小樽港第3号ふ頭岸壁改良について - 北海道開発局...sena nakui, kohei hatooka,...

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Sena Nakui, Kohei Hatooka, Takeshi Ishizawa 平成30年度 小樽港第3号ふ頭岸壁改良について ―着工から現在までの経過報告― 小樽開発建設部 小樽港湾事務所 第1工務課 ○名久井 責成 波戸岡 浩平 石澤 健志 小樽港第3号ふ頭では、既存の老朽化した岸壁の改良工事を施工中で、完成後は、現在取り 扱っている完成自動車等の貨物に加え、近年急増する大型クルーズ船の利用も可能になること から、地域における観光面からの期待も大きい。 本報文では、調査・設計から、現在までに実施した施工に関する工夫及び留意点等について 報告するものである。 キーワード:観光、設計・施工、長寿命化 1. はじめに 小樽港中央地区第 3 号ふ頭(写真-1 )は、昭和 15 に着工し、昭和 29 年に岸壁(-9m)が完成し、その後昭 34 年から延長工事が行われ、昭和 42 年に岸壁 -10m)が完成した。 当該施設は、岸壁(-9m)と岸壁(-10m)のケーソン による重力式構造の連続バースで、貨物船(中古車等) や旅客船に利用されているが、設計を行った平成 26 時点で、建設から岸壁(-9m)は 60 年、岸壁(-10m)は 48 年が経過し、施設の老朽化による機能低下および安 全性が損なわれており、早急に対応が必要であると判断 された。 岸壁の改良にあたっては、既設の岸壁(-9m)と岸壁 -10m)の全体を岸壁(-10m)として一体的に整備を行 うことにより、クルーズ船の大型化に対応した施設整備 とした。 本報文は、平成27年度より現地着手した第3号ふ頭岸 壁(-10mA部の改良に関して、調査・設計から、今年 度まで実施した工事での施工上の工夫及び留意点等につ いて報告するものである。 2. 岸壁の改良断面について (1) 既設構造及び健全度調査 岸壁(-10mA部の既設構造は、重力式構造で本体工 はケーソン、上部工は鉄筋コンクリートによる梁構造で ある(図-1 )。 既設岸壁の健全度調査を行った結果、本体工のケーソ ンは、コンクリート圧縮強度、中性化、塩分含有量とも 問題なかった。一方、梁構造である上部工は、鉄筋の腐 食が著しく、錆汁の発生、コンクリートの剥離、剥落、 露出鉄筋の断面減少がほぼ全面に渡って発生していた 写真-2)。また、エプロンは最大で40cmの沈下があ り、段差・ひび割れが散在していた。 小樽港第3号ふ頭 写真-1 改良施設の位置図(左:小樽港全景、右:小樽港第 3 号ふ頭)

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Page 1: 小樽港第3号ふ頭岸壁改良について - 北海道開発局...Sena Nakui, Kohei Hatooka, Takeshi Ishizawa (2) 設計条件 本施設の設計における主要諸元を表-1に示す。既設構

Sena Nakui, Kohei Hatooka, Takeshi Ishizawa

平成30年度

小樽港第3号ふ頭岸壁改良について ―着工から現在までの経過報告―

小樽開発建設部 小樽港湾事務所 第1工務課 ○名久井 責成

波戸岡 浩平

石澤 健志

小樽港第3号ふ頭では、既存の老朽化した岸壁の改良工事を施工中で、完成後は、現在取り

扱っている完成自動車等の貨物に加え、近年急増する大型クルーズ船の利用も可能になること

から、地域における観光面からの期待も大きい。 本報文では、調査・設計から、現在までに実施した施工に関する工夫及び留意点等について

報告するものである。

キーワード:観光、設計・施工、長寿命化

1. はじめに

小樽港中央地区第 3 号ふ頭(写真-1)は、昭和 15 年

に着工し、昭和 29年に岸壁(-9m)が完成し、その後昭

和 34 年から延長工事が行われ、昭和 42 年に岸壁

(-10m)が完成した。 当該施設は、岸壁(-9m)と岸壁(-10m)のケーソン

による重力式構造の連続バースで、貨物船(中古車等)

