではないかと思います。もちろんこの数字をゼロにしていくこ

とが会社としてのミッションだと思っておりますので、引き続きしっかり取り組んで

まいりたいと思います。

万が一何か起きてしまったときの対応でございますが、日本語を含めて、現状です

とグローバル 11 言語で毎日カスタマーサポートを対応させていただいております。日

本におきましては日本の事業者様と連携させていただいて、最大1億円相当までの補

償を御提供させていただいております。

こちらに記載はありませんが、何かもめてしまったというときには、別途トラブル

解決センターを設けておりまして、ホストとゲストのやりとりをサポートさせていた

だいておりますし、また、例えば人種差別等の動きが見られた場合も即刻コミュニテ

ィーから退会いただくといったような厳しい措置をさせていただくような体制をとっ

ております。

透明性の担保のところを次のページから御説明させていただきます。やはり他人が

この人を信頼しようということはすごくチャレンジなのかなと思います。オンライン

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上でいかに自分がちゃんとした人かというところをきちんとお見せいただくように、

さまざまな工夫を取り入れております。

お使いいただいた方は御存じかと思いますけれども、実は弊社のアカウントを作成

する際、非常に面倒です。かなりいろいろな方から、何でこんなに面倒なのですかと

言われるくらいなのですけれども、逆にそこまでしてアカウントをつくる際にさまざ

まな情報を御提供いただくことで安心・安全を担保するというのが弊社の考え方にな

ります。

最低限必要な情報といたしましては、こちらにございますとおり、氏名、メールア

ドレス、パスワード、生年月日のみでアカウントをつくることはできますが、後ほど

御説明する理由から、結局これだけですとなかなか予約をとることができません。そ

こに加えまして、認証済み ID としてメールアドレスや電話番号の認証、SNS ですと

Facebook、Google、LinkedIn の最大3種類まで関連づけることが可能になっておりま

す。それから、日本ですと、パスポート、運転免許証のオフライン認証が第三者認証

をかけられるようになって思いますので、ここまで情報を出している方であれば安心

な方であろう、実際に存在する方であろうということがわかっていただける。そのよ

うな仕組みになっております。

アカウントをつくった上で予約のステップに行くわけですけれども、CtoC の性質も

ございますので、予約のリクエストをまずゲスト側からしていただきます。ゲスト側

から予約のリクエストを受けたホスト、住宅を提供する方は、そのリクエストそのも

のを承認あるいは却下する選択肢が与えられます。これは、やはりシェアリングエコ

ノミーにおきまして断ることができるということは非常に重要であると考えておりま

す。支払いそのものを、チェックインすぐではなくて、チェックインをして 24 時間後

に初めてホストさんにゲストが支払ったお金が送金される仕組みを設けておりますの

で、行ってみたらちょっと写真と違うであるとか、まだ前のゲストがいて現場がばた

ばたしているといったような、そういったトラブルを防ぐ仕組みを設けております。

最後、何度かレビューのお話が本日も挙がっておりますけれども、ホスト、ゲスト

相互でレビューをしていただくシステムを設けております。こちらは必ずやらなけれ

ばならないものではないのですが、8割以上の方がレビューを残してくださっている

という状況でございますし、このレビューをもってプロフィールと加えて、このホス

トさんは大丈夫か、あるいはこのゲストさんは受け入れて大丈夫かという判断に実際

皆様使われていらっしゃると伺っております。

私自身もサービスを使う際にこのレビューは非常に気になりますので、お土産を持

って必ず原状復帰をして物件を去るというところまで徹底しているところです。ぜひ

お使いになっていただくと、その緊張感を御共有できるかなと思いますので、次回、

手を挙げていただけるとうれしいと思っております。

お時間が限られておりますので駆け足で参ります。日本でも 2020 年に大規模イベン

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ト、オリンピックの開催が予定されております。諸外国でもさまざまなイベントをお

