第2回...
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第2回
電磁気学と電磁波
電磁波工学
柴田幸司
講義ノート
この帯電が小さなゴミをひき付ける
→クーロン力
静電気と電磁波
+ρ
琥珀を布でこすると
琥珀→正に帯電
布→負に帯電
+ρ
+ρ
+ρ
但し、この電荷は移動しない→静電気
(正孔が沢山存在) (電子が沢山存在)
-ρ
E[V]の電位が発生
電荷が大きいと放電・服を脱いだ時・電子ライター・雷
全部同じ原理
電荷と電界・電位
ガラス棒 布でこする→ガラス棒の電子が布に移動
ガラス棒→正に帯電
布→負に帯電
+δ
-δ
+ +
糸 糸
+同士は反発する
+
糸 糸
-δ
+と-とは吸引する
・このような作用をする+、-の粒子(正孔と電子)
を電磁気学では電荷と呼ぶ
・また上記のような物体が移動する力をクーロン
力と呼ぶ
電荷の単位
・・・[c] クーロンで表す
+δ +δ +δ
→
クーロン力が作用する場が電界
電気力線の向きはプラスからマイナス
2枚の無限平板それぞれに電荷を与え
た場合にも平板間には電界が発生
+σ
-σ
+σ
-σ
+
-
電荷を与える為には、直流
電圧源を接続すればよい
電源による電荷の供給電荷と電界強度(平行金属板の場合)
*電界(強度)・・・電気力線の密度電界と電位差
+q
-q
+
-V[V]l E
今、間隔L離れた平行平板間にE[V/m]の電界が
一様に生じている場合、電極板間の電位差は
lEV となる。よって、電界強度は電圧とl を用いれば
lVE となる。
*電界の強さは、電束を作るために電束の長さ方向1m当たりに加わる電圧[V/m]であることを表している。
正孔
電子
[V/m]
lが狭いと電界強度は大きくなる
c(静電容量)
電極面積
A に比例
電極間距離 d に反比例d
A
コンデンサの働き
+q
-q
+
-
1. 平行金属板の両端に+、-の電位を
与えると、電荷と電界が発生
2. 導体板上に蓄えられる電気量Q[C]は 導体間の電圧に比例
3. 同じ電圧でも、Cの値が大きいほど大き
な電荷が得られる。
4. Cを静電容量と呼び電荷を蓄える能力
を表す。
VCQ
C →
導体板の形状や間隔などにより定まる
静電容量Cの単位
→[F](ファラッド)
1F ・・・
1Vの電圧で1Cの電気量が
蓄えられる静電容量の値
コンデンサ → 電気(電荷)が蓄えられるということ
d
A
平行平板の形状と静電容量との関係
誘電体
εrl
目的
面積がA[m2]の2枚の平板を距離 l を
隔てて対向させた場合の静電容量に
ついて考える
まず、2枚の導体板間にV[V]なる電圧を加
えた時に導体板上にQ[C]の電気量が蓄え
られたとすると
+
-V[V]l E Q[C]
なる関係がある。この時、導体板上の1m2
あたりの電気量をQ0とすると、この値は
AQQ 0 となる。これは
1m2あたり、Q/A[C]の電束が生じているこ
とになるので
VCQ
電荷
面積
AQD と表せる。一方、導体板間の電界強度電束密度D[c/m2]は
lVE
となることが知られている。さらに、
電束密度Dと電界強度Eとの関係
は
E[V/m]はガウスの法則より
・・・(1)
・・・(2)
ED 0 ・・・(3) となるので、(3)式に(1)、(2)式を代入すれば
lV
AQ
0 ・・・(4) を得る。よって、Qに関して整理すれば
lVAQ
0 ・・・(5) となる。よって、VQC に(5)式を代入すれば
lA
VlVAC
001
となる。なおこの値は真空中のものであり・・・(6)
1m2あたりの電束すなわち
ε0は真空中の誘電率であり ]/[10855.8 120 mF
となることが、分かっている。また、媒質によって実際の誘電率はεo ・εr
となりεr
は媒質の比誘電率と呼ばれ、媒質への電荷の集まり方と関連して
いる。一例として、さまざまな媒質の比誘電率は以下のような値である。
物質名 比誘電率
水
空気
水素
紙
80
1.00059
1.00026
2.0~2.6
物質名 比誘電率
パラフィン
ガラス
絶縁油
雲母
2.1~2.5
3.8~10.0
2.2~2.4
4.5~7.5
εrなる誘電媒質中においてはlA
VlVAC rr
001
・・・(6)
となる。
仮想空間 S 空間中に仮想された任意の閉局面Sから出て行
く電気力線の総数は、閉局面内に含まれる電荷
の総数の1/ε0となり
と表すことができる。
sqdSnE
0
1
n
E.θ
.
