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信号源の基礎 Matt Bellis Agilent Technologies Company Microwave Instruments Division 1400 Fountaingrove Parkway Santa Rosa, California 95403 U.S.A. 1998 Back to Basics Seminar

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  • 信号源の基礎

    Matt Bellis

    Agilent Technologies CompanyMicrowave Instruments Division1400 Fountaingrove ParkwaySanta Rosa, California 95403U.S.A.

    1998 Back to Basics Seminar

    kani

  • 概要

    現在の信号発生の課題にチャレンジする準備として、増幅器から安全性が高い通信システムまでのさまざまな製品をテストするのに必要な信号の基礎を取り上げます。これらの信号には単純なもので単一周波数の正弦波、複雑なものでディジタル変調搬送波があります。本セミナでは、信号発生器の基礎と信号発生器が使用されるアプリケーションを詳しく調べていきます。適切なブロック図も詳しく検討してゆきます。また、信号発生器仕様についても論じます。

    著者紹介

    Matt Bellis

    Northwestern Universityで物理学を専攻してBSEEとBAを取得。University of California at Santa BarbaraでMSEEを取得。R&Dとマーケティングの両方に従事。NorthropCorporationでB2プログラムに従事。Northrop Corporationでは、通信、信号抑圧や電子戦争のアプリケーションでの電磁波による材料の相互作用を研究。現在、Agilent TechnologiesのMicrowave Instruments Divisionで、無線通信産業のテスト・ニーズの調査を担当。

  • スライド#1

    信号源は正弦波を発生します。これは、信号源の最も基本的な定義です。

    このセミナでは、3タイプの信号源をとりあげます。ブロック図は、信号源の動作原理を説明するのに使用します。信号源のタイプごとに、いくつかのアプリケーションを詳しく調べて、アプリケーションごとに重要な仕様を詳しく説明します。

    2-1

    信号源の基礎

  • スライド#2

    信号源は正弦波を発生します。正弦波は、非常に多くのテスト・アプリケーションや測定アプリケーションに使用されます。理想的な出力を時間ドメインと周波数ドメインの両方で示します。時間ドメイン波形は以下のように表現されます。

    フーリエ解析を使用すると、時間ドメイン波形は以下の周波数ドメイン表現に変換できます。

    ここで、関数δ()はインパルス関数です。フーリエ変換は、インパルス関数の中心をf0と-f0の両方に置いた2面表現です。各インパルス関数の振幅はv0/2です。等価の1面表現は、振幅がv0で中心がf0の単一インパルス関数です。

    信号源の性能仕様によって、使用できる出力パワーと出力周波数の範囲が特定されます。さらに、仕様によって理想的な正弦波からの偏移が特定されます。これらの偏移は、変調機能の追加など、意図的であったり、意図的でなかったりします。

    v t ( )

    f

    jv f f f f

    j ft

    oj ft

    o o o

    ( )

    sin )

    / ( ) ( )

    =

    − − +[ ]

    −−∞+∞

    −∞+∞ −

    ν

    ν π

    δ δ

    π

    π

    t e dt

    = ( t e dt

    = -

    o

    2

    22

    2

    V t V f to o( ) sin( )= 2π

    2-2

    信号源の基礎

  • スライド#3

    基本的な3タイプの信号源のCW信号源、掃引信号源と信号発生器について論じます。単一正弦波を発生する信号源はCW信号源といいます。ほとんどのCW信号源では、正弦波の周波数と振幅を所望の値に設定できます。掃引信号源には、ある範囲の周波数または振幅にわたって、正弦波の出力周波数または出力振幅を自動的に変化させる機能が追加されます。掃引信号源の中には、周波数と振幅を同時に変化させる機能を備えるものもあります。変調を正弦波に加える場合、信号源は信号発生器になります。信号発生器は、“信号”、つまり、情報を搬送する正弦波を出力します。情報を正弦波に加える方法はたくさんあります。基本的な信号発生器は、振幅変調、周波数変調と位相変調の機能を備えます。もっと高度な信号発生器は、パルス変調やIQ変調の機能を備えます。

    2-3

    信号源の基礎

  • スライド#4

    2-4

    信号源の基礎

  • スライド#5

    アプリケーションに適切な信号源を決定する場合、信号源仕様を理解することは重要です。CW信号源の場合、通常、仕様は3つのおおまかなカテゴリ、周波数、振幅(つまり、出力)と信号純度に分けられます。

    レンジ、分解能と確度は、主な周波数仕様です。レンジは、信号源が発生できる出力周波数の範囲を指定します。分解能は最小周波数増分です。信号源の確度は、2つのパラメータ、基準発振器の安定度と前回信号源が校正されてからの時間の影響を受けます。代表的な(しかし非常に優れた)基準発振器のエージング・レートは1年当たり0.152 ppmです。エージング・レートは、基準が指定された値からどれくらいドリフトするか(アップ、ダウンのいずれか)を示します。1 GHzの場合、エージング・レートが1年当たり0.152 ppmで1年間校正されていない信号源の確度は、指定された出力周波数の152 Hz以内となります。

    2-5

    信号源の基礎

  • スライド#6

    レンジ、確度、分解能、スイッチング速度と逆電力保護は、主な振幅仕様です。信号源のレンジは、最大出力パワーと信号源固有の内部減衰量で決まります。信号源は自分自身の出力パワーをモニタして、振幅確度を保ちます。自動レベリング回路は、出力を測定するのに使用します。信号源の分解能は、最小振幅増分を示します。スイッチング速度は、信号源が一方の振幅レベルからもう一方にどのくらい速く変化させることができるかの尺度です。

    信号源は、トランシーバをテストするのによく使用します。トランシーバは送信機を備えるので、信号源とトランシーバ間を接続すると、テストするデバイスから信号源の出力コネクタへ信号を伝導できます。逆電力保護は、信号が間違った方向に進んで信号源が損傷を受けるのを防ぎます。

    2-6

    信号源の基礎

  • スライド#7

    信号純度に関連する仕様は、最も理解しにくいことの一つです。理想的なCW出力は、単一周波数での正弦波です。残念なことに、理想的なCW信号源はありません。信号源はすべて、理想的でない(つまり、現実の)コンポーネントからできています。これらのコンポーネントによって、位相ノイズと不要歪み成分が生じます。

    高調波スプリアスは、CW出力の整数倍です。信号源には、多くのノンリニア・コンポーネントが組み込まれています。これらのコンポーネントは、広範囲の周波数と出力パワーを発生するのに必要です。増幅器の出力を以下のように考えます。

    入力正弦波の場合、出力は以下のようになります。

    増幅器のノンリニア特性によって、2次、3次以上の高調波が発生します。代表的な2次高調波は、-30 dBc未満(基本波周波数の出力より30 dB下)で指定されます。非高調波スプリアスはさまざまな信号源(例、電源)から発生して、通常はかなり低い(-65 dBc未満)です。

    マルチプライヤは、周波数出力を拡大する信号源によく使用されます。これによって、分周波が発生します。

    V t a t a t a t

    a a t a t a t a to ( ) sin( ) sin ( ) sin ( )

    / sin( ) / sin( ) / sin( ) / sin( )

    = + + += + + + + +

    1 22

    33

    2 1 3 2 32 3 4 2 2 4 3

    ω ω ωω ω ω ω

    ......