手伝いさせていただいておりますけれども、日本で言ういわゆるイベント民泊よりは

やはり事前の準備が重要であると考えております。と申しますのは、ホストさんもサ

ービス提供者になれることが非常に重要です。それから、先ほど申し上げましたとお

り、レビューの有無というのがゲスト側の安心の担保に非常に重要でございますので、

イベントの手前だけではなくて、イベントの少し前からホストさんがふえていくとい

うことが大切ではないかと思いますし、そういった環境の整備が求められるところで

はないかと思います。

それから、大規模イベントに関しましては、弊社もオフラインで何かサポートがで

きるかということを過去も検討してまいりましたし、今後も引き続きやってまいりた

いと考えております。

次のページに参りまして、日本独自の取り組みでございますけれども、日本のさま

ざまな企業様と連携をすることを通じて、一般のユーザーの方に安心して使っていた

だく仕組みを設けております。

次に、コンプライアンスです。法律遵守のところはかなり日本のコミュニティーの

中では重要と考えておりまして、法律上求められている仲介業者としての規制に加え

て、さまざまな取り組みも行っております。詳細は割愛させていただきたいと思いま

す。

ホストさんの法令遵守に関してもかなりサポートをしておりまして、個人がやるに

は若干複雑なところもございますけれども、パスポートをきちんと確認しましょうと

か、そういった情報提供もさせていただいておりますし、日本にいらっしゃる外国の

ゲストの方に対して、日本の文化、風習、マナーの啓発等も行わせていただいており

ます。

ホストさん側も、やはり見えないことへの不安を解消しようということで、地域に

かなり顏を出されて、ホストというのはこういうことですよというような活動をされ

ている方がたくさんいらっしゃいます。

最後に、1点だけ補足させていただければと思います。やはり仲介業者、プラット

フォームが効率よく法令遵守を実施していく仕組みというものが日本では必要かなと

考えております。こちらのスライドの最後、「テクノロジーを活用したルール執行」

のところでございますが、現状、観光庁様と御協力させていただきながら、自治体を

巻き込んで、全ての物件の合法性を確認しております。これを少しテクノロジーを活

用することで、円滑かつ適法なものの確認ができるタイムスパンを短くしていくとい

う取り組みが一つ考えられるかなと思っております。

少し時間をオーバーしてしまいましたけれども、以上、発表とさせていただきます。

ありがとうございます。

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○安念主査 どうもありがとうございました。

それでは、お待たせをいたしましたが、最後に事業者のお取り組みでございます、

株式会社スペースマーケットの積田様より、資料 11-5に基づいて 10 分程度で御説明

をお願いしたいと存じます。

○株式会社スペースマーケット 積田様 皆様、おはようございます。株式会社スペー

スマーケット、積田と申します。きょうはお時間をいただきまして、ありがとうござ

います。私のほうから取り組み説明をさせていただきたいと思います。

きょうは主に3つの点で説明させていただきたいのですが、1つは事業概況です。

2つ目として地域の取り組み、3つ目として安全・安心な取り組みということで説明

させていただきます。よろしくお願いします。

まず、事業概況です。改めて会社概要ですが、2014 年に設立しまして、今5期目を

迎えております。決算が 12 月ですので、本年の 12 月をもちまして6期目に突入する

ところでございます。資本金は4億 9700 万円となっております。現在、従業員数は 50

名を超えているようなところでございます。

「チャレンジを生み出し、世の中を面白くする」というビジョンを掲げております。

これはさまざまなスペースが流動化することで、起業はもちろんですけれども、新し

い働き方とか、新しい暮らし方、それから新しい遊び方なんかも、いろいろなチャレ

ンジが生み出されるだろうということを仮説として持っていまして、スペースが流動

化されることでいろいろなチャレンジが生み出されて、その結果、世の中が前進して

いく、世の中をおもしろくするというようなビジョンを掲げておりまして、5期目を

迎えておりますが、本当にさまざまなチャレンジが生み出されていて、日々、このビ

ジョンのことを実感しているところでございます。

ミッションとしましては、「世界中のあらゆるスペースをシェアできるプラットフ

ォームを創る」というのを掲げております。まさにシェアできるというところには、

安心・安全はもちろんですが、誰でも簡単にというものが込められております。

ビジョン、ミッションを達成するために我々社員が大事にしているバリュー、価値

観ですけれども、この中に唯一説明させていただきたいところで言うと、サクセスと

いうところに、ホスト・ゲスト、スペースマーケットの会社、それから会社に属する

社員はもちろんですけれども、この中に地域社会の成功というのも掲げておりまして、

サービスを通じて真の四方良しを実現しようということで、社員一丸となって取り組

んでいるところでございます。

ここで事業概況ですが、改めてサービスの説明です。私たちはあらゆるスペースを

簡単に貸し借りできるプラットフォーム「スペースマーケット」を運営しています。

ビジネスモデルは、説明するまでもないのですが、スペースを貸したい人と借りた

い人をマッチングして手数料をいただいているというモデルになります。

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プラットフォームは順調に成長しておりまして、現在、対前年 300%ぐらいの成長を

遂げているところでございます。

スペースの掲載数も順調に伸びておりまして、今、1万を超えるぐらいのスペース

が掲載されているところでございます。スペースの種類も、住宅や会議室はもちろん

ですけれども、レストラン・カフェ、スポーツ施設、小学校、お城とさまざまな、本

当にあらゆるスペースが掲載され、利用されているという状況です。

スペースの利用例ですけれども、サービス当初はユニークなスペースが掲載されて

いるところにフォーカスされがちだったのですが、今は本当に生活の延長線の中でさ

まざまな使われ方がされている。会議や撮影、パーティー、趣味、集まり、いろいろ

な使われ方がされているというところです。

それから、我々はスペースが流動化することによって、これまで考えられなかった

ような新しい使い方がされているというのを実感しています。お寺で社員総会が行わ

れたり、映画館でセミナーが行われたりということです。中でも、ことしは右の2つ

にあるレンタルスペースのお花見、我々は「インドア花見」と呼んでいるのですけれ

ども、そういう使われ方だったり、レンタルスペースでスポーツ観戦、「うちスタ」

と呼んでいるのですが、これらがメディアをすごくにぎわせた事例ということで、個

別に簡単に説明させていただきたいと思います。

一つ、まず「インドア花見」です。お花見のシーズンは、寒い、花粉がひどいとか、

あとはお花見の場所をとらなければいけないとか、あるいはお花見が始まると周りの

酔っぱらいの声がうるさいとか、いろいろなデメリットもあるわけです。桜を見ると

いうすごく楽しいシーンでもあるのですけれども、それらのデメリットを排除しよう

ということで、我々のレンタルスペースで花見をしようと。そのスペースの窓から借

景として桜が見えたり、あるいは大型スクリーンで世界中のすばらしい桜の動画が上

映されたり、あるいは部屋の中に桜をしつらえたりして、寒さや花粉みたいなものの

デメリットを排除して、かつ、事前にも予約できるので、場所とりも必要なく楽しめ

るということで、さまざまなメディアに取り上げていただきました。

続きまして、「うちスタ」です。こちらはワールドカップ開催期間中に合わせて展

開したのですけれども、パブリックビューイングのまさに反対です。プライベートビ

ューイングと呼ぶことで提案させていただいたのです。スタジオでみんなで見るのも

楽しいのですけれども、行き帰りの交通渋滞が大変だとか、ちょっと酔っぱらった人

が隣にいて余り楽しい思い出がなかったみたいなことがあるので、本当に気心が知れ

た友達だけでスペースの中で楽しもうということで展開させていただいて、これも各

メディアに取り上げられていただいた事例になっています。

弊社は、このように新しい文化を創造して、日々、おもしろいシーンをつくり上げ

ているというところがございます。

続きまして、スペースマーケットの歩みを簡単にまとめさせていただいているので

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すけれども、2014 年に創業以来、まず 2014 年 10 月に最初の資金調達を行いまして、

その後、2016 年の2回目の資金調達を行いました。さまざまなサービス、それから改

善を続けてきたところでございますが、本年に入ってテレビ CM をフィージビリティ

ー・スタディーとして福岡と AbemaTV の中で行ったということで、歩みを続けてきて

まいりました。

最新のトピックスを改めて個別に説明させていただきたいのですけれども、2018 年

11 月 16 日には第3回目の資金調達を行いまして、この中であえて個別に説明させてい

ただくと、スペースマーケットで初めて事業会社からの資金調達を実施したというと

ころでございます。そういう意味では、ステージがすごく変わってきたという実感を

日々得ているところでございますが、実は東京建物様も初めてのベンチャー企業への

投資ということで、いよいよ不動産業界もシェアリングエコノミーの概念を取り入れ

始めたという、手前みそながら、エポックメーキングなシーンだったのかなと思いま

す。

続いて、この資本調達を踏まえ、先ほど説明したフィージビリティー・スタディー

結果も良好だったというところで、実は先週月曜日からテレビ CM を関東と関西エリア

で 12 月9日まで行っております。弊社が設立以来、最大のチャレンジとなりますが、

本当にテレビ CM の効果を日々実感しているところでございます。

以上、事業概況ですが、ここから地域の課題解決といったところの説明をさせてい

ただきます。

これまでもさまざまな自治体様と連携させていただいて、地方の遊休資産を活用し

ていこうということで、関係人口の創出なんかを目的に取り組んできたところですが、

直近、すごくおもしろい、これまでにない事例を生み出しているので、個別に2つ説

明させてください。

まず1つ目、10 月 31 日にリリースしたのですが、横浜市青葉区と連携しました。こ

こは区民活動が非常に盛んで、区の公共スペースの稼働率が逼迫しているというとこ

ろで、それを補う形で民間のスペースシェアを活用しようということでスペースマー

ケットと連携をしています。さまざまなニュースにも取り上げられましたが、青葉区

のホームページのほうにも記載をさせていただいて、これまでにない取り組みとして

すごく注目を集めていると思います。

2つ目、スポーツ庁の、これも成長戦略の中に定められていますが、スポーツ産業

の成長促進事業という事業の中で、スポーツ庁と NTT データ様がお取り組みをしてい

る神戸市での取り組み、スポーツエコシステムを構築するというところで、この事業

スキームの左の施設の空き時間の活用というところでスペースマーケットのプラット

フォームを活用していただいている。スペースマーケット内に「神戸市内で運動可能

なスペースまとめ」というのを使って、使いやすくしているというところでございま

す。

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最後に3点目、安全・安心の取り組みについては、本検討会議で定められたガイド

