研 研 究究究 紀紀紀 要要...- 5 - 学年単位での授業研究 ëì ë'³i Ûcn...

36
平成 平成 平成 平成23 23 23 23年度 年度 年度 年度 研 究 紀 要 第6号 広島県立福山特別支援学校 広島県立福山特別支援学校 広島県立福山特別支援学校 広島県立福山特別支援学校

Upload: others

Post on 20-Jul-2020

2 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 研 研 究究究 紀紀紀 要要...- 5 - 学年単位での授業研究 ëì ë'³I ÛCn ¹´C n í ¿¤¥ I 2JKLM NOéê uv . NOjk < ¸5 ¹ºCn 'NO»C »¼½ g¾¿ 校内授業研究

平成平成平成平成23232323年度年度年度年度

研研研研 究究究究 紀紀紀紀 要要要要 第6号

広島県立福山特別支援学校広島県立福山特別支援学校広島県立福山特別支援学校広島県立福山特別支援学校

Page 2: 研 研 究究究 紀紀紀 要要...- 5 - 学年単位での授業研究 ëì ë'³I ÛCn ¹´C n í ¿¤¥ I 2JKLM NOéê uv . NOjk < ¸5 ¹ºCn 'NO»C »¼½ g¾¿ 校内授業研究

- 1 -

はじめに

本校では,「児童生徒が自己の持つ能力や可能性を最大限に伸ばし,自立し,社会参加するための『生きる力』を育てる」のミッションのもと,次のビジョンに基づきながら教育活動を展開してまいりました。 (1) 特別支援教育における専門性を確立し,児童生徒の障害の重度・重複・多様化に対応した,魅力ある教育内容を創造する。 (2) 地域の特別支援学校として特色ある教育活動を展開し,地域・幼小中学校・高等学校等に向けてセンター的役割を果たす。 (3) 学校教育の中立性・公開性をもとに,開かれた学校づくりを目指し,児童生徒・保護者・地域に信頼される学校を構築する。 特に教育内容の創造につきましては,平成23年度の授業研究のテーマを平成22年度に引き続き,「自立活動を基底にすえた,児童生徒一人一人のニーズに応える教育内容の創造及び実践へ向けて」,「仮説 ~児童生徒の実態に沿った個々の支援や,工夫された教材及び支援具等の活用によって,児童生徒は生き生きと学習活動に臨むことができるであろう~」を設定し,取り組んできたところです。 そうした本年度の研究をまとめた研究紀要第6号を発刊しました。つたないまとめではありますが,皆様から忌憚のないご意見やご指導を賜りますようお願いいたします。

平成24年3月

広島県立福山特別支援学校 校 長 佐 藤 光

Page 3: 研 研 究究究 紀紀紀 要要...- 5 - 学年単位での授業研究 ëì ë'³I ÛCn ¹´C n í ¿¤¥ I 2JKLM NOéê uv . NOjk < ¸5 ¹ºCn 'NO»C »¼½ g¾¿ 校内授業研究

- 2 -

目目目目 次次次次 はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 目次 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 1 授業研究について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 2 摂食指導について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16 3 自立活動研修について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21

4 感染対策の基本について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26 5 寄宿舎の取組みについて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27

6 教職員研修について一覧・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33

編集後記 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35

Page 4: 研 研 究究究 紀紀紀 要要...- 5 - 学年単位での授業研究 ëì ë'³I ÛCn ¹´C n í ¿¤¥ I 2JKLM NOéê uv . NOjk < ¸5 ¹ºCn 'NO»C »¼½ g¾¿ 校内授業研究

- 3 -

1111 授業研究授業研究授業研究授業研究についてについてについてについて

平成平成平成平成23232323年度年度年度年度 福山特別支援学校福山特別支援学校福山特別支援学校福山特別支援学校「「「「授業研究全体計画授業研究全体計画授業研究全体計画授業研究全体計画」」」」 教育企画部

〈〈〈〈昨年度昨年度昨年度昨年度のののの成果成果成果成果〉〉〉〉 ・授業評価表を活用して,授業後の反省会を行うことでテーマを全職員が意識するようになった。また,個々の目標を達成するために適切な支援をしているか,個々の実態に応じた適切な教材・教具や支援具等を活用しているかを具体的に考えるようになった。 ・テーマを継続することによって,学習指導案の活動設定の理由が,自立活動の6区分(健康の保持・心理的な安定・人間関係の形成・環境の把握・身体の動き・コミュニケーション)をふまえた, しかも,それらを相互に関連をもたせたものになってきた。また,肢体不自由教育の観点からも,記述するようになってきた。 ・学校生活の中で,児童・生徒にその状況に応じた適切な姿勢をとらせたり,支援具を作ったりする意識が高まり,そのための具体的な支援が行われるようになった。 〈〈〈〈今年度今年度今年度今年度のののの方向性方向性方向性方向性〉〉〉〉 ☆ 長期的な計画を持った取り組み 児童生徒の社会参加を創造し,自立し社会参加を目指す児童生徒像を確立する。それに向けて日々行っている個々の取り組みのねらいを明らかにする。 ☆ 学校として系統性を持った取り組み 全校での指導案の検討会・授業の相互の参観等で,ティームティーチング力の向上,授業の方向性の相互理解や相互指摘に努める。 ☆ 指導案の様式について 今後も継続してよりよい自立活動の指導案の様式について研究を進めていく。 ☆ 今年度の授業研究のあり方 児童生徒の実態から自立活動が本校教育の中心課題であることは変わらない。昨年度の授業研究を行ってきたことで,自立活動の内容(6区分26項目)を意識した授業が出来つつある。その成果を継続していくことが重要であると考え,今年度の授業研究は,テーマを含め昨年度を継続し,仮説を検証してさらに深化させていきたい。また, 多種の教育課程も存在しているので,今後は児童生徒の実態に合わせた教科の授業研究も探求していく必要性もある。

Page 5: 研 研 究究究 紀紀紀 要要...- 5 - 学年単位での授業研究 ëì ë'³I ÛCn ¹´C n í ¿¤¥ I 2JKLM NOéê uv . NOjk < ¸5 ¹ºCn 'NO»C »¼½ g¾¿ 校内授業研究

- 4 -

学年単位での授業研究 校内授業研究

福山特別支援学校福山特別支援学校福山特別支援学校福山特別支援学校「「「「授業研究全体計画授業研究全体計画授業研究全体計画授業研究全体計画」」」」 研究テーマ 「自立活動を基底にすえた,児童生徒ひとり一人のニーズに応える教育内容の創造,及び実践へ向けて。」 仮説~児童生徒の実態に沿った個々の支援や工夫された教材及び支援具等の活用によって児童生徒は生き生きと学習活動に臨むことができるであろう~ 仮説テーマを授業評価表に項目を入れることによって,検証する。 授業参観者は評価表を元に参観し,気づき等を記入して指導者に渡す。 研究における基本的な考え方 研究方法 ☆年間一人1回の学年単位での授業研究を行う。(他学年の授業見学,意見交換も可) ☆ 1学部につき,1回の学部単位での授業研究を実施する。 (指導案の全体検討・学部間の授業見学、意見交換等も行う) ☆ 公開授業として,研究授業を実施し研究協議を行い,テーマに沿った公開授業研究会を実施する。(公開)

福山特別支援学校福山特別支援学校福山特別支援学校福山特別支援学校「「「「授業研究全体計画授業研究全体計画授業研究全体計画授業研究全体計画」」」」作成作成作成作成にあたってのにあたってのにあたってのにあたっての基本方針基本方針基本方針基本方針 1. 児童生徒の実態把握の再検証を行い,課題設定を行う。 2. 研究テーマに基づき,授業内容の創造・実践を行う。 3. 校内授業研究の指導案検討を自立活動の実践研究として全体会で行う。論点を活動設定の理由(こういう児童・生徒だから,こういう活動・学習内容を用意し,こう指導する)及び,それが本時の授業内容と整合性があるか,に絞る。各学部の実践報告と学部間の系統性を形成し進路保障につなげる。 4. 授業研究を「仮説 検証型」として行い,年度末に各学部で個々の実践をもとに,仮説の検証・学部目標等も含め,教育反省を行う。

公開授業研究会

Page 6: 研 研 究究究 紀紀紀 要要...- 5 - 学年単位での授業研究 ëì ë'³I ÛCn ¹´C n í ¿¤¥ I 2JKLM NOéê uv . NOjk < ¸5 ¹ºCn 'NO»C »¼½ g¾¿ 校内授業研究

- 5 -

学年単位学年単位学年単位学年単位でのでのでのでの授業研究授業研究授業研究授業研究 ・6月~2月の間で,各学年(一部学年合同)単位で,指導案検討,授業反省を中心とした授業研究を行なう。(他学年の授業見学,意見交換も可)

校内授業研究校内授業研究校内授業研究校内授業研究 日時 9月26日(月) 高等部 講師 広島大学大学院 教育学研究科教授 木舩 憲幸 先生 10月17日(月) 小学部 講師 広島大学大学院 教育学研究科教授 木舩 憲幸 先生 11月29日(火) 中学部 講師 福岡教育大学 大江 啓賢 先生 ・学部2単位時間を公開,校内全教職員公開

公開授業研究会公開授業研究会公開授業研究会公開授業研究会 日時 1月27日(金)

授業1週間前の学年会で指導案検討 全体計画に基づき,年間計画作成。(○月に,○○が研究授業) 年間計画に基づき,1ヶ月ごとに授業日を調整,決定。 (○日○時間目に,○○が研究授業)

研究授業実施 学年会で意見交換,反省会。 まとめを行い,授業案と一緒にファイル

全体計画に基づき,年間計画作成。(授業者決定) 授業実施2週間前の学部会で指導案検討。 授業実施1週間前,指導案配布・全体検討 研究授業実施。(学年状況を考えながら研究授業へ参加する。) 研究授業実施後,全体会で意見交換,反省。 まとめを行い,授業案と一緒にファイル。

Page 7: 研 研 究究究 紀紀紀 要要...- 5 - 学年単位での授業研究 ëì ë'³I ÛCn ¹´C n í ¿¤¥ I 2JKLM NOéê uv . NOjk < ¸5 ¹ºCn 'NO»C »¼½ g¾¿ 校内授業研究

- 6 -

校内授業研究校内授業研究校内授業研究校内授業研究 期 日 平成23 年 9月26日(月) 教科領域/単元 高等部 1学年2組(Ⅱ類型) 林 美則 作業学習「陶芸をしよう」 1学年1組(Ⅰ類型) 菅 修悟 数学基礎「社会生活と数学」 助 言 者 広島大学大学院 教育学研究科 教授 木舩 憲幸 先生 学部・学年・学級 高等部1年2組(Ⅱ類型),高等部 1年 1組(Ⅰ類型)