    V t a v t a v t a v to i i i( ) ( ) ( ) ( )= + + +1 22

    33 ...

    2-7

    信号源の基礎

  • スライド#8

    理想的な場合、正弦波内のパワーのすべては単一周波数に集中しています。信号源内のランダム・ノイズによって、パワーは狭い範囲の周波数にわたって拡散します。この拡散は位相ノイズといい、ランダム位相変調としてよく数学的にモデル化されます。位相ノイズの単位はdBc/Hzで、1 Hz帯域幅における搬送波からのdB低下値です。位相ノイズは、CW出力からの周波数オフセットで指定されます。例えば、CW信号源の位相ノイズは、20 GHzにおけるCW周波数からのオフセット100 kHzで-97 dBc/Hzのように指定できます。

    位相ノイズは、信号源のスペクトラムから直接測定できます。この方法では、アナライザの位相ノイズがテストする信号源の位相ノイズよりかなり優れている(~10 dB)ことが必要です。信号源の位相ノイズは、このために最適化されているテスト装置を使用してよく測定されます。通常、位相ノイズは対数対対数軸に表示されます。これによって、位相ノイズの近く(オフセット<1 kHz)と遠く(オフセット>10 kHz)の両方を1プロット上で簡単に調べることができます。

    上記の位相ノイズ・プロットは、89411Aを使用して、位相復調信号のパワー・スペクトラム密度(dBm/Hz単位)を表示することによって作成しました。信号源の設定は1 GHzです。マーカはオフセットが10 kHzに設定され、-104 dBc/Hzを読取っています。

    寄生FMは、CW出力に固有の少量のFMの尺度です。寄生FMは帯域内に指定されます。通常、ほとんどの信号源は、CCITT指定帯域幅当たりの寄生FMを指定します。CCITT帯域幅は搬送波周波数からのオフセット300 Hzで開始して、オフセット3 kHzで終了します。この帯域内では、位相ノイズ曲線上に示されるノイズのすべてが寄生FMの一因になっています。

    2-8

    信号源の基礎

  • スライド#9

    CW信号源のブロック図は、3つの主なセクション、基準、シンセサイザと出力に分けることができます。セクションごとに正弦波を発生する上での一意の役割を持ち、信号源仕様に一意な貢献をします

    2-9

    信号源の基礎

    シンセサイザ・セクション�- レンジ�- 分解能�- スイッチング速度�- 信号純度�

    基準セクション�- 周波数安定度�- 確度�

    出力セクション�- レンジ�- レベル確度�- 振幅スイッチング速度�- 逆電力保護�

  • スライド#10

    上記のブロック図は、RF CW信号源をさらに詳しく示したものです。

    基準セクションは、信号源の基準発振器を備えます。基準発振器は、出力周波数(位相ノイズ)の短期安定度に貢献します。基準発振器の長期安定度、つまり、エージング・レートによって、出力周波数の確度が決まります。

    基準セクションは、周波数のわかっている正弦波をシンセサイザ・セクションに供給します。この正弦波は、位相ロック・ループ(PLL)の基準として使用されます。シンセサイザ・セクションは、所望の周波数でのきれいな正弦波の発生を担当します。VCO(電圧制御発振器)は正弦波を発生します。PLLは出力周波数を所望の設定に保ち、基準発振器の周波数確度をVCOの出力に変換します。

    シンセサイザ・セクションは、きれいな正弦波を出力セクションに供給します。出力セクションによって、信号源全体の振幅レンジと振幅確度が決まります。振幅レンジは、使用可能な増幅と減衰によって決まります。振幅確度、つまり、レベル確度は、出力パワーをモニタして、必要に応じてパワーを調整することによって保たれます。

    各セクションをもっと詳しく調べていきましょう。

    2-10

    信号源の基礎

    出力セクション�

    シンセサイザ・セクション�

    基準セクション�

    フラク�ショナル�N PLL

    Xによる�分周�

    基準発振器�

    ALC�ドライバ�

    ALC�変調器�

    出力�アッテネータ�

    ALC�ディテクタ�

    位相�検波器�

    VCO

  • スライド#11

    基準セクションの中心は、基準発振器です。基準発振器は安価で、非常に安定していて、狭い範囲の周波数にわたって調整可能である必要があります。基準発振器が安定していることによって、校正と校正の間、信号源の周波数出力は正確のままでいることが保証されます。基準発振器をセシウム発振器などの周波数標準と比較して、必要に応じて調整することによって、トレース可能な出力で信号源を校正できます。

    現在、すべての材料の中で水晶結晶板が基準を最も満たします。水晶の基本波周波数は、複数のパラメータ、エージング、温度や電源電圧の影響を受けます。時間が経つに連れて、水晶結晶板にかけられたストレスは発振周波数に影響を及ぼします。温度変化によって、水晶構造に変化が起こり、発振周波数に影響を及ぼします。また、水晶の圧電性は、電源電圧によって信号源内に生じた電界の影響も受けます。

    水晶の性能を改善するために、温度補正回路を使用して、動作温度の変動から生じる出力周波数の変動を抑えます。そうした補正がされた水晶は、温度補償型水晶発振器またはTCXOといいます。OCXOはオープン制御環境に置かれている水晶です。この環境は一定温度を保ち、電源電圧の影響から保護します。TCXOとOCXO両方の安定度を上記の表に示します。

    多くの信号源が外部入力を備え、発振器を外部基準にロックするのに使用できます。ただし、信号源には外部基準は必要ありません。

    2-11

    信号源の基礎

  • スライド#12

    VCOは入力電圧に対する出力周波数を発生します。簡単なVCOは、バラクタ、つまり、電圧可変キャパシタから構成できます。逆バイアスPN接合ダイオードがバラクタの一般的なタイプです。ダイオードへの逆バイアスが増えるにつれて、ダイオード端子間のキャパシタンスは減ります。発振器回路に組み込んだ場合、同調可能なキャパシタによって発振出力を同調できます。この出力は本質的に不安定です。PLLが周波数安定度を保つのに必要です。