ラインに沿って、昨年7月 25 日にシェアリングエコノミー認証制度の第1号の認定を

していただいたところですけれども、それを真摯に受けとめて、甘んずることなく、

さらに日々問題意識を持って取り組んでいるところでございますので、認証制度以降

の問題意識等々、取り組みを説明させていただこうと思っています。

まず、問題意識としては、業法に抵触してはいないことを前提に、契約や一般慣習

的な社会的ルールに配慮した事業運営ができているかというところですが、ここはま

さに、例えば分譲マンションであれば管理組合の許可をちゃんととって掲載していま

すかというところです。そういったところをしっかりホストにアナウンスしていこう

といったところです。2つ目、スペース利用時に想定され得る違法行為への適切な対

処ができているか。これはゲスト側に対しての問題意識ですが、この2つを大きな問

題意識として持っています。

これを具体的な形に表現すると、この4つになるわけです。まず、1つ目としては、

スペースのオーナー・管理組合への掲載の許可ができているのか。あと、外部不経済

への対応としてどうなのか。3つ目、スペースでの食事提供への対応。4つ目として

は、スペースにゲーム機の設置や DVD やネット動画鑑賞時の著作権や商用利用等への

対応ということで、今、具体的な対応策を提示しているところでございます。

課題への対応策として①と②、まず、集合住宅のオーナー・管理組合等への掲載の

許可といったところ、それから外部不経済(騒音・ごみ等)への対応というところで

言うと、まず規約を変更して、必ず掲載前にしかるべき方、分譲集合住宅であれば管

理組合ですし、賃貸であればオーナー様といった形で、しかるべき人の許可を取って

掲載をしてくださいという形で規約を変更しています。

それから、ヘルプページにも同様にスペース掲載の条件ということでその点を明示

させていただくとともに、外部不経済については、ごみや騒音問題で近隣の住民の方

から苦情があった場合、それが改善が見られない場合は削除させていただきますとい

うような記載をさせていただいているところでございます。

課題への対応策の③、スペースでの食事提供について。これもヘルプページに記載

をしているのですけれども、スペース利用時のさまざまなシーン、まず分類としては

食品衛生責任者の資格をホスト・ゲストそれぞれがどう所有しているのかとか、参加

者が特定されているのか、不特定多数なのかといったところ。お金の取り方として、

実費だけを負担しているのか、あるいは利益を取っているのかみたいなところで、そ

れぞれの適法性を明示していて、必要に応じては保健所に問い合わせるような形で対

応しているところでございます。

最後に、スペースにゲーム機設置、また DVD やネット動画鑑賞時の著作権や商用利

用等への対応については、これはまだ検討の段階中で空白の一覧がついていますが、

このような分類の中で今、検討を開始したところで、早急に整理して改めてヘルプペ

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ージ等で明示していきたいと思っているところでございます。

以上になります。ありがとうございます。

○安念主査 どうもありがとうございました。

それでは、きょうの御議論は、あと 50 分ほど時間をいただいておりますが、前半に

質疑応答、後半をディスカッション、意見交換ということで一応分けさせていただき

たいと存じます。

まず前半でございますが、ここまでのプレゼンでございますが、質疑応答をお願い

したいと存じます。御質問等ございましたら、どなたからでも結構でございますので、

どうぞ。

○松岡構成員 EC ネットワークさんにお伺いしたいのですが、私ども日本消費者協会

でも消費者相談でやはりネット上のトラブルが来ますし、個人対個人の取引というの

は処理に非常に困難な面が多く、困っているところがあります。

個人対個人のトラブルの解決というのですか、それはどういうやり方をされている

かということをお伺いしたいと思います。

○安念主査 いかがですか。

○一般社団法人 EC ネットワーク 原田様 私、原田のほうから回答させていただきま

す。

個人間取引の御相談に関しましては、全て内容的には個別の内容になりますので、

基本的には我々のところはそれぞれの方々に合わせた個別のアドバイスや助言を差し

上げて、相談者の方によってはフィードバックをしていただく。もしくは、やりとり

を続けさせていただく。そういった相談対応をさせていただいております。

○安念主査 どうぞ。

○松岡構成員 それでもなかなか困難なことがあると思いますので、先ほどおっしゃ

っていました ODR へリンクをするということはぜひ進めていただきたいと思います。

やはり第三者がちゃんと対応してくれるのだということがわかるということは、利用

を促進させることになると思います。

私どもも、どこに持っていったらいいのかわからないような相談が来たときに非常

に困っていますので、これは政策的に進めるということをお願いしたいと思います。

○安念主査 原田さん、私から伺いたいのですが、その助言をお与えになって、その

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後どうなったかということの追跡は可能なものですか。

○一般社団法人 EC ネットワーク 原田様 恐らく個別に聞けば可能かと思いますが、

相談者の方から特に積極的にその後御連絡をいただけなくなりますと、私たちのほう

からは追っていくことはありませんので、その場合は解決がどうなったかまでは追っ

ていないものもございます。

○安念主査 そうすると、助言による成功事例の蓄積は結構困難があるということで

しょうか。

○一般社団法人 EC ネットワーク 原田様 そうですね。データ的にはなかなか難しい

ところがございます。

○安念主査 わかりました。ありがとうございます。

どなたからでもどうぞ。では、持丸さん、その次に中村さんといきましょう。

○持丸構成員 私、早退しますので、質問ではなくて、私から情報を少しお話しさせ

ていただいて、失礼させていただきます。

最初に、生貝先生から少し話を整理していただきましたけれども、国際標準化にお

いて、こちらのモデルガイドラインをベースに、イギリスの British Standards

Institution というところと PAS というのを今開発しておりまして、それはイギリスの

事実上国内の標準仕様という、PAS というのは Publicly Available Specifications

というものですが、これが2回の会合を終えて、おおむねまとまりまして、年度内に

策定されるというものです。

これと並行して8月に、シェアリングエコノミーに関する ISO の中に新しい技術委

員会、TC を設立してほしいということを日本から提案いたしまして、これの投票が先

週終わりました。Pメンバーというのですけれども、投票権を持つメンバーは 5 カ国

以上が条件なのですが、10 カ国Pメンバーが集まって、全体としても賛成多数という

ことで、形式的には TC が設立できる状況になっています。手続的には、この後、ISO

のテクニカルボードのほうでもう一度検討と投票があって、決まるのは1月ぐらいと

いうことになろうかと思います。

議長国がもう一カ国提案があったりしているのですが、はっきりしたことは申し上

げられませんが、多分、日本が議長国になってこれを推し進めるというような状況で

す。フランス、カナダがPメンバーに入っておりますが、イギリスは今回はなぜかP

メンバーではなくてOメンバーという投票権を持たないメンバーとして参画をする。

そのような状況でございます。

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皆さん方と一緒に考えて進めてまいりましたモデルガイドラインが、幾つかの段階