指 導 内 容 ・課 題

1.作業学習「陶芸をしよう」 〈授業者より〉 週明けは本人にとってしんどいがよく頑張っていた。これまでの積み重ねで本人も取り組みができており,自分からアピールする場面もあった。彼への実態把握が不十分なところがあり授業をするごとに教材が作られていく。本人が楽しいと思える発見ができたことがよかった。粘土をたたく角度,ダイナミックな動きが課題である。 〈質問,意見など〉 ・ T1 と T2 の連携,役割が明確にできている。目と手の共応ができている。「ストップ」の声を待ってスイッチを押すなど安全の指導ができている。何か視覚的な部分で本人が判断できれば良いのではないか。筆をコントロールできたら良いと思う。 →安全に対する指導は毎回している。前進・後退を分かりやすくしたい。授業のたびに支援具が増え,細かい作業や力のコントロールができるようになってきた。 ・支援具があって良かった。 2.数学基礎「社会生活と数学」 〈授業者より〉 A 君について,左側を意識させるよう取り組んでいる。普通サイズの文字がマスの中に書けるよう授業の中で取り組んでいる。個に応じたプリント作り,二人の授業をどう展開していけば良いのかが課題である。 〈質問,意見など〉 ・学力の差があって大変だと思った。プリントは書く場所が明確で視覚的支援がなされていた。内容的に難しいところはないのか。 →教科書の中身は同じで現代に置き換えている。ローン,障害者割引,奨学金制度など生活や将来につなげて考えていくことができれば良いと思う。 3.指導助言 〈〈〈〈林先生林先生林先生林先生のののの授業授業授業授業についてについてについてについて〉〉〉〉 ・6区分26項目に当てはめて実態把握をしていく必要がある。本人は左手を使うのでどうにかして右手を使えないものか。まずは置いておくだけ→支える→両手を使うようにしていく。 ・車椅子の角度調節もできれば良い。特に膝と腰の部分。できないのであれば背中に何かつめる。それと机の位置が高いので台の工夫が必要。そうすることで力の入れ方が変わる。 ・本人は授業全体の見通しができている。また、次の作業について本人が分かっているかもしれないので,教員が先にセッティングせず,彼自身に流れを作らせる。判断ができなければ教員がする。必要な手順や支援を本人が理解できるように指導していくことが大切である。 ・卒業後,生活に見通しがもてるかどうかが重要になると思う。次の課題にしてはどうか。 〈〈〈〈菅先生菅先生菅先生菅先生のののの授業授業授業授業についてについてについてについて〉〉〉〉 ・準ずる教育によりできれば教科はきちんとやっていただきたい。 ・全体的な見通しがあるか。B 君はある程度分かっているが,A 君は分かっているのか。 ・あの二人が一緒に授業をするのは難しいと思う。A 君は細かいことを一つ一つおさえていかないといけないがそうすると全体に結びつかない。また左側空間無視もあり,両手を使うのは難しいが全体を教えようとしたら細かいことは言えない。工夫の範囲を超えた困難がある。

Page 8: 研 研 究究究 紀紀紀 要要...- 5 - 学年単位での授業研究 ëì ë'³I ÛCn ¹´C n í ¿¤¥ I 2JKLM NOéê uv . NOjk < ¸5 ¹ºCn 'NO»C »¼½ g¾¿ 校内授業研究

- 7 -

期 日 平成23 年 10月17日(月) 教科領域/単元 小学部 2学年1組 田頭久美子 自立活動(からだ)「たのしくからだをうごかそう」 4学年2組 柳井 寿郎 自立活動(からだ)「サーキット うんどうを しよう」 助 言 者 広島大学大学院 教育学研究科 教授 木舩 憲幸 先生 学部・学年・学級 小学部2年1組(Ⅲ類型),小学部4年2組(Ⅲ類型)

指 導 内 容 ・課 題

1.自立活動(からだ)「たのしくからだをうごかそう」 〈授業者より〉 児童の状況が多少変わり,指導内容に「横転・腹筋」を加えた。手足の感覚が過敏な児童がいるが,これまでの繰り返しの学習で以前に比べると過敏さが和らいだように思う。 〈質問,意見など〉 ・過敏だった児童がそれらの活動を受け入れ,慣れてきた工夫は何ですか? →昨年からの繰り返しの活動。また、気分が和らぐよう言葉掛けも工夫をしている。児童のさわり方も児童の反応を見ながら、徐々に進めた。 ・本時の体操以外, 何か行っている体操はありますか? →「モーニングストレッチ」,「できるかな体操」 曲と時間を合わせパターン化することで,児童が見通しを持って活動できるように進めている。 2.自立活動(からだ)「サーキット うんどうを しよう」 〈授業者より〉 児童3人とも周りの様子が気になりながらも,それぞれのねらい達成に向け一生懸命がんばってくれた。結果,ねらいの達成は授業終了後,片付けの際に3人とも自発的な動きが見られたように思う。 〈質問,意見など〉 ・マット等で『山』を作っていたのですが,これはいくつかの段階を経て,この度の『山』なのか?また山の位置が危険ではないのか?と思ったのだが,その辺りはどうか? →初めはフラットな状態で活動をしていた。そして,次の段階が今回の『山』。安全面は何度か活動を繰り返し,試した結果が今日の位置。今後も安全面には十分に留意しながら活動していきたいと思う。 ・活動の最後に,児童たちは自発的に動けていたように思うが,そのために先生が工夫されたことは何か? →雰囲気作りとことばかけ。 3.指導助言 〈〈〈〈田頭田頭田頭田頭先生先生先生先生のののの授業授業授業授業についてについてについてについて〉〉〉〉 ・『動く』or『動かす』児童の実態から『動かす』方が多くなるのは仕方がないと思うが,支援方法を工夫し自発的な動きを出すよう,実態把握をしっかりする必要がある。また,それぞれの課題差が大きいため,課題別グループ等での活動も考えてもよいかもしれない。 〈〈〈〈柳井柳井柳井柳井先生先生先生先生のののの授業授業授業授業についてについてについてについて〉〉〉〉 ・自立活動「からだ」の授業ではあるが,自立活動であるため,すべての側面からのアプローチがあってこの授業が成立する。自立活動では『調和的発達』を目指す。「自分で進んで身体を動かす」ために,6区分すべてにおいてどのようなアプローチが必要か指導案に書き込み授業を進める必要がある。『相互関連を大事にした支援が必要である』とことを強調しておきたい。

Page 9: 研 研 究究究 紀紀紀 要要...- 5 - 学年単位での授業研究 ëì ë'³I ÛCn ¹´C n í ¿¤¥ I 2JKLM NOéê uv . NOjk < ¸5 ¹ºCn 'NO»C »¼½ g¾¿ 校内授業研究

- 8 -

期 日 平成23 年 11月29日(火) 教科領域/単元

中学部 2学年3組 山上 忍 自立活動(自然・かんかく)「触ってみよう~もちきびできび団子を作ろう」 2学年4組 西 祐子 自立活動(自然・かんかく)「感じて描こう~クリスマスツリー」 助 言 者 福岡教育大学 特別支援教育講座 講師 大江 啓賢 先生 学部・学年・学級 中学部2年3組(Ⅲ類型),中学部2年4組(Ⅲ類型)

指 導 内 容 ・課 題

1.自立活動(自然・かんかく)「触ってみよう~もちきびできび団子を作ろう」 〈授業者より〉 ・3人中1人Aが欠席。緊張はあったが落ち着いた感じで授業ができた。 ・Bは嫌がると思っていたが落ち着いて触り感じることができた。 ・Cは眠気が強いことが多いが今日はしっかり触り,楽しんだり嫌がったりの意思表示をし,教員とやりとりできた。 〈質問,意見など〉・指導案の配置図とB,Cの位置が違っていたのでは? →Cが寝ていたら指導案の位置で覚醒レベルを上げる予定だったが,今日の様子だと日常のBとCの定位置のままでいいと考えた。 ・体側を伸ばすとは? →右側の側わんによる姿勢の崩れを伸ばすということ。曲がっている部分を伸ばすという方が良い。 2.自立活動(自然・かんかく)「感じて描こう~クリスマスツリー」 〈授業者より〉 ・直前までやる気を見せていたが,授業が始まると手が動かずあまり気分がのってこなかった。 ・カードの選択は普段よりよく選んだ。 ・Aはいつもほどの勢いはなかったが,授業が終わって達成感はあったようだった。 ・Bはいまひとつ元気がなく,授業が終わって達成感もいまひとつといった感じだった。 〈質問,意見など〉・二人の成長を感じた。待っている生徒の活動や位置の工夫が必要。 ・作業量の多さを生徒を信じてよく励まされ続けたし,生徒の自発的な動きを大切にされていて良かった。疲れたらローラーを使ってはどうか? →ローラーは持つことが難しい。筆の抵抗感で「書いた」と感じてほしかった。 ・A,B同じ手だてで良いか?言葉掛けは違って当然だが手だては同じではないと思う。 3.指導助言 〈〈〈〈山上先生山上先生山上先生山上先生のののの授業授業授業授業についてについてについてについて〉〉〉〉 ・指導案にコミュニケーションについての評価があるといい。 ・指導案の大きな目標の中にあって,個々の実態により異なった目標がでてくる。 〈〈〈〈西先生西先生西先生西先生のののの授業授業授業授業についてについてについてについて〉〉〉〉 ・カードを選ぶとき,手の可動域や視野の位置を考えておく必要がある。 ・バレンは自分の手だけが滑るので,鍋つかみ型のものやスポンジボールを使うと抵抗がない。 ・待っている生徒をもう一方の生徒の活動が見える所に移動し,「どう?上手だと思う?」などの言葉掛けをすることで,最後まで意欲がつなげられたのではないか。 〈〈〈〈全体全体全体全体についてについてについてについて〉〉〉〉 ・車いすのブレーキをかけないで授業をするのはどうか。ブレーキのあまい車いすもあった。安全管理に気をつけるべきである。 ・座位保持いすの正しい姿勢が児童にとって楽で授業しやすい姿勢ではない。必ずしも授業に適しているとは言えない。 ・正しい姿勢が必要な生徒は,体幹部や上腕部の位置の変化により,また季節により,尻の位置が変わってくる。姿勢の崩れが緊張を誘発することもあるので,常に適切な尻の位置を決めることが大切である。

Page 10: 研 研 究究究 紀紀紀 要要...- 5 - 学年単位での授業研究 ëì ë'³I ÛCn ¹´C n í ¿¤¥ I 2JKLM NOéê uv . NOjk < ¸5 ¹ºCn 'NO»C »¼½ g¾¿ 校内授業研究

- 9 -

研究研究研究研究テーマテーマテーマテーマ

自立活動自立活動自立活動自立活動をををを基底基底基底基底にすえたにすえたにすえたにすえた,児童生徒一人一人児童生徒一人一人児童生徒一人一人児童生徒一人一人ののののニーズニーズニーズニーズにににに応応応応えるえるえるえる教育内容教育内容教育内容教育内容のののの創造及創造及創造及創造及びびびび実践実践実践実践にににに

向向向向けてけてけてけて

仮説~児童生徒の実態に沿った個々の支援や工夫された教材及び支援具等の活用によって児童生徒は生き生きと学習活動に臨むことができるであろう~

期日期日期日期日////平成平成平成平成24242424年年年年1111月月月月27272727日日日日((((金金金金))))

会場会場会場会場////広島県立福山特別支援学校広島県立福山特別支援学校広島県立福山特別支援学校広島県立福山特別支援学校

全体会全体会全体会全体会 1 14:20~ 学校長挨拶 来賓紹介 2 14:25~ 研究授業について 授業者の反省 小・高 3 14:40~ 質疑・意見交換 4 14:45~ 指導助言者より講評 広島県教育委員会特別支援教育課 指導主事 篠原 浩美 先生 5 15:00~ 休憩 6 15:10~ 講演 福岡教育大学 特別支援教育講座 講師 大江 啓賢 先生 演題 「重度重複障害児のポジショニングとコミュニケーション指導」 7 16:40~ 閉会行事 (校長謝辞)