や旅客船に利用されているが、設計を行った平成 26 年

時点で、建設から岸壁(-9m)は 60年、岸壁(-10m)は

48 年が経過し、施設の老朽化による機能低下および安

全性が損なわれており、早急に対応が必要であると判断

された。 岸壁の改良にあたっては、既設の岸壁(-9m)と岸壁

(-10m)の全体を岸壁(-10m)として一体的に整備を行

うことにより、クルーズ船の大型化に対応した施設整備

とした。 本報文は、平成27年度より現地着手した第3号ふ頭岸

壁(-10m)A部の改良に関して、調査・設計から、今年

度まで実施した工事での施工上の工夫及び留意点等につ

いて報告するものである。

2. 岸壁の改良断面について

(1) 既設構造及び健全度調査 岸壁(-10m)A部の既設構造は、重力式構造で本体工

はケーソン、上部工は鉄筋コンクリートによる梁構造で

ある(図-1)。 既設岸壁の健全度調査を行った結果、本体工のケーソ

ンは、コンクリート圧縮強度、中性化、塩分含有量とも

問題なかった。一方、梁構造である上部工は、鉄筋の腐

食が著しく、錆汁の発生、コンクリートの剥離、剥落、

露出鉄筋の断面減少がほぼ全面に渡って発生していた

(写真-2)。また、エプロンは最大で40cmの沈下があ

り、段差・ひび割れが散在していた。

小樽港第3号ふ頭

写真-1 改良施設の位置図(左:小樽港全景、右:小樽港第 3号ふ頭)

Page 2: 小樽港第3号ふ頭岸壁改良について - 北海道開発局...Sena Nakui, Kohei Hatooka, Takeshi Ishizawa (2) 設計条件 本施設の設計における主要諸元を表-1に示す。既設構

Sena Nakui, Kohei Hatooka, Takeshi Ishizawa

(2) 設計条件 本施設の設計における主要諸元を表-1に示す。既設構

造の違いにより、既設岸壁(-10m)をA部(L=188.2m)

とした。設計水深は既設ケーソンの沈下を考慮し-10.8mとした。また、改良時の岸壁法線の前出しは、施設前面

の水域を狭めるため、船舶の入出港に影響することから、

現状の岸壁法線とした。

(3) 施工上の制約条件

本岸壁の背後には上屋が存在し、岸壁改良後も利用

されることから、上屋を存置したままでの施工が必要で

あり、また、施工箇所は市街地に近く、観光客が訪れる

施設にも近いため、振動・騒音に留意した施工を必要と

した。

(4) 改良断面 健全度調査結果及び制約条件から、施工性、経済性に

ついて比較検討を行い、選定した改良断面を図-2に示す。

既設本体は健全であるため、上部工、舗装工、付属工を

更新することとし、上部工の形状は既設本体へ作用する

鉛直荷重を極力抑えるため、既設と同様の梁構造とした。

また、既設本体の安定を図るため、地盤改良による背

後土圧の低減、基礎捨石の拡幅による基礎地盤の支持力

増加を図る構造とした。

(5) 施工時の安定性検討

岸壁前面の床掘作業を行う際に、既設基礎捨石の一部

を撤去することから、施工時の安定性について照査を行

った。安定照査の結果、基礎の支持力が不足することが

確認されたため、その対策について検討した。

上載荷重を低減させるため、既設上部コンクリート及

び舗装を撤去した場合で、安定照査を行った結果、安定

性が確保されたことから、既設上部コンクリート及び舗

装を撤去後に基礎捨石撤去・床掘を施工することとした

(図-3)。

H.W.L.+0.50

基礎捨石1:2

13.00

10.00

方塊

防舷材 (V-500H×2500L)

-12.80

3.00

1:1

L.W.L.±0.00

裏込石

15.22

砂石填充

-10.80

+2.40

5.22

4.65

係船曲柱 25t型

1:1.5

バットレス

+0.10

上屋

4.55

図-1 既設断面図

写真-2 既設岸壁の上部コンクリートの状況

(左上:前壁・柱のひび割れ、右上:柱基部の欠落)

(左下:側壁の表面剥離、右下:梁下面の鉄筋露出)

