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(一社)日本環境測定分析協会 分析実務研修会 『溶存酸素量とSS』 イー・サポート 高円寺

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(一社)日本環境測定分析協会

分析実務研修会

『溶存酸素量とSS』

イー・サポート 高円寺 菅 原 昇

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DO(溶存酸素量) Dissolved oxygen 溶存酸素量 水中に溶存する酸素の量のことで,水質の指標 として用いられ,「溶解酸素量」とも呼ばれる

飽和溶存酸素量 気圧,水温,溶存塩類濃度などによって変化 JIS K 0102 工場排水試験方法に換算表と補正 式がある ⇒ DO計の校正

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環境基準

別表2 生活環境の保全に関する環境基準

河川,湖沼,海域

pH,BOD,SS,DO,大腸菌群数

例 : 河川 DO 項目類型 基準値

AA,A 7.5 mg/L 以上

B,C 5 mg/L 以上

D,E 2 mg/L 以上

DO(溶存酸素量)

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隔膜電極法 酸素透過性のプラスチックで被覆されたカソード,アノードの両極の間隙を電解質で満たす。その両極を試料液に入れると、試料中の酸素分子が皮膜と電解質の中を拡散し、カソード表面に到達して還元される。このとき流れる電流は酸素分子の拡散に比例するので、そこから溶存酸素量を求めることができる。

ウィンクラー法 試料水に硫酸マンガン溶液と水酸化ナトリウム溶液を加えると,水酸化マンガン(Ⅱ)の沈殿を生成,この沈殿中の水酸化マンガン(Ⅱ)は水中の溶存酸素と反応してDO量に対応するだけ酸化され,褐色の沈殿が生成する。この沈殿を硫酸で溶解した溶液をチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定し,溶存酸素量を算定する。

ウィンクラーアジ化ナトリウム変法 ウインクラー法によるDO測定の精度向上を図った方法で,ウインクラー法の最終工程であるチオ硫酸ナトリウムによるI2の滴定の後,残余のI2をでんぷん溶液で再度滴定する方法。滴定法には,この他「ミラー変法」も知られている。

DO(溶存酸素量)

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隔膜電極法

隔膜ガルバニ電極法

隔膜ポーラログラフ法

DO(溶存酸素量)

隔膜ガルバニ電極法模式図

隔膜ポーラログラフ法模式図

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ウィンクラー法 測定原理 【反応式②】 溶けている酸素が水酸化マンガンMn(OH)3の形で固定

【反応式③】ヨウ化カリウムと硫酸を加えてヨウ素を遊離 【反応式④】濃度既知のチオ硫酸ナトリウム水溶液で滴定 【反応式】

① Mn2++2OH-→Mn(OH)2 ↓ (コロイド状白色沈殿) ② 2Mn(OH)2+1/2O2+ H2O→ 2Mn(OH)3 ↓ (褐色沈殿) ③ 2Mn(OH)3+ 2I-+ 6H+→ 2Mn2++I2+6H2O ④ I2+2S2O3

2-→2I-+S4O62-

※ 酸化剤 I2と還元剤 S2O32-による酸化還元滴定(ヨウ素滴定)

DO(溶存酸素量)

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硫酸で沈殿を溶解

チオ硫酸ナトリウムで滴定

終点に近づくとデンプン溶

液を添加

終点(デンプンの紫が消えて無色透明)

DO(溶存酸素量)

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蛍光式酸素センサー

◎ 特長 ・ 隔膜や電解液を使用していないため,定期的に隔膜や電解液を交

換の必要なし ・ H2,He,CO2,H2Sなどの妨害ガスに対して大きな影響を受けにく

い性質

◎ 原理 りん光の発光時間を計測することで酸素濃度を測定

⇒蛍光物質に青色LEDの光を照射すると,蛍光物質が光のエネル

ギーを吸収 ⇒ 励起 ⇒ 元の基底状態に戻るときに赤色光を発光

DO(溶存酸素量)

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有機物指標 ● 過マンガン酸カリウム(KMnO4)消費量 ● 100℃における過マンガン酸カリウムによる酸素消費量(CODMn) ● 二クロム酸カリウムによる酸素消費量 (CODCr) ● 生物化学的酸素消費量(BOD) ● TOC(全有機炭素) ● 溶存有機炭素(DOC) ● 紫外線吸光度(E260) ● トリハロメタン生成能(THMFP) ● 全有機ハロゲン化合物(TOX)

