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第 2 期 河内長野市国民健康保険 保健事業実施計画 (データヘルス計画) 平成 30 年度~平成 35 年度 平成 30 年 3 月 河内長野市

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第 2 期 河内長野市国民健康保険

保健事業実施計画

(データヘルス計画)

平成 30 年度~平成 35 年度

平成 30 年 3 月

河内長野市

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<目次>

1.基本的事項…………………………………………………………………………………1

(1)計画の趣旨 ……………………………………………………………………………1

(2)計画期間 ……………………………………………………………………………3

(3)実施体制・関係者連携 ………………………………………………………………3

2.現状の整理…………………………………………………………………………………4

(1)河内長野市の特性 ……………………………………………………………………4

(2)被保険者の特性 ………………………………………………………………………7

(3)第1期データヘルス計画等に係る考察・評価 …………………………………….9

3.健康・医療情報等の分析 ………………………………………………………………12

(1)平均寿命・健康寿命 ………………………………………………………………12

(2)標準化死亡比 ………………………………………………………………………13

(3)要介護認定状況 ……………………………………………………………………15

(4)医療費分析 …………………………………………………………………………17

(5)特定健診実施状況 …………………………………………………………………26

(6)特定保健指導実施状況 ……………………………………………………………35

4.分析結果に基づく健康課題の抽出 ……………………………………………………37

(1)現状分析 ……………………………………………………………………………37

(2)健康課題 ……………………………………………………………………………41

(3)目指すべき姿と取り組みの方向性 ………………………………………………41

5.目標 ………………………………………………………………………………………42

(1)目標の設定 …………………………………………………………………………42

(2)目標の視点 …………………………………………………………………………43

6.保健事業の内容 …………………………………………………………………………47

(1)これまでの取り組み ………………………………………………………………47

(2)これからの取り組み ………………………………………………………………49

7.計画の評価・見直し ……………………………………………………………………53

8.計画の公表・周知 ………………………………………………………………………53

9.個人情報の取り扱い ……………………………………………………………………53

10.地域包括ケアに係る取り組み及びその他の留意事項 ……………………………53

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1

1.基本的事項

(1)計画の趣旨

近年、被保険者の疾病状況の把握や特定健康診査の結果等に基づく健康課題の整理について、的確

な分析・評価等を行うため、診療報酬明細書(以下「レセプト」という。)等の電子化や、国保データ

ベースシステム(以下「KDB システム」という。)の整備が進められており、各医療保険者において、

電子データ等を活用することにより、被保険者個々の健康状況等に応じた保健事業を行うことが求め

られている。

少子高齢化が急速に進展している河内長野市国民健康保険においても、被保険者の生活習慣病予防

等の健康増進や健康課題の分析をおこなうことは、より重要度を増している。

平成 25 年 6 月 14 日閣議決定の「日本再興戦略」では、「全ての健康保険組合に対し、レセプトなど

のデータの分析、それに基づく加入者の健康保持増進のための事業計画として「データヘルス計画」

の作成・公表、事業実施、評価等の取組を求めるとともに、市町村国民健康保険が同様の取組を行う

ことを推進する」とされている。

こうした状況を踏まえ、健康・医療情報を活用して PDCA サイクル(図表 1)に沿った効果的かつ効

率的な保健事業の実施を図るための「第 1 期河内長野市国民健康保険保健事業実施計画(以下、「第 1

期データヘルス計画」という。)」を平成 28 年 3 月に策定することとなった。

これは、データを活用して科学的にアプローチすることで、保健事業の実効性を高めていくことを

目指したものである。そのためには、河内長野市国保の持つ強みや課題等を踏まえた事業運営を図る

ことが肝要となる。

図表 1.PDCA サイクルの概念図

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保険者による健康保険における健康づくりのための保健事業は、健康保険法(大正 11 年法律第 70

号)第 150 条において、「保険者は、高齢者の医療の確保に関する法律第二十条の規定による特定健康

診査及び同法第二十四条の規定による特定保健指導を行うものとするほか、特定健康診査等以外の事

業であって、健康教育、健康相談、健康診査その他の被保険者及びその被保険者の健康の保持増進の

ために必要な事業を行うように努めなければならない」と規定されている。

保健事業を行うことにより、被保険者の健康レベルの向上とともに、その結果として医療費の減少

(医療費適正化)も期待できる。

平成 28 年 3 月に策定した第 1 期データヘルス計画が、平成 29 年度末をもって計画期間終了を迎え

る。この計画をより進化・発展させたのが、この「第 2 期河内長野市国民健康保険保健事業実施計画

(以下「第 2期データヘルス計画」という。)」である。

第 2 期データヘルス計画では、健康増進法に基づく「基本的な方針」や、国が提唱する「健康日本

21(第 2 次。平成 25~34 年度)」を踏まえ、河内長野市第 5 次総合計画(平成 28~37 年度)、河内長

野市第 3次保健計画(平成 23~30 年度)、第 3期大阪府医療費適正化計画(平成 30~35 年度)や、第

3 期特定健康診査等実施計画(平成 30~35 年度)等の市民の健康増進等に資することを目的として策

定された医療・介護・健康等に関する各種計画と調和のとれたものとする。

基本目標1「安全・安心・支えあいの暮らしやすいまち」

分野別政策3「誰もが元気で暮らせる健康づくり」

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(2)計画期間

第 3 次大阪府医療費適正化計画や、本市第 3期特定健康診査等実施計画(平成 30~35 年度)の計画

期間に合わせ、平成 30 年 4 月 1日から平成 36 年 3 月 31 日までとする。ただし、計画期間中において

も必要に応じ、適宜改定するものとする。

(3)実施体制・関係者連携

実施体制の主体は、本市とし、本市関係部署の連携の下で実施する。大阪府、大阪府国民健康保険

団体連合会(以下「大阪府国保連合会」という。)、本市三師会(医師会、歯科医師会、薬剤師会)の

ほか、本計画の適切な遂行にあたり、専門的な見識・技術等を有する各関係機関の協力の下で実施す

る。大阪府国保連合会に設置された支援・評価委員会による、計画の策定支援や個別の保健事業の実

施支援等を受け、委員の専門的知見を活用する。

この第 2期データヘルス計画は、被保険者の健康の保持増進が最終的な目的であり、その実効性を

高める上では、被保険者自身が状況を理解して主体的・積極的に取り組むことが重要である。このた

め、本市国民健康保険運営協議会での議論を踏まえ、保健事業利用者の声に耳を傾けながら、被保険

者の意見の反映に努める。

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2.現状の整理

(1)河内長野市の特性

①地理的特徴

河内長野市は大阪府南部に位置し、奈良県五條市や和歌山県橋本市と隣接している。市域の広が

りは東西 16.3km、南北 15.8km の面積 109.63 ㎢で、大阪府内 33 市 9 町 1村の中で、政令市である大

阪市・堺市に次ぐ第 3 位の面積となっている。河川沿いに平野が開け、北に向かって河内平野に続

いている。

大阪都心まで約 30 分、関西国際空港には約 1時間の距離であり、泉州、和歌山、奈良方面への結

節点として交通至便の地でありながら、金剛山や岩湧山などの山並みに囲まれ、森林が市域の約 7

割を占めている。

②医療アクセスの状況

人口 10 万人当たりで大阪府全体と比較すると、病院数、病床数は充実しているが、一般診療所数

は、大阪府平均よりやや低い状況にある。(図表 2)。河内長野市の北部には独立行政法人国立病院機

構大阪南医療センターがあり、近畿大学医学部附属病院(大阪狭山市)とも地理的に近く、河内長

野駅から直通のバスも出ており、利便性が高い。

図表 2.医療提供体制等の比較(平成 29 年 10 月 1 日現在)

河内長野市 大阪府

実数 人口 10 万対 人口 10 万対

病院数 8 7.5 6.0

病床数 1,419 1,326.3 1,219.9

一般診療所数 79 73.8 94.4

歯科診療所数 63 58.9 62.7

※病院:病床数が 20 床以上の医療機関

診療所:入院できる施設がないか、病床数 19 床以下の医療機関

資料:医療施設調査

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③人口及び世帯の状況

平成 28 年 10 月 1 日時点の河内長野市の世帯数は 42,224 世帯、人口は 105,872 人で、人口密度は

966人/㎢である。平成22年10月1日から平成27年10月1日までの5年間で、人口が5,503人(4.9%)

減少している(図表 3)。さらに 65 歳以上の人口割合が、同 5 年間で 25.0%から 31.1%にまで上昇し

ている。(図表 4)。世帯数については、1 人・2 人世帯が増加し、3 人以上世帯が減少している(図

表 5)。単身(1人)世帯の割合は、平成 22~27 年度の 5年間で 7.9%増加している。

河内長野市の人口推計では、65 歳以上の割合が、平成 38 年度末には 38.4%にまで増加すると見

込まれている。(図表 6)

こうした人口減少及び人口構造の変化により、生産年齢人口が減少し続け、ついには地域社会(コ

ミュニティ)の機能が喪失して、市民が一定の生活水準すら維持できない状態につながる恐れがあ

る。また、地方税の税収が落ち込む上に、医療費を含む社会保障関係費が増大となることで、市と

しても十分な行政サービスを提供できなくなり、過疎化に拍車がかかる可能性がある。

図表 3.河内長野市の人口及び世帯の推移(各年 10 月 1 日現在)

世帯数

人口 5 年間人口増加 人口密度

(1㎢当たり)総数 男 女 実数 率(%)

平成 17 年 40,900 117,239 55,618 61,621 -3,769 -3.1 1,070

平成 22 年 41,339 112,490 52,964 59,526 -4,749 -4.1 1,026

平成 27 年 42,144 106,987 50,182 56,805 -5,503 -4.9 976

平成 28 年 42,224 105,872 49,614 56,258 -1,115 -1.0 966

「5 年人口増加」は、平成 28 年度のみ平成 27 年度比。

資料:国勢調査及び平成 28 年大阪府統計年鑑より作成

図表 4.河内長野市の年齢別構成(各年 10 月 1 日現在)

資料:平成 22・27 年度版国勢調査より作成

*平成 27 年度は年齢不詳が 0.8%いるため、合計が 100%にならない。

12.6%

62.4%

25%

平成22年度

10.9%

57.2%

31.1%

平成27年度

0~14歳

15~64歳

65歳~

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図表 5.河内長野市の世帯人員別一般世帯数(各年 10 月 1 日現在)

資料:平成 22・27 年度版国勢調査より作成

図表 6.河内長野市の人口推計(年齢階層別人口構成比較)

資料:河内長野市人口動態の分析(平成 29 年)

7,669

13,4969,124

7,689

2,439 669 218

平成22年度

9,661

14,572

8,679

6,571

1,983 462172

平成27年度

1人世帯

2人世帯

3人世帯

4人世帯

5人世帯

6人世帯

7人以上世帯

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(2)被保険者の特性

市民及び国保被保険者の双方において、少子高齢化が著しい(図表 7)。65 歳以上の市民の割合が

平成 27 年度には 31.3%にまで増加している(図表 8)。65 歳以上の被保険者の割合が平成 27 年度に

は 47.4%と、市民全体よりも深刻な高齢化の状況にある(図表 9)。団塊の世代(昭和 22~24 年生

まれ)の大量退職(平成 19~21 年)による社会保険離脱、及びその後の社会保険任意継続(最大 2

年間)終了の影響が大きいと考えられる。

平成 28年度 9月末時点で 65歳以上の被保険者は 49.13%で、大阪府の 38.14%を大きく上回る(図

表 10)。被保険者の加入状況では、加入者は減少を続けているが加入世帯は平成 28 年度に初めて減

少に転じた(図表 11)。

高齢者は医療機関にかかる機会が多いことから、高齢者の増加は医療費の増大に直結する。若年

のうちに健康改善をすることで、加齢してからの重症化を防ぐことが重要であると考えられる。加

入者の減少は、人口そのものが減少していること、75 歳到達による後期高齢者医療制度への移行者

が増加したことに伴うものである。

図表 7.性・年齢階級別の人口分布及び国保被保険者分布(平成 29 年 4 月 1日現在)

