電磁石のはたらき 電磁石の導線に電流を流して、電...

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1.単元名 電磁石のはたらき 2.単元目標 電磁石の導線に電流を流して、電磁石の強さの変化をその要因と関係づけながら調べ、電流 のはたらきについての見方や考え方をもつようにするとともに、見いだした問題を追究した り、ものづくりをしたりする活動を通して電流のはたらきを多面的に追究する能力を育てる。 3.評価規準 4.科学的な見方や考え方を育む単元構想 (1)主体的協働的な探究から獲得させたい概念 自然事象への関心・意欲・態度 科学的な思考・表現 観察・実験の技能 自然事象についての知識・理解 ・電磁石の導線に電流を流 したときに起こる現象 に興味・関心をもち、自 ら電流の働きを調べよ うとしている。 【関1】 電磁石の性質や働きを 使ってものづくりをし たり、その性質や働き を利用した物の工夫を 見直したりしようとし ている。 【関2】 ・電磁石に電流を流したと きの電流の働きの変化 とその要因について予 想や仮説をもち、条件に 着目して実験を計画し、 表現している。 【思1】 ・電磁石の強さと電流の 強さや導線の巻数、電磁 石の極の変化と電流の 向きを関係付けて考察 し、自分の考えを表現し ている。 【思2】 ・電磁石の強さの変化を調 べる工夫をし、導線など を適切に使って、安全で 計画的に実験やものづ くりをしている。【技1】 ・電磁石の強さの変化を 調べ、その過程や結果を 定量的に記録している。 【技2】 ・電流の流れているコイ ルは、鉄心を磁化する 働きがあり、電流の向 きが変わると、電磁石 の極が変わることを理 解している。 【知1】 ・電磁石の強さは、電流 の強さや導線の巻数に よって変わることを理 解している。 【知2】 5年 「電流の働き」 電流の流れているコイルは、鉄心を 磁化する働きがあり、電流の向きが 変わると、電磁石の極が変わる。 電磁石の強さは、電流の強さや導線 の巻数によって変わる。 電磁石のはたらき ●電流には磁力を発生させるはたらきがある。 ●コイルに鉄心を入れて電流を流すと鉄心は磁化 されて磁石になる。 ●電流の向きを変えると電磁石の極が変わる。 ●コイルの巻数を多くしたり電流を強くしたりす ると電磁石は強くなる。

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Page 1: 電磁石のはたらき 電磁石の導線に電流を流して、電 …(2)単元の流れ(全12時間) 2 評価:思1 電流の、向きを変えると電磁石の極が変わる。