    VCO出力の大部分は、信号源の出力セクションに送信されます。VCO出力の一部は、より低い周波数に分周されます。上記の例では、465.5 MHzのVCO出力は93.1で分周され、5 MHzの周波数を発生します。この信号は、基準セクションによって供給された5 MHz信号と比較されます。位相検波器の出力は、エラー信号を含むDCオフセットになります。DCオフセットは、基準からの5 MHz信号とフラクショナルN分周回路からの5 MHz信号との一定位相差を表します。エラー信号は、不要周波数ドリフトを表します。位相検波器の出力はフィルタリングされ、VCOを正しくドライブするよう増幅されます。VCOがドリフトしない場合、位相検波器の出力には(ほとんど)全くエラー信号はないので、VCOへの制御電圧は変わりません。VCOが上方向に(または下方向に)ドリフトした場合、位相ディテクタの出力におけるエラー信号がVCO出力を下方向に(または上方向に)調整して、安定した周波数出力を保ちます。

    2-12

    信号源の基礎

  • スライド#13

    信号源のシンセサイザ・セクションは、信号源全体の位相ノイズに非常に大きな影響を及ぼします。位相ノイズの一因となるものは主に、基準発振器、位相検波器、VCOと広帯域ノイズ・フロアの4つあります。広帯域ノイズ・フロアは、信号源に発生する熱ノイズから主に生じます。通常、このノイズは信号源の性能を大幅に制限しません。基準発振器とVCOの位相ノイズは両方とも、最初は1/f3の割合で、そして、1/f2の割合に遷移して低下します。対数対対数プロット上では、1/f2はデケードごとに20 dBの傾きになります。位相検波器の位相ノイズ原因は主に熱ノイズによって占められるので、広帯域ノイズ・フロアと同じスペクトラム依存性(またはスペクトラム依存性のなさ)を示します。さらに、PLL内のフラクションN分周によって、位相ノイズ性能は20 logNずつ低下します。ここで、Nは分周値です。

    PLLの帯域幅によって、VCOによる位相ノイズ全体への影響が抑圧されるポイントが決まります。PLL帯域幅内の周波数オフセットの場合、信号源全体の位相ノイズは主に位相検波器と基準発振器からの影響によって異なります。

    2-13

    信号源の基礎

  • スライド#14

    出力セクションは、出力パワーを測定して、設定出力レベルからの偏移を補正することによって、振幅確度、つまり、レベル確度を保ちます。ALCドライバはディテクタ出力をディジタイズして、ディジタイズした信号を一覧テーブルと比較します。検出されたパワーが所望のパワーと等しくなるよう、適切に変調器をドライブします。信号源の出力と被試験デバイス(DUT)間の配線とスイッチングからの外部損失によって、信号が減衰することがよくあります。外部損失を補正する一覧テーブルを入力して、自動レベリングをDUTの入力まで拡張できます。

    出力の減衰が適用されていない場合、信号源振幅は最大になります。最大振幅は、パワーアンプと、アンプの出力と出力コネクタ間の損失で決まります。損失の主な原因は出力アッテネータです。減衰を0 dBに設定しても、出力アッテネータには有限量の損失が生じます。出力アッテネータの目的は、校正された再現性のある方法で出力パワーを下げることです。現在、出力レンジが+13 dBm(信号源に対する減衰未適用)~-136 dBm(最大減衰適用)のアッテネータが用意されています。よく使用されるアッテネータには、機械式とソリード・ステートの2タイプがあります。

    機械式アッテネータでは、パワー・アンプの出力と出力コネクタ間の損失がほとんど生じません。したがって、出力増幅器をオーバドライブせずに、高出力パワーを実現できます。低ドライブ・レベルで動作することによって、信号源によって発生した高調波のレベルが下がります。ただし、機械式アッテネータの耐用回数には限界があります。代表的な機械式アッテネータの耐用回数は500万サイクルです。パワー・レベルが2秒ごとに変化するATEアプリケーションの場合、アッテネータには約1年で不具合が発生します。

    ソリッド・ステート・アッテネータ、つまり、電子式アッテネータの耐用回数は本質的には無限です。ATEアプリケーションの場合、ソリッド・ステート・アッテネータは十分に適応します。ソリッド・ステート・アッテネータでは、減衰を望まなくても、大きな損失が生じます。ソリッド・ステート・アッテネータを装備した信号源には、損失を補うのにより高い出力増幅器ドライブ・レベルが必要です。ドライブ・レベルが高ければ高いほど、高調波のレベルは上がります。したがって、ソリッド・ステート・アッテネータを装備した信号源には、機械式アッテネータを使用する信号源と等しい信号純度レベルを保つには、もっと高度なデザインが必要です。

    2-14

    信号源の基礎

  • スライド#15

    マイクロ波CW信号源のブロック図は、RF CW信号源のブロック図に似ています。それぞれ、同じ3つの基本セクションがあります。ただし、違いもあります。基準セクションには基準発振器が1つしかありませんが、基準セクションからシンセサイザ・セクションに2つの信号が供給されます。シンセサイザ・セクションの出力周波数は、磁界で同調されるイットリウム鉄ガーネット(YIG)発振器から発生します。周波数安定度を保証するフィードバック機構は位相ロック・ループですが、フラクショナルN分周の代わりに、高調波サンプリングを使用して、出力周波数を分周します。

    2-15

    信号源の基礎

    ALC�ドライバ�

    ALC変調器� 出力�アッテネータ�

    ALCディテクタ�

    フラク�ショナル�N PLL

    位相�検波器�

    同調�コイル�

    YIG発振器�

    サンプラ�

    位相�検波器�

    VCO

    フラク�ショナル�N PLL

    Xによる�分周�

    基準発振器�

    位相�検波器�

    VCO

    出力セクション�

    シンセサイザ・�セクション�

    基準セクション�

  • スライド#16

    RF CW信号源とマイクロ波CW信号源に対するアプリケーションは非常にたくさんあります。上記のリストは、より一般的なアプリケーションの一部しか示していません。

    2-16

    信号源の基礎

  • スライド#17

    CW信号源は、送信機やレシーバの開発で局部発振器としてよく使用されます。

    開発中では、プロトタイプのハードウェア・セクションは段階的に使用できるようになることがよくあります。CW信号源は、未完成セクションの代わりによく使用されます。例えば、送信機の開発では、局部発振器セクションを除くすべてのセクションが完成している場合、CW信号源は局部発振器としてよく使用されます。

    CW信号源を局部発振器として使用する場合、位相ノイズと周波数確度は重要です。例えば、周波数確度が悪いと、送信機は間違った周波数で送信してしまいます。チャネル化された通信システムでは、位相ノイズが悪いと、エネルギは隣接チャネルに拡散してしまいます。この隣接チャネへの拡散を間違って送信機のパワー・アンプのせいにしてしまうことがあります。

    2-17

    信号源の基礎

  • 2-18

    信号源の基礎

    スライド#18

    次インターセプト、つまり、TOIは一般的な増幅器測定です。この測定では、2つのCW信号源を増幅器の入力で組み合わせます。各信号減の周波数は互いにわずかにオフセットされていますが、まだ増幅器の帯域幅内です。増幅器のノンリニアリティによって、以下の3次変調積成分が生じます。

