症例にもとづく - jucepblカリキュラム 統合型 薬物治療学...

10
症例にもとづく 統合型薬物治療学 名城大学薬学部 大津史子 私立大学情報協会:名城大津 1 1年 2年 3年 4年 5年 6年 C 物理系薬学を学ぶ G 薬学アドバンスト教育 A ヒューマニズムを学ぶ C 化学系薬学を学ぶ C 生物系薬学を学ぶ C 健康と 環境 C 薬と 疾病 C 薬と 社会 C 医薬品 をつくる B CBT、OSCE 総合薬学研究 総合薬学演習 基礎 臨床 知識技能の 統合 前期、12単位必須科目、月曜~木曜まで1科目 PBLカリキュラム 統合型 薬物治療学 私立大学情報協会:名城大津 ★モジュール学習 方略 PBL: Problem Based Learning ケース呈示→問題を識別→調査、自己学習 →グループ討論・結論を導く 学び方を学ぶ主体的な学習 問題解決能力 私立大学情報協会:名城大津 3 グループ構成は、原則8人(男女比調整、ランダム) 10モジュールを4クールで実施。クール毎に再構成。 将来、患者個々を考慮した適正な薬物 治療の責任者となるために、疾病と症例 を中心とした薬物治療学とこれまでに学 習してきた基礎・応用科学を統合した教 育を受けることにより、薬物治療に関する 基本的知識と技能を体系的に習得し、切な薬物治療を考案できるようになる。 私立大学情報協会:名城大津 4

Upload: others

Post on 25-Mar-2021

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 症例にもとづく - JUCEPBLカリキュラム 統合型 薬物治療学 私立大学情報協会:名城大津 モジュール学習 方略 PBL: Problem Based Learning ケース呈示→問題を識別→調査、自己学習

症例にもとづく統合型薬物治療学

名城大学薬学部

大津史子

私立大学情報協会:名城大津

1 2

D実務実習事前学習

1年 2年 3年 4年 5年 6年

C 物理系薬学を学ぶ

G 薬学アドバンスト教育

A ヒューマニズムを学ぶ

C 化学系薬学を学ぶ

C 生物系薬学を学ぶ

C 健康と環境

C 薬と疾病

C 薬と社会

C 医薬品をつくる

全学共通教育

基礎薬学総論

B薬学入門

早期体験学習

文献購読セミナー

CBT、OSCE

薬剤師国家試験

実用薬学科目群

薬学研究科目群

総合薬学研究総合薬学演習

応用薬学科目群

薬学特別講義

基礎臨床統

合型

薬物治療学

知識技能の統合

前期、12単位、必須科目、月曜~木曜まで1科目

PBLカリキュラム 統合型 薬物治療学私立大学情報協会:名城大津

★モジュール学習 方略PBL: Problem Based Learning

ケース呈示→問題を識別→調査、自己学習→グループ討論・結論を導く→学び方を学ぶ=主体的な学習

問題解決能力

私立大学情報協会:名城大津

3

グループ構成は、原則8人(男女比調整、ランダム)10モジュールを4クールで実施。クール毎に再構成。

将来、患者個々を考慮した適正な薬物治療の責任者となるために、疾病と症例を中心とした薬物治療学とこれまでに学習してきた基礎・応用科学を統合した教育を受けることにより、薬物治療に関する基本的知識と技能を体系的に習得し、適切な薬物治療を考案できるようになる。

私立大学情報協会:名城大津

4

Page 2: 症例にもとづく - JUCEPBLカリキュラム 統合型 薬物治療学 私立大学情報協会:名城大津 モジュール学習 方略 PBL: Problem Based Learning ケース呈示→問題を識別→調査、自己学習