平成平成平成平成23年度公開授業研究会要項年度公開授業研究会要項年度公開授業研究会要項年度公開授業研究会要項

9:30~10:00 受付 10:05~12:00 公開授業 小学部 2校時 10:05~10:50 3校時 11:00~11:45 中学部・高等部 2校時 10:10~11:00 3校時 11:10~12:00 12:00~13:10 昼食・休憩(小会議室) 13:10~14:10 学校概要及び研究概要説明(体育館) 14:20~16:40 全体会

Page 11: 研 研 究究究 紀紀紀 要要...- 5 - 学年単位での授業研究 ëì ë'³I ÛCn ¹´C n í ¿¤¥ I 2JKLM NOéê uv . NOjk < ¸5 ¹ºCn 'NO»C »¼½ g¾¿ 校内授業研究

- 10 -

公開授業会場一覧表 学部・学年 教科・領域 授業内容 授業者名 場所 小学部1年 自立活動 紙粘土で作ろう 松井孝子 小1-1教室 小学部3年 自立活動 楽しく身体を動かそう 伝田かおり プレイルーム 小学部4年 自立活動 揺れを楽しんだり身体を緩めたりしよう 岩神浩子 小4-3教室 小学部6年 自立活動 畑で作った白菜や大根を使って漬物を作ってみよう 清水 優 生活訓練室 中学部2年 自立活動 リラックスして体を動かそう 沖 勝志 中2-4教室 2 校 時

高等部3-1 自立活動 体を動かそう 久保優一朗 高3-1教室 小学部2年 自立活動 体を温めてリラックスしよう 水本潤子 小2-3教室 小学部5年 自立活動 体を動かそう 田辺重子 小5-1教室 中学部3年 自立活動 リラックスしよう 惠谷文雄 中3-1教室 高等部1-1 家庭基礎 健康と住まい 奥田佳子 高1-1教室 3 校 時 高等部2-3 自立活動 楽しく身体を動かそう 安原一磨 プレイルーム 来校者昼食 小会議室 学校概要・授業研究概要説明会/研究協議 体育館 ※ の授業が,研究協議の対象となります。

Page 12: 研 研 究究究 紀紀紀 要要...- 5 - 学年単位での授業研究 ëì ë'³I ÛCn ¹´C n í ¿¤¥ I 2JKLM NOéê uv . NOjk < ¸5 ¹ºCn 'NO»C »¼½ g¾¿ 校内授業研究

- 11 -

公開授業公開授業公開授業公開授業のののの研究協議研究協議研究協議研究協議 1111 授業者授業者授業者授業者のののの反省反省反省反省 <小学部3年生 伝田かおり> ・子どもたちは周りの様子を気にしながらも、よくがんばってくれたように思う。 A児・いつもどおり、笑顔もたくさんで緊張感もなかったように思う。 横転の時、笑ってくれた。回転する楽しさがわかったのかな?と思う。 バランスボールにうつ伏せで乗り,揺らしたが途中で寝返りをした。リラックスできていなかったからではないかと思う。実態把握が蜜にできていなかったと反省している。 B児・周りの様子がとっても気になり,日頃できることが滞ってしまったが,ことばかけ(応援)することで最後まで活動することができた。 C児・1つ1つ丁寧に活動を進めることができた。 ピーナッツボールは自分で足を床につけて,揺らすことができた。 トランポリンは,立って跳ぶことができた。 ・全体的な自分の反省として,過度の緊張からか,ことばかけが多かったように思う。 <<<<高等部2年生 安原一磨> ・前日に脳波の検査があり,検査の薬のため眠気が強かった。 ・覚醒状態が悪く,いつもより意思表示が少なかった。 ・装具をつけて座り込むことが危ないという認識がなかった。 ・目標が高いので,もう少し時間をかけて取り組んでいきたい。 ・本時はトランポリンをベッド代わりにしたかったようなので,トランポリンの揺れを楽しむことにした。 2222 質問質問質問質問・・・・意見意見意見意見 (小3) ・Aさんの横転の時,回転の方向が2つあるのは理由があるのか? →左周りが得意,右回りが苦手なので,どちらもできる環境を設定した。 本人に「楽な方向にあるんだよ!」ということも知って欲しいと思っている。 横転については,教室内の移動など日常生活の中でも取り入れている。 ・プレイルームの活用方法? →B児・・・プレイルームはフローリングでとても動きやすく,本人にも負担は軽く主体的に動くことができる。 C児・・・他の児童を待つ時間に,自分で動いてしまうことあるため,工夫が必要。 ・サーキット運動をこれまで64時間積んできて,子どもたちが変わった点は? →教室によって遊具が違うので,それぞれで違うが1年間ほぼ同じ活動をおこなっている。 活動としては揺さぶりの遊具を活用している。 A児・・・鼻歌を歌ったりし始めた。 サインの意味づけをこれから学習させたい。

Page 13: 研 研 究究究 紀紀紀 要要...- 5 - 学年単位での授業研究 ëì ë'³I ÛCn ¹´C n í ¿¤¥ I 2JKLM NOéê uv . NOjk < ¸5 ¹ºCn 'NO»C »¼½ g¾¿ 校内授業研究

- 12 -

B児・・・上肢を使った動きを好むが,今回は意図的にはずした。 C児・・・回転の連続ができるようになった。 3333 指導指導指導指導・・・・助言助言助言助言 (県教育委員会 特別支援教育課 指導主事 篠原浩美) <小学部3年生の授業について> 直接的な授業に対しての助言というよりは,先生自身がこれまで授業をするにあたっての思いを語られ,助言に変えられた。先生は児童生徒に授業を行うにあたり次のことをイメージしながら進められていたそうだ。 ・自分でわかって動いて欲しい。それによって,その児童生徒の表現なり活動が活発になってして欲しい。そしてその結果,元気になって欲しいとイメージしている。 ・本人が何をするべきかわかることが必要である。目標を達成した時の像を指導者間で共有することを目指していた。最終的には体力をつけて欲しい? ・安全面の確保,もしものことを絶対にイメージして環境設定を行う必要がある。 ・個々の障害を細かに把握する必要がある。この活動をどこまでしても良いものか。やってはいけないことはなにか等。 ・児童生徒が自分で動くためには,指導者はちょっと待つ時間を持つことが必要である。反応がある投げかけをしているか。先取りはしていないか?等 ・子どもがわかりやすいフィードバックが大事。教員のタイミングで授業が始まっているように思う。例えば支援機器を使って,自分でリモコンを押して活動を始めることができる。また,それらを児童生徒主体で行うことで,割を持たせることができることもあると思う。 <高等部2年生の授業について> ・CDの活用法を工夫してみては?写真の理解は日によって違うようだが,本人にとってやりやすいものなのか,分かりやすいものなのか,考えるべき。例えばボールプールは写真ではなく,ボールを直接渡したほうが分かりやすいのではないか。 ・体調が悪いなりにできる活動を考えること。それによって重点目標も変ってくる。 <全体的なことに関して> ・安全面,座り方,装具は基礎基本である。 ・子どもたちの力を伸ばせるような工夫をすること。 ・活動量は十分なのか。待たせていないか。 ・日常生活にどう結びついていくのかを考えていく。

Page 14: 研 研 究究究 紀紀紀 要要...- 5 - 学年単位での授業研究 ëì ë'³I ÛCn ¹´C n í ¿¤¥ I 2JKLM NOéê uv . NOjk < ¸5 ¹ºCn 'NO»C »¼½ g¾¿ 校内授業研究

- 13 -

HHHH23232323 年度年度年度年度 「「「「授業計画授業計画授業計画授業計画全体全体全体全体についてのまとめについてのまとめについてのまとめについてのまとめ」」」」 教育企画部 本校では毎年,学年単位での授業研究として「一人一研究授業」を行うとともに,校内授業研究や公開授業研究会を開催しており,年度末までに計画した授業研究をすべて終了した。反省や意見を集約し,成果と来年度にむけての課題を明らかにしたい。 1 研究テーマについて 本校では在籍する児童生徒の中で,いわゆる肢体不自由・知的障害等の重度・重複障害の割合が非常に高い。そうした重度重複障害のある児童生徒のニーズに応えていく上で,自立活動を基底にすえた教育活動が重要である。 そこで,昨年に引き続き,授業研究のテーマを以下のように設定し取り組んだ。 「自立活動を基底にすえた,児童生徒一人一人のニーズに応える教育内容の創造及び実践に向けて」 仮説~児童生徒の実態に沿った個々の支援や工夫された教材及び支援具等の活用によって児童生徒は生き生きと学習活動に臨むことができるであろう~ 研究における基本的な考え方に基づき,テーマに沿って自立活動を中心に授業研究を行い,研修を深めることができた。また,自立活動以外の教科・領域の活動を自立活動の 6 区分 26 項目を意識して取り組むことで,授業が自立活動を基底にした中身になってきている。 2 研究方法について (1) 学年単位での授業研究 内容・年間一人一回の授業研究を行う。 ・学年単位での指導案検討の充実。 ・教員相互の授業参観・授業反省の充実。 ここ数年,学年単位での授業研究を行う方法として「一人一研究授業」を行ってきた。 結果として実施率100%となり,学年・クラスを中心として指導案検討を行い,指導案の書き方の研修や児童・生徒について共通理解できる場となり,一定の成果を上げることができた。 しかし,依然として課題が残されている。 ・ 今年度係りとしては,『前月の15日集約』を決めていたが,次の月の行事予定が出てない時期に決めることは難しかった。来年度は,総務と連携し次の月の行事予定が出てから集約するようにする。 ・ 今年度は,初めに『何月頃研究授業を行うか』アンケートを出してもらった。すると,予想どうり,1学期は少なく 2・3 学期に集中していた。そのアンケートの希望の月ごとに再度,『日程・教科・内容・場所』等をアンケートし,それを集約して職員室の前に毎月貼り出した。しかし途中,児童生徒の状況等により変更も多くあったが,その都度修正して知らせることは出来なかった。 ・ 研究授業が2.3学期に集中する傾向がある上に延期されたものが重なって,1月に公開研究会がある上に,計画上の研究授業の終わりを1月にしていたこともあって集中(研究授業の 38%)

「自立活動を基底にすえた,児童生徒一人一人のニーズに応える教育内容の創造及び実践に向けて」 仮説~児童生徒の実態に沿った個々の支援や工夫された教材及び支援具等の活用によって児童生徒は生き生きと学習活動に臨むことができるであろう~

Page 15: 研 研 究究究 紀紀紀 要要...- 5 - 学年単位での授業研究 ëì ë'³I ÛCn ¹´C n í ¿¤¥ I 2JKLM NOéê uv . NOjk < ¸5 ¹ºCn 'NO»C »¼½ g¾¿ 校内授業研究