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BOD(生物化学的酸素要求量) Biochemical oxygen demand ● 水中の有機物などの量を、その酸化分解のために微生物が必 要とする酸素の量で表したもので、特定の物質を示すもので はない ● 河川などで生じる水質汚濁の自然浄化をシュミレーションしたもの

● 20℃,5日間で水がどれだけ腐るか ● BODatu 硝化性微生物の活動(N化合物の酸素消費)を抑制する 窒素性BOD(N-BOD) (BOD)-(N-BOD) = (C-BOD_炭素性BOD)

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COD(化学的酸素要求量) Chemical oxygen demand ● CODMn(100℃における過マンガン酸カリウムによる酸素要求量) 日本における法定試験方法,測定操作が短時間などのメリットはあ るが,酸化力が弱くCODCr よりも低い数値となることが多い ● CODCr (二クロム酸カリウムによる酸素要求量) 欧米で広く用いられる方法,最も酸化力が強いためほぼ全量の有機 物が分解される ● CODOH(アルカリ性過マンガン酸カリウムによる酸素要求量) 塩化物イオンが多い海水などに用いられる方法 ● COD-アルカリ性(アルカリ性100℃における過マンガン酸カリウ ムによる酸素要求量) 硝酸銀を使用する必要がなく、CODOH と比べて残留する過マンガ ン酸カリウムの滴定が簡素なため、海水の混入する恐れがある場所 で日常的に試験を行う場合に用いられる ● COD-硫酸銀(硫酸銀を用いる100℃における過マンガン酸カリウム による酸素要求量) 塩化物イオンの影響を防ぐため、硝酸銀の代わりに硫酸銀(Ag2SO4)を 用いる

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BODとCODの違い

一般的に 河川 ⇒ BOD 湖沼,海域 ⇒ COD

《理由》 河川は流下時間が短く,その間に川の水中の酸素を消費す

るような生物によって酸化されやすい有機物を問題にすれば

良い

湖沼は滞留時間が長いため,有機物の全量を問題にしなけ

ればならない

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BODとCODの違い COD 湖沼・海域などの「水の流れがほとんどないところ」(「停滞性水域」)で測定 ⇒人間の生活において発生する様々な化学物質(洗剤中の窒素・りん,肥料etc.)がそこに残存し,太陽光線や温度の影響などで汚染源になる。富栄養化の原因となる化学物質を酸化分解するのに酸素がどれだけ必要かを測定する BOD 河川は湖沼・海域とは違い,停滞性ではないので化学物質による汚染はないが,それ以外の微生物による汚濁として微生物が多くなるほど,酸素を要求する量が高くなるため,酸素がどれだけ必要かを測定する

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水中に浮遊または懸濁している直径2mm以下の粒子状物質

・ 沈降性の少ない粘土鉱物による微粒子

・ 動植物プランクトンやその死骸・分解物・付着する微生物

・ 下水,工場排水などに由来する有機物や金属の沈殿物

⇒ 水に浮いている木片や下に沈む砂や石は対象外

SSが多いと透明度などの外観が悪くなるほか,

魚類のえらがつまって死んだり,光の透過が妨げられ

て水中の植物の光合成に影響し発育を阻害すること

がある

SS(懸濁物質) Suspended Solid

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● JIS K 0102 14.2

⇒ 懸濁物質

水中に浮遊している物質の2 mm目のふるいを通過し,

孔径1 μmのろ材に残留する物質

● 昭46環境庁告示59 付表8

⇒ 浮遊物質(懸濁物質)

水中に浮遊する粒径2mm以下の不溶解性固体の微粒子

SS(懸濁物質)

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水質汚濁に係る環境基準

⇒ 浮遊物質量として基準値が定められ

水質汚濁防止法

⇒ 浮遊物質量として200 mg/L(最大),

150 mg/L(日間平均)と排水基準が定めら

れている。

SS(懸濁物質)

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測定方法 ◎ ガラス繊維ろ紙法 ⇒ 一般的手法 試料を孔径1 μmのガラス繊維ろ紙で吸引ろ過し, ろ過残留物を105 ~110 ℃で2時間乾燥させた 後,残留物の重量を測定

◎ 遠心分離法 ⇒ ろ過しにくい試料に適用 遠心分離で沈降した固形分をルツボに入れ てルツボの前後の重量を測定

SS(懸濁物質)