資料:年齢別推計人口及び KDB システム被保険者構成

■被保険者(男性)

■人口(男性)

■被保険者(女性)

■人口(女性)

0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,00001,0002,0003,0004,0005,000

0~4歳

5~9歳

10~14歳

15~19歳

20~24歳

25~29歳

30~34歳

35~39歳

40~44歳

45~49歳

50~54歳

55~59歳

60~64歳

65~69歳

70~74歳

75~79歳

80~84歳

85歳以上

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図表 8.年齢階級別の人口分布及び高齢化率の推移(河内長野市)

資料:国勢調査主要統計(総務省統計局)

図表 9.年齢階級別の国保被保険者分布及び高齢者割合の推移

資料:大阪府国民健康保険事業状況

図表 10.被保険者の年齢構成(平成 28 年 9 月末時点)

資料:平成 28 年度大阪府国民健康保険事業状況(速報版)

図表 11.被保険者の加入状況(各年度末時点)

世帯 人口 被保険者 加入率(%)

加入世帯 加入者 加入世帯 加入者

平成 23年度 46,989 113,939 17,564 31,224 37.38 27.40

平成 24年度 47,156 112,884 17,672 31,059 37.48 27.51

平成 25年度 47,259 111,683 17,671 30,682 37.39 27.47

平成 26年度 47,319 110,435 17,530 30,077 37.05 27.24

平成 27年度 47,285 109,039 17,199 28,933 36.37 26.53

平成 28年度 47,352 107,963 16,660 27,627 35.18 25.59

資料:河内長野市人口統計表及び河内長野市国保事業月報より作成

16,288 14,137 11,696

35,414 30,627 25,249

42,937 39,573 35,965

22,600 28,153 33,289

19.3% 25.0%31.3%

0%

10%

20%

30%

40%

0

50,000

100,000

150,000

H17 H22 H27

65歳以上

40~64歳

15~39歳

0~14歳

高齢化率

10,607 8,719 6,594

12,069 10,817 9,109

10,280 12,313 14,160 31.2% 38.7%

47.4%

0%

20%

40%

60%

010,00020,00030,00040,000

H17 H22 H27

65~74歳

40~64歳

0~39歳

高齢化率

6.12%

44.75%49.13%

河内長野市

8.05%

53.81%

38.14%

大阪府

0~14歳

15~64歳

65歳~

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(3)第1期データヘルス計画等に係る考察・評価

①第 1期データヘルス計画における目標

第 1期データヘルス計画では、以下のように中長期・短期の目標を設定した(図表 12)。

第 1期データヘルス計画策定時の目標値及び平成 28 年度時点の現状値は以下の通りである(図

表 13)。

図表 12.第 1期データヘルス計画の中長期・短期の目標

目標区分 目標内容

中長期 医療費が高額となる生活習慣病の重症化を抑え、健康寿命を延伸し、将来的

な医療費の伸びの抑制につなげる。

短期

特定健診の受診率及び特定保健指導の実施率を引き上げ、メタボリックシン

ドロームの該当者・予備軍割合の減少に努める。

また、非肥満の血圧高値者や血糖高値者に対して、医療機関への受診勧奨を

行い、未治療者を減らすことで重症化予防に努める。その他、医療費の適正化

に向けて、後発医薬品(以下「ジェネリック」という。)の使用率の向上に努める。

図表 13.第 1期データヘルス計画策定時の保健事業目標値及び平成 28 年度時点の現状値

指標

実 績

(平成 26 年度)

目 標 値

(平成 29 年度)

現状値

(平成 28 年度)

特 定 健 診 受 診 率 41.1% 60.0% 38.7%

特定保健指導実施率 11.9% 60.0% 18.4%

*メタボリックシンドローム

該当者・予備軍の割合

男性 42.9% 31.8% 45.4%

女性 13.9% 10.1% 13.9%

ジェネリック利用率 50.0% 70.0% *65.2%

非肥満血圧高値者・血糖高値者

の受診勧奨実施件数 ― 200 件 275 件

*メタボリックシンドローム該当者・予備軍の割合の目標値は、健康日本 21(第 2 次)における指標

を基に、平成 20 年度実績値より 25%減少を想定した数値としている。

*ジェネリック利用率の現状値は、平成 29 年 3 月のもの。

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②第 1期データヘルス計画における目標の評価

中長期・短期の目標では、データヘルス計画最大の目的である、保健指導の充実と医療費適正化

に重点を置いた。後述の「具体的な取り組みの考察」に記載した、様々な取り組みを通じて、この

目標に向けて改善に取り組んだ。

現状値(平成 28 年度)では、特定健診受診率は 38.7%、特定保健指導実施率は 18.4%で、目標

値の60.0%と大きな隔たりがある。メタボリックシンドロームの該当者・予備軍の割合は男性45.4%

(平成 26 年度から 2.5%の増加)、女性 13.9%(平成 26 年度と同じ)で、目標値には達していない。

ジェネリック利用率は大きく増加して 65.2%となり、目標の 70.0%に近づいている。非肥満血圧高

値者・高血糖値者の受診勧奨実施件数は、目標値より 75 件多い、275 件となっている。

③具体的な取り組みの考察

第 1期データヘルス計画期間では、下記の取り組みを実施した(図表 14)。

図表 14.第 1期データヘルス計画期間の主な取り組み・実施内容

主な取り組み 主な実施内容 (件数は、平成 28 年度実績)

◎特定健康診査の検査内容の充実 ・慢性腎臓病の早期発見のため、平成 29 年度から血清クレアチニ

ン、尿酸検査を追加項目として実施。

◎特定健康診査受診率の向上

○他機関との連携強化

○健診PR方法の拡充

○若年世代へのアプローチ

○職域健診情報提供

・追加検査の実施にあたり、市医師会との緊密な連携を図った。

・新規加入者へ特定健診受診勧奨用のクリアファイルを配付した。

(約 600 件)

・がん検診とのセット健診や、集団検診の内容等を充実した。

(約 80 件)

・市消防団員に係る健康診断結果を特定健診結果としてデータ化

した。(約 60件)

◎特定保健指導実施率の向上

○集団検診機会の活用

○未利用者対策

○保健指導の充実

・集団検診当日に初回面接を実施した。(約 10 件)

・健診結果通知送付時に健康相談に関する案内を同封した。

(約 800 件)

・保健指導のアウトソーシングの実施に向けて、平成 29 年度に市

医師会のほか関係機関と協議した。

◎重症化予防対策

○メタボリックシンドローム

非該当者への対策

○人間ドック補助事業

○糖尿病予防対策

・食生活等に関する教室、個別指導を実施した。(約 50 件)

・平成 29 年度から、検査項目の充実と補助額を拡大した。

(5割→6割)

・特定保健指導非対象者で、HbA1c の高値者に対する教室を実施し

た。(約 50 件)

◎医療費の抑制

○ジェネリックの普及啓発

・ジェネリックへの転換が見込まれる被保険者に差額通知書を送

付した。(6,000 件)

・市薬剤師会による地元相談会を支援した。(参加者約 50 名)

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④取り組み全般に関する考察等

特定健診及び保健指導未受診者に対する受診勧奨の効果が低いことから、未受診理由の聞き取り

等を通じての原因分析とともに、市医師会等関係機関と協議を行い、特定健診と保健指導に関する

一連の仕組みについての見直しが必要である。

ジェネリック利用率は、目標値に近づきつつあるが、市薬剤師会等関係機関との連携を図るとと

もに差額通知の送付等を通じて、さらなる普及率向上のために努める必要がある。

糖尿病予防対策として、市医師会等との連携を図り、効果的に推進するための仕組みの構築が求

められる。

⑤第 1期データヘルス計画の評価

a.事業企画・立案

健診データ、レセプトその他の統計資料等のデータに基づいて、現状分析ができており、健康

課題や事業目的を明確にしている。事業目的に応じた各種保健事業を企画するとともに、保健事

業の優先順位や成果目標、評価指標・評価方法を設定している。

課題として、企画段階から庁内及び庁外の関係者とともに事業内容を検討する機会が不足して

おり、苦情処理の体制も確保されていない。健康課題に密接に関連した地域資源(組織・団体、

機能)の活用や、事業目的に応じた対象者の選定基準の設定等をより進めていく必要がある。事

業企画担当者や保健事業実施者が、保健事業に必要な知識について、研修会等を通じてさらに深

めていくことも必要である。

b.事業実施

保健指導実施者が参加者個人の状況や実施状況をモニタリングしており、個人目標の達成状況

を評価するとともに、保健指導終了後のフォローアップを行っている。個人情報に細心の注意を

払って、適切に管理している。

課題として、保健事業開始時に関係者間での情報共有をさらに進めていくことが挙げられる。

c.評価

アウトプット、アウトカムを中心に保健事業の評価を実施し、事業報告等の作成を業者に委託

し、事業結果を取りまとめた。事業の問題点・課題点を考え、次期計画等に向けた改善点を明確

にした。今後さらに公開を進めていく必要性がある。

課題として、外部アドバイザーによる客観的な評価を検討することなどが挙げられる。

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3.健康・医療情報等の分析

(1)平均寿命・健康寿命

平均寿命と健康寿命との差(図表 15)は、男性は大阪府や国の差より大きい。女性は国よりは差が

大きいが、大阪府とほぼ同等の差である。健康寿命と平均寿命の差は、日常生活動作が自立していな

い期間を意味し、年間医療費の高額化の要因となる。

健康寿命の推移(図表 16)では、河内長野市男性は平成 23 年度の 79.30 歳から、平成 27 年度の 79.99

歳に 0.69 歳の伸びがあった。河内長野市女性は平成 23 年度から平成 27 年度までの間、82.56~83.21

歳の間で推移している。男女ともにどの年度も大阪府平均より、健康寿命が長い。

第 2 次大阪府健康増進計画(平成 25~29 年度)では、「健康寿命の延伸・健康格差の縮小」を目指

し、平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加が目標値とされている。第 6 期河内長野市高齢者保健

福祉計画及び介護保険事業計画(平成 27~29 年度)においても、健康寿命の延伸を促進していくとし

ている。

図表 15.男女別の平均寿命及び健康寿命の比較(平成 22 年度)

資料:健康寿命算出方法の指針(大阪府保健医療室健康づくり課提供)

図表 16.健康寿命の推移

資料:大阪がん循環器病予防センター資料「健康寿命(H23~27 年度)」

86.4

85.9

86.6

79.6

79.0

81.1

83.2

82.3

83.0

78.2

77.4

78.6

72.0 74.0 76.0 78.0 80.0 82.0 84.0 86.0 88.0

大阪府

河内長野市

大阪府

河内長野市

女性

男性

健康寿命

平均寿命

79.30 79.37 79.70 79.6679.99

77.37 77.59 77.82 77.96 78.11

82.81 82.5683.21

82.67 82.91

81.90 82.0582.27 82.28 82.52

77.00

78.00

79.00

80.00

81.00

82.00

83.00

84.00

平成23年度 平成24年度 平成25年度 平成26年度 平成27年度

河内長野市(男)

大阪府(男)

河内長野市(女)

大阪府(女)

