中学校第 2学年国語科学習指導案 - shiga-ec.ed.jp › www › contents › 1438584583184...

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1 ○ 作成にあたって 本指導案は、付けたい力を習得した知識・技能を活用して、「自分の考えを書く力」とし、指導法や 評価の工夫するためにあたって参考となるよう、作成しました。 本指導案の見方について、以下に説明します。 学力向上につながる中学校国語科の授業づくり 中学校第 2 学年国語科学習指導案 ③ 評価について 本時の評価規準を、何で評価するの かを記述しています。 ① 本時のポイント 自分の考えを書くためのポイントとな る活動を太線で囲んで示しています。 ② 指導の重点ポイント ①のことについて、指導するポイント や、そこで使うワークシート等を記述し、 太線で囲んで示しています。 ④ 学習の振り返りについて 学習意欲が継続する自己評価の記述 例を挙げています。 ⑤ 支援の手立て 学習の達成状況に応じた支援の手立 てを記述しています。

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1

○ 作成にあたって

本指導案は、付けたい力を習得した知識・技能を活用して、「自分の考えを書く力」とし、指導法や

評価の工夫するためにあたって参考となるよう、作成しました。

本指導案の見方について、以下に説明します。

学力向上につながる中学校国語科の授業づくり

中学校第 2 学年国語科学習指導案

③ 評価について

本時の評価規準を、何で評価するの

かを記述しています。

① 本時のポイント

自分の考えを書くためのポイントとな

る活動を太線で囲んで示しています。

② 指導の重点ポイント

①のことについて、指導するポイントや、そこで使うワークシート等を記述し、太線で囲んで示しています。

④ 学習の振り返りについて

学習意欲が継続する自己評価の記述

例を挙げています。

⑤ 支援の手立て

学習の達成状況に応じた支援の手立

てを記述しています。

2

1 身に付けさせたい言語の力

習得した知識や技能を活用して、自分の考えを書く力

2 単元名

きずなを考える 【出典:光村図書「字のない葉書」 向田 邦子】

3 学習指導要領における領域と重点指導事項

書くこと「記述」

読むこと「自分の考えの形成」

4 言語活動

気に入った資料を読み、きずなをテーマにした深い話を書いて紹介する。

5 五つの言語意識

6 指導の重点

(1) 主体的な学習態度を育む

・学習の手引きやモデル文を用いて、単元の課題と「評価の基準」を示し、学習の見通しやその

達成目標をもつ。

・毎時間、学習したことを振り返り、次の授業の学習目標を立てる自己評価を行う。

(2) 自分の考えをもつ

・気に入った資料のエピソードと自分の体験等と関連付けて読む。

(3) 自分の考えを記述する

・習得した文章構成や表現の仕方を活用して書く。

(4) 意見文を評価し合う

・「評価の基準」を基に意見文を読み合い、ものの見方や考え方を広げたり、書き方について振り

返ったりする。

7 学習目標

(1) きずなに関する気に入った資料を読んで、考えたことを書こうとする。

(関心・意欲・態度)

(2) 気に入った資料のエピソードとそれに近い体験談を挙げて、習得した文章構成や表現の仕方を

活用して、きずなについて考えたことを書くことができる。 (書くこと 記述)

(3) 気に入った資料のエピソードについて、知識や体験と関連付けて考えることができる。

(読むこと 自分の考えの形成)

(4) 抽象的な概念を表す語句の意味を理解することができる。

(伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項)