1.単元名 電磁石のはたらき

2.単元目標 電磁石の導線に電流を流して、電磁石の強さの変化をその要因と関係づけながら調べ、電流

のはたらきについての見方や考え方をもつようにするとともに、見いだした問題を追究した

り、ものづくりをしたりする活動を通して電流のはたらきを多面的に追究する能力を育てる。

3.評価規準

4.科学的な見方や考え方を育む単元構想

(1)主体的協働的な探究から獲得させたい概念

自然事象への関心・意欲・態度 科学的な思考・表現 観察・実験の技能 自然事象についての知識・理解

・電磁石の導線に電流を流

したときに起こる現象

に興味・関心をもち、自

ら電流の働きを調べよ

うとしている。 【関1】

・電磁石の性質や働きを

使ってものづくりをし

たり、その性質や働き

を利用した物の工夫を

見直したりしようとし

ている。 【関2】

・電磁石に電流を流したと

きの電流の働きの変化

とその要因について予

想や仮説をもち、条件に

着目して実験を計画し、

表現している。 【思1】

・電磁石の強さと電流の

強さや導線の巻数、電磁

石の極の変化と電流の

向きを関係付けて考察

し、自分の考えを表現し

ている。 【思2】

・電磁石の強さの変化を調

べる工夫をし、導線など

を適切に使って、安全で

計画的に実験やものづ

くりをしている。【技1】

・電磁石の強さの変化を

調べ、その過程や結果を

定量的に記録している。

【技2】

・電流の流れているコイ

ルは、鉄心を磁化する

働きがあり、電流の向

きが変わると、電磁石

の極が変わることを理

解している。 【知1】

・電磁石の強さは、電流

の強さや導線の巻数に

よって変わることを理

解している。 【知2】

5年

「電流の働き」

ア 電流の流れているコイルは、鉄心を

磁化する働きがあり、電流の向きが

変わると、電磁石の極が変わる。

イ 電磁石の強さは、電流の強さや導線

の巻数によって変わる。

電磁石のはたらき

●電流には磁力を発生させるはたらきがある。

●コイルに鉄心を入れて電流を流すと鉄心は磁化

されて磁石になる。

●電流の向きを変えると電磁石の極が変わる。

●コイルの巻数を多くしたり電流を強くしたりす

ると電磁石は強くなる。

Page 2: 電磁石のはたらき 電磁石の導線に電流を流して、電 …(2)単元の流れ(全12時間) 2 評価:思1 電流の、向きを変えると電磁石の極が変わる。

(2)単元の流れ(全12時間)

1次 1本の導線に電流を流してみよう。①②

評価:関1

●電流には磁力を発生させるはたらきがある。

●コイルに鉄心を入れて電流を流すと鉄心は磁化されて磁石になる。

2次 電磁石には、ぼう磁石と同じようにN極と S極があるのだろうか。③④⑤

評価:思1 思2 知1

●電流の、向きを変えると電磁石の極が変わる。

3次 電磁石を強くするにはどうすればよいのだろうか。⑥⑦⑧

評価:思1 思2 技2 知2

●コイルの巻数を多くしたり電流を強くしたりすると電磁石は強くなる。

4次 電磁石のとくちょうを生かして,おもちゃづくりをしよう。⑨⑩⑪

評価:関2 技1

5次 電磁石は,私たちの身の回りでどのように活用されているのだろうか。⑫

評価:関2

電磁石って磁石と同じなのかな?

電磁石をもっと強くすることはできないかな?

電磁石のはたらきでおもしろいものが作れそうだぞ。 作ってみたいな。

電磁石は、電流の強さや巻数を調整することで極の向きや強さを変えることができるんだね。 身の回りのたくさんのものに使われているね!

Page 3: 電磁石のはたらき 電磁石の導線に電流を流して、電 …(2)単元の流れ(全12時間) 2 評価:思1 電流の、向きを変えると電磁石の極が変わる。

5.科学的な見方や考え方を育み、有用感を高めるための手立て

(1)科学的な見方や考え方を育むための手立て

内容の系統 手立て ①1本の導線から磁力が生まれることへの驚き

や不思議さを探究・追究の原動力にしていく。

導入で1本の導線に電流を流し、磁力が発生

する事象そのものに出会わせ、電磁石の性質

や働きの根本にある「電流が流れると磁力を

発生させること」に目を向けさせる。

②目に見えない電流と磁力を言葉や図に表現し

て、電磁石の性質や電流のはたらきについて

考えていく。

今まで電流と磁力は別々のものとして学習し

ているが、本単元では電流と磁力を関係付け

て電磁石の働きと性質をとらえなくてはなら

ない。そこで、目に見えない電流と磁力の存

在をとらえられるようにしていく。

電流の働き 5

エネルギーの変換と保存

電気の通り道 3

電気の働き 4

電気の利用 6

電流 中 2

電流と磁界 中 2

電磁石のはたらき

●電流には磁力を発生させるはたらきがあ

る。

●コイルに鉄心を入れて電流を流すと鉄心

は磁化されて磁石になる。

●電流の向きを変えると電磁石の極が変わ

る。

●コイルの巻数を多くしたり電流を強くし

たりすると電磁石は強くなる。

エネルギー 中 3

乾電池1個分のとき 乾電池2個分のとき

電流 磁力

針が動いたから 導線が磁石になったんじゃないかな?

本当に磁石なのかな?

やっぱり磁石になっている

クリップはつかないね

もっと強く できないかな?

Page 4: 電磁石のはたらき 電磁石の導線に電流を流して、電 …(2)単元の流れ(全12時間) 2 評価:思1 電流の、向きを変えると電磁石の極が変わる。

(2)有用感を高めるための手立て

①電磁石の特性について振り返り、ものづくりを通して電磁石のよさを実感することができるようにする。

まずは、電磁石の特性をものづくりに生かすために、学んできたことをふり返る。

そして、ものづくりのなかで、磁力を強くするという視点だけでなく,適切な磁力を発生させるという活動を重視することで、「強さを調整・調節できる」という考えを確かなものにしていく。

②今までに学んだ電磁石が、その特性を生かして、身の回りでどのように使われているかを調べることで、活用できるという実感を育む。

身の回りのものを分解したり、映像資料を見たりすることで、数多くのものに使われていること、用途によって様々な大きさ・強さのものが使われていることに気づいていけるようにする。

手立て

電流が流れると磁石の力が生まれるんだ!