    ここで、f1とf2は2つの信号源の出力周波数です。

    CW信号源からのスプリアス信号は、測定を改悪することがあります。適切な信号源を選択した場合、非高調波スプリアス・レベルは被試験増幅器によって生じた3次変調積成分より十分下のはずです。

    また、テスト・システムによってエラーの原因が生じることもあります。2つの信号が結合器への入力の場合はいつでも、信号源のノンリニアリティによって相互変調積成分が生じます。簡単な結合器を使用した場合、相互変調積成分は信号源のALCによって生じます。最初の信号源からの信号は抵抗結合器ネットワークを通って、2番目の信号源出力に入ります。この出力は、6 dBの損失と2番目の信号源の出力減衰に関連する損失を持ちます。2つの信号源の周波数は異なるので、2つの信号の和は周波数差に等しいAM成分を持ちます。周波数差がALCの帯域幅内の場合、2番目の信号源のALCはこの追加パワーを確認して、AMを加えることによって出力をレベリングしようとします。テスト・システムによって生じた相互変調積成分の周波数は、被試験増幅器によって生じた相互変調積成分と同じ周波数です。

    信号源のさらに優れたアイソレーションが、一方の信号源からもう一方へ伝達するパワーの抑圧のいずれかによって、相互変調積成分を減らすことができます。

    f f f

    f f fL

    U

    = −= −

    2

    21 2

    2 1

  • スライド#19

    スプリアス・イミュニティは、レシーバが不要な信号によってレシーバの出力で不要な応答をするのを防止する機能の尺度です。この測定を実行するには、一方の信号源は所望のチャネル周波数で、レシーバの感度より上のレベルで変調テスト信号を入力します。もう一方の信号源は、広範囲の周波数にわたって干渉信号を出力します。周波数レンジと通信標準に応じて、干渉信号を変調したり変調しなかったりできます。被試験レシーバのBER(ディジタル・システムの場合)またはSINAD(アナログ・システムの場合)が指定したレベルに低下するまで、干渉信号の出力振幅を調整します。以下のテスト信号と干渉信号間との差が、レシーバのスプリアス・イミュニティです。

    干渉信号源の非高調波スプリアス出力のレベルは十分に低くして、測定が影響を受けないようにする必要があります。非高調波スプリアス信号は、スプリアス・イミュニティ仕様より約15 dB下である必要があります。このレベルの場合、信号源からのスプリアスによるチャネル内ノイズ・フロア全体への影響は最小限で済みます。

    また、レベル確度もテストに影響を及ぼします。例はどのように影響を及ぼすのかを示します。干渉信号の設定レベルが0 dBmで、テスト信号の設定レベルが-50 dBmの場合、スプリアス・イミュニティは50 dBです。2つの信号源のレベル確度が+/-1 dBの場合、干渉信号のレベルは実際には-1 dBmで、テスト信号のレベルは実際には-49 dBmのことがあります。この場合、実際のスプリアス・イミュニティは48 dBとなり、必ずしも優れているとはいえません。信号源のレベル確度を考慮することによって、測定の不確かさを決定できます。この場合、測定スプリアス・イミュニティは50 dB+/-2 dBです。不確かさはレベル確度の2倍です。

    αspur testP P= −interferer

    2-19

    信号源の基礎

  • スライド#20

    ここに示すのは、アジレント・テクノロジーのCW発生器ファミリの要約です。

    2-20

    信号源の基礎

  • スライド#21

    2-21

    信号源の基礎

  • スライド#22

    掃引器は、周波数、パワーまたはその両方を掃引する機能を追加します。周波数掃引には、ランプ掃引とステップ(または任意リスト)掃引の2タイプあります。ランプ掃引では、出力正弦波周波数がスタート周波数からストップ周波数まで増加します。これによって、時間プロットに対して線形な周波数が発生します。ステップ(またはリスト)掃引では、出力周波数は一方の周波数からもう一方へ急に変化します。したがって、信号源は指定された時間新しい各周波数のままでいます。

    ランプ掃引の場合、通常、信号源の確度、掃引時間と周波数分解能が指定されます。ステップ掃引の場合、確度、ポイント数とスイッチング時間が指定されます。ポイント数は、少ないときで2個、多いときで数百個です。スイッチング時間は、信号源が一方の周波数からもう一方へ切り替えるのに必要な時間です。

    2-22

    信号源の基礎

  • スライド#23

    出力パワーは、掃引全体を通してフラットネス仕様内でしか変化しません。さらに、出力パワーは信号源のレベル確度仕様内にも留まるよう強いられます。例えば、レベル確度が+/-1.0 dBで、フラットネス仕様が+/-0.7 dBの信号源を考えます。出力を0 dBmに設定した場合、実際の出力は高いときで1 dBm、低いときで-1 dBmとなります。掃引中、実際の出力が1 dBmの場合、パワーはフラットネス仕様の0.7 dBだけ下方向にドリフトすることがありますが、ALCはパワーに設定レベル0 dBmの1 dB内に留まるよう強いるので、パワーは1 dBmを上回ってドリフトすることはありません。

    パワーを掃引する場合、掃引範囲によって出力パワーの可能な範囲が決まります。スロープ範囲によって、信号源がどのくらい速く一方のパワーからもう一方へ掃引できるかが決まります。パワー・スロープの代わりに、信号源の中には、出力掃引内のポイント数と待ち時間を指定できるものもあります。

    通常、信号源整合は定在波比(SWR)で指定されます。SWRは、実際には信号源出力がどのくらい50 オームに近いかの尺度に過ぎません。SWRの値の範囲は、1から無限大の間が可能です。1は完全な50 オーム整合で、無限大は非常に悪い整合です。信号源の出力が正確に50 オームでない場合、SWR値は1より大きくなります。SWRが1より大きい信号源からのパワーの一部は、50 オーム負荷に接続した場合、反射して信号源に戻ってきます。

    2-23

    信号源の基礎

  • スライド#24

    周波数掃引は、デバイスの周波数応答を決定するのに実行します。出力掃引は、通常、増幅器で実行して、飽和レベルを測定します。

    2-24

    信号源の基礎

  • スライド#25

    デバイスの周波数応答を測定する場合、以下の掃引器仕様が重要です。

    仕様 影響

    周波数確度 被試験デバイス(DUT)の中心周波数

    出力パワー(レベル)確度 利得または損失

    フラットネス フラットネス

    速度 テスト・コスト

    寄生FM 高Qデバイスをテストする機能

    周波数応答の測定は数多くのタイプのデバイスについて行いました。

    2-25

    信号源の基礎

  • スライド#26

    誰が周波数確度に関心があるのでしょうか。3 dBロール・オフ周波数が競合会社より優れているフィルタを製造している場合、その周波数確度を測定すべきなのです。周波数確度が0.01 ppmの場合、1 Gz付近で動作するフィルタをテストする信号源は周波数を+/-10 Hzでしか設定できません。0.01 ppmというこの確度は十分なのでしょうか。お客様にお聞きください。実際には、3 dB帯域幅や利得などのパラメータの確度条件によって異なります。