1)疾患を定義(診断基準)づけることができる。2)疾患の疫学について説明できる。3)疾患の病因が説明できる。4)疾患の症状、リスクファクタ、合併症が説明できる。5)疾患の治療ガイドラインを入手し、主な治療薬の薬効種類をあげることができる。6)疾患の薬物療法以外の治療法が説明できる。7)疾患に関する検査値の意義と基準値を説明できる。8)薬効/薬剤の作用機序が説明できる。9)薬効/薬剤の体内動態の特徴が説明できる。10)薬効/薬剤の化学構造と物性、製剤的特徴が説明できる。11)薬効/薬剤の特徴的な相互作用とその回避方法が説明できる。12)薬効/薬剤の特徴的な副作用とその初期症状、検査値異常、対処方法が説明できる。13)薬効/薬剤服薬説明ができる14)薬効/薬剤のクラスレビューができる。15)今回のケースで最終的に選択された薬剤の有効性モニタリングができる。16)今回のケースで最終的に選択された薬剤の副作用モニタリングができる。17)今回と同様のケースに遭遇した場合、1人でプロブレムのタイプをリストアップし、ケース

のプロブレムが識別できる。18)今回と同様のケースに遭遇した場合、ケースのプロブレムを考慮した薬剤選択ができる19)今回と同様のケースに遭遇した場合、1人でケア計画が立案できる(プロブレムソルビン

グ)。

私立大学情報協会:名城大津

5

私立大学情報協会:名城大津

6

1モジュールの基本的な時間割

時間割

月曜日 火曜日 水曜日 木曜日

ポストテスト(15分)発表:ケースプレゼンテーション

講義1:疾病概論(脇田)血圧のしくみ(病態生理)、高血圧の疫学、高血圧の診

断基準と症状、リスクファクタ、高血圧の病因、予防な

高血圧の治療ガイドライン解説、薬物療法以外の治

療法(代替療法を含む)

講義3:薬物療法概論2(灘井)降圧剤の体内動態的特徴(カルシウム拮抗剤、ACE阻害、ARB、β遮断、α遮断、利尿剤)と投与設計、相互作用、薬剤選択、相互作用

講義5:薬物療法概論5(原)物性、基本骨格による分類と作用・副作用、製剤 (カルシウム拮抗剤、ACE阻害、ARB、β遮断、α遮断利尿剤)

61、62 61 61 61

発表:ケースプレゼンテーションまとめ

プレテスト(15分)

講義2:薬物療法概論1(永松)血圧上昇の仕組みに対する降圧剤の作用機序(カルシウム拮抗剤、ACE阻害、ARB、β遮断、α遮断、利尿剤)

講義4:薬物療法概論3(大津)有効性モニタリングと副作用モニタリング、EBMトピック(カルシウム拮抗剤、ACE阻害、ARB、β遮断、α遮断利尿剤)

プレケースカンファレンスSGD:学習者は、LI②について学習した内容を持ち寄り、自主的なSGDを持ち、知識の共有を行う。

61、62(まとめ、プレテストは61集合) 61 61 117,303,305,306,403,405,406,407,66

コアタイム1ケース提示

学習者の視点からのプロブレム抽出とラーニングイシュー(LI①)の決定,分担、

調査。クラスレビュー分担、調査。

演習1:血圧測定とその評価

117,303,305,306,403,405,406,407,66 61,63,実習室

ピアレビュー、ポートフォリオ、e-PDE(モジュール終了後~次クール開始前日の11:59まで)

演習2:血圧測定とその評価

117,303,305,306,403,405,406,407,66 61,63,実習室 117,303,305,306,403,405,406,407,66

5 PBL PBL PBL PBL

薬物治療学時間割

ケースカンファレンス ケースのプロブレムファーマシューティカルケアプランの作成

コアタイム2: ケース分析LI①の知識知識をしっかり共有後、患者の抱えるプロブレムを抽出し、ラーニングイシュー(LI②)を決定、分担、調査。

1

2

3

4

第一モジュール

高血圧

このイメージは、現在表示できません。

このイメージは、現在表示できません。

この一週間は、高血圧にまつわることだけを考える!高血圧というテーマでバラバラの知

識を統合する!