q
E.
ガウスの法則
電荷と電界の関係を表しているということ
+σ
-σ
S
d
dが狭いほど、Sが広いほど多くの電気
を蓄えることが出来る。
→コンデンサ、スーパーキャパシタ
静電界・磁界と電磁波
+電極
電極
i
+--++
i
誘電体による絶縁により充電後は電流は流れない
→変位電流は発生せず電磁波は放射しない
誘電体
VR に印加される電圧はE=i・R 一定であり、電線に流れる電流
も一定だから、電線の周りには
静磁界が発生→磁界が止まっていると
電磁波は放射しない
静磁界(磁場)
電線への直流電圧の印加
コンデンサへの
直流電圧の印加
電流(電荷の流れ)の周りに作用する場
+ρ
-ρ
電池(電荷の源)を
使い、電線に電流
を流すと?金属中における電子の流れ
+ + + + +
+ + + + +
自由電子
- +
静電界(電場)
電荷の間に
存在する場
VR
R
電極
電極
i
-+
i
誘電体
電線の周りに磁界が発生。さらに変位電流により、その近傍に電界が発生。ループが共振状態なら
→電磁波の空間への放射
電線への交流電圧の印加
コンデンサへの
交流電圧の印加
磁界 電界 磁界
誘電体の内部で変位電流が発生しその近傍に電界が発生する平行平板が共振状態なら
→電磁波の空間への放射
なぜ交流は空間に飛び出すのか?ル
ープ長
をn・
λ/2にすると共
振して放
射
ファラデーの法則
アンペアマクスウェル
+
-
アンペア+変位
電流ならiが無く
ても電界から磁
界が発生
+
-共振する寸法だとより放射
変位電流
磁界
電界磁界
アンペアマクスウェル
ファラデー
アンペアマクスウェル
磁気と電流(アンペアの右ネジの法則)
・電気が流れると、その周囲(回転方向)に磁界が発生
・電流が右ネジの方向に流れると、磁界はネジの回る方向に発生
・電流が右ネジを回す方向に環状に流れると、磁界は右ネジの進む方向に発生
(電流→磁界)
磁界H
電流 I 磁界H
電流 I
・電流は+電極から-電極へ流れる(電子は-から+へ流れる)
・電流の周りに磁界が発生
+-
I
H
電位と電流と磁気
HdlI
磁界とは
磁気によって作られる場(クーロン力の作用する場)
N S-+
S N S N
吸引力
+- +-
S N N S
反発力
+- -+
(その際、クーロン力を生じる)
+ -電磁石
N S
吸引力(クーロン力)
N S-+
磁石
磁束Φ
電流による磁場(磁界)
磁石と力+の磁荷-の磁荷
+の磁荷 -の磁荷
+ -
ファラデーの法則
N巻の導線回路に鎖交する磁束Φが時間的に変化すると、回路に は磁束の変化を妨げる回転方向に起電力が発生(電圧eが誘起)
tN
dtdNe
磁束の時間変化電圧
磁束Φ
誘導電流I
磁界
→
電流→逆の向きに起電力
巻数
起電力の向き
コイルの働き
tIL
dtdILe
電流の時間変化電圧(起電力)
1. 電流を流すと磁束が発生
2. これにより誘導起電力eが発生
→
自己誘導と呼ぶ
3. 自己誘導の大きさを表すもの→
自己インダクタンス(L)と呼ぶ
Lの決定
→
コイルの巻数と形状により定まる
tN
dtdNe
磁束の時間変化電圧
+ -
磁束Φ磁束Φ
誘導起電力 e
I
・・・(1)・・・(2)
Lが大
→
大きな起電力
しかし、これらの方程式は電流の向きと起電力(磁束)の向きとの関係を表現し
ていないことを理解する必要がある。