    ほとんどのチャネル化された周波数通信システムは、バンドパス・フィルタを使用します。周波数の不正確さは、フィルタの形状による振幅測定エラーになることがあります。

    2-26

    信号源の基礎

  • スライド#27

    出力掃引は、1 dB圧縮ポイントを決定するのに増幅器でよく実行されます。増幅器をドライブして圧縮させるのに、広い出力範囲が必要です。何が圧縮の原因となるのでしょうか。入力が正弦波の増幅器の出力を考えます(再度)。

    出力が入力をもうトラッキングしない場合、増幅器は飽和に入り始めます。入力レベルが十分に高い場合、増幅器の利得は1 dB減少します。パワーはどこに行ってしまったのでしょうか。増幅器が飽和状態になった場合、出力パワーは高調波と熱に転じます。

    V t a t a t a t

    a a n t a t a t a to

    si

    ( ) sin( ) sin ( ) sin ( )

    / ( ) / sin( ) / sin( ) / sin( )

    = + + += + + + + +

    1 22

    33

    2 1 3 2 32 3 4 2 2 4 3

    ω ω ωω ω ω ω

    ...

    ...

    2-27

    信号源の基礎

  • スライド#28

    ここに示すのは、アジレント・テクノロジーのシンセサイズド掃引発生器ファミリの要約です。

    2-28

    信号源の基礎

  • スライド#29

    2-29

    信号源の基礎

  • スライド#30

    基本的な信号発生器とは、出力周波数と出力レベル(振幅)が広範囲にわたって可変で、必ずわかっている信号源のことです。また、信号発生器は、校正済み変調機能も備える必要があります。変調信号を発生する機能が、信号発生器とCW信号源との主な違いです。

    2-30

    信号源の基礎

  • スライド#31

    正弦波の基本式を考えます。変更できる3つのパラメータ、振幅、周波数と位相があります。振幅変調とパルス変調は、正弦波の振幅を変化させることによって実行されます。正弦波の周波数または位相を変化させると、FMとPMが実行されます。極座標で表示した場合、FMとPMの両方とも正弦波の角度が変化するので、通常、角度変調ともいいます。

    2-31

    信号源の基礎

  • スライド#32

    拡幅変調では、変調信号によって搬送波の振幅が変化します。変調信号は情報を搬送します。振幅変調は、以下の式で表現できます。

    ここで、fcは搬送波で、k(t)は変調です。

    ほとんどのテキスト・ブックの変調解析では、変調信号k(t)は正弦波と仮定しているので、どの波形も正弦波の和によって表現できることに注意してください。もっと複雑な解析は受講者に任せます。

    k(t)=μsin(2πfmt)の場合

    これはAMの典型的な式です。ここで、μは変調度で、変調指数ともいい、fmは変調周波数です。変調度は、変調信号のピークの搬送波信号のピークに対する比として定義されます。変調度をパーセンテージとして表す場合、変調はリニアAMといいます。変調度を“dB”で表す場合、変調は対数AMといいます。AM信号のスペクトラムには、複数の側波帯が含まれます。これらの側波帯は、搬送波周波数と変調周波数の和や差から生じます。

    s t A t tc( ) sin( ) sin( )= +[ ]2 1 2π µ πf fmc

    s t A t k tc( ) sin( ) ( )= +[ ]2 1πfc

    2-32

    信号源の基礎

  • スライド#33

    周波数変調では、変調信号によって搬送波の周波数が変化します。変調信号の振幅によって、搬送波信号がどのくらい(周波数において)偏移するかが決まります。これは周波数偏移またはΔFdevといいます。変調信号の周波数によって、搬送波が一方の周波数からもう一方にどのくらい速く偏移できるかが決まります。これは変調周波数またはFmといいます。

    FMの場合、演算はもっと複雑になります。周波数偏移と周波数変化の速度が与えられた場合、βという変調指数はΔFdev/Fmodとして定義されます。

    周波数変調は、変調指数に応じて、搬送波を中心とした無数の側波帯を発生できます。周波数変調を数学的に解くには、ベッセル関数が必要です。ベッセル関数によって、側波帯の数や相対的強度を示すことができます。FMで興味があるのは、変調指数が適切な場合、搬送波は完全に消えることです。どのようにしてこれを実行するかは後で調べることにします。

    2-33

    信号源の基礎

  • スライド#34

    位相変調は、周波数変調に非常に似ています。変調信号によって、搬送波の位相は偏移します。変調信号の振幅によって、位相偏移が決まります。変調指数βは、搬送波の位相偏移として定義されます。位相変調の速度はβの計算に加わらないことに注意してください。FMの場合と同様、スペクトラム変調成分は間隔があけられ、位相変調の速度によって決まりますが、位相変調の速度が変化しても、βは変化しません。βが変化しない場合、スペクトラムの形状は変化しません。スペクトラム成分間隔だけが変化します。実際には、これがアナログFMをアナログPMと区別する唯一の方法です。

    2-34

    信号源の基礎

  • スライド#35

    パルス変調は、通信とレーダの両アプリケーションで重要です。通信では、ベースバンド信号は本質的にはパルスで、アップコンバートされた信号は時間多重化(迅速にオンとオフ)できます。パルス変調とFMかPMのいずれかを組み合わせて使用して、さまざまな通信、衛星やレーダの信号を発生できます。

    パルスRF信号に最も重要なパラメータは、パルス立ち上がり時間、パルス立ち下がり時間、パルス繰り返し周波数(PRF)、パルス周期とパルス幅です。パルス・スペクトラムの線間隔は、パルス周期の逆数によって分けられます。ヌルは1/tで生じます。ここで、tはパルス幅です。全体の形状はsin(x)/xです。

    2-35

    信号源の基礎

  • 2-36

    信号源の基礎

    スライド#36

    アナログ(旧式なもの)変調とディジタル(新奇なもの)変調との唯一の違いは、ディジタル変調は変調ベースバンド信号を離散状態に制限して、変調信号が最大値と最小値間の任意の値を取ることができないようにしていることです。

    AM、FMまたはPMをディジタル変調方式で使用する場合、名前はASK、FSKとPSKになります。SKはシフト・キーを押すことを表し、電信キーに由来します。現在の使い方では離散状態間の偏移を意味します。

  • スライド#37

    IQ平面で表すと、信号ベクトルはフェーザになります。フェーザ表記は、時間に対する正弦波の変化状況を測定する便利な方法を提供します。フェーザは、周波数情報を簡単には示しません。フェーザの回転は搬送波周波数を基準にしているので、フェーザが回転するのは、フェーザの周波数が搬送波周波数と異なる場合だけです。