教員の数に左右されない運用

知識習得不足

学生間格差

PBL

薬学型PBL

主体的な学び

学び合い

「薬学型PBL支援システム」WIKI型コアタイムワークシート、クラスレビュー、プロブレム識別シート、ファーマシューティカルケアプラン、ピアレビュー、e-ポートフォリオ、

症例データベース7

問題解決能力

私立大学情報協会:名城大津

工夫

8

薬学型PBL支援システム

初期画面

私立大学情報協会:名城大津

Page 3: 症例にもとづく - JUCEPBLカリキュラム 統合型 薬物治療学 私立大学情報協会:名城大津 モジュール学習 方略 PBL: Problem Based Learning ケース呈示→問題を識別→調査、自己学習

名城太郎

①ケース情報初期画面

コアタイム1ケース提示(月曜日3限)

プレテスト

名城太郎

ケースの詳細情報が閲覧できる。

薬歴

臨床検査値の推移が閲覧できる。

コアタイム1では、①ケース情報を学生に提示する。

9

私立大学情報協会:名城大津

学生は、まず、自分自身の視点からのプロブレム(学生に不足している知識)をグループでディスカッションし抽出する。

コアタイム1学習課題の抽出(月曜日3限)

プレテスト

グループ全員が同じ土俵にたてるように自分たちが忘れている内容を抽出する。

10

私立大学情報協会:名城大津

調査項目を分担し、主担当の学生(黒田清隆)が、調査した内容を入力。画像添付及び参考文献、参考URLへ

のリンクが可能。

抽出した問題点を②コアタイムワークシート1に入力し、分担調査の主担当を決定する。主担当の学生は、自主学習時間を利用して調査し、内容をコアタイムワークシート1に入力する。

プレテスト

②コアタイムワークシート1

図の添付、URLのリンク、参考書誌事項の記入が行え、グループ独自の知識ベースを構築できるという実感は、主体的な学びを促進することができる。 11

コアタイム1学習課題の抽出(月曜日3限)

私立大学情報協会:名城大津

アクセス時間PM10-AM1

私立大学情報協会:名城大津

12

1人あたり平均3~4回/日ぐらい

夜の10時で、1人あたり平均15アクセスぐらい

Page 4: 症例にもとづく - JUCEPBLカリキュラム 統合型 薬物治療学 私立大学情報協会:名城大津 モジュール学習 方略 PBL: Problem Based Learning ケース呈示→問題を識別→調査、自己学習

13

コアタイム2では、コアタイム1で分担調査した内容についてグループで情報を共有する。お互いに説明し合う。その情報は、担当者しか、基本的に調査していないので、責任を持ち、この情報の共有が学び合いを促進する。

コアタイム2ケース分析(火曜日3,4限)

私立大学情報協会:名城大津

14

次にケースの患者が抱えるプロブレムを④プロブレム識別シートを利用し、1項目ずつ確認しながらグループディスカッションし、不明な点や疑問点(患者のプロブレム)を抽出する。抽出された項目は自動的にコアタイムワークシート2に転記される。コアタイムワークシート1と同様に調査主担当を決定し、分担調査を行う。

コアタイム2ケース分析(火曜日3,4限)

④プロブレム識別シート

ケースの患者の状態を検討し、問題があるかどうかをディスカッションしてチェックする

ディスカッションの中で自分たちの疑問、不明点を書き出し、コアタイム2で検討する

私立大学情報協会:名城大津

私立大学情報協会:名城大津

15

初期評価プロブレム

の有無

プロブレムの有無を判断する上での自分たちの疑問点・不明点

薬剤師が介入すべきプロブレムを識別し、誰にでもわかるプロブレム名と通し番号を付与

問題と考えられる自覚症状:問題と考えられる他覚症状:その他:

有・?・無

未治療の症状があるか? それは薬物治療の必要があるか? 有・?・無

症状の改善がなく、薬剤変更もしくは追加投与が必要か? 有・?・無

予防投与や前投与などをすべきリスクを持っていないか? リスク状態にないか?

有・?・無

適応のない薬剤が使用されていないか? 有・?・無

習慣や依存などにより不必要な量を服用していないか? 有・?・無

薬物療法が 適か? 非薬物療法の方が選択されるべきではないか? 有・?・無

同様の効果を持つ薬剤が投与されていないか? 有・?・無

不必要と考えられる薬剤を服用していないか?(漫然とした長期投与、副作用の予防薬、既に無い症状に対する薬など)

有・?・無

持ち込み薬剤(他院からの薬剤)があるか? 識別はされているか? 有・?・無

選択された薬剤の有効性は明らかか?コンセンサスの得られたガイドラインで推奨されている薬剤か?