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(2)標準化死亡比

男女別の死因割合を国や大阪府と比較してまとめた(図表 17)。男性の死亡割合では、がんが死亡者

全体の 37.9%で、国や大阪府の平均より高い。同様に肺炎が 11.5%で、国や大阪府平均より高い。逆

に脳血管疾患は死亡者全体の 6.1%、腎不全は死亡者全体の 1.3%で、国や大阪府の平均より低い。女

性の死亡割合では、心臓病が死亡者全体の 19.6%、肺炎が 12.3%、腎不全が 3.2%で、国や大阪府の

平均より高い。脳血管疾患では 7.0%で、国や大阪府の平均より低い。

平成 10~14 年度、平成 15~19 年度、平成 20~24 年度の各 5年間で、疾病標準化死亡比を大阪府と

比較してまとめた(図表 18)。平成 15~19 年度と平成 20~24 年度を比較すると、腎不全の比率の上昇

が目立つ。大阪府よりは低いものの、男性は 85.4 から 100.9、女性は 69.4 から 102.1 と急激に伸びて

いる。

平成 20~24 年度の死亡理由を国と比較すると、男性の肺炎は 1.17 倍、女性の肺炎は 1.18 倍と、肺

炎の死亡が男女ともに多い。逆に脳血管疾患は男性が 0.63 倍、女性が 0.67 倍と、かなり低くなって

いる。

図表 17.男女別の死因割合(平成 27 年度) 保険者、大阪府、国の円グラフ

【男性】 河内長野市 大阪府 国

【女性】 河内長野市 大阪府 国

資料:人口動態統計

37.9%

13.2%11.5%6.1%1.3%

2.6%

27.3%35.1%

14.0%10.4%6.7%

1.8%2.5%

29.5% 32.9%

13.8%9.8%

8.0%1.8%2.4%

31.2%

25.2%

19.6%

12.3%7.0%3.2%

1.3%

31.4%26.6%

17.1%

10.3%7.1%2.4%

1.3%

35.1%

24.2%

16.7%

8.9%9.4%2.0%

1.1%

37.8%

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図表 18. 疾病標準化死亡比(全国 100 に対する年齢を考慮した死亡率の比)の推移

男性

女性

資料:人口動態統計

0.0

20.0

40.0

60.0

80.0

100.0

120.0

140.0

H10

~14

H15

~19

H20

~24

H10

~14

H15

~19

H20

~24

H10

~14

H15

~19

H20

~24

H10

~14

H15

~19

H20

~24

H10

~14

H15

~19

H20

~24

H10

~14

H15

~19

H20

~24

H10

~14

H15

~19

H20

~24

総死亡 がん 心臓病 肺炎 脳血管疾患 腎不全 自殺

河内長野市 大阪府

0.0

20.0

40.0

60.0

80.0

100.0

120.0

140.0

H10

~14

H15

~19

H20

~24

H10

~14

H15

~19

H20

~24

H10

~14

H15

~19

H20

~24

H10

~14

H15

~19

H20

~24

H10

~14

H15

~19

H20

~24

H10

~14

H15

~19

H20

~24

H10

~14

H15

~19

H20

~24

総死亡 がん 心臓病 肺炎 脳血管疾患 腎不全 自殺

河内長野市 大阪府

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(3)要介護認定状況

第 1号被保険者全体に占める各要介護度の認定割合では、要介護 2、要介護 4を除いて、河内長野市

の方が大阪府平均より高い(図表 19)。

要支援・要介護認定者数は平成 18 年度の 4,516 人から、平成 27 年度には 7,095 人に増えており、

1.5 倍以上に増加している。介護度の低い要支援 1・2、要介護 1・2では、平成 18 年度の 2,949 人か

ら、平成 27 年度の 4,847 人に 1.52 倍となっている。介護度の高い要介護 4・5では、平成 18 年度の

956 人から、平成 27 年度の 1,358 人に 1.42 倍となっている(図表 20)。介護度の高低にかかわらず、

要支援・要介護認定者数が、大きく増加している。

要支援・要介護認定者の有病状況(図表 21)では、1 号・2 号被保険者ともに心臓病が第 1 位、筋・

骨疾患が第 2 位、1 号被保険者では糖尿病が第 3 位、2 号被保険者では脳疾患が第 3 位となっている。

図表 19.第 1号被保険者全体に占める各要介護度の認定割合(平成 27 年度)

資料:介護保険事業状況報告

図表 20.要介護認定状況の推移

4,516 5,209 6,222 7,095

資料:介護保険事業状況報告

1.8%

2.2%

2.4%

3.5%

3.3%

3.1%

4.2%

1.9%

2.1%

2.6%

3.4%

3.4%

3.3%

4.2%

0% 1% 1% 2% 2% 3% 3% 4% 4% 5%

要介護5

要介護4

要介護3

要介護2

要介護1

要支援2

要支援1

河内長野市

大阪府

651 810 944 1,410 694 949 1,039 1,119 822 520

888 1,164

782 983 1,066

1,154

611 754

856

890

532 650

750

718

424 543

679

640 19.7% 19.6% 20.4% 20.9%

0%

5%

10%

15%

20%

25%

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

H18 H21 H24 H27

要介護5

要介護4

要介護3

要介護2

要介護1

要支援2

要支援1

要支援・要介護認定率

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図表 21.要介護(支援)者の有病状況(平成 28 年度)

資料:KDB システム 疾病別医療費分析

235

433

202145

224

396

5927

49 36 9 25 43 110

50

100

150

200

250

300

350

400

450

500

糖尿病 心臓病 脳疾患 がん 精神疾患 筋・骨疾患 難病

1号

2号

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(4)医療費分析

①費用区分別医療費(入院、入院外+調剤、歯科、柔整等)

被保険者の平成 27 年度の 1 人当たりの年間医療費は、大阪府平均 363,928 円に対し、387,075 円

である。最も低い泉南市の 309,854 円と比べ、77,221 円高く、大阪府内 7位である(図表 22)。

平成 26 年度の 1 人当たりの年間医療費では、河内長野市は国平均の 1.17 倍、大阪府平均の 1.12

倍となっている(図表 23)。前述の通り、被保険者に高齢者の割合が多く、それが 1人当たりの年間

医療費が高額となっている大きな要因と考えられる。

年齢階級別の 1人当たりの総医療費を比較すると、特に 40 代・50 代の医療費が、国や大阪府の平

均より高い(図表 24)。こうした 40 代・50 代の比較的若い層の疾病対策が重要となっている。

医療費の推移では、医科(外来+入院)の医療費が、平成 27 年度から平成 28 年度で約 3億 7,700

万円の減少があった。歯科の医療費は平成 27 年度から平成 28 年度で 3,500 万円の減少が見られた

が、平成 26 年度と比較すると、平成 27 年度は 1億 9,200 万円の増加となっている(図表 25)。

医科(外来+入院)の医療費が平成 28 年度に大きく減少しており、高額薬剤の薬価引き下げが影

響していると考えられる。

図表 22.大阪府内市町村国保の 1人当たりの年間医療費(平成 27 年度)

資料:大阪府国保連合会ホームページ「統計情報(大阪府事業状況)」

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図表 23.被保険者一人当たり年間医療費の比較(平成 26 年度)

378,198 337,082 321,885

資料:大阪府国民健康保険事業状況・国民健康保険事業年報

図表 24.年齢階級別の 1人当たり総医療費の比較(平成 28 年度)

資料:KDB システム 疾病別医療費分析から算出

139,464 120,758 120,528

199,457

175,390 171,671

30,677

28,757 23,861

5,614

8,418 3,611

2,986

3,759 2,214

0

50,000

100,000

150,000

200,000

250,000

300,000

350,000

400,000

河内長野市 大阪府 国

その他

柔整

歯科

入院外+調剤

入院(食事含む)

0

100,000

200,000

300,000

400,000

500,000

600,000

700,000

0~9歳 10~19歳 20~29歳 30~39歳 40~49歳 50~59歳 60~69歳 70~74歳

河内長野市

大阪府

0.8% 1.5% 8.1%

52.7%

36.9%

1.1%

2.5%8.5%

52.0%

35.8%

0.7%

1.1%7.4%

53.3%

37.4%

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図表 25.医療費の推移(単位は百万円)

【医科(外来+入院)】

【医科(歯科)】

資料:KDB システム 市町村別データから算出

9,845 9,880

9,503

9,000

9,100

9,200

9,300

9,400

9,500

9,600

9,700

9,800

9,900

10,000

平成26年度 平成27年度 平成28年度

668

860 825

400

450

500

550

600

650

700

750

800

850

900

平成26年度 平成27年度 平成28年度

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20

②医療費順位の主要疾患別医療費

被保険者の総医療費のうち、34.1%と3割以上が生活習慣病である。それ以外に精神疾患が7.6%、

慢性腎不全が6.2%となっている。生活習慣病の中では、がん(悪性新生物)が49.0%と半数近くを

占め、糖尿病、高血圧、脂質異常症が上位となっている(図表26)。

疾病別医療費では、がん、腎不全、糖尿病の医療費が高い(図表 27)。がんは、ウイルスや細菌に

よる感染や遺伝的原因のほか、生活習慣(喫煙、過度の飲酒、高血糖等)も深く関連していると言

われている。腎不全は患者 1 人当たりの医療費が高く、継続的に費用が発生するため重要度が高く

見えやすいが、腎不全そのものの予防への効果は限定的であるため注意が必要である。

レセプト有の被保険者における生活習慣病の割合では、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、がん、

動脈硬化症がいずれも大阪府平均より高く、特に動脈硬化症が大阪府平均の 1.5 倍近くとその高さ

が際立っている(図表 28)。

継続的な医療費適正化には、疾病別の医療費を分析し、費用的効果を考えた保健事業の立案・展

開をすることが必要である。

図表 26.総医療費に占める生活習慣病の割合(平成 28 年度)

【総医療費】 【生活習慣病内訳】

資料:KDB システム 疾病別医療費分析

精神疾患

7.6%

生活

習慣病

34.1%

慢性

腎不全

6.2%

その他

52.1%

糖尿病

16.1%

高血圧

12.8%

脂質

異常症

8.8%

脳梗塞・

脳出血

6.7%

狭心症・

心筋梗塞

5.3%

その他

1.1%

がん

49.0%

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図表 27.全医療費に占める割合が上位の傷病名

位 傷病名

全医療費に

占める割合(%)

総医療費

(円)

入院医療費

(円)

入院外医療費

(円)

1 がん 14.0 1,325,899,840 700,087,400 625,812,440

2 腎不全 6.5 616,352,990 140,721,650 475,631,340

3 糖尿病 5.7 539,685,430 53,834,280 485,851,150

4 眼及び付属器の疾患 4.4 416,899,190 42,341,350 374,557,840

5 高血圧性疾患 4.4 416,632,920 13,114,490 403,518,430

6 心疾患 4.0 377,002,610 173,240,200 203,762,410

7

統合失調症、統合失調

症型障害及び妄想性

障害

3.7 355,854,920 229,207,270 126,647,650

8 消化器系の疾患 3.4 326,181,230 164,533,250 161,647,980

9 脂質異常症 3.0 286,811,880 3,518,760 283,293,120

10 気分(感情)障害(躁

うつ病を含む) 2.6 242,671,990 91,443,260 151,228,730

資料:KDB システム 疾病別医療費分析

図表 28.レセプト有の被保険者における生活習慣病の割合(平成 28 年度)

疾病名 河内長野市 大阪府

高血圧症 39.6% 38.0%

脂質異常症 34.7% 33.2%

糖尿病 21.5% 19.9%

がん 10.9% 10.0%

動脈硬化症 7.0% 4.7%

資料:KDB システム 疾病別医療費分析(細小 82 分類)