言語意識 生徒の意識

相手 ・クラスの友だちにきずなをテーマにした深い話を紹介する。

目的 ・習得した文章構成や表現の仕方を活用して自分の考えを書く力を付ける。

・きずなをテーマにした「深い話集」(文集)を作る。

条件 ・気に入った資料のエピソードとそれに近い自分の体験談を挙げる。

・習得した文章構成や表現の仕方を活用して、600字以上、800字以内で書く。

方法 ・きずなに関する資料を読んで、書く材料を集める。

・習得した文章構成や表現の仕方を活用して書く。

評価 ・気に入った資料のエピソードとそれに近い自分の体験談を挙げて、習得した文章構成や表現の仕方

を活用して、きずなについての意見文を600字以上、800字以内で書いている。

3

8 評価規準

国語への

関心・意欲・態度 書く能力 読む能力

言語についての

知識・理解・技能

文章を主体的に読んだり、自

分の考えを書いたりして、意

見交流しようとする。

気に入った資料のエピソー

ドとそれに近い体験談を挙

げて、習得した文章構成や表

現の仕方を活用して、きずな

をテーマにした文章を書い

ている。

【「B書くこと」(1)ウ】

きずなに関する資料を読んで、

筆者のものの見方や考え方に

ついて、知識や体験と関連付け

て自分の考えをもっている。

【「C読むこと」(1)エ】

抽象的な概念を表す語句

の意味を理解している。

【伝国(1)イ(イ)】

9 「評価の基準」

尺度 評価規準を基にした「深い話」の「評価の基準」

4 書く条件①~④を満たし、会話文や情景描写を取り入れて書いている。

3 書く条件①~④を満たしている。

2 書く条件①~③を満たしている。

1 上記以外のもの。

※ 尺度3をB評価とする。

※ 次の条件を満たして書くこととする。

① 気に入った資料のエピソードを挙げる。

② 気に入った資料のエピソードとそれに近い体験談を挙げる。

③ ①②を基に、習得した文章構成や表現の仕方を活用して、きずなについて考えたことを述べ

る。

④ 600字以上、800字以内でまとめる。

10 単元の構想

学習過程 指導事項

学習活動 言語活動 読むこと 書くこと

第一次

「つかむ」 課題設定

「学習の手引き」(資料)を通して、学習の見通しをもつ。

気に入った資料を選び、書きたいテーマを決める。

第二次

「活用する」 自分の考えの形成

取材

教材「字のない葉書」を読み、最もきずなが深いと感じ

られるエピソードを取り出し、きずなの意味を考える。

気に入った資料からきずなが深いと感じられるエピソ

ードを取り出し、それに近い自分の体験談を挙げ、きずな

についての自分の考えを明確にする。

構成 これまでに学習してきた文章構成を参考に、三色の付箋

を使って文章の組立てを考える。

記述

教材「字のない葉書」の表現の工夫から自分が役立てた

い表現や、事実と意見を区別する文末表現を使って、自分

の考えを書く。

第三次

「振り返る」

推敲

取り出したエピソード、自分の体験談、自分が考えるき

ずなの意味が、それぞれ関連した内容で記述できているか

どうかを述べ合う。

交流

「評価の基準」を基に、友だちが書いた文章を読み、き

ずなの意味や書き方について振り返り、今後に生かせるこ

とを考える。

気に入った資料を読み、きずなをテーマにした

深い話を書いて紹介する。

4

11 学習指導計画

(1) 第1次の展開

【第1時の目標】

気に入った資料のエピソードから、書くテーマを決めることができる。

【第1時の展開】 (1/6)

準備物:「学習の手引き」、モデル文、ワークシート①

過程 学習活動 教師からの働きかけ

指導上の留意点 言語活動の充実に向けて

導入

(10分)

① 単元の学習課題と「評価の基

準」を知る。

② 本時の学習目標とその流れ

を確認する。

・「学習の手引き」とモデル文を使って、付け

たい力や、「評価の基準」を説明し、学習の

見通しをもたせる。

・本時の学習目標「きずなが深いと感じられ

るエピソードを発見しよう」を確認する。

・学習課題と「評価の基

準」をイメージし、学

習の見通しをもつ。

展開

(35分)

5分

25分

5分

③ きずなという言葉が使われ

ている場面を話し合い、きずな

の意味を考える。

④ 気に入った資料のエピソー

ドと、それに近い体験談をワー

クシート①に書く。

⑤ どんなきずなについて書く

か、友だちに紹介する。

・予め知らせていた書くテーマを確認する。

(例 「友だち」「先輩と後輩」「家族」「ペ

ット」「地域」「お世話になった人」など)

・事前に取り組んでいる並行読書ワークシー

トに書かれた感想を紹介し、きずなの意味

を考えるきっかけにする。

・並行読書で読んできた資料と、今まで書き

留めた並行読書ワークシートを基に、次の

ア~カを整理させる。

ア 気に入った資料

イ 誰と誰(何)とのきずな

ウ アの印象に残ったエピソード

エ ウについてのきずなの内容

オ ウに近い自分の体験談

カ 書くテーマ

・同じテーマを書く生徒でグループを作る。

・④を基に、どんなきずなについて書くのか

を中心に発表させる。

・実生活と関連して考え

る。

・気に入った資料のエピ

ソードと自分の体験を

関連付けて読む

・友だちの意見を参考に

して、自分のものの見

方や考え方を広げる。

終末

(5分)