を経て TC になって、多分そこで最初に検討することになるのが理念とモデルガイドラ

インというところで、先ほど生貝先生からありましたように、オンライン・レピュテ

ーションとか、いろいろな関連する TC も既にできておりますので、そこと連携しなが

ら日本と欧州主導で枠組みを決めていく。そんなような動きがございます。

ちょっと報告だけ申し上げました。ありがとうございます。

○安念主査 どうもありがとうございます。

中村先生、お待たせしました。

○中村構成員 ありがとうございます。中村です。生貝さんと沢田さんに質問があり

ます。

まず、生貝さんに。先ほどの供給者に対するランキングのパラメータの理由を公表

するというのは非常に大きなルール化だと思いますけれども、何か社会問題のような

強い背景があったのか。そして、エンフォースはどうするのか。つまり、罰金のよう

なものはどんなものなのか。そのあたりを教えていただければと思います。

○安念主査 いかがですか。

○生貝構成員 ありがとうございます。

これまでも、国内外を問わず、ランキングというのが例えば中立を装ったものであ

るのだけれども、実際はさまざまな金銭的な、ファイナンシャルな関係によって順位

が人為的につくられたものであるといったような議論もしばしばあったかと思いま

す。もちろんこれは、当然さまざまプラットフォームの皆様は、そこの場所というも

のをビジネスの場として運営されていますので、正当であることが多いかと想うので

すけれども、プラットフォームのお勧めというものを消費者の側が信頼して、プラッ

トフォームが進めてくれているのだったら間違いない、これは私にとって一番得なも

のなのだということを確実に行えるようにすることでもって、消費者の購買行動、ま

さしく不安とかそういったものを取り除こうといったことがこの背景にはあるものだ

と認識しております。

ちなみに、これはプラットフォーム対コンシューマー関係のことでございまして、

プラットフォーム対ビジネス関係、②のところで申し上げたところでは、またちょっ

とこれは別の要素が少し出てくるのですが、少なくともコンシューマーとの関係では

そういうことでございます。

そして、エンフォースメントといったことをどう担保するのかというのは、確かに

難しいところではございまして、まだこれもヨーロッパのほうでも最終的に立法に至

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ったものではございません。

いずれにいたしましても、私自身としては、この協会とか、モデルガイドライン等

の自主的な取り組みの中で取り組んでいって、それが本当に宣言したとおりになって

いるのかといったところに関しても、まさに認証をするさまざまな方々が実際に例え

ばテストをしてみたり、そういったさまざまなカスタマイズされた対応が必要になる

のかなと考えているところでございます。

○安念主査 よろしいですか。

○中村構成員 もう一つ、沢田さんに。EC ネットワークは ADR の経験を豊富にお持ち

ですけれども、今回の ODR をプラットフォームがやるという提案は、ADR として別の組

織がやるのでは限界があるということなのでしょうか。例えば、シェアエコ専門の ADR

なり ODR を沢田さんのところがやられたらどうなのかなと思ったのですが、いかがで

しょうか。

○一般社団法人 EC ネットワーク 沢田様 御質問というか、御提案、ありがとうござ

います。お金を出してもらえたら幾らでもやりますが、もちろん外部に専門の ADR と

いうか、ODR 機関があって、そこが請け負うという形でももちろん可能とは思います。

ただ、それぞれのプラットフォームから協力が得られることが大前提になると思いま

す。取引のログは全てプラットフォーム側にあるものですから、事実確認のためにい

ろいろ開示していただかなければいけない場面が出てくると思います。紛争解決の効

率性で言えば中にあるほうがいいのかなと思った次第です。

○安念主査 全く無知なのですが、日本国内で既に稼働している ODR というものは実

在するのですか。

○一般社団法人 EC ネットワーク 沢田様 私たちです。というのは冗談ですが、ほと

んどないです。もともと日本国内では ADR 自体余り盛んではないというのもあり、そ

れとともに、ここで申し上げていいのかどうか、先ほど時間の関係もあって課題とし

て申し上げなかった点ですが、ODR や ADR を国や行政機関がやる場合はいいのですけれ

ども、例えばソフトウエアでオンラインの紛争解決システムを提供するというのをビ

ジネスとしてやった場合、弁護士法 72 条との関係が問題になります。それで萎縮して

できないでいるというのも事実だと思います。ビジネスとしてもうかりそうにないと

いうのも、もちろんありますけれども、それとは別に法規制の問題もあると思います。

御質問にお答えしていなかったですが、結論としては今、日本の中で ODR として稼

働しているものはほとんどない。部分的にeファイリングのような形でオンラインを

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取り入れている ADR の仕組みはありますけれども、ODR と言えるようなものはないと思

っております。

以上です。

○安念主査 わかりました。ありがとうございます。

もう一方ぐらい、どなたか。では、増島先生、森先生。

○増島構成員 生貝先生ですけれども、EU の動向は割とペーパーが出るので、これを

読めばわかるという形で追いかけているのですけれども、よくわからないのが米国の

状況だと思っていまして、大統領もあんな感じで、全体的に何が起こっているかよく

わからない国になってしまったというところもあるのですけれども、彼らの中で公式

に動いている規制ですね、FTC とかはやっていると思いますけれども、あの辺の動向で

もし共有いただけるものがあれば教えてください。

○安念主査 何か御存じですか。

○生貝構成員 実は、アメリカに関しては私もなかなかフォローし切れません。プラ

ットフォーム規制というところですと、一つはプライバシー、そして何よりもフェイ

クニュース、ディスインフォメーション対策のほうにかなりの議論が集中していると

いう理解でございまして、私が今勉強している限りですと、特に連邦レベルできょう

お話をさせていただいたことにかかわるような大きな議論というのが、少なくとも関

係の限りフォローできていないという状況でございます。申しわけございません。

○安念主査 FTC は紙を出さないほうが何か不思議な感じがするのですけれども。

○増島構成員 ちょっと出ていると思います。FTC はちょっと出ているのは見たのです

けれども、まだ議論が始まったばかりという感じかなという状況で見ていまして、そ

れは誰のどういうふうなイニシアチブでどこかへ行こうとしているのですかねという

ところがまだ調査ができていなかったです。

○安念主査 わかりました。ありがとうございます。

森先生、お待たせしました。

○森構成員 ありがとうございます。生貝先生と Airbnb さんに1点ずつです。

生貝先生には、先ほどの7ページのニューディールのところですけれども、下線部

の(b)のところで、プラットフォームがサービス提供者がプロかどうかを消費者に

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伝えなさいということですけれども、これはアイデアとしてすばらしいと思う一方で、