- 14 -

してしまった。 ・ 指導案の検討や授業後の反省を,小・中学部は学年単位で,高等部はクラス単位で行ってきたが,なかなか時間がない現状である。メンバーが揃って相互研修となるよう工夫していく必要がある。 ・ 授業参観については「授業を見に行きたいが出難い。」という声があり,再度「出易い体制を整えたりして協力してほしい。」と声かけを行っていったが,依然体制的に出難い状況は続いている。 ・ 『一人一研の授業研究の進め方について』というプリントを年度初めに配布したり,毎月の『研究授業の日程について』に手順を書いて掲示したりしたが,徹底できていなかった。 (2)校内授業研究について 内容 ・各学部,年一回の校内授業研究を行う。 ・学部間の授業参観,全校での指導案検討・反省会を実施。 ・外部から指導・助言者を招聘し,自立活動における指導・助言を受ける。 実施 9月26日(月) 高等部 講師 広島大学大学院 木舩 憲幸 先生 10月17日(月) 小学部 講師 広島大学大学院 木舩 憲幸 先生 11月29日(火) 中学部 講師 福岡教育大学 大江 啓賢 先生 各学部が年間一回の校内授業研究を行った。指導案検討を自立活動の実践研究として全体会で行い,各学部の実践報告をする中で,学部間の系統性を形成することを目標に取り組んだ。 木舩先生からは肢体不自由である本校において,どの授業においても6区分26項目に当てはめて実態把握をすることが必要であり,6区分すべてにおいてアプローチの方法を指導案に書き込み授業を進める必要があると指導助言をいただいた。大江先生からは,姿勢について座位保持椅子の正しい姿勢が児童生徒にとって楽で授業しやすい姿勢ではなく,必ずしも授業に適しているとはいえないとの指導助言をいただいた。 詳細報告は別紙の通りであり,授業者一人一人に丁寧な指導助言をしていただき,その後の授業にいかしていくことができた。 (3) 公開授業研究について 内容 ・今年度の授業研究の成果を発表する場として授業を公開し,研究協議を行う。 ・各学部から研究協議対象授業を出し,指導案の検討を行う。 参加者は本校からの教職員がほとんどであったが,小学校から2名,中学校から 1名,他の特別支援学校から 3 名,評議委員 2 名の参加があった。本年度は,従来の講演会と公開授業研究を同日開催とした。そのため,時間配分が難しく,反省会での意見交換や指導助言の時間が短くなってしまった。 公開研の時期を 3学期に持ったことで,段階的に授業の工夫ももてた。 3 成果と課題 ① テーマを継続することによって,学習指導案の活動設定の理由が,自立活動の 6 区分(健康の保持・心理的な安定・人間関係の形成・環境の把握・身体の動き・コミュニケーション)をふまえた,しかも,そ

Page 16: 研 研 究究究 紀紀紀 要要...- 5 - 学年単位での授業研究 ëì ë'³I ÛCn ¹´C n í ¿¤¥ I 2JKLM NOéê uv . NOjk < ¸5 ¹ºCn 'NO»C »¼½ g¾¿ 校内授業研究

- 15 -

れらを相互に関連をもたせたものになってきた。また,肢体不自由の観点からも,記述するようになってきた。 ここ 5年間にわたって本テーマで授業研究を行なってきて,児童生徒の実態に応じた支援や教材教具の工夫や活用が行われるようになり,一定の成果が出たと判断している。 そこで次年度から新たな学校経営計画が作成されていることを踏まえ,かつ今までの研究テーマをより具体的に教育内容として創造できるよう,次のような研究テーマを提案したい。 ② 学年単位での授業研究は,前述したような課題は多いが,自分自身の児童生徒の捉え方,指導のあり方を振り返ることになる貴重な機会であるので一人一研究授業を継続することを提案する。 内容・学年単位での指導案検討の充実。 ・教員相互の授業参観 ・授業反省会の充実 ③ 校内授業研究については,他学部の児童生徒のことをより知ることができ,学部間の系統性を形成するうえで大切な場になっているので,次年度も今年度同様に行っていく。企画部としては,各学部1クラスの授業研究にして研究協議を充実したらどうかという意見もあったが,せっかく講師を招聘して行うのだからという意見もあるので来年度も 2クラスで提案したい。 ④ 公開授業研究会については,従来通りの講演会と公開授業研究を同日開催とした。日程にゆとりをもち,反省会を充実したものにするためにも講演を別開催にする意見も例年多く出ている。一方,公開研として行うには講演もあったほうが望ましいという意見もある。来年度については,指導助言と講演を同じ先生にやっていただくなどの方法を考えながら,本年度同様の同日開催で行う方向で考えている。

「児童生徒のコミュニケーション能力を育てるための授業作りをめざして」 ~ 一人ひとりのコミュニケーション力の把握とアプローチについて ~

Page 17: 研 研 究究究 紀紀紀 要要...- 5 - 学年単位での授業研究 ëì ë'³I ÛCn ¹´C n í ¿¤¥ I 2JKLM NOéê uv . NOjk < ¸5 ¹ºCn 'NO»C »¼½ g¾¿ 校内授業研究

- 16 -

2222 摂食指導摂食指導摂食指導摂食指導についてについてについてについて 研修名 摂食指導研修 期 日 平成23年4月 15日(金) 場 所 本校プレイルーム 講師等 本校指導教諭 川口辰之進 参加者 新転任者及び希望者17名 目 的 職員の専門性向上のため

内 容

嚥下のメカニズムより 1111.... 食食食食べることのべることのべることのべることの意味意味意味意味 2222.... 摂食摂食摂食摂食ののののメカニズムメカニズムメカニズムメカニズム 1先行期…食物を認識し,摂食の準備をする。 2準備期…食物を咀嚼し,飲み込みやすい食塊にする。 3口腔期…食塊を舌の動きにより口の奥へ移動させる,鼻腔と咽頭が遮断される。 4咽頭期…食塊が咽頭から嚥下反射により食堂へ送り込まれ,咽頭は挙上し咽頭蓋が閉鎖される。 5食道期…食道に入った食塊が胃に運ばれる。上部食道括約筋が閉鎖する。 3333.... 摂食摂食摂食摂食・・・・嚥下障害嚥下障害嚥下障害嚥下障害とはとはとはとは何何何何かかかか???? 誤嚥→誤嚥性肺炎・窒息 正常な嚥下運動と誤嚥(ビデオ嚥下造影) 摂食・嚥下体験 上手に食べるということは 摂食嚥下の改善ポイント 4444.... 観察観察観察観察とととと実態把握実態把握実態把握実態把握のののの大切大切大切大切ささささ 摂食指導の実際(改善へのアプローチ) 成果と課題 摂食・嚥下のメカニズムや誤嚥などの基本的な説明でわかりやすかった。また,実技を交えての説明だったので,さらに理解が深まった。 摂食指導の基礎を学習することができたが,今後も連続して学習をする必要がある。

Page 18: 研 研 究究究 紀紀紀 要要...- 5 - 学年単位での授業研究 ëì ë'³I ÛCn ¹´C n í ¿¤¥ I 2JKLM NOéê uv . NOjk < ¸5 ¹ºCn 'NO»C »¼½ g¾¿ 校内授業研究

- 17 -

研修名 摂食指導研修 期 日 平成23年7月 4日(月) 場 所 本校プレイルーム 講師等 本校指導教諭 川口辰之進 参加者 新転任者及び希望者17名 目 的 職員の専門性向上のため

内 容

研修概要:本校では児童生徒の摂食嚥下機能に応じた形態食を提供しているが,その種類の選定については,明確な基準は無く,担任が保護者等,関係機関と協議の上,判断し決定している。本来は,児童生徒の摂食嚥下機能を明確に調査して,食物形態の 3要素の観点から,食形態を選択していくことが必要である。 今回の研修では,摂食嚥下に関る実態把握の観点を,できるだけ細かく提示することによって,日常の指導の中での実態把握力を向上させること,摂食嚥下機能から形態食が導かれていること中心的課題として研修を実施した。 1.1.1.1.実践事例実践事例実践事例実践事例 小中から 1 名ずつ,摂食指導の実際をビデオ上映しながら説明 2.2.2.2.講義講義講義講義 実態把握実態把握実態把握実態把握ののののアプローチアプローチアプローチアプローチ ①全身状態や日常生活からの観察,②摂食時の観察,③関係者からの聞き取りによって情報収集,分析判断すること。 3.3.3.3.摂食嚥下全般摂食嚥下全般摂食嚥下全般摂食嚥下全般にににに影響影響影響影響をををを及及及及ぼすものぼすものぼすものぼすもの 認知,覚醒レベル,体力,食欲,意欲,集中力,周囲環境,姿勢・体位,介助者との人間関係・手技,食物形態(粘度、凝集性、付着性など) 4.4.4.4.摂食摂食摂食摂食 5555 期期期期にににに細分化細分化細分化細分化したしたしたしたアセスメントアセスメントアセスメントアセスメント 体調,覚醒レベル,食欲・意欲,介助者との関係,感覚(視覚,味覚,嗅覚,聴覚,皮膚感覚),顎の可動域,開口量,姿勢,体位味覚,温度覚,口腔感覚,口唇閉鎖,呼吸状態,嚥下反射(惹起時間,速度,強さ,反復時間)・・・実に様々な観点から丁寧に観察して実態を把握する。 5.5.5.5.スクリーニングスクリーニングスクリーニングスクリーニングによるによるによるによる嚥下機能検査嚥下機能検査嚥下機能検査嚥下機能検査(実習) 空嚥下テスト,改訂水のみテスト,咳テスト 6.6.6.6.嚥下食選定嚥下食選定嚥下食選定嚥下食選定フローチャートフローチャートフローチャートフローチャート(試案v1.1 ) 的確な実態把握に基づき,児童生徒の摂食嚥下能力を明らかにして,形態食を選択すること。 7.7.7.7.形態食形態食形態食形態食のののの物性要素物性要素物性要素物性要素・・・・トロミトロミトロミトロミのののの意味意味意味意味-形態食の 3要素(かたさ,凝集性,付着性) 成果と課題 摂食に関する実態把握と食形態の選定を中心に,実践事例でビデオを観ながらの説明があり,続いて本校の児童生徒に適した講義内容を踏まえての実習と,さらにその実習を踏まえた嚥下食選定の方法をフローチャートで説明されていて,とてもわかりやすかった。 設定時間に対して内容が盛りだくさんだったため,時間不足になってしまった感が強い。今後は,シリーズ開催のような形で,個々の案件についてさらに一歩踏み込んだ内容の研修形態がとれれば良いと思う。

Page 19: 研 研 究究究 紀紀紀 要要...- 5 - 学年単位での授業研究 ëì ë'³I ÛCn ¹´C n í ¿¤¥ I 2JKLM NOéê uv . NOjk < ¸5 ¹ºCn 'NO»C »¼½ g¾¿ 校内授業研究

- 18 -

研修名 STによる摂食指導研修 期 日 平成23年8月3日 (水) 場 所 本校プレイルーム 講師等 県立広島大学 堀江 真由美 参加者 本校教職員 ( 53名 ) 目 的 教職員の専門性向上のため