⑥ 本時の学習を振り返る。

・本時の目標に対する自分の満足度を評価さ

せ、学んだことや次の学習の目標などを記

入させる。

・本時の学習を評価し、

次の学習の目標を立て

る。

本時のポイント

5

◎ 指導のポイント

○ 「学習の手引き」やモデル文を使って、「単元のねらい、学習の手順、書く課題とその条件、『評

価の基準』」を説明し、生徒に学習の見通しやその達成目標をもたせます。

○ 並行読書は、単元の学習に入る約1か月前から取り組みます。そのために、公共の図書館、学校

の図書室、小学校の教科書教材からきずなに関連した資料を集めます。冊数については、生徒一人

あたり3冊程度とします。読む時間については、朝読書や家庭学習の時間を利用します。生徒は、

気に入った資料を選び、読んでいきます。

○ 書きたいという意欲を高めるために、実生活と関連したテーマ(例「友だち」「先輩と後輩」「家族」

「ペット」「地域」「お世話になった人」)を提示します。また、自分たちの生活の中で、きずなとい

う言葉がどんな場面で使われ、どんな意味をもっているかについても考えます。

○ 自分の考えをもたせるために、最も

気に入った資料のエピソードと、それ

に近い体験談を挙げます。そのために、

ワークシート①(図 1)の「ア~オ」に

必要なことを記述します。

そして、それらを基に、自分の書き

たいテーマを決め、ワークシート1

(図1)の「カ」に記述します。

○ 同じテーマを選んだ生徒同士で、ク

ループを編成し、どんな体験談につい

て書くかについて交流します。それを

通して、自分のものの見方や考え方を

広げるようにします。

○ 気に入った資料のエピソードから、書くテーマを決めるという評価は、ワークシート①の記述や

学習の取組の様子で判断します。

○ 終末で、本時の学習を振り返り、「学習の手引き」の「学習の計画と記述」欄に、学習の満足度を

4段階で自己評価し、その理由を記述させます。また、「きずなの意味を考えるために、字のない葉

書を読む」というような次の時間の目標を各自が立て、学習意欲が継続していくように働きかけま

す。

最も気に入った資料から書くテーマを決めよう

最も印象に残ったエピソードを書こう

ウには、どんなきずなが描かれているか書こう

気に入った資料の題名を書こう

誰と誰(

何)

とのきずなを描いているか書こう

記入例

よさこいソーラン

記入例

踊り子と舞台裏の人

記入例

ステージの準備のために、多くの人が協力し…

ウに近い自分の体験談を書こう

記入例

支え合うきずな

自分が決めたテーマを書こう

記入例

地域の祭りに参加して、よさこいソーランを…

記入例

お世話になった方とのきずな

図1 ワークシート① (例)

6

(2) 第2次の展開

【第2時の目標】

「字のない葉書」を読んで、きずなが深いと感じられるエピソードを取り出すことができる。

【第2時の展開】 (2/6)

準備物:「学習の手引き」、ワークシート②、テーマをまとめたプリント

過程 学習活動 教師からの働きかけ

指導上の留意点 言語活動の充実に向けて

導入

(10分)

① 本時の学習目標とその流れを

確認する。

・前時の生徒の自己評価の記述を紹介し、

本時の学習目標「きずなが深いと感じら

れるエピソードを発見しよう」と学習の

流れを確認する。

・前時で決めたクラス全員のテーマをまと

めたプリントを配付し、紹介する。

・本時の学習目標を自覚

して、学習に取り組む。

展開

(35分)

5分

10分

20分

② 前時のワークシート①の記述

を聞く。

③ 「字のない葉書」の朗読CD

を聞く。

④ きずなが深いと感じられるエ

ピソードを取り出し、ワークシ

ート②に書く。

・前時のワークシートの記述を紹介し、き

ずなが深いと感じられるエピソードを取

り出すイメージをもたせる。

・朗読CDを聞かせ、文章に描かれている

エピソードの臨場感を味わわせたい。

・きずなが深いと感じられるエピソードを

取り出させるために、下のア、イの視点

を示す。

ア 心惹かれるところ

イ 登場人物の心情や言動について考え

たいところ

・疑問に思ったことがあれば赤字で書かせ

る。

・ワークシートに記述させた後、きずなが

深いと感じられるエピソードについて、

友だちと交流させる。

・疑問に思ったところを話し合わせて解決

させる。解決できないことについては、

次時にクラス全体で考えさせる。

・自分が感じたところを

取り出す。

・友だちの意見を参考に

して、自分のものの見

方や考え方を広げる。

終末

(5分)