地盤改良

-10.80

-12.80基礎捨石

1:1裏込石

上屋

-5.30

13.00

1.75 バットレス

方塊

砂石填充

4.65

H.W.L.+0.50 L.W.L.±0.00

+1.60

防砂目地板

5.37 9.6315.00

+2.50

コンクリート舗装 t=0.30上層路盤  t=0.30下層路盤  t=0.30

+0.10

係船曲柱

防舷材

5.00

-10.30

1:1

3.004.501:3

1:3

1:2

10.55

基礎捨石

防砂シート

-11.20

上部コンクリート

車止め

既設構造物

12.20

-14.30

図-2 標準断面図

表-1 岸壁の主要諸元

計画水深 -10.0m

設計水深 -10.8m

延長 A部 188.2m(全バース延長 361.1m)

天端高 +2.5m

エプロン幅 15.0m

対象船舶 貨物船 12,000DWT、旅客船 130,000GT

潮位 H.W.L.=+0.5m、L.W.L.=±0.0m

照査用震度 Khk=0.15

-10.80

-12.80基礎捨石

1:1裏込石

上屋

13.00

1.75バットレス

方塊

砂石填充

4.65

H.W.L.+0.50 L.W.L.±0.00

+2.50

+0.10

4.55

1:1

3.004.501:3

1:3

+1.60

10.005.00

15.00

床掘

上部・舗装撤去

-14.30

基礎捨石撤去

図-3 施工時の安定性検討断面図

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Sena Nakui, Kohei Hatooka, Takeshi Ishizawa

3. 施工

(1) 施工手順 主要工種の施工フローチャートを図-4に示す。

(2) 構造物(舗装版)取壊し 舗装版の取壊し作業時は、振動・騒音の発生が懸念さ

れることから、本施工開始前に「大型ブレーカ」、「コ

ンクリート圧砕機」、「バックホウ」の作業時の振動・

騒音レベルを試験施工により確認し、施工機械、適用範

囲等を検討した。 作業位置は、上屋の外壁面より、14m、12m、9m、

6m、3mの位置で遠方から作業を行い、振動・騒音の測

定を行った(図-5)。

管理目標値は、法規制や各種文献、建物の位置等

を考慮し、上屋前面で振動レベル(L10 値)は 70dB、騒音レベル(L5値)は 80dBを上限として設定した。 舗装版の取壊し破砕時の建物前面で測定した振動結果

を表-2に示す。

以上の調査結果から、舗装版の取壊し作業は、上屋の

外壁面から9m以内の範囲では、大型ブレーカの使用を

不可とし、コンクリート圧砕機で作業を行うこととした。 (3) 陸上地盤改良工 岸壁背後の地盤改良は、改良箇所に裏込石があり原位

置での固化改良が困難であるため、事前混合処理工法を

採用した。 岸壁背後の地盤改良にあたっては、上屋を存置したま

ま施工するため、上屋保護を目的に仮設土留め矢板(グ

ランドアンカー式)を施工した(図-6)。

仮設土留め矢板の施工にあたっては、矢板打込み箇所

に裏込石があることから、先行掘削(全回転オールケー

シング掘削)を行い、掘削完了後、粗粒材を投入し置換

を行った(写真-3)。

仮設土留め矢板の打設作業は、振動・騒音の発生が懸

念されることから、本施工開始前に「電動式バイブロハ

ンマ」、「油圧式可変超高周波バイブロハンマ」、「ア

ースオーガ併用圧入杭打機」の作業時の振動・騒音レベ

ルを試験施工により確認し、施工機械、適用範囲等を検

討した。 作業位置は、上屋の外壁面より、7m、5m、2.3mの位

置で遠方から作業を行い、振動・騒音の測定を行った。

上屋(対象建物)

14m 12m

9m

6m

3m

1.5m

試験施工箇所

振動・騒音測定位置

1m

図-5 試験施工位置平面図

仮設工仮設土留め矢板先行掘削仮設土留め矢板打設仮設グランドアンカー設置

仮設工仮設グランドアンカー撤去仮設土留め矢板引抜き

構造物(舗装版)取壊し

裏埋土・裏込石(一次)撤去

裏埋土・裏込石(二次)撤去

陸上地盤改良・裏埋土(一次)

既設上部取壊し

基礎捨石撤去・床掘

基礎捨石投入・均し

上部工

陸上地盤改良・裏埋土(二次)

付属工・路盤工・舗装工

図-4 施工フローチャート

表-2 舗装版の取壊し時の振動レベル

施工機種 施工位置振動レベル(dB)