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22

③性・年齢階級別の主要疾患患者数

a.脳血管疾患・虚血性心疾患・人工透析

脳血管疾患、虚血性心疾患、人工透析は、生活習慣病が重症化した結果である。これらの疾患の

傾向や推移に着目することで、その前段階である高血圧、糖尿病、脂質異常症及び喫煙習慣等に関

連する生活習慣等の対策を強化する必要があるかが推察される。

虚血性心疾患では、40 代・50 代が国や大阪府の平均を上回っている(図表 29)。心臓は収縮・拡

張を繰り返し、全身に血液を送り出すポンプの役割をしている。この心臓の筋肉(心筋)に、酸素

や栄養を含む血液を送り込んでいるのが、心臓のまわりを通っている冠動脈という血管である。虚

血性心疾患は、冠動脈が動脈硬化等の原因で狭くなったり、閉塞したりして心筋に血液が行かなく

なること(心筋虚血)で起こる疾患である。

脳血管疾患では、70~74 歳が国や大阪府の平均より高い(図表 30)。脳血管疾患は、脳の血管の

トラブルによって脳細胞が破壊される病気の総称である。脳血管疾患では、動脈硬化や高血圧、高

血糖等が危険因子である。

人工透析では、50 代が大阪府平均の 1.5 倍以上となっている(図表 31)。人工透析は、体内の老

廃物や毒素を尿から排出させる腎臓の機能が低下したことにより、人工的に血液中の老廃物や毒素

を取り除く治療である。また、生涯にわたって週 2~3 回通院して治療を受ける必要があり、身体

的、精神的負担のかかる治療である。治療に要する医療費は、年間 600 万円程度かかるとされ、人

工透析に至る前に疾病の進行を食い止める手立てを打つことが喫緊の課題である。

図表 29.年齢階級別被保険者千人当たりレセプト件数(虚血性心疾患)(平成 28 年度)

資料:KDB システム 疾病別医療費分析(中分類)

図表 30.年齢階級別被保険者千人当たりレセプト件数(脳血管疾患)(平成 28 年度)

資料:KDB システム 疾病別医療費分析(中分類)

0~39歳 40~49歳 50~59歳 60~69歳 70~74歳

河内長野市 0.0000 0.2133 0.4219 0.6569 1.2016

大阪府 0.0095 0.1486 0.4022 0.8046 1.2278

国 0.0113 0.1535 0.3903 0.7588 1.1836

0.00000.20000.40000.60000.80001.00001.20001.4000

0~39歳 40~49歳 50~59歳 60~69歳 70~74歳

河内長野市 0.0417 0.3352 0.8437 1.3306 2.0688

大阪府 0.0498 0.3681 0.8701 1.3614 1.9021

国 0.0462 0.3453 0.8245 1.2165 1.7879

0.00000.50001.00001.50002.00002.5000

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23

図表 31.年齢階級別被保険者千人当たりレセプト件数(人工透析)(平成 28 年度)

資料:KDB システム 疾病別医療費分析(細小 82 分類)

b.高血圧・糖尿病・脂質異常症

高血圧性疾患は、50 代・60 代で国や大阪府の平均を上回っている(図表 32)。高血圧となると、

心臓は絶えず強い圧力をかけて血液を送り出さねばならず、筋肉が厚くなって心肥大を起こす。

さらには心臓が疲弊し、心臓のポンプ機能が低下し、心不全を起こすようになる。

糖尿病は、すべての年代で国や大阪府の平均よりも低い傾向にある(図表 33)。糖尿病では、血

液中の血糖が多くなって動脈硬化が進む恐れがある。適切な治療を開始しなければ慢性腎不全と

なり、透析患者の増加につながるため、今後も増加しないように保健事業を展開していく必要が

ある。

脂質異常症は、50 代において、わずかだが国や大阪府の平均より高い(図表 34)。脂質異常症

となり、血液中に余分な脂質が多くなると、動脈硬化を起こしやすくなり、心筋梗塞のリスクが

高くなる。

前述の通り、高血圧、糖尿病、脂質異常症は、虚血性心疾患、脳血管疾患、腎機能低下の主要

な原因疾患であり、早期の治療が必要である。

図表 32.年齢階級別被保険者千人当たりレセプト件数(高血圧性疾患)(平成 28 年度)

資料:KDB システム 疾病別医療費分析(生活習慣病)

15~39歳 40~49歳 50~59歳 60~69歳 70~74歳

河内長野市 0.0000 2.2547 6.9769 4.8004 4.5464

大阪府 0.2149 2.0244 4.6065 5.3629 4.7304

国 0.2733 2.4999 5.3050 4.5744 3.4652

0.00001.00002.00003.00004.00005.00006.00007.00008.0000

0~39歳 40~49歳 50~59歳 60~69歳 70~74歳

河内長野市 2.5859 15.2346 38.9408 71.6523 86.6657

大阪府 1.8916 14.8301 35.3749 70.0238 87.4079

国 2.2980 16.3119 37.9974 70.2419 84.6685

0.000010.000020.000030.000040.000050.000060.000070.000080.000090.0000

100.0000

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図表 33.年齢階級別被保険者千人当たりレセプト件数(糖尿病)(平成 28 年度)

資料:KDB システム 疾病別医療費分析(生活習慣病)

図表 34.年齢階級別被保険者千人当たりレセプト件数(脂質異常症)(平成 28 年度)

資料:KDB システム 疾病別医療費分析(生活習慣病)

0~39歳 40~49歳 50~59歳 60~69歳 70~74歳

河内長野市 2.6415 16.5143 52.1482 124.9284 150.7235

大阪府 1.5402 21.4597 62.9461 132.3975 165.4876

国 1.7347 22.3606 66.4819 133.1055 162.3815

0.000020.000040.000060.000080.0000

100.0000120.0000140.0000160.0000180.0000

0~39歳 40~49歳 50~59歳 60~69歳 70~74歳

河内長野市 0.9593 12.2486 37.2534 80.9163 93.4790

大阪府 1.5832 13.0641 36.7559 84.0583 102.4962

国 1.4978 12.3943 36.2818 79.6565 94.4334

0.0000

20.0000

40.0000

60.0000

80.0000

100.0000

120.0000

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25

④ジェネリックの利用状況

ジェネリック利用率は、平成 27 年度から平成 28 年度にかけて、53.6%から 59.1%と 5.5%の上昇

があった。しかし、国や大阪府の平均ほど利用率は高くない(図表 35)。

ジェネリックの利用は医療費適正化の観点から全国的に推進されており、医療費適正化計画に関

連するデータヘルス計画においても、利用率増加の推進が重要である。

図表 35.ジェネリック利用率の推移(数量ベース)

資料:厚生労働省ホームページ(国)・大阪府国保連合会独自集計(大阪府・保険者)

*数量データは、調剤薬局ベース。そのため、図表 13 のデータとは算定が異なる。

50%

52%

54%

56%

58%

60%

62%

64%

66%

68%

H27 H28

河内長野市

大阪府

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(5)特定健診実施状況

①特定健診受診の状況

生活習慣病は自覚症状がほとんどないまま進行するため、特定健診は対象者個人が自らの健康状

態を理解して生活習慣を振り返る絶好の機会となる。その点において、受診率の向上は非常に重要

である。受診率が高ければ、性・年齢階級・治療状況別の健康・生活習慣の状況を把握することで、

保健事業のターゲットを明らかにすることができる。

被保険者の特定健診受診率は、経年的に上昇傾向にあり、国や大阪府の平均より高かったが、平

成 28 年度では前年比 1.8%の低下となった(図表 36)。

性・年齢階級別では、40~59 歳の女性の被保険者の受診率が、大阪府平均よりは高いが、国平均

よりは低い。それ以外の性・年齢階級では、国・大阪府の平均よりも受診率が高い。年齢別では、

高年齢層ほど受診率が高い傾向にある(図表 37)。前述の通り、被保険者は高齢者の割合が高く、そ

れが受診率の高さに影響していることが考えられる。

月別特定健診受診率の推移では、6月、10~11 月、2~3月の受診が多い(図表 38)。

3 年累積特定健診受診率を大阪府と比較すると、本市の累積受診率が高い(図表 39)ことから、

特定健診を受診した人については、毎年継続して受診することができている一方、新規対象者への

制度周知が今後ますます必要である。

被保険者の特定健診受診状況と医療利用状況では、「健診受診なし・レセプトなし」「健診受診な

し・レセプトあり」のいずれも大阪府より割合が低い(図表 40)。それでも特定健診未受診で医療機

関も未受診の被保険者が約3割おり、気がつかないうちに生活習慣病が進行している可能性がある。

健康状態の把握のために、この層に対する積極的な働きかけが必要である。

平成29年1月24日~同年2月28日にかけて、特定健診未受診者電話勧奨を実施した。対象者15,684

件中、対象者に繋がった件数は 4,686 件で、うち未受診者は 3,784 件であった。その 3,784 件の対

象者に未受診理由(1 つのみ)を回答してもらった(図表 41)。「これから受診する予定」が 31.7%

いた一方で、「病院へ通院または入院している」が 33.7%、「時間がない(仕事が忙しい等を含む)」

が 11.2%あり、こうした層が受診するよう特定健診のやり方を工夫することが重要だと考えられる。

図表 36.特定健診受診率の推移

資料:特定健康診査・特定保健指導 法定報告

31.8% 32.4%

35.3% 37.6%38.7% 39.1%

41.1% 40.5%38.7%

24.9% 25.5%26.7% 27.3% 27.7% 27.9%

29.1% 29.9% 30.0%

30.9% 31.4%

32.0%32.7% 33.7% 34.2% 35.3%

36.3%

10%

15%

20%

25%

30%

35%

40%

45%

H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28

河内長野市

大阪府

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図表 37.性・年齢階級別特定健診受診率の国・大阪府との比較(平成 27 年度)

資料:特定健康診査・特定保健指導 法定報告

図表 38.月別特定健診受診率の推移

資料:特定健診等データ管理システム TKAC018 特定健診・特定保健指導進捗実績管理表

図表 39.3 年累積特定健診受診率(平成 26~28 年度)

資料:KDB システム 被保険者管理台帳

0.00%

1.00%

2.00%

3.00%

4.00%

5.00%

6.00%

7.00%

8.00%

9.00%

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月

H25

H26

H27

18.2% 16.5%

15.0%11.2%

19.9%

13.8%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

河内長野市 大阪府

3回受診

2回受診

1回受診

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28

図表 40.特定健診受診状況と医療利用状況(平成 27 年度)

資料:国民健康保険中央会独自集計(KDB システムデータから)

図表 41.特定健診を受診しない理由(平成 28 年度電話勧奨結果より) *有効回答数 3,784

<その他の意見(一部抜粋)>

・未定(89 件) ・検討中・検討する(52 件)

・身体的・精神的な理由で受診できない(28 件) ・来年度健診受診予定(28 件)

・別途受診済み・受診予定(23 件) ・何となく、特に理由なし(17 件)

・病院・医者・検査が嫌い(9件) ・家族の介護・看病のため(8件)

・遠方にいる(5件) ・かかりつけ医健診受診できないため(3件)

・病気だと分かると治療費がかかるから(1件) ・自分で健康管理している(1件)

資料:平成 28 年度河内長野市 特定健診未受診者 電話調査結果報告書

37.8%

30.4%

34.1%

30.9%

10.2%

13.0%

17.9%

25.7%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

大阪府

河内長野市健診受診なし/レセプトなし

健診受診なし/レセプトあり

健診受診あり/レセプトなし

健診受診あり/レセプトあり

33.7%

31.7%

11.2%

7.3%

3.7%

12.4%病院へ通院または入院している

これから受診する予定

時間がない(仕事が忙しい等を含

む)