⑤ 本時の学習を振り返る。

・本時の目標に対する自分の満足度を評価

させ、学んだことや次の学習の目標など

を記入させる。

・本時の学習を評価し、

次の学習の目標を立て

る。

本時のポイント

7

◎ 指導のポイント

○ 学習の達成目標を常に意識して取り組むために、授業の導入で、生徒が前時に書いた自己評価の

記述を紹介します。

○ きずなの意味について自分の考えをもつために、教科書教材「字のない葉書」を読みます。

○ 「きずなが深いと感じられるエピソードを取り出す」という目的で読み、ワークシート②(図2) に

そのエピソードを記述します。取り出す視点をより分かりやすくするために、自分自身が感じた心

惹かれるところ、登場人物の心情や言動について考えたいところを見つけようと生徒に伝えます。

そのようにして、生徒それぞれのとらえ方を大事にしていきます。

○ 自分のものの見方や考え方を

広げるために、ワークシート②

(図2)の記述を基に、友だちと交

流する場を設けます。友だちの意

見と共通しているところは、自分

の考えを記入した欄に◎を付け

ます。自分とは異なる友だちの意

見については、「友だちの意見」

の欄に書きます。疑問に思ったと

ころについては、友だちとの交流

の中で、その解決を図ります。で

きない場合は次時に取り上げて、

その解決を図るようにします。

また、本時で出た意見を指導者

がプリントにまとめ、全員の意見を紹介します。さらに、そこから、きずなの意味を考えさせる課

題を作成します。

このように、生徒が主体的に取り組む授業を心がけていきます。

○ 「字のない葉書」を読んで、きずなが深いと感じられるエピソードを取り出すという評価は、ワーク

シート②の記述や学習の取組で判断します。

○ 終末で、本時の学習を振り返り、「学習の手引き」の「学習の計画と記述」欄に、学習の満足度を

4段階で自己評価し、その理由を記述させます。また、「きずなが深いと感じられるエピソードの意

味を考える」というような次の時間の目標を各自が立て、学習意欲が継続していくように働きかけ

ます。

疑問に思うところ 友だちの意見 きずなが深いと感じられる

エピソード

(

話合いの中で解決したところに●をつけよう)

●記入例

妹はなぜ、葉書を家に送らなかったのか。

(

わたしの意見とは違っているところを書こう)

・記入例

親元を離れた子に、父が三日にあけず手紙

をよこしたところ。

(

友だちの考えと共通しているところは◎をしよう)

・記入例

疎開先から妹が帰ってきたとき、父が声を

上げて泣いて、肩を抱いたところ。

・ ◎ ・ ・ ◎

図2 ワークシート② (例)

8

【第3時の目標】

きずなが深いと感じられるエピソードと、知識や体験と関連付けて考え、きずなの意味をと

らえることができる。

【第3時の展開】 (3/6)

準備物:「学習の手引き」、クラスの意見をまとめたプリント、ワークシート③、付箋

過程 学習活動 教師からの働きかけ

指導上の留意点 言語活動の充実に向けて

導入

(5分)

① 前時の学習を振り返り、本

時の学習目標とその流れを

確認する。

・前時の生徒の自己評価の記述を紹介し、本

時の学習目標「きずなが感じられる理由を

考えよう」と学習の流れを確認する。

・前時で出た意見をまとめたプリントを配付

し、想起させる。

・本時の学習目標を自覚

して、学習に取り組む。

展開

(40分)

5分

15分

10分

10分

② 前時に出た疑問点について

考える。

③ きずなが深いと感じられる

エピソードの意味を考え、ワー

クシート③に書く。

④ 友だちの意見を読んで感想

を付箋に書いて交流する。

⑤ きずなの意味について考え

る。

・前時の疑問点の中で、内容をとらえる上で

必要なことについては、使用しているワー

クブックなどを活用して、時代背景を確認

する。

・前時で出た意見を基にした課題を生徒に示

し、そこから考えたい課題を選ばせる。

・知識や体験と関連付けて考えさせるため

に、それに近い自分の体験談や見たり聞い

たりしたことを書かせる。

・ワークシートに記述させた後、友だちとワ

ークシートを交換させ、読んだ感想を付箋

に書かせる。

・感想を書いた付箋を、友だちのワークシー

トに貼らせる。

・③④の意見を基に考えさせ、きずなの意味

について自分なりの考えをもたせる。

・考えたい課題を選び、

その解決を図る。

・知識や体験と関連付け

て、自分の考えをもつ。

・感想を述べることを通

して、自分のものの見

方や考え方を広げた

り、深めたりする。

終末

(5分)