有・?・無

選択された薬剤(主薬、添加剤)にアレルギーの既往はないか? 有・?・無

選択された薬剤は、この患者のその他の背景(禁忌、慎重投与、高齢者、小児、妊婦授乳婦など)に対して配慮されているか?

有・?・無

処方薬の用量と投与間隔は適切か?(通常量か患者にあわせて調節されたものか? 多すぎないか? 少なすぎないか?)肝機能:(AST: ALT:   )、腎機能:(Cr: Ccr:   )年齢:高齢・超高齢・小児・幼児・乳児

有・?・無

頓用使用があるか、それは、適切か? 有・?・無

投与経路、剤形は、効果的で安全で、便利で、患者にあっていているか? 有・?・無

投与スケジュールが複雑で間違いやすくないか? 有・?・無

投与期間は、適切か? 有・?・無

薬物療法の有効性のモニタリングがなされているか? 必要か? 有・?・無

薬物療法の安全性のモニタリングがなされているか? 必要か?(警告などがある、特に重篤な副作用が多い、死亡例があるなど)

有・?・無

薬によると考えられる症状があるか? 薬によると考えられるか?(時間的因果関係を確認)

有・?・無

薬-薬相互作用はあるか? それは臨床的に問題か? 有・?・無

薬と食事との相互作用はないか? それは臨床的に問題か? 有・?・無

薬が臨床検査値に干渉することはないか? それは臨床的に問題か? 有・?・無

酒? たばこ? コーヒー? その他(               ) 有・?・無

OTC、健康食品、サプリメントなど?(                 ) 有・?・無

患者は、医療過誤の経験やノンコンプライアンスがあるか? 有・?・無

選ばれた薬剤は [ 先発品 / 後発品]か? その選択は患者にとって、メリットがあるか?

有・?・無

患者の病識は十分か? 病識不足が悪影響を及ぼしていないか? 有・?・無

患者の薬識:有効性の面での薬識は十分か? 有・?・無

患者の薬識:安全性の面での薬識は十分か? 有・?・無

患者の薬識:服用の仕方などの薬識は十分か? 有・?・無

家族への情報提供が必要か? 有・?・無

薬剤情報提供書やお薬手帳を利用しているか? 有・?・無

主疾患の病態評価

薬物療法のプロブレムのタイプ

不適切な兆候

追加治療の必要性

不必要な薬物治療

適正な薬剤選択

処方計画

モニタリング

副作用イベント

相互作用(薬ー薬、薬ー栄養、薬ー検査)

嗜好品、健康食品など

コンプライア

ンスなど

経済上の問題

薬識、病識

④プロブレム識別シート

薬剤師としてチェックすべき項目がリストアップされている。これは、アメリカの教育の中で使っていた資料をアレンジしたもの

分担調査した内容は、⑤コアタイムワークシート2に入力し、図の添付、URLのリンクが行える。これは、患者のプロブレムを解決する知識ベースとしてグループで利用し、調査した内容をお互いに説明し合い、情報共有する。

⑤コアタイムワークシート2

16

コアタイム2ケース分析(火曜日3,4限)

より臨床的な知識ベースの構築→主体的な学びを促進

同様に、分担して調査する

私立大学情報協会:名城大津

Page 5: 症例にもとづく - JUCEPBLカリキュラム 統合型 薬物治療学 私立大学情報協会:名城大津 モジュール学習 方略 PBL: Problem Based Learning ケース呈示→問題を識別→調査、自己学習

17

コアタイム2ケース分析(火曜日3,4限)

グループワークの手順をネット上のシステムとして学生に明示し、入力データを担当教員が確認することで学習の進行過程をリアルタイムに把握できる。その結果、各グループにチュータを必要としないPBLが可能となった。

担当教員はディスカッションの方向性にずれや不足が無いかを確認し、各グループの教室を回り、必要があればアドバイスする。

私立大学情報協会:名城大

チュータがいないことで議論は活発。しかし、個人の評価はできない。→グループ貢献度の推

薦制を導入。

私立大学情報協会:名城大津

18

演習 講義コアタイム2ケース分析(火曜日3,4限)