    2-37

    信号源の基礎

  • スライド#38

    前述したように、フェーザ表記を使用して、すべてのタイプの変調を表現できます。振幅変調は、回転のない振幅変化によって表現されます。位相変調は、円弧に沿って移動するフェーザによって表現されます。円弧の長さは、最大位相偏移を示します。振幅と位相の同時変調は、長さと位相が時間によって変化するフェーザによって示されます。周波数変調によって、フェーザは時計方向または反時計方向に回転します。

    2-38

    信号源の基礎

  • スライド#39

    位相シフト・キーイングでは、搬送波信号の位相は離散状態間を偏移します。2つの一般的なタイプ、BPSK(binaryphase shift keying)とQPSK(quadrature phase shift keying)があります。

    通常πラジアン(180度)ずつ分けられる2つの状態間で搬送波の位相を変化させることによって、BPSKは実行されます。BPSKの基本特性のいくつかを調べていきましょう。

    搬送波を方形波で位相変調することによって、BPSKは実行できます。方形波は、搬送波に位相を2つの位相状態間で強制的に変更させます。方形波を使用することによって、非常に急な遷移が起こります。これによって、非常に広いスペクトラムが生じます。ほとんどのBPSK変調器は、位相遷移がそれほど急に起こらないタイプのフィルタリングを使用します。これによって、信号の占有スペクトラムが減少します。BPSKスペクトラムは、変調の離散特性を反映します。

    BPSKのI-Q図を調べてみましょう。

    2-39

    信号源の基礎

  • スライド#40

    IとQ図上で、I状態は2種類の値を持ちます。状態図には2箇所のマッピング可能な位置があるので、2進の1または0を送信できます。シンボル・レートはシンボル当たり1ビットです。BPSKはディジタル変調の最も簡単な形式の1つで、深宇宙遠隔測定に使用されます。

    位相シフト・キーイングの少しばかり複雑な形式QPSKを調べてみましょう。

    2-40

    信号源の基礎

  • スライド#41

    QPSK信号では、搬送波の位相は4種類の位相状態間の1つに変化します。通常、これらの状態は、π/2ラジアンずつ分けられます。4つの離散レベルが含まれる変調波形での位相変調によって、QPSK信号を発生できます。

    QPSK信号の出力スペクトラムは、BPSK信号の出力スペクトラムに似ています。

    2-41

    信号源の基礎

  • スライド#42

    QPSK信号は直交信号なので、I信号とQ信号は直交軸のセット、つまり、IQ平面上にマッピングできます。コンスタレーション・ダイアグラムは、マッピング可能な状態を示します。QPSKの場合、以下の4個のIQポイントのセットによって定義された4つのマッピング可能な状態があります。

    これらの状態のそれぞれにある信号は、原点からマッピング可能な状態に引かれたベクトルによって表現できます。ベクトルの長さは、信号の振幅(パワー)を示します。I軸からの回転は、信号の位相を示します(搬送波に対して)。上図は、ある時点における信号の位置を示します。時間が経つに連れて、ベクトルは一方の状態からもう一方へ回転します。

    IQ

    v

    v

    v

    v

    v

    v

    vo

    o

    o

    o

    o

    o

    o

    :

    22

    22

    22

    22

    22

    22

    22

    vo− 22

    2-42

    信号源の基礎

  • スライド#43

    ディジタル変調信号のIQコンスタレーションは、たくさんの情報を示します。まず、ディジタル変調の基礎を思い出します。搬送波の振幅と位相を変化させることによって、ディジタル・ビットがRF搬送波上に転送されるので、データ・クロックが遷移するたびに、搬送波はIQ平面上にある複数の一意の位相と振幅の位置のいずれかを占有します。各位置は特定のデータ・シンボルをエンコードします。データ・シンボルは1つ以上のデータ・ビットから構成されます。コンスタレーション・ダイアグラムは、マッピング可能なすべてのシンボルに対して決定時間における有効な位置(つまり、搬送波に対する振幅と位相)を示します。シンボル当たりnビット伝送する場合、位置は2n箇所あるはずです。したがって、入力データを復調するには、クロック遷移ごとの受信信号の振幅と位相を正確に決定する必要があります。

    任意の瞬間に、信号の振幅と位相を測定できます。これらの値は、実際のフェーザ、つまり、測定されたフェーザを定義します。同時に、伝送データ・ストリーム、シンボル・クロック・タイミング、ベースバンド・フィルタリング・パラメータなどがわかっている場合、対応する理想的なフェーザ、つまり、基準フェーザを計算できます。これらの2つのフェーザの差は、信号エラー・ベクトル振幅(EVM)と位相エラーの両方を示します。慣習によって、EVMは理想的なピーク信号レベルのパーセンテージとして報告され、通常、コンスタレーションのコーナ状態によって定義されます。

    EVMと位相エラーは、ディジタル変調信号を評価する2つの主なパラメータです。代表的な信号源EVMは約1パーセントです。

    2-43

    信号源の基礎

  • スライド#44

    ディジタル信号発生器は、IQ変調器とベースバンド発生器の2つの新しいブロックを信号発生器の基本ブロック図に追加することによって作成します。

    2-44

    信号源の基礎

  • スライド#45

    出力信号を同相成分と直交位相成分の和として表すと、IQ変調とよくいわれる固有ハードウェアを実現することになります。IQ変調器は、簡単な回路で実現できます。IQ変調器へのベースバンド入力を変更することによって、高い帯域幅効率を実現できます。

    IQ変調はディジタル信号の発生に非常に適していますが、従来のAM、FMやPM信号の発生に使用することもできます。QPSK信号を発生する場合、I入力とQ入力に対する2つの電圧状態を制御することは、位相を4種類の位相状態間で直接変更するより正確に実行できます。

    現在のほとんどの送信機はIQ変調を使用して、ディジタル信号を発生します。IQ変調器は、ディジタル回路(例、DAC、DSPプロセッサ)と適切にインタフェースします。

    2-45

    信号源の基礎

  • スライド#46

    IQ変調器セクションに対するベースバンド情報は、内部ベース発生器または外部I入力とQ入力の2つの経路から来ます。情報は、ROM一覧テーブルに記憶され、1対のDACによって出力される校正と合計が取られます。これによって、IQ変調器は広範囲の周波数にわたって校正された高品質出力を示すことができます。

    現在、ほとんどの無線通信送信機はIQ変調器を使用しています。外部I入力とQ入力によって、カスタム信号の発生または専用ベースバンド発生器のテストができます。IとQ用外部信号源を使用する場合、入力ドライブ・レベルは重要です。ほとんどのIQ変調器には、以下の出力信号品質を最高にするのに最適なドライブ・レベルがあります。