⑥ 本時の学習を振り返る。 ・本時の目標に対する自分の満足度を評価さ

せ、学んだことや次の学習の目標などを記

入させる。

・本時の学習を評価し、

次の学習の目標を立て

る。

本時のポイント

9

◎ 指導のポイント

○ 前時で出たクラスの意見をまとめて紹介しま

す。その後、それを基に作成した課題を記述した

プリント(図3)を配付します。生徒は、その中か

ら、考えたい課題を選び、文章の言葉を根拠に、

知識や体験と関連付けて自分なりに解釈したこ

とを、ワークシート③に記述します(図4)。一つ

目の課題が解けたら、次に考えたい課題にチャレ

ンジするように呼びかけます。

知識や体験と関連付けて考える手立てとしては、並

行読書で取り組んでいたことを想起させ、心惹かれる

エピソードと近い体験や見たり聞いたりしたことを書

いて理由を書こうと伝えます。

このように、考えたい課題について、自分の知識や

体験と関連付けて考えることで、主体的な読み手を育

むようにします。

○ ものの見方や考え方を

深めるために、ワークシ

ート③を友だちと交換し、

その感想を付箋に書いて

交流する場を設定します

(図5)。それを参考にし

て、きずなの意味につい

て考えさせます。

また、次の時間に、本時で考えた全員の意見をまと

めたプリントを配付し、きずなの意味について、生徒それぞれのとらえ方について確認します。

○ きずなが深いと感じられるエピソードと、知識や体験と関連付けて考え、きずなの意味をとらえ

るという評価は、ワークシート③の記述や学習の取組の様子で判断します。

○ 終末で、本時の学習を振り返り、「学習の手引き」の「学習の計画と記述」欄に、学習の満足度を

4段階で自己評価し、その理由を記述させます。また、「書く材料を集める」というような次の学習

の目標を各自が立て、学習意欲が継続していくように働きかけます。

【きずなが深い感じられるエピソードより】 課題1 父が親元から離れている私に三日にあげず手紙を

送ったのはなぜか。 課題2 母は、どんな思いで、疎開に行く子のために当時

貴重品になっていたキャラコで肌着を縫って名札をつけていたか。

課題3 疎開先で病気になった妹を家で出迎えるときに、私と弟は、かぼちゃを客間に並べたのはなぜか。

課題4 父は、疎開先から帰宅したやせた子の肩を抱き、声を上げて泣いたときは、どんな思いだったのか。

など

図3 クラスの意見を基にした課題(例)

◎あなたが考えた「きずな」の意味を書こう

課題(2) 課題

きずなが深いと感じられるエピソードについて考えよう

当時、貴重品になっていたキャラコで縫うと

いう表現から、子の無事を願う母の気持ちが

伝わってくる。時代は違うが、試合前に、ユ

ニホームに背番号を付ける親の姿と重なる。

ともに、子を思う母の思いが描かれている。

選んだエピソードと近い体験談や見たり聞

いたりしたことを書こう

友だちの感想

図4 ワークシート③ (例)

相手を思いやること

付箋

図5 付箋を使った交流 (例)

10

【第4時の目標】

きずなをテーマにした意見文を書くための材料を集めることができる。

【第4時の展開】 (4/6)

準備物:「学習の手引き」、クラスの意見をまとめたプリント、ワークシート④、付箋、モデル文

過程 学習活動 教師からの働きかけ

指導上の留意点 言語活動の充実に向けて

導入

(5分)

① 前時の学習を振り返り、本時

の学習目標とその流れを確認

する。

・前時の生徒の自己評価の記述を紹介し、本

時の学習目標「書く材料を集めよう」と学

習の流れを確認する。

・前時で出た意見をまとめたプリントを配付

し、それぞれがとらえているきずなの意味

を確認する。

・本時の学習目標を自覚

して、学習に取り組む。

展開

(40分)