内 容

研修概要:県立広島大学 言語聴覚士の堀江真由美先生に小学部 5年生Aさんと高等部 1年生Bさんの摂食指導に於いて指導助言をいただいた。その後,2 名の児童生徒の共有部分の援助方法を全体研修で受けた。 高等部高等部高等部高等部 1111 年年年年BBBB君君君君 課題課題課題課題:①歯磨きで,磨き残しがないようにする方法 ②エプロンにこぼさないようにどのようにすればよいか。③うがいができるようにしたいが,その方法 指導助言内容指導助言内容指導助言内容指導助言内容:・下口唇を少し下から押し上げるように援助し,口唇の閉鎖を促す。うがいも同様に,一度口の中に水をためてから出すようにする。鏡の前できれいになっているかどうか,どこに残りが多いかなどを自分でチェックをして確認する。鏡に小さく目標やチェック項目などを書いた紙等を張っておくとより効果的である。口の回りのトレーニングを行う。 小学部小学部小学部小学部5555年生年生年生年生AAAAさんさんさんさん 課題課題課題課題:①食事の時間が長くかかるので,生活のリズムを取り戻して食事をする気持ちになり,スムーズに食事ができるようになること ②お茶・牛乳のトロミの有無と量 ③口から食べ物が出てしまうことへの対策方法 ③姿勢 指導助言内容指導助言内容指導助言内容指導助言内容:・食べ始めは,好きな物や嫌いでない物から始める。トロミを緩めた物にする取組みは,早急にせず,長いスパンで嫌いでない牛乳などから始める。舌の動きは,離乳食初期の段階で,後ろから前に動くため食べた物が出る。食べ物を口に入れた時は,顎の下部分を軽く上に押し上げて口唇を閉じさせる。 実習実習実習実習 1 口唇を閉じて取り込む介助 2 口唇訓練 など 成果と課題 昨年,一昨年と2年間来ていただいて,その都度担任のみに援助方法を話していただいて,後日,指導助言内容については,部よりまとめを全教職員に配付をしていた。今回は,先生に共通部分の援助方法を全体研修で話していただいた。内容が具体的で実習もあり,非常に分かりやすかった。日々の訓練の積み重ねが大事なことも強調されたが,今後の摂食指導に個々で生かしてほしいと思いました。

Page 20: 研 研 究究究 紀紀紀 要要...- 5 - 学年単位での授業研究 ëì ë'³I ÛCn ¹´C n í ¿¤¥ I 2JKLM NOéê uv . NOjk < ¸5 ¹ºCn 'NO»C »¼½ g¾¿ 校内授業研究

- 19 -

研修名 摂食指導研修 期 日 平成 23年8月22日 場 所 食堂 講師等 坂本玲子 川口辰之進 参加者 本校職員 45名 外部参加者3名 目 的 実態に即した形態食調整の実践

内 容

<<<<学校給食学校給食学校給食学校給食とととと本校本校本校本校のののの形態食形態食形態食形態食についてについてについてについて>>>> 学習指導要領の改訂(H20.3)により総則に「学校における食育の推進」が位置付けられた。 本校としての食に関する指導に係わる全体計画を作成している。(参照 保健安全の手引き) 本校の形態食(カッター食,テリーヌ食,ペースト食) <<<<形態食形態食形態食形態食のののの取取取取りりりり組組組組みについてみについてみについてみについて>>>> H19年度までは,各教室で担任がカッター・ミルサーを使って再調理していた。 他校の視察等行い,本校で可能な形態食について導入計画を立てて順次実施。 個々に合った食形態の選定等について検討や研修をしてきている。 (全体研修,一人一研,ST による指導等) <<<<食札食札食札食札についてについてについてについて>>>> 食形態や摂取量がわかりやすいように色分け等行い,配膳しやすいよう工夫している。 <<<<実態実態実態実態にににに合合合合わせたわせたわせたわせた形態食形態食形態食形態食のののの調整調整調整調整についてについてについてについて>>>> 安全においしく食べられるように・・・・物性調整,温度,量,味の調整 <<<<体験食体験食体験食体験食についてについてについてについて>>>>(ミートボール・鮭のみそ付焼・コールスロー・肉じゃが・粥・りんごウルトラ寒天) 児童・生徒の食べ方で食べてみたり,それぞれの食感を確かめたり,他の食材と混ぜて食したりなどの工夫をしてみる。 <<<<実践報告実践報告実践報告実践報告>>>> A(カッター食)・・魚や肉などパサつくものは,ご飯と一緒にして固まりにして口に運んでいる。 T(カッター食)・・食べる意欲を引き出すように,待たせるなどの工夫をしている。 噛む練習のため口の中の飲み込みにくい場所に食べ物を入れるようにしている。 H(ペースト食)・・水分はトロミ剤を使用。しっかり覚醒して食べるように声かけをしている。 食に対する関心を持たせる為,それぞれの味が混ざらないようスプーンは別々に。 S(ペースト食)・・水分が苦手なので,おかゆは水分少しでミルサーにかけている。 ご飯の上に副食をのせて食べている。(一緒に混ぜてしまうと水分が多くなる為) 牛乳はでんぷんでトロミをつけて飲んでいる。 M(カッター食をペーストに調整)・・生徒実態により水分計量を行い,個別に形態調整している。 高カロリーのものから食べるようにしている。 <<<<体験食体験食体験食体験食のののの試食試食試食試食>>>> 食感,舌の動きによる飲み込み具合,口中調味,食塊形成の工夫。 <<<<栄養量栄養量栄養量栄養量((((エネルギーエネルギーエネルギーエネルギー))))についてについてについてについて>>>> 必要量,本校の普通食の基準,配分量,主食・牛乳・副食のエネルギー量。 <<<<そのそのそのその他他他他>>>> 摂食・嚥下機能の実態把握,日々の環境の変化や児童・生徒の体調等状況の変化への個別対応,マニュアル化の大切さ 成果と課題 ・形態食を児童・生徒の食べ方で体験することで,食べにくさや食べやすさなどを知ることができた。 ・形態食を調整しながら試食することで,より安全においしく食べるにはどうしたらよいか,考えたり工夫をしてみたりすることができた。 ・児童・生徒の日々の状況や環境の変化等に応じて,形態食を調整していくことの必要性がよくわかった。

Page 21: 研 研 究究究 紀紀紀 要要...- 5 - 学年単位での授業研究 ëì ë'³I ÛCn ¹´C n í ¿¤¥ I 2JKLM NOéê uv . NOjk < ¸5 ¹ºCn 'NO»C »¼½ g¾¿ 校内授業研究

- 20 -

研修名 摂食指導研修 期 日 平成 23年11月25日 場 所 プレイルーム 講師等 川口辰之進 穂波真佐子 参加者 本校職員 29名 目 的 誤嚥性肺炎を予防するために

内 容

1111....誤嚥誤嚥誤嚥誤嚥とはとはとはとは その定義について 誤嚥の症状の実際について 顕性誤嚥・・・・・摂食中 不顕性誤嚥・・・食後(~30分程度) その他(日中・睡眠中など) 2222....肺炎肺炎肺炎肺炎とはとはとはとは((((誤嚥誤嚥誤嚥誤嚥にににに関関関関してしてしてして)))) その定義について 原因による分類について 科学性(機械的)肺炎・・・直接気管内に異物を取り込んでしまい起きる炎症 感染性肺炎 ・・・・・病原体となる微生物(細菌・ウイルス・マイコプラズマ他)が増殖して起きる炎症 3333....誤嚥性肺炎誤嚥性肺炎誤嚥性肺炎誤嚥性肺炎とはとはとはとは 食物,液体,胃内容物または咽頭分泌物を誤嚥あるいは誤飲(気管内進入)し,咳反射などでこれを排除できないときに炎症,細菌の感染症という形で発生する。 4444....誤嚥防止誤嚥防止誤嚥防止誤嚥防止へのへのへのへのアプロアプロアプロアプローチーチーチーチについてについてについてについて 原因分析 なぜ誤嚥するのか 嚥下不良(嚥下反射・咽頭機能・口腔機能・口腔内感覚) 異物排出機能低下(咳反射・粘液繊毛運動) 目的分析 誤嚥防止のために 良好な嚥下(良好な嚥下反射・咽頭機能向上 具体的対策の例 口腔機能向上・口腔内感覚向上) 異物排出機能向上(良好な咳反射・活発な粘液繊毛運動) 5555....口腔口腔口腔口腔ケアケアケアケア、、、、呼吸呼吸呼吸呼吸ケアケアケアケア、、、、生活環境整備生活環境整備生活環境整備生活環境整備などについてなどについてなどについてなどについて DVD視聴 小4M児の取り組み 小4N児の取り組み 口腔清掃用品の紹介 成果と課題 ・誤嚥防止へのアプローチの仕方を,フローチャートでわかりやすく学ぶことができた。 ・具体的対策の例をもとに,口腔ケアや生活環境を整えることなどの大切さを学ぶことができた。 ・今後,子どもたちの免疫力や抵抗力を高めていくために何をしたらよいのか,児童の実態に応じてどんな取り組みをしていったらよいのか,研修で学んだことをもとに実践していくことが課題である。

Page 22: 研 研 究究究 紀紀紀 要要...- 5 - 学年単位での授業研究 ëì ë'³I ÛCn ¹´C n í ¿¤¥ I 2JKLM NOéê uv . NOjk < ¸5 ¹ºCn 'NO»C »¼½ g¾¿ 校内授業研究

- 21 -

3333 自立活動研修自立活動研修自立活動研修自立活動研修についてについてについてについて 研修名 自立活動研修 (車いす等について 車椅子等について,我々が知っておくべきこと) 期 日 平成23年6月10日 場 所 本校プレイルーム 講師等 本校指導教諭 川口辰之進 参加者 新転任者及び希望者(27名) 目 的 教職員の専門性の向上のため

内 容

1111....車車車車いすのいすのいすのいすのサイズサイズサイズサイズ管理管理管理管理 身体の成長や日々の体調による姿勢の変化,また,季節による衣服の厚みの変化など,それぞれの変化に応じて,車いすの状態も管理しなければならない。調整や分解清掃前には,写真を撮って,部品や位置関係を確認しておくことが望ましい。 2222....骨盤骨盤骨盤骨盤のののの位置位置位置位置 座位姿勢では腰で体を受け止めている。楽に長時間座るためには,正しい骨盤の位置を保つことが必要である。座っている間,振動や緊張などによって,骨盤が後傾や回転などして,正しい位置を保つことが難しくなる。常に骨盤の位置に気を配り,その度,直すことが大切である。 3333....長時間同一姿勢長時間同一姿勢長時間同一姿勢長時間同一姿勢のののの回避回避回避回避 長時間同一角度の座位姿勢は,同じ場所に圧力が加わり続けることになり,褥そうの原因となる。最大でも30分,できれば15分程度で姿勢の転換を図ることが必要である。また,チルトを多様して起こしたり寝かせたりすることや,車いす上で腋に手を入れて体幹を引き上げたり,左右にひねったりすることも効果的である。 4444....車車車車いすいすいすいす上上上上でのでのでのでのリラクセーションリラクセーションリラクセーションリラクセーション状態状態状態状態 「だっこ」のようなリラクセーション状態は,ふわりと受け止めているだけではなく,子どもの動きに合わせて,身体をしっかり抱きしめることで筋力を補い,座位姿勢を保持させている。安定した座位姿勢をとることによって,動作の支持面が生まれ,見つめる,声を出す,手を伸ばすなど様々な動作が育まれる。 5555....活動活動活動活動にににに応応応応じたじたじたじた姿勢姿勢姿勢姿勢 車いす上での様々な活動(活動・休息・介助など)に応じて,適切な姿勢を保持することが重要である。例えば,活動においては,テーブルをつけて身体を起こし,肩の上に頭をのせ,手を胸の前に置き,目と手の距離が30cm 以内にあることが高い活動を支える姿勢となる。休息においては,チルトやリクライニングを深く倒して,ヘッドサポートに頭を預けて仰向けになる姿勢が適切である。 成果と課題 学校生活において,児童生徒と一心同体となっている車いすの意義や機能を再確認すると同時に,使用上の留意点を学ぶことができた。毎日の授業が児童生徒にとって充実したものにするためには,車いす上での正しい姿勢の保持が必要条件となる。したがって,常に個々の児童生徒の体調の変化をよみとり,その都度,車いすの状態を管理したり,姿勢を変換させたりすることが大切である。 本研修で学んだことを日常生活で実践することによって,児童生徒のQOLの向上や,よりよい学びが児童生徒に提供できるようにしていかなければならない。