極や強さを変えることができるね

オン・オフができる

極や強さを自分で調節できるんだね!

使うものによって電磁石の大きさが違っているよ。 使い方に合った電磁石の強さにしているんだね。

電磁石は、身の回りのたくさんのものに使われているんだね。

釣りゲームやクレーンゲームを作ってみたいな。

釣りゲーム クレーンゲーム

本当に電磁石が入っている!

モーターには 電磁石が入って いるんだね。

重たい鉄を運ぶ ために、こんなに大きな 電磁石が使われているんだね。

携帯電話には、 こんなに小さな電磁石 が入っているんだ!

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6.各時の展開(1・2/12時間)

(1)目標

・電磁石の導線に電流を流したときに起こる現象に興味・関心をもち自ら電流の働きを調べようとしている。

(2)展開

学習活動 ☆指導・支援 ※留意点 評価

1.今までの電気の学習で学んだことを確認する。

・回路ができると電流が流れて、豆電球の明かりがつ

くよ。

・電流が流れるとモーターを回すことができる。

・直列つなぎだと、モーターは速く回るよ。

・並列つなぎだと長い時間モーターが回るんだね。

・乾電池の+極と-極を入れ替えるとモーターは逆に回ったね。

2.1本の導線に電流を流すと方位磁針が反応するかを試す。

・方位磁針の針が動いたよ。

・針が動いたから、導線が磁石になったんじゃないか

な。

・磁石だとしたら、クリップもひきつけるのかな。

・砂鉄もひきつけるのかな。

・方位磁針はひきつけるのに、クリップや砂鉄はひきつけないよ。

・クリップをひきつけないのは、磁石の力が弱いからかな。

・もっと磁石の力を強くできないかな。

3.どうすれば、磁石の力をもっと強くできるか考え、試す。

・乾電池を増やそう。

・束ねてみよう。

・ねじって固めてみよう。

・何かに巻き付けよう。

・まだ、クリップはつかないな。

・何かに巻き付けると方位磁針の反応が強くなったよ。

・何かを中に入れてみよう。

・ハサミを入れるとクリップがついたよ。

・この仕組みを電磁石っていうんだね。

・今まで使っていた磁石と同じ磁石なのかな。

・もっと強くならないかな。

4.コイルに鉄心を入れて電流を流したときどんなことが起きているのかを図や文で表現する。

・電流が流れるとコイルの中の鉄は磁石になるんだね。

☆子どもからでないものは、実際にやってみて前学年までの既習を思い出せるようにする。

☆豆電球、モーター、簡易検流計を使うと電流が流れていることが分かることを確認する。

☆1本の導線と乾電池1つを用いた回路に電流を流して演示する。

※エナメル線1m程度 単一乾電池1個

乾電池ホルダー スイッチを準備する。

※子どもたちが行うときには、ショート回路になるので、10秒間と時間を決めるなど安全面に配慮する。

☆ごく微弱な磁界が発生していることに、全員が気付けるように、十分時間をとる。

※子どもたちからのクリップや砂鉄、棒磁石を使いたいという思いにこたえられるように準備しておく。

☆乾電池を増やすという考え方は、後の実験につながるので、価値づけしながらもここでは、1個の乾電池と1本の導線のままで磁力を強くする方法を操作の中から考えていけるようにする。

☆中に鉄を入れるという発想が、児童から出ない場合には、磁石について思い出す時間をつくり、鉄がひきつけられることを想起させる。

☆導線を同じ向きに何回も巻いたものをコイルといい、コイルの中に鉄心を入れ、電流を流すと鉄心が磁化される仕組みを電磁石ということを確認する。

☆気づきや疑問を整理する中で今後の見通しがもてるようにする。

☆イメージ図を用いることで、見えないものを可視化する。電流が流れると磁界が発生することやコイルの中の鉄心が磁化されることを表現している児童を取り上げ、共有できるとよい。

1本の導線に電流を流してみよう。

電磁石の導線に電流を流したときに起こる現象に

興味・関心をもち自ら電流の働きを調べようとし

ている。【関1】

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1本の導線に電流を流してみよう

今まで子どもたちが目にしてきたものから学習をはじめる。

① 束ねる ②ねじって固める ③巻きつける

中にくぎやはさみをいれ

るとクリップがひきつけ

られるようになるよ!