健康だから(元気だから、太って

いないから、自覚症状もない等)

職場等で受診した

その他

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②特定健診受診者における健康・生活習慣の状況

a.高血圧

至適血圧(臓器等に障害を起こさないための理想的な血圧。収縮期血圧値 120mmHg 以上/拡張期

血圧値 80mmHg 以上)を超えて血圧が高くなるほど、心疾患、脳血管疾患、腎不全の罹患リスクと

死亡リスクが上昇すると言われている。

高血圧治療ガイドライン 2014 では、収縮期血圧値 180mmHg 以上/拡張期血圧値 110mmHg 以上を

Ⅲ度高血圧、収縮期血圧値 160~179mmHg/拡張期血圧値 100~109mmHg をⅡ度高血圧、収縮期血圧

値 140~159mmHg/拡張期血圧値 90~99mmHg 以上をⅠ度高血圧と定義づけている。

治療状況別の高血圧重症度別該当者数(図表 42)では、Ⅲ度高血圧で 12 人(男性 4人、女性 8

人)、Ⅱ度高血圧で 126 人(男性 44 人、女性 82 人)が未治療となっている。

未治療のⅡ・Ⅲ度高血圧者に対する受診勧奨は非常に重要であり、かつポピュレーションアプ

ローチ(まだ高リスクを抱えていない人に働きかけること)により、高血圧に至る人を減らす対

策も必要と考えられる。

図表 42.治療状況別の高血圧重症度別該当者数(平成 28 年度)

資料:KDB システム 保健指導対象者一覧 独自集計

0200400600

130mmHg未満/85mmHg未満

130~139mHg/85~89mmHg

140~159mmHg/90~99mmHg

160~179mmHg/100~109mmHg

180mmHg以上/110mmHg以上

0 500 1,000

未治療 治療中

男性 女性 男性 女性

0 1,000 2,00005001,000

130mmHg未満/85mmHg未満

130~139mHg/85~89mmHg

140~159mmHg/90~99mmHg

160~179mmHg/100~109mmHg

180mmHg以上/110mmHg以上

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30

b.糖尿病

糖尿病はいったん発症すると長期の経過をたどり、腎機能障害、網膜症、神経障害等の固有の合

併症を引き起こすとともに、脳卒中や心筋梗塞等の循環器疾患の原因となる。

糖尿病治療ガイド 2016-2017 においては、早朝空腹時血糖値 126mg/dl 以上、75gOGTT(経口ブド

ウ糖負荷試験で 2 時間値が 200mg/dl 以上)、随時血糖値 200mg/dl 以上、HbA1c6.5%以上のいずれ

かを満たす場合には、糖尿病型の判定としている。HbA1c は過去 1、2か月間の平均血糖値を反映す

る指標である。

治療状況別の糖尿病重症度別該当者数(図表 43)では、HbA1c が 8.0%以上で 10 人(男性 9 人、

女性 1人)、7.0%~7.9%で 26 人(男性 12 人、女性 14 人)が未治療となっている。

糖尿病は初期の治療の質が大きく左右するため、自発的な生活習慣の改善のみによる治療が難し

く、糖尿病型と診断されたあるいは診断される未治療者を適切な治療につなげることが重症化予防

には必要不可欠である。

また、自覚症状が乏しいことから、治療中の約 8%が治療を中断してしまうことが知られており、

保健指導による治療継続支援に加えて、治療者自身が病態を理解し、継続的に治療を行う必要性を

認識することも重要である。

図表 43.治療状況別の糖尿病重症度別該当者数(平成 28 年度)

資料:KDB システム 保健指導対象者一覧 独自集計

05001,0001,500

5.6%未満

5.6~6.4%

6.5~6.9%

7.0~7.9%

8.0%以上

0 1,000 2,000 0100200300400

6.5%未満

6.5~6.9%

7.0~7.9%

8.0~8.9%

9.0%以上

0 200 400

未治療 治療中

男性 女性男性女性

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c.脂質異常症

脂質異常症、特に高 LDL コレステロール血症は、虚血性心疾患になりやすい状態であり、適切

な生活習慣改善、治療を行うことが重要である。特に高 LDL コレステロール血症の原因である肥

満や飽和脂肪酸の過剰摂取、野菜不足等に対するポピュレーションアプローチを進めることが望

ましい。

LDL コレステロールとは、体を構成する細胞を包む細胞膜や各種ホルモン等の原料であり、体を

維持する働きをするコレステロールである。この LDL コレステロールが高すぎると高 LDL コレス

テロール血症となる。動脈硬化症疾患予防ガイドラインによる診断基準は、LDL コレステロール

140mg/dl 以上である。

治療状況別の高 LDL コレステロール血症重症度別該当者数(図表 44)では、180mg/dl 以上で 160

人(男性 46 人、女性 114 人)、160~179mg/dl で 376 人(男性 154 人、女性 222 人)、140~159mg/dl

で 858 人(男性 316 人、女性 542 人)が未治療となっており、特に女性が多い。

図表 44.治療状況別の高 LDL コレステロール血症重症度別該当者数(平成 28 年度)

資料:KDB システム 保健指導対象者一覧 独自集計

0 500 1,0000200400600

120mg/dl未満

120~139mg/dl

140~159mg/dl

160~179mg/dl

180mg/dl以上

0 500 1,00005001,0001,500

120mg/dl未満

120~139mg/dl

140~159mg/dl

160~179mg/dl

180mg/dl以上

未治療 治療中

男性 女性 男性 女性

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d.喫煙

喫煙が原因となる疾病の 1つに、COPD(慢性閉塞性肺疾患)がある。COPD は、主に長期の喫煙に

よってもたらされる肺の炎症疾患で、咳・痰・息切れ等の症状があり、呼吸障害が進行する疾患で

ある。

平成 27 年度の性・年齢階級別喫煙率(図表 45)では、大阪府平均と比べ、50 代男性の喫煙率は

高い傾向にある。

喫煙はがんをはじめ、虚血性心疾患、脳卒中、糖尿病等の多くの生活習慣病の原因であることが

明らかになっており、喫煙率の高低を問わず、たばこ対策は喫緊の課題である。

図表 45.性・年齢階級別喫煙率(平成 27 年度)

資料:特定健康診査・特定保健指導 法定報告

35.6%

40.2%

21.9%

13.1%

11.7%10.1%

3.7%2.4%

36.9%

35.0%25.7%

18.2%18.3%

14.8%

6.2%3.5%

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

35%

40%

45%

40~49歳 50~59歳 60~69歳 70~74歳

河内長野市(男性)

河内長野市(女性)

大阪府(男性)

大阪府(女性)

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e.肥満・メタボリックシンドローム

BMI は全身の筋・骨・脂肪等を含む総合的な体重指標で、BMI 区分別該当者数(図表 46)は、30.0

以上が 180 人(男性 88 人、女性 92 人)、25.0~29.9 が 1,270 人(男性 675 人、女性 595 人)いた。

腹囲は腹部の脂肪量、特に内臓脂肪量を強く反映した指標である。腹囲区分別該当者数(図表

47)で、男性で腹囲 85cm 以上は 2,791 人中 1,393 人で、約半数を占めた。女性で 90cm 以上は 1,812

人中 591 人で、約 3割であった。

メタボリックシンドローム該当者・予備群の出現率の推移(図表 48)では、メタボリックシン

ドローム該当者の出現率は平成20年度には14.2%だったが、平成28年度には16.5%となり、2.3%

の増加が見られた。メタボリックシンドローム予備軍は、平成 24 年度の 11.4%から、平成 28 年

度には 10.6%に 0.8%の減少が見られた。

性・年齢階級別メタボリックシンドローム該当者・予備群の割合(図表 49)では、40 代男女で

予備軍が該当者を上回っており、メタボリックシンドローム該当者への悪化を防ぐ必要がある。

図表 46.BMI 区分別該当者数(平成 28 年度)

資料:KDB システム 保健指導対象者一覧 独自集計

図表 47.腹囲区分別該当者数(平成 28 年度)

資料:KDB システム 保健指導対象者一覧 独自集計

0200400600800

80.0cm未満

80.0~84.9cm

85.0~89.9cm

90.0~94.9cm

95.0cm以上

0 1,000 2,000

05001,0001,500

18.5未満

18.5~22.9

23.0~24.9

25.0~29.9

30.0以上

0 1,000 2,000 3,000

男性 女性

男性 女性

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図表 48.メタボリックシンドローム該当者・予備群の出現率の推移

*該当者……腹囲 85cm(女性は 90cm)以上/①血中脂質②血圧③血糖のうち 2項目以上に所見あり

予備軍……腹囲が該当者以上/上記 3項目のうち 1項目に所見あり

腹囲が該当者基準未満/BMI が 25 以上で上記 3項目のうち 1項目に所見あり

資料:特定健康診査・特定保健指導 法定報告

図表 49.性・年齢階級別メタボリックシンドローム該当者・予備群の割合(平成 27 年度)

資料:特定健康診査・特定保健指導 法定報告

21.7%

18.0%

15.0%

16.7%

11.9%

25.4%

31.7%

27.7%

0%10%20%30%40%

40~49歳

50~59歳

60~69歳

70~74歳

6.4%

5.1%

5.4%

5.5%

2.4%

5.4%

8.7%

9.4%

0% 10% 20% 30%

男性 女性

該当予備群

14.2% 14.5% 14.7%16.2%

15.3%16.2%

15.5%16.8% 16.5%

11.4% 11.2% 11.1%10.4% 10.2% 10.5% 10.7%

10.0% 10.6%

0%

2%

4%

6%

8%

10%

12%

14%

16%

18%

H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28

該当 予備群

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35

(6)特定保健指導実施状況

①特定保健指導利用率及び実施率

特定保健指導利用率(特定保健指導対象者のうち利用者の割合。脱落者を含む)と実施率(特定

保健指導対象者のうち終了者の割合。脱落者は含まない)は、平成 20 年~22 年度頃と比べて下落傾

向にあったが、平成 26 年度以降は改善傾向にある。それに対し、国や大阪府の平均は、毎年少しず

つではあるが、増加傾向にある(図表 50・51)。

平成 28 年 11 月~平成 29 年 3 月にかけて、特定保健指導未利用者電話勧奨を実施した。対象者 254

人中、聞き取り調査を実施できたのは 102 人(40.2%)で、個別の栄養相談を利用しないと答えた

のは 102 人中 84 人(82.4%)であった。その 84 人に保健指導の未利用理由(複数回答可)を回答

してもらった(図表 52)。「自分なりに取り組みを行っている(する予定)」が 26.0%で、未利用理

由の中で最多であった。こうした理由による未利用者への対策が必要である。

図表 50.特定保健指導利用率の推移

図表 51.特定保健指導実施率の推移

資料:特定健康診査・特定保健指導 法定報告

26.5%

18.7% 24.1%15.9%

15.0%

11.3% 11.9%

16.0%

22.4%

11.8%

14.7% 14.8% 15.1%

15.5% 15.5%16.7% 17.3%

25.5%26.0%

27.4% 27.6% 28.2% 28.7%

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

35%

H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28

河内長野市 大阪府 国

15.2%17.9%

20.6%

14.4%13.2%

9.7%11.9% 12.9%

18.4%

7.3%

11.6%12.6% 12.5% 13.1%

14.0% 13.9%15.0%

14.1%

19.5%

19.3%

19.4%19.9%

22.5% 23.0% 23.6%

0%

5%

10%

15%

20%

25%

H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28

河内長野市 大阪府 国

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図表 52.特定保健指導を利用しない理由(平成 28 年度電話勧奨結果より) *有効回答数 100(84 人)