目的・机上の知識からの脱却・体験→記憶の定着

グループ毎に、抽出した患者のプロブレム毎に、現状を分析し、そのプロブレムを解決する介入方法、ゴールを決定し、⑥ファーマシューティカルケアプランを作成する。 ⑥ファーマシューティカルケアプラン

ケースカンファレンス(木曜日3,4限)

19

プレケースカンファレンス(木曜日2限)

ファーマシューティカルケアプランの作成は、結果を意識する。PBLの最終目標が「わからないことの調査」から、「患者の問題解決」になり、ばらばらの知識をケースの上で統合し、応用する能力、すなわち問題解決能力の育成に非常に効果的であった。

私立大学情報協会:名城大津 ケースプレゼンテーション(月曜日1,2限)

20

さらに、最重要プロブレムについて、プレゼンテーションを行うための準備(⑦プロダクト)は、週末の宿題!本システムは自宅からも利用可能である。

⑦プロダクト

ケースプレゼンテーションで発表する。ランダムにグループを指定し、発表及び質疑応答を行う。最後に担当教員と医師教員からフィードバックを行う。ケアプランは、担当教員2名で評価し、グループ評価とする。

私立大学情報協会:名城大津

Page 6: 症例にもとづく - JUCEPBLカリキュラム 統合型 薬物治療学 私立大学情報協会:名城大津 モジュール学習 方略 PBL: Problem Based Learning ケース呈示→問題を識別→調査、自己学習

モジュール終了時に、ポストテストを実施。1クール終了時にモジュールテストを実施し、個人評価を行う。担当教員は、個人評価と本システムを用いて行ったケアプランのグループ評価、グループ貢献度で成績評価を行う。