方位磁針が動いたよ!!!

だけど鉄はひきつけられない・・・

磁石になっているのかな???

反応はあまり見られないよ。 反応しているよ!

もっと強くする方法はないか

な?

中に鉄を入れるという発

想がない場合、3 年生の学

習をふりかえって「鉄は磁化

する」ということを想起する

時間をとるとよいでしょう。

【準備物】

導線1m スイッチ

単一乾電池 方位磁針

乾電池ホルダー

イメージ図

電流が流れることで、中の鉄

心が磁石の力をもつんだね。

電流が流れると磁界が発

生することやコイルの中の鉄

心が磁化されることを表現し

ている児童を取り上げ、共有

できるとよいですね。

導線を同じ向きに何回も巻い

たものを「コイル」、「コイル」に

鉄心を入れ電流を流した状態の

ものを「電磁石」ということを確

認しましょう。

Page 7: 電磁石のはたらき 電磁石の導線に電流を流して、電 …(2)単元の流れ(全12時間) 2 評価:思1 電流の、向きを変えると電磁石の極が変わる。

(3・4・5/12時間)

(1)目標

・電磁石に電流を流した時の極の変化とその要因について予想や仮説をもち、条件に着目して実験を計画し表現する。

・電磁石の極の変化と電流の向きを関係付けて考察する。

・電流の向きが変わると、電磁石の極が変わることを理解する。

(2) 展開

学習活動 ☆指導・支援 評価

1.前時を振り返り、実験で使う電磁石をつくってみて、

本時の学習問題について確認する。

・棒磁石は極があったけど、電磁石にもあるのかな。

・電磁石にもN極S極があるのか調べてみよう。

2.電磁石にも極があるかどうか予想し、実験の計画を立

てる。

・鉄心の先にクリップがついたから、棒磁石のようにN極

やS極があると思う。

・電磁石に方位磁針を近づけたら、N極やS極があるか調

べられると思う。

・コイルの巻き数は100回にしよう。

3.電磁石に N極・S極があるか調べる。

・方位磁針の決まった針がひきつけられた。

・同じ極同士はひきつけあうよ。

・電磁石にもN極・S極があるんだね。

・私の電磁石と、A さんの電磁石は、方位磁針が示す針の

向きが違うね。

・乾電池の向きが違ったんじゃないかな。

・4年生で乾電池の向きを変えると、電流の向きが変わる

ことを学習したよね。

・電流の向きが変わると、N 極、S 極も変わってくるのか

な。やってみたい。

4.乾電池をつなぐ向きを変えて、電流の向きを逆にする

とどうなるか調べ、考えをまとめる。

・乾電池の向きを変えると、方位磁針の針の向きも逆にな

った。

・電流の向きが変わると、N極 S極が入れかわるんだ。

5.棒磁石と比較しながらまとめをし、振り返りをする。

・電磁石には、棒磁石と同じように、両端に N極と S極が

ある。

・電磁石は、棒磁石とちがって、電流の向きを逆にすると、

N極と S極が入れかわる。

・次はもっと強い電磁石をつくる方法を考えてみよう。

☆前時までに行った活動の記録を掲示し、本時の活動について

見通しをもてるようにする。

☆棒磁石の性質を確認し、比較するようにする。

☆棒磁石と比較しながら、問題に対応した予想や予想を確かめ

る実験方法の工夫について話し合わせる。

☆方位磁針の針の向きに規則性があるか事前に調べておく。

☆コイルを巻く向きが違うと極の向きも逆になり、話し合いが

混乱することがあるので、巻き方を統一する。

☆同じにする条件として、電磁石の向きを確認する。視覚的に

わかるよう、実験をセットしたものを拡大提示装置で提示し

ておく。

☆発熱による火傷の危険性を伝える。

☆実験結果をすばやく記録するために、図がかかれたワークシ

ートを配付する。

☆実験結果のずれを考えさせることで、電池の向きを変えると

いう要因を導き出し、新たな実験につなげていく。

☆3・4年生で学習した電気について想起できるようにし、既

習を生かして考えられるようにする。

☆変える条件として乾電池の向きとするので、話し合う際に向

きがわかりやすいよう、電磁石の向きを統一するようにす

る。

☆棒磁石と比較して、考えをまとめていくことを促す。

☆次時の活動を確認する。

電磁石には、ぼう磁石と同じようにN極と S極があるのだろうか。

電磁石の極の変化と電流の向きを関係付けて考察し、自分の

考えを表現している。【思2】

電流の向きが変わると、電磁石の極が変わることを理解して

いる。【知1】

電磁石の極の変化について、条件に着目して実験を計画し、

表現している。【思1】

Page 8: 電磁石のはたらき 電磁石の導線に電流を流して、電 …(2)単元の流れ(全12時間) 2 評価:思1 電流の、向きを変えると電磁石の極が変わる。

条件制御の観点から、エナメル線は100回巻・200回

巻ともに同じ長さのものを使う。もし200回巻のコイル

がはじめから巻いてあるキットの場合は、100回巻用の

エナメル線の長さが200回巻のコイルと同じ長さなのか

どうかを業者や販売元に確認したほうがよい。また、余っ

たエナメル線は右下のように束ねて扱うとよい。

電磁石には、ぼう磁石と同じようにN極とS極があるのだろうか?

電磁石づくり

条件制御しながら問題解決していくための電磁石(キット)

・電磁石用ボビン×2

・鉄心×2

・エナメル線

・紙やすり

・乾電池ホルダー×2

・単一乾電池×2

・方位磁針

(合計550円)

方位磁針を使うと極がわかるね

N S

方位磁針のN極が引きつけられているのはS極

で、反対側はN極だね。

N S

ポイント

コイルの巻き方を統

一することで、児

童は電流(乾電池)

の向きに着目する

ことができます。

電磁石もぼう磁石もN極・S極があるんだね。

だけど・・・

電磁石のN極とS極が人によって違うのはなぜだろう?

乾電池ホルダーは、金具がスプリングのものよりツメがあ

るものの方がよい。乾電池を入れ替える際に扱いやすい。

+ - -

S N

電流の向きが違うからだ!

電流を反対にすれば極が入

れかわるんだね。

しりぞけ合った!

引きつけ合った!

Page 9: 電磁石のはたらき 電磁石の導線に電流を流して、電 …(2)単元の流れ(全12時間) 2 評価:思1 電流の、向きを変えると電磁石の極が変わる。

(6/12時間)