    大きなピークがあるI波形とQ波形に対して比の平均を取るには、入力ドライブ・レベルは最適レベルより下げる必要があります。これは、大きなピークで比の平均を取ると、ピーク信号によって信号発生器の出力で大量のスペクトラムが再生する可能性があることに起因します。

    V t I t Q tinput rms rms( ) ( ) ( )= +2 2

    2-46

    信号源の基礎

  • スライド#47

    ベースバンド発生器は、IQ変調器をドライブするのに必要なベースバンド波形を発生します。上記のブロック図は、ベースバンド波形のデータを供給する以下の3つの経路を示します。

    1. データは外部コンピュータからロードできます。2. データはRAMから直接ロードできます。3. TTLデータを入力できます(これにはデータ・クロックとシンボル・クロックの両方が必要です)

    データは生の“1”と“0”で、ベースバンド信号を組み立てるのに使用します。データは組み合わせて、シンボル当たり複数ビットが必要な変調フォーマットのシンボルを作成します。フィルタリングが追加され、入力信号の帯域幅効率を上げます。フィルタリングはディジタルで実行します。ディジタル・ストリームがDACに送信されます。DACの出力は、アナログ復元フィルタに送信されます。これらのフィルタはスムージング・フィルタで、スペクトラム拡散の原因となる波形の高周波数成分を取り除きます。

    2-47

    信号源の基礎

  • スライド#48

    上記の表は、ディジタル・フォーマットに指定されたパラメータのタイプを示します。

    ベースバンド発生器とIQ変調器を組み合わせることによって、ディジタル変調信号が発生します。フィルタリングと変調タイプは、ベースバンド波形の形状によって決まります。

    ただし、ディジタル信号を正確にシミュレートするには、信号発生器は単に適切な変調を出力する以上のことを実行する必要があります。ほとんどのディジタル通信フォーマットには、帯域幅を保つために、何らかのアクセス方式があります。US-TDMA(IS-54)の場合、アクセル方式には下り(基地局から移動機へ)チャネルと上り(移動機から基地局へ)チャネル間に周波数の分離が必要です。さらに、下りリンクと上りリンクにはそれぞれ特定の時間のスライスが割り当てられ、その間で通信を実行します。これは、時分割多元接続またはTDMAといいます。通常、この時間のスライスはタイム・スロットといいます。

    ディジタル信号発生器には、以下のフォーマットがよく見受けられます。

    1. GSM2. DECT3. Tetra4. US-TDMA(NADC、USDCまたはIS-54)5. PDC6. PHS7. PHP8. CDMA(IS-95、広帯域)

    2-48

    信号源の基礎

  • スライド#49

    US-TDMAの場合、タイム・スロットはフレームの一部分です。フレーム当たり6個のタイム・スロットがあります。別のTDMAフォーマットのGSMはフレーム当たり8個のタイム・スロットを使用して、フレームを組み合わせてマルチフレームやスーパフレームにします。

    タイム・スロット内のビットはグループ化され、さまざまな機能を実行します。例えば、US-TDMAシステムではSACCHとCDVCCはビットの特別なグループ分けです。

    1. CDVCC(Coded Digital Verification Color Code):基地局と移動機間のハンドシェーク2. SACCH(Slow Associated Control Channel):通信パワー・レベル変更、ハンドオフ要求

    伝送音声はデータ・フィールドに含まれます。テストの際、標準ビット・パターンと特別なビット・パターンをこれらのデータ・フィールドに配置します。PN9やPN15シーケンスなどの疑似ランダム・シーケンスは、標準ビット・パターンの例です。通常、特別なシーケンスはユーザによって定義されます。

    レシーバを完全にテストするのに、“実際の”信号を表現する信号が必要です。高度な信号発生器は、適切に変調された信号を発生して、さまざまなアクセス方式(例、TDMA)をエミュレートして、あるレベルのプロトコルを組み込む機能を備えます。

    2-49

    信号源の基礎

  • スライド#50

    セミナに出てきた全てのアプリケーションに信号発生器を当てることができます。信号発生器は、レシーバやレシーバ内のコンポーネントをテストするのに使用します。感度と選択度は、ほとんどの標準に必要な2つのレシーバ・テストです。これら2つの他に、一般的な他のレシーバ・テストには以下のものがあります。

    1. 隣接チャネル漏洩2. 雑音指数3. 相互変調除去

    ほとんどの標準には、これらのテストを実行する方法の詳細な説明があります。スペクトラム再生は、一般的な送信機と増幅器のテストです。

    テストを実行する場合、信号源仕様を解析して、信号源が測定を改悪しないようにする必要があります。信号源が満たす必要がある重要な仕様は、テストによって異なります。

    2-50

    信号源の基礎

  • スライド#51

    レシーバの感度とは、確実に検出できる最小信号レベルのことです。感度はレシーバの主な仕様の1つで、通常、FMレシーバに対しては特定のSINAD、ディジタル変調信号のレシーバに対しては特定のBERで指定されます。FMレシーバの場合、SINADはレシーバからの使用できる信号を記述するのに使用される性能指数です。SINADは、同じ出力における信号とノイズと歪みを足した値のノイズと歪みを足した値に対する比です。

    SINADを12 dBに保つのに必要なRF入力のレベルはオーディオ信号の品質に優れているので、通常、このレベルはレシーバの感度として定義されます。ディジタル変調信号のレシーバの場合、指定されたデータの疑似ランダム・バイナリ・シーケンス(PRBS)で信号が変調されたときに、指定されたBERを生じる受信信号のレベルとして感度は定義されます。

    レシーバの確度を測定するのに重要な以下の信号発生器仕様を論じます。

    ◆ 周波数確度◆ 振幅(レベル)確度◆ エラー・ベクトル振幅(ディジタル変調信号の場合)

    周波数変調偏移確度と周波数変調歪みは、感度測定に影響を及ぼす他の2つの仕様です。

    周波数確度が悪いと、信号はレシーバ内のフィルタのスカートにより近いところに位置します。これによって、信号のレベルが低下して、SINADかBERのいずれかの測定値が減少します。周波数確度が悪い信号でテストした場合、レシーバの感度は実際より低いように見えます。

    SINAD=+ +

    +

    10 log

    S N D

    N D

    2-51

    信号源の基礎

  • スライド#52

    感度測定を実行する場合、信号発生器のレベル確度は非常に重要です。例えば、ページャ・レシーバの指定感度レベルは-110 dBmです。測定システムによってエラーが生じます。テスト信号を供給する信号発生器の振幅レベル確度が主なエラー原因です。感度が-110 dBmを満たさないレシーバは合格しないようにするためには、信号発生器の振幅は信号発生器のレベル確度に等しい量によるレシーバ仕様より下に設定する必要があります。この例では、レベル確度が+/-5 dBの信号発生器の場合、テスト信号の最大振幅は-115 dBmに設定しています。