学生1人あたり、ランダムに3グループのケアプランが割り振られる

⑧ピア・レビュー

他班のケアプランと自班のものを比較→主体的な学習の振り返り→知識の定着の促進

学生1人あたり3グループのファーマシューティカルケアプランを匿名でランダムに割り当て、ピアレビューをする。

○ポストテスト、○モジュールテスト、⑧ピアレビュー、⑨ポートフォリオ私立大学情報協会:名城大津

優れている  2点 1点 不足している  0点

全体 形式全体的に、文章を推敲し、記載方法に合わせて記載している。

一部、あまり推敲されていない文章が目立つ。

全体的に、推敲されていない文章が目立つ。

全体 優先性当該患者にとって も大切なプロブレムが識別できた。

ー当該患者にとって も大切なプロブレムが識別できていなかった。

全体 その他のプロブレムケースに内包した(担当者が意図した)プロブレムがほぼ識別できた。

ケースに内包した(担当者が意図した)プロブレムが半分程度識別できた。

ケースに内包されたプロブレム(担当者が意図した)が識別できていないことが多かった。

全体 ユニークな着眼点ユニークで担当者が意図していないプロブレムの発見が一つでもあった。

ーユニークで担当者が意図していないプロブレムの発見は無かった。

優先プロブレム 現在の状況 患者のSとOの把握が適切であった。患者のSとOの把握が一部適切でなかった。

患者のSとOの把握がなされていない、もしくは誤っていた。

優先プロブレム アセスメントSとOからの現状の評価が適切であった。

SとOからの現状の評価が一部適切でなかった。

SとOからの現状の評価がなされていない、もしくは誤っていた。

優先プロブレム ゴール/目標値ゴールや目標値の設定が適切であった。

ゴールや目標値の設定が一部適切でなかった。

ゴールや目標値が設定されていない、もしくは誤っていた。

優先プロブレム 介入方法 適切な介入方法が提案されていた。提案された介入方法は一部適切ではなかった。

介入方法が提案されていない、もしくは誤っていた。

優先プロブレム パラメータ介入方法の効果を測定するためのパラメータが適切であった。

介入方法の効果を測定するためのパラメータが一部適切でなかった。

介入方法の効果を測定するためのパラメータが提案されていない、もしくは誤っていた。

優先プロブレム フォローアップ頻度フォローアップの時期や頻度が適切であった。

フォローアップの時期や頻度が一部適切でなかった。

フォローアップの時期や頻度が提案されていない、もしくは誤っていた。

評価ポイント評価基準

学生は、表示されたケアプランをピアレビューする。

21 22

○ポストテスト、○モジュールテスト、⑧ピアレビュー、⑨ポートフォリオ

薬物治療学アワード表彰の様子

ピア・レビューにより、最優秀ケアプランを「薬物治療学アワード」として表彰→モチベーションの刺激→学び合いの刺激

私立大学情報協会:名城大津

SBOs

1) 疾患 高血圧 を定義(診断基準)づけることができる。

診断の定義もしくは基準を何も見ないで説明できる。

診断の定義もしくは基準を何も見ないでおおよそ説明できる。

診断の定義もしくは基準をポートフォリオにある資料を用いて説明できる。

ポートフォリオに無いため、再度調査する必要がある。

2) 疾患 高血圧 の疫学について説明できる。

罹病率や疫学的特徴について何も見ないで説明できる。

罹病率や疫学的特徴について何も見ないでおおよそ説明できる。

罹病率や疫学的特徴についてポートフォリオにある資料を用いて説明できる。

ポートフォリオに無いため、調査する必要がある。

3) 疾患 高血圧 の病因が説明できる。病因について何も見ないで説明できる。

病因について何も見ないでおおよそ説明できる。

病因についてポートフォリオにある資料を用いて説明できる。

ポートフォリオに無いため、調査する必要がある。

4) 疾患 高血圧 の症状、リスクファクタ、合併症が説明できる。

症状、リスクファクタ、合併症について何も見ないで説明できる。

症状、リスクファクタ、合併症について何も見ないでおおよそ説明できる。

症状、リスクファクタ、合併症についてポートフォリオにある資料を用いて説明できる。

ポートフォリオに無いため、調査する必要がある。

5) 疾患 高血圧の治療ガイドラインを入手し、主な治療薬の薬効種類をあげることができる。

治療ガイドラインに収録されている主な治療薬の薬効種類を何もみないで挙げることができる。

治療ガイドラインに収録されている主な治療薬の薬効種類を何もみないで挙げることができる。

ポートフォリオにある治療ガイドラインを使って、主な治療薬の薬効種類を説明することができる。

ポートフォリオに無いため、調査する必要がある。

学習目標ポートフォリオ(モジュール学習で作成したコアタイムワークシート1,2,ケアプラン,各自資料、教員配布資料、使用した書籍や教科書)を振り返って、自己評価しなさい。

ルーブリック評価

プレゼンの反省

省察ケースの評価

23

e-ポートフォリオを利用して、学習内容を振り返り学習を行い、自己評価をするとともに知識の定着をはかる。

⑨e-ポートフォリオ

自分の学習の振り返り→知識の定着ケースの評価→FD

○ポストテスト、○モジュールテスト、⑧ピアレビュー、⑨ポートフォリオ私立大学情報協会:名城大津 私立大学情報協会:名城大津

24

SGD 貢献度

ケアプラン評価(グループ評価)

ポストテストモジュールテスト

ポートフォリオ(自己評価)、ピアレビュー

学修評価

個人の努力

SGDの評価

個人のSGD貢献

成績評価基盤

推薦+SGDの調査担当数、追加発言数

客観試験シミュレーション試験(紙)60%以上取得しないと、上2つは加算されな

い。

Page 7: 症例にもとづく - JUCEPBLカリキュラム 統合型 薬物治療学 私立大学情報協会:名城大津 モジュール学習 方略 PBL: Problem Based Learning ケース呈示→問題を識別→調査、自己学習

私立大学情報協会:名城大津

25

SGD 貢献度

ケアプラン評価(グループ評価)

ポストテストモジュールテスト

ポートフォリオ(自己評価)、ピアレビュー

個人の努力

SGDの評価

個人のSGD貢献

成績評価基盤

パフォーマンス

ハードとソフトスキルの統合したパ

フォーマンス

ルーブリック評価

私立大学情報協会:名城大津

26

平成21年

平成22年

平成23年

平成24年

平成25年

平成26年

71.8% 24.5% 2.7%0.5%

0.5%

71.4% 24.5% 1.5%0.5%

2.0%

67.3% 29.5% 0.5%0.5%

2.3%

72.4% 25.6%0.8%

1.2%

67.9% 29.6%0.4%

1.6%

77.1% 20.0%1.3%

1.7%

最終的に、ケアプランを作成してもらいましたが、これは、学習に効果的でしたか?