10分

30分

② 書く材料の集め方を知る。

③ 次のア~ウについて、ワーク

シート④や3色の付箋に書く。

ア 気に入った資料の中から、深

いきずなが描かれていると感

じられるエピソード

(青色の付箋)

イ アに近い体験談

(黄色の付箋)

ウ きずなの内容

(赤色の付箋)

・予め自分が書きたいきずなのテーマを決め

させておく。

(例 「友だち」「先輩と後輩」「家族」「ペ

ット」「地域」「お世話になった人」など)

・書く材料の集め方については、3色の画用

紙を使って、書く内容ごとに整理する例を

示し、イメージさせる。

(青色・・・気に入った資料のエピソード)

(黄色・・・体験談)

(赤色・・・きずなの内容)

・資料については、並行読書で読んだ本や教

科書教材「字のない葉書」を利用させる。

・書き留めてきた並行読書プリントやワーク

シートを利用させる。

・イについて書かせる際には、5W1Hを活

用して簡潔にワークシートに書かせる。

・体験談が書けない場合は、見たり聞いたり

したことや、創作を加えて書いてもよいと

伝える。

・書くイメージができない生徒には、モデル

文を参考にさせる。

・ワークシートに記述させた後、それぞれの

内容を要約させ、付箋に書かせる。

・付箋に記述した内容に統一性があるかどう

かを確認させるために、友だちと検討さ

せ、加筆修正させる。

・気に入った資料のエピ

ソードから書く材料を

集める。

・読んだ資料と関連した

体験談を挙げる。

・習得した知識や技能を

活用する。

・書く材料がテーマに適

しているか検討し、自

分の考えを確かめる。

終末

(5分)

④ 本時の学習を振り返る。 ・本時の目標に対する自分の満足度を評価さ

せ、学んだことや次の学習の目標などを記

入させる。

・本時の学習を評価し、

次の学習の目標を立て

る。

本時のポイント

11

◎ 指導のポイント

○ 主体的に書く態度を育むために、自分が紹介したいテーマを選ばせ、気に入ったエピソードから

書く材料を集めるようにします。

○ 書く材料を集める際には、図6のワークシート④を使います。

自分の体験談の欄には、習得している「5W

1H」を活用させて、具体的に記述する手立て

を講じます。

○ 自分の考えの妥当性を検討するために、ワー

クシート④の記述を要約した内容を、付箋に記

述します(図7)。それを基に、友だちと交流す

る場を設けます。その進め方については、ア~

イの手順で行います。

ア 気に入った資料のエピソードと体験談が

関連しているかを確かめ、分からないと

ころ、教えてほしいところ、感心したと

ころなどを伝える。

イ 友だちの意見を聞いて、ワークシートの

記述を加筆修正する。

このように、交流しながら、書く材料がテー

マにふさわしいかどうか検討させていきます。

〇 本時で使った付箋は、文章構成を考える際に活用します。

○ きずなをテーマにした意見文を書くための材料を集めるという評価は、ワークシート④や付箋の

記述、学習の取組の様子から判断します。

○ 終末で、本時の学習を振り返り、「学習の手引き」の「学習の計画と記述」欄に、学習の満足度を

4段階で自己評価し、その理由を記述させます。また、「きずなをテーマにした文章を書く」という

ような次の目標を各自が立て、学習意欲が継続していくように働きかけます。

体験談 気に入った資料

のエピソード

エピソードを書こう

どんなきずなが描かれて

いるかを書こう

図6 ワークシート④ (例)

青色の

付箋

黄色の

付箋

赤色の

付箋

赤色の

付箋

図7 書く材料(例)

12

【第5時の目標】

きずなについて、読み手に分かりやすい意見文を書くことができる。

【第5時の展開】 (5/6)

準備物:学習の手引き、原稿用紙、モデル文

過程 学習活動 教師からの働きかけ

指導上の留意点 言語活動の充実に向けて

導入

(5分)

① 前時の学習を振り返り、本時

の学習の目標と学習の流れを

確認する。

・前時の生徒の自己評価の記述を紹介し、本

時の学習目標「分かりやすい意見文を書こ

う」と学習の流れを確認する。

・本時の学習目標を自覚

して、学習に取り組む。

展開

(40分)