(1)目標

・電磁石に電流を流したときの電流の働きの変化とその要因について予想や仮説をもち,条件に着目して実験

を計画し,表現する。

(2)展開

学習活動 ☆指導・支援 評価

1.本時の学習問題を確認する。

2.電磁石を強くする条件を予想する。

巻数に関する予想

・何回も巻いたら、電磁石が強くなったから、巻く回数を増

やせば強くなるんじゃないかな。

電流の強さに関する予想

・4年生の時、乾電池を 2個直列つなぎにしたらモーターカ

ーが速く走ったから、乾電池を 2個直列につなげばいいと

思う。

その他

・鉄心を太くすればいいと思うよ。

・導線を太くすればいいんじゃないかな。

3.実験の計画を立てる。

・コイルの 100回巻きと 200回巻きで比べればいいと思う。

・電流を強くすればいいと思う。

・乾電池を 2個直列つなぎにして、クリップがついた数で調

べられるね。

・極のはしの部分にクリップをつけよう。

・電流の強さが関係していると思うから、電流の強さをはか

れないかな。

・1回では、正確にはかれないから、平均で求めよう。

・とびぬけた数値は計算に入れないようにしよう。

4.電源装置と電流計の使い方を知る。

・電源装置の目もり一つ分は、乾電池 1個分と同じだね。

・電流計は5A端子から順番につながないとだめなんだ。

・電流計と電源装置は全てがつながっていないと回路になら

ないね。

☆1・2時間目に試したことをふり返る時間

を設ける。

☆鉄心や導線の太さに関しては、発展で扱う

こともできる。

☆電流の強さを計れる電流計があることを伝える。

☆同じ条件としてクリップをつける場所を

確認する。

☆定量的な実験を行うために電源装置を使

用することを伝える。

☆正確な実感結果を得るために次のような

ことを確認したい。

①数値を複数回とる。

②とびぬけた数値は除いて平均を出す。

☆実験方法は資料ページ参照。

☆視覚的に分かりやすいように、つなぎ方を

示した拡大掲示物を使用し、説明する。

実験①コイルのまく回数を増やすと電磁石は強くなるのか。

実験②電流を強くすると電磁石は強くなるのか。

電磁石に電流を流した時の電流の働きの

変化とその要因について予想や仮説をも

ち,条件に着目して実験を計画し,表現

している。【思1】

電磁石を強くするにはどうすればよいのだろうか。

Page 10: 電磁石のはたらき 電磁石の導線に電流を流して、電 …(2)単元の流れ(全12時間) 2 評価:思1 電流の、向きを変えると電磁石の極が変わる。

(7・8/12時間)

(1)目標

・電磁石の強さと電流の強さや導線の巻数を関係付けて考察し,自分の考えを表現する。

・電磁石の強さの変化を調べ,その過程や結果を定量的に記録する。

・電磁石の強さは,電流の強さや導線の巻数によって変わることを理解する

(2)展開

学習活動 ☆指導・支援 評価

1.前時を振り返り、本時の実験計画を確認する。

2.それぞれの実験について予想する。

実験①

・巻数を増やすから、鉄心により電磁石の強さが集まると思う。

実験②

・電流の強さを強くしたら、モーターカーも速く走ったから、

電磁石の強さも強くなるんじゃないかな。

3.電磁石が強くなるかどうか調べる。

実験①

・コイル 100巻きの時はクリップが平均 6個ついたね。

・コイル 200巻きの時はクリップが平均 13個ついたね。

実験②

・乾電池 1 個分の時には、0.8A でクリップが平均 6 個ついたね。

・乾電池 2 個分の時には、1.5A でクリップが平均 12 個ついたね。

4.結果から考察する。

・乾電池 2個分の電流にしたら、クリップがつく数が増えた。

・コイルの巻数を増やしたら、クリップのつく数が増えた。

・電流が流れれば流れるほど電磁石の強さが強くなる。

・コイルの巻数が増えるほど、電磁石の強さが強くなる。

・乾電池2個でコイルの巻数が200回だったら、もっと強

くなるんだろうな。

5.クラス全体で共有し、ふりかえりをする。

・コイルの巻く回数を増やすと電磁石は強くなるんだね。

・コイルの巻数を変えることで、電磁石の強さを変えること

ができるんだね。

・電流を強くすると電磁石は強くなるんだね。

・電流の強さを変えることで、電磁石の強さを変えることが

できるんだね。

☆言葉や図で表現するように声をかける。

☆図に描けるようなワークシートを用意する。

☆電流の強さと関連して考察するよう伝える。

☆導線の巻数と電流の強さを関係付けて考

えをまとめていくよう促す。

☆考察は、言葉だけでなく、図などを用いて

考えを表現できるように声をかける。

☆この後の電磁石を使ったものづくりや、身

の回りでどのように電磁石が使われてい

るかの学習につなげていくために、「電磁

石の強さを変えることができる」というこ

とに気付かせたい。

実験①コイルの巻く回数を増やすと電磁石は強くなるのか。

実験②電流を強くすると電磁石は強くなるのか。

電磁石の強さは,電流の強さや導線の巻数

によって変わることを理解している。【知2】

電磁石の強さの変化を調べ,その過程や

結果を定量的に記録している。【技2】

電磁石の強さと電流の強さや導線の巻数を

関係付けて考察し,自分の考えを表現してい

る。【思2】

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ワークシート案

電池の数 1個 2個

予想

クリップ

の数

つくクリップの数は

個ぐらい

つくクリップの数は

個ぐらい

1回目 2回目 3回目 平均 1回目 2回目 3回目 平均

電流の

強さ

A

A

A

A

A

A

A

A

結果

クリップ

の数

ワークシート案

巻数 100回巻き 200回巻き

予想

クリップ

の数

つくクリップの数は

個ぐらい

つくクリップの数は

個ぐらい

1回目 2回目 3回目 平均 1回目 2回目 3回目 平均

電流の

強さ

A

A

A

A

A

A

A

A

結果

クリップ

の数

電磁石を強くするにはどうすればよいのだろうか

予想

・乾電池の数を増やす

⇒電流の強さを強くする

電流計で調べる

・コイルのまき数を増やす

⇒100回まき・200回まき

使っていると弱くなる 方法

電源装置

(1個分・2個分)