プラットフォーム的には情報収集をしなければいけないので大変ですし、あと、プロ

かどうかというのは何を意図しているのかというところがあるかなと思っていまし

て、例えば事業者だったら消費者契約法の適用がありますよとか、事業者だからベン

ダーとして信用できますよとか、消費者としてこれを教えてもらうことによって何を

得られるのか、プラットフォームに手間暇がかかる一方で、どういう消費者保護にな

っているのかというのを教えていただきたいと思います。

○生貝構成員 ありがとうございます。

まず、何を目的にしているのかということに関しましては、今、先生がおっしゃっ

ていただいたとおりだと認識しておりまして、事業法とか、あるいは消費者法の保護

をちゃんと受けることができるのかといったようなところがまず一つ大きくあり、そ

れに加えて副次的には、そうであれば安心して取引して大丈夫だろうといったような

一般論も当然あるのだろうと思います。

おっしゃるとおり、確かにうまく信頼のできる表示をしていくというのはなかなか

難しいだろうなと思いますけれども、私の今勉強している理解ですと、原則はちゃん

と供給者の方に自分で宣言をしていただくというか、そういう形で登録をしていただ

くということ。そして、その宣言といいますか、登録が本当に合っているかどうかと

いうのは、可能な限りでプラットフォームの方々が、そこに集積された取引データと

かそういうところから見ていって、もし仮に大きな乖離があるようであれば、アラー

トとか修正の指摘なんかを出していくといったような形が比較的現実的なのかなと理

解しているところでございます。もちろん、プロか、トレーダーか、それとも普通の

アマチュアかというのは、分野ごとでも難しいところですので、そこはかなり議論が

必要かなと思います。

○森構成員 ありがとうございました。

確かに、そういうことをぜひやるべきですと言うと、ちょっと怒られるかもしれな

いのですけれども、例えば CtoC みたいな個人間取引だったら、件数とか、商品カテゴ

リーとか、金額というのはプラットフォーマー側で把握できるので、ではガイドライ

ンに従ったらこれは特商法の適用がありますねとか、そういうことはわかるはずなの

で、それを伝えろというのはアイデアとしてはいいと思います。もちろんこれはハー

ドローではないという前提での話なので、これは我々のガイドラインに対する非常に

いい示唆だなと思いました。

山本さんには、民泊の場合、マンションで禁止になっているとか、そういう話があ

るわけでして、プラットフォームの外側、外部に対しての配慮が結構重要だと思うの

ですけれども、そういうことについてはどのような工夫をされているのでしょうか。

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○Airbnb Japan 株式会社 山本様 御質問ありがとうございます。

その点に関しましては、弊社は課題意識を持っているものの、なかなか 100%これを

やれば大丈夫ですという答えをまだ見出せていないところでございます。ただ、ホス

トさんと連携し、要は現場でホストさんが直接的に外部の方とかかわるわけでござい

ますので、弊社といたしましては、ホストさんに対してきちんと周りの方に御案内を

しましょうといった形で、リスティングをつくる際にご覧いただくページがございま

すので、そちらで御案内をしているところです。

あと、届け出をする際に周りの方に周知をすることが求められる場合がありまして、

こちらは自治体によっては、かなり極端な例でございますと、町内会にも参加をして

議事録もとってきちんと徹底してやってくださいという御指導もある場合がございま

す。そこはバランスの問題かなと思っておりまして、どこまできちんとお知らせする

ことが周りの方の安心につながるかというところは一つあるかと思います。お答えに

なっていないかもしれませんけれども。

○安念主査 確かに難しいですね。ありがとうございました。

時間がたっております。ちょっと私から寺本さんに伺いたいのですが、社会学者の

説によると、日本というのは赤の他人間の信頼が非常に低い社会だそうです。だから

こそ、御社でなさったあの調査のコメントの「安心」がやはりキーワードになってく

るのだと思うのですが、そうなると、新規参入者が安心してもらえる手はあるのだろ

うかと思うのです。伝統ある大企業しか安心できないとなると、新規参入はおよそ理

論的にはできなくなるのですけれども、そうであってはもうシェアエコなんかはおよ

そ不可能になるのですが、どうすると安心というのをエンハンスすることがでるもの

でしょうか。

○PwC コンサルティング合同会社 寺本様 うまいお答えができるかどうかは不安で

はあるのですけれども、まず、日本に関して言えば、そもそもシェアリングの土壌は

あるのです。私なんかも、基本、料理はできないのですけれども、たまに料理をして

みようかなと思ったときに限ってお醤油がなかったりするので、よくあるパターンで

すけれども、隣に借りにいったりという、これは古くから日本でよくある関係で、そ

もそもシェアリングに関する精神的な共有という素地はあるのだろうと。

いろいろな方とそういう話はあるのですけれども、今御質問いただいたようなテー

マに対して、そもそもシェアリングは怖いですかと端的に質問すると、実際そんなに

怖くないのですというところで、やはり一歩踏み出す勇気というものをどうやって担

保してあげるかということだと思っています。

調査結果をごらんいただくと、まず年収別の利用経験という点で言うと、まず年収

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が高い方のほうが利用経験が非常に高いというスコアが出ていて、それは後ほどごら

んいただくと御確認いただけるのですが、これは単純明快で、年収が高い方ですと、

例えば仕事もしくはプライベートで海外に行く回数が多い。結果として、Uber だった

り、身近なものを使えるというところがありますと。

問題なのは、年収がそこまで高くない一般消費者に対してどれだけリーチさせてい

くことがでるかという点で言うと、これはべたですけれども、やはり SNS とかがこれ

だけ市民権を得ているので、実際に利用した人のつぶやきというものをどれだけそう

いう不安を感じている人に届けてあげることができるかということだと思います。

そういう意味では、SNS を活用したつぶやきではないですけれども、一つにはスペー

スマーケットさんが先ほど取り組みで紹介されていたように広告です。べたな手法と

言われるかもしれませんけれども、やはり広告を見てやってみようという方がおられ

ます。実際問題、今、広告という戦略が実は再評価されてきているという事情もあり

ます。広告という表現を借りないのであれば、動画コンテンツというものが今非常に

注目されている。

ですので、たくさんの方がコンタクトできるような、そういう場所で利用を容易に

する、心的なバリアを下げるようなことができれば、意外に簡単にブレークスルーで

きるのではないかと感じています。

○安念主査 そうすると、ますますつぶやきの透明性が重要になってきますね。あり

がとうございました。

何となく自然な形で意見交換に移らせていただきたいと思いますが、それに先立っ

て、第 10 回検討会議におけるヒアリング概要について、事務局から概要を御説明いた

だいた後、第 11 回検討会議での説明、意見発表とあわせて、御意見の交換をさせてい

ただきたいと存じます。よろしくお願いします。

○髙田企画官 時間も限られているので、端的に行いたいと思います。

前回、ゲストスピーカーからの御議論をお手元の資料にまとめさせていただいてご

ざいます。かいつまんで説明いたしますと、安全・安心の取り組みに関しまして、本

人確認、事故への備え、サポート体制等々におきまして、各社ともモデルガイドライ

ンに上乗せの取り組みをされているという点が特徴的だったと理解しております。

また、リスクの低減やユーザーリテラシーの向上という観点から、消費者の行動変

動等をいかにスマートに促していくか。これについて各社さんはいろいろな努力、御

苦労をされているということについて、それぞれの御発表があったところでございま

す。

モデルガイドラインの中身に立ち入ったところで申しますと、特にモデルガイドラ

インの中の適法性の取り扱いについて、たとえ白黒つけなくて、基本的には自分たち

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で根拠を持って判断するというのが原則でありますが、なかなかそれだけでは重いよ