■非常に満足 ■満足 ■やや不満 ■不満

成果

私立大学情報協会:名城大津

27

43.6% 49.5% 4.8%1.1%

1.1%

54.6% 39.8% 3.1%0.5%

2.0%

46.1% 46.5% 3.7%0.5%

3.2%

65.0% 30.9%1.2%

2.8%

58.0% 35.4%2.5%

3.7%

67.1% 30.4%0.8%

1.7%

薬物治療学で行った「症例にもとづいたPBL形式での学習」は、総合的に見て満足のいくものでしたか?

平成21年

平成22年

平成23年

平成24年

平成25年

平成26年

■非常に満足 ■満足 ■やや不満 ■不満

私立大学情報協会:名城大津

28

0

1.0

2.0

3.0

4.0

50.0 55.0 60.0 65.0 70.0

ケアプラン評価点

グループのモジュールテスト平均点

学習成果

r=0.43(p=0.03)

第1~第3クールでは、相関なし

ケアプラン評価とモジュールテストの関係

グループワークの成果

個人の学習成果

ケアプラン評価とモジュールテストの関係ケアプラン評価とモジュールテストの関係

第4クール

PBLを重ね良いグループワークができると知識の習得に繋がることが示唆された。

Page 8: 症例にもとづく - JUCEPBLカリキュラム 統合型 薬物治療学 私立大学情報協会:名城大津 モジュール学習 方略 PBL: Problem Based Learning ケース呈示→問題を識別→調査、自己学習

私立大学情報協会:名城大津

29

国試得点率と「薬物治療学」の成績は、有意な“やや高い相関”がみられた(r=0.50, p=0.025)。さらに、薬剤師国家試験の合否と「薬物治療学」及び他の科目群の成績との関連をロジスティック回帰分析で検討したところ、「薬物治療学」のみが合否と関連する傾向があった(p=0.09, その他の科目群 p=0.27~0.89)。

外的指標:国家試験得点率(自己採点)

私立大学情報協会:名城大津

30

学生の声 薬物治療では、今まで話したことない人とグループになることが

多く緊張したが、8人で役割を分担したことで、責任感がうまれて積極的に参加できた。

みんなで分担して調べて共有することは効率も良いし、グループで話し合うことで、自分の知らなかったことやわからなかったことが明確になり、そしてそれを解決することができた。

こんな事を知っている同級生がいるんだ。こんな風に考えるんだと驚いた。刺激になった。

調べたことがネットにアップしてあると、それを印刷して共有の時間に重要なところをラインマーカーで引っ張っておいて、後でケアプランを話し合う時やモジュールテストの勉強に役立つ。

知りたい情報によって自分なりにツールを使い分けられるようになり、自分で調べものをすることが以前よりずっとうまくなった気がする。

「学べば学ぶほど、自分が何も知らなかった事に気づく、

気づけば気づくほどまた学びたくなる」

31

D実務実習事前学習

1年 2年 3年 4年 5年 6年

C 物理系薬学を学ぶ

G 薬学アドバンスト教育

A ヒューマニズムを学ぶ

C 化学系薬学を学ぶ

C 生物系薬学を学ぶ

C 健康と環境

C 薬と疾病

C 薬と社会

C 医薬品をつくる

全学共通教育

基礎薬学総論

B薬学入門

早期体験学習

文献購読セミナー

薬剤師国家試験

実用薬学科目群

薬学研究科目群

総合薬学研究総合薬学演習

応用薬学科目群

薬学特別講義

統合型

薬物治療学

実習で・・・・

実務実習

病院薬局

毎日記載している日誌を読

むと・・・・

私立大学情報協会:名城大津

32

60歳女性プレドニンを長期使用中で・・・

問題解決能力は向上した(問題点抽出、情報収集、評価、結論を出すことができるようになった)

60歳女性PBL

実務実習

学んだ知識・技能をアウトプットできない!

取り組みの背景 私立大学情報協会:名城大津

Page 9: 症例にもとづく - JUCEPBLカリキュラム 統合型 薬物治療学 私立大学情報協会:名城大津 モジュール学習 方略 PBL: Problem Based Learning ケース呈示→問題を識別→調査、自己学習

33

アウトプットできない!