電流計

電源装置

電磁石の強さはクリップ

のついた数ではかろう

変える条件 電流の強さ 変えない条件 コイルのまき数

電磁石 (100回まき)

電源装置

(1個分)

電流計

電磁石(100回まき・200回まき)

変える条件 コイルのまき数 変えない条件 電流の強さ

Page 12: 電磁石のはたらき 電磁石の導線に電流を流して、電 …(2)単元の流れ(全12時間) 2 評価:思1 電流の、向きを変えると電磁石の極が変わる。

≪コイルの巻数≫

≪電流の強さ≫

この子の場合、

電流○磁力◎

磁力の強さ

△ ×などで表現し

ています。

導線に流れる電流の強

さと磁力の関係を表現し

ている。

巻数が増えることによっ

てそこに集まる電流との関

係を表現している。

100回巻き

200回巻き

電池1個分

電池2個分

巻数が増えることによっ

て磁力が強くなる様子が表

現できている。

電池が1個の時よりも2

個の方が電流の強さが強く

なり、磁力も強くなってい

る様子が表現できている。

言葉や図で表現してみると!!

電源装置の使い方

電源装置は、乾電池 1個分、2個分

の電流の強さを簡単に変えることが

でき、いつでも新しい乾電池を使った

時と同じ結果が得られます。

Page 13: 電磁石のはたらき 電磁石の導線に電流を流して、電 …(2)単元の流れ(全12時間) 2 評価:思1 電流の、向きを変えると電磁石の極が変わる。

(9・10・11/12時間)