うな例がやはり出てきているというお話が、シェアエコ協会の方、あと石原弁護士、

それから森弁護士からも御発言がございました。もし補足等がありましたら、後ほど

お願いできればと思います。

また、認証ガイドラインについて不断に見直していくべきではないか、その中でプ

ラットフォーマーだけではなくて、実際にサービスを提供する提供者の方々の活躍の

場の拡大に当たるような取り組みを期待すると。このような御意見も出たところでご

ざいますので、御参考までに御紹介させていただきます。

○安念主査 どうもありがとうございました。

それでは、残りの時間、御自由に御意見の交換をしていただきたいと思います。ど

うぞ、どなたからでも結構でございます。

では、まず増島先生から。

○増島構成員 ありがとうございました。

今、例えばスペースマーケットさんの資料で8ページにグラフが出ていますけれど

も、ほかのシェアリングエコノミーも、結局、ネットワーク効果なので、みんなこう

いうふうになるのですね。ここに行くまでに大体3年とか4年かかるという形であり

まして、こう大きくなると、この後はずっと行く。Airbnb さんなんかを見ていればわ

かる。こういうふうな話になります。

これはもうスペースマーケットさんだけではなくて、クラウドファンディングでも

何でも実は同じでありまして、その事実をこれから行う議論の中にどういうふうに踏

まえる必要があるかというのがあると思います。何を申し上げているかというと、今

から始める新しい人が追いつけなくなりますよという話があります。

今、皆様、大きな方々が来られて、安全・安心の対策です、いろいろやりますと言

うわけです。それをやられるのは、社会にとっていいことだとか、この場にとっては

いいことを言っているという話になって、ぜひやりましょうみたいな話になるのです

けれども、それは実は何をやっているかというと、ある意味、逆の面になると、何の

面から言ったらいいかわからないのですけれども、先行して大きくなった人に、新規

参入者に対する障壁をつくろうとしているというふうな捉え方が他方でできるという

話でありまして、そこでやっている行為は、まさにシェアエコの前のBとCのビジネ

スで古い人たちがやっていた行為と同じである。こういうことは事実の問題として踏

まえておいていただく必要はあるということでございます。

3年、4年というふうに申し上げたのは、今、皆さんがこういうことをやられてい

らっしゃるのは、私は別にスペースマーケットさんの顧問でも何もないのでどうなっ

ているか知らないですけれども、基本的には上場が見えてきます。上場が見えてきま

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すと当然審査をするということになるわけですけれども、ここで東証を通そうとする

と、オンライン・プラットフォームについて彼らも結構ビジネスをキャッチアップし

ておりますので、適法性ということを非常に言ったり、安心感とかいろいろなことを

言って、あれしろこれしろと言ってくるのです。なので、自主的にもちろんやってい

ますというていを見せている人たちもいますけれども、実は上場のためにやらなけれ

ばいけないのでやっているという面も結構あるのです。

そういう方々が考えるのは、どうせやるのだったらルール化すれば、自分たちがや

ってそこに上がっていくという中で、これをつくれば競合が出てこないというふうな、

先ほどのネットワーク効果とあわせてそういうふうな戦略的な判断になるというのは

見やすい事実でありまして、そういうふうな判断が民間側でされるものなのであると

いうか、合理的に考えればそうなりますねということを踏まえた上でここで議論をし

ないと、先行した人に加担をして、新しい人を生むことに対する阻害になってくるで

しょう。ここは踏まえていただきたいと思いました。

○安念主査 ありがとうございました。

私もオンラインビジネスは独占への非常に強いポテンシャルを持っていることは指

摘いたしました。ネットワーク外部性が極めて強固に出る上に、製造業と違いまして

生産ラインの制約というものがありませんので、極端に言うと、ゼロか 100 かの世界

になってしまいがちですので、その点はよく注意をしなければいけない。私も全く同

感でございます。

ほかに、どなたからでも。では、森先生、どうぞ。

○森構成員 今の安念先生のお話に1点つけ加えさせていただくと、プラットフォー

ムですので間接ネットワーク効果があります。こちらがふえれば、あちらもふえる。

だから、このシェアリングエコノミーの場面では、新しく出てくる人たちをという今

の増島先生のお話ですけれども、そこで非常に問題になっているのが適法性問題でし

て、これをどうするのかということが非常に難しい問題なのだろうと思うのです。

もちろん、法律を守るということはある意味では認証の当然の要求なので、適法に

ビジネスをやっていますということも認証すべきなのですけれども、他方で技術革新

によって今の法律が現状に合わなくてきているとか、むしろこちらのほうが法改正の

インプリケーションになっているという面があるので、全くしゃくし定規に適法性を

認定するわけにいかず、そうかといって、違法なものをよいシェアリングエコノミー

として認定していると、その認定自体の信頼を脅かすことになりますので、これはあ

ちらを立てればこちらが立たずということで非常に難しいかなと思っていますので、

今回のモデルガイドラインの改定のことを通じて、ぜひともここでやっていただきた

いと思いますし、シェアエコ認定自体のある意味最大の課題として御検討いただきた

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いと思います。私にもいいアイデアがあるわけではないのです。

○安念主査 それはそうでしょうね。ありがとうございます。

では、重松先生。

○重松構成員 2点ありまして、まずは1点目、プラットフォームはネットワーク外

部性が効いて、まさにスペースマーケットの創業者としては、シェアリングエコノミ

ー検討会議に参加したのは恐らく 2016 年、2年前だったと思うのですけれども、その

ときは本当にプラットフォームとしてまだまだ本当にお恥ずかしいような数字で、赤

字垂れ流しみたいな感じをまさに4年ぐらいやって、ようやくテレビ CM を打てるぐら

いになりました。

どうしてもウィナー・テイク・オールの側面は免れないなというのはやりながらも

思いますし、そういうマーケットだと思って私自身も創業したところはあります。

ただ、大きいマーケット、特にフリーマーケットといったところでいくと、メルカ

リという巨人がいながら、フリルも楽天グループのラクマになっていまだに成長して

いますし、シェアリングエコノミー協会も、いまだにいろいろな新しい会社、こんな

マーケットは確かにあったなというようなプレーヤーが今どんどん出てきて、最近だ

と家具のシェアリングとかも一気に3社ぐらいどっと出てきたり、洋服のシェアとか、

最近はアルバイトのシェアとか、そういった社会問題に真っ向から向かうようなプレ

ーヤーがどんどん出てきているといったところがありますので、今からスペースマー

ケットの事業をやるというのはきついと思うのですけれども、出てきたら当然我々も

全力で対抗しますけれども、まだまだこれからどんどん出てくるので、そこの芽を摘

まずに、我々としてもサポートしていきたいと思っていますというのが1点。

もう一点、EC ネットワークさんの発表をすごく興味深く聞きました。ODR のオープ

ン化はすばらしいなと、賛成であります。ちょうど今、まさに協会に属しているいろ

いろな CtoC 企業がそれぞれ、増島先生がおっしゃったとおり、まさに同じようなカー

ブで、紆余曲折はありながら、皆さん、2年前からするとかなりの勢いで成長してい

るといったところがあって、それぞれがいろいろなトラブル事例を抱えていて、それ

ぞれの CS の責任者は連携しているかというと意外と連携していないので、そういった

ナレッジの共有といったところをやって、いずれ紛争解決センターみたいな、このビ

ジネスを立ち上げる人もいてもいいのかなと。そこはうまく EC ネットワークさんとも

連携して、そういう団体をつくるのか、企業でお金を出し合ってやるのか、知見を共

有するのかというのができればと思っています。

○安念主査 ありがとうございます。

どうぞ。

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○関構成員 今、各役所でプラットフォームを規制すべきといったいろいろな議論の