備考L10値 ピーク値

大型ブレーカ 14m 68 7212m 67 709m 69 756m - 90 作業中止

コンクリート圧砕機 1m 46 61バックホウ 1m 59 73

基礎捨石

裏込石

上屋

17.73

-10.00

埋土

-13.60

+1.50

-18.90 -18.90

Balloon Bodyアンカー(除去式)

24.00

+0.50

+2.60

アンカー台座

2.27

40°35°

1.50

全回転オールケーシング掘削

L.W.L.±0.00H.W.L.+0.50

(雑石)

仮設土留め矢板 SP-Ⅳ(SY295) L=16.20m

Balloon Bodyアンカー(除去式)

図-6 仮設工標準断面図

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Sena Nakui, Kohei Hatooka, Takeshi Ishizawa

管理目標値は、上屋前面で振動レベル(L10 値)は

70dB、騒音レベル(L5値)は 80dBを上限として設定し

た。仮設土留め矢板の打設作業時の建物前面で測定した

振動結果を表-3に示す。

以上の調査結果から、仮設土留め矢板打込作業は、上

屋壁面から5m以内の範囲は、バイブロハンマの使用を

不可とし、アースオーガ併用圧入杭打機で施工すること

とした(写真-4)。 仮設グランドアンカーは、基礎地盤が粘性土であるた

め、粘性土においても定着可能となる工法について検討

を行い、Balloon Bodyアンカー工法(以下、BBアンカー

工法)を採用した(図-6)。BB アンカー工法は、薄い

鋼板を折りたたんで作られた Balloon Body を土中の任意

の深度、位置に設置し、グラウト材を用いて加圧膨張さ

せ、この膨張した球根にテンドンを定着させる工法であ

る(図-7、写真-5)。

また、本施工に先立ち、本施工と同一のアンカー体設

置地盤にBBアンカーを2本造成し、引抜き試験を行い、

設計アンカー力(最大317.8kN)以上が確保されている

ことを確認した。 事前混合処理は、岸壁背後を掘削する際に発生する土

砂を再利用することとし、作業ヤードにて、発生土を粒

径 100mm 以下に振るい分けし、自走式土質改良機を用

いて改良を行った(写真-6)。 設計基準強度は、qu=175kN/m2とし、配合試験により

表-4に示すとおり使用する材料及び配合を決定した。

写真-4 仮設土留め矢板打込施工状況

アンカー体長

テンドン自由長

加圧ホース

Balloon Body

グラウト

アンボンドPC鋼より線φ12.7

テンドン長

A-A

グラウト

Balloon Body

アンボンドPC鋼より線

800

アンカープレート

アンカーヘッド

α

グラウト

1.8m

図-7 BBアンカー標準図

写真-5 BBアンカー施工状況

写真-6 事前混合処理土製造状況

表-3 仮設土留め矢板打込時の振動レベル

施工機種 施工位置振動レベル(dB)

備考L10値 ピーク値

電動式バイブロハンマ 7m 74 83 作業中止

油圧式可変超高周波バイブロハンマ

7m 67 765m 74 82

2.3m - 90 作業中止

アースオーガ併用圧入杭打機 2.3m 62 71

写真-3 全回転オールケーシング掘削施工状況

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Sena Nakui, Kohei Hatooka, Takeshi Ishizawa