(1)目標

・電磁石の性質やはたらきを使って、ものづくりをする。

・導線などを適切に使って、安全で計画的にものづくりをする。

(2)展開

学習活動 ☆指導・支援 ※留意点 評価

1.電磁石の特性についてふり返る。

・極を変えることができたよ。

・棒磁石と同じで鉄を引き付けるよ。

・磁石の力のオン、オフができるよ。

・磁石の力を変えることができるね。

2.ワークシートに自分の考えたおもちゃのアイ

デアをかく。

・乾電池の個数やコイルの巻き数を増やしてなる

べく大きな魚を釣れる釣り竿を作ろう。

・電磁石の力を調節して何か作れないかな。

・スイッチのオン・オフすることをおもちゃづく

りに生かせそうだ。

・電磁石がものを引きつける量を自在に調節でき

るおもちゃを作ってみたい。

3.ワークシートをもとに考えたおもちゃを作る。

・電磁石の巻き数を増やしてもっと大きな魚を釣

れるようにしよう。

・乾電池の個数を増やしてみよう。

・ものを一つずつ運べるように磁石の力を少し弱

めてみよう。

・運ぶ荷物の大きさに合わせて乾電池の数やコイ

ルの巻き数を変えられるようにしよう。

4.作ったものを互いに見せ合い、交流する。

・スイッチをオン、オフする方法を取り入れてい

てすごいね。

・コイルの巻き数で磁石の力を調節するのがすご

く大変そうだけど面白いものができたね。

☆永久磁石の性質と比較しながら電磁石の特性を整理す

る。

☆電磁石の力を強くするという視点だけでなく、「強さを

調整・調節できる」ということを確認し、電磁石の特

性を生かしたものづくりにつなげたい。

☆ものづくりのアイデアを考えるためのワークシートを

用意する。

☆電磁石のどんな特性を使っておもちゃ作りをするのか

を書くように声をかける。

☆アイデアが浮かばない子は教科書のものを参考にして

よいことを伝える。

☆どのように作ればよいか悩んでいる児童のために、早

めにかけた児童のワークシートを紹介する。

※クリップやアルミ箔、厚紙、割りばしなど児童が使い

そうな材料を用意しておく。

※コイルが熱く、やけどをする危険があるため、コイル

の巻き数は200回まで、電池の個数は2個までとす

ることと、同じ回路でコイルの巻き数200回と乾電

池2個にしないことを伝える。

☆電磁石の性質やはたらきをどのように利用したのか伝

えあう場を作り、お互いに作ったおもちゃのよさを認

めあえるようにする。

電磁石のとくちょうを生かして,おもちゃづくりをしよう。

・電磁石の性質やはたらきを使って、ものづくりをし

ようとしている。【関2】

・導線などを適切に使って、安全で計画的にものづく

りをしている。【技1】

Page 14: 電磁石のはたらき 電磁石の導線に電流を流して、電 …(2)単元の流れ(全12時間) 2 評価:思1 電流の、向きを変えると電磁石の極が変わる。

ものづくりのアイデアを考えるためのワークシート例

ものづくりの作品例

①魚釣りゲーム

②クレーンゲーム 運ぶ荷物の大きさに合わせて

乾電池の数と巻き数を変えら

れるよ。 電流のオン・オフができること

を利用して工夫したよ。

魚がいっぱいつい

ちゃったから竿の

力を弱くしなきゃ

少し巻き数を変

えてみようかな

○最終的に電磁石の特性を生かした

おもちゃづくりをすることを前時

までに伝え、児童が見通しをもて

るようにしておきましょう。

○前時までに学んできた電磁石の