場が乱立している状態なので、この検討会に来て安心しました。ぜひ自主的な取り組

みという方向を中心に議論を進めていただきたいと思います。

先ほどネットワーク効果、あるいはそれによる参入規制というお話もありました。

新規の参入が阻害されるような形でのルール形成というのは余りよくないと思いま

す。EU の規制を参考にすることは必要とは思いますが、我々が調べた限りではアメリ

カの制度は何もない状況とも聞いています。いろいろ判断はあると思うのですが、こ

の分野の産業を活性化するためにはどのような方向がよいのか、日本としてよいと思

う方向を目指すべきだと思います。

その中で、特に消費者、この場合は CtoC なので提供者、利用者両方になると思いま

すが、そういった方々に対しての啓発や情報提供を、官民が協力してしっかりやって

いくべきだと思います。

CtoC のサービス、シェアリングサービスを利用することのメリット、トラブルを回

避するための知恵、あるいは実際にトラブルに遭ってしまった場合の解決方法などに

ついて、事例も交えてわかりやすく、即時に情報提供をしていくというのが非常に重

要な取り組みではないかと思います。

実際に CtoC のサービスを行っている事業者から話を聞くと、トラブルが実際に起き

て解決のアドバイスをする際、必ずしも供給者が悪いケースばかりではなく、BtoC と

同様に購入する側が悪いケースもあり、解決するのは必ずしも簡単ではないと聞きま

す。そういった意味で、ノウハウの集約も重要かと思います。いろいろな取り組みの

方向を目指して、議論を継続していただければと思います。

○安念主査 ありがとうございます。

松岡さん、どうぞお願いします。

○松岡構成員 ODR の話ですけれども、もうちょっと促進するためには敷居を低くし

て、ADR の延長というよりも消費者相談の延長というような形のセッティングが私は一

般的に浸透しやすいのではないかと思います。

先ほど沢田さんがおっしゃいましたけれども、日本で ADR がなかなか深化していか

ないというのは、やはり敷居が高過ぎるので、特に当事者同士が合意しないとできな

いというふうになると難しくなりますから、消費者相談でやっているような、一方か

らクレームが来たら他方につなぐ、あっせんするというやり方が進みやすいのではな

いかという感じがいたします。

それは、今、既存の消費生活センターとか我々消費者団体がやりにくいのは、やは

り今のウエブ上のラインとか仕組みが非常にわかにくい。しかも、シェアリングエコ

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ノミーの分野は、そのこともそれぞれの業種ごとにわかりにくいところがあって、ま

だ能力的に追いつかないというところがありますので、ぜひそういう分野の方が積極

的にやっていただいたらいいと思います。

それから、EC ネットワークさんにもお願いしたいのですが、リンクを張るときに参

加費を取ればいいと思うのです。オンライン・ネットワークに乗せるための一種の負

担金を徴収して、何とか経費を出していければいいなと思います。うちにその能力が

あったらやりたいところですけれども、残念ながら今の段階ではできません。

○安念主査 なるほど。

どうぞ、増島先生。

○増島構成員 この ODR ですけれども、これは裁判もそうですけれども、もう人がや

るのはやめたほうがいいですという話になります。要するに、デジタルのデータがい

っぱいあるので、それをどう活用してそういうものをつくるのか、レグテックの議論

ともつながりますけれども、基本、デジタルの発想でつくるべきだと思います。

幾ら人が一生懸命議論をしても、たどり着く結論は余り変わらないという話になっ

ていまして、もちろん適正手続は大事だよというのはあるのですけれども、特にシェ

アリングエコノミーというのは小さい取引が大量に起こるということなので、これの

コストをどうするのだという話です。こういうのを人がわらわらとやるというのはも

うあり得ないと思っていますので、デジタルの発想でこれを解決するというもの。

だって、デジタルといったら、皆さんオンラインでやっているので、API か何かで持

ってくればいろいろなものができるわけでありまして、フィジカルに見えないとかわ

かりにくいということは関係ないです。そういうような発想で物を考えていただくと

いいと思いますし、先ほど重松さんが言ったように、これは本質的にはビジネスにな

るのです。データがいっぱい集まっていくので、すごいビジネスになります。

ただ、ここに出てくるのが実は 72 条で、リーガルテックというのもまた別途あるの

ですけれども、必ずこういう話が出てくる。ここをうまく克服するようなフレームワ

ークが欲しいと思っていますし、そういうことをやると弁護士ビジネスをディスラプ

トできるので、非常にいいのではないかと思います。

○安念主査 森先生、ディスラプトされる側から、どうぞ。私もそうだけれども。

○森構成員 ありがとうございます。時代の流れだからしようがないと思います。

eBay もソフトウエアでやっていたということですけれども、新聞でも一番 AI で代替

するのに向いている分野であるということで、人手をほとんど介さずに全部できるの

ではないか、ごく一部のエスカレーションしたものについてだけ人がやればよいとい

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うことで、そういう意味ではたくさんできるということですけれども、私が申し上げ

たいのは、それはそういう方向でどんどん合理化できると思うのですけれども、事業

者からしてみたときに、決定的な消費者にアピールする差別化要因ではないのです。

言ってみればコストの部分です。それを事業者、プラットフォーマーが自分でやりま

すというインセンティブを与えないと、誰かやってくれみたいな話にしかならなくて、

例えば今でもちょっともめ事が発生したら、自分たちは場所を貸しているだけだから

責任を負わないので相談センターに相談してくださいみたいな話があるわけです。こ

れは無責任なプラットフォーマーですよね。

では、相談センターでやればいいですかというと、これはこれで税金を使っていた

りするわけで、それはそれで外部不経済なのです。やはりプラットフォームとしてき

ちんと取り組まないといけない。

我々の現行のガイドラインにだってちゃんと苦情窓口を設けることというのはある

わけです。この苦情窓口を設けていたら認定してあげるよということのちょっと先に、

単に苦情を聞いてアドバイスを返すだけではなくて紛争処理をしなさいということが

あるので、これはやはり個々のプラットフォームが責任を持って自分たちの費用でや

るということを原則に考えないとうまくいかないと思うのです。そのことを動機づけ

たり、手伝ってあげたりするということが我々に求められているのかなと思います。

○安念主査 その点、まさにプラットフォーマーの皆さんに伺いたいのですが、自己

のプラットフォームの中に苦情処理とか紛争処理のシステムを内包することが、森先

生がおっしゃったけれども、差別化になるとお考えになりますか。これはもう非常に

正直に言って、ただのコストセンターでしかないとお考えなのか。どうですか。やり

方次第ですか。重松さんなんかはどう思いますか。

○重松構成員 さすがに全部丸投げとかはあり得ない話なので、やはり苦情というか、

お客さんの声というか、お問い合わせはサービス改善の物すごい宝の宝庫なのです。

なので、それを当然ちゃんと自前で持ちつつ、とはいえ、もう定型化されているとこ

ろがあったりするし、あえて我々が入らないほうがいいようなものに関しては、こう

いった第三者機関があると非常にスムーズに運ぶのではないかと思います。

○安念主査 では、社内、社外両方を用途によってということですか。

○重松構成員 用途によっていけるといいかなと。

○安念主査 山本さんはどう思われますか。

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○Airbnb Japan 株式会社 山本様 ありがとうございます。