コイルに生じる誘導起電力eは、電
流の変化する時間的な割合に比例N巻の導線回路に鎖交する磁束Φの時
間変化により、回路には磁束の変化を妨
げる回転方向に起電力が発生(電圧eが 誘起)
自己インダクタンスLを大きくする方法
+ -
磁束Φ磁束Φ
誘導起電力 e
+ -
磁束Φ磁束Φ
誘導起電力e
空心コイルでも、磁束、誘導起電力は発生 鉄心を入れると、同じ起磁力に対して透磁率
に比例して磁束が多くなる。→自己インダクタ
ンスLも大きくなる。
直線導体にも自己インダクタンスは存在
自己インダクタンスLの単位
→
[H] ヘンリー
1H →
1秒間に1Aの電流変化があった時、コイルに1Vの起電力を生ずる
自己インダクタンスのこと
+ -
磁束Φ磁束Φ
誘導起電力 e
I
N回巻
となるが、コイルにI[A]流れてコイルと鎖交する磁束がΦ[Wb]となる場合、電
流と磁束の変化分はIとΦが比例する範囲ではΔΦをΦ、ΔIをIに置き換えて
tN
tIL
(1)、(2)式を連立させることに
より
NIL
ILN となる。従って、自己インダクタンスL[H]は
INL
となり、コイルに
I[A]の電流が流れている時の磁束鎖交数NΦ[Wb]の値が分かれば、もしくは
巻数Nは既知で磁束Φ[Wb]を観測できれば、コイルの自己インダクタンス
L[H]の値を計算で求めることが出来る。
インダクタンスLと磁束φとの関係
静電界・磁界と電磁波
+電極
電極
i+
--
++
i
誘電体による絶縁により, 電界は出来るが電流は流れない
誘電体
電線の周りに静磁界が発生しかし、電磁波は放射しない
磁界
電線への直流電圧の印加 コンデンサへの直流電圧の印加
電極
電極
i
-+
i誘電体
電線の周りに磁界が発生し、変位
電流により、その近傍に電界が発生→電磁波の空間への放射
電線への交流電圧の印加 コンデンサへの交流電圧の印加
磁界 電界磁界
誘電体の内部で変位電流が発生し、その近傍に電界が発生→電磁波の空間への放射
電磁波
電界と磁界が直交している
より効率の良い空間への飛ばし方
20
ダイポールアンテナ
オープン
ショート
40
40
電磁波を棒で共振(往復)させて空間に出しやすくする
パラボラアンテナ
鏡面を利用すれば一方向のみに放射
では、この空間における電磁波の放射(伝搬または時間変化を 伴う移動)を表現する方程式は?→マクスウェルの方程式
1. ファラデーの法則と
2. アンペアの法則に変位電流を追加した式の連立方程式
→空間での回転を表現するためベクトルにて表現
20
20
平行平板の寸法が
共振構造の場合
周波数が高ければ小さな
構造でも放射しやすい
20n だと周方向に共振しやすい
→放射しやすい
アンペアの法則
+
変位電流
=アンペアマクスウェル
電線の回転方向
に磁界が変化
ファラデーの法則
磁界の回転方向
に電界が変化
電界の回転方向
に磁界が変化
マクスウェルの法則=ファラデーの法則+アンペアマクスウェルの法則
→ベクトル連立方程式
電流と磁気を利用した電気製品
・スピーカ、マイク、モータ
ファラデーアンペア
・電磁調理器
コイル磁力線 磁力線
鍋(鉄)
うず電流
・コイルに電流を流すと磁力線が発生
・鍋の金属中にうず電流が発生
・金属の抵抗成分により熱が発生
粒子
量子論から見た物質からの光(電磁波)の放出
電池
電熱線に電流を流すと光= 電磁波 を発生
光(電磁波)の正体は
何?