特性を生かし、電磁石の良さに気

付くようなものづくりをしていき

ます。電磁石の特性について振り

返り、よさを考えること調整・調

節が必要な場面をつくりだすこと

が大切です。

大きな魚を釣り上げることができた子どもたちに、「魚を1匹ずつ釣りあげよう」ということを投げかけ

ます。すると、魚を一匹だけ釣れる磁力にするために電流の強さ、コイルの巻き数を調節していきます。

電流の強さやコイルの巻き数を変えることで電磁石の力を変えることができること、磁力をオン・オ

フできることなど、電磁石の性質を再度確かめることでその性質を生かしたものづくりにつなげます。

Page 15: 電磁石のはたらき 電磁石の導線に電流を流して、電 …(2)単元の流れ(全12時間) 2 評価:思1 電流の、向きを変えると電磁石の極が変わる。

(12/12時間)

(1)目標

・電磁石の性質や働きを利用した物の工夫を見直そうとしている。

(2)展開

学習活動 ☆指導・支援 ※留意点 評価

1.教科書に載っているクレーンを紹介し、他

にも電磁石の性質を使ったものが身近にない

か考える。

・モーターを使ったものは回転するだろうから、

扇風機かな。

・洗濯機やジューサーも。

・振動があるものもそうだね。

・熱くなるものはどうだろうか。

・パソコンにも使われているんじゃない?

2.電磁石の性質が使われていそうなものを書

きだし、まとめる。

・目覚まし時計、電子レンジ、ラジオ、冷蔵庫、

扇風機などに使われていそうだね。

・電磁石は私たちの生活を支えてくれているん

だね。

・電磁石は身の回りのたくさんのものに使われ

ているね。

☆分解したモーターの中をあけて、中身を子どもた

ちに見せる。実物投影機で全員が見えるようにす

る。

☆動くことで振動を与えられることを知らせ、小さ

いモーターの実物を見せる。

☆モーターの先におもりがついていることをみせ

て携帯電話のマナーモードに使われていること

を伝える。

☆単に使われていそうなものの列挙に終わらず、ど

のあたりに使われていそうかまでを考えられる

ようにする。

☆パソコンにモーターが使用されている部分の写

真を提示し、理解できるようにする。

☆ひげそりや時計など、その他にも使われているも

のを実際に提示し、使われているものへの理解を

広げる。

☆家の間取り図に電磁石の性質が使われている家

電に○をつけ、いかに身の回りの物が電磁石の性

質を利用しているかに気づけるようにする。

電磁石は、私たちの身の回りでどのように活用されているのだろうか。

電磁石の性質や働きを利用した物の工夫を見直

したりしようとしている。【関 2】

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家の間取り図で家電製品がわかる!

<児童の振り返りより>

知って納得、見て納得、さわって納得 百聞は一見にしかず!!

モーター(電磁石)

が回転してブルブル

震 え て い る の だ

ね!!こんなところ

に入っているんだね。

中はこうなっている

のか!ここにもモータ

ー が 使 わ れ て い る

よ!!

実物を見ることでより理解が深まる!!

家の間取り図をもとに、家電製品に印をつけ、電磁石のはたらきを生かしたものを調べていく。

そうすることで、「生活の中で電磁石を生かしたものが、こんなに使われているんだ!?」という驚

きにつながっていく。