Page 23: 研 研 究究究 紀紀紀 要要...- 5 - 学年単位での授業研究 ëì ë'³I ÛCn ¹´C n í ¿¤¥ I 2JKLM NOéê uv . NOjk < ¸5 ¹ºCn 'NO»C »¼½ g¾¿ 校内授業研究

- 22 -

研修名 自立活動研修(感覚について) 期 日 平成23年7月22日 場 所 本校プレイルーム 講師等 本校指導教諭 川口辰之進 参加者 新転任者及び希望者(57名) 目 的 教職員の専門性の向上のため

内 容

1111.... 感感感感覚覚覚覚,,,,知覚知覚知覚知覚,,,,認知認知認知認知のののの定義定義定義定義についてについてについてについて 感覚…生体内の事象によって直接おこされた意識過程。 例:緑色だな,暖かいな 知覚…感覚を素材として表象が構成されること。 例:葉っぱの緑だな,お湯だな 認知…知覚から何であるかを理解すること。 例:庭のあの木の葉っぱの色だな,足湯だな ・知覚と認知とは、感覚を介して生ずる一段高次の精神現象である。 ・感覚・知覚・認知,この3点を授業の中では意識していかないといけない。 2222.... 感覚感覚感覚感覚とはとはとはとは 身体身体身体身体のののの内外内外内外内外からからからから受受受受けたけたけたけた刺激刺激刺激刺激をををを感感感感じじじじ取取取取るるるる働働働働きききき 受容器 (感覚器官)刺激を受け取る器官【目,耳,舌(味蕾),鼻(嗅細胞),皮膚,筋紡錘・・・】 適当刺激-受容器が自然の状態で選択的に受容する刺激 目⇔光,耳⇔音 閾値-反応をおこすのに必要なその作用の最小強度 弁別閾-認知できる刺激の最小差 判別性感覚と原始的感覚,感覚の順応性-早い感覚(嗅覚,触覚,圧覚・・・)と遅い感覚(痛覚,冷覚,深部感覚 ・・・) 3333 感覚感覚感覚感覚のののの種類種類種類種類 特殊感覚【視覚,聴覚,味覚,嗅覚,前庭感覚(平衡感覚)】 体性感覚【触覚,圧覚,温覚,冷覚,痛覚,位置覚,運動覚,抵抗覚,重量覚,深部痛】 内臓感覚【空腹、渇き、吐き気、内臓に起こる痛み(腹痛、頭痛・・・)】 4444.... 皮膚感覚皮膚感覚皮膚感覚皮膚感覚のののの例例例例 過敏過敏過敏過敏とととと鈍磨鈍磨鈍磨鈍磨へのへのへのへの対応対応対応対応についてについてについてについて 過敏-適切な感度へ、識別反応を高めてやる。鈍磨-知覚再教育 5555.... 実習実習実習実習 ・2点弁別閾の調査―持参して頂いたハサミを使って,体軸にそって7~8cmから始めて,どのくらいの距離で 2 点と感じるか?指先ではどうか?唇では・・・体の部位によって閾値が大きく異なることがわかる。 ・目を閉じて左右の指先を合わせてみる・・・繰り返すと学習して上手になることがわかる。 ・手をネジって組むと,言語による指示では左右が混乱して,極めて指先を動かしにくい-固有覚のかく乱 成果と課題 感覚を磨くことがなぜ大切であるのかを学んだと同時に,その重要性を再確認することができた研修だった。知覚や認知は,外部からの刺激を受け取ってこそ,高まっていくものである。知覚や認知が,感覚を介することによって生じるものであるゆえに,いかに様々な刺激を児童に体験させるかが大切となる。児童一人ひとり,どの感触がどの程度感じているか様々であるため,実態把握によって児童を理解することが必要だ。個に応じた刺激の与え方をするためにも,授業の活動内容や支援具などを工夫していきたい。

Page 24: 研 研 究究究 紀紀紀 要要...- 5 - 学年単位での授業研究 ëì ë'³I ÛCn ¹´C n í ¿¤¥ I 2JKLM NOéê uv . NOjk < ¸5 ¹ºCn 'NO»C »¼½ g¾¿ 校内授業研究

- 23 -

研修名 自立活動研修③「ムーブメントについて」 期 日 平成23年8月19日 場 所 プレイルーム 講師等 渋谷 薫 参加者 新転任者及び希望者(30名) 目 的 教職員の専門性の向上のため

内 容

1111.... 感覚感覚感覚感覚についてについてについてについて 前回の自立活動研修「感覚について」の復習をした。感覚,知覚,認知は連続性のあるものという大切なところを振り返った。 感覚の種類を,自覚しやすい五感(視覚,聴覚,味覚,触覚,嗅覚)と自覚しにくい感覚(前庭覚,個有覚)特に固有化ついては実際にやってみて理解を深めた。 2222.... 感覚統合感覚統合感覚統合感覚統合についてについてについてについて 様々な感覚刺激が脳の栄養となり,姿勢や読むこと,書くこと,手の操作の発達に繋がる。 1960~1970年代にアメリカのエアーズが学習障害などのつまずきは,脳機能のトラブルによるものだと考え,そのトラブルを感覚の調整によって改善しようしたのが,感覚統合療法である。特に自覚しにくい感覚である,前庭感覚,個有感覚,触覚を,身体を動かすことで刺激を与え,感覚情報を整理できるような発達を目的とした療育方法である。 3333.... ムーブメントムーブメントムーブメントムーブメント教育教育教育教育についてについてについてについて ムーブメント教育は,エアーズの感覚統合論に基づいた感覚統合を促す教育的アプローチのひとつである。1970年ごろスイスのフロスティッグが提唱した。その大きな理念,特徴は,身体を動かすことで運動能力をのばすだけでなく,頭や心を育てることである。最終目標は健康と幸福にある,ということだ。 日本では,和光大学教授の小林芳文が幼児と学童障害児のムーブメント教育とプログラムの開発をした。またMEPA(ムーブメント エデュケーションプログラム アセスメント)通称メパ-児童・生徒の発達プログラム作成の手がかりとなるアセスメント表を作成した。その後,メパⅡを作成。それは,メパを基に幼児,重度重複障害児のために評価内容のスモールステップ化をはかったものである。 4444.... ムーブメントムーブメントムーブメントムーブメント教育教育教育教育のののの実際実際実際実際 本校の児童が日頃行っているムーブメントプログラムを写真や動画で紹介。活動の効果について説明。 成果と課題 ムーブメント教育は本校でも自立活動(からだ)の授業の中でたくさん実践されている。身体を動かすこと,動かされることはなぜ大切なのか?ムーブメント教育の理論や児童・生徒のアセスメント方法を学んだり,本校において実践されているムーブメント教育の実践例の情報を共有したりする研修となった。児童の実態や課題を基に,どのような活動が,課題に対するアプローチとして有効であるか検討しながら授業作りをしていかなければならない。

Page 25: 研 研 究究究 紀紀紀 要要...- 5 - 学年単位での授業研究 ëì ë'³I ÛCn ¹´C n í ¿¤¥ I 2JKLM NOéê uv . NOjk < ¸5 ¹ºCn 'NO»C »¼½ g¾¿ 校内授業研究

- 24 -

研修名 自立活動研修②「自立活動の目標設定について」 期 日 平成23年11月28日 場 所 プレイルーム 講師等 本校指導教諭 川口辰之進 参加者 新転任者及び希望者(58名) 目 的 教職員の専門性の向上のため

内 容

1111.... 自立活動自立活動自立活動自立活動のののの意義意義意義意義 及及及及びびびび位置付位置付位置付位置付けけけけ 学校教育法第 72条において「特別支援学校は、~中略~準ずる教育を施すとともに、障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授けることを目的とする。」とある。つまり,小・中学校等と同様の各教科等のほかに,特に「自立活動」の領域を設定し,その指導を行うことによって,幼児児童生徒の人間としての調和のとれた育成を目指している。 2222.... 特別支援学校特別支援学校特別支援学校特別支援学校におけるにおけるにおけるにおける目標設定目標設定目標設定目標設定のののの難難難難しさについてしさについてしさについてしさについて ・よい面:様々な実態の児童生徒であっても,領域として大綱的に示すのみに留まる事で,自立活動で教育目標を掲げることにより教育が保障できる。 ・悪い面:あらゆる児童生徒の実態に対応できる制度である半面,指導内容が大綱・抽象的なため,具体的な教育目標の設定と教育内容,およびその評価は,個々の学校現場(担任)において,すべて構築していかなければならない。 ・評価指標,評価方法・技術等が不明確である。 ・個々の教員の力量に大きく依存する。 …など。 3333.... 自立活動自立活動自立活動自立活動のののの目標設定目標設定目標設定目標設定のののの難難難難しさしさしさしさ((((個個個個とととと集団集団集団集団),),),),使使使使うううう言葉言葉言葉言葉のののの難難難難しさしさしさしさ 個別の指導計画(個)【具体的】⇔年間指導計画(集団)【大綱・抽象的】 学年としての計画となると,大綱的にならざるを得ないが,自立活動の目標が大綱的だからといって,年間の計画には個別の要素を包括したものでなければ,個人の困難を改善することにはつながらない。 「を味わう」,「を感じる」,「を楽しむ」,「を広げる」など,それぞれの言葉が,具体的に何を意味しているのかを明確することが重要である。→曖昧さを除去し,評価指標の構築をするべきである。 4444.... 日日日日々々々々のののの授業目標授業目標授業目標授業目標におけるにおけるにおけるにおける難難難難しさしさしさしさ ・日々の自立活動で設定されている目標を,以下の観点を持って見直す。 手立てのみである,単元名称である,教科目標である,具体的でない,観念的である,目標が高すぎる,目標が低すぎる,評価指標が不明,範囲が広すぎる,指導者の目標である,複数の目標が含まれる,前後の系統性に乏しい。 …など。 ・目標が「個々の障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服するための指導」につながっているのか常に検証することが不可欠である。 成果と課題 自己が作成した個別の指導計画や指導略案の中に,曖昧さを含む表現で書いた目標がないか,再検討する必要があると顧みる契機となった。本研修では,目標を設定するときの注意点(曖昧な表現の例などの観点)を学ぶことができた。個別の指導計画や日々の授業の目標や評価を作成する際には,本研修で学んだ観点を参考にしながら,児童が個々の困難を改善することにはつながる授業を計画・実施していくことが今後の課題である。

Page 26: 研 研 究究究 紀紀紀 要要...- 5 - 学年単位での授業研究 ëì ë'³I ÛCn ¹´C n í ¿¤¥ I 2JKLM NOéê uv . NOjk < ¸5 ¹ºCn 'NO»C »¼½ g¾¿ 校内授業研究