考えられる!

アウトプット訓練のためのシミュレーションプログラム

e-PDEの開発

取り組み目標

チーム医療を担い、医療の質の向上に貢献できる薬剤師を育てるために!

私立大学情報協会:名城大津

さらなる工夫

アウトプットできる!

34

私立大学情報協会:名城大津

成果①シミュレーションプログラムe‐PDEの実装

私立大学情報協会:名城大津

35

成果①シミュレーションプログラムe‐PDEの実装私立大学情報協会:名城大津

36

E-PDE導入前後の客観試験の成績変化

Page 10: 症例にもとづく - JUCEPBLカリキュラム 統合型 薬物治療学 私立大学情報協会:名城大津 モジュール学習 方略 PBL: Problem Based Learning ケース呈示→問題を識別→調査、自己学習

37

時間割

月曜日 火曜日 水曜日 木曜日

ポストテスト(15分)発表:ケースプレゼンテーション

講義1:疾病概論(脇田)血圧のしくみ(病態生理)、高血圧の疫学、高血圧の診

断基準と症状、リスクファクタ、高血圧の病因、予防な

高血圧の治療ガイドライン解説、薬物療法以外の治

療法(代替療法を含む)

講義3:薬物療法概論2(灘井)降圧剤の体内動態的特徴(カルシウム拮抗剤、ACE阻害、ARB、β遮断、α遮断、利尿剤)と投与設計、相互作用、薬剤選択、相互作用

講義5:薬物療法概論5(原)物性、基本骨格による分類と作用・副作用、製剤 (カルシウム拮抗剤、ACE阻害、ARB、β遮断、α遮断利尿剤)

61、62 61 61 61

発表:ケースプレゼンテーションまとめ

プレテスト(15分)

講義2:薬物療法概論1(永松)血圧上昇の仕組みに対する降圧剤の作用機序(カルシウム拮抗剤、ACE阻害、ARB、β遮断、α遮断、利尿剤)

講義4:薬物療法概論3(大津)有効性モニタリングと副作用モニタリング、EBMトピック(カルシウム拮抗剤、ACE阻害、ARB、β遮断、α遮断利尿剤)

プレケースカンファレンスSGD:学習者は、LI②について学習した内容を持ち寄り、自主的なSGDを持ち、知識の共有を行う。

61、62(まとめ、プレテストは61集合) 61 61 117,303,305,306,403,405,406,407,66

コアタイム1ケース提示

学習者の視点からのプロブレム抽出とラーニングイシュー(LI①)の決定,分担、

調査。クラスレビュー分担、調査。

演習1:血圧測定とその評価

117,303,305,306,403,405,406,407,66 61,63,実習室

ピアレビュー、ポートフォリオ、e-PDE(モジュール終了後~次クール開始前日の11:59まで)

演習2:血圧測定とその評価

117,303,305,306,403,405,406,407,66 61,63,実習室 117,303,305,306,403,405,406,407,66

5 PBL PBL PBL PBL

薬物治療学時間割

ケースカンファレンス ケースのプロブレムファーマシューティカルケアプランの作成

コアタイム2: ケース分析LI①の知識知識をしっかり共有後、患者の抱えるプロブレムを抽出し、ラーニングイシュー(LI②)を決定、分担、調査。

1

2

3

4

PBLの行程の明示(プロダクト)

・学生が今何をすべきかが明確になり、自己管理がしやすくなった。大人数のPBLが可能

学習履歴をグループで共有

グループ財産として利用でき、教員も学習過程を確認できる。

24時間アクセス

学外学習時間の増加。

ーター不用

自己管理自己監督自己責任

38

コアタイムワークシート→分担、責任、学び合いの推進

プロブレム識別シート→薬剤師職能の意識づけ

ケアプランの作成(患者の問題点に対する解決策の提示)→薬剤師の責任に対する意識づけ

ピアレビュー、E-PDE→リフレクション

修得不足の軽減

学習格差の軽減

岩手医大FD:名城大津

39

ご静聴ありがとうございました。

fohtsu@meijo‐u.ac.jp