<その他の意見(一部抜粋)>

・入院する予定のため ・次の健診で再び数値が高かったから ・一人で外出困難のため

資料:平成 28 年度河内長野市 特定保健指導未利用者 電話調査結果報告書

②特定保健指導による改善率

特定保健指導による改善率(昨年度の特定保健指導対象者のうち、特定保健指導の利用により今

年度の対象ではなくなった割合)は、平成 25 年度の 22.4%から平成 26 年度には 35.6%に一時的に

上昇したが、平成 28 年度には 18.7%に再び下がっている。平成 26 年度を除けば、平成 21~28 年度

の期間、18.7~29.9%の間で改善率は推移している(図表 53)。

図表 53.特定保健指導による改善率の推移

資料:特定健康診査・特定保健指導 法定報告

26.0%

13.0%

12.0%10.0%

10.0%

8.0%

21.0%

自分なりに取り組みを行っている

(する予定)

日程、時間が合わない(仕事が忙

しい等を含む)

医師より直接指導を受けているた

すでに病院で治療を開始している

(服薬中)

特に問題があると感じないから

(元気だから)

これから検討する予定

その他

25.8% 27.3%29.9%

26.4%

22.4%

35.6%

21.7%18.7%

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

35%

40%

H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28

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4.分析結果に基づく健康課題の抽出

(1)現状分析

これまでの河内長野市の特性やレセプトデータ、特定健診・特定保健指導データの分析結果等を踏

まえて、項目ごとの分析結果と課題を以下の通りまとめた。

①河内長野市の特性

a.分析結果

本市の人口推計では65歳以上の割合が10年後の平成38年度末には38.4%に達する見込みとなって

いる。また単身世帯の割合が平成22~27年度の5年間で7.9%増加している。人口減少が進み、単独

世帯の増加や少子高齢化が進行している。

b.課題

人口減少及び人口構造の変化により、生産年齢人口が減少し続け、ついには地域社会(コミュニ

ティ)の機能が喪失し、市民が一定の生活水準すら維持できない状態につながる恐れがある。また、

地方税の税収が落ち込む上に、医療費を含む社会保障関係費が増大となることで、市としても十分

な行政サービスを提供できなくなり、過疎化に拍車がかかっていく可能性がある。

②被保険者の特性

a.分析結果

被保険者の高齢化率は平成17年に31.2%、平成27年度に47.4%と、65歳以上が約半数を占めるに

至っており、市全体よりもさらに深刻な状況にある。団塊の世代(昭和22~24年生まれ)の大量退

職(平成19~21年)の影響が考えられる。

被保険者の加入者は、減少を続けている。人口そのものが減少していること、75 歳到達による後

期高齢者医療制度への移行が増加したことに伴うものと考えられる。

b.課題

少子高齢化は河内長野市全体の課題であるが、被保険者ではさらに深刻な課題である。65歳以上

が被保険者の約半数を占め、高齢者は医療機関にかかる機会が多いことから、高齢者の増加は医療

費の増大に直結する。若年のうちに健康改善をし、加齢してからの重症化を防ぐことが求められる。

③平均・健康寿命

a.分析結果

河内長野市の男性の健康寿命は平成 23 年度の 79.30 歳から、平成 27 年度の 79.99 歳に 0.69 歳の

伸びがあった。河内長野市の女性の健康寿命は、平成 23年度から平成 27年度までの間、82.56~83.21

歳の間で推移している。男女ともにどの年度も大阪府平均より、健康寿命が長い。

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b.課題

平均寿命と健康寿命の差が大きいということは、自立が失われた状態で生活する期間が長くなる

ことを意味する。この差が拡大すれば、医療費や介護給付費用等を消費する期間が増大することと

なる。疾病予防と健康増進、介護予防等によって、平均寿命と健康寿命の差を短縮することができ

れば、個人の生活の質の低下を防ぐとともに、医療費等の社会保障負担の軽減も期待できる。

多くの高齢者が健康的に日常生活を過ごせるように保健事業を展開していくことで、健康寿命を

さらに延伸していくことが必要である。

④標準化死亡比

a.分析結果

死因割合(平成 27 年度)では、がんが男性 37.9%、女性 25.2%と、ともに第 1位である。

平成 20~24 年度の死亡理由を国と比較すると、男性の肺炎は 1.17 倍、女性の肺炎は 1.18 倍と、

肺炎の死亡が男女ともに多い。

b.課題

がんはウイルスや細菌による感染や遺伝的原因のほか、生活習慣(喫煙、過度の飲酒、高血糖等)

も深く関連していると言われている。生活習慣の見直しにより、がんの発生を抑制していくことが

課題と言える。早期にがんを発見することが重要であり、がん検診を広げていくことも課題である。

肺炎は風邪と症状が似ているが、多くの高齢者が肺炎で命を落としている。肺炎予防のためには、

うがいや手洗い、マスクの着用等の日常の取り組みに加えて、ワクチンの接種も重要である。

⑤要介護認定状況

a.分析結果

要支援・要介護認定者数は平成 18 年度の 4,516 人から、平成 27 年度には 7,095 人に増えており、

1.5 倍以上に増加している。介護度の高低にかかわらず、要支援・要介護認定者数が、大きく増加し

ている。

要介護・要支援認定者の有病状況では、1号・2号被保険者ともに心臓病が第 1位、筋・骨疾患が

第 2位、1号被保険者では糖尿病が第 3位、2号被保険者では脳疾患が第 3位となっている。

b.課題

要介護 4は、ほぼ寝たきりか重度の認知症、要介護 5は、寝たきりと考えられる。我が国におけ

る寝たきりの原因は脳卒中が最も多く、次いで認知症、廃用症候群(安静状態が長期に渡って続く

ことによる、様々な心身の機能低下等を起こる症状)となっていることから、要介護 4 及び要介護・

5の認定割合が大きい場合には、脳卒中対策が重要であると考えられる。脳卒中の危険因子として、

高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙などが知られており、生活習慣病予防が大切である。

逆に、要支援や要介護 1では加齢に伴う衰弱や整形外科疾患が多いため、要支援や要介護 1が多

い場合には、高齢者における身体活動の促進が必要な可能性がある。

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本市では介護度の高低にかかわらず、要支援・要介護認定者数が大きく増加しており、両方の対