- 25 -

研修名 自立活動部研修(実践報告会) 期 日 平成23年8月29日他 場 所 プレイルーム 講師等 自立活動部員 参加者 新転任者及び希望者 目 的 教職員の専門性の向上のため

内 容

年間3回にわたって,自立活動部員による,実践発表会を行った。 平成23年8月29日 ・小学部 馬場 健 「実践発表」 平成24年1月6日 ・小学部 渋谷 薫 「筋緊張が強い児童の学習姿勢の工夫」 ・高等部 湯村 真子 「積極的な水分補給のための取組み」 平成24年3月21日 ・中学部 平松 紀恵 「実態から考える目標設定と感覚へのアプローチ ~視覚・聴覚ともに障害のある生徒との苦悩の1年~」 ・中学部 恵谷 文雄 「自立活動」 成果と課題 それぞれの発表者の日々の取り組みを知る良い機会となった。日頃,学部をこえて,児童・生徒の指導について情報交換することが難しい現状がある。年齢や性別など担当する児童・生徒の実態は異なるが,似たような課題をかかえていることが分かった。発表者による実態把握の方法や課題に対するアプローチ方法など,自己が担当する児童・生徒への指導の参考となる内容が豊富な発表会であり,勉強になった。加えて,学校内の共通理解の場ともなる機会となった。

Page 27: 研 研 究究究 紀紀紀 要要...- 5 - 学年単位での授業研究 ëì ë'³I ÛCn ¹´C n í ¿¤¥ I 2JKLM NOéê uv . NOjk < ¸5 ¹ºCn 'NO»C »¼½ g¾¿ 校内授業研究

- 26 -

3333 感染対策感染対策感染対策感染対策のののの基本基本基本基本についてについてについてについて 研修名 感染症防止対策研修 期 日 平成23年11月18日(金) 16:10~16:50 場 所 本校プレイルーム 講師等 福山市民病院看護部安全管理室 感染管理認定看護師 三宅 智津恵 参加者 本校教職員 ( 65名 ) 目 的 校内感染の予防と衛生面の管理について理解を深める。

内 容

「「「「感染対策感染対策感染対策感染対策のののの基本基本基本基本」」」」 1111標準予防策標準予防策標準予防策標準予防策・・既に明らかな感染源とまだ知られていない感染源(未知な病原体・陽性にまだならない時期のもの等) 血液や体液に安全なものはない。 (1)手指衛生・・病原体伝播の主な感染経路は,ヒトの手を伝わっていく。そのため,石鹸と流水での手洗いと手指消毒剤を使用した手洗いは充分行う。 (2)個人防護具・・①血液 ②汗を除く体液・分泌物・排泄物 ③粘膜 ④損傷のあるヒフ→危険性がある時に使用 演習演習演習演習 手袋の外し方・マスクの正しい着用の仕方 (3)咳エチケット ①咳やくしゃみのある時には口と鼻を覆う。②ハンカチではなくティッシュを使い,使用後は直ちに捨てる。③咳をしている人は,サージカルマスクを着用する。 2222感染経路予防策感染経路予防策感染経路予防策感染経路予防策・・・・感染対策感染対策感染対策感染対策がががが必要必要必要必要なななな疾疾疾疾患患患患 (1)空気感染 結核・麻しん・水痘など・・症状が見られたら早めに受診 (2)飛沫感染 インフルエンザ・流行性耳下腺炎・風疹・マイコプラズマ肺炎など・・ マスクをして他の人と 1m以上の間隔をあける。 (3)接触感染 О157・感染性胃腸炎など・・他の人の入室時は,手袋着用・退室時は,外し洗浄剤で手洗いを行う 3333感染対策感染対策感染対策感染対策におけるにおけるにおけるにおける消毒消毒消毒消毒 (1)環境整備 (2)汚物の処理 (3)清掃の基本 4444関係法規関係法規関係法規関係法規 成果と課題 感染予防について,演習を含め,具体的な話だったので非常に分かりやすかった。今後,習得した知識を感染予防や環境整備に生かしていきたい。 経管栄養セットの消毒の仕方や次亜塩素酸ナトリウムの希釈の仕方が,教職員によって違っていることが分かったため整理することが課題である。

Page 28: 研 研 究究究 紀紀紀 要要...- 5 - 学年単位での授業研究 ëì ë'³I ÛCn ¹´C n í ¿¤¥ I 2JKLM NOéê uv . NOjk < ¸5 ¹ºCn 'NO»C »¼½ g¾¿ 校内授業研究

- 27 -

4444 寄宿舎寄宿舎寄宿舎寄宿舎のののの取取取取りりりり組組組組みみみみについてについてについてについて

寄宿舎で生活している児童生徒の余暇活動~さをり織りを通して~ 広島県立福山特別支援学校 主幹寄宿舎教諭 向 千晴 【はじめに】 本校寄宿舎では,今年度 1 名の新入舎生を迎え,中学部3年から高等部3年までの6名の生徒が在籍しています。 家族から離れ,年齢の異なる生徒と共に生活する中で,ぶつかり合ったり,共感しあいながら自立に向かう生活学習の場として,学校や家庭と連携をとりながら日々生活しています。生徒は上下肢に障害をもち全面介助,あるいは部分介助を要したり,視覚障害をあわせもっています。また,いろいろなことに興味・関心を持ちながら,持続することが難しいなどの実態もあります。 自治会活動や余暇活動等を通して,寄宿舎での生活がより充実し豊かなものになり,「形」に残るさをり織り活動に取り組んでいます。 【さをり織り】 本校寄宿舎では,20年以上前からさをり織りを生活時間に取り入れています。自由でどんな織りでも認められる,世界でただ一つのオリジナル芸術作品それがさをり織りです。当初は一人でも楽しめる時間を過ごせるようにと取り入れられました。 余暇時間の中で,楽しみながら集中力をつけること,自分で出来る事を増やす等,個々の課題を明確にした上で,寄宿舎生が時間を共有しながら取り組めるのがさをり織りです。昨年度は「個々の作品とともに全員で一つの作品を共同制作し,発表する機会を設ける」ことを目標に取組み,校外や学校祭で発表しました。 〔 〔寄宿舎生が織ったさをり織り〕 【昨年度の取組み】 〈〈〈〈1111学期学期学期学期〉〉〉〉 新入舎生を 2 名迎え,朝の会の司会や食堂におやつを取りに行くなど,日課の当番決めや歓迎会を行い,少しずつ寄宿舎生活に慣れることを中心に生活しました。 4月頃に「さをり織り」について話し,「余暇の時間にさをりを織って,一人ずつ作品を作ろう」と投げかけました。しかし,7月に開催される寄宿舎行事の夜店に向けたチラシ・ポスター作りや夜店で飾るオブジェ制作等の準備が優先されたため,1学期はほとんどできませんでした。 〔ポスター作り〕 〔夜店準備〕 〔オブジェ制作〕

Page 29: 研 研 究究究 紀紀紀 要要...- 5 - 学年単位での授業研究 ëì ë'³I ÛCn ¹´C n í ¿¤¥ I 2JKLM NOéê uv . NOjk < ¸5 ¹ºCn 'NO»C »¼½ g¾¿ 校内授業研究

- 28 -

〈〈〈〈2222学期学期学期学期〉〉〉〉 再度「さをり織りをして出来上がった作品を外部や学校祭に展示しよう」と話し,さをり織りに興味を持たせるため,さをり機や道具・糸等置いてある部屋に行き,好きな色の糸があるか等見たり聞いたりして慣れるようにしました。 しかし,初めて見るAさんはさをり機や糸等置いてある部屋には慣れず,みんなが織っていても部屋に入ろうとしませんでした。廊下から友達が織っている姿を見たり,声をかけてもらったりしているうちに徐々に部屋に入るようになり,言葉がけをしながら一緒にすることでみんなと織れるようになりました。 Bくんは糸の取り方や通し方等職員に教えてもらいながら,最初の縦糸取りからさをり機への糸通しも自分で行い,織り始めました。言葉がけをしながらでしたが,さをりの部屋に行き,そのときの気分で横糸を取りながら,思い思いのまま織りました。 作品作りとして,寄宿舎でとれたマリーゴールドや玉ねぎの皮を使い,さをり用の糸やTシャツ・ハンカチを染色する体験もしました。 〔縦糸取り〕 〔絞り染めの準備〕 〔さをり糸の染色〕 〈〈〈〈3333 学期学期学期学期〉〉〉〉 各自それぞれのペースで思い思いにさをりを織り上げました。また,2学期に染めた糸を使って共同で織り,ひとつの作品を仕上げました。完成させたさをり織りは,毎年デパートで開催されているさをり展や学校祭で展示をしました。しかし,スタートの段階にあたる 1学期では,他の行事の準備があったとはいえ,さをり織りをする時間を設けられなかったことは,余暇活動の充実という視点に立つと,それまで取組んできたCくんやDさん,Eさんにとっては継続できたとは言えません。今年度,更に織り方やさをり機の工夫をして,充実出来るよう取組むことにしました。 〔学校祭展示〕 〔百貨店にてさをり織り展示〕

Page 30: 研 研 究究究 紀紀紀 要要...- 5 - 学年単位での授業研究 ëì ë'³I ÛCn ¹´C n í ¿¤¥ I 2JKLM NOéê uv . NOjk < ¸5 ¹ºCn 'NO»C »¼½ g¾¿ 校内授業研究

- 29 -

【今年度の取組み】 4 月早々に自治会の執行部会を開き,当番決めや歓迎会を行いました。また,自治会活動を行っていくために専門部を復活させ,執行部を中心に環境園芸部とレク部にわかれ年間行事を決めました。 5月に入るとすぐ,毎年開催する夜店の準備やオブジェ制作等があるため,それまでに余暇時間の中で昨年同様「さをり織りをしよう」と話をし,空いた時間をみつけて好みの色を選びました。その時に,何を作りたいか等目的によって糸の種類や織り方が違うことも話をしました。いろいろな種類のさをり機があるので個々に合うさをり機を選び,縦糸をセットしました。 高さを調節するため下に台をつけたりペダルを踏むことができない生徒にはおもりをつけて手動で出来るようにしたり,シャトルが落ちやすい生徒に対しては支援具であるシャトル受けを取り付ける等の工夫をして織れるようにしました。 今年度入舎したFくんは,職員に教えてもらいながら黙々と好きな糸を選んで織っています。昨年度までは糸を丸めて織ることが多かったDさんはシャトルを左右に「シュー,パタンパタン」と声をかけながら織れるようになってきています。Eさんは,さをり部屋の雰囲気を楽しみながら「パタン」「ひいて」等の言葉をかけることでオサを引いて織っています。まだ 1 学期分の織りですが,織り方は様々で一つ一つ味のある織りを見せてくれています。 〔さをり織り風景〕 【おわりに】 自由でどんな織り方でも個性と認められ,形になっていくさをり織りは織る楽しみと同時にやる気を引き出してくれます。また,さをり展や学校祭等多くの人に見てもらうことで,さらに自信がつき,意欲を持って取り組むことができます。 日々,寄宿舎で生活していく中で確実に集中力がついてきたり,自主的に,または友達と一緒に物事に取り組むことができるようになってきています。それは,さをり織りだけで培われたものではありませんが,その一つの方法として,今後とも継続して取組んでいきたいと思います。 おもり 調節した台 シャトル ペダル シャトル受け