    この例では、最大信号発生器レベルが-115 dBmの場合、感度の優れたレシーバしか合格しないことになります。ただし、感度の優れたレシーバがすべて合格するわけではありません。例えば、公称レベル-115 dBmにおけるレベル確度が+/-5 dBの場合、信号発生器の出力は高いときで-110 dB(レシーバ仕様)、低いときで-120 dBmとなります。感度の優れたレシーバは-120 dBmでは動作できないのに、信号発生器の不確かさのため、-120 dBmでテストされることがあります。この例でテストした6台の内、1台しか合格していません。

    レベル確度が+/-1 dBの信号発生器でテストした場合、合格したページの台数は激増します。

    2-52

    信号源の基礎

  • スライド#53

    変調品質を最も良く示すものは、信号のコンスタレーション・ダイヤグラムから得られます。位相シフト・キーイングされた信号の場合、EVMは信号品質を測定します。周波数シフト・キーイングされた信号の場合、信号位相エラーはより適切な測定値です。振幅シフト・キーイングされた信号の場合、振幅エラーを使用する必要があります。

    上記のTETRA信号の場合、EVMは1パーセント未満です。ドットのサイズは信号の品質を示します。信号のEVMが大きければ大きいほど、ドットは大きくなります。

    2-53

    信号源の基礎

  • スライド#54

    隣接チャネル選択度と代替チャネル選択度は、隣接チャネルまたは代替チャネルで強力な信号を除去しながら、所望の信号を処理するレシーバの機能を測定します。このテストは、チャネル間隔が狭く、多くの信号が小さな地理的領域内で発生することがある通信レシーバにとって非常に重要です。隣接チャネル選択度または代替チャネル選択度のテスト設定を上のスライドに示します。一方の信号発生器が所望のチャネル周波数で、レシーバの感度より上のレベルでテスト信号を入力します。もう一方の信号発生器は、1チャネル間隔分オフセットされた隣接チャネル信号か、2チャネル間隔分オフセットされた代替チャネル信号のいずれかを出力します。感度が指定したレベルに低下するまで、チャネル外信号の出力を増やします。

    テスト信号と干渉信号の周波数確度、振幅(レベル)確度とスペクトラム特性は重要です。

    周波数確度が悪いと、信号はお互いからとフィルタ・スカートから近すぎるか遠すぎるかのいずれかになります。これによって、レシーバ性能が向上または低下したように見えるという影響が出ることがあります。

    どのくらいのレベル確度でレシーバの感度測定が影響を受けることがあるかを確認しました。信号が2つの場合、不正確な信号に関連する問題は絡み合って複雑になります。

    FMレシーバの場合、干渉信号のSSB位相ノイズは最も重要なスペクトラム特性です。テストは、レシーバのIFフィルタの性能の尺度です。隣接チャネルの信号が増大すると、最後には通過帯域外のIFフィルタの除去限度を超えます。通過帯域内の位相ノイズ・エネルギが検出された場合、レシーバはテストに不合格になったように見えることがあります。

    また、スプリアスのレベルが高いことによって、レシーバの選択度測定値が低下することがあります。レシーバの通過帯域内に入る信号発生器スプリアスは、通過帯域全体のノイズ・レベルの一因になります。

    2-54

    信号源の基礎

  • スライド#55

    ディジタル信号用にデザインされたレシーバの選択度を測定する場合、最も重要なスペクトラム特性はスペクトラム確度です。ディジタル信号の場合、変調側波帯はチャネル間隔より広いことがよくあります。これらの側波帯では、隣接チャネル・オフセットや代替チャネル・オフセットのパワーはアナログFM信号より大幅に大きいです。このため、信号発生器の位相ノイズとスプリアスはそれほど重要ではありません。

    ただし、スペクトラム形状は非常に重要です。隣接チャネル干渉信号の場合、スペクトラム形状は正確である必要があります。EVMは、信号の変調帯域幅内のスペクトラム形状を良く示すものです。ただし、EVMが良くても、信号は変調帯域幅外にかなりの量のスペクトラム漏洩を持つことがあります。測定された隣接チャネル漏洩電力(ACP)を理論ACPと比較することによって、変調帯域幅外のスペクトラム品質を示すことができます。

    2-55

    信号源の基礎

  • スライド#56

    スペクトラム生成は一般的な増幅器テストです。ディジタル変調信号でスティミュラスを与えた場合、増幅器の非線形性によって出力スペクトラムに肩が生じます。これらの肩はスペクトラム再生といいます。スペクトラム再生は相互変調歪みに関係します。相互変調は、2つ(以上)の入力正弦波間の相互作用から生じます。ディジタル変調信号は、適切な重み付き係数を持つ正弦波の無限和として表現できます。

    これらの正弦波の相互作用によって、スペクトラム再生が生じます。

    信号発生器は、スペクトラム再生も生じることがある増幅器を内蔵します。増幅器を測定する場合、信号発生器のスペクトラム再生またはACP性能は被試験増幅器のそれより低くする必要があります。

    V t a fntnn

    ( ) sin( )==∑ 2

    2-56

    信号源の基礎

  • スライド#57

    ここに示すのは、アジレント・テクノロジーの信号発生器のファミリの要約です。

    2-57

    信号源の基礎

  • スライド#58

    本セミナでは、信号源の基礎を詳しく調べて参りました。信号源のデザイン、仕様とアプリケーションの面も検討しました。さらに詳しく調査が必要な方のために参考資料の一部の簡単なリストも、含まれています。また、アジレント・テクノロジーでは信号源を使用する方法の詳細を示す広範囲にわたるアプリケーション・ノートのライブラリを揃えています。

    2-58

    信号源の基礎

  • 参考資料

    Adam, Stephen F., Microwave Theory and Applications, Prentice-Hall, Inc., Englewood Cliffs, New Jersey, 1969.

    Clarke, Kenneth K., and Donald T. Hess, Communication Circuits: Analysis and Design, Addison-Wesley Publishing Company,Reading, Massachusetts, 1971

    Kurzenknabe, Glenn R., Practical Considerations in Specification of High Stability Crystal Oscillators.

    Peebles, Peyton Z., Jr., Probability, Random Variables, and Random Signal Principles, McGraw-Hill Book Company, New York,1980.

    Rappaport, Theodore S., Wireless Communications, Prentice Hall PTR, Upper Saddle River, New Jersey, 1996.

    Robins, W.P., Phase Noise in Signal Sources, Peter Peregrinus Ltd, London, UK., 1984.

    Taub, Herbert, and Donald L. Schilling, Principles of Communication Systems, 2nd ed., McGraw-Hill Book Company, New York,1986.

    2-25, Agilent Technologies Company.

    2-59

    信号源の基礎

  • 00-25640000-08H

    September 21, 2001