10分

30分

② 文章構成や、表現の仕方につ

いて考える。

③ きずなについての文章を書

く。

・今まで学習してきた「頭括型」「尾括型」「双

括型」といった文章構成の形式を確認さ

せ、使いたい文章構成の型を決めさせる。

・決まり次第、前時で書いた付箋を書く順番

に並び替える。

・今まで学習してきた分かりやすい表現の仕

方を確認させる。

例 事実と意見を区別する文末表現

順序を表す言葉

会話文や情景描写の効果

・前時のワークシートを参考に、原稿用紙2

枚に書かせる。

(字数 600字以上、800字以内)

・使いたい表現の仕方を活用して書くように

させる。

・よりよい文章を書くために、「評価の基準」

に応じた支援の手立てを基に、助言する。

・書きイメージがもてない生徒は、モデル文

を参考にさせる。

・習得した知識や技能を

活用して、自分の考え

を書く。

終末

(5分)

④ 本時の学習を振り返る。 ・本時の目標に対する自分の満足度を評価さ

せ、学んだことや次の学習の目標などを記

入させる。また、聞きたいテーマについて

の希望も記入させる。

・本時の学習を評価し、

次の学習の目標を立て

る。

本時のポイント

13

◎ 指導のポイント

○ 論理的で分かりやすい文章を書くために、文章構成や表現の仕方について確認します。すでに説明文で学習した「頭括型」「尾括型」「双括型」といった文章構成の型や、今まで学習してきた筆者の表現の仕方から、使いたい型や表現の仕方を活用して記述させます。

○ 学習目標を達成させるために、下の「評価の基準」に基づいて支援の手立てを講じていきます。

○ きずなについて、読み手に分かりやすい意見文を書くという評価は、「評価の基準」を基に、原稿

用紙の記述や学習の取組で判断します。

○ 終末で、本時の学習を振り返り、「学習の手引き」の「学習の計画と記述」欄に、学習の満足度を4段階で自己評価し、その理由を記述させます。また、「自分が書いた文章を友だちに紹介する」というような次の目標を各自が立て、学習意欲が継続していくように働きかけます。

■評価の観点 国語への関心・意欲・態度 書く能力 (記述) 読む能力 (自分の考えの形成) ○ 次の条件を満たして書いている。 ① 気に入った資料のエピソードを挙げる。 ② 気に入った資料のエピソードと関連した体験談を挙げる。 ③ ①②を基に、習得した文章構成や表現の仕方を活用して、きずなについて考えたことを述べる。 ④ 600字以上、800字以内でまとめる。

○ 「評価の基準」 尺度 評価の基準

4 書く条件①~④を満たし、会話文や情景描写を取り入れて書いている。

3 書く条件①~④を満たして書いている。

2 書く条件①~③を満たしている。

1 上記以外のもの。

○ 支援の手立て 尺度 支援の手立て

4 条件①、②、③、④を満たして、会話文や情景描写を取り入れて記述しているもの ※ 書いた文章を推敲させます。

条件①、②、③、④を満たして記述しているもの

※ 心に響く文章を書くために、会話文や情景描写を取り入れて書くように助言します。 分かりやすい文章にするために、順序を表す言葉や文末表現など使っているかを確認させます。

条件①、②、③を満たし、条件④を満たさない記述をしているもの

・「きずなは大事だ」とのみ書き、自分なりに考えたきずなの意味や感じたことを書いていない場合

※ 考えの主張が十分でないと考えられます。気に入った資料のエピソードと体験談等の共通点について考えさせたり、

それらを通して伝えたいことは何か考えさせたりして、きずなが感じられる理由について考えさせます。

・気に入った資料のエピソード、あるいは体験談のみを書いている場合 ※ 自分の考えを支える具体例や書く材料を挙げることが十分でないと考えられます。ワークシート③を振り返らせ、気

に入った資料のエピソードや体験談などから考えたきずなは何かを考えさせます。また、体験談などを詳しく書くに当

たっては、「5W1H」を確認し、どこを書き膨らませたらよいかについて助言します。

上記以外のもの

※ 次の(ア)~(オ)を視点に助言します。

(ア) モデル文や友だちの文章を紹介して書くイメージをもたせます。 (イ) 生活していく上できずなは必要であるかどうか確認し、そこから、その理由を考えさせ、きずなの意味や自分の文

章の結論を考えさせます。

(ウ) 結論にふさわしい例を考えさせます。その際、きずなをテーマにした短編の文章を紹介し、その内容に近い日常の 出来事や体験談、それに近いことなどを挙げさせます。あるいは、好きなドラマや歌詞、興味・関心のあるものと、