縦糸 オサ

Page 31: 研 研 究究究 紀紀紀 要要...- 5 - 学年単位での授業研究 ëì ë'³I ÛCn ¹´C n í ¿¤¥ I 2JKLM NOéê uv . NOjk < ¸5 ¹ºCn 'NO»C »¼½ g¾¿ 校内授業研究

- 30 -

広島県立福山特別支援学校広島県立福山特別支援学校

寄宿舎寄宿舎

指導のポイント指導のポイント・保護者の願いを元に,個別の指導計画を作成し,・保護者の願いを元に,個別の指導計画を作成し,個々の課題を明確にし,取り組んでいる個々の課題を明確にし,取り組んでいる・学期ごとに経過を話し合い,継続課題や新たな課題・学期ごとに経過を話し合い,継続課題や新たな課題に取り組んでいるに取り組んでいる・日々の連絡を中心に,学期ごとに懇談やケース会を・日々の連絡を中心に,学期ごとに懇談やケース会を開き,保護者・担任と連携をとり,共通認識のもと指開き,保護者・担任と連携をとり,共通認識のもと指導にあたっている導にあたっている・高等部2・3年になると個別のケア会議にも同席し,・高等部2・3年になると個別のケア会議にも同席し,寄宿舎での生活の様子等を伝えている寄宿舎での生活の様子等を伝えているさをりさをり織りに取り組んだ理由織りに取り組んだ理由・自由でどんな織りでも認められる・自由でどんな織りでも認められる・個々で織ることもできるし,皆で時間・個々で織ることもできるし,皆で時間を共有しながら織ることもできるを共有しながら織ることもできる・機能的な運動になる・機能的な運動になる・形に残るため,すぐに達成感を味わ・形に残るため,すぐに達成感を味わうことができるうことができる

さをりをさをりを織る部屋織る部屋

いろいろな種類のいろいろな種類のさをりさをり機機

寄宿舎寄宿舎寄宿舎寄宿舎でででで生活生活生活生活しているしているしているしている児童生徒児童生徒児童生徒児童生徒寄宿舎寄宿舎寄宿舎寄宿舎でででで生活生活生活生活しているしているしているしている児童生徒児童生徒児童生徒児童生徒

のののの余暇活動余暇活動余暇活動余暇活動のののの余暇活動余暇活動余暇活動余暇活動~さを~さをりり織りを通して~織りを通して~広島県立福山特別支援学校広島県立福山特別支援学校主幹寄宿舎教諭主幹寄宿舎教諭 向向 千晴千晴

織っている様子を見るDさん織っている様子を見るDさん 糸を選んでいるDさん糸を選んでいるDさんシャトル受けを使うDさんシャトル受けを使うDさん丸めて縦糸に入れ込むDさん丸めて縦糸に入れ込むDさん

Page 32: 研 研 究究究 紀紀紀 要要...- 5 - 学年単位での授業研究 ëì ë'³I ÛCn ¹´C n í ¿¤¥ I 2JKLM NOéê uv . NOjk < ¸5 ¹ºCn 'NO»C »¼½ g¾¿ 校内授業研究

- 31 -

展示発表展示発表 染めた糸で織った染めた糸で織ったさをりさをり織り織り

入舎当時のDさん入舎当時のDさん・興味が次から次へと移り変わってしまうため,一つの・興味が次から次へと移り変わってしまうため,一つのことに対し集中することが難しかったことに対し集中することが難しかった・人と一緒に行動することが多く,一人で過ごすことが・人と一緒に行動することが多く,一人で過ごすことが難しかった難しかった・自発的なトイレでの排泄ができなかった・自発的なトイレでの排泄ができなかった・箸でなく,スプーンを用いての食事・箸でなく,スプーンを用いての食事・咀嚼が難しい・咀嚼が難しい・歯みがき,洗顔ができなかった・歯みがき,洗顔ができなかった・添い寝しないと寝れなかった・添い寝しないと寝れなかった・生活の流れを把握しにくく,こだわりがあった・生活の流れを把握しにくく,こだわりがあった現在のDさん現在のDさん・集中力がついた・集中力がついた・一人で行動することが増えた・一人で行動することが増えた・根気強くいろいろなことにトライできるようになった・根気強くいろいろなことにトライできるようになった・言葉数が増えコミュニケーションがとれるようになった・言葉数が増えコミュニケーションがとれるようになった・自発的にトイレに行き排泄できるようになった・自発的にトイレに行き排泄できるようになった・スプーンでなく箸を用いて食事できるようになった・スプーンでなく箸を用いて食事できるようになった・良く噛んで食すことができるようになった・良く噛んで食すことができるようになった・歯みがき・洗顔ができるようになった・歯みがき・洗顔ができるようになった・一人で眠れるようになった・一人で眠れるようになった・時間を気にするようになりこだわりが減った・時間を気にするようになりこだわりが減った

自治会活動自治会活動

舎友会執行部舎友会執行部

環境園芸部環境園芸部 レク部レク部

Page 33: 研 研 究究究 紀紀紀 要要...- 5 - 学年単位での授業研究 ëì ë'³I ÛCn ¹´C n í ¿¤¥ I 2JKLM NOéê uv . NOjk < ¸5 ¹ºCn 'NO»C »¼½ g¾¿ 校内授業研究

- 32 -

夜店のオブジェ制作夜店のオブジェ制作

これで発表を終わります。これで発表を終わります。

ありがとうございました。ありがとうございました。

Page 34: 研 研 究究究 紀紀紀 要要...- 5 - 学年単位での授業研究 ëì ë'³I ÛCn ¹´C n í ¿¤¥ I 2JKLM NOéê uv . NOjk < ¸5 ¹ºCn 'NO»C »¼½ g¾¿ 校内授業研究

- 33 -

5555 教職員研修教職員研修教職員研修教職員研修についてについてについてについて

平成23年度研修実績一覧 日時 研修名・内容 担当分掌(講師等) 4月 5日(火) 服務研修会 管理職 4月 7日(木) 介助の基本研修会 保健安全部 4月11日(月) 医療的ケアの基本研修会 保健安全部 4月12日(火) 支援機器研修会 地域支援部 4月15日(金) 摂食指導の基礎研修会 保健安全部 4月18日(月) 会計事務研修会 事務長 4月18日(月) ネットワーク利用研修会 川口教諭 4月25日(月) 進路研修会(キャリア教育) 進路指導部 5月 2日(月) アクシデント研修会 保健安全部 6月 3日(金) 支援機器研修会 地域支援部 6月 6日(月) 授業研究全体計画 教育企画部 6月10日(金) 自立活動研修会(車椅子について) 自立活動部 6月17日(金) アクシデント研修会 保健安全部 7月 4日(月) 摂食指導研修会 保健安全部 7月21日(木) 普通救命講習会 保健安全部 (福山消防署) 7月22日(金) 自立活動研修会(感覚について) 自立活動部 7月27日(水) 進路研修会 進路研修部 8月 1日(月) 農業機械・木工器械の使い方研修会 清水教諭・塩路教諭・ 川口教諭 8月 3日(水) ST(言語聴覚士)による摂食指導会 保健安全部 (三原福祉大学・ 8月 9日(火) 施設見学研修会 進路指導部 8月19日(金) 自立活動研修会(ムーブメントについて) 自立活動部 8月22日(月) 摂食指導研修会 保健安全部 8月23日(火) 自立活動研修会(書見台の製作) 自立活動部 8月24日(水) 農業たまねぎ研修会 清水教諭・塩路教諭・ 川口教諭 8月29日(月) 自立活動実践報告発表会 自立活動部

Page 35: 研 研 究究究 紀紀紀 要要...- 5 - 学年単位での授業研究 ëì ë'³I ÛCn ¹´C n í ¿¤¥ I 2JKLM NOéê uv . NOjk < ¸5 ¹ºCn 'NO»C »¼½ g¾¿ 校内授業研究

- 34 -

8月31日(水) 医療的ケア研修会 保健安全部 9月 9日(金) 校内授業研究会指導案検討(高等部) 教育企画部 9月26日(月) 校内授業研究会(高等部) 教育企画部 9月29日(木) 校内授業研究会指導案検討(小学部) 教育企画部 10月17日(月) 校内授業研究会(小学部) 教育企画部 10月31日(月) アクシデント研修会 保健安全部 11月 4日(金) 校内授業研究会指導案検討(中学部) 教育企画部 11月 4日(金) 全国肢体不自由研究会提案レポート研修会 教育企画部 11月18日(金) 感染症防止対策研修会 保健安全部 11月21日(月) 自立活動研修会(自立活動とは) 自立活動部 11月25日(金) 摂食指導研修会 保健安全部 11月28日(月) 自立活動研修会(自立活動の目標設定について) 自立活動部 11月29日(火) 校内授業研究会(中学部) 教育企画部 1月 6日(金) 自立活動実践報告発表会 自立活動部 1月10日(火) iPad研修会 地域支援部 1月11日(水) 公開授業研究会指導案検討 教育企画部 1月27日(金) 公開授業研究会 教育企画部 2月27日(月) 服務研修会 管理職 2月27日(月) 初任研のまとめ 初任者 2月29日(水) 医療的ケア研修 管理職 3月 5日(月) 進路研修会(卒業生取り組み報告) 進路指導部 3月12日(月) 自立活動研修会(アセスメント) 自立活動部 3月21日(水) 自立活動部実践報告会 自立活動部 3月27日(火) 校外研修報告会 教育企画部 3月27日(火) 授業研究のまとめ 教育企画部 会計事務研修会 事務長

Page 36: 研 研 究究究 紀紀紀 要要...- 5 - 学年単位での授業研究 ëì ë'³I ÛCn ¹´C n í ¿¤¥ I 2JKLM NOéê uv . NOjk < ¸5 ¹ºCn 'NO»C »¼½ g¾¿ 校内授業研究

- 35 -

編 集 後 記 今年度の研究紀要ができました。 第1章は『授業研究について』として,この一年間「自立活動を基底にすえた,児童生徒一人一人のニーズに応える教育内容の創造及び実践に向けて」というテーマの下に全教員が授業研究に取り組んできたことを載せました。 第2章には,『摂食指導』の取組みをあげました。 第3章は魅力ある教育内容の創造に向けて専門性の向上を図るために行った研修の一部を載せました。 第 4 章では安心で安全な学校体制つくりをめざしての研修の一例をあげました。 第5章では今年度、全国肢体不自由教育研究協議会 高知大会で報告した『寄宿舎の取り組み』を載せました。 6章には『教職員研修』の一覧を載せました。 この紀要編集に当たり,本校教職員の多くがかかわりました。十分なものとはいえませんが,今後の特別支援教育の推進資料としてこれをご覧いただいた方々のお役に立てれば幸いと存じます。 (教育企画部 研究紀要編集担当) 平成平成平成平成23232323年度年度年度年度 研究紀要研究紀要研究紀要研究紀要 第6号

発行日 平成24年3月 発行者 広島県立福山特別支援学校 〒720-0841 広島県福山市津之郷町津之郷280-3 TEL 084-951-1513 FAX 084-951-3864 http://www.fukuyama-sh.hiroshima-c.ed.jp/ 編集者 広島県立福山特別支援学校 教育企画部