また、一軸圧縮強度試験を1,500m3に1回行い強度を確

認した。 改良土砂は、作業ヤードから施工箇所へダンプ運搬し、

クラムシェル及びバックホウにより投入し裏埋めを行っ

た(写真-7)。裏埋め施工の際、既設堤体の変状が懸念

されることから、既設堤体の変位を観測し施工を進めた。

(4) 上部工 a) 上部工のプレキャスト化 上部工の施工は、通常、場所打ちコンクリートで施工

することが一般的であり、本工事の施工条件では、上部

工が本体から海側に最大約 80cm 張出すことや、既設ケ

ーソンに蓋がなく上部工の施工時は水面となっているこ

とから、施工時に型枠支保や足場などの大規模な仮設を

必要とする。 このことから、本工事では、柱、梁及び背後壁の一部

を2脚となる一般部と4脚となる防舷材取付部に分割し、

プレキャストブロック部材として、陸上作業ヤードで製

作した(図-8)。

プレキャスト部材の製作は、作業性の良い陸上ヤード

で行うため、安全性や品質の向上が図られることに加え、

現場での作業を軽減するため、限られた作業スペースの

効率化や工程の短縮も図られた。

b) プレキャストブロックの据付 プレキャストブロックの既設ケーソン上への据付けは、

既設ケーソンの天端高がスパン毎に異なることから、レ

ベル調整が必要となる。また、既設ケーソンの天端高は、

+0.10~+0.19mのため海中での施工を考慮する必要があっ

た。これらの条件を基に、プレキャストブロック据付時

のレベル調整方法を検討した結果を表-5を示す。

以上から、レベル調整と型枠を兼用する柱脚ブロック

を陸上で製作し、既設ケーソン天端に柱脚ブロックを設

置し(写真-8)、水中不分離コンクリートを打設後、プ

レキャストブロックの据付をクレーンで行った(写真-

9)。

表-4 事前混合処理の使用材料及び配合

固化材 分離防止剤 溶融水

高炉セメントB種 ポリアクリルアミド系 海水

169.7kg/m3 0.0826kg/m3 -

写真-7 改良土砂投入状況

1.85

0.55

1.80

0.55

1.00

0.25

0.800.72

0.853.00

5.37

5.37

3.00

0.72

15.00

0.503.10

0.503.15

0.503.15

0.503.10

0.50

0.85

0.80

0.95 0.95 0.950.950.95 0.95

0.20

1.85

1.80

0.55

1.00

0.25

0.800.72

0.853.00

5.37

0.55

0.35

1.57

0.20

平面図

断面図

一般部 防舷材取付部

図-8 プレキャストブロック部材単体図の一例

表-5 据付時のレベル調整方法の検討

A案水中不分離コンクリート

B案型枠兼用レベル調整ブロック

構造図

概要

厚さ0.11~0.20mの水中不分離コンクリートを現地で打設す

る。

レベル調整と型枠を兼用する柱脚ブロックを陸上で製作、現地に設置し、水中不分離コンクリートを打設する。

評価

水中不分離コンクリートは凍結融解で耐久性が劣る。

水中不分離コンクリートは直接海水(外気)に触れないため、凍結融解に対する問題は

ない。

△ ○

+0.30

850 800

+0.10~+0.19既設ケーソン

柱脚ブロック 柱脚ブロック

水中不分離コンクリート

+2.50

+2.10 場所打ちコンクリート

プレキャストブロック

+0.30

850 800

+0.10~+0.19既設ケーソン

水中不分離コンクリート

+2.50

+2.10 場所打ちコンクリート

プレキャストブロック

写真-8 柱脚ブロック設置状況

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c) 場所打ちコンクリートの打設 上部工全体の一体性を確保するため、プレキャスト

ブロックの据付後、背後壁の一部と床版全体を場所打ち

コンクリートで施工した(写真-10)。

また、場所打ちする床版の底枠をパネル化し(図-9)、

据付後のプレキャストブロック部材から吊る方式とする

ことで、型枠及び支保工が不要となり、現場での作業軽

減が図られた。

4. まとめ

本工事は、既設構造物の一部を再利用するほか、隣接

する建築物等を存置したままでの施工が必要であるなど、

設計・施工上の制約があった。また、施工場所は市街地

に近く、振動・騒音に留意した施工が必要となり、これ

らの制約条件や課題に対して前述で報告した工夫を行い、

平成 30年代前半を完成目標に工事を進めている。 小樽港におけるクルーズ船の受け入れ体制は、6 万ト

ン未満のクルーズ船は第 3号ふ頭で、それ以上のクルー

ズ船は、市街中心より離れた勝納ふ頭で対応している。 本整備が完了することにより、13万トン級の大型クル

ーズ船が係船可能となり、第3号ふ頭に2隻同時にクルー

ズ船が係船可能となる。 第3号ふ頭は、徒歩圏内に小樽運河等の多数の人気観

光施設のほか、中心市街地商業地区やJR小樽駅が存在し、

利便性の高い立地環境にあるため、本整備による更なる

利用促進が期待される。

写真-9 プレキャストブロック据付状況

床版型枠パネル

150

400上部場所打ちコンクリート

図-9 床版型枠パネル詳細図

写真-10 場所打ちコンクリート打設状況