波動
なぜ光(電磁波)を放
出するのか?
熱放射
光の色(周波数)
が温度に関係
光の色(周波数)
と温度の関係を表す式は?
原子の性質
(ボーアの仮説)
原子核の周囲を円運動している電子に
は、幾つかの限られた飛び飛びの安定
軌道だけが許される。すなわち、電子の
角運動量Lは
n=1n=2
n=3n=4
1. 量子条件
原子がエネルギーEaの安定状態からEb
の安定状態(Ea >Eb )に移るときに光(電
磁波)を放出し、逆に移るときに吸収する。
そして、放出または吸収される光の振動
数は次式で与えられる。
2. 振動数条件
ba EEfh (9)
で表される。また、この軌道を回ってい
る限り外部に光(電磁波)を放出するこ
とない。この状態を安定状態という 。
2hnvrmL (4)
水素原子の放射する光スペクトル
)11( 22ab nn
cRf
n=1n=2
n=3n=4
ライマン系列
バルマー系列
パッシェン系列 紫外線可視光赤外線
ライマン系列
バルマー系列
パッシェン系列
nb = 3 2 1
光(電磁波)の解釈のまとめ
古典電磁気学
→
光(電磁波)は波動と考える
マクスウエル
・・・
上記2式に変位電流を追加し、電磁波の存在を予言
ファラデー・アンペール
・・・
静電・磁界に関する実験式を導出
レンツ
・・・
実験により電磁波の存在を確認
誘導電流
量子力学
→
光(電磁波)は光子が波動的に振舞うものと考える
発生方法にみる電磁波の分類
低周波電磁界 ・・・誘導起電力(発電機)など
直流磁界
・・・直流電源+電磁石または永久磁石
直流電界
・・・直流電源+コンデンサ構造(電位差)
S N+-
U
V
W
回転子
鉄心
固定子
高周波~マイクロ波
・・・トランジスタ、FETなどによる発振回路、マグネトロンによる直接発振
ミリ波
・・・ガンダイオード、インパットダイオードなどによる直接発振
+n+
n+n-GaAs
-
VBB誘電体共振器
VCC
トランジスタ
マイクロ波出力
ある特定周波数の
みをフィードバック
+
-
サブミリ波~光波
・・・半導体構造(LED,レーザLED)など
出力光 h・fn (Alx
Ga1-x As)
電極
電極
(a).pn接合半導体レーザ
反射鏡
透過形反射鏡
p+ (Alx
Ga1-x As)
p (GaAs)
出力光 h・f
n (Alx
Ga1-x As)
電極
電極
(b).LEDの構造
p+ (Alx
Ga1-x As)
p (GaAs)
電極
その軌道を回ってい
る間は、光を出さない
電磁波(エネル
ギー)
エネル
ギー大
エネル
ギー小
金属に電流を流すと金属原子中
の電子が軌道間を移動
エネルギーの大きい外側の軌道からエネルギー
の小さい内側へ移る時に光
(電磁波)を放出
電子の移動する軌道によって放出する光(電
磁波)の色 (周波数)
が異なる
放射線
・・・核融合・核分裂(放射性物質からの放出)
上に行くほど電子密度が高い
等価的な誘電率
周波数の違いによる伝搬の性質