重なるところがあるかなと思います。もちろん弊社として吸収できることはきちん

とやらせていただきたいと思っております。他方で知名度の問題がございまして、こ

このお部屋にいらっしゃる方は弊社のことを御存じの方は多いのですが、本当に苦情

をされたい外部のユーザーでない方というのは、我々の名前さえも御存じでない方は

まだまだたくさんいらっしゃいますので、結果的に実態として自治体へ電話が行って

しまうというのはあると思っております。そこのバランスをどう解決していくかとい

うところが難しいのですけれども、事業者としては頭を悩ましているところだと思い

ます。

○安念主査 そういうシステムを知ってもらうにも、まずは知名度がある程度ないこ

とには始まらないということがあるわけですね。なるほど。どうもありがとうござい

ます。

ほかにいかがでしょうか。

○一般社団法人 ECネットワーク 沢田様 部外者の立場で発言させていただき申しわ

けありません。今の点ですけれども、プラットフォーム事業者さんを御存じない外部

の方々にとっての窓口は、先ほど松岡構成員がおっしゃったように消費者センターと

か、消費者相談窓口ではないかと思います。ADR の実施主体として消費者センターの立

ち位置がいいとは必ずしも思わなくて、たまたま相談に来た一方当事者のためにだけ

動くのがいいかどうかという問題があると思いますが、苦情を受け付ける窓口として

は、そこにまず入ったものを紛争解決ができる場所に適切につないでいくことができ

れば、取引外の第三者とのトラブルに関しても有効に働くのではないかと思っており

ます。

○安念主査 そこは一つ考えどころのようですね。ありがとうございます。

ほかにいかがですか。

関さんに伺いたいのですが、それこそ、おっしゃったように何でもかんでもプラッ

トフォーマーを規制して手柄にしようみたいな風潮がちらちらと出始めていますよ

ね。

関さん、前から内外の平等というのを力説していらっしゃるじゃないですか。プラ

ットフォーマーってポテンシャルとしては世界的に展開できるものなのだけれども、

そういう内外差別、つまり日本の事業者に対してどんどん不利になっていくというか、

規制がヘビーになっていくというのは、そういうトレンドみたいなものをお感じにな

りますか。

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○関構成員 再三言ってきたせいか、政府の説明では域外にも適用するように検討し

ますという発言が見られるのですが、実際のところ本当にできるのかという疑問はあ

ります。

EU はプラットフォーム規制にしても、プライバシー規制にしても、法執行について

は疑問の点があるものの域外の企業に対しても適用します。プラットフォームにして

も何にしても、基本的に規制はできるだけ少ないほうがいいというのが私のスタンス

なのですが、仮に日本で規制を導入する場合は、域外も域内も平等に適用できるよう

に実現してほしいと思います。逆に、それができないのだったら規制の導入はしない

でほしい。

そのためには、まずは思考実験でもいいので、域外の外資の企業に対して法規制を

考えたときに、法執行も含めてどうしたら実現できるのかというのを十分吟味してか

ら、国内も含めた法規制を検討すべきだろうと考えています。

○安念主査 法執行って、我々法律屋が昔から勉強した刑罰とか強制執行とかそうい

うハードな手段は、書いてみたって、多くの場合、実効性は非常に乏しいですよね。

そうすると、別のやり方なのかなと。

さっき御指摘があったけれども、例えば eBay の場合だと PayPal という決済手段と

つながっているから、金をとめてしまえば事実上執行したことになるわけですよね。

例えばそういうやり方なんかもあって、必ずしもオフィシャルなものに限られないよ

うなエンフォースメントを考えていかないといけないのかもしれませんね。何かいろ

いろ考えどころはありますね。

私ばかりしゃべって済みません。ほかにいかがですか。もうおひと方ぐらい何か。

よろしいですか。

それでは、大体時間になりましたので、きょうの議論はこれぐらいにさせていただ

きましょうか。

それでは、いつものことでございますが、CIO から御挨拶をいただきたいと存じます。

○三輪政府 CIO まずはお礼ですけれども、いつも活発な議論をいただきまして、安念

主査を初め、構成員の皆様、それからゲストスピーカーの方に心から感謝を申し上げ

たいと思います。今後の取りまとめに当たって参考にさせていただきたいと思います。

ちょっと脱線しますけれども、アメリカはどうなっているかという話があったので

すが、私はたまたまアメリカに長いこと住んでいましたので、よく考えたら、プラッ

トフォームはなかったですけれども、ベビーシッターも、中古車の販売も、もう一つ

ガレージセールというのも盛んでした。それらは「as it is」なのですね。そんなに

怖がっていないのです。自己責任でやるのだと。その辺の文化があるのかもしれない。

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余り神経質でないのかもしれない。私の経験からすると、どんどんやっていたなと思

って、そういう感じがしました。

まとめなければいけないのですけれども、あと気になるのは先ほどから出ているト

ラブル、その事前の話と事後の話、そして、地方と都市部では状況が違うのではない

かということ。もう一つは、事業として利益が出るようになっているのかどうかとい

うこと。Airbnb さんはいろいろ出ていますのでかなり稼げるようになっているという

のはわかりますけれども、重松さんは4年間は赤字だったと言われた。

というのは、こちらとしても、商売として赤字が続くのにどうですかとはなかなか

言いにくい。どんどん推進しましょうと言っていいのかどうかというのがありますの

で、私もそれを最近すごく気にしていて、あそこはどうなのか、上がり出したのかと

いうのをよく聞くのですけれども、その辺が気になる。そういういろいろ気になるこ

ともありますので、これからも引き続き、現状把握とか整理・分析をしていきまして、

それに関して皆様の御協力をよろしくお願いしたいと思います。

最後になりますけれども、所有から共有へということと、社会の活性化とか、地方

ということを鑑みまして、よいものであれば、大臣もおっしゃっていましたけれども、

ぜひ推進したいと思いますので、その発展を願うということで挨拶にかえさせていた

だきます。ありがとうございました。

○安念主査 CIO、ありがとうございました。いつも大変わかりやすい御指摘をいただ

きまして。私が見るところでは、とりあえず単黒にしようという世界かなと、そんな

感じがいたします。

それでは、本日の議論はこれまでとさせていただきます。いつもながら活発な御議

論をいただいてありがとうございました。特にゲストの皆さん、本当に刺激的なプレ

ゼンテーションをいただきまして大変参考になりました。今後とも末永く御指導を賜

りたいと存じます。ありがとうございました。

次回の検討会議は1週間後でございます。12 月7日 10 時から、11 階共用第1特別

会議室にて開催いたします。

事務局からの御連絡は何かありますか。

○髙田企画官 来週のこの時間にまたお会いできればと思っています。どうぞよろし

くお願いいたします。

○安念主査 どうも皆さんありがとうございました。