策が重要であると考えられる。また、要介護・要支援認定者の有病状況から、健康寿命の延伸を目

指すには、認定者に多い病気の対策が必要である。

⑥医療費分析

a.分析結果

被保険者の平成 27 年度の 1人当たりの年間医療費は、大阪府平均 363,928 円に対し 387,075 円と

高額である。被保険者の総医療費のうち、34.1%が生活習慣病。レセプト有の被保険者における生

活習慣病の割合では、大阪府平均と比較して動脈硬化症の高さが際立っている。

動脈硬化症は、「沈黙の殺人者」と呼ばれるほど自覚症状がなく、心臓に大きな負担がかかるため、

高血圧、心肥大、心不全等の心疾患につながる。さらには血管が狭くなったり詰まったりすること

で、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞を引き起こすなどの疾病要因となっている。

年齢階級別の 1人当たりの総医療費を比較すると、特に 40 代・50 代の医療費が、国や大阪府の平

均より高い。医療費の推移では、医科(外来+入院)の医療費が、平成 27 年度から平成 28 年度で

約 3 億 7,700 万円の減少があった。75 歳到達による後期高齢者医療制度への移行人数が増加したこ

とに伴う被保険者数の減少や高額薬剤の薬価改定が影響していると考えられる。

ジェネリックの利用状況は上昇傾向にあり、平成 27 年度から平成 28 年度にかけて、53.6%から

59.1%と 5.5%の上昇があった。

b.課題

被保険者1人当たりの年間医療費が、大阪府内でもトップクラスの高さとなっており、どのように

抑制していくかが課題である。特に生活習慣病が総医療費の3割以上と、大きな割合を占めている。

保健事業を通じて、生活習慣病対策を進めていくことが肝要である。

年齢階級別では、特に40代・50代の医療費の高さが目立つので、保健事業を通じて、こうした比

較的若い層の疾病対策を行っていくことが重要である。

ジェネリックの利用状況では、ジェネリックの普及に向け、さらなる啓発をしていくことが課題で

ある。

⑦特定健診実施状況

a.分析結果

被保険者の特定健診受診率は、経年的に上昇傾向にあり、国や大阪府の平均より高かったが、平

成 28 年度では前年比 1.8%の低下が見られた。

性・年齢階級別では、概ね国や大阪府の平均より高い傾向にあるが、40~59 歳の被保険者は、大

阪府平均よりは高いが、国平均よりは低い。

年齢別では、高年齢層ほど受診率が高い傾向にある。被保険者における高齢者の割合の高さが、

受診率の高さに影響していることが考えられる。

月別特定健診受診率では、6月、10~11 月、2~3月の受診が多い。

3 年累積特定健診受診率を大阪府と比較すると、本市の累積受診率が高い。特定健診未受診で医療

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機関も未受診の被保険者が約 3割いる。

平成 28 年度の特定健診未受診者電話勧奨における聞き取り調査では、未受診理由として、「病院

へ通院または入院している」「時間がない(仕事が忙しい等を含む)」が、理由として多く見られた。

高血圧・糖尿病・脂質異常症では、重症にもかかわらず未治療者が一定数いる。

平成 27 年度の性・年齢階級別喫煙率では、大阪府平均と比べ、50 代男性の喫煙率が高い。

b.課題

被保険者の特定健診受診率は、経年的に上昇傾向にあるが、40%程度であり、第1期データヘルス

計画における平成29年度目標の60%には乖離がある。特に国の平均と比べて受診率が低い、40~59

歳の女性の受診率を上げることが重要である。月別では、2~3月に集中する受診率を年度前半に前

倒しできる環境にすることが課題と言える。

本市の累積受診率は大阪府平均と比べて高い。特定健診を受診した人については、毎年継続して

受診することができている一方、新規対象者の利用は比較的少ない。

特定健診も医療機関も未受診の被保険者は、気がつかないうちに生活習慣病が進行している恐れ

があり、どのように受診を促していくかが課題である。

高血圧・糖尿病・脂質異常症といった生活習慣病を抑制していくことが、医療費適正化における

重要な課題である。喫煙率については、50歳代男性の喫煙率を下げる取り組みが必要である。

⑧特定保健指導実施状況

a.分析結果

特定保健指導実施率は、平成 22 年度をピークに思うような上昇を見せていなかったが、平成 26

年度以降は改善傾向にある。実施率は「特定保健指導実施率=利用率×終了率」に分解できること

から、特定保健指導実施率向上の対策も、利用率の向上と終了率の向上に分けられる。

利用率の向上対策としては、利用に結びつくように利用勧奨することが重要である。

終了率の向上対策としては、帰属意識や楽しい・嬉しい等の陽性感情に働きかけるプログラム設

計をしたり、きめ細やかなフォローアップをしたりすることが中心となる。

特定保健指導による改善率は、平成 26 年度を除けば、平成 21~28 年度の期間、18.7~29.9%の

間で推移している。平成 28 年度特定保健指導未利用者電話勧奨における聞き取り調査では、未利用

理由として、「自分なりに取り組みを行っている(する予定)」が最多であった。

改善率の向上には、市の保健師による指導だけでなく、かかりつけ医等被保険者の信頼できる医

療事業者によるアウトソーシングも検討する必要がある。

b.課題

特定保健指導は、生活習慣病の重症化を予防するための有効な手段である。特定保健指導未利用

者対策及び保健指導内容の充実を図り、特定保健指導終了率の向上に向けた取り組みを進めること

が課題である。

そのためには利用に結びつくような利用勧奨、最終評価まで支援中断とならないような魅力的な

プログラム、丁寧なフォローアップが重要である。

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(2)健康課題

先述の現状分析及び第1期データヘルス計画事業の考察から見る健康課題を以下の通り整理した。

○課題1 1人当たりの年間医療費は府内トップクラス。生活習慣病が総医療費の3割

・国保被保険者の高齢化が進み、65歳以上が約半数を占める状況にある。

・被保険者の総医療費のうち、34.1%が生活習慣病。

・要支援・要介護認定数がこの 10 年で大きく増加している。要介護・要支援認定者の有病状況で

は、心臓病が第 1位、筋・骨疾患が第 2位、糖尿病、脳疾患が続いている。

○課題2 特定健康診査受診率は40%。40~59歳の受診が少ない

・全体の受診率は平成 27 年度 40%を超えたが、28 年度はやや減少。

・年齢別では、高年齢層ほど受診率が高い傾向にある。

・3年累積特定健診受診率を大阪府と比較すると、本市の累積受診率が高い。

・月別特定健診受診率では、6月、10~11 月、2~3月の受診が多い。

○課題3 特定保健指導利用率は20%以下で伸び悩む

・特定保健指導利用率と実施率は、平成20~22年度頃をピークに思うような上昇を見せてない。

・特定保健指導による改善率は、平成26年度を除けば、平成21~27年度の期間、20~30%の間で

推移。

・平成28年度特定保健指導未利用者電話勧奨における聞き取り調査では、未利用理由として、「自

分なりに取り組みを行っている(する予定)」が最多。

(3)目指すべき姿と取り組みの方向性

上記の健康課題から、本市保健事業の目指すべき姿及び取り組みの方向性を次の通りとした。

a. 特定健康診査の必要性を認識した上で、身近な医療機関等で特定健康診査を受診し、被保険者

自身で健康管理ができる ⇒特定健診の改善

b. 健診結果を真摯に受け止め、生活習慣病リスクのある被保険者が生活習慣を改善する。

⇒特定保健指導の改善

c. 生活習慣病の正しい知識を持ち、要医療者が受診し、治療の継続や適切な生活習慣を継続する

ことにより、重症化の予防や合併症を抑制することができる⇒重症化予防対策の充実

d. ジェネリックの一層の普及による薬剤費の抑制が図られているほか、被保険者自身が医

療費に高い関心を持ち、適正な医療を受ける⇒医療費の抑制

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5.目標

(1)目標の設定

以下の通り、第 2 期データヘルス計画の中長期・短期の目標(図表 54)、目標値(図表 55)を定め

る。

特定健診受診率・特定保健指導実施率は、平成 28 年度末時点で第 1期データヘルス目標に達してい

ないため、第 1期データヘルス計画の目標と同じ 60%とした。

集団検診実施回数は現状の 2 回から 6 回に増やし、被保険者がより特定健診を受けやすい環境を構

築したい。

ジェネリックの利用率は、国の基準で「平成 29 年央に 70%以上、平成 30 年度から平成 32 年度末ま

での間のできるだけ早い時期に 80%以上とする」と目標が定められている。そのため、遅くとも「計

画終了の平成 35 年度末までには 80%」と目標を設定した。

図表 54.第 2期データヘルス計画の中長期・短期の目標

目標区分 目標内容

中長期

糖尿病及び動脈硬化症を中心に、生活習慣病リスクの早期発見・早期治療のため、

特定健診・特定保健指導等の保健事業を実施し、被保険者の健康寿命の延伸と医療

費の適正化の推進を図る。

短期

特定健診受診率及び特定保健指導実施率の向上に努め、メタボリックシンドロー

ムの該当者・予備軍割合の減少を目指す。

血圧高値者や血糖高値者への対策を進め、生活習慣病の重症化を防ぐ。医療費の

適正化に向けて、ジェネリック利用率のさらなる向上に努める。

図表 55.第 2期データヘルス計画の保健事業の目標値

指標 第 1 期計画

目標値

現状値

(平成 28 年度)

目標値

(平成 35 年度) 数値資料

特定健診受診率 60.0% 38.7% 60.0% 法定報告

特定保健指導実施率 60.0% 18.4% 60.0%

集団検診実施回数 - 2 回 6 回 委託業務報告

ジェネリック利用率 70.0% *65.2% 80.0%

レセプト有の被保険者のうちの糖尿病の割合 -

21.5% (大阪府平均 19.9%)

大阪府平均以下

KDB システムレセプト有の被保険者のうちの動脈硬化症の割合

- 7.0%

(大阪府平均 4.7%)大阪府平均以下

*ジェネリック利用率の現状値は、平成 29 年 3 月のもの。

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(2)目標の視点

①ストラクチャー評価・プロセス評価

事業の構成や実施体制を評価するストラクチャー評価及び実施過程を評価するプロセス評価は、

国保ヘルスアップ事業評価事業で開発された評価方法(図表 56)を前回計画と同様に使用する。

「事業企画・立案」「事業実施」「評価」の 3段階に分類し、各々の項目について評価を行い、事

業見直し、事業改善を重ね、効果的な事業実施につなげるようにする。

②アウトプット評価・アウトカム評価

事業実施量を評価するアウトプット評価及び事業成果を評価するアウトカム評価は、具体的な数

値目標を設定し評価を行う。評価過程において現状分析や新たな課題を抽出し計画見直しを行い、

中長期目標の達成に向けて努める。

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図表 56.国保ヘルスアップ事業評価事業の評価基準チェックリスト

a b c該当なし

Ⅰ-1 健診データ、レセプトその他統計資料等のデータに基づいて現状分析をしている

評価理由

Ⅰ-2 現行実施している保健事業の内容・体制の評価をしている

評価理由

Ⅰ-3 健康課題を明確にしている

評価理由

Ⅰ-4 地域資源を把握している

評価理由

Ⅰ-5 事業目的を明確にしている

評価理由

Ⅰ-6 事業目的に応じた各種保健事業を企画している

評価理由

Ⅰ-7 個別事業の優先順位を付けている

評価理由

Ⅰ-8 企画段階から庁内及び庁外の関係者とともに事業内容について検討している

評価理由

Ⅰ-9 事業目的に応じた対象者の選定基準を設定している

評価理由

Ⅰ-10 個別事業及び全体としての成果目標を設定している

評価理由

Ⅰ-11 事業の評価指標・評価方法を設定している

評価理由

Ⅰ-12 事業運営委員会を設け、事業の運営状況を監理できる体制を整備している

評価理由

Ⅰ-13 関係者と調整しスケジュールを立てている

評価理由

Ⅰ-14 保健事業の質の確保のための取組みを行っている

評価理由

a 事業企画・立案

企画・立案に係るもの

段階 項番 評価項目

評価

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Ⅰ-15 事業に必要な予算を確保している

評価理由

Ⅰ-16 関係機関・関係課と連携・調整の上、実施体制を構築している

評価理由

Ⅰ-17 個別事業の具体的な実施手順を明らかにし、保健指導実施関係者間で共有している

評価理由

Ⅰ-18 苦情処理の体制を確保している

評価理由

Ⅰ-19 計画に基づいた参加者の募集を実施している

評価理由

a 事業企画・立案

準備に係るもの

Ⅱ-1 事業開始時より関係者間で情報共有を行っている

評価理由

Ⅱ-2 参加者個人の目標を設定している

評価理由

Ⅱ-3 保健指導実施者が参加者個人の状況をモニタリングしている

評価理由

Ⅱ-4 事業実施責任者が事業実施状況をモニタリングしている

評価理由

Ⅱ-5 脱落防止のために、対象者にフォローを行っている

評価理由

Ⅱ-6 安全管理に留意している

評価理由

Ⅱ-7 個人情報を適切に管理している

評価理由

Ⅱ-8 個人目標の達成状況を評価している

評価理由

Ⅱ-9 保健指導終了後のフォローアップを行っている

評価理由

b 事業実施

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a:最も望ましい状況 b:概ね望ましい状況 c:課題が残っている状況

Ⅲ-1 事業評価を実施している

評価理由

Ⅲ-2 事業結果を取りまとめている

評価理由

Ⅲ-3 外部アドバイザーから評価を受けている

評価理由

Ⅲ-4 事業結果を公表している

評価理由

Ⅲ-5 次年度計画等に向けた改善点を明確にしている

評価理由

c 評価

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6.保健事業の内容

(1)これまでの取り組み

①取り組み内容

河内長野市の保健事業は、国民健康保険の被保険者の健康の保持増進を図ることにより、医療費

の適正化を推進することを目的として取り組みを進めている。具体的な取り組みは以下の通り(図

表57・58)である。

図表57.これまでの取り組み一覧

項目 平成

20年度

平成

21年度

平成

22年度

平成

23年度

平成

24年度

平成

25年度

平成

26年度

平成

27年度

平成

28年度

平成

29年度

①-a

①-b

②-a

②-b

①-a特定健康診査等実施計画(第1期) ①-b特定健康診査等実施計画(第2期)

②-a特定健診事業(個別健診) ②-b特定健診事業(集団検診)

③特定保健指導事業 ④特定健診未受診者対策

⑤特定保健指導未利用者対策 ⑥早期介入事業

⑦人間ドック補助事業 ⑧ジェネリックの差額通知

⑨健康意識向上の啓発 ⑩非肥満血圧高値者・血糖高値者受診勧奨推進事業

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図表58.これまでの具体的な取り組みの概要

項目 目的と実施内容

①特定健診事業・特定

保健指導事業

目的:「第2期特定健康診査等実施計画(平成25~29年度)」に基づき、健康

診査を実施。その結果から健康の保持に努める必要がある人に対して保健指導

を実施し、生活習慣病の早期予防に努める。

実施内容:「第2期特定健康診査等実施計画」に基づき、特定健診事業・特定

保健指導事業を実施した。

②早期介入事業 目的:健診結果にて情報提供レベルとなった人を対象に健康意識向上のための

取り組みを行い、生活習慣病予防につなげる。

実施内容:特定保健指導対象外で基準値以上の人に、健康教室の案内を送付し、

希望者を募った。健康意識の向上を図る取り組みを実施。

③人間ドック補助事業 目的:人間ドックにかかる費用を助成し、疾病の予防、早期発見及び早期治療

を推進する。

実施内容:1 年以上の国保加入者で、保険料の未納がない世帯に対して、人間

ドック費用額を助成する。平成 29 年度からは、1世帯 2名の制限を撤廃し、検

査項目を充実させ、補助額を拡大した。

④ジェネリックの差額

通知

目的:医療費の削減とあわせて、被保険者の自己負担額も節減できるため、ジ

ェネリックの使用を推進する。

実施内容:例年実施しているジェネリックの差額通知に加え、モックルバスへ

の啓発チラシの車内吊りや、ジェネリックに関する講演会、またそれと併せて

の薬剤師による相談会等も実施。

⑤健康意識向上の啓発 目的:健康増進や疾病予防という健康意識の向上を促し、生活習慣病の改善と

予防を図る。

実施内容:市広報、市ホームページ等を活用して、健康づくりに関する教室や

ウォーキングマップ等の情報提供を行った。

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②取り組みに関する考察

第 1 期データヘルス計画においては、医療費が高額となる生活習慣病の重症化の抑制による医療

費の適正化を目標として、各種施策を実施した。前述の各種取り組みのうち、特に特定健診受診率

及び保健指導利用率については、電話等による受診勧奨を行うものの効果が現れていない。そこで、

受診率等の向上に対する効果的な方法等について、市医師会等の関係機関と協議を行い、特定健診

受診から保健指導に至るまでの一連の仕組みづくりを構築する必要がある。

一方、ジェネリック利用率については、年々増加しており、目標値に近づきつつあることから、

現行の取り組み内容を継承しつつ、さらなる普及率向上のため市薬剤師会との連携を進める。

その他、糖尿病予防対策の推進については、先進都市の取り組み等を参考とし、市医師会のほか、

地域医療との連携を図りつつ、効果的な予防対策を行うための仕組みの構築を目指す。

(2)これからの取り組み

これからの取り組み内容としては、以下の通りである。

a.特定健診の改善

実施事業

目的・概要

平成29年度現況 平成30~35年度◎特定健康診査の実施 平成30年度以降    継続実施

◎検査項目の充実・血清クレアチニン、尿酸検査の追加

平成30年度以降    生活習慣病の発見に寄与する追加項目の検討・               実施

◎集団検診の充実・回数 年2回(休日1回)・場所 市役所・保健センター

平成30年度以降    実施回数を年2回⇒6回に拡大・休日実施               実施場所…地域の交通事情や医療アクセス環境               を考慮して市内公共施設での実施