自分とのつながりなどを考えさせて、その内容を挙げさせます。

(エ) 文章構成の型を教えます。 (オ) 書き出しを具体的に教えます。

14

(3) 第3次の展開

【第6時の目標】

紹介した文章を評価し合い、学習したことを振り返ることができる。

【第6時の展開】 (6/6)

準備物:「学習の手引き」、テーマをまとめたプリント、ワークシート⑤(マス目評価シート)

過程 学習活動 教師からの働きかけ

指導上の留意点 言語活動の充実に向けて

導入

(5分)

① 前時の学習を振り返り、本時

の学習の目標と学習の流れを

確認する。

・前時の生徒の自己評価の記述を紹介し、本

時の学習目標「友だちの意見文を読み合お

う」と学習の流れを確認する。

・クラス全員のテーマをまとめたものと、聞

きたいテーマを基にしたグループを記し

たプリントを配付する。

・本時の学習目標を自覚

して、学習に取り組む。

展開

(40分)

15分

15分

10分

② ペアで書いた文章を読み合

い、推敲する。

③ 各グループのごとに意見文

を紹介し、評価する。

④ 単元で学習したことを振り

返る。

・「評価の基準」を基に、友だちの意見文を

読み、書く条件に満たしているかを確認す

る。また、読んだ感想を述べ合い、加筆修

正する。

・事前アンケートを基に、聞きたいテーマを

基にしたグループで編成しておく。

・聞いている人は、「評価の基準」を基に、

よかったところ、参考になるところ、アド

バイスするところを、60字以上、80字以内

でワークシート⑤に書かせる。

・きずなについて考えたことや分かりやすい

書き方について分かったことを、60字以

上、80字以内でワークシート⑤に記述さ

せ、それを基に意見を交流させる。

・後日、クラス全員の話をまとめた文集を作

成し、朝の会や国語の時間を利用して、聞

けなかった話を紹介する。

・「評価の基準」を基に、

互いに評価し合う。

・今後の学習や生活に生

せることについて考え

終末

(5分)

⑤ 本時の学習を振り返り、実生

活に生かせることについて考

える。

・本時の目標に対する自分の満足度を評価さ

せ、学んだことや今後の学習目標を記入さ

せる。

・本時の学習を評価し、

今後の学習目標を立て

る。

本時のポイント

15

◎ 指導のポイント

○ 「評価の基準」を参考に生徒同士で書いた文章を評価し合うことによって、生徒はどのような力

を付けることができたかということを、自分たちで確認することができます。

○ 各グループでは、「評価の

基準」を基に、相手のよいと

ころ、参考になるところ、ア

ドバイスするところをワーク

シート⑤(図8)に書いて、伝

え合う活動を行います。その

後、友だちの意見を参考に、

きずなについて考えたこと、

書き方に分かったことも記述

します。

このような活動は、きずな

についての考えを深めたり、

書き方についても再度確認し

たりすることができます。また、制限字数を設けたマス目評価シートに記述することは、要約する

力の向上につながります。

○ 紹介した文章を評価し合い、学習したことを振り返るという評価は、ワークシート⑤の記述や学

習の取組の様子で判断します。

○ 終末で、本時の学習を振り返り、「学習の手引き」の「学習の計画と記述」欄に、学習の満足度を

4段階で自己評価し、その理由を記述させます。また、本時で出た意見を参考にして新たに考えた

ことや分かったこと等を書かせ、学習意欲が継続していくようにします。

○ 生徒が書いた作品を集め、「深い話集」(文集)にし、朝の会や国語の授業の始めの時間を使い、全

員の話を紹介します。そうすることにより、互いのよいところを発見したり、習得した知識や技術

を再認識したり、きずなについての考えを深めたりして、単元で学習したことを発展させていきま

す。

友だちの意見文を読んで、よかったところ、参

考になるところ、アドバイスするところを、六十

字以上、八十字以内で書こう。

図8 ワークシート⑤(マス目評価シート) (例)

六十字以上、八十字以内

○(

)さんの意見文

○(

)さんの意見文

きずなについて考えたことや、書き方につい

て分かったことを、六十字以上、八十字以内で

書こう。 六

十字以上、八十字以内

16

11 資料

(1) 「学習の手引き」

17

(2) モデル文