指標 ①事業計画等を関係部署と連携し適切に設定したか②実施手順を明確化し、実施事業者と共有しているか

指標 ①事業を進捗管理し、計画通り実施したか②事業の実施時期、内容等が適切であったか

指標 ①追加検査項目  ②集団検診実施回数現況(平成29年度) ①2項目  ②年2回短期目標(平成33年度) ①5項目  ②年6回長期目標(平成35年度) ①7項目  ②年6回

指標 特定健診の受診率現況(平成28年度)  38.7%短期目標(平成33年度)  50.0%長期目標(平成35年度)  60.0%

アウトプット評価(事業実施量)

アウトカム評価(成果)

評価指標目標

取組内容実施期間

特定健診の改善

 40~74歳の国民健康保険被保険者を対象にメタボリックシンドロームに着目し、健診により高血圧症、脂質異常症、糖尿病等の生活習慣病を早期に発見し疾病の予防を図り、被保険者の健康維持と受診率の向上を目指す。 魅力的な健診にするため、人間ドックを参考にしながら、実施検査項目の充実を図る。また、集団検診の実施回数や場所を増やし、受診しやすい環境づくりに努める。

ストラクチャー評価(事業を実施するための仕組みや体制)

プロセス評価(目的・目標達成に向けた手順や活動状況)

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b.特定保健指導の改善

実施事業

目的・概要

平成29年度現況 平成30~35年度◎特定保健指導の実施 平成30年度以降    継続実施◎利用券の送付・検査結果判明後送付

平成30年度以降    特定健康診査受診券にセットで送付

◎指導開始時期・保健センターに申込後開始・集団検診時に初回面接

平成30年度以降    特定健康診査結果通知時に初回面接実施               市医師会の協力を得てかかりつけ医が指導               困難な場合は、初回面接後、医療事業者が実施               人間ドック健診機関での特定保健指導実施

指標 ①事業計画スケジュールの適切に設定しているか②実施手順を明確化し、実施事業者と共有しているか

指標 ①事業を進捗管理し、計画通り実施したか②事業の実施方法が適切であったか

指標 ①特定保健指導利用率   ②特定保健指導改善率現況(平成28年度) ①22.4%  ②18.7%短期目標(平成33年度) ①45.0%  ②30.0%長期目標(平成35年度) ①65.0%  ②40.0%

指標 特定保健指導実施率現況(平成28年度)  18.4%短期目標(平成33年度)  40.0%長期目標(平成35年度)  60.0%

特定保健指導の改善

 特定健康診査の結果から生活習慣病リスクがある被保険者に対し、専門職による個別指導を概ね6か月間実施することにより、生活習慣の改善を促し、健康維持を図る。 保健指導は、被保険者がより受けやすい環境にすることが肝要であることから、結果判明後早期に開始することと、指導実施者が対象者から信頼されることが重要である。

取組内容実施期間

評価指標目標

ストラクチャー評価(事業を実施するための仕組みや体制)

プロセス評価(目的・目標達成に向けた手順や活動状況)

アウトプット評価(事業実施量)

アウトカム評価(成果)

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c.重症化予防対策

実施事業

目的・概要

平成29年度現況 平成30~35年度◎人間ドック検診機関  6医療機関

平成30年度以降    対象医療機関数を拡充。

◎集団健康診断 未実施

平成30年度以降    全年齢層を対象に、人間ドック基本検査項目に該               当する集団健康診断の実施。

◎喫煙対策 市民を対象とした「たばこ相談」を月1回実施

平成30年度以降    3日間1日コースの喫煙塾の開催。「たばこ相談」               について、被保険者への周知を図る。

◎肺炎対策 65歳以上の市民を対象とした「高齢者用肺炎球菌ワクチン予防接種」を助成

平成30年度以降    「高齢者用肺炎球菌ワクチン予防接種」について、               被保険者への周知を図る。人間ドック、集団健康               診断の受診を促す。

◎健康教室 高血圧・糖尿病予防教室を年1回実施(各定員40人)

平成30年度以降    高血圧・糖尿病予防教室の定員の拡充。               慢性腎臓病予防教室を実施。

◎糖尿病指導研修 未実施

平成30年度以降    糖尿病療養指導士を招いた研修会の開催。

◎重症化予防対策 血清クレアチニン・尿酸値の 検査項目追加

平成30年度以降    汎用性の高い行動変容プログラム(糖尿病対策)               の導入検討⇒導入

指標 ①事業計画について市医師会と連携しているか②実施手順を明確化し、実施事業者と共有しているか

指標 ①事業を進捗管理し、計画通り実施したか②事業の実施方法が適切であったか

指標①人間ドック検診実施医療機関数   ②集団健康診断の受診者数③高血圧・糖尿病予防教室の各定員 ④行動変容プログラム利用者数

現況(平成28年度) ①6医療機関   ②300人   ③40人    ④0人  短期目標(平成33年度) ①15医療機関    ②450人  ③50人 ④15人長期目標(平成35年度) ①20医療機関    ②600人  ③60人   ④15人

指標①有病被保険者中糖尿病の割合 ②有病被保険者中動脈硬化症の割合③50代男性の喫煙率

現況(平成28年度)*③のみ平成27年度

①21.5%  ②7.0%  ③40.2%

短期目標(平成33年度) ①20.0%  ②5.5%  ③37.5%長期目標(平成35年度) ①18.0%  ②4.0%  ③35.0%

重症化予防対策

 生活習慣病の中で、特に糖尿病性腎症等の重症化は、人工透析等の治療が必要となる重篤な合併症が発症するリスクが高いので、その抑制を目指す。 糖尿病指導においては、高い専門性が必要となるため、対象者が安心して指導を受けられる環境づくりが必要である。

取組内容実施期間

評価指標目標

ストラクチャー評価(事業を実施するための仕組みや体制)

プロセス評価(目的・目標達成に向けた手順や活動状況)

アウトプット評価(事業実施量)

アウトカム評価(成果)

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d.医療費の抑制

実施事業

目的・概要

平成29年度現況 平成30~35年度◎薬剤師会との連携 お薬相談会の実施(年1回)

平成30年度以降    適切な服薬を啓発する講演会の開催               集団健康診断実施時のお薬相談会の開催

◎ジェネリックの差額通知送付(年3回)

平成30年度以降    継続実施

◎医療費通知の送付と適正受診の啓発(年3回)

平成30年度以降    医療費通知送付の継続実施               第三者求償事務の適切な実施               被保険者への適正受診の啓発

指標 ①事業計画について市薬剤師会と連携しているか②実施手順を明確化し、実施事業者と共有しているか

指標 ①事業を進捗管理し、計画通り実施したか②事業の実施方法が適切であったか

指標 ①服薬啓発相談会実施回数   ②第三者求償把握件数現況(平成28年度) ①年1回   ②51件短期目標(平成33年度) ①年6回   ②70件長期目標(平成35年度) ①年6回   ②80件

指標 ①ジェネリック利用率   ②1人当たり医療費対前年比伸び率現況(平成28年度) ①59.1%    ②+2.52%短期目標(平成33年度) ①70.0%    ②+1%長期目標(平成35年度) ①80.0%    ②±0%

医療費の抑制

 医療費の抑制は、国民健康保険の安定運営に欠かせない。被保険者自身も医療費について関心を持ってもらい、重複・頻回受診による過剰診療や薬剤の多用や誤飲による健康被害の防止を図り、適切な医療を受けられる環境づくりを目指す。また、交通事故等第三者行為による保険診療については、求償事務を適切に行い、適正な保険給付に努める。

取組内容実施期間

評価指標目標

ストラクチャー評価(事業を実施するための仕組みや体制)

プロセス評価(目的・目標達成に向けた手順や活動状況)

アウトプット評価(事業実施量)

アウトカム評価(成果)

Page 56: 第2期 河内長野市国民健康保険 保健事業実施計画 (データ ...3 (2)計画期間 第3次大阪府医療費適正化計画や、本市第3期特定健康診査等実施計画(平成30~35年度)の計画

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7.計画の評価・見直し

ストラクチャー(保健事業を実施するための仕組みや体制)、プロセス(事業の目的や目標の達成に

向けた過程や活動状況)、アウトプット(目的や目標の達成のために行われる事業の実施量)、アウト

カム(事業の目的や目標の達成度、また成果の数値目標)、以上の 4つの視点に沿って KDB システム等

を用い、毎年度評価を行うものとする。

評価体制として、市医師会、大阪府及び大阪府国保連合会のほか有識者との連携のもと評価を行う。

PDCA サイクルに沿った保健事業を展開するため、目標の達成状況及びその経年変化の推移について

把握し、社会的環境の変化等も加味した上で、状況の変化等必要に応じて計画の見直しを行う。

8. 計画の公表・周知

市の広報・ホームページへの掲載により被保険者に公表するとともに、三師会、大阪府及び大阪府

国保連合会のほか、関係機関に配布を行う。また、データヘルス計画の周知にあたっては、教育機関

を通じて食育等を含めて、若年層にも周知を図っていく。

9. 個人情報の取り扱い

個人情報の取り扱いについては、個人情報の保護に関する法律(平成 15 年法律第 57 号)及び同法

に基づく「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」、「健康保

険組合等における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」等や、「大阪府個人情報保護条例」

「河内長野市個人情報保護条例」の規定に基づき、個人情報を適切に取り扱う。

保健事業を外部に委託する際は、個人情報の厳重な管理や、目的外使用の禁止等を契約書に定める

とともに、委託先の契約遵守状況を管理する。

10. 地域包括ケアに係る取り組み及びその他の留意事項

本計画の保健事業を運営するにあたり、関係部署や大阪府、大阪府国保連合会、本市三師会等との

連携を図り、円滑な実施を目指す。

厚生労働省では、団塊の世代が 75 歳以上となる 2025 年を目途に、重度な要介護状態となっても住

み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・

予防・生活支援が一体的に提供される、「地域包括ケアシステム」の構築を目指している。

被保険者の高齢化が進む中、介護保険サービス利用者が増加することを踏まえ、医療・介護等の連

携を図り、レセプトデータを積極的に提供し、受療動向の把握や健康課題の抽出に活用していくもの

とする。

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MEMO

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MEMO

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第2期河内長野市国民健康保険保健事業実施計画

平成30年度~平成35年度

発行日 平成30年3月

発  行 河内長野市        〒 586-8501 河内長野市原町一丁目1番1号        電話  (0721) 53-1111 (代表)

編  集 河内長野市 保健福